第5次福島県障がい者計画 令和4年3月 福島県 【「障がい」の表記について】 県では、障害の「害」という漢字の表記について、平成16年9月に策定した「第2次福島県障がい者計画」から、「障がい」「障がい者」という表記に改めるとともに、可能なところから見直すこととしています。 【「障がい者」 及び「障がいのある方」等の表記について】 1 原則、人を表す言葉としては、「障がいのある方」と表記します。 2 名称等で「障がいのある方」と表記することが適当でない場合は、「障がい者」と表記します。 (例)障がい者スポーツ、障がい者施策 等 3 法律や条例等の名称、団体の名称、施設の名称、催し物の名称、行政の担当課の名称等の場合は、そのまま「障害者」と表記します。 (例)障害者虐待防止法、全国障害者スポーツ大会 等 目次 第1章 計画の基本的事項 第1 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 第2 計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 第3 計画の期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 第4 計画の基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 第5 計画の基本目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 第6 意見の反映 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 第7 進行管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 第2章 現状と課題 第1 本県の障がいのある方の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 第2 障がいのある方を取り巻く状況の変化 ・・・・・・・・・・・・ 14 第3 主な課題等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 第3章 施策推進の考え方 第1 計画の体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 第2 計画の推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 第3 SDGs (持続可能な開発目標)を踏まえた計画の推進 ・・・・・19 第4章 具体的な施策の内容 基本目標1 障がいのある方の地域生活への移行支援 1 生活支援 (1) 障害福祉サービスの充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 (2) 相談支援体制の構築 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 (3) 地域生活移行の促進・定着 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 2 保健・医療・福祉 (1) 保健・医療・福祉体制の充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 35 (2) 自殺対策及び被災者の心のケア対策の推進 ・・・・・・・・・・ 43 3 ライフステージに応じた障がいのある子どもへの支援 (1) 療育体制の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 (2) 障がいのある子どもへの教育的支援等 ・・・・・・・・・・・・ 49 基本目標2 障がいのある方が自立した生活を送るための支援 1 文化芸術・スポーツ活動の振興、社会参加の促進 (1) 障がいのある方の文化芸術活動への参加 ・・・・・・・・・・・ 57 (2) 障がい者スポーツの普及 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60 (3) 社会参加活動の充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62 2 雇用・就業、経済的自立の支援 (1) 障がい者雇用の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 (2) 福祉的就労の充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68 基本目標3 障がいのある方が活躍できる社会づく り 1 生活環境 (1) 外出、移動しやすい環境整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 72 (2) 福祉のまちづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75 2 障がいのある方のアクセシビリティの向上 (1) 障がいのある方の情報利用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79 (2) 意思疎通支援の充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82 (3) 行政等における配慮の定着 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85 基本目標4 障がいのある方にとって、安全・安心で差別のない社会づくり 1 安全・安心 (1) 防災対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 (2) 防犯対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92 (3) 消費者の安全確保の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93 2 差別の解消及び権利擁護の推進 (1) 障がいを理由とする差別解消の推進 ・・・・・・・・・・・・・ 94 (2) 虐待防止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96 (3) 理解促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97 〈参考資料〉 指標一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99 計画策定の経過 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102 第1章 計画の基本的事項 第1 計画策定の趣旨 福島県では、平成27年3月に「第4次福島県障がい者計画」を策定し、「障がいのある方の人権、人格が尊重され、等しく社会の一員として生活できる社会の実現」を目指して、障がいのある方の生活全般に係る保健・医療・福祉、社会参加の促進、教育、雇用・就業の支援、生活環境、差別の解消及び権利擁護の推進など幅広い分野に及ぶ施策を総合的に進めてきました。 この間、国では、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が平成28年4月に施行(令和3年6月に一部改正法が公布)され、「障害者の雇用の促進等に関する法律」や「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」 が一部改正されるなどの法整備が進められているほか、「障害者基本法」に基づく「第4次障害者基本計画」 が平成30年度から5年間の計画として示されています。 さらに、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(以下「障害者文化芸術活動推進法」という。)」が平成30年6月に施行、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(以下「読書バリアフリー法」という。)」が令和元年6月に施行されるなど、障がいのある方を取り巻く環境及び施策は大きく変化しています。 県では、平成31年4月に「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい福島県づくり条例」及び「福島県手話言語条例」を施行し、全ての県民が障がいの有無に関わらず、お互いに尊重しあいながら共に安心して暮らすことのできる社会 (共生社会) の実現を目指しています。 このような障がい者施策に関する様々な状況の変化を踏まえ、令和4年度を始期とした新たな計画「第5次福島県障がい者計画」を策定します。 第2 計画の位置付け 本計画は、「福島県総合計画」の部門別計画である「福島県保健医療福祉復興ビジョン」に連なる個別計画として位置付けられるとともに、障害者基本法第11条第2項において規定される都道府県障害者計画として、本県における障がい者施策の総合的かつ着実な進展を図るために策定する計画です。 また、障害者文化芸術活動推進法第8条に基づき策定する「障害者による文化芸術活動の推進に関する計画」及び読書バリアフリー法第8条に基づき策定する「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画」 としての性格も併せ持ちます。 【根拠法】障害者基本法 (障害者基本計画等) 第十一条 政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画 (以下「障害者基本計画」 という。 )を策定しなければならない。 2 都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「都道府県障害者計画」という。)を策定しなければならない。 総合計画 復興計画・ふくしま創生総合戦略 福島県保健医療福祉復興ビジョン 福島県地域福祉支援計画 個別計画 障がい者計画 第3 計画の期間 本計画の期間は、「福島県総合計画」及び「福島県保健医療福祉復興ビジョン」との整合を図るため、目標年度を合わせ、令和4年度から令和12年度までの9年間とします。 なお、計画期間内であっても、大きな制度改正、障がいのある方々を取り巻く社会情勢等の変化、施策の進捗状況等を踏まえて、必要に応じて柔軟に見直しを行うものとします。 第4 計画の基本理念 1 福島県が進める県づくりの理念 (1) 福島県総合計画 ○ 多様性に寛容で差別のない共に助け合う地域社会(県)づくり ○ 変化や危機にしなやかで強靱な地域社会(県)づくり ○ 魅力を見いだし育み伸ばす地域社会(県)づくり (2) 福島県保健医療福祉復興ビジョン ○ 全ての県民が心身ともに健康で、幸福を実感できる県づくり 2 計画の基本理念 「障がいのある方の人権、人格が尊重され、等しく社会の一員として生活できる社会の実現」 ~障がいのある方もない方も、ともに生きる社会を目指して~ 本県が進める県づくりの理念を基本とし、全ての県民が障がいの有無に関わらず、お互いに尊重し合いながら共に安心して暮らすことのできる社会(共生社会)の実現を目指します。 第5 計画の基本目標 1 障がいのある方の地域生活への移行支援 ○ 障がいのある方の意思を尊重し、本人が暮らしたいと望む地域において、地域社会の一員として自分らしい生活を実現させるための支援を行います。 2 障がいのある方が自立した生活を送るための支援 ○ 文化芸術活動やスポーツ等を通して社会参加の促進を図るとともに、障がいの特性や意欲に応じた就労の場の拡大など、自立した生活を送るための支援を行います。 3 障がいのある方が活躍できる社会づくり ○ 障がいのある方の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁の除去を進め、障がいのある方がその能力を発揮できるように施策を推進していきます。 4 障がいのある方にとって、安全・安心で差別のない社会づくり ○ 防災・防犯対策を推進するとともに、県民一人一人が障がいや障がいのある方への理解を深め、障がいを理由とする差別的取扱いをなくすよう、社会全体で取り組んでいきます。 第6 意見の反映 本計画の策定及び変更の際は、関係機関・団体等から障がいのある方の声も含めて意見を頂くとともに、パブリック・コメントを行い、広く県民に意見を求め、提出された意見及びその反映状況等を公表します。 第7 進行管理 毎年度、本計画に基づいて実施した障がい者施策の実施状況を取りまとめ、進捗状況を点検し、福島県障がい者施策推進協議会及び福島県自立支援協議会において評価を行い、必要に応じて取組の見直しを行います。 第2章 現状と課題 第1 本県の障がいのある方の状況 1 身体障がいのある方 本県の身体障害者手帳所持者数は、令和3年4月1日現在で77,742人となっており、平成28年4月1日からの5年間で9,940人、率にすると11.3%減少しています。 65歳以上の身体障害者手帳所持者が全体の76.3%と高齢化の傾向が継続しています。 障がいの程度別では、1級及び2級の重度身体障がい者が令和3年4月 1 日現在で38,345人(全体に占める割合49.3%) となっており、重度身体障がい者が約半数を占める状況となっています。 障がいの種別では、令和3年4月 1 日現在で、肢体不自由が52.1%で最も多く次いで内部障がいが31.8%、聴覚・平衡機能障がいが8.8%となっています。 2 知的障がいのある方 本県の療育手帳所持者数は、令和3年4月1日現在で、19,318人となっており、平成28年4月1日からの5年間で2,230人、率にして13.0%増加しています。 障がいの程度では、この5年間で、A(最重度・重度)、B(中度・軽度)ともに増加しており、令和3年4月1日現在における療育手帳所持者全体に占める割合は、A(最重度・重度)が32.9%、B(中度・軽度)が67.1%となっています。 3 精神障がいのある方 本県の精神障害者保健福祉手帳所持者数は、令和3年3月末日現在で14,854人となっており、平成28年3月末日からの5年間で3,953人、率にして36.3%増加しています。 また、令和3年3月末日現在における精神障害者保健福祉手帳所持者全体に占める割合は、1級が9.4%、2級が53.8%、3級が36.8%となっています。 ※ 1級:精神障害が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの (他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を足すことができない程度) 2級:精神障害の状態が日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 3級:精神障害の状態が、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの 精神科病院入院者数は、令和3年6月末日現在で4,338人となっており、平成28年6月末日から562人、率にして11.5%減少しています。入院者数は、これまでも減少傾向にありましたが、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波(以下 「東日本大震災」 という。 ) 及び東京電力福島第一原子力発電所の事故による災害(以下「原子力災害」という。)により、相双地方の精神科病院が休止していることが影響しています。 一方、自立支援医療(精神通院医療)受給者は、令和3年3月末日現在では、27,539人となっており、平成28年3月末日から、3,514人、率にして14.6%増加しています。 4 発達障がいのある方 平成28年に改正された発達障害者支援法では、発達障がい者を、「発達障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害で通常低年齢で発現する障害)がある者であって、発達障害及び社会的障壁により日常生活または社会生活に制限を受けるもの」と定義されています。障がいの程度や特徴が様々であるため、発達障がい者の実数の把握は困難な状況です。 なお、文部科学省が実施した「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査(平成24年12月)」の結果では、学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は約6.5%と推計しています。 また、県総合療育センターに設置している発達障がい者支援センターへの相談件数は、平成29年度1,279件、平成30年度1,240件、令和元年度1,556件、令和2年度1,331件となっています。 5 高次脳機能障がいのある方 高次脳機能障がいは、交通事故等による外傷性脳損傷や脳梗塞等による脳血管障がい等の後遺症として、記憶、注意、遂行機能といった認知機能や社会的行動面に障がいが生じるものであり、障がいそのものによる生活上の困難に加え、外見上分かりにくいという特性があります。 