これは主として音声で閲覧する方のために作成しました。 そのため、使用文字の一部が変更されていますので、ご了承ください。 22ページ 第2章 ユニバーサルデザインによる施設計画 23ページ 第2章 ユニバーサルデザインによる施設計画  1 本章は、第1章の2の基本方針に基づき、ユニバーサルデザインを実現するための必要事項を整理したもので、構成は概ね次のとおりです。これらをもとに、はじめに−6−2のキーワードといつつの実現手法や、創意工夫により、ユニバーサルデザインを創り出していきます。  2 利用者の満足度は、利用条件、利用者像により異なるので、必要事項は様々な場面を想定して整理しています。  3 本章の内容に関係する参考データは、資料編の第1章UDデータに掲載してあります。    気候、気象、立地条件(自然・景観・交通事情等)、時刻等に代表される利用条件と、年齢、性別、障がいの種類・程度、身体的能力、言語、様々な場面等に代表される利用者像をそれぞれ考慮し、その施設の必要事項を求めます。 必要事項は、基本事項と配慮事項に分けて整理しています。基本事項は、原則的に実施すべき事項で、配慮事項は、努力目標とする事項です。  本章は、3つの空間から構成されています。1つめの空間は移動空間、2つめは利用空間、3つめは案内・誘導です。さらに、各空間は、空間の共通的な事項を述べている共通事項と、複数の個別テーマから成り立っており、移動空間は、共通事項と13の個別テーマ、利用空間は、共通事項と14の個別テーマ、案内・誘導は、共通事項と4つの個別テーマでそれぞれ構成されています。    移動空間のテーマは、1 道路、2 排水施設、3 植樹たい、4 防護柵、5 屋外照明、6 駐車場・駐輪場、7 アプローチ・敷地内(公園内)通路、8 玄関・出入口、9 廊下、10 階段、11 エレベーター・エスカレーター、12 スロープ、13 手すり、です。  利用空間のテーマは、1 トイレ・洗面所、2 みんなのトイレ、3 更衣室・シャワー室、4 浴室、5 宿泊施設の客室等、6 観覧席・客席、7 受付カウンター・水飲み場・公衆電話、8 授乳室等、9 券売機・自動販売機・家具、10 操作ボタン・スイッチ等、11 プール、12 公園、13 屋外休憩施設、14 バス停留所、です。 案内・誘導のテーマは、1 視覚情報サイン、2 触覚情報サイン、3 聴覚・嗅覚情報サイン、4 非常時の情報設備、です。 テーマは全部で31に区分されていますが、施設のデザインは各テーマが連続して構成されなければなりません。テーマ同士の関連性や接点を十分に検討することが重要になります。 24ページ 1 移動空間  移動空間とは、人が、何らかの意志により、ある場所から目的地まで行動するスペースのことです。  移動手段は、徒歩や車いすをはじめ、自転車、オートバイ、乗用車、バスなどの交通用具を使った移動、上下に移動する階段、エレベーター、エスカレーターなど様々です。  ここでは、移動空間におけるユニバーサルデザインの実現に向け13のテーマを掲げ、各テーマの特性や様々な移動手段に応じた工夫、考え方を整理しています。 共通事項 25ページ、1 道路 28ページ、2 排水施設 32ページ、3 植樹たい 33ページ、4防護柵 34ページ、5 屋外照明 35ページ、6 駐車場・駐輪場 36ページ、7 アプローチ・敷地内(公園内)通路 39ページ、8 玄関・出入口 41ページ、9 廊下 43ページ、10 階段 45ページ、11 エレベーター エスカレーター 47ページ、12 スロープ 51ページ、13 手すり 53ページ 25ページ 1 移動空間 共通事項 スムーズな連続性が確保された移動空間  すべての人が同じ空間を、同じ動線で、自由に移動できることを基本に、屋内と屋内、屋内と屋外、屋外と屋外での移動の連続性を確保します。 基本事項  連続性  建物の中から玄関へ、玄関から道路へ、道路から バス停留所へ、バス停留所から道路へ、道路から 目的の建物へ、というような、すべての移動空間がスムーズに連続するよう計画します。  出入口から建物内の各室までの経路は、手すりを連続して設け、誘導サインなどによりわかりやすく 移動できるようにします。 26ページ 動線計画    動線は単純明快なものとし、突出物などで妨げられないようにします。    垂直移動は水平移動に比べ負担がかかるため、水平移動を基本に動線を計画します。  ゆとり  案内表示板を設置した玄関ホールや受付カウンターなど、移動のための情報を受け取る場所では、施設をはじめて利用する人や時間をかけて案内板を確認する人のため、ゆったりとしたスペースを確保します。  人の動作速度には個人差があるため、自動扉の開閉速度やエスカレーターの速度に配慮します。  維持管理の充実  施設を常に安全な状態で運用するためには、維持管理が重要であることから、維持管理のしやすい施設を計画し、運用にあたっては管理体制と点検内容を充実します。  施設の劣化や破損などにより危険な状態が発生しないよう常に現状を把握し、事故の発生を防止します。  段差の解消  移動空間はできるだけ平坦にし、やむを得ず段差が生じる場合は、段差の存在がわかるようにするとともに、スロープを設けます。  避難経路  避難の方法及び経路について十分に検討し、人的な対応のほか、音声や文字情報等、複数の方法により誘導できるよう計画します。    防火戸のくぐり戸の部分は、閉鎖しても段差の生じない構造のものとします。  床    平坦で安定性があり、滑りにくく、水はけの良い材料または仕上げを選択します。  地域性    福島県の各地域の気候や周辺環境にあった移動空間をデザインします。  明るさの確保    移動する速度や場所に適した明るさを確保し、まぶしさが発生しない照明器具のせんてい、設置位置とします。    手すりの位置や情報装置などを夜間でも容易に認識できるよう工夫します。  雨天時    水溜りが生じないよう、雨水を適切に処理する排水施設を設けます。 27ページ 配慮事項  休憩スペース  疲れたときに休憩ができ、語らいの場所としても利用できるよう歩道やホールなどに休憩スペースを設け、ベンチや緑、水飲み場などを設置しましょう。  ベンチは、通行の妨げにならないよう、通路からある程度の間隔を確保し、車いす使用者が隣接できるよう、平坦なスペースを確保しましょう。  大型車両の通行  バスなどの大型車両による利用が想定される施設では、施設への入口、車寄せ、駐車場、出口という一連の車両移動がスムーズに行える車両動線を計画しましょう。    大型車両用の入口と出口が同じ場合は、車両が転回できるスペースを設けましょう。 28ページ 1 移動空間 1 道路 UDデータは95ページにあります。 安全で安心して利用できる道路  連続性、動線、段差に配慮し、冬期間でも安全で安心して利用できるようにします。 基本事項  道路幅員    歩道及び車道は、交通量及び利用状況に応じた、適正な幅員とします。  歩道の形式、材料    市街地部では原則として透水性舗装とします。    必要に応じて透水性ゴムチップ舗装を検討します。   連続的な平坦性を確保するとともに、段差軽減のため、フラット型とします。ただし、フラット型であっても、横断歩道部等においては、視覚障害者が、歩車道境界部を白杖や足により容易に認知できるよう歩行者動線用乗り入れブロックを使用します。なお、沿道の利用状況などにより、フラット型の採用が困難な場合は、現地の実情に合わせ、セミフラット型とします。  歩道の勾配、段差    縦断勾配、横断勾配、すりつけ勾配は、車いす利用者が通行しやすい勾配とします。    勾配が長く続く場合は、平坦部を設けます。    やむを得ず段差が生じる場合は、通行に支障のない高さとします。  縁石    車両乗り入れ部や歩道巻き込み部など、やむを得ない場合を除き、連続するよう設けます。  交差点部    歩道には、横断待ちをする部分に平坦な部分を設けスペースを確保します。    視認性を高めるために、視線誘導ひょうや道路照明灯などの設置を検討します。  歩行者、自転車の分離    利用状況に応じて、歩道の有効幅員が4.0メートル以上確保できる場合は、歩行者と自転車を分離する形状とします。また、舗装材料を変更したり、植樹たいなどで誘導し、通行たいをわかりやすくします。  車道舗装   降雨時の水しぶき、走行騒音、ライトの反射などを低減する必要がある箇所は、排水性舗装とします。 29ページ  冬期間への対応    積雪寒冷地では、除雪、堆雪を考慮して計画するとともに、除雪の実施により有効幅員を確保します。  路面(舗装等)の材料    平坦性、すべりにくさ、水はけの良さなどを考えて路面材料を選定します。特に、ブロックタイプの舗装材は、目地部に段差が生じやすいので、段差が発生しないようにします。  幅員の確保  標識ちゅうや、電柱等により適正な幅員が確保できない場合は、その移設等について関係機関に働きかけます。    占用物を設置する場合は、道路本来の機能を阻害しない場所に設置します。    沿道店舗の立て看板やのぼり、駐輪、駐車車両など道路不法占用物の撤去を地域住民とともに働きかけます。 配慮事項  連続性    セミフラット型及びマウントアップ型歩道の場合、沿道の細い通路との交差部では段差軽減のためハンプを設けましょう。  視認性    沿道の利用状況に応じて、誘導用ブロックを設けましょう。    車止めは、視認性の良いものを使用しましょう。    縁石には反射鋲などを設け、夜間の視認性を高めましょう。    歩行者と自転車を分離する場合は、視認性の良いカラー舗装などで通行たいを区分する計画としましょう。  すりつけ    歩道とみんち側の出入口部などの高低差をすりつける場合、沿道の利用者、地権者との協議、調整を行い、土間コンクリート、階段、スロープなどですりつけましょう。 注釈1 堆雪:除雪された雪。 注釈2 占用物:電柱や水道管など、道路敷内に継続して使用する一定の工作物又は施設。 注釈3 セミフラット型:歩道面を車道面より若干高くし縁石を歩道面より高くした構造。 注釈4 マウントアップ型:歩道面および縁石天端を車道面より高くした構造。 注釈5 ハンプ:舗装を部分的に盛り上げ、運転者に対して通過時のショックや事前の視野により速度低下を促すもの。 30ページ  マンホールなど    マンホールなどのつきだしや、すりつけの悪さなど、占用復旧箇所の凸凹が生じないようにしましょう。    マンホールの蓋などの滑りやすい部分は、滑り止めなどの対策を講じましょう。  停車帯(荷さばき場、タクシー乗り場など)    道路上に停車帯を設ける場合、一般車両の走行を妨げないようにし、路面には必要に応じて使用用途が分かるように明示しましょう。    停車車両の乗降者や積荷の往来が想定される部分は、横断歩道の場合と同様に、できるだけ歩車道境界の段差をなくしましょう。  歩道のない道路での自転車・歩行者通行たい    路肩及び余裕幅などを利用し、自転車・歩行者・通行たいを確保しましょう。また、舗装材料や色調を変え、利用者にわかりやすくしましょう。  工事中    人通りの多い箇所では、交通誘導員を配置しましょう。  迂回路、仮設道路については、げんどうと同等の機能を確保しましょう。特に、誘導用ブロックがある場合には、連続性を確保しましょう。    工事箇所においては、歩行者の通路を確保しましょう。    同じ箇所における工事(舗装、水道等)の施工時期を調整し、効率良い工事を行うとともに、降雪期の工事はできるだけ避けましょう。    地下埋設工事など、竣工後に段差の発生が懸念される場合は、沈下防止策をあらかじめ検討しましょう。    工事看板は、工事内容がわかりやすい標記にするとともに、工事区域がわかりやすいような配置としましょう。  冬期間  歩道等において、積雪または凍結により通行に著しく支障を及ぼす箇所がある場合は、地域の利用状況に応じた冬期対策を検討しましょう。    路上施設や占用物は、除雪を念頭において配置を計画しましょう。    消融雪施設は、除雪や現地状況を考慮して計画しましょう。また、溶けた際の水の流れを考慮した排水計画としましょう。     注釈6 占用:水道管・ガス管など、一定の工作物を道路敷内等で継続して使用すること。 注釈7 消融雪施設:消雪パイプやロードヒーティングなど、雪を溶かす施設。 31ページ  積雪寒冷地の橋梁部では、舗装材料は滑りにくいものとし、状況に応じて消融雪施設の設置を検討しましょう。また、凍結しやすい構造は避けましょう。    かろ形式の橋梁は、横桁から雪や氷が落下しないように対策を講じ、かろ形式橋梁の採用はできるだけ避けましょう。    地下立体横断施設の出入口は、降雪期の風向きを考え、雪の吹き溜まりとならないように計画しましょう。 注釈8 かろ形式:通路が橋桁や主構の下方にある橋の形式。 32ページ 1 移動空間 2 排水施設 UDデータは96ページにあります。 動線と交差しない、安全な排水施設  側溝・排水桝、・横断側溝などは、動線と交差しない場所へ設け、蓋は滑りにくく、靴のかかとなどが落ち込まないものとします。 基本事項  設置 歩道に設ける場合は、動線と重ならないように設けます。やむを得ず動線と重なる場合には、利用目的、周辺環境を考慮した上で、側溝に掛かる蓋は滑りにくく、靴のかかとや車いす等の車輪が落ち込まないものとします。  安全性    安全上必要な箇所には蓋を設けます。 配慮事項  設置 コンクリート側溝の場合は、手掛けの切り欠けなどが通行の支障にならないよう、歩行者などの動線部以外に手掛けを設けましょう。  積雪地域    雪捨て場などの確保が困難な箇所には、流雪溝を設けましょう。    消融雪施設を設ける場合は、溶けた水の流れを考慮した排水計画としましょう。     注釈 消融雪施設:消雪パイプやロードヒーティングなど雪を溶かす施設 33ページ 1 移動空間 3 植樹たい UDデータは97ページにあります。 沿道に潤いを与える植樹たい  成木状態をイメージして配置し、潤いと安らぎのある沿道環境を創ります。 基本事項  設置    必要に応じて良好な潤いある沿道環境とするため、植樹たいを設けます。    歩行者動線と重ならないようにします。 景観、車道、歩道並びに付属施設への影響を考慮し、成木時の樹形をイメージした植栽とします。 樹種の選定にあたっては、交差点や車庫等への出入口、横断地点、その他重要な場所での視界と視距が確保できるよう、成長時の高さや広さを考慮します。また、植樹後も、樹木の高さ、広さを適正に管理します。    視線誘導の目印の一つとなるため、連続性を保ちます。    除雪を念頭において設けます。    車道部に日陰が発生することで、路面凍結の危険があるので、日照を考慮します。配慮事項  樹種    花、根などに有毒なものを持たないものを選定しましょう。    特徴のある樹種は目印として有効なので、必要に応じて設けましょう。    街路樹等の樹木は、    1 地域にあった樹種を選定しているか。    2 落葉樹の場合、落葉の掃除などの管理ができるか。    3 根が張り、舗装などを持ち上げてしまう可能性はないか。   を検討して選定しましょう。  植樹桝    歩行者の靴のかかとなどが落ちないものとしましょう。 34ページ 1 移動空間 4 防護柵 UDデータは98ページにあります。 視線誘導としての防護柵  連続性に留意し、曲がり・ねじれなどが無いよう、維持管理も十分に行います。 基本事項  設置 「防護柵設置基準・同解説」及び「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」に適合させます。 ボルトなどの突起物、部材の継ぎ目、設置の方向などにより通行者に危害を及ぼすことのないようにします。  形状・色彩    景観に配慮し、連続性を失わないようにします。 配慮事項  眺望    道路から外部への眺望を阻害しない形式・位置としましょう。  安全性    反射テープなどを貼付し、夜間の視認性を向上させましょう。  除雪対策    除雪などにより損傷を受けない位置・構造としましょう。 35ページ  1 移動空間 5 屋外照明 UDデータは98ページにあります。 夜間も快適な屋外照明  連続性・視認性・景観などに配慮し、安全で安心できるよう効果的に設けます。 基本事項  設置    照明による事故の抑制効果の高いところに優先的に設けます。    交通量の多いところや人の集まるところに優先的に設けます。    歩行者などの通行量や周辺の光環境を考慮して、適切な明るさを確保します。 地下歩道には、利用者が安心して利用できるよう、蛍光ランプ又は蛍光水銀ランプの照明を設けます。 配慮事項 均斉度    明るさにムラがあると視認性が悪くなるため、ムラが少なくなるようにしましょう。  連続性    照明は視線誘導として有効なので、できるだけ等間隔で連続的に設けましょう。  照明形体等    路面の平均照度、まぶしさ、保守の容易性等から形式を選定しましょう。    周辺景観と調和したデザインとしましょう。 目にやさしい間接照明や、フットライトなどの低位置照明などを有効に活用しましょう。  位置    照明器具が樹木などで覆われてしまわないよう、適正な設置に努めましょう。  環境への配慮    住環境や生態系に配慮した照明計画としましょう。     注釈1 蛍光ランプ又は蛍光水銀ランプ:光源は利用者に安心感を与えるものでなければならないので、その意味では演色性の悪いナトリウムランプの使用は                 望ましくない。 注釈2 均斉度:照明施設における明るさ(照度、輝度)の分布変動を示す尺度。 注釈3 間接照明:光源からの光を天井、壁などに反射させ、その間接こうを利用する照明。 36ページ 1 移動空間 6 駐車場・駐輪場 UDデータは99ページにあります。 道路からも建物からもアクセスしやすい駐車スペース  十分な乗降スペースを確保し、段差をなくします。また、車いす利用者用駐車スペースは、安全で、施設を利用しやすい場所に計画します。 基本事項 駐車場共通事項  路面  路面は、排水を考慮したうえで、できるだけ水平に計画し、凹凸のない仕上げとします。  しゃろ・駐車スペース    見通しの良い、ゆったりとしたスペースを確保します。    車での利用者数を考慮し、必要な駐車台数を確保します。  路面ペイント  駐車のしやすいデザインとし、塗装が取れかけたら再塗装を行い、常に見やすい状態を保ちます。    しゃろ部分を乗降スペースとして利用する場合は、「最徐行」の表示をします。  歩行者の安全確保    歩行者専用の出入口を設けます。  夜間  夜間の利用が想定される駐車場や屋内駐車場では、安全に乗降できるよう照明設備を設置します。  積雪地域    冬期の日当たりの良い位置に設けます。 車いす使用者用駐車スペース  台数    施設の用途や利用者数を考慮し、必要な台数を確保します。  位置  玄関など施設の主要な出入口の近くに設け、柵やポストコーンなどでふさがずに、いつでも利用できるようにします。 37ページ  サイン  車いす使用者用であることが容易にわかるように一般駐車スペースとは異なる色を塗布するか、国際シンボルマークや文字を床面または標示板などにより明記します。    車いす使用者用駐車スペースへ容易に誘導できるサイン計画とします。  大きさ    後部からの車いすの積み下ろしが容易にできるよう、奥行きを確保します。    車両の両側に乗降専用スペースを設けます。  駐輪場    できるだけ玄関の近くで、来場者にわかりやすい場所に設けます。    自転車の出し入れが容易に行えるよう、十分なスペースを確保します。    自転車での利用者数を考慮し、必要な駐輪台数を確保します。    降雨で自転車が濡れないように、屋根を設けます。    自転車の出し入れで、通行を妨げることのない場所に設けます。 配慮事項  駐車場共通事項    歩行者専用通路を設け、車路を横断する箇所には、横断歩道を設けましょう。    必要に応じて車止めを設けましょう。    透水性舗装としましょう。  バスなどの利用が想定される施設では、大型車両専用の駐車スペースを設け、荷物の積み下ろしや車いすの乗降スペースを設けましょう。    職員用と来客用の駐車スペースを区分しましょう。    しゃろは対面交通を避け、一方通行としましょう。  交差部は十字交差を避け、L字、T字とし、視界の良くない交差部にはカーブミラーや回転灯等を設けましょう。  夜間の利用が想定される駐車場や屋内駐車場では、車止めにつまずかないよう反射シールを貼り、円滑に施設へ誘導するために、発光式のサインや掲示板を設けましょう。  積雪地域では、通路や駐車場の除雪が適切に行えるよう、雪溜めスペースを確保しましょう。 38ページ  車いす使用者用駐車スペース 乗降スペースは、ライン引きなどにより駐車スペースと区分し、駐車スペースの両側に設けましょう。  駐車スペースと施設の床高に差がある場合は、駐車スペースの路面の高さを施設の床高に合わせましょう。  雨天時の利用を考慮し、駐車スペースや建物入口までの通路には屋根を設けましょう。  必要に応じて手すりを設けましょう。 ラインの色を工夫し、一般駐車スペース2台分を車いす使用者用駐車スペース1台分に、あるいは3台分を2台分にするなどの柔軟性のある計画としましょう。    施設の入口付近のほかにも数箇所に分散配置しましょう。  駐輪場  多くの駐輪が見込まれる施設は、整然と駐輪できるよう、自転車駐輪ラックを設けましょう。 39ページ 1 移動空間 7 アプローチ・敷地内(公園内)通路 UDデータは100ページにあります。 安全で便利なアプローチ・安心して歩ける通路  施設へのアプローチはわかりやすい位置に設け、すべての人が道路から安全に同じ経路で移動できるようにします。  また、敷地内(公園内)通路は、すべての人が安心して移動できるように、部分的な配慮ではなく、連続性を持った空間とします。 基本事項  歩行者と車の分離    歩行者の安全を確保するため、歩行者用通路としゃろは分離します。  幅員    傘を差した人同士、車いす使用者同士がすれ違える幅員を確保します。  勾配    縦断勾配は、車いす利用者も容易に昇り降りできる勾配とします。    横断勾配は、できる限り緩やかな勾配にします。  歩道に縦断勾配があり、ある程度長い距離がある場合には、適度に平坦部を設けます。  