高次脳機能障がい者の実数を把握することは困難な状況ですが、平成28年度に厚生労働省が実施した「生活のしづらさに関する調査」においては、全国の高次脳機能障がい者は32万7,000人と推計されています。この数値を基に、人口比率により県内の高次脳機能障がい者の概数を推測すると、約4,900人となり、県人口の約0.25%となっています。 6 難病患者等 難病には、症状の変化が毎日ある、日によって変化が大きい等の特徴に加え、進行性の症状を有する、大きな周期でよくなったり悪化したりするという難病特有の症状が見られます。また、半数以上で合併症や薬剤による副作用、二次障がいが見られ、生活の質が損なわれやすいなどの特徴があります。 難病の患者は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)」に基づく「障害福祉サービス等」の対象となっており、令和3年11月現在で対象となる疾病は366疾病に拡大されています。 なお、「難病の患者に対する医療等に関する法律(以下「難病法」という。)」に基づく指定難病医療費助成制度の対象となる疾病(指定難病)は、令和3年11月現在で338疾病になっています。 また、本県の難病患者のうち、令和3年3月末現在における指定難病医療費受給者数は14,577名となり増加傾向にあります。 障害者総合支援法が対象とする 366疾病に関する人数は、把握するまでには至っていません。 7 障がいのある子ども 本県における18歳未満の手帳交付者数は、身体障害者手帳1,066人、療育手帳4,224人、精神保健福祉手帳439人となっています (身体障害者手帳及び療育手帳は令和3年4月1日現在。精神保健福祉手帳は令和3年3月31日現在)。近年、身体障害者手帳所持者は減少傾向ですが、療育手帳所持者数は増加傾向にあります。 なお、発達障がい児の実数を把握することは困難な状況ですが、本県の特別支援学級(自閉症・情緒障害)に在籍している児童・生徒は令和元年5月1日現在で1,724人(小学校1,253人、中学校465人、義務教育学校6人)で、平成29年5月1日現在(小学校950人、中学校332人、合計1,282人)に比べ、約1.3倍となっています。 また、文部科学省が実施している「通級による指導実施状況調査」の結果では、本県において通級による指導を受けている発達障がいのある児童生徒数は、令和元年5月1日現在で964人(自閉症289人、学習障がい216人、注意欠如多動性障がい459人)となっており、平成28年5月の同調査(自閉症188人、学習障がい164人、注意欠如多動性障がい257人、合計609人)に比べ、約1.6倍となっています。 第2 障がいのある方を取り巻く状況の変化 1 国の障がい者制度に関する動き 前計画の策定 (平成27年3月)以降に、様々な制度改正が行われています。 平成28年4月「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」施行 ・「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」 一部施行 平成28年5月「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児 童福祉法の一部を改正する法律」成立・「成年後見制度の利用の促進に関する法律」 施行 平成28年8月「発達障害者支援法の一部を改正する法律」施行 平成29年3月「成年後見制度利用促進基本計画」閣議決定 平成29年4月「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部 を改正する法律」成立 平成30年3月「障害者基本計画(第4次)」閣議決定 平成30年4月「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児 童福祉法の一部を改正する法律」 施行 (一部平成28年6月施行) 平成30年5月「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正 する法律」成立 平成30年6月「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」 施行 令和元年6月「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」成立・「視覚障害者等の読書環境の整備の促進に関する法律」成立 令和2年4月「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」施行 (一部令和元年6月、9月施行) 令和2年5月「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正 する法律」成立 令和2年6月「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」 成立 令和3年5月「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法 律」成立 令和3年9月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」 施行 2 福島県の動き 前計画の策定以降に、障がい福祉に関する条例 ・ 計画等を整備しています。 平成30年3月「福島県アルコール健康障害対策推進計画」 策定 平成31年4月「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい福島県づくり条例」施行 ・ 「福島県手話言語条例」施行 令和3年3月「第6期福島県障がい福祉計画」策定・「第2期福島県障がい児福祉計画」策定・「第5期福島県障がい者工賃向上プラン」策定 令和4年3月「第4次福島県自殺対策推進行動計画」策定・「第5次福島県障がい者計画」策定 第3 主な課題等 1 障がいや障がいのある方への理解促進と差別解消の推進 県民一人一人が障がいを理由とする差別を身近な問題として捉えるとともに、障がいや障がいのある方への理解を深め、一体となって障がいを理由とする差別の解消に向けた取組を進めていく必要があります。 また、障害者差別解消法の一部改正により、民間事業者についても合理的配慮の提供が義務化されたことから、制度の普及・啓発等の取組を強化する必要があります。 2 相談支援体制の充実 障がいのある方が地域において自立した生活を営むためには、市町村の協議会を中核とした相談支援体制の充実・強化が必要であり、専門部会の設置など市町村の協議会の機能強化(住まいの場の確保や地域生活に必要な暮らしの支援など)を支援する必要があります。 なお、市町村における障がいのある方への相談支援は特に重要であり、基幹相談支援センターの機能の充実など、相談支援機能の強化を図る必要があります。 3 地域生活への移行 障がいのある方が、自らの選択により、身近な地域で安心して自立した生活を送るためには、多様なニーズに対応する相談支援体制の整備や、障害福祉サービスの量的・質的充実が必要となります。 4 就労支援の一層の充実 働くことを希望する障がいのある方が、その能力を最大限に発揮し、就労を通じた社会参加や生き生きとした職業生活を送ることができるよう、就労支援の一層の充実を図っていく必要があります。 5 自殺対策の推進 自殺の社会的要因である失業や倒産、多重債務問題に加え、震災や原発事故による負担、さらにはコロナ禍による影響なども加わるため、関係機関との情報共有、相談支援体制の充実など、支援の強化が求められています。 また、コロナ禍において女性と若者の自殺者数の増加がみられることから、女性と若者が相談しやすい環境を整えることが必要です。 6 障がいのある方の社会参加の促進 文化芸術活動やスポーツ活動等を通して、県民が障がいや障がいのある方に対する理解を深めると共に、障がいのある方が社会参加しやすい機運の醸成を図る必要があります。 7 防災対策の充実 近年、大規模災害が頻発し、各地で深刻な被害が生じています。災害発生時に、障がいのある方が迅速かつ的確に避難できるよう、避難行動要支援者の把握、個別避難計画の作成及び関係機関での情報の共有等、防災対策を一層強化する必要があります。 8 東日本大震災及び原子力災害からの復興 ・ 創生 平成23年3月11日に発生した東日本大震災及び原子力災害に伴い、今もなお約3万4千人(令和3年11月現在) もの方が県内外で避難生活を続けています。 被災地を中心に、引き続き地域生活への移行や就労支援などの自立支援を進めるとともに、被災者に対する相談支援や日中活動の場の確保、さらには帰還に向けた事業所の再開への支援を行うなど、障がいのある方に対する障害福祉サービスの提供体制の整備を促進する必要があり ます。 また、原子力災害等の影響により、避難生活が長期化しており、心身の健康への影響が懸念されることから、被災者の心のケアに取り組む必要があります。 第3章 施策推進の考え方 第1 計画の体系 基本理念 「障がいのある方の人権、人格が尊重され、等しく社会の一員として生活できる社会の実現」~障がいのある方もない方も、ともに生きる社会を目指して~ 基本目標1:障がいのある方の地域生活への移行支援 重点施策①:生活支援 現状・課題、施策の方向: (1)障害福祉サービスの充実 (2)相談支援体制の構築 (3)地域生活移行の促進・定着 重点施策②:保健・医療・福祉 現状・課題、施策の方向: (1)保健・医療・福祉体制の充実 (2)自殺対策及び被災者の心のケア対策の推進 重点施策③:ライフステージに応じた障がいのある子どもへの支援 現状・課題、施策の方向: (1)療育体制の整備 (2)障がいのある子どもへの教育的支援等 基本目標2:障がいのある方が自立した生活を送るための支援 重点施策④:文化芸術・スポーツ活動の振興、社会参加の促進 現状・課題、施策の方向: (1)障がいのある方の文化芸術活動への参加 (2)障がい者スポーツの普及 (3)社会参加活動の充実 重点施策⑤:雇用・就業、経済的自立の支援 現状・課題、施策の方向: (1)障がい者雇用の推進 (2)福祉的就労の充実 基本目標3:障がいのある方が活躍できる社会づくり 重点施策⑥:生活環境 現状・課題、施策の方向: (1)外出、移動しやすい環境整備 (2)福祉のまちづくりの推進 重点施策⑦:障がいのある方のアクセシビリティの向上 現状・課題、施策の方向: (1)障がいのある方の情報利用 (2)意思疎通支援の充実 (3)行政等における配慮の定着 基本目標4:障がいのある方にとって、安全・安心で差別のない社会づくり 重点施策⑧:安全・安心 現状・課題、施策の方向: (1)防災対策 (2)防犯対策 (3)消費者の安全確保の推進 重点施策⑨:差別の解消及び権利擁護の推進 現状・課題、施策の方向: (1)障がいを理由とする差別解消の推進 (2)虐待防止 (3)理解促進 第2 計画の推進体制 1 計画の推進体制 本計画は、福祉分野のみならず、保健・医療、生活環境、雇用・就業、教育などの幅広い分野にわたっており、障がいの特性やライフステージに応じた一貫した支援が行われるためには、県民、関係団体、企業、行政等がそれぞれ果たすべき役割を認識し、互いに連携・協力を図りながら、各種施策を推進していく必要があります。 2 障がい保健福祉圏域の設定 障がいのある方が、各種障害福祉サービスを身近な地域で受けられるようにす るためには、県全体としての取組のほか、複数市町村で構成される圏域ごとに機能分担や各種サービスの整備を促進し、多様なネットワークを構築していく必要があります。 このため、7つの障がい保健福祉圏域を設定し、圏域ごとに、きめ細かなサービスの提供体制の確保・充実を進めていきます。 第3 SDGs (持続可能な開発目標) を踏まえた計画の推進 SDGsはSustainable Development Goals (持続可能な開発目標) の略で、2015年9月の国連サミットで採択された国際目標です。 「誰一人取り残さない」を合い言葉に、2030年を目標として、「貧困」「保健」「エネルギー」 「気候変動」など17のテーマからなる目標と、169のターゲットから構成されています。 本計画を推進するに当たっては、多様性を認め合いながら、誰もが活躍し、全員参加で支える社会の実現のため、SDGsの理念を意識しながら、施策に取り組みます。 第4章 具体的な施策の内容 基本目標1 障がいのある方の地域生活への移行支援 1 生活支援 (1)障害福祉サービスの充実ア 障害福祉サービスの充実 【現状と課題】 (ア)障がいのある方本人のニーズに沿った支援ができるよう、サービス提供体制の計画的な整備を進める必要があります。 (イ) 障害福祉サービスの充実とともに、障がいのある方の居場所対策や余暇活動支援など、地域交流拠点としての機能を持つ地域活動支援センターなどの整備を促進する必要があります。 (ウ) 一部圏域においては、東日本大震災発生後、いまだグループホーム※に利用可能なアパート等の空き物件が不足している状況にあり、地域移行を支えるための基盤整備が困難な状況にあります。 (エ)障害福祉サービスについては、地域により偏在が見られるため、障がい保健福祉圏域ごとのサービス提供基盤の整備を進める必要があります。 ≪施策の方向≫ 〔訪問系サービス〕 ① 障がいのある方の自立支援や介護する家族の負担軽減を図る観点から、居宅介護に加え、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援などのサービスを身近な地域で適切に利用できるよう、サービス提供体制の整備や利用しやすい環境づくりを促進します。 また、個々の利用者のニーズ及び実態に応じたサービスの提供を図っていきます。 ② 重度障がい者が、夜間を含めて必要なときにサービスを利用できるよう、24時間対応可能な事業所の確保に努めるほか、精神障がい者へのサービス提供体制の整備を促進します。 〔居住系サービス〕 ① グループホームは、障がいのある方の居住の場として重要な役割を果たしており、施設等から地域生活への移行に伴う利用者の増加にも対応できるよう、地域住民の理解の促進に努めながら、立地条件等にも配慮した設置を引き続き促進します。また、施設入所者等のグループホームの体験利用を促進します。 ② 入所支援施設については、これまでと同様に新たな施設の設置や定員の増加は原則として行わないこととし、既存施設の利用環境の改善や老朽施設の計画的な改修等により、安全で快適な利用環境の確保に努めます。 〔日中活動系サービス〕 身近な地域で多様なニーズに対応し、必要な日中活動サービスを確保するため、多機能型による事業実施など、地域の状況を踏まえたサービス提供体制の整備を促進します。 〔その他のサービス〕 ① 障がいのある方が様々なサービスを適切に利用できるよう、各種障害者手帳や、医療費受給者証などの制度の周知に努めます。 ② 精神又は身体に障がいのある児童を監護又は養育している方に特別児童扶養手当を支給するとともに、重度障がい者に対する特別障害者手当等の給付を行います。 また、心身障がい者の生活の安定を図るため、心身障害者扶養共済制度の円滑な運営に努めます。 ③ 65歳以上(40歳以上65歳未満の医療保険加入者を含む)の障がいのある方については、制度上、介護保険法の規定による保険給付が優先適用されますが、支給量が不足したり、介護保険に相当するサービスがない場合は、障害福祉サービスも併せて利用したり、利用者の状況に応じた適切な支給決定がなされるよう、現場サイドにおける介護保険と障がい者向けサービスの適切な利用の促進に努めます。 ④ 日常生活自立支援事業(あんしんサポート) ※による支援の充実を図るとともに、支援対象者の多様化した環境に対応するため、支援従事者の資質の向上を図り、関係機関との連携を強化した権利擁護事業を推進します。 ⑤ 障害福祉サービスの地域における偏在問題については、地域の現状と問題点を整理した上で、市町村の協議会等において、地域の実情を踏まえたサービス提供の在り方を検討し、その整備に努めます。 ・グループホーム :病気や障がいなどで生活に困難を抱えた人が、専門スタッフ等の援助を受けながら、小人数、一般の住宅で生活する社会的介護の形態のこと。 ・日常生活自立支援事業(あんしんサポート) :認知症高齢者、知的・精神障がい者等の内、判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助、日常的金銭管理援助等を行うもの。 イ サービスの質の向上 【現状と課題】 (ア) 福祉サービス第三者評価は、個々の事業者が事業運営における問題点を把握し、サービスの質の向上に結びつけることを目的としています。 公表された福祉サービス第三者評価の受審結果は、利用者の適切なサービスの選択に資すための情報となることから、受審件数を増やしていくことが必要となっています。 (イ)福祉サービスに関する苦情等については、利用者やその家族とそのサービスを提供する事業者・施設等との間で解決されることが望ましいことから、事業者・施設等は苦情解決体制等を整備する必要があります。 なお、当事者間で解決できない場合は、福島県社会福祉協議会に設置されている「福島県運営適正化委員会」等において解決困難な苦情の解決に取り組んでいます。 ≪施策の方向≫ ① 障害福祉サービス事業者による適切な事業運営の確保や、個別支援計画に基づくサービスの提供、自立支援給付の適正化等を図るため、集団指導や実地指導を実施します。 ② 福祉サービス第三者評価事業を広く県民にPRするため、指導監査やホームページ等を活用し、福祉サービス第三者評価事業の普及啓発を図ります。 ③ 福祉サービス第三者評価の調査者(候補者を含む。)の育成や資質の向上を図るため、評価調査者の養成研修や継続研修を実施します。 ④ 福祉サービスの適正な実施や、施設・法人の苦情受付体制の整備に向けた指導等を行います。また、利用者等からの苦情の公平かつ円滑な解決を図るため、福島県社会福祉協議会に設置されている 「福島県運営適正化委員会」 に対して支援します。 ウ福祉用具の普及 【現状と課題】 (ア) 福祉用具に関する情報提供及び相談等に従事する職員の資質向上を図る必要があります。 (イ)利用者のニーズに応え、補装具の交付・修理、日常生活用具の給付・貸与を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 相談機関のネッ トワーク体制を構築し、福祉用具に関する情報提供や相談窓口の整備を推進し、研修の充実により、福祉用具の相談等に従事する職員の資質向上を図ります。 ② 障がいのある方の就労推進、その他日常生活の能率向上や福祉の増進を図るため、補装具の交付・修理や日常生活用具の給付・貸与を促進します。 (2) 相談支援体制の構築 ア 県及び市町村の設置する協議会の機能強化 【現状と課題】 (ア) 障がいのある方が地域において自立した生活を営むためには、市町村の協議会※を中心とした相談支援体制の充実・強化が重要であるため、協議会の機能の強化を図るとともに、基幹相談支援センターの設置など相談支援事業所の整備を促進する必要があります。 (イ) 市町村の協議会の機能強化等を図るため、県自立支援協議会※及び各専門部会における各種取組を充実させる必要があります。 (ウ)各地域だけでは対応が困難な全県的な課題及び社会資源の開発調整や権利擁護の推進等については、県自立支援協議会の取組として、検討する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 県自立支援協議会の活動等を通じ、市町村の協議会の機能強化を支援するとともに、市町村の協議会を中心とした相談支援体制の充実を図ります。 ② 複数市町村の協議会のある障がい保健福祉圏域においては、保健福祉事務所に圏域連絡会を設置し、圏域内の市町村との連携強化を図ります。 ③ 県及び市町村の協議会の機能強化を図るため、構成員に障がいのある方本人の参画を進めます。 ④ 障がいのある方が地域社会の中で本人の希望を踏まえた生活を送れるよう、一人一人のニーズに応じたきめ細かで一貫した支援を行うため、適切なサービス等利用計画が策定されるよう取組を進めます。 〔県自立支援協議会 地域生活支援部会〕 地域生活支援部会は、市町村の協議会の活動を支援し、施設等に入所・入院している障がいのある方の地域生活への円滑な移行及び定着を支援します。 〔県自立支援協議会 人材育成部会〕 人材育成部会は、相談支援従事者、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者の研修体系及びスキルアップの検討を行い、相談支援に従事する職員の資質の向上を図ります。 〔県自立支援協議会 子ども部会〕 子ども部会は、教育等関係機関との連携を密にしながら、障がいのある子どもの一貫した支援を行うため、学校が作成する「教育支援計画」と障害児通所支援事業所が作成する 「個別支援計画」 の整合を図り、適切な支援の普及・充実を図ります。 〔県自立支援協議会 就労支援部会〕 就労支援部会は、教育、福祉、労働等の関係機関等との連携を図りながら、障がいのある方の就労支援に関する課題への対応や、社会資源の改善・開発等を推進します。 〔県自立支援協議会 差別解消支援部会〕 差別解消支援部会は、関係機関が行う障がいを理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障がいを理由とする差別を解消するための取組を推進します。 ・市町村の協議会 :地域における障がいのある方の相談支援の充実を図るため、関係者による連携及び支援体制に関する協議を行う場として市町村が設置する協議会。全市町村に設置されている。 ・県自立支援協議会 :県全体及び各地域における相談支援体制の構築に向けて、その現状や課題、在り方等を検討するとともに、地域における相談支援体制の整備を支援する協議の場。 イ 発達障がいのある方 ・ 高次脳機能障がいのある方への支援【現状と課題】 〔発達障がいのある方〕 (ア)平成17年4月に発達障害者支援法が施行され、平成18年10月に県発達障がい者支援センターを設置しました。 障がいの早期発見や乳幼児期から成人期までの一貫した支援、関係機関が連携した支援体制の整備促進など、地域における発達障がいの支援力の向上が求められています。 (イ)地域により、支援体制に差が生じています。 身近な地域で適切な発達障がい支援が受けられる体制づくりを進めるため、県発達障がい者支援センターを中心として全県的な支援体制を構築する必要があります。 〔高次脳機能障がいのある方〕 (ア)県が平成20年9月に高次脳機能障がいの支援拠点機関として指定した一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院を中心として、身近な地域で適切な支援が受けられるよう、高次脳機能障がい普及・啓発事業や相談支援等の強化を図る必要があります。 (イ) 高次脳機能障がいは、日常生活や社会復帰の支障になっているにもかかわらず、外見だけでは分かりにくいため、障がいのある方やその家族、職場関係者などに、原因や対応方法の理解促進を図る必要があります。 (ウ) 医療機関においても、高次脳機能障がいの認知度は低いことから、医療機関に対する研修を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ 〔発達障がいのある方〕 ① 自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠如多動性障がい等の発達障がいに関する知識の普及・啓発を図るとともに、県発達障がい者支援センターを中心として、保健、医療、福祉、就労等関係機関の支援ネットワークを強化し、発達障がい者のライフステージに応じた一貫した支援の充実に努めます。 ② 発達障がいのある方を支援するため、県発達障がい者支援センターにおいて専門的な相談支援を行うとともに、地域の保育所及び幼稚園、障害福祉サービス事業所等の支援機関に対して、発達障がいに関する特性の理解及び支援方法の普及を進め、身近な地域で適切な支援が受けられるよう、発達障がい地域支援マネージャーを配置するなど、支援体制の整備を図ります。 ③ 県発達障がい者支援センターを中心として、適切な療育体制を学ぶことにより、保護者の負担軽減にもつながるよう、ペアレントプログラム※の普及拡大に取り組むとともに、家族会の協力を得てペアレントメンター※の活用を図るなど、市町村と連携しながら地域生活支援体制の充実を図ります。 ④ 治療が必要な発達障がいや適応障がいなどのある子どもに対して、診療の機会を確保するため、県立矢吹病院における児童思春期外来の診療体制の充実強化等に努めます。 ⑤ 発達障がい児を早期に発見し適切な支援を行うため、「気づきと支援ガイドライン」を活用しながら、発達障がい児の支援体制を整備するとともに、研修により支援者のスキルアップを図ります。 ⑥ 発達障がいに携わる医療機関を確保するため、県内のどの地域においても一定水準の発達障がいへの対応を可能とすることを目的とした「かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修」を実施し、発達障がいの方が地域で安心して生活を送ることができるよう支援体制づくりに努めます。 〔高次脳機能障がいのある方〕 ① 高次脳機能障がい支援室(総合南東北病院)を中心に、相談支援コーディネーターを配置し、高次脳機能障がい者に対する専門性の高い相談支援を行うとともに、保健・医療・福祉・就労等関係機関との支援ネットワークの整備を図ります。 ② 高次脳機能障がいに対する理解を深め、支援の充実を図るため、自治体や支援機関、医療機関に対する研修等を行います。 ・ ペアレントプログラム :発達障がいのある子どもを持つ親に対して訓練を行うことにより、子どもとの関わり方や特性を正しく理解することで、子どもの育ちにプラスをもたらそうとするプログラム。 ・ペアレントメンター :発達障がい者の子育て経験が長い親が、子どもが発達障がいの診断を受けて間もない親に助言・指導を行うこと。 ウ多様な相談機関の活動促進 【現状と課題】 (ア)障がいのある方に関する各相談機関について、乳幼児期からのライフステージの各段階に応じた相談支援の充実を図るととともに、保健・医療・福祉・教育等の関係機関との連携強化による支援体制の構築が求められています。 (イ) 相談支援の実施主体は住民に最も身近な存在である市町村が大きな役割を果たしており、県に対しては、市町村への専門的・技術的助言等の充実が求められています。 また、地域における相談支援の中核的な役割を担う基幹相談支援センターの設置を支援していく必要があります。 (ウ)障がいのある方本人とその家族の絆を深めるとともに、本人と家族との自立した関係の構築を促進するという観点も踏まえ、障がいのある方だけではなく、家族に対する支援も重要です。 (エ)障がいのある方の重症化、高齢化、「親亡き後」、あるいは、学校からの卒業、就職、親元からの自立等の生活環境が変化する節目などを見据えて、中長期的視点に立った継続した支援を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方の身近な相談体制の充実を図るため、市町村の協議会と多様な相談機関との円滑な連携が図られるように努めます。 ② 専門機関である県障がい者総合福祉センター及び県精神保健福祉センターにおいて、市町村や県保健福祉事務所等の相談支援体制を支援します。 ③ 障がいのある方や家族からの多様な相談に応じられるよう、研修を通じて身体障がい者相談員などの様々な相談員の資質向上に努めます。 ④ 家族が障がいを正しく理解し、障がいのある方に対して適切な対応ができ、安心・安定した生活を送ることができるよう、訪問・面接等による個別支援やペアレントプログラム、家族教室等を開催し、障がいのある方の家族に対する支援に努めます。 ⑤ 県保健福祉事務所や県精神保健福祉センターにおいて、心の健康や精神疾患、自殺関連など、誰もが気軽に相談できる心の健康相談窓口の活用を促進するとともに、ひきこもり相談支援センターなど他の相談機関との連携により、適切な相談体制を整備します。 ⑥ 緊急に治療を必要とする精神障がい者や家族等を支援するため、精神科救急に関する受診先の紹介や対応方法などの適切な助言が行える電話相談体制の充実を図ります。 ⑦ ピアサポーター等の養成を図ることにより、障害福祉サービス等における質の高いピアサポート活動の取組を支援するとともに、障がいのある方が運営する自立生活センター等の活動を支援します。 ⑧ 市町村の相談支援機能の強化や障害福祉サービス事業所の活動を支援するため、県自立支援協議会において、障がいのある方に対する総合的な相談支援体制及び市町村等に対する専門的・技術的支援の在り方等を検討します。 ⑨ 障がいのある方の個々の状況、意向、家族状況等を踏まえたサービス等利用計画案を給付決定の参考として、支援の必要性に応じた適切な支給決定の実施に向けた取組を進めます。 ⑩ 地域生活への移行、地域生活の定着、就労支援といった課題に対応したサービス提供体制を整え、障がいのある方の生活を地域全体で支えるシステムを実現するため、地域生活支援の拠点づくりを進めます。 ⑪ 依存症に関する問題を抱える方が健康的な生活を営むことができるよう、問題の改善に取り組む民間団体の活動に対し、事業費を助成します。 ⑫ 地域住民が抱える複雑化 ・ 複合化した課題に対応する包括的な相談支援体制を構築するため、市町村における重層的支援体制整備の推進を図ります。 エ 相談支援従事者等の養成と資質向上 【現状と課題】 市町村の協議会を中心に、障がいのある方の地域生活支援をしていくためには、各地域の相談支援体制強化・障害福祉サービスの質の向上が不可欠です。 障がいのある方本人の「思い」を尊重した支援ができる人づくりを目指し、障がいのある方に適時適切なサービスを提供できるように、研修の質の向上に努める必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 相談支援体制の充実及び障害福祉サービスの質の向上を図るため、県自立支援協議会人材育成部会において、研修の質の向上及び地域ごとの継続的なスキルアップの仕組みづくり、相談支援事業所の評価手法等の検討を行います。 ② 障がいのある方本人の思いを尊重した適時適切なケアマネジメントを行うため、相談支援従事者及びサービス管理責任者を養成及び育成し、資質の向上を図ります。 (3) 地域生活移行の促進・定着 ア 地域への円滑な移行と安心できる生活への支援 【現状と課題】 (ア) これまで、入所施設等利用者が地域で安心して生活できる支援体制の整備を進めてきました。今後も、入所施設等と市町村等の連携など、障がいのある方本人が暮らしたいと望む(自らの意思で選択・決定)地域において、地域社会の構成員として自分らしい生活が実現できるよう、地域生活移行の取組を更に推進する必要があります。 (イ) 障がいのある方の多様な地域生活を支える障害福祉サービスの利用者は増加しており、引き続き、地域のニーズや実情に応じたサービス提供体制の整備を推進する必要があります。 (ウ)障がいのある方のグループホームの整備については、精神障がい者の退院や入所施設からの地域移行に伴い、今後も利用者が増加することが見込まれるため、引き続き整備を促進するとともに、障がいに対する地域社会の理解の促進を図る必要があります。 (エ)障がいのある方の地域生活移行を進める上で、生活の場、日中活動の場、収入の確保は重要であり、特に、所得の確保なくして障がいのある方が地域で安定した生活を送ることは困難であるため、社会保障制度の充実を国へ要望していく必要があります。 (オ)地域の保健・医療・福祉・経済団体・運輸関係・行政等の関係機関で構成される市町村の協議会(地域生活支援部会等)による地域生活の定着に向けた取組が求められています。 (カ) 障がいのある方が地域において安心して生活できるよう、入居に関する支援や、緊急時に対応できるサポート体制の整備をしていく必要があります。特に、罪を犯し矯正施設を退所した障がいのある方については、施設退所の概ね6ヶ月前から地域生活の定着に向けた支援を行います。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方本人が暮らしたいと望む地域において、地域社会の構成員として自分らしい生活が実現できるよう、各障害福祉サービスの充実や地域生活支援拠点等の整備※・機能強化など、なお一層の取組を推進します。 ② 市町村の協議会を中心とした中立・公平な相談支援事業の実施のほか、地域の関係機関の連携強化、社会資源の開発・改善等を促進します。 ③ 市町村が、相談支援の実施主体として、基幹相談支援センター※や相談支援事業所と連携し、必要な情報の提供及び助言、サービス利用の支援等を行い、障がいのある方が地域で自立した生活が営めるように支援します。 ④ 障がいのある方のグループホームの整備に当たっては、近隣地域住民との交流や災害時の支援など、共生社会の実現に向けて引き続き地域住民の理解促進に努めますが、障害者差別解消法の附帯決議において、周辺住民の同意は不要とされていることに留意することとします。 ⑤ 県自立支援協議会地域生活支援部会が中心となって、全県的な問題として、現状分析・問題把握とその対策についての協議を行い、市町村の協議会による入所施設等の地域生活への移行及び定着に対する取組を支援します。 ⑥ 高齢の障がいのある方、罪を犯し矯正施設を退所した障がいのある方等は、経済的に困窮している場合が多いことから、住居確保においては、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律 (以下「住宅セーフティネット法」という。)」 に基づき、賃貸人、賃借人(障がいのある方)双方に対する情報提供等の支援、必要な相談体制の整備とともに、家賃債務保証制度の活用等の促進により、民間賃貸住宅への円滑な入居を促進します。