車寄せ  車いすの乗降やトランクからの荷下ろしを行う場所には、雨天時でも支障のないよう、十分な大きさの庇を設けます。  サイン、のぼり旗など  サインやイベント時に設置するのぼり旗は、わかりやすい位置に設け、美観に配慮した上で、通行の支障にならない位置に設けます。  素材  平坦で滑りにくく、水はけのよい材料とし、特に歩道にブロックタイプの舗装材等を用いる場合は、移動しやすいよう目地を含め凹凸を少なくします。  誘導  施設へ安全にアプローチできるよう、誘導用ブロック、縁石、歩車道を分離するライン引きなどを施します。 40ページ 配慮事項 歩行者と自転車の分離    歩行者用通路と自転車用通路は分離しましょう。  段差    しゃろと歩行者用通路の交差部は、歩道を切り下げず、車道にハンプを設けましょう。  素材  車道と歩道の材質は、質感の違いにより区別しやすいよう、異なる材質の使用を検討しましょう。  サイン  建物の出入口付近のしゃろには、徐行や駐車禁止等の床面ペイントや標識などを表示しましょう。  その他の設備    必要に応じて手すりや音声誘導装置を設けましょう。  距離の長い通路には、ベンチ、木陰、展望台、花壇などを設けるなど、長さを感じさせない工夫をしましょう。  積雪地域  積雪地域や建物の北側にアプローチを配置する場合は、施設へのアクセスが円滑に行えるよう、屋根や融雪装置などを設けましょう。  通路が周辺施設からの落雪により遮断されることのないよう、施設から適度な間隔を確保しましょう。 注釈 ハンプ:舗装を部分的に盛り上げ、運転者に対して通過時のショックや事前の視野により速度低下を促すもの。 41ページ 1 移動空間 8 玄関・出入口 UDデータは101ページにあります。 わかりやすく、出入りしやすい玄関・出入口  車いすでも利用しやすいスペースを確保するとともに、すべての人が操作しやすい扉とします。  また、玄関はアプローチから簡単にわかる位置に設け、案内・誘導サインなどを設けます。 基本事項  動線    すべての人が同じ玄関・出入口から施設に出入りできるようにデザインします。  床  玄関や出入口の床は水平とし、段差や門扉止めなどの突起物を設けないようにします。  幅員  玄関や主要な出入口は、車いすの通過や大きな荷物の運搬が容易にできる幅を確保します。  玄関扉前後のスペース    扉の前後には、車いすが転回できるようにするために必要なスペースを設けます。    出入口や玄関には庇を設けます。  水拭きマット  埋め込み型を採用し、マットのたんぶを固定し、車いすの通行や歩行に支障のない材料を選定します。    誘導用ブロックを遮断しないように設けます。  ドア    なるべく小さな力で開閉できるドア(上吊り式など)を選定します。  ドアハンドルは、開き戸ではレバーハンドル、引き戸では棒状のものなど握りやすく操作がしやすい形状とします。    ドアハンドルの高さは、すべての人が容易に操作できる高さとします。    自動的に閉鎖するドアは、ゆっくり閉まるタイプのものを選定します。  自動ドアの感知センサーは、子どもや車いす使用者が通行する場合でも容易に感知するよう設定します。  出入口扉などの大きなガラス面には、衝突を防止し、万一破損した場合にもケガをしないようデザイン性に配慮し、視線の高さに衝突防止フィルム、飛散防止フイルムなどを施します。 42ページ  扉の開閉によりケガをしないよう、引き戸のめし合わせ部にクッション材などを設け、自動ドアの引き込み部は挟み込み防止を施します。  入場ゲート レジ通路    車いす使用者が通行できる十分な幅を確保し、床は水平にします。  レジ台は、買い物かごが置きやすい高さとし、利用者に合わせて、高さが違う台の設置や高さが変えられる台を設けます。  案内板    玄関には総合的な案内板を設けます。  インターホン  主要な出入口には、案内、誘導などを行うインターホンを設け、押しボタンの近くに点字を併記します。  積雪地域    落雪により出入口が塞がらないよう、庇の傾斜方向に配慮します。    玄関の位置は、風向きや雪の吹き溜りを考慮します。  冬期間  玄関ホールが利用者の待合スペースとなる場合は、日当たりの良さ、風除け、空調負荷などを考慮します。 配慮事項  ドア  玄関や主要な出入口は自動ドア(引き分けタイプ)とし、その他の出入口は引き戸にしましょう。  必要に応じて、ドアの反対側の様子が分かるように、子どもの視線の高さにも配慮したガラスこ窓などを設けましょう。  段差    やむを得ず段差が生じる場合は、スロープと階段を併設しましょう。    非常口に段差が生じる場合、スロープを設けましょう。  手すり    靴を履き替える玄関には、手すりや椅子を設けましょう。 43ページ 1 移動空間 9 廊下 UDデータは102ページにあります。 ゆったりとした廊下  建物の用途、規模、利用状況などに応じた十分な幅員を確保し、幅員は途中で変えず、設備機器などの突出物のない直線通路とし、わかりやすい動線とします。 基本事項  幅員  車いす使用者が容易に転回でき、歩行者と車いす使用者とが容易にすれ違える幅員を確保します。    手すりなどを設ける場合は、手すりの内側で幅員を確保します。   幅員は途中で変えないようにします。  床    材質は途中で変えないようにします。    歩きやすいよう、壁の色との明度差を確保します。  突出物    通行の支障になる位置に突出物や物品を置かないようにします。    消火器等は壁埋め込み式とします。  手すり    玄関から各室までの廊下には、両側に手すりを設けます。  誘導用ブロック  玄関から受付又はインターホンまで、誘導用ブロックを途切れることのないよう敷設します。 配慮事項  幅員    車いす使用者同士が容易にすれ違える幅員を確保しましょう。  壁面等の角部    壁や柱の角部は、面をとるかコーナーガードを設けましょう。  案内板  しつめい表示板やイベント案内板等は、床置き式ではなく、壁付けタイプのものを採用しましょう。  光環境   必要な照度を確保するとともに、日射などによるまぶしさへの対策を施しましょう。 44ページ 積雪地域    冬期間に施設間を円滑に移動できるよう、回廊・渡り廊下に屋根を設けましょう。 45ページ 1 移動空間 10 階段 UDデータは103ページにあります。  安全で円滑に移動できる階段   階段は、ゆとりある幅や適切な勾配とし、手すりを設置します。   また、転落防止のため、踏みづらを滑りにくくし、段ばなを識別しやすくします。 基本事項  形式   安全で介添えがしやすいよう、踏みづらの幅が内側と外側で違う階段(らせん階段など)は設けないようにします。  形状   ゆとりある幅員を確保し、適切な勾配とします。   幅員や蹴上げ、踏みづらの寸法は、途中で変えないようにします。   蹴込み板のない階段や透明なガラス板の階段は設けないようにします。 段数の少ない階段は、目立ちにくく危険なため設けないようにし、やむを得ず設ける場合は、注意喚起表示等の措置を講じます。  仕上げ   転倒防止のため、段ばな、蹴上げ、踏みづらの各々の色は、見分けやすく、輝度比を大きくします。廊下と階段の床の色を変えることでさらに識別しやすくなります。   段ばなには滑り止めを設けます。   上端、下端には点状ブロックを設けます。  手すり   両側に手すりを設けます。   幅の広い階段は、中間にも手すりを設けます。  明るさ   足下が良く見えるように、自然採光や照明装置で明るさを確保します。  その他 階段下に人が入れるスペースがある場合は、通行の際にぶつからないよう、花壇や手すりを設けます。  注釈1 踏みづら: 階段の足を載せる段の水平面。  注釈2 段ばな:階段の段の先端。  注釈3 蹴上げ:階段の1段の高さ又はその部分。 46ぺージ 配慮事項  形状 踊り場は、一時的な避難場所や足休めの場所となるよう、十分なスペースを確保しましょう。   転落防止のため、階段を上がってすぐの位置には出入口を設けないようにしましょう。   屋外の階段には屋根を設けましょう。  サイン 階段の設置位置がわかりにくい場合は、誘導用サインや誘導用ブロックを設けましょう。  積雪地域   屋外での材料は、凍害の影響を受けないものを選定し、融雪装置を設けましょう。   除雪を必要とする場合は雪溜めスペースを設けましょう。 47ページ 1 移動空間 11 エレベーター エスカレーター UDデータは104ページにあります。  すべての人が使いやすいエレベーター エスカレーター   わかりやすい位置に設け、すべての人が安全に使いやすいものとします。 基本事項  共通事項  位置 エレベーターやエスカレーターは、階段とともに利用者が選択できるよう、わかりやすい位置に、階段と近接して設けます。  エレベーター  設置   低層建物の場合や地下歩道でもできる限りエレベーターを設けます。 一台は、車いす使用者や視覚障害者などが一人で利用できるような形態や設備を備えたものとします。  乗降ロビー ゆったりとした空間を確保し、車いす使用者同士のすれ違いや転回が容易にできる大きさとします。  室内の大きさ 車いす使用者が容易に転回できる大きさとしますが、難しい場合は、車いす使用者と介助者が同乗できる大きさとします。  扉   車いすの乗り降りや大きな荷物の出し入れが容易に行える幅とします。   利用者に合わせて開放時間を延長できる操作ボタンを設けます。 子どもや高齢者、車いすやベビーカー、台車などが安全に通過できる装置(感知器)を設けます。 48ページ  操作盤 操作ボタン、乗り場ボタン ボタンは、手の甲やひじでも押すことができる大きなものとし、わかりやすく表示します。   設置位置や高さは、すべての人の手が届くようにします。   操作盤には点字や拡大文字による表示を行います。  情報 音声 音響案内、昇降方向や文字表示などの情報サインを設けるとともに、緊急連絡のための情報機器を設けます。  誘導   線状ブロックによりエレベーターまで誘導するとともに、乗降ロビーの乗り場ボタン前へ点状ブロックを設けます。   他の乗降者とぶつからないよう、昇降路出入口前には誘導用ブロックを設けないようにします。  その他   内部で車いすの転回ができないものは、出入口を確認するための鏡を設けます。   内部に手すりを設け、必要に応じて腰掛などの設備を設けます。 建物床とエレベーター床との隙間は、車いすのキャスターや杖などが挟まらない幅とし、段差はできるだけ少なくなるよう、点検調整を行います。  エスカレーター  形状   安全な乗り降りができるよう、水平部分のステップを複数枚設けます。  手すり 移動手すりは、乗り口と降り口の水平部分に設け、固定手すりは乗降場のステップの前後に設けます。 移動手すりの色が引き立つよう、周囲の色と輝度比を確保し、視力の弱い人でも安全に利用できるようにします。  情報 上端及び下端付近には、進入可否の表示や音声 音響案内などの情報サインを設けます。  誘導 線状ブロックによりエスカレーターまで誘導するとともに、乗りくちには点状ブロックを設けます。また、音声 音響案内などを併設し利用者の安全を確保します。 注釈 輝度比:輝度(カンデラパー平方メートル)とは、発光体の単位面積当たりの明るさ(発散する光の量)のこと。輝度比は、2つの材料の輝度の比。 49ページ 配慮事項  共通項目  その他   乗り降りの動線上には、ごみ箱や灰皿、看板などを置かないようにしましょう。  エレベーター  構造   動線上効果的な場合には、2方向出入口を設けましょう。  室内の大きさ   必要に応じて、ストレッチャーや担架で水平に運ぶことができるものとしましょう。  扉 子どもや高齢者、車いすやベビーカー、台車などが安全に通過できる装置(感知器)と併せて、乗り込みくち付近から利用者を感知する装置を設けましょう。  操作盤 操作ボタン   点字を読めない人にもわかるよう、点字と浮き出し文字の両方で表示を行いましょう。 操作ボタンの位置や表示を、触って確認することもあるため、ボタンの感知方式はタッチ式ではなく、押しボタン式としましょう。   浮き出し文字は、色を目立つようにしてわかりやすくしましょう。   行き先ボタンを間違えて押した場合のキャンセル機能を備えましょう。  情報 2方向出入口とした場合は扉の開く方向がわかるよう、停止階ごとに音声及び表示で案内しましょう。  誘導 建物の用途、規模などから効果が大きい場合には、乗降ロビーへ触知案内図を設けましょう。    注釈1 ストレッチャー:負傷者などを運ぶ車輪のついた移動用寝台。  注釈2 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 50ページ  防犯 必要に応じて、外部からの視認性を確保するため、扉にガラス窓を設けたり、シースルータイプとしましょう。  エスカレーター  運転速度   必要に応じて、低速に変えられる機能を備えましょう。  参考:社団法人 日本エレベーター協会標準仕様 注釈 シースルータイプ:内部が透けて見える型式。 51ページ 1 移動空間 12 スロープ UDデータは106ページにあります。  段差の移動を楽にするスロープ   長さ、勾配、前後の安全性などに配慮して設けます。 基本事項  位置   建物のアプローチに設ける場合は、主要な出入口に近いところに設けます。   スロープと階段を併設する場合は、出来るだけ近くに設けます。   延長が長くならないよう、できるだけ高低差が小さい場所に設けます。  形状   直線または折返しの直線形状とします。   ゆとりある幅とゆるやかな勾配とします。   横断勾配は出来るだけ緩やかな勾配とします。   終始点は、飛び出し防止のために平坦スペースを設けます。   高低差が大きくスロープが長くなる場合は、途中に平坦部を設けます。   車いすの脱輪防止のため、スロープの両側に立ち上がりを設けます。  床(路面)仕上げ   色は、他の通路や踊り場と輝度比を大きくします。   上端、下端に接する平坦部には点状ブロックを設けます。  手すり   両側に手すりを設けます。   幅の広いスロープは中間にも手すりを設けます。  明るさ   足下が良く見えるように、自然採光や照明装置で明るさを確保します。 52ページ 配慮事項  位置   スロープを利用しにくい人もいるので、階段を併設しましょう。  形状   車いす使用者同士が容易にすれ違える幅員を確保しましょう。 和室などの室内に段差を設ける場合は、簡易スロープなどで段差を解消できるようにしましょう。   屋外のスロープには屋根を設けましょう。  サイン   スロープの設置位置がわかりにくい場合は、誘導用サインを設けましょう。  積雪地域 屋外での材料は凍害の影響を受けないものを選定し、融雪装置を設けましょう。除雪を必要とする場合は雪溜めスペースを設けましょう。 53ページ 1 移動空間 13 手すり  UDデータは107ページにあります。 移動を補助する手すり   手すりは、お年寄り、目の不自由なかた、子どもなどの移動や立ち座り動作の補助、あるいは転倒や転落防止などのためにも必要です。また、連続して設置することで目の不自由なかたの誘導案内にも利用できます。   基本事項  移動用手すり   仕様    体重を上からかける場合がほとんどなので、ある程度太いものをしっかりと取りつ    けます。    たんぶは、袖などが引っ掛からないように壁面側又は下方に曲げます。    できる限り連続して設け、設備機器や点検扉などで分断されないようにします。    壁の色と見分けやすい色とします。   設置方法    壁との隙間は、手が擦れない程度を確保し、握りながら移動できるように留め方に注意します。    設置高さは、一般的に足の付け根の高さとし、2段の場合は下の手すりにも体重をかけられるよう、上の手すりより廊下側に出して設けます。    転落の危険がある場所に設ける場合は、転落防止に配慮します。   材質    設置する場所(屋外・屋内)に応じた耐久性や耐食性があるものとし、材質は触った時の感触や握りやすさを重視します。   点字サイン    必要に応じて行き先、到達地点を点字で案内し、2段手すりの場合は両方に設けます。    点字にはその内容を文字で併記します。    点字は自然に指が触る位置に設けます。  立ち座り用手すり   仕様    しっかりと握れるよう、移動用よりもけいを細くします。 54ページ 配慮事項  設置方法   移動用手すりは、通路の両側に2段の手すりを設けましょう。   扉の開け閉めなど動作が伴う場所には、必要に応じて垂直手すりを設けましょう。  海岸地域   金属製の場合は錆による腐食に注意しましょう。 55ページ 2 利用空間  利用空間とは、ある目的を果たすために一定時間活動したり、活動によって疲れたこころや体を休めたりするスペースのことです。  すべての人が、安全で快適に目的を果たせるよう、利用者の特性を把握し、そのスペースに必要な要素を十分に検討する必要があります。  ここでは、利用空間におけるユニバーサルデザインの実現に向け14のテーマを掲げ、各テーマの特性や様々な活動方法に応じた工夫、考え方を整理しています。 共通事項 56ページ、1 トイレ・洗面所 57ページ、2 みんなのトイレ 59ページ、3 更衣室・シャワー室 61ページ、4 浴室 62ページ、5 宿泊施設の客室等 63ページ、6 観覧席・客席 65ページ、7 受付カウンター・水飲み場・公衆電話 66ページ、8 授乳室等 68ページ、9 券売機・自動販売機・家具 69ページ、10 操作ボタン・スイッチ等 71ページ、11 プール 72ページ、12 公園 73ページ、13 屋外休憩施設 75ページ、14 バス停留所 76ページ 56ページ 2 利用空間 共通事項  人の行動を考え、快適で美しく、さりげなくデザインされた利用空間   すべての人が動きやすく、快適性や美しさも備えた空間をデザインします。 基本事項  利用者のこころへの配慮   休憩室や公園はくつろげる空間、宿泊室は落ち着ける空間、執務室は集中できる空間、相談室は話しやすい空間など、それぞれの利用空間の目的や、利用する人の気持ちを考えた、広さや照明などを設け、心を安らげるようにします。   また、衛生面にも配慮し、清掃などにも気を配り、気持ちよく使用できるようにします。  動作の正確さ   人は必ずミスをするものという前提から、正確な動作を促すよう、わかりやすくし、どこに何があるのかが一目でわかるデザインに心掛け、ミスを起こした場合の対応を考慮し、併せて安全性も確保します。  動作の範囲   大人と子どもでは動作の範囲が異なるように、必要な寸法や最適な寸法にも幅があるので、すべての人の動作範囲に対応できるデザインや、介護スペースを設けるなどの工夫をします。  動作の速度   各人のペースで判断したり、動作ができるスペースをつくります。  動作の安定性   手すりや、体を支える台などを設け、動作の安定、ケガの防止に努めます。  わかりやすいサイン   目的場所へ迷わずに行けるよう、絵柄や色、浮き出し文字、点字、音声などにより、   わかりやすいサインを設け、途切れないように誘導します。  たばこ対策   健康増進法に基づき、受動喫煙を防止する観点から、喫煙室等を設け分煙対策を講じます。  床、路面等   濡れても滑りにくい材料、または仕上げとします。    配慮事項  たばこ対策   建物内は全面禁煙にしましょう。 57ページ 2 利用空間 1 トイレ、洗面所   UDデータは108ページにあります。  ゆとりのある様々なタイプのトイレ 動作の多様性に対応でき、不自由さを感じない、快適で衛生的な空間となるよう、細やかな心遣いを施します。人によって動作に違いがあるため、その人にとっていちばん使いやすいトイレを選択できるよう計画します。  基本事項  位置、形態など   わかりやすい場所に設けます。   サインなどにより適切に誘導します。   安全で安心して利用できるよう、適切な明るさを確保します。   車いすやベビーカーでも利用しやすいよう、スペースにゆとりを持たせます。  数量 建物用途等による利用者数に応じたトイレの数とします。  トイレブース内   扉は、未使用時には常時開放または使用状態を確認できるようにします。   扉の錠は、容易に操作ができ、非常時に外部から解錠できるようにします。   大きめの汚物入れ、荷物置き、上着掛け、ワンハンドカット式 のペーパーホルダーなどを設けます。   立ち座り動作を補助するための手すりを設けます。  小便器   体を支えるための手すり付きの小便器を設け、背後に十分なスペースを確保します。   身長にかかわらず利用できるよう、ストール式または低リップ式の小便器とします。  洗面所   荷物を置いたり、杖を立てて置いたりできるスペースを設けます。   洗面台の下部には車いすの足下やいすが入る空間を確保し、必要に応じて車いすを引き寄せるための手すりやキックプレートを設けます。   鏡は、すべての人の目線の高さに配慮し、平面状の大きなものを設けます。   水栓は、操作が容易なもの(自動水栓式、レバーハンドル式など)とします。 注釈1 ワンハンドカット式:紙切り板を押さえなくても、片手だけで紙を切ることができるトイレットペーパーホルダーの方式。 注釈2 ストール式:床置きタイプの小便器。 注釈3 低リップ式:子供から大人まで無理なく使用できるよう、前方に張り出した受け部分が低い位置になっている小便器。 注釈4 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するために設置する保護材。 58ページ 配慮事項  位置、形態など   触知案内図でトイレ内部の空間構成がわかるようにしましょう。  パウダーコーナー   必要に応じて、化粧直しや歯磨きができるパウダーコーナーを設けましょう。  トイレブース内   乳幼児を固定するベビーチェアを設けましょう。   温水洗浄機能付きや暖房便座としましょう。  床や壁などの仕上げ   清潔さを保つため、汚れのつきにくく掃除がしやすい材料とし、特に床材は滑りにくさも考慮し材質を選定しましょう。  女性トイレ   必要に応じて、男児用の小便器を設けましょう。  設備   洗面台は子供用も併設しましょう。   男女問わず、子供用トイレを設けましょう。   洋式トイレと和式トイレを併設しましょう。  