また、障がいのある方の生活安定を図るための制度である心身障害者扶養共済制度等の周知を図ります。 ⑦ 罪を犯し矯正施設を退所した障がいのある方及び被疑者・被告人等で障がいのある方に対し、福島県地域生活定着支援センターが刑事司法・福祉関係機関等と連携・協働しながら、その社会復帰及び地域生活への定着を支援します。 ⑧ 障がいのある方の地域生活の定着を図っていくためには地域社会の中での相互の理解や支え合いが大切であることから、共生社会の理念の普及や地域におけるボランティアなどの支え合い活動を推進します。 ・地域生活支援拠点等の整備 :障がい児者の重度化・高齢化や「親なき後」を見据え、居住支援のための機能(相談、緊急時の受け入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくり)を、地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障がい児者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築すること。 ・ 基幹相談支援センター :地域における相談支援の中核的な役割を担う機関。地域の相談支援の拠点として総合的な相談業務(身体障がい、知的障がい、精神障がい)や地域の実情に応じた事業を行う。 イ 退院可能な精神障がいのある方の地域生活移行の促進 【現状と課題】 (ア)平成26年4月に「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)」が改正され、病院管理者に対し、退院促進のための体制整備が義務付けられました。精神障がいのある方の地域移行について、これまで以上に取組を強化することが求められています。 (イ)長期間入院している精神障がいのある方の地域移行を進めるためには、精神科病院において、退院に向けた本人の意欲を喚起するための病院スタッフからの働き掛けや、精神障がい者ピアサポーターも含めた外部支援者との関わりの確保が必要です。 (ウ)地域における取組として、居住の場の確保とともに、医師、看護師、精神保健福祉士等から編成される多職種チームが訪問して支援を行うアウトリーチや訪問看護等の充実など、地域生活を支えるため、情報を共有し、医療と福祉の両面から体制を整備する必要があります。 (エ)障害者総合支援法のサービスである「地域移行支援」、「地域定着支援」については、患者に対するサービスの理解があまり進んでいないことから、サービスの周知と活用を図るための取組が必要となります。 ≪施策の方向≫ ① 精神障がい者地域移行・地域定着促進検討会を設置し、精神障がいのある方特有の課題の検討を行い、県自立支援協議会の各部会と連携を図り、精神障がいのある方の地域生活を支えるための体制の整備を進めます。 ② 退院した精神障がいのある方の地域生活を支える訪問看護事業の推進を図るため、医療、福祉の連携強化に努めます。また、精神障がいのある方に対しても適切に対応可能な居宅事業所の確保に努めます。 ③ 地域生活を支える関係職員のスキルアップや地域住民の理解を促進するための研修会の開催などに努めます。 ④ これまで、県が養成してきた精神障がい者ピアサポーターの活動の場を広げ、長期入院している精神障がいのある方の退院意欲の喚起や地域住民の理解促進につながるよう事業を展開していきます。 ⑤ 障害者総合支援法のサービスである「地域移行支援」、「地域定着支援」が活用されるよう、精神科病院等及び患者に対するサービスの周知を図るとともに、精神科病院と相談支援事業所等の連携強化に努めます。 ⑥ グループホームは、障がいのある方の居住の場として重要な役割を果たしており、施設等から地域生活への移行に伴う利用者の増加にも対応できるよう、地域住民の理解の促進に努めながら、立地条件等にも配慮した設置を引き続き促進します。また、施設入所者等のグループホームの体験利用を促進します。【再掲】 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標1 障がいのある方の地域生活への移行支援 1 生活支援 指標の名称 現況値 目標値 地域生活に移行した障がい者数 R2  8人 R12 増加を目指す 地域生活に移行した障がい者数(精神障がい者) R2  1人 R12 増加を目指す 2 保健・医療・福祉 (1)保健・医療・福祉体制の充実 ア 障がいのある方の医療体制の充実 【現状と課題】 (ア)保健・医療・福祉の分野が有機的に連携し、障がいの原因となる疾病等を早期に発見して適切な治療を行い、障がいの軽減を図る必要があります。 (イ)脳性まひや言語障がい等により、受診の際などにおいて医療従事者とのコミュニケーションが難しい方もいるため、障がい特性を理解した対応が求められています。 (ウ)障がいのある方が安心して治療を受けられるよう、障がいのある方の医療費の負担軽減を図るための取組が必要です。 (エ)高齢化等による障がいの重度化、重複化を予防する取組が求められています。 (オ)医療体制の整備については、地域により偏在が見られることから、関係機関と連携して医療過疎問題に取り組む必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 住み慣れた家や地域での療養を支援するため、地域連携クリティカルパス※の構築や医療と福祉の情報を一元化し、協力して在宅医療の推進を図れるような体制づくりを検討していきます。 ② 生活習慣病※予防の基本的な考え方を普及するとともに、医療保険者による特定健診・保健指導の着実な実施に重点を置いた対策を推進します。また、脳卒中や心疾患等の生活習慣病に起因する循環器病について、救急搬送体制や医療提供体制の構築を推進します。 ③ 「第2次健康ふくしま21計画」を推進するため、「健康ふくしま21推進協議会」及び功労者を表彰する「健康ふくしま21県民表彰式」を開催します。 ④ 医療が必要な方への生活支援のため、障がいの軽減のための更生医療費の給付助成や、重度心身障がい者医療費補助事業等により、医療費自己負担の軽減を図ります。 ⑤ 障がいに応じた治療や人間ドック等の専門的医療を受診しやすくするため、障がい特性を踏まえた対応の普及啓発に努めます。 ⑥ 障がいのある方に対する歯科相談、歯科保健指導の実施や、県総合療育センター(郡山市)における歯科診療を実施します。 ⑦ 障がいに起因して合併しやすい疾患、外傷、感染症等の予防と、これらを合併した際の障がい及び合併症に対して適切な医療の確保を図っていきます。 ⑧ 医療過疎問題については、該当地域、現状の問題点を整理した上で、その地域だけの問題ではなく、県全体の問題として関係機関と連携してその方策について検討します。 ・地域連携クリティカルパス : 地域において、患者が受ける診療段階に応じて診療を受ける医療機関の流れを示した、診療する全ての医療機関等が共有する病院ごとの治療計画。 ・生活習慣病 :食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられている疾患の総称。 イ 精神保健医療福祉の充実 【現状と課題】 (ア)精神疾患は、平成25年度の医療計画において、「5疾病」の1つとされ、誰もがかかりうる身近な疾病として位置付けられました。各地域において、必要な保健医療福祉の提供体制を整備することが求められています。 (イ)精神障がいのある方が安心して地域で生活できるよう精神科救急医療体制を整備するとともに、医師、看護師、精神保健福祉士等から編成される多職種チームが訪問して支援を行うアウトリーチや訪問看護の整備が求められています。 (ウ)本県では、東日本大震災及び原子力災害の影響により、相双地域の精神科病院の一部が休止状態となっており、震災以降、県内外の多くの精神科病院に転院したままになっている患者の帰還に向けた取組を促進することが求められています。 (エ)現在、相双地域を始めとして精神科医療機関・精神科医師が不足している地域があることから、関係機関と協力して医療の確保に努める必要があります。 (オ)東日本大震災及び原子力災害を教訓として、災害発生時に被災地域のニーズに応じて、専門的な精神科医療の提供や精神保健活動の支援を行う災害派遣精神医療チーム (DPAT)の受入及び派遣体制を整備する必要があります。 (カ)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った精神障がいのある方に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進するための指定入院医療機関が県内にはないことから、その整備が求められています。 (キ)精神障がいのある方が身体疾患による入院を必要とする場合、受け入れ可能な医療機関が少ない状況にあることから、身体合併症を伴う精神障がいのある方の医療の確保に努める必要があります。 (ク)アルコールやギャンブル等の依存症は、適切な治療と支援により回復が十分可能な疾患である一方、対応可能な医療機関・専門医等が限られており、患者やその家族が必要な支援を受けにくい状況にあることから、専門医療機関等を整備する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 精神障がいのある方の緊急時における適切な医療及び保護の機会を確保する精神科救急医療システムの体制を一層強化するため、精神科救急情報センターの在り方を検討し、その充実に努めます。 ② 相双地域の精神科病院から転院したままになっている患者の転退院を推進するため、転退院調整コーディネーターによる転院調整に努めるとともに、地域移行できる精神障がいのある方については、退院に向けた調整や関係機関との連携強化に努めます。 ③ 相双地域においては、医療を含む多職種チームによる訪問等により在宅の精神障がいのある方の生活を支えるアウトリーチ推進事業を実施し、治療を中断している人や未治療の人に対する適切な医療や福祉サービスの提供につなげるなど、地域生活が継続できるよう取組を進めます。 ④ 災害派遣精神医療チーム (DPAT) について、県内外で災害が発生した際の活動チームの受入や派遣の調整、活動チームの展開を迅速に行うための体制整備を進めます。 ⑤ 心神喪失等医療観察法に基づく指定入院医療機関につきましては、「ふくしま医療センターこころの杜」の整備を行っており、対象者の社会復帰及び地域生活への定着を支援します。 ⑥ 精神医療については、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」を踏まえ、入院医療中心から地域生活中心への流れを促進するよう、退院支援に取り組むとともに、障がい特性や身体の状況に応じた良質かつ適切な医療提供の確保に努めます。 ⑦ 東日本大震災及び原子力災害という未曽有の大災害を経験した本県においては、避難者はもとより県民全体の心の健康を回復し、維持・増進していくことが求められていることから、今後の精神医療及び精神保健福祉の在り方について有識者等から幅広く意見を伺いながら、関係機関と連携して保健医療福祉対策の充実に努めます。 ⑧ 治療が困難な各種依存症に対して適切な治療を提供できる専門医療機関の整備を促進します。 また、依存症相談拠点を設置し、依存症に関する問題を有する方の相談に応じる他、関係機関と連携を図り、依存症の地域におけるニーズに総合的に対応します。 ウ 難病に関する施策の推進 【現状と課題】 (ア) 平成27年1月から難病法が施行され、難病のうち特に症状が重く治療が困難で、生活面で長期にわたり支障をきたす疾患(指定難病) について、その医療費を助成し患者の自己負担の軽減を図ってきました。 (イ) 日常生活に支障がある難病患者に対し、地域における医療体制の充実や県保健福祉事務所を中心とした関係機関の連携による支援体制の整備を図るとともに、訪問診療による在宅での生活を支援する必要があります。 (ウ) 難病患者や、その家族が療養や日常生活上の悩みや不安を安心して相談ができるように、県難病相談支援センターの機能充実と利用促進を図る必要があります。 また、患者同士が悩みを分かち合い、支え合う支援も求められていることから、患者会が県難病相談支援センターの活動に参加し、相談を充実していく必要があります。 (エ)難病は、多様性・希少性のため発症してから確定診断までに時間を要します。難病が疑われながらも診断がついていない患者が早期に受診し、正しい診断を受けることができる難病医療提供体制が必要です。 (オ) 障害福祉サービスの利用対象となる疾病の範囲については、順次見直しが予定されていることから、障害支援区分の認定等を円滑に進める必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 難病は経過が慢性にわたる疾患で、日常生活に困難を来すとともに、経済的にも大きな負担となっていることから、引き続き、指定難病患者の医療費の自己負担の軽減を図ります。 ② 難病患者や、その家族の療養及び日常生活上の悩みと不安の軽減を図るため、病気に関する相談や各種情報の提供、患者家族会の支援、地域交流活動の促進等を行う県難病相談支援センターの利用を促進し、センター機能の充実を図ります。 ③ 難病患者等の療養上の不安解消を図るとともに、きめ細かな支援が必要となる要支援難病患者に対する適切な在宅療養支援が行われるよう、県保健福祉事務所を中心に各関係機関と連携して支援体制の充実を図ります。 ④ 医療機関や福祉施設等の連携による難病の診療ネットワークを構築し、早期診断確定への支援や適時・適切な在宅支援及び入院施設の確保等を行う難病医療提供体制の充実を図ります。 ⑤ 難病患者に対する障害福祉サービスの提供に当たっては、難病の特性 (病状の変化や進行、福祉ニーズ等)に配慮した円滑な事務が求められます。障害支援区分の認定やサービスの利用決定が適切になされるよう、市町村に対する情報提供や研修の実施に取り組んでいきます。 エ 人材の育成・確保 【現状と課題】 (ア)社会福祉士、介護福祉士及び精神保健福祉士等の福祉専門職について、養成、確保に努める必要があります。 (イ) 理学療法士、作業療法士等の医学的リハビリテーションに従事する者について人材の確保と資質の向上を図る必要があります。 (ウ) 東日本大震災及び原子力災害後はこれまで以上に、被災地域を中心に、福祉人材の確保が困難となっています。 福祉人材の養成・確保を図るため、介護福祉士等の養成施設に在学し卒業後、県内で当該業務に従事する意志のある者に対する資金貸与制度等を活用して県内への定着を促進する必要があり ます。 (エ)福祉人材センター(県社会福祉協議会)において就職斡旋及び人材確保に関する相談を実施していますが、更に質の高い人材を県内に定着させる必要があります。 (オ) 社会福祉事業従事者の量的確保及び資質の向上を目的に、福祉サービスに対する理解の促進、イメージの改善、就業促進、福祉職場への就職斡旋及び人材確保に関する相談受付等を内容とする事業を実施していますが、今後とも継続して実施する必要があり ます。 (カ) 市町村の協議会を中心に、障がいのある方の地域生活支援をしていくためには、各地域の相談支援体制強化・障害福祉サービスの質の向上が不可欠です。障がいのある方本人の「思い」を尊重した支援ができる人づくりを目指し、障がいのある方に適時適切なサービスを提供できるように、研修の質の向上に努める必要があります。【再掲】 (キ) 障がい特性を理解したホームヘルパーの養成、研修を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 福祉専門職、医療系専門職ともに、研修の充実を図り、専門的な技術及び知識を有する人材の養成はもとより、処遇改善、就職案内のPR等に力を入れ、県内への就業促進 ・ 定着のための取組を行います。 ② 健康相談等において、地域住民と接する機会の多い保健所、保健センター等の職員の資質向上を図るとともに、地域の保健・医療・福祉事業従事者間の連携を図っていきます。 ③ 施設職員、地域福祉従事者に対する研修を実施し、福祉を支える人材の養成と資質の向上を図ります。 ④ 介護福祉士等の養成施設に在学し、資格取得後に県内で介護業務等に従事しようとする人に対して、必要な資金を貸与することにより、スタッフの養成・確保を図ります。また、制度の効果的な運用、周知に努めます。 ⑤ 福祉の仕事の紹介、斡旋、資格取得等に関する相談、福祉人材の求人と紹介など、福祉人材の活用を行う福祉人材センター(県社会福祉協議会)の充実を図ります。 ⑥ 相談支援体制の充実及び障害福祉サービスの質の向上を図るため、県自立支援協議会人材育成部会において研修の質の向上及び地域ごとの継続的なスキルアップの仕組みづくり、相談支援事業所の評価手法等の検討を行います。【再掲】 ⑦ 障がいのある方本人の思いを尊重した適時適切なケアマネジメントを行うため、相談支援従事者及びサービス管理責任者を養成及び育成し、資質の向上を図ります。【再掲】 ⑧ 障がいのある方に対し、十分な在宅サービスを提供できるよう、居宅介護、重度訪問介護及び行動援護の各従業者養成研修を実施するなど、障害福祉サービスに従事する職員の養成・確保に努めます。