おむつ交換など   乳幼児のためのおむつ交換や、荷物置きに利用できるベビーベッドなどを設けましょう。 注釈 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 59ページ 2 利用空間 2 みんなのトイレ  UDデータは109ページにあります。  すべての人が使いやすいみんなのトイレ 車いすでの使用が可能なトイレは、他のトイレと隣接した配置とし、すべての人が使える共用型・みんなのトイレとし、使い方を検討しながら、必要な設備を使いやすい位置に設けます。 基本事項  位置、形態   利用者と異性の介助者が一緒に入れるように配置します。   車いすの転回が容易にできる大きさとします。   床には段差を設けず、濡れても滑りにくい材料を選定します。   便器は、正面からアプローチができ、左右どちらからでも乗り移ることができる位置に設けます。  出入口扉   引き戸とします。   外部から使用中か空室かの確認ができるようにします。  手すり   便器の両側に垂直と水平に設け、片側は可動式とします。  ベビーチェア、ベビーベッドなど   乳幼児を固定するベビーチェアを設けます。   おむつ交換を行うためのベビーベッドなどを設けます。  設備   便器は洋式とし、温水洗浄機能付きや、寒い場所では暖房便座とします。   水洗は、大型のレバー式や自動感知式とします。   非常用よびだしボタンは、腰掛けた状態や転倒した場合でも利用できる 位置に設けます。   荷物置きや、ワンハンドカット式のペーパーホルダーなどを設けます。   鏡は、すべての人の目線の高さに配慮し、平面状の大きなものとします。   オストメイトが利用しやすいよう洗浄設備は大きめの物とし、ドアに表示サインを設置します。   上着かけのフックなどは、使いやすい高さに設けます。 注釈1 ワンハンドカット式:紙切り板を押さえなくても、片手だけで紙を切ることができるトイレットペーパーホルダーの方式。 注釈2 オストメイト:直腸がんや膀胱がんなどが原因で臓器に機能障害を負い手術によって人口肛門や人口膀胱をぞうせつした人。(国内には約20〜30万人いるといわれている) 60ページ  サイン   ピクトグラム(図記号)などにより、わかりやすく表示します。    配慮事項  出入口扉   電動扉(横引き)としましょう。  設備   洗浄ボタンや非常用呼び出しボタンが区別できるよう、点字や浮き出し文字による表示を設けましょう。   施設の照明は、種類に応じ、じん感センサー式としましょう。   パウチなどの洗浄が可能な設備を設ける場合は、立った姿勢でも洗浄が可能な高さに設け、温水機能が付いたシャワー式水栓としましょう。   誤った利用を防止するために、設備の操作方法や設置目的を表示しましょう。   重度障害者が利用しやすいよう、おむつ交換や着替えなどもできる大きなベッドか、または折りたたみ式の多目的シートを設けましょう。   暖房設備を設けましょう。   必要に応じて靴を脱いで着替えができるスペースを設けましょう。 注釈1 ピクトグラム:文字が変わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 注釈2 パウチ:かつやくきんがなく便意や尿意を感じたり、我慢することができないオストメイトが便や尿を溜めておくために腹部に装着する袋。 61ページ 2 利用空間 3 更衣室、シャワー室  UDデータは110ページにあります ゆとりある更衣室、シャワー室 清潔で快適に使用できるとともに、更衣の際のプライバシーが確保できるようにします。 基本事項    更衣室   車いすの転回が容易にできるスペースを確保し、下部に車いすの足下が入る空間を備えた更衣棚を設けます。   着替え用のべンチを設けます。  シャワー室   スポーツ施設などのシャワー室では、車いす使用者も利用できるブースを設け、シャワー専用くるまいすを用意します。   車いすの転回が容易にできるよう、広めの空間を確保します。   水栓は、強い力の要らない使いやすいものとし、車いす使用者も使いやすい高さに取り付けます。   シャワーフックは、複数の高さのものや、高さを変えることのできる縦スライド式のものを用意します。  手すり   できる限り連続した手すりを設け、出入ロから更衣室、シャワー室へと誘導し、更衣室、シャワー室にも手すりを設けます。  床の仕上げ   ざいによる使用を考慮し、肌ざわりが良く、滑りにくいものを選定します。 配慮事項  ゆとりのある空間   更衣室は、ベンチのある広めの空間を確保しましょう。  シャワー室内の棚   シャンプーなどを置く棚のほかに、衣類、バスタオルなどを濡れないで置くことのできる棚、カゴ、フックなどを設けましょう。  男女共用型の更衣室、シャワー室   利用者と家族などの異性の介助者が一緒に、ハイレルよう、プライバシーに配慮した男女共用が可能な更衣室、シャワー室を設けましょう。 62ページ 2 利用空間 4 浴室  UDデータは111ページにあります  安心してゆっくり使える浴室   転倒や温熱環境の変化による体調急変を招かないよう、安全に安心して利用できることはもとより、リラックスして、リフレッシュできる空間とします。 基本事項  床   廊下と脱衣室及び浴室へは段差をなくし、仕上げや色で区別します。   脱衣室は、素足でも冷たく感じないものとします。   座いによる使用を考慮し、肌ざわりが良く、滑りにくいものを選定します。  浴槽   浴槽に座って ハイレルよう、腰掛け台や動作補助のための手すりを設けます。  水栓   温度調節が容易にできるものとし、レバー式水栓とします。  シャワーフック   複数の高さのものや、高さを変えることのできる縦スライド式のものを用意します。  手すり   浴室への出入り、浴室内の歩行、浴槽への出入り、入浴中の体の安定のための手すりを設けます。  出入口   小さな力で開閉ができる引き戸とします。 63ページ 2 利用空間 5 宿泊施設の客室等  UDデータは112ページにあります。  使いやすく快適で居心地の良い客室   研修所などの宿泊室は、睡眠、休息、入浴、トイレなど生活のためのあらゆる動作が行われることを考慮し、また、できるだけ多くの客室を車いす使用者が利用できる仕様とします。 基本事項 宿泊室の大きさ、仕様   利用者のニーズを把握し、大きさや仕様を決定します。  浴室   扉は軽量な引き戸とし、車いすから浴槽に乗り移るための台を用意します。  ベッド廻り   ヘッドボードは、寄りかかりやすい高さとし、ベッドの下部には、車いすのフットレストが入るスペースを確保します。   ベッドサイドは、車いすが転回できるスペースを確保します。   ベッドは、使いやすい高さとします。  照明   プライベートな空間にふさわしい演出を施し、安全で快適な照度を確保します。  床   付属の浴室やトイレへの段差をなくします。  手すり   部屋の中で移動がしやすいように手すりを設けます。 配慮事項  設備機器など   利用者が使いやすい方を選択できるよう、設備機器やベッドなどの位置は左右両側から利用できるように配置しましょう。   必要に応じて、フロントとの筆談装置、電動式ベッドを設けましょう。   身体障害者補助けん法に基づき、補助けん(盲導犬、介助けん、聴導犬)に対応できるようにしましょう。   触知案内図で部屋の空間構成がわかるようにしましょう。   火災報知器が作動したときや来客者があったときに、利用者に光で知らせる装置を設置しましょう。    注釈1 身体障害者ほじょけんほう:平成14年10月1日に施行され、公共的施設や公共交通機関などを利用する場合、ほじょけんの同伴が可能となった。 注釈2 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 64ページ  家具   車いす使用者も利用しやすいよう、下部に車いすの入る空間を確保しましょう。   家具は前面をそろえて配置し、クローゼットなどはできるだけ引き戸としましょう。 65ページ 2 利用空間 6 観覧席、客席   UDデータは113ページにあります。   すべての人が楽しめる観覧席、客席 劇場は、観客席すべてからステージがよく見えるようにし、また、客席はスロープや段床との段差による危険を防止し、すべての人が快適に選択して利用できるようにします。 基本事項  座席   通路側の座席の肘掛けは、跳ね上げ式とします。  スロープ   出入口から車いす対応の客席、ステージまでの経路に高低差がある場合は、スロープを設けます。  車いす対応の客席スペース   出入口から段差なく到達できる場所で、避難がしやすくステージが見やすい位置とします。   車いす使用者が、自由に場所を選択できるよう、客席スペースを複数設けるとともに、   そのための通路幅員も確保します。   転倒防止のため、手すり、ストッパー、キックプレートを設けるとともに、介護者用座席を隣接して設けます。  ステージ、楽屋 段差解消機の設置を含め、ステージと客席、楽屋間の移動については、車いすでの移動を可能とします。  手すり   安全で楽に移動できるよう、場内の必要な箇所に設けます。  照明(誘導)設備   暗くした場合でも段ばなが視認できるよう、発光体にするか足元灯を設けます。  聴覚障害者用情報伝達システム   必要に応じて、補聴援助システム(磁気誘導ループ式、赤外線式、FM補聴装置など) を設けます。 配慮事項  家族室   個室の観覧席を設けましょう。 注釈1 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するための保護材。 注釈2 段鼻:階段の段の先端。 注釈3 磁気誘導ループ式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を床下の導線(磁気ループ)へ流してループ内に信号磁界を発生させ、補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くもの。 注釈4 赤外線式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を赤外線アンプ、赤外線ラジエターをとおして赤外線で送信し、赤外線レシーバーと補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くことができるもの。 注釈5 FM補聴装置:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号をFM波で送信し、補聴器(FM受信機を内蔵のもの)などで音を聞くことができる装置。 66ページ 2 利用空間 7 受付カウンター、水飲み場、公衆電話   UDデータは114ページにあります。   自然な姿勢で使用できる受付カウンターなど 子ども、車いす使用者、杖などを使用している人なども利用しやすいよう、高さや構造を工夫します。 基本事項  共通事項   受付カウンターなどの形式    子どもや車いす使用者も利用しやすいよう、高さの低いものと高いものを併設または近接して設けることとし、施設の利用形態に応じては、高さの低いものを単独で設置することも検討します。    