また、強度行動障害支援者養成研修の実施やたん吸引等登録研修機関の確保に努めます。 ⑨ 障がい福祉人材を圏域で育成できるよう県自立支援協議会人材育成部会において人材育成ビジョンを定めるとともに、その実現に向け、人材育成体系の構築に努めます。 (2) 自殺対策及び被災者の心のケア対策の推進 ア 自殺対策の推進 【現状と課題】 (ア) これまで、うつ病やアルコール依存に対して、相談支援など精神保健福祉対策に取り組んできましたが、人口動態統計による本県の自殺者数は、平成10年に550人になって以降、高い水準で推移していました。平成21年以降は、自殺者数が減少傾向になり、令和2年は357人となっています。令和3年度に策定した第4次福島県自殺対策推進行動計画に基づき、自殺対策の充実を図る必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 自殺者や遺族のプライバシーに配慮しつつ、社会的要因を含む自殺の実態を把握するための調査研究を行うとともに、自殺対策に関する情報の提供等に努めます。 ② 様々な広報媒体を活用した啓発活動を実施することにより、県民一人一人の気づきと見守りを促していきます。 ③ 自殺の危険性が高い人の早期発見、早期対応を図るため、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができるゲートキーパーの養成を進めます。 ④ うつ病等の自殺の危険性が高い人の早期発見に努め、確実に精神科医療につなぐ取組に併せて、これらの人々が適切な精神科医療を受けられるように相談体制の充実を図ります。 ⑤ 自殺や自殺未遂の発生直後、遺族及び家族の心理的影響を和らげるためのケアを行うとともに、遺族及び家族のための自助グループ等の民間団体の地域における活動を支援します。 ⑥ 自殺対策を進める上で、国や県とともに、住民に一番身近な市町村が対策をとることが重要であり、また、自殺の危機にある人を援助している民間団体の活動も不可欠なことからこれらの活動を支援するとともに、連携を図ります。 イ 被災者の心のケア対策 【現状と課題】 (ア) 平成23年3月に発生した東日本大震災及び原子力災害により、多くの県民が避難を余儀なくされ、令和3年11月現在、約3万4千人もの県民が、県内外で避難生活を送っています。 (イ)原子力災害の特殊性により、今後も、避難生活が長期化することが予想され、心身の健康への影響が懸念されることから、被災者への心のケアの取組が求められています。 ≪施策の方向≫ ① 避難の長期化に伴い、様々なストレスにさらされている県民の心身の健康を守るため、被災者の心のケアに継続して取り組みます。 ② 県内の被災者の心のケアについては、ふくしま心のケアセンターにおいて、精神保健福祉士や臨床心理士などの専門職による訪問活動やサロン活動を実施しており、引き続き、避難者一人一人の状況に寄り添った心のケアに努めます。また、避難の長期化を踏まえ、うつ傾向などのハイリスク者に対する支援の強化や、精神的負担が増大している自治体職員等に対する支援、アルコール問題への取組、見守り活動を行う生活支援相談員との連携強化に努めます。 ③ 県外避難者については、避難者の多い都府県の臨床心理士会等の民間団体に委託して相談支援を実施しており、引き続き支援に取り組みます。 ④ 子どもの心のケアについては、ふくしま子どもの心のケアセンターにおいて、医療・福祉・教育等の関係機関と緊密に連携しながら、医師や公認心理師などの専門職によるアウトリーチ支援等を通し、子どもたちの心のケアに努めます。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標1 障がいのある方の地域生活への移行支援  2 保健・医療・福祉 指標の名称 現況値 目標値 自殺死亡率(人口10万対) R2 19.6 R12 17.3以下 自殺者数 R2 357人(確定値) R12 288人以下 ふくしま心のケアセンター年間相談支援件数 R2 6,679件 数値は毎年度把握し分析する(目標値は設定しない) 3ライフステージに応じた障がいのある子どもへの支援 (1) 療育体制の整備 ア 早期発見・早期対応の推進 【現状と課題】 (ア) 乳幼児の健やかな成長と家族への支援を図るため、疾病や障がいを早期に発見し、早期の治療や療育等につなげる必要があります。 (イ) 市町村における乳幼児健康診査等により発見された発達の遅れや障がいのある乳幼児、又は医療機関からの連絡による未熟児等とその保護者に対し、専門的な相談・支援や療育の充実を図っていく必要があります。 (ウ) 安心して医療が受けられるよう乳幼児等に対する医療扶助の充実や育成医療、養育医療等の医療援護を継続する必要があります。 (エ) 安心して子どもを生み育てられる環境整備を推進するため、周産期施設の集約化、機能分担等、県内の周産期医療体制について、改めて検討していく必要があります。 (オ)平成24年10月から、子どもの医療費助成事業を実施し、18歳以下の子どもの医療費無料化を行っています。 ≪施策の方向≫ ① 市町村が実施する乳幼児健康診査及び県が実施する先天性代謝異常等検査や新生児聴覚検査により、疾病・障がいの早期発見、早期治療及び早期療育を推進します。 ② 市町村が実施する障がいのある児童及び未熟児の健康相談、必要な援助方針の決定や関係機関への紹介等を行うなどの療育指導について、適切な支援を行います。 ③ 保育所・幼稚園において発達障がいのある子どもを発見するためのスクリーニング検査や乳幼児期から就学に向けた一貫した総合的な気づきを含めた乳幼児健康診査の体制整備に対する支援を行います。 ④ 既に構築した「総合周産期母子医療センター」、「地域周産期母子医療センター」、「周産期医療協力施設」からなる「総合周産期医療システム」について、周産期医療協議会が中心となって関係機関の機能分担と相互の有機的連携を図るなど一層の充実を図ります。 ⑤ 乳幼児の疾病の早期発見や早期治療を促進するため、乳幼児等に対する医療費を助成します。また、身体障がいのある子ども、結核児童及び未熟児に対し、育成医療、養育医療等の必要な医療給付等を行います。 ⑥ 小児慢性特定疾患の治療研究により治療法の確立を推進するとともに、併せて患者家庭の医療費の負担の軽減や日常生活用具の給付を行います。 ⑦ 長期間にわたる療育が必要な未熟児や身体障がいのある子ども、慢性疾患等を有する子どもやその家族に対し、助言や相談、家庭訪問を行い適切な支援を行います。 イ 療育機能の充実 【現状と課題】 (ア) 障がいのある子どもが身近な地域でサービスを受けられる支援体制の充実が求められています。 県全体では障害児通所支援事業所は増加していますが、事業所により支援内容等に差異があることから、療育の質を確保するため、各事業所の支援力向上を図る必要があります。 (イ) 引き続き特別支援教育と連携を図りながら、障がい児(者)地域療育等支援事業を実施し、市町村の相談支援体制の整備及び地域療育の充実を推進する必要があります。 (ウ) 県内では、医療型短期入所は限られており、家族の安心感及び負担軽減の観点から、その確保を図っていく必要があります。 (エ) 市町村の協議会で地域の共通課題に関する確認・検討を行い、市町村等に対して課題解決に向けた施策等の提案を行うとともに、地域だけでは対応できない課題については、県自立支援協議会子ども部会でその対応を検討する必要があります。 (オ)「福島県子ども ・子育て支援事業支援計画」 と調和が保たれた取組を進める必要があります。 (カ) 心理的困難や苦しみを抱え、日常生活の多岐にわたって生きづらさを感じて生活している子どもに対する支援を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 県全域を対象とする専門機関である総合療育センターの機能を充実し、利用児童の治療・訓練・生活指導等の総合的な強化に努めるとともに、発達障がい者支援センターによる専門性の高い相談支援体制の一層の充実を図ります。 ② 地域の療育機関や相談支援機関、教育関係機関が情報を共有し、協力して市町村の相談支援体制の整備及び地域療育の充実を促進します。 ③ 障がいのある子どもの在宅生活を支えるため、日常生活の基本的な動作訓練や集団生活への適応訓練を行い、家族からの相談等にも対応する児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所について、より質の高いサービス提供に向けた対応を検討するとともに、地域の中核施設となる児童発達支援センターの整備を促進します。 ④ 医療的ケアが必要な障がいのある子どもをもつ家庭を支援するため、一時的に介助が得られない場合に対応する医療型短期入所の確保に努めます。 ⑤ 児童の心理治療を行う 「児童心理治療施設」 については、その設置も含め、今後の在り方について、引き続き検討します。 ⑥ 療育支援者の支援技術向上のための研修を実施します。 ウ 保健・医療・福祉・教育等関係者の連携促進 【現状と課題】 (ア)障がいのある子どもを地域で健やかに育てるためには、社会資源の充実とライフステージで分断されることのない、各地域における支援体制を構築することが求められています。 (イ)保育所・幼稚園から小学校への情報提供を円滑に行うなど、教育と福祉の連携を強化し、より身近な地域で学び、質の高い福祉サービスを提供することが求められています。 (ウ)個別の支援計画(福祉) による支援の普及を図り、個別の教育支援計画(教育) と連携を図りながら、ライフステージに応じた一貫した支援体制の整備を図る必要があります。また、支援の効果を総合的に評価し、次の支援につなげていく必要があります。 (エ) 県自立支援協議会子ども部会と県教育事務所や市町村教育委員会が連携してサポート体制を検討する必要があります。 (オ)医療的ケア児及びその家族への支援については、医療、福祉、教育など様々な分野の関係機関が連携し、各地域における支援体制の整備を進めていくことが必要です。 ≪施策の方向≫ ① ライフステージに応じた障がいのある子どもの支援を地域で行うため、保健・医療・福祉・教育・労働等の各分野が連携するシステムとして、市町村の協議会における子ども部会の設置等を促進します。また、障がいのある子どもへの地域での支援の充実が図られるよう、県自立支援協議会子ども部会を中心とした対策の検討を進めます。 ② 発達障がい者地域支援マネージャーを活用し、障がいのある子どもと家族のニーズに応じた支援をしていくため、福祉・教育など様々な分野の関係者が個別支援会議を開き、共通の視点に立って連携して継続的に支援をしていくために作成・活用する 「ふくしまサポートブック」 の市町村における普及を図ります。 ③ 早期から成人に至るまで一貫した指導・支援ができるよう、保育所や幼稚園における就学前の地域での支援の状況を市町村の教育委員会へ適切に引き継ぐとともに、在学中に積み重ねた情報を卒業後に必要となる家庭、進路先、労働、福祉の関係機関等へ引き継ぐための 「個別の移行支援計画」を作成するなどし、教育機関で作成する「個別の教育支援計画」と福祉関係で作成する「個別の支援計画」との連携を図ります。また、進路支援チーム会議を開催し、特別支援学校と障害者就業・生活支援センターが協議をして、高等部卒業後のスムーズな移行支援の在り方について検討を進めていきます。 ④ 医療的ケア児及びその家族が、地域で安心して生活を送ることができるよう、医療的ケア児支援センターを設置し、寄せられる相談に丁寧に対応するとともに、医療的ケア児の家族同士が交流する機会を設けるなど、相談支援体制の充実を図ります。また、医療、福祉、教育などの必要なサービスを総合的に調整する医療的ケア児等コーディネーター養成研修等を実施するとともに、研修終了者が地域で十分な役割を担えるよう、情報提供や助言などのフォローアップに努めます。 (2) 障がいのある子どもへの教育的支援等 ア 地域におけるインクルーシブ教育システム※構築と理解啓発の推進 (「地域で共に学び、共に生きる教育」 の推進) 【現状と課題】 (ア) 特別な支援を必要とする障がいのある子どもと障がいのない子どもが 「地域で共に学び、共に生きる教育」の充実へ向けて、「共に学ぶ」 ための環境づくりを進める必要があります。 (イ)市町村教育委員会による小・中学校の管理職研修や教員研修、各地域における理解啓発セミナー等を継続して支援するとともに、特別支援学校の児童生徒と地域の小・中学校及び高等学校の児童生徒との「交流及び共同学習」の推進を図ることが必要です。 (ウ) 障がいのある幼児の幼稚園への就園機会が一層確保されるよう、障がいのある幼児を受け入れる幼稚園に対し、相談、研修等の支援を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 市町村の協議会に子ども部会等の設置を支援することなどにより、障がいのある子ども及びその家族に対して、乳幼児期から成人に至るまでの一貫した支援体制の整備・充実を図ります。 ② インクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、多様な学びの場の整備に努めます。 ③ 市町村教育委員会が、「個別の教育支援計画」を早期からの就学・教育相談に有効に活用することができるよう支援します。 ④ 移行期において、各学校間で「個別の教育支援計画」を引き継ぎ、就学前から一貫した支援ができるよう、その取組を促進します。 ⑤ 市町村において実施される管理職研修や教員研修、保護者や地域住民に対する理解啓発セミナー等を継続して支援していくことで、特別支援教育に関する理解啓発に努めます。 ⑥ 各学校において、障がいのある子どもと障がいのない子ども及び地域の人々との「交流及び共同学習」の取組を促すとともに、保護者に対して「地域で共に学び、共に生きる」教育の理解啓発を図ります。 ⑦ 障がいのある幼児の幼稚園への就園機会が一層図られるよう、加配制度※を採用し、障がいのある幼児を受け入れる私立幼稚園に対する支援を行います。 ⑧ 幼稚園において、障がいのある幼児への適切な支援が行えるよう、支援員の配置や相談・研修支援の充実を図ります。 ⑨ 発達障がい児研究保育員を各地区に配置し、私立幼稚園における発達障がいのある子どもの保育を通じた効果的な特別支援教育内容に関する調査研究を委託し、その成果の幼児教育への活用を図ります。 ・インクルーシブ教育システム :人間の多様性の尊重等を強化し、障がいのある方が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にするという目的の下、障がいのある方と障がいのない方が共に学ぶ仕組み。 そこでは、障がいのある方が一般的な教育制度から排除されないこと、合理的配慮が提供されること等が必要とされている。 ・加配制度 :障がいのある幼児が、地域の保育園、私立幼稚園に安心して通えるよう、そのニーズに基づき、保育士や看護師の追加配置を行うこと。 イ 幼稚園、小・中学校、高等学校における支援の推進 【現状と課題】 (ア) 障がいのある園児数及び受入幼稚園数は年々増加傾向にあり、適切な支援体制の整備が求められています。 (イ)幼稚園、小・中学校、高等学校で、発達障がいを含む障がいのある児童生徒に適切な教育を行う必要があります。 (ウ) 特別支援学校においては、在籍する児童生徒等の障がいが重度 ・ 重複化、多様化し、また、高等部の生徒が増加傾向にあります。 (エ) 現在、各特別支援学校が行っているセンター的機能による支援を、地域のニーズに応じて、各特別支援学校の専門性をいかした連携の強化、情報の共有を行い、更に効果的な支援へとつなげる必要があります。 ≪施策の方向≫ 〔幼稚園における特別支援教育の充実〕 ① 障がいのある幼児の幼稚園への就園機会が一層図られるよう、加配制度を採用し、障がいのある幼児を受け入れる幼稚園に対する支援を行います。【再掲】 ② 幼稚園において、障がいのある幼児への適切な支援が行えるよう、支援員の配置や相談・研修支援の充実を図ります。 【再掲】 〔小・中学校における特別支援教育の充実〕 ① 特別支援学級や通級指導教室の設置、医療的ケアを必要とする子どもへの看護師の配置等、市町村教育委員会における「共に学ぶ」環境の整備を支援します。また、特別支援学級等の担任に対する研修の充実とともに、教育支援協議会を開催し、小・中学校の校内委員会や校内教育支援委員会の機能充実に向けた指導を実施していきます。 ② 特別支援学校のセンター的機能の活用を促し、各学校における特別支援教育コーディネーターを中心とした校内支援体制の充実を支援します。 ③ 各学校における「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」の活用を支援します。また、「個別の教育支援計画」の作成と活用を促し、切れ目のない支援を充実させるため、作成率と引継ぎ率の調査を実施していきます。 ④ 通常の学級で学習する障がいのある児童生徒を支援するため、特別支援教育支援員等の配置を行う学校に対し支援を行います。 