カウンターなどには荷物やメモ帳を置くスペースを設けます。   高さの低いざいカウンターなどの形状    下部には車いすの足下やいすが入る空間を確保し、必要に応じて、車いすを引き寄せるための手すりやキックプレートを設けます。  受付カウンター   高さの高い りついカウンターの形状    固定し、身体を支えやすい形状とし、必要に応じて、手すりを設けます。   カウンターへの誘導    りついと、ざいの併設タイプにおいて、視覚障害者を誘導用ブロックで誘導する場合は、りついカウンター側に誘導します。  水飲み場    車いす使用者が横向きまたは前向きで使用できるよう、周囲に有効なスペースを確保します。    水栓の操作方法は、じんかんセンサー式、ボタン式又はレバー式の中から、施設の利用形態に応じて選定します。また、足踏み式水飲みの併設も検討します。 注釈 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するための保護材。 67ページ  公衆電話   電話機    点字表示付きの電話機を設置します。    音声を大きくできる機能付きの電話機を設置し、わかりやすい位置にその旨を表示します。   電話ボックス    出入口は車いす使用者も出入りしやすいよう、幅を広くし、段差を設けないようにします。 配慮事項  受付カウンター    受付員が不在となりやすい場合は、呼び出しチャイムをわかりやすい場所に設けましょう。    口頭による案内にとどまらず、目的の場所まで誘導できる体制を整えましょう。    聴覚障害者とやり取りがしやすいよう、文字盤、筆談用の道具を用意し、机のサイズにも工夫しましょう。    必要に応じて、手話のできる職員を配置しましょう。  水飲み場    必要に応じて、近くに手洗いを設けましょう。  公衆電話    必要に応じて、電話機に隣接してファックスを設けましょう。 68ページ 2 利用空間 8 授乳室等   使いやすく、プライバシーを確保できる授乳室等    乳児を連れた人が利用する施設では、授乳や乳児の着替えの場所・各種設備などを設けます。また、男女とも利用しやすいように、母乳を与える女性のプライバシーを確保します。 基本事項   設置    授乳やおむつ交換のできる場所をわかりやすい場所に設け、サインなどにより適切に誘導します。    ゆわかし しつなどに隣接して設けたり、湯沸かし設備のある和室(警備員室)などを利用する方法も考えられます。    施設の用途に応じて、部屋数や広さを決定します。    プライバシーを確保するため、授乳室は個室とするか、母乳を与えるスペースを別室とします。   設備・備品など    授乳やおむつ交換を行うためのベビーベッド、椅子、畳スペースなどを設けます。    施設の用途に応じて、適正なベビーベットや椅子の数、畳スペースの広さを決定します。    瞬間湯わかしき、電気ポット、流し台、ごみ箱、おむつ等を捨てるための大きめの汚物入れなどを設けます。    ベビーベッドの柵は、子どもが足を掛けて落下しないよう縦格子とします。    格子の間隔は子どもが落下せず、頭部や手足を挟むことのない寸法とします。    冬季や夏季でも快適に利用できるよう、冷暖房設備を設けます。   荷物置き場    荷物を置くスペースを確保します。 配慮事項   照明    利用状況に応じ、常時点灯させるか、じんかんセンサー式としましょう。 69ページ 2 利用空間 9 券売機・自動販売機、家具   UDデータは115ページにあります。   すべての人が使いやすい券売機・自動販売機、家具    大人や子ども、高齢者、車いすの使用者など、すべての人が安全で簡単に使えるようにします。 基本事項  券売機・自動販売機   設置    わかりやすい場所に設け、サインなどにより適切に誘導します。   スペースの確保    車いす使用者が横向きまたは前向きで使用できるよう、手前に有効なスペースを確保します。   金銭投入ぐち、ボタンなど    金銭投入ぐち、選択ボタンやとりだしぐちなどは、車いす使用者や子どもなども利用しやすい高さや形態とします。    選択ボタンには、点字を併記します。    タッチパネル式券売機では、ボタン式テンキー、音声案内を設けます。    駅舎などでは、券売機横に点字運賃表を設け、点字ボタンの料金表示は、周囲との明度差を大きくします。  家具   操作性    高い棚は、棚を有効に利用できるよう、下げられる工夫をし、低い収納は使いやすいよう、引き出して上から使用する形態とします。    使いやすい場所に、収納高さが低く、引き出しやすい取っ手やキャスター付きのワゴンなどを取り付けます。    施設の利用形態に応じて、高さや構造を工夫します。   安全性    家具は角を丸くし、凹凸を少なくします。 注釈1 タッチパネル式:表示された文字や絵に指で触れるだけでコンピューターを操作できる方式。 注釈2 テンキー:0から9までの数字と+や−など、四則演算のキーがひとかたまりになった入力装置 70ページ   いす    立ち上がりに便利なひじ掛け付きとし、立ち上がりが楽な高さや固さとします。   机、テーブル    車いすでも利用しやすい形状とします。   ショーケース・陳列棚    車いす使用者や子どもなどにも商品が選びやすい高さや形状とします。   流し台    水栓は強い力を必要としないものとし、車いす使用者にも使いやすい高さとします。    例 シングルレバー式など    下部には車いすの足下やいすが入る空間を確保し、必要に応じて、車いすを引き寄せるための手すりやキックプレートを設けます。 配慮事項  家具   動作への配慮    移動のしやすさを考慮し、手すりやキャスター付きとしましょう。 注釈1 シングルレバー式:水の出し止め、水量、温度調節が1本のレバーハンドルで行える水栓 注釈2 キックプレート:廊下等で車いすが壁に衝突した際、壁の破損や利用者の怪我を防止するための保護材。 71ページ 2 利用空間 10 操作ボタン スイッチ等   UDデータは116ページにあります。   簡単でわかりやすい操作ボタン スイッチ等 手荷物をもっている状況でも間違わずに簡単に操作できるよう、取り付け位置、スイッチなどの形状や大きさなどを工夫し、どのような状況においても間違わずに簡単に操作できるようにします。 基本事項   スイッチ類    大型で操作性の高いものとし、暗い場所でもわかるパイロットランプ付きとします。    子どもや車いす使用者の利用を考慮し、低めの位置に設けます。    空調機のスイッチなどは、ダイヤル式などの指先に力が必要なものを避けます。   コンセント類    差込頻度の高いコンセントは、高めの位置に設けます。   非常用ボタン    わかりやすく、子どもや車いす使用者にも操作のしやすい位置に設けます。   表示(サイン)    スイッチなどの表示は、判別しやすいよう大きな文字とし、できる限り、点字・浮き出し文字とします。    非常用ボタンの表示は、ひらがなやピクトグラム(図記号)等により、非常時に誰にでもわかりやすく統一された表示に心掛けます。    スイッチの種類に応じて、動作状態の表示を行います。 配慮事項   スイッチ類    しつの種類に応じて、じんかんセンサー式としましょう。   コンセント類    室内の使用状況に応じて、コンセントの数、設置位置、可変性を検討し、引き抜け防止機能を設けましょう。  注釈:ピクトグラム:文字に変わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 72ページ 2 利用空間 11 プール   すべての人が安全に快適に利用できるプール 競技用などの関係機関の基準に支障の無い範囲で、スロープや緩やかな手すり付きの階段、簡易リフトなどを設け、高齢者、子ども、車いす使用者なども安全に利用できるようにします。 基本事項   プールへの昇降    脚力の衰えた高齢者や子ども、車いす使用者なども利用しやすいよう、スロープや緩やかな手すり付きの階段、簡易リフトなどを設けます。   プールサイド    車いす使用者なども十分にすれ違えるスペースを確保します。    肌ざわりが良く、滑りにくい安全性を考慮した仕上げとします。   目洗い    車いす使用者や子どもなども利用しやすいよう、低い位置にも設けます。    車いす使用者も利用しやすいよう、カウンターしたに車いすの足下が入る空間を確保します。   表示(サイン)    プール内やプールサイドでの危険な行為を防止するため、必要に応じて、注意喚起表示を行います。 73ページ 2 利用空間 12 公園 UDデータブックは117ページにあります。 自然、安らぎと潤いを感じられる公園  すべての人が自然に触れ、心安らぐいやしの空間となるよう演出します。また、草花、樹木、小動物、鳥、虫、魚、にもやさしい場所とします。 基本事項  設置    必要に応じて休憩施設、遊具、トイレ、水飲み場、照明施設などを設けます。  遊具    遊具は、安全でわかりやすく、使いやすいものとします。    遊具の基礎などは、露出しても安全なよう、基礎部分や危険が考えられる部位をゴムシートなどで保護します。  自然条件   その土地の地勢、気候、植生などを十分に調査し、その特性を生かした公園づくりを行います。  住民参加の計画    利用者が計画段階から主体的に係わり、「私たちの公園」という意識を高める仕掛けをつくります。    各施設の配置については、利用者や地域住民とのグランドワーク等の結果をできる限り反映します。  草花や水辺とのふれあい    すべての人が草花や水辺に近づけるよう工夫します。    例)できるだけ平らな場所にレイズドベッドなどを設けます。  植栽    葉、花、根などが有毒でないものを選定します。    すべての人が楽しめる公園とするため、必要に応じて、     1 香りのある樹木や草花を採用します。     2 聴覚により自然の多様さと安らぎを感じられるよう、鳥(食餌木)や虫が集まり、様々な音を楽しめる場をつくります。 注釈1 グランドワーク:地域住民、行政、企業の3者が協力して組織をつくり、自らが汗を流して地域の環境を改善していく活動。 注釈2 レイズドベッド:車いす使用者でも容易に草花や水に触れることのできる植栽桝や花壇、池などのこと。 74ページ 配慮事項  舗装材 できる限り材質を統一し、自然素材を使用しましょう。また、ほろを板張りなどにし、杖などの反響音を有効な情報とすることも検討しましょう。  案内板、地図    広い公園では案内板・地図、方向指示板などを分かりやすい位置に設けましょう。  植栽    特徴のある樹種は目印として有効なため、必要に応じて活用しましょう。    地形の高低差を利用して配置しましょう。 75ページ 2 利用空間 13 屋外休憩施設 UDデータは119ページにあります。 利用しやすく、安らげる休憩施設  利用方法がわかりやすく、安らげる空間を創出します。 基本事項  設置    歩道、通路、公園などには、必要に応じてベンチを設け、景観に調和したものとします。    ベンチなどは、歩行者動線上を避けて設けます。 配慮事項  休憩施設    強い日射しを遮るよう、木陰などを設けましょう。    水飲み場、照明などの設置を検討しましょう。    雨天や雪の時にも休憩施設を利用できるように屋根を設けましょう。    すべての人が利用しやすいよう、利用者の行動を想定し、形状や材質を検討しましょう。    背もたれや肘掛けは、周辺状況等に応じて設けましょう。 76ページ 2 利用空間 14 バス停留所 UDデータは120ページにあります。 安全で乗降しやすいバス停留所  ベンチや上屋などを設けるとともに、安全に利用できるよう誘導用ブロックや防護柵を設けます。 基本事項  停車帯    他の走行車両の妨げにならないようにバスの停車帯を確保します。  構造    できるだけ平坦な構造にします。 ノンステップバスやワンステップバス、既存のバスのすべてに対応できるよう、原則としてマウントアップ型とします。 現地の利用状況に応じて、バスベイ型、ストレート型などの形式を選定し、バスが正着できるようにします。  付属施設    誘導用ブロックを設けます。 配慮事項  上屋の構造    雨や雪、強い日差しなどに対処できるよう、上屋を設けましょう。    雪の吹き込みや凍結を防止するため、防雪、融雪施設を設けましょう。  防風(防雪)板    風や雨、雪などをしのげるように、防風(防雪)板を設けましょう。    防風(防雪)板は、歩道の有効幅員を確保し、通行や視界を妨げないように設け、周辺の景観に調和したものとしましょう。  支柱    標識柱や上屋の支柱は、歩道の有効幅員を確保し、通行を妨げないように設けましょう。  防護柵     必要に応じて防護柵を設け、防護柵は乗降部のみを開口部にしましょう。  照明    必要に応じて防犯及び事故防止対策のため、照明設備を設けましょう。  情報装置    点字板や音声案内装置、または電光表示板などを設けましょう。 注釈1 ノンステップバス:床面を超ていしょう構造として乗降ステップをなくしたバス。 注釈2 ワンステップバス:床面を超ていしょう構造として乗降ステップを1段としたバス。 注釈3 マウントアップ型:歩道面および縁石天端を車道面より高くした構造。 注釈4 バスベイ型:歩道に切込みを入れてバスの停留所を設ける型式。 注釈5 ストレート型:歩道の幅員を変えることなく、歩道側に停留所を設ける構造。 注釈6 正着:停留所において、バスと歩道との間隔が50センチメートル未満の状態。 77ページ 3 案内 誘導  案内 誘導とは、すべての人が安全でわかりやすく正確に施設を利用できるための各種案内サインや情報設備のことです。  直感的に理解でき、見る、聞く、触るなど複数の感覚を刺激する、運営面を含めた体系的な計画が必要です。  また、非常時には、人命に関わる重要な情報を、即時に、確実に、すべての人に伝わるようにしなければなりません。 ここでは、案内 誘導によるユニバーサルデザインの実現に向け4つのテーマを掲げ、各テーマの特性や様々な情報提供に応じた工夫、考え方を整理しています。 共通事項 78ページ、1 視覚情報サイン 80ページ、2 触覚情報サイン 83ページ、3 聴覚・嗅覚情報サイン 86ページ、4 非常時の情報設備 88ページ 78ページ 3 案内 誘導 共通事項  五感で感じることのできる案内 誘導計画   すべての人にわかりやすく情報を伝えるよう、よく使われる一般的なもので統一します。また、正確に情報を伝えるよう、複数の手法で、視覚や触覚、聴覚など、人の五感で感じることができるようにします。  基本事項   案内 誘導(サイン)計画の3つのキーワード    1 明解で美しいデザイン      単純で直感的に理解でき、美しいものにします。    2 体系化し連続して設置      個別の案内 誘導装置を目的別に体系化し、統一感を与え、連続させ、確実で安全な案内 誘導を行います。    3 複数の手法で情報を提供      見る、聞く、触るという複数の感覚を刺激する手法を用いて、より多くの人に情報を伝えます。また、案内 誘導の手法を検討する前に、わかりやすい動線とすることが先決です。   正確な情報伝達    日々変化する様々な情報を正確に伝えるため、常に表示内容を見直し、必要に応じて新しいものへ更新します。 注釈 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 79ページ 配慮事項  トータルなデザイン(案内 誘導装置間の連携) 災害時などの安全確保に重要な案内・誘導装置は、視覚、聴覚などにより正確で迅速に認識できるよう、体系的に計画しましょう。  五感を刺激する空間計画 廊下の交差部において天井高を変え、反響音の違いや水音で情報を伝えるなど、光 風音 色という環境要素を利用し、方位感 定位感のとりやすい空間をつくりましょう。  コミュニケーションであるという認識 案内 誘導装置は提供するだけのものが大半ですが、利用者の知りたい情報を双方向にやりとりができる装置は非常に有効です。特に、利用者にとって人による案内は最も安心できる手法であり、運営面(人的対応など)を含めてデザインしましょう。 80ページ 3 案内 誘導 1 視覚情報サイン  UDデータは121ページにあります。  直感的でわかりやすい視覚情報サイン   絵や写真などを用いてわかりやすく、美しく、体系的にデザインし、視覚機能の違いにかかわらず認識しやすいよう、色彩や照明なども工夫します。  基本事項   設置間隔(遠距離を誘導する場合) 見通しのよい直線部では、不慣れな利用者でも不安を感じない間隔で、その次のサインを設置します。 近すぎてもサイン同士が重なって見えにくくなるので、現場の見通しなどを考慮して適度な間隔とします。    認識しやすいよう、同内容の情報板や標識は、できるだけ統合し、一目でわかる配置とします。   高さ    つり下げがたまたは突出型のサインは、低い目線から見上げる際の角度を考慮し、また、サインに体が衝突しないような高さを確保します。    近距離で見るものは、低い目線からでも見えるよう、壁付型の上端や点字(縦型、傾斜型)を表示する場合の中心の高さを設定します。    目線の高さに近い位置に表示し、容易に判別できるようにします。   突き出しサインの位置    サインの上端を開口部の上端と合わせ、位置は進行方向に対して奥側を標準とします。   ピクトグラム(図記号)    利用者にとって理解し記憶しやすく、違和感のないものとします。    幅広い年齢層や外国人にも直感的にわかるよう、案内用図記号(ジスゼット8210)などを使用し、統一感を確保します。    図記号と図記号や矢印を組み合わせる場合は、基準となる枠を同じ寸法にします。 注釈1 ピクトグラム:文字に変わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 注釈2 ジスゼット8210:日本工業規格に制定されている案内用図記号。ジス規格の原案は、交通エコロジー モビリティ財団が定めた標準案内用図記号の125項目で、財団のホームページから取得できる。 81ページ    図記号の理解を深めるため、同じ視距離から読める大きさの和文などを併記します。   案内図    簡潔でコントラストに配慮した見やすいものとし、触知案内図の場合は点字を併記します。   使用する用語    できるだけ専門用語を使わず、誰が見てもわかるようにします。   大きさ    サイン本体、文字の大きさは、視覚機能の違いにかかわらず認識しやすい大きさとします。   書体    遠くから見る文字は、角ゴシック系で太めの書体とし、近くで見るものや抜き文字で表現する文字は、やや細めの書体とします。    文字の間隔(文章の場合を除く)は、サイン本体の大きさや文字の大きさなどにより、適度に空けるようにします。   色彩など    文字や図の色は、地の色との明度差を確保します。    サイン周辺は適切な明るさを確保し、まぶしさが生じないようにします。    避難経路などの重要事項については、わかりやすい色で明示します。   国際化への対応    必要に応じて英文などを併記します。   わかりやすい表記    必要に応じて、漢字にはふりがなやローマ字をつけるようにします。 注釈1 コントラスト:画像などの、明暗の差や色彩の対比。 注釈2 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 注釈3 明度差:明度は明るさの度合いで、0から10程度までの数値を使い、暗い色ほど数値が小さく、明るい色ほど数値が大きくなる。明度差とはこの数値の差をいう。 82ページ 配慮事項  色彩環境など   ジス規格で定められた安全色や交通機関での特定の意味を持つ色を使用しながら、統一感のある色彩計画を行いましょう。   暗い場所や光が反射して見にくい場所では、内照式のサインを使用しましょう。  設置時の立会い   設置する時は、利用者の参加を求め、見やすさやわかりやすさを原寸大の試作品で確認しましょう。  景観   近接する標識や周辺景観と調和させましょう。  国際化への対応   必要に応じて、英文と併せて英文以外の外国語も併記しましょう。 83ページ 3 案内 誘導 2 触覚情報サイン  UDデータは123ページにあります。  わかりやすく連続性のある触覚情報サイン   視覚障害者が安全で安心して、快適に利用できるよう、わかりやすく、連続性のあるものとし、また、視覚障害者誘導用ブロックだけでなく、触覚を刺激する様々な方法も併用し、情報を正確に伝達します。 基本事項 誘導の方法    以下のものが考えられます。    1 視覚障害者誘導用ブロック(線状ブロック、点状ブロック)    2 床材、路面(触感・足音の違い、少しの凹凸など)    3 手すり(点字サイン併用)    4 触知案内図   視覚障害者誘導用ブロック   共通事項    方向感覚をつかみやすいよう、斜め方向や曲線を避け、連続性や視認性を確保し、人的な対応ができる受付まで敷設します。    点状ブロックは線状ブロックの分岐部や屈曲部、継続的な移動に警告を発したり、注意を促す部分(横断歩道手前、地下横断歩道、横断歩道橋などの立体横断施設の出入口部、道路と敷地境界、階段やスロープの上下端、点字案内板、エレベーターの操作ボタン前、エスカレーター乗場前など)に設けます。    点状ブロックは、警告や注意喚起などの対象となる部分から一定の間隔を確保して敷設します。    視認性の高い黄色を原則とし、背景色との輝度比を確保し、連続性のあるものとします。    形状 寸法などはジスティー9251に規定されたものとします。    ゴム材などで弾性のあるものは認識しづらいため、硬質のものとします。    滑りにくい材質とします。 注釈1 視覚障害者誘導用ブロック:視覚障害者に対する誘導や段差の存在等の警告、注意喚起を行うために路面に敷設されるブロックで、線状ブロック、点状ブロックがある。本指針中、触覚情報サインの項目以外では誘導用ブロックと表記している。 注釈2 輝度比:輝度(カンデラパー平方メートル)とは、発光体の単位面積当たりの明るさ(発散する光の量)のこと。輝度比は、2つの材料の輝度の比。 