〔高等学校における特別支援教育の充実〕 ① 特別支援学校のセンター的機能や、特別支援教育センターによる支援等の活用を促し、各学校における特別支援教育コーディネーターを中心とした校内支援体制の充実を図ります。 ② 「個別の教育支援計画」を活用して、生徒の能力・特性等にあった進路選択を支援し、必要に応じて、「個別の教育支援計画」を引き継ぎ、一貫した支援の充実を促します。また、中高連携を図っていきます。 ③ 介助員等の配置などにより、各学校における「共に学ぶ」環境の整備に努めます。 〔特別支援学校における特別支援教育とセ ンター的機能の充実〕 ① 特別支援学校においては、「個別の教育支援計画」及び「個別の指導計画」をもとに、児童生徒一人一人の教育的ニーズを明確にした指導及び関係機関と連携した進路選択を支援します。 ② 重複障がいのある児童生徒については、必要に応じて専門家の指導・助言を求めるなどにより、指導の充実を図ります。また、外部講師を招いた研修会を開催し、医療的ケアを含め、指導・支援の充実を図っていきます。 ③ 幼稚園、小・中学校、高等学校等における特別支援教育を支援するため、各学校におけるセンター的機能の充実を図るとともに、その活用を図るための広報を行います。 ウ 障がいのある生徒へのキャ リ ア教育の充実 【現状と課題】 (ア)現状、一般就労を希望してもなかなか就職に結び付つかないため、作業学習を企業等と連携し、より実践的な内容に充実させていく必要があります。 (イ) 職業教育や進路指導の充実及び一般就労を希望する生徒の就職実現につなげるための取組が不可欠です。 (ウ)障がいの程度にかかわらず、障がい特性による優れた能力を伸ばし、就労に結び付けることができるような支援体制が求められます。 ≪施策の方向≫ ① 生徒が社会の一員として主体的に活動し、自立して社会参加するための基盤となる生きる力を培うことができるように、作業学習に企業等と連携したより実践的な内容を取り入れ、福祉・労働機関等との連携の下、職業教育や進路指導の充実に努めます。 ② 生徒の就職実現につなげるため、高等部1年生の早期の段階から産業現場等における実習を行うとともに、事業主の障がい者雇用に対する理解促進を図るため、特別支援学校作業技能大会を開催します。 エ 放課後等対策の推進 【現状と課題】 (ア) 障がいのある子どもが放課後に身近な地域で利用できる社会資源の充足を望む声は大きいことから、福祉、教育等の関係機関の連携による取組が求められています。 (イ)放課後の児童が集う場として、放課後児童クラブ※や放課後子ども教室※が年々増加しています。 今後も、共働き家庭の増加や子どもの交流のため、ますます需要が高まることが予想されることから、新設や保護者のニーズにあった運営を支援していく必要があります。また、障がいのある子どもの受入れについて、対応できる支援員等の人材確保、資質向上等の支援も行う必要があります。 (ウ)児童福祉法に基づいて実施している放課後等デイサービス※については、障がいのある子どもの放課後支援を担っていることから、適切なサービスが実施されるよう事業者への支援を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある子どもを受け入れる放課後児童クラブに対して、支援員等の配置に要する経費を助成することにより、子どもの健全育成や保護者の子育てと仕事の両立を支援します。また、放課後児童クラブの増加のため、研修会を開催し、対応できる支援員等の資質向上等について支援します。 ② 放課後子ども総合プラン※を充実させるため、市町村へ積極的に取り組むよう働きかけるとともに、関係者の資質の向上や運営体制づくり、人材確保等の支援を進めます。 ③ 特別な支援を要する子どもたちに対する放課後子ども教室の充実を図ります。障がいのある児童生徒の放課後や夏休みなどの長期休業時における受入れについては、放課後子ども教室への支援を行い、受入れを促進するとともに、市町村事業の日中一時支援事業での対応と放課後等デイサービスによる療育の提供を促進します。 ・放課後児童クラブ、放課後子ども教室 :放課後児童クラブは児童支援員のもと、適切な遊びや「生活の場を与える取組で、放課後子ども教室は放課後や週末に子どもたちの居場所をつくるために学校の空き教室や体育館等の施設、又は近隣施設(公民館等) を活用し、地域住民の協力によってスポーツや文化活動ができるようにする取組。なお、放課後児童クラブは、厚生労働省所管で、共働きなどで親が日中、留守にする家庭の小学生が対象となるのに対し、放課後子ども教室は、文部科学省所管で、全児童が対象となる。 ・ 放課後等デイサービス : 6歳から18歳の障がいのある児童が、学校終了後や学校休業日に通う療育機能、居場所機能を備えたサービス。 ・ 放課後子ども総合プラン :共働き家庭等の「小1の壁」を打破するとともに、次世代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、一体型を中心とした放課後児童クラブ及び放課後子ども教室の計画的な整備等を進めるもの。 オ 教員の特別支援教育に関する指導力の向上 【現状と課題】 (ア) 教員に対する特別支援教育に関する研修の充実を継続して行う必要があります。 (イ)市町村教育委員会、幼稚園、小・中学校、高等学校の課題に応じた研修の企画支援を行う必要があります。 (ウ) 発達障がいを含む障がいのある児童生徒が小 ・ 中学校等の通常の学級で学んでいることから、小・中学校等の教員には、日々の授業において一人一人の教育的ニーズに合わせた学習指導の方法について、さらに研修する機会を設ける必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 特別支援教育センターによる専門性の高い研修を行うなど、教員が特別支援教育に関する基礎・基本を身に付けることができるよう、幼稚園、小・中学校、高等学校における研修を支援します。 ② 特別支援教育センターにおいて、特別支援学校教員のみならず、特別支援学級担任や、各学校の特別支援教育コーディネーター等の教員を対象とした研修会を開催し、専門性と指導力の向上に努めていきます。 ③ 教育事務所単位でコーディネーター間のネットワークを築き、域内全体の指導力の向上を図っていきます。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標1 障がいのある方の地域生活への移行支援  3 ライフステージに応じた障がいのある子どもへの支援 指標の名称 現況値 目標値 発達障がい者支援センターでの相談件数 R2 1,331件 数値は毎年度把握し分析する(目標値は設定しない) 個別の教育支援計画の引継ぎ率 R元 70.9% R12 100% 基本目標2 障がいのある方が自立した生活を送るための支援 1 文化芸術・スポーツ活動の振興、社会参加の促進 (1)障がいのある方の文化芸術活動への参加 ア 障がいのある方による文化芸術活動の幅広い促進 【現状と課題】 (ア) 障がいのある方の文化芸術活動は、本人の生きがいや生活の質の向上につながるだけでなく、県民にとって、障がいや障がいのある方に対する理解を深めるきっかけとなる重要な機会でもあるため、関係団体等との連携を図りながら、障がいのある方の文化芸術活動を更に推進する必要があります。 (イ) 障がいのある方が気軽に楽しめる旅行やレクリエーション活動の普及に努めるとともに、交流機会の確保に引き続き努める必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方が文化芸術を鑑賞しやすい環境づくりを推進するため、障がいの特性に応じた情報提供の充実やバリアフリー化の促進など、文化施設の環境整備を図ります。 ② 障がいのある方向け、あるいは障がいの有無に関わらず一緒に文化芸術活動に取り組むことができる体験型ワークショップ等を開催します。 ③ 障がい者芸術作品展の開催等により、作品等の発表の機会を確保するとともに、文化芸術活動を通じた地域との交流を促進します。 ④ 障がい者芸術文化活動支援センターを中心として、障がいのある方のニーズに応じた芸術活動を支援する人材の育成、相談体制の整備、情報の収集・発信、関係機関とのネットワークづくり等を行い、障がいのある方の文化芸術活動に対する支援体制の充実を図ります。 ⑤ 事業所や関係団体等との連携を図り、障がいのある方が行う文化芸術活動の取組を促進します。 ⑥ 障害者週間(毎年12月3日~9日)におけるポスターと作文の作品展を実施します。 ⑦ レクリエーション教室の開催など、障がいのある方が気軽に楽しめるレクリエーション活動の普及に努めます。また、障がいのある人もない人も共に楽しんで交流できる機会の確保に努めます。 ⑧ 障がいのある方が快適に旅行を楽しめるよう、観光地等のバリアフリー化を支援します。 イ 視覚に障がいがある方等の読書環境の整備 【現状と課題】 (ア)読書は、生涯にわたって個人の学びや成長を支えるものであり、教養や娯楽を得る手段のみならず、教育や就労を支える重要な活動です。さらに、文化芸術にふれる重要な機会の一つであり、誰もが文化芸術を享受するためには、視覚に障がいがある方等※の読書環境を整える必要があります。 (イ)視覚に障がいがある方等が利用しやすい書籍として、点字図書、録音図書、拡大図書、触る絵本、布の絵本、LLブック等(以下「アクセシブルな書籍」という。)や、デイジー図書、オーディオブック、テキストデータ等(以下「アクセシブルな電子書籍等」という。)など、様々な本があります。これらのアクセシブルな書籍及びアクセシブルな電子書籍等(以下「アクセシブルな書籍等」という。)について、点字図書館や県立図書館等を中心に、利用者のニーズに対応できるよう、所蔵する書籍の拡充を進める必要があります。 (ウ)視覚に障がいがある方等が、アクセシブルな書籍等をいつでもどこからでも入手できるよう、サピエ図書館及び国立国会図書館のインターネットを利用したサービス等について周知する必要があります。 (エ)アクセシブルな電子書籍等を利用するための端末機器等について、情報の入手及び利用するための情報通信技術の習得を支援する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 点字図書館、公立図書館及び学校図書館等において、各々の役割に応じてアクセシブルな書籍等の充実に努めるとともに、県内どこからでも必要な書籍が入手できるよう、相互貸借等の仕組みづくりを進めます。 ② 点字図書館及び県立図書館では、所蔵するアクセシブルな書籍等の拡充を進めるほか、拡大読書器の設置や音声デイジーの再生専用機器「プレクストーク」の貸出、施設のユニバーサル化など、視覚に障がいのある方等が図書館を円滑に利用できるよう努めます。 ③ 点字図書館では、利用者のニーズに対応できるよう、点字図書、録音図書、デイジー図書の製作を進めるとともに、点訳や音訳ボランティアの養成講座やスキルアップのための研修等を実施します。 ④ インターネット上の電子図書館「サピエ図書館」や、国立国会図書館の視覚に障がいのある方等用データ送信サービスなど、インターネット経由で利用できるサービスについて周知を図り、アクセシブルな書籍等の利用を促進します。 ⑤ 障がいのある方を対象としたICT教室の開催や、ボランティアによるパソコン訪問指導など、ICTスキル習得について支援します。 ・視覚に障がいのある方等 :視覚障がいのある方、読字が困難な発達障がいのある方、寝たきりや上肢に障がいがある等の理由により、書籍を持つことやページをめくることが難しい、あるいは眼球使用が困難である身体障がいのある方等。なお、ロービジョン者など障害者手帳の所持の有無は問わない。 (2) 障がい者スポーツの普及 ア スポーツに親しめる環境の整備 【現状と課題】 (ア) 障がいのある方のスポーツ活動を通した社会参加の促進及び障がい者スポーツの普及・振興を図るとともに、障がいの有無に関係なく、スポーツを通した共生社会づくりに努める必要があります。 (イ)障がいのある方のスポーツ推進体制を更に充実させるために、県と関係団体が連携し、障がい者スポーツ環境の充実を図る取組が必要となります。 ≪施策の方向≫ ① 障がい者スポーツの振興のため、公益財団法人福島県障がい者スポーツ協会を始めとした関係団体と連携し、活動の充実を図ります。 ② 障がいのある方が生きがいをもって積極的に社会活動に参加できるよう、健康づくりや体力づくりのためのスポーツ教室等の開催に努めます。 ③ 関係機関・団体等と連携し、障がいのある方の多様なニーズに対応できる専門的な知識を有するスポーツ・レクリエーション指導者の養成に努めます。また、スポーツボランティアの育成やその活用に向けた研修会の開催等を支援します。 ④ 各障がい者スポーツ競技団体の競技会開催等の活動を支援するとともに、誰もが生涯を通して、スポーツに親しむことができる住民主体の総合型地域スポーツクラブの設立・育成・定着の促進など活動機会の確保に努め、障がいのある方が更に活動しやすい環境づくりを進めます。 ⑤ 県障がい者総合体育大会を開催し、身体、知的、精神の各障がい種別を越えた交流を図るとともに、全国大会へ選手を派遣します。また、福島県障がい者スポーツ協会において北海道・東北ブロック予選会や全国大会、国際大会に参加する選手への支援を行います。 ⑥ 地域に根ざした支援者の育成や、スポーツ用具の貸出等により、障がいの有無を問わず、誰もが身近な地域でスポーツを楽しめる環境整備に取り組みます。 ⑦ 学校や公民館等における出前講座や、自治体等と連携した体験イベント等を実施し、障がい者スポーツに関する情報や魅力の発信に努めます。 イ パラリンピック※等競技スポーツへの取組の推進 【現状と課題】 2020年東京パラリンピックを契機として、本県の障がい者スポーツの将来を担う次世代選手の継続的な強化育成や、競技人口の少ない競技者に対する支援等により、一層の障がい者スポーツの裾野拡大・競技力向上に取り組む必要があります。 ≪施策の方向≫ パラリンピックやデフリンピック※、スペシャルオリンピックス世界大会※等を始めとした、将来の国際大会等での活躍が期待される次世代アスリートの強化活動や、県内競技団体が行う強化練習会への支援等を通じて、県内障がい者スポーツの競技力強化に取り組んでいきます。 ・パラリンピック :国際身体障害者スポーツ大会。4年に1回、オリンピック開催地で行われ、運動機能障がいや視覚障がいなどを持つ選手が参加する。IPC (国際パラリンピック委員会)が主催。 ・デフリンピック :聴覚障がいを持つ選手による国際的なスポーツ大会。ICSD (国際ろう者スポーツ委員会)が主催し、4年に1回行われる。全日本ろうあ連盟を中心に、2025東京デフリンピックについて招致活動を行っている。 ・ スペシャルオリ ンピックス世界大会 : 4年に1度、夏季及び冬季に開催される知的障がい者のスポーツの世界大会。 SO(スペシャルオリンピックス)が運営。 (3) 社会参加活動の充実 ア 障がいのある方の社会への参画促進 【現状と課題】 (ア) 福島県障がい者社会参加推進センター等において、各種生活訓練事業及び手話通訳者や要約筆記者等の養成・派遣事業を実施していますが、障がいのある方の社会参加を更に促進していくため、市町村と連携して、情報提供、相談・普及啓発、調査・研究を実施していく必要があります。 (イ)障がいのある方の社会参加の在り方について、各種施策への障がいのある方本人の意見を反映させるとともに、今後、検討する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 地域における自立生活と社会参加を推進するため、全ての障がいのある方を対象に、情報収集、情報提供、普及啓発、調査・研究など様々な社会参加促進施策を行う県障がい者社会参加推進センターによる支援を行います。 ② 障がい者施策を始めとする各種施策への障がいのある方本人の意見を反映させるため、審議会等委員などへの障がいのある方本人や家族の参画を促進します。 ③ 県聴覚障害者情報支援センター、県視覚障がい者生活支援センター及び県点字図書館による各種情報提供の活動等の充実を図り、障がいのある方の社会参加を促進します。 イ 障がいのある方本人及び家族同士、地域との交流促進 【現状と課題】 (ア)障がいのある方が、地域社会の一員として安心して地域で生活できるように、地域の行事や活動への積極的な参加を促進していく必要があります。また、社会福祉施設等で催される運動会、文化祭、祭りなどへの地域住民の参加を促進していく必要があります。 (イ)障がいのある方の地域移行が進む中、地域の中で自立した生活を送るためには、地域住民との関わりがますます重要になっており、障がいのある方の社会参加の在り方について、総合的に検討する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方同士あるいは家族同士の相互理解を推進するため、地域における様々な障がい者団体等の交流活動に、障がいのある方及びその家族が気軽に参加できるような環境づくりに取り組みます。 ② 障がいのある方が地域の一員として生活できるよう、地域住民の理解促進や社会適応力を養うために、地域の行事等への障がいのある方の積極的な参加を促進します。