注釈3 ジスティー9251:日本工業規格「視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状 寸法及びその配列」のことで、利用者が認知しやすく、車椅子や自転車、歩行者にも影響の少ないパターンが選定され、標準化されている。 84ページ  歩道   原則として、歩道の中心よりみんち側に設けます。   しゃろでは、手すりに沿って両側に設置します。なお、しゃろの幅が狭く車いすの通行に支障をきたすおそれがある場合は、片側のみとします。  建物内   人的対応の可否や用途により誘導が必要な部分を設定し、車いす、ベビーカーや買物カート、荷物運搬台車などの通行や高齢者の歩行に支障がないよう、敷設位置に注意を払います。   視覚障害者誘導用ブロックだけではなく、触感や足音の違う床材の採用、手すりによる誘導なども検討します。  点字サイン 触知案内図   一度に多くの情報を提供せず、優先順位の高い情報を提供します。   トイレなど、ある特定の目的地に正確に移動できるよう、触知案内図を設けます。 形状 寸法などはジスティー0921に規定されたものとします。 注釈1 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 注釈2 日本工業規格の高齢者障害者配慮設計指針、点字の表示原則及び点字表示方法、公共施設設備のことで、手すり、室、トイレ、エレベータ、自動販売機,自動サービス機などの点字の表示が標準化されている。 85ページ  配慮事項   視覚障害者誘導用ブロック   歩道    幅2メートル未満の歩道では、利用状況に応じて設けましょう。    他の道路管理者との調整が必要な場合は、設置位置などを協議し、連続性を確保しましょう。   建物内    出入口の幅に余裕がある場合には、片側に寄せ、視覚障害者誘導用ブロックを利用しない人との動線を区別しましょう。   積雪地域    積雪時においても十分に機能するよう、除雪や動線上に屋根をかけるなどし、必要に応じて消融雪施設を設けましょう。   触知案内図    点字専用とするのではなく、大きな文字で色彩にも工夫した、わかりやすい表示を行いましょう。 注釈1 触知案内図:配置図の線が浮き上がっており、手で線や形を触って目的地の確認を行うことができる案内図。 注釈2 ピクトグラム:文字に代わって事物や概念を伝える図形(絵文字)の総称。 86ページ 3 案内 誘導 3 聴覚 嗅覚情報サイン  情報コミュニケーションとしての聴覚 嗅覚情報サイン   視覚情報が得られない場合でも、一定の情報を得られるよう、必要に応じて情報コミュニケーションを導入します。 基本事項  音響誘導案内システムなど    方向や位置、サービス情報を音声により提供することが効果的な場所では、音声誘導案内システム、タッチ式音声案内システム、じんかん知式音声案内システムなどを設けます。    音声誘導案内システムは、施設の用途に応じて、建物内の設備機器から音声が流れるものや、視覚障害者が携行している受信機に音声メッセージを送信するものなどから選択し、音声がはっきりと聞き取れ、音声発生の場所がわかりやすいようにします。    出入口やトイレ入口では、必要に応じてチャイムなどの音響案内装置を設けます。  聴覚障害者用情報伝達システム    必要に応じて、誘導案内や会議室などには、補聴援助システム(磁気誘導ループ式、 赤外線式、エフエム補聴装置など)を設けます。 注釈1 磁気誘導ループ式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を床下の導線(磁気ループ)へ流してループ内に信号磁界を発生させ、補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くもの。 注釈2 赤外線式:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号を赤外線アンプ、赤外線ラジエターをとおして赤外線で送信し、赤外線レシーバーと補聴器(誘導コイル内蔵のもの)などで音を聞くことができるもの。 注釈3 エフエム補聴装置:入力音源(マイク、テープ等)からの音声信号をエフエム波で送信し、補聴器(エフエム受信機を内蔵のもの)などで音を聞くことができる装置。 87ページ  配慮事項   音による空間認知    いつも流れている音楽や水の音などにより空間を認知させる場合には、複数の音情報が氾濫しないよう、音量や音質、方向性に注意しましょう。   嗅覚による情報認知    廊下の曲がり角などに香りのある花を置いたり、階毎に違った香りを漂わせるなど、建物の用途によっては嗅覚による情報提供を行いましょう。   その他    情報認知を妨げないよう、他の設備や備品の配置に注意しましょう。 88ページ 3 案内 誘導 4 非常時の情報設備  UDデータは126ページにあります。  非常時に有効な情報設備  施設を利用しやすくすることをはじめ、非常時(地震、火災他)には、人命に関わる重要な情報が即時に、確実に、あらゆる人に伝わるようにします。    基本事項   地下横断歩道   非常警報設備    わかりやすい場所に、適切な間隔で配置し、高齢者、子ども、車いす使用者などにも利用しやすい高さに設けます。    非常警報設備は、音や光によるものとします。    これらの非常警報設備は、外部の人々にも情報を発信できるよう、設置場所を工夫したり、音声や光を外部に発信できるシステムとします。    設置場所がわかるよう、出入口や通路部に誘導用ブロックを設けます。   建物内   防災設備機器    避難誘導灯は、スピーカーや点滅装置を併設したものを使用します。   非常通報装置    みんなのトイレ、シャワー室、浴室など、利用者が一人で使用する部屋には、非常通報装置を設けます。   その他    アイティー技術を用いた情報機器類は、常に最新の情報を入手し、将来のシステム変更への対応や他のサインとの連携を考えて採用します。 注釈1 非常警報設備:ベルや回転灯などにより緊急事態の発生を外部へしらせる装置。 注釈2 非常通報設備:トイレや浴室などで体調が悪くなったときに、管理者へ   連絡する装置。 注釈3 アイティー:インフォメーションテクノロジー 情報技術の略。 89ページ  配慮事項   地下横断歩道   非常警報設備    外部からもわかりやすい場所に設けましょう。 防犯対策は、非常警報設備のみに頼らず、周辺住民の協力を含めて防犯体制を整えましょう。   建物内   防災設備機器    情報が伝わりにくい宿泊室などでは、光による警報装置やテレビ画面を使用した情報装置を設けましょう。   非常通報装置    人が倒れた場合にも操作ができる高さとし、操作しやすいものとしましょう。  情報ディスプレイ    非常時の警告や避難誘導などにも効果が高いため、施設の用途に応じたシステムをもうけましょう。    パソコンで作成した案内文をディスプレイに表示し、非常時には、正確で迅速な情報提供を行えるようなシステムとしましょう。    非常時には、案内放送だけでなく、目立つ点滅ランプなどで警告を発しましょう。 注釈 情報ディスプレイ:ブラウン管や液晶などを用いて、文字や図形などを視覚的に表示する出力装置。 90ページ 指針策定の経緯  ふくしま公共施設とうユニバーサルデザイン指針は、平成15年度、16年度の2ヵ年をかけて策定しました。  策定にあたっては、土木部内に土木部ユニバーサルデザイン検討推進チームというプロジェクトチームを設置し、さらにエヌピーオーと連携し、協働で作業を行いました。  また、各界の代表者とうで構成される、うつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議を設置し、指針の内容や事業全体に対する意見、助言等を求めることとしました。  平成15年度の作業は、まず、7月22日に第1回のうつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議 以下、UD会議といいます を開催しました。この会議では、ユニバーサルデザインの考え方や、事業の実施方法などについて議論が交わされ、平成15年度の事業の実施計画が決定されました。  実施計画では、様々な方法で多くの利用者の様々な意見を聴取するために、1 既存公共施設事例調査、2 県民意見、アイディア募集、3 まちなかインタビュー、4 ワークショップを実施しました。ワークショップでは、参加者が実際にまちかどに出かけ、様々な公共施設のチェックと、それに対する意見交換を行い、指針に対する提案がまとめられました。  意見数は、県民意見・アイディア募集で110、まちなかインタビューで157、ワークショップで323、出されました。  第2回UD会議は、9月1日に開催されています。この会議では、現状の課題やユニバーサルデザインの基本理念について議論され、指針全体の構成、指針作成の方針等についての意見をいただきました。  第3回のUD会議は、平成16年1月7日に開催され、事務局から事業の実施結果の報告がなされ、指針の素案について意見が交わされました。  平成15年度をしめくくる、第4回のUD会議は、平成16年3月15日に開催され、指針案と平成16年度の事業実施方針が決定されました。  平成16年度は、指針案の妥当性を検証するために、7月から10月にかけて、設計、施工ワークショップを開催し、1664の意見が寄せられました。  11月5日に行われた、第5回のUD会議では、ほぼ固まってきた指針案について、一般県民から意見を募集する、パブリックコメントの実施が決定されています。  パブリックコメントは、平成16年12月13日から平成17年1月13日までの1ヶ月間行われ、33の意見が寄せられました。  最後を締めくくる、第6回のUD会議は、平成17年2月9日に開催され、指針の最終案が決定されました。  そして、平成17年3月28日に、本指針の策定が完了しました。 91ページ うつくしま公共施設ユニバーサルデザイン会議委員名簿 敬称は省略させていただき、五十音順に紹介します。 市瀬幸男 福島県盲人協会県北 方部長 委嘱期間 平成15年から16年 伊藤美都子 公募委員 委嘱期間 平成15年 大矢一夫 福島交通株式会社取締役 委嘱期間 平成15年から16年 クリスリンマクファーソン 福島県国際交流員 ニュージーランド出身 委嘱期間 平成15年 斎藤ユミ 子育て支援グループ クゥラージュ 委嘱期間 平成15年 鈴木勇人 社団法人福島県建築士会会員 委嘱期間 平成15年から16年 高橋信子 福島県立医科大学看護学部講師 委嘱期間 平成十五年から十六年 ニコラブラゼンデール 福島県国際交流員 ニュージーランド出身 委嘱期間 平成16年 橋本弘子 福島県子育て子育ち環境づくり推進会議委員 委嘱期間 平成16年 副会長 濱田千恵子 エヌピーオー法人福島県シルバーサービス振興会理事 委嘱期間 平成15年から16年 会長 松井ひさのり 日本大学工学部助教授 委嘱期間 平成15年から16年 吉田京子 エヌピーオー法人遊遊クラブ代表 委嘱期間 平成16年 吉田精一 公募委員 福島県立美術館友の会事務局長 委嘱期間 平成15年から16年