また、その一助として、県の公共施設使用料の免除制度の普及に努めるとともに、県内市町村における使用料減免公共施設の情報収集・周知を図ります。 ③ イベントパンフレットの作成等によりイベント告知を強化し、社会福祉施設等で催される運動会、文化祭、お祭りなどの行事への地域住民の参加や、施設利用者の地域行事への積極的な参加など地域との交流を促進します。 ④ 社会福祉施設等におけるスポーツや趣味・教養等の活動施設を地域住民に開放することにより、地域との交流を促進します。 ウ 各種生活訓練の充実 【現状と課題】 (ア)障がいのある方が地域で自立した生活を送るためには、その障がいに応じた生活訓練、社会適応訓練等が必要なことから、精神科デイケアや地域リハビリテーションの観点を考慮した対応が求められています。 (イ)障がいのある方や介護者の負担を軽減する上で、福祉機器は重要な役割を果たしており、社会環境の変化、技術進歩等により新たな福祉機器への要望が生じていることから、県障がい者総合福祉センターなどにおける情報提供の充実に努める必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方の生活訓練については、市町村及び関係団体との連携を図りながら、各種生活訓練事業の実施に取り組みます。 ② 中途失明者及びロービジョン(低視覚)者に対する在宅生活訓練等の充実に努めます。 ③ 障がいのある方が福祉機器等を適切に利用できるよう、最新の福祉機器の情報収集及び情報提供活動等の充実に努めます。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標2 障がいのある方が自立した生活を送るための支援 1 文化芸術・スポーツ活動の振興、社会参加の推進 指標の名称 現況値 目標値 障がい者芸術作品展の応募 作品数 R2 387点 R12 540点 障がい者スポーツ教室・大会 参加者数 R2 402人 R12 6,600人 2 雇用・就業、経済的自立の支援 (1) 障がい者雇用の推進 ア 雇用の促進 【現状と課題】 (ア) 県内民間企業における障害者雇用率は、令和3年6月1日現在2.15%となっており、県内の半数を超える企業が法定雇用率を達成している状況にありますが、全国平均の2.20%を下回っていることから、引き続き、求人開拓、職域開拓等を積極的に行い、雇用の場の確保を図る必要があります。なお、障害者雇用率2.3%の達成企業割合は、53.1%(前年比2.6ポイント下降)で、全国平均47.0%を上回る状況にあります。 (イ)県内の公的機関における令和3年6月1日現在の障害者雇用率(国、地方公共団体:2.6%、県教育委員会:2.5%)の達成状況は、前年まで障害者雇用率を達成していた県知事部局等(県、県病院局、県警察本部)の実雇用率が前年比0.05ポイント上昇の2.68%、県教育委員会の実雇用率が前年同率の1.93%、県内59市町村等の平均実雇用率が前年比0.06ポイント上昇の2.13%であり、国で定めた障害者雇用率を達成できていない状況にあります。 (ウ)令和3年3月1日より障害者雇用率が引き上げられたこと、「障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)」改正により令和元年から障害者雇用率の算定対象となる障がい者の確認に関する書類の保存が義務化されることを踏まえ、より一層、障がい者雇用を促進するとともに、障がいのある方の雇用状況についての的確に把握する必要があります。 (エ)障がいのある方を取り巻く雇用環境が厳しい状況にある中、就業している障がいのある方の雇用の定着や、離職者に対する再就職支援を図る必要があり ます。 ≪施策の方向≫ ① 障害者雇用率達成※のため、事業主に対し制度を周知するとともに、各種助成金制度の普及を促進し、関係機関と連携して障がい者雇用を推進します。 ② 障害者雇用支援月間(毎年9月)に、関係団体等と共同し、街頭キャンペーン、優良事業所や優秀勤労障害者に対する表彰を実施する等、障がい者雇用に関する普及・啓発活動を推進します。 ③ 障がいのある方にとって働きやすい職場環境の実現のため、段差解消やみんなのトイレ※等の設備改造などについて、事業主の理解を促進します。 ④ 障がいのある方を試行的に雇用し、常用雇用への移行や雇用のきっかけづくりを図るトライアル雇用制度の周知に努めます。 ⑤ 障がいのある方が職場内の実地訓練を行うことにより適応性を高め,訓練終了後の継続雇用につなげる「職場適応訓練事業」の周知に努めます。 ⑥ 障がいのある方の職場での適応を容易にするため、障害者職業センター等における障がいのある方の就職先への職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣事業の周知に努めます。 ⑦ 多様な就労形態に対処できるよう、各公共職業安定所や障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所、就労定着支援事業所と連携して、在宅就労などが可能な事業所の開拓を行います。 ⑧ 雇用問題について社会一般の理解と関心を高め、障がい者雇用を促進するため、県内の公共職業安定所が実施する企業と障がいのある方の合同面接会の開催に協力します。 ⑨ 福島県障がい者技能競技大会(ふくしまアビリンピック)※の開催を通じて、障がいのある方の職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々が障がいのある方に対する理解と認識を深めることにより、障がい者雇用の促進に努めます。 ⑩ 障がい者雇用を促進するため、県機関の物品調達において、引き続き障がい者雇用推進企業等からの物品調達優遇制度の適切な運用を図ります。 ⑪ 障がい者雇用を促進するため、県発注工事等の総合評価方式入札において、評価項目に「障がい者雇用の実績」を設けて加点対象とします。 ⑫ より多くの障がいのある方が公務員・教員等の採用試験を受けられるよう、障がいのある方に対する職域の開拓や支援の実施方法の在り方等を検討します。なお、試験の実施方法については、引き続き受験者の申し出により、可能な範囲において個別具体的な対応をしていくこととします。 ・障害者雇用率 :身体障がいのある方・知的障がいのある方・精神障がいのある方について、一般労働者と同じ水準で、常用労働者となる機会を与えるため、事業主等に雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するもの。 一般の民間企業・・・・・2.3%、 特殊法人等・・・・・・・・2.6% 国、地方公共団体・・・・2.6%、 都道府県等の教育委員会・・2.5% ・みんなのトイレ :ユニバーサルデザインの考え方を取り入れて、車いす使用者や介助者を必要とする方が利用できるよう十分な広さが確保され、乳幼児の利用できるベッドやいすなどの設備配置されるなど、だれでも利用しやすいよう配慮されたトイレ。 ・福島県障がい者技能競技大会 (ふくしまアビリンピック) :障がいのある方が、日頃培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々が障がいに対する理解と認識を深め、その雇用の促進を図ることを目的に、年1回開催している。ワード・プロセッサ、パソコンデータ入力、縫製、オフィスアシスタント、喫茶サービス及びビルクリーニングの6種目で実施。金賞受賞者は、全国大会の出場候補者となる。 イ 障がい特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保 【現状と課題】 (ア) 障がいのある方がその能力と適性に応じて可能な限り仕事に就くことができるよう、障がいのある方に対する就労支援体制の整備や職業訓練の実施など、職業能力開発の機会の拡大を図ること等により、障がいのある方の職業的自立を進める必要があります。 (イ) 県内各圏域に設置されている6つの障害者就業・生活支援センターを中心として、障がいのある方の職業生活における自立を図るため、雇用・福祉・教育等の各関係機関が連携して、障がいのある方に対し就業面及び生活面における一体的な支援を行う必要があります。 (ウ) 短時間労働や在宅就業、自営業など障がいのある方が多様な働き方を選択できる環境の整備が求められています。 ≪施策の方向≫ ① 障害者就業・生活支援センターを中心として、地域の関係機関が連携して、障がいのある方の雇用前の雇入れ支援から雇用後の職場定着支援まで一貫した支援を実施します。また、職場生活と日常生活の両面からの支援も併せて行います。 ② 公共職業安定所との連携の下、障害者就業・生活支援センターによる就労の相談支援や、就労移行支援事業所の就労訓練、就労定着支援事業所による就労継続の支援、特別支援学校の職場実習や職業選択の支援等により、障がいのある方の就労を支援します。 ③ 障がいのある方の就労支援に関する様々な課題へ対応するため、教育関係の「就労連絡協議会(総称)」や福祉関係の市町村の協議会及び県自立支援協議会就労支援部会など、雇用・福祉・教育の各関係機関の連携による支援を行います。 ④ 事業主へ委託して職場での訓練を実施することにより、雇用促進を図ります。 ⑤ テクノアカデミーにおいて、企業、社会福祉法人、NPO、民間教育訓練機関等を活用し、障がいのある方の能力、適正及び地域の障がい者雇用ニーズに対応した委託訓練を実施し、職業能力の開発に努めます。 ⑥ 発達障がい者の就労支援については、その特性に応じた就労支援を行っていく必要があることから、発達障がい者支援センターに就労支援員を配置し、障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業所等と連携を図り、必要な支援を行います。 ⑦ 情報通信技術を活用した柔軟な働き方であるテレワークの一層の普及・拡大を図るなど、時間や場所にとらわれない働き方を検討していきます。 (2) 福祉的就労の充実 ア 福祉的就労の促進 【現状と課題】 (ア) 障がいのある方の適性や能力に応じた就労訓練が身近な地域で受けられるよう、就労継続支援事業所等の福祉的就労の場の整備や経営基盤の安定を図る必要があります。 (イ)工賃の向上や、福祉的就労から一般就労への移行を促進するためには、就労継続支援B型事業所等において担い手となる人材の育成及び資質の向上が重要です。また、官民一体となった取組を進めるなど、就労継続支援A型事業所等も含め福祉的就労の底上げを図る必要もあります。 (ウ)農業分野においては、人口減少や高齢化の進展に伴う担い手不足、遊休農地の増加等が課題となっています。一方、就労を希望する障がいのある方にとって、農業は、障がいの程度や能力に応じた作業があること、自然とのふれあいにより情緒の安定が期待できること、一般就労に向けた体力面、精神面での訓練の場となり得ること、地域との交流の機会となることなどから、就労の場としても注目されています。 ≪施策の方向≫ ① 県内においても、就労継続支援B型事業所の整備は進みましたが、身近な地域で福祉的就労※や一般就労に向けた訓練ができるよう、就労継続支援※事業所等の計画的整備を促進するとともに、サービスの質的な向上を図ります。 ② 官民が一体となって、事業所の経営力強化に向けた支援、共同受注化の推進など、工賃向上に向けた取組を推進していきます。 ③ 労働局や障害者職業センター等と連携を図りながら、就労継続支援事業所等の就労支援員と職業指導員の専門性や資質の向上を図ります。 ④ 就労継続支援事業所等を運営する法人の農業分野参入に関する支援方策を検討します。 ⑤ ワンステップ制度※の周知徹底を図るとともに、制度を活用した福祉的就労の促進を図ります。 ⑥ 農福連携※により、農業分野での障がいのある方の就労を支援し、農業の担い手不足解消を図るとともに、障がいのある方の職域拡大を支援します。 ・福祉的就労 :障害福祉サービス事業所等において、日中活動サービスの訓練等として行われる生産活動や作業活動。最低賃金法等の適用もなく、雇用契約に基づく一般的な就労とは異なる(就労継続支援A型事業所を除く)。なお、活動によって生産した製品の販売や役務の提供などにより得られた収入は、工賃として福祉サービス利用者に分配される。 ・就労継続支援 :一般企業での就労が困難な方に働く場を提供するとともに、知識及び訓練向上のための訓練を行う。事業者と利用者間で雇用契約を締結するA型事業と締結しないB型事業がある。 ・ ワンステップ制度 :就労を希望する障がいのある方の思いを具現化し応援するため、ステップアップシートに記載された障がいのある方の思いや経験の記録等の23項目を関係機関で共有する。県自立支援協議会就労支援部会で作成。 ・農福連携 :農業と福祉が連携し、障がいのある方の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障がいのある方の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組であり、近年、農業経営体による障がいのある方の雇用、障がい者就労施設等による農業参入や作業受託等、様々な形で動きが見られるようになってきている。 イ 工賃向上の支援 【現状と課題】 (ア) 県では、就労継続支援事業所等における工賃水準の向上を具体的に推進するため、令和3年3月に「第5期福島県障がい者工賃向上プラン」を策定し、月額20,000円、時間額206円の目標を立てました。 目標達成のための各事業所の主体的な取組を支援しています。 (イ) 就労継続支援事業所等の利用者の工賃の向上を図るためには、事業所共同による製品開発受注の仕組みづくり、販売場所の増設、市場のニーズとのミスマッチ解消等を検討していく必要があります。 (ウ) 「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(以下「障害者優先調達推進法」という。)」により、国や地方自治体には、物品やサービスを調達する際、障がい者就労施設等から優先的・積極的に購入することが求められています。 ≪施策の方向≫ ① 事業所の経営力強化に向けた支援及び障がいのある方の生きがいや自己実現を図る観点から、県障がい者工賃向上プランに基づき、工賃水準の向上に取り組みます。 ② 障がいのある方の工賃向上に向けて、県として、「障がい者就労施設等からの物品等調達方針」を定め、調達目標の達成に向けて取り組むとともに、市町村等における取組拡大を促進します。 ③ 就労継続支援事業所等における経営の改善や事業所職員の意識改革に係る取組を支援します。 ④ 福島県授産事業振興会と連携し、事業所向けの経営相談の実施、事業所における新製品の開発や販路開拓、共同受注の仕組みづく り等の支援を強化します。 ⑤ 農福連携を促進することにより農業分野での障がいのある方の収入拡大を支援するとともに、障がい者就労施設等によるマルシェの開催や施設商品のブランド化による付加価値向上を支援します。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標2 障がいのある方が自立した生活を送るための支援 2 雇用・就業、経済的自立の支援 指標の名称 現況値 目標値 民間企業における障がい者 実雇用率 R3 2.15% R12 2.30% 工賃(賃金)月額の実績 R2 14,820円 R12 増加を目指す 基本目標3 障がいのある方が活躍できる社会づくり 1 生活環境 (1)外出、移動しやすい環境整備 ア 公共交通機関及び公共的施設のユニバーサルデザイ ン化の推進 【現状と課題】 (ア)障がいのある方が活動範囲を広げ、積極的な社会参加活動が実現できるよう、移動支援の充実を検討する必要があります。 (イ)市町村に対し、移動の円滑化に関する情報の提供を行うとともに、引き続き「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー新法」という。)」に基づく基本構想の策定及び事業実施を促進する必要があります。 (ウ)障がいのある方の外出支援については、家族に対する支援や社会参加を促進する観点から、通所等を含め、障がいのある方が容易に交通へアクセスできるよう、地域の社会資源を調査し、関係機関が連携する取組を検討する必要があります。 (エ)車いすでも乗れるノンステップバス等については、台数が少なく、路線が毎日変更されることもあり、障がいのある方にとってバスの利用は難しい現状にあります。 ≪施策の方向≫ ① 全ての人が同じ空間を、同じ動線で、自由に移動できることを基本に、車いす等利用者が通行しやすい歩道勾配の採用や公共交通機関との円滑な接続、積雪時における通行幅の確保、無散水消雪施設のある歩道整備等連続性や動線、段差に配慮し、冬期間でも安全で安心して通行できるよう「ふくしま公共施設等ユニバーサルデザイン指針」に基づいた道路整備を進めます。 ② 公共施設、福祉施設、駅などを連結する既存の歩道の段差解消や拡幅、無電柱化による障害物除去などユニバーサルデザインに配慮した歩道ネットワークの整備を進めます。 ③ 道路、河川、公園、公共建築等の公共施設について、指針に基づきユニバーサルデザインの実現に取り組みます。 ④ 市町村に対し、移動の円滑化に関する情報の提供を行うとともに、バリアフリー新法に基づく基本構想の策定及び事業実施に際して助言します。 ⑤ 公共交通事業者による旅客施設及び車両等について、エレベーター等の設置による段差解消や点状ブロック等の視覚障がい者の転落を防止するための設備の整備、ノンステップバスの導入等の移動等円滑化の促進のため、国、市町村等と連携して取り組みます。 ⑥ 公共交通機関の運賃や有料道路通行料金の減免制度の普及に努めます。 ⑦ 障がいのある方を始め高齢者等に配慮した車いす使用者用駐車施設の適正利用を図るため、おもいやり駐車場利用制度※の普及に努めます。 ⑧ 公共交通機関間の乗り継ぎの円滑化等については、関係機関との連携を図りながら対応します。また、公共交通機関の旅客施設及び車両内において、障がい特性に配慮した案内表示や情報提供の充実を推進していきます。 ⑨ 障がいのある方の外出を支援するため、市町村と連携して、移動支援事業及び同行援護等障害福祉サービス事業の普及を促進するとともに、従事者の養成と資質の向上を図ります。 ⑩ 障がいのある方の移動手段の確保については、県及び市町村の協議会が中心となって、地域の社会資源の有効活用のための方策を検討します。 ・ おもいやり駐車場利用制度 :障がいのある方、高齢者及び妊婦等、歩行が一定程度困難と認められる方に県が利用証を交付し、制度に協力している店舗や公共施設などに設置されている専用駐車場を利用できるようにすることを目的とした取組。全国39府県1市と利用証の相互利用を実施している。利用証の申請窓口 :各市町村、公益財団法人福島県身体障がい者福祉協会各支部、県障がい福祉課、各県保健福祉事務所県いわき地方振興局県民部福祉課 イ 補助犬の活用 【現状と課題】 身体障害者補助犬※(盲導犬 聴導犬 介助犬)は身体に障がいのある方のパートナーであり、人が立ち入ることができる様々な場所に同伴可能です。 しかし、一部の補助犬ユーザーからは、いまだに飲食店等で受入れを拒否されたとの苦情が寄せられており、公共施設を始め、飲食店等様々な場所での補助犬の受入れを義務付ける 「身体障害者補助犬法」 の更なる周知徹底を図る必要があります。 ≪施策の方向≫ 身体障害者補助犬の同伴・受入れについて、公共施設や交通機関を始め、飲食店やスーパー、ホテルなどの各事業者へパンフレット配布、ホームページ掲載等による周知徹底と理解促進を行うとともに、「福島県補助犬育成貸与事業」 を活用し、利用者のニーズに応じた補助犬の育成・貸与を図ります。なお、県内では、令和3年3月31日現在、同事業を活用して、19頭の補助犬(全て盲導犬) が活躍しています。 ・身体障害者補助犬 : 身体障害者補助犬法に基づき認定された、目や耳や手足に障がいのある方の生活を手助けする特別な訓練を受けた「盲導犬」、「聴導犬」及び「介助犬」のこと。同法では、国や地方公共団体などが管理する公共施設、公共交通機関(電車、バス、タクシー等)、不特定かつ多数の人が利用する民間施設(商業施設、飲食店、病院、ホテル等)及び従業員50人以上の民間事業所に補助犬の同伴を受け入れる義務を課している(従業員50人未満の民間事業所及び民間住宅には努力義務を課している) 。(出典 :厚生労働省ホームページ) (2) 福祉のまちづくりの推進 ア 障がいのある方の住まいに配慮したまちづくりの推進 【現状と課題】 (ア)すべての人に配慮した、まちづくりを総合的に進めるため、「人にやさしいまちづくり条例」に基づき、建築物等のユニバーサルデザイン化を推進しています。 (イ) 障がいのある方が日常生活上の相談を受けながら共同生活を行うグループホーム等の整備を促進するなど、地域において住居の確保を図り、その利用を促進します。 (ウ)高齢の障がいのある方、罪を犯し矯正施設を退所した障がいのある方等の住宅の確保が求められています。 ≪施策の方向≫ ① 道路、河川、公園、公共建築等の公共施設について、「ふくしま公共施設等ユニバーサルデザイン指針」に基づき、ユニバーサルデザインの実現に取り組みます。【再掲】 ② 民間の住宅新築については、住宅性能表示制度における高齢者等配慮対策基準を考慮してユニバーサルデザイン化を浸透させるとともに、ユニバーサルデザインを進める民間団体との連携を推進します。 ③ 障がいに配慮した住宅の改修や、障がい者用自動車・福祉用具等の購入を支援するため、生活福祉資金貸付事業等の各種融資制度の周知に努めます。 ④ 新たな病院や公営住宅などの県有建築物の整備や既存施設の改修に際しては、障がいのある方を始め、誰もが利用しやすいように、ユニバーサルデザイン化を図るよう努めます。 ⑤ 公益的施設のバリアフリー化を推進するため、人にやさしいまちづくり条例の整備基準に適合する施設に対する条例適合証 (やさしさマーク)※の交付及び制度周知を推進します。 ⑥ 主たる所得を得ている方が障がいのある方であって、その方が県営住宅の入居申し込みを行う場合は、県営住宅における優先入居を引き続き実施するとともに、市町村営住宅における優先入居実施を促進します。 ⑦ 高齢の障がいのある方、罪を犯し矯正施設を退所した障がいのある方等は、経済的に困窮している場合が多いことから、住居確保においては、住宅セーフティネット法に基づき、賃貸人、賃借人(障がいのある方)双方に対する情報提供等の支援、必要な相談体制の整備とともに、家賃債務保証制度の活用等の促進により、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援します。また、障がいのある方の生活安定を図るための制度である心身障害者扶養共済制度等の周知を図ります。【再掲】 ⑧ 障がいのある方の居住の場の安全・安心を確保するため、社会福祉施設等の耐震化・スプリンクラー整備を促進します。 ・やさしさマーク :「人にやさしいまちづくり条例」の整備基準に適合し、障がいのある方を始め、すべての県民が安心して利用できるよう配慮された建物に交付される条例適合証。 イ ボランティアやNPO等との連携 【現状と課題】 (ア)障がいのある方が、住み慣れた地域で生活を営むためには、公的な在宅福祉サービスの充実とともに、地域共生社会づくり(地域における支え合い活動の推進)が重要です。 (イ)社会環境の変化や少子高齢化、人口減少等の進行により、地域のつながりの希薄化や家庭機能の低下が生じている中、地域共生社会づく りのためにボランティアを育成する必要があります。 (ウ)ボランティア活動をしていない人に対するボランティア活動の紹介や、ボランティア活動を始めるきっかけづくりや、活動の発展が必要です。 (エ)地域や学校等での児童・生徒を対象とした福祉教育に加え、様々な世代の人に対する福祉教育を進める必要があります。 ≪施策の方向≫ ① それぞれの地域における保健・医療・福祉のサービス提供を基に、地域住民の誰もが地域の中で安心して暮らせる社会や新たなコミュニティづくりのために、地域住民を始めとして、市町村、社会福祉協議会、福祉サービス事業者、各種のボランティアやNPO等の連携による推進体制を支援します。 ② 地域におけるボランティア活動の拠点である市町村社会福祉協議会の機能の強化と、それに向けた県社会福祉協議会によるボランティア・福祉教育担当者の資質向上、福祉教育・学習の推進への取組を支援します。 ③ ふくしま地域活動団体サポートセンターを始めとした県内のNPO支援組織と連携して、ボランティアやNPOの支援活動に取り組みます。 ④ 児童・生徒や成人等が福祉ボランティア活動を体験できる機会づくりを支援するとともに、ボランティアを受け入れる福祉施設等への研修を支援します。また、小学生、中学生、高校生の福祉ボランティア活動を推進するためには、福祉の職場をよく理解してもらう必要があるため、PR冊子を作成・配布し周知徹底を図ります。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標3 障がいのある方が活躍できる社会づくり 1 生活環境 指標の名称 現況値 目標値 ユニバーサルデザインに配慮 した歩道の整備率 R2 67% R12 69% おもいやり駐車場利用制度 協力施設数 (H21~累計) R2 1,240施設 R12 1,360施設 やさしさマーク交付数 (H5~累計) R2 442件 R12 642件 2 障がいのある方のアクセシビリティの向上 (1)障がいのある方の情報利用 ア 情報通信におけるアクセシビリティ (利便性) の向上 【現状と課題】 (ア)障がいのある方が円滑に情報を取得・利用し意思表示やコミュニケーションを行うことができるように、障がいのある方に配慮した情報通信機器及びサービス等の企画、開発及び提供を促進していく必要があります。 (イ)日々進化を続けるICT(情報通信技術)に、障がいのある方が対応していけるように、その利用及び活用の機会の拡大を図る必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方に配慮したタブレット型端末等の情報通信機器や音声コード、字幕等のサービスについて、普及促進に努めます。 ② 障がいのある方に対するICT相談等のサポート体制の整備を促進し、障がいのある方のICTの利用及び活用の機会の拡大に努めます。 イ 障がい特性に応じた情報提供の充実 【現状と課題】 (ア)情報を利用する障がいのある方の立場に立って、利用者のニーズを重視したより分かりやすく使いやすいホームページ等の運用が求められています。 (イ)障がいのある方が迅速かつ正確に必要な情報を獲得できるよう、国からの情報や本県が提供する情報をいち早くホームページに掲載するとともに、レイアウト、掲載文字の拡大、音声読み上げ機能の強化等見やすくするための配慮が必要です。 (ウ) メールマガジンや動画配信などホームページ以外の新たな広報手法との連携を含めた電子媒体を活用し、県政情報の提供を推進していく必要があります。 (エ)県点字図書館における点訳・音訳等刊行物の貸出数は年々増加していますが、今後も視覚障がいのある方のニーズに応えた製作タイトルの充実を図るとともに、利用登録者を増やしていく必要があります。 (オ) 県聴覚障害者情報支援センターにおける、字幕入りDVDの製作や手話通訳者、要約筆記者等の養成・派遣の拡充を図る必要があります。 (カ) 国が策定した 「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(以下「意思決定支援ガイドライン」という。)」では、障害福祉サービスを提供する事業者等が、障がいのある方の意思決定の重要性を認識した上で、必要な対応を実施できるよう、意思決定支援の定義や意義、標準的なプロセス、留意点等が示されています。 ≪施策の方向≫ ① 点字図書館については、指定管理団体との連携を図りながら、点字・録音図書などによる情報提供及び広報を積極的に行い、利用者へのサービス向上を図ります。 ② 県聴覚障害者情報支援センターを活用し、聴覚障がいのある方のニーズに即した情報の提供を推進します。 ③ 文章の工夫や絵記号を活用するなど、知的障がいや発達障がいのある方等に分かりやすい情報提供を目指します。 ④ 知事記者会見や議会中継の映像に手話通訳を付けて、ホームページに掲載します。 ⑤ 利用者のニーズを重視したより分かりやすく使いやすいホームページを提供するとともに、メールマガジン、YouTube(ユーチューブ)、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)や動画配信など新たな広報手法や他の広報媒体との連携を含めた電子媒体の調査・検討を行います。 ⑥ 点字広報ふくしまの発行や同時手話通訳による県政広報テレビ番組を放映するなど、視覚・聴覚障がいのある等に対する県政情報提供の充実を図ります。 ⑦ ホームページ上の資料は、視覚障がいのある方へ配慮し、音声読み上げ可能なファイル形式で掲載したり、知的障がいのある方等にも分かりやすい表現を用いたりする等、障がいのある方を含む全ての人の利用しやすさに配慮した行政情報の電子的提供の充実に取り組みます。 ⑧ 県議会の情報について、新聞広報の内容をCD等に録音して視覚障がいのある方等に配付するとともに、テレビ広報では全編に手話やテロップの取入れ、印刷物には、音声コードを導入するなど、多くの人に分かりやすく広報をします。 ⑨ 民間事業者からも障がい特性に応じた情報が提供されるよう、働きかけを行います。 ⑩ 意思決定支援ガイドラインでは、「本人への支援は自己決定の尊重に基づき行うことが原則である。本人の自己決定にとって必要な情報の説明は、本人が理解できるよう工夫して行うことが重要である。」としています。障がいのある方に適切に情報提供が行われるよう、研修等を通して意思決定支援ガイドラインの普及・啓発に努めます。 (2) 意思疎通支援の充実 ア 意思疎通支援従事者の養成確保 【現状と課題】 (ア)本県では、“手話※は言語である”との認識の下に、手話の普及や手話を使用しやすい環境の整備を推進し、ろう者※とろう者以外の人が共生する社会を実現するため「福島県手話言語条例」を制定しました。(平成31年4月施行) (イ)聴覚障がいのある方等のコミュニケーション支援充実のため、各障がい関係団体を通じて、市町村、教育、公的機関等へ手話通訳者、要約筆記※者等の派遣を行っていますが、あわせて養成研修を実施し、育成・確保を図る必要があります。 (ウ)視覚障がいのある方のコミュニケーション支援の充実を図るため、点訳・朗読奉仕員の養成・確保を図る必要があります。 (エ)失語症者の自立と社会参加を図るため、専門性の高い意思疎通支援者を養成する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 手話について、県民が理解し学ぶことができる機会を確保します。 ② 聴覚障がいのある幼児、児童又は生徒(以下「聴覚障がい児」という。)が手話を学び、かつ、手話により学ぶことができるよう、教職員の手話に関する技術向上に努めます。 ③ 聴覚障がい児とその保護者に対して、手話に関する学習の機会の提供、教育に関する相談及び支援に努めます。 ④ 障がい特性に応じたコミュニケーションの支援を行い、障がいのある方の活動を支援するため、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者通訳・介助員等を養成する研修会を開催するとともに、コミュニケーション支援従事者を指導する人材の育成に努めます。 ⑤ 聴覚障がいのある方の活動を支援するため、福島県聴覚障害者情報支援センターの実施する手話通訳者、要約筆記者等の派遣を促進します。 ⑥ 視覚障がいのある方へ点字、録音図書等による情報を提供するため、点訳・音訳奉仕員の養成を行います。 ⑦ 視覚、聴覚、言語発声機能に障がいのある方のコミュニケーションを支援するため、障がい者パソコン教室の開催や、在宅障がい者へのパソコンボランティアの派遣等により、パソコン操作等の習得を支援します。 ⑧ 意思疎通に困難を抱える障がいのある方が、自分の意思を的確に伝え、正しく理解してもらうことを支援する絵記号※の普及促進を進めていきます。 ⑨ 失語症者向け意思疎通支援者の養成講座を実施し、人材の育成に努めるとともに、派遣の仕組みづくりを進めます。 ・手話 :聴覚障がいのある方がコミュニケーションをとったり物事を考えたりするときに使う言葉で、指の動きや表情などを使って概念や意思を視覚的に表現する視覚言語。なお、国連障害者権利条約には、手話が言語である旨明記されている。 ・ろう者 :聴覚障がいのある方のうち、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。 ・要約筆記 :手話を主なコミュニケーション手段としない中途失聴者や難聴者に対して情報を伝える方法。話の内容をその場で文字にして伝えるが、話のスピードにより全てを文字にすることはできないため、内容を要約しながら伝える支援方法。 ・絵記号 :文字や言葉によるコミュニケーションをとることが困難な人が、自分の意思を容易に的確に相手に伝え、相手に正しく理解してもらうことを支援するための記号。日本工業標準調査会(JISC)が平成17年に制定。約300の絵記号例がある。 (3) 行政等における配慮の定着 ア 全ての人が利用しやすい行政情報の提供 【現状と課題】 (ア)県は、知事部局等の職員が障がいを理由とする差別の禁止に関して適切に対応するため、「福島県における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領(平成28年4月施行。以下「職員対応要領」という。)」を策定しました。 (イ)障がいのある方が適切な行政サービスを受けられるよう、行政機関職員に対する障がいへの理解の促進のための研修等の実施が求められています。 (ウ)障がいのある方が、行政の窓口等において、円滑に権利を行使できるように、障がい特性に配慮した対応の徹底を図る必要があります。 (エ)障害者差別解消法第7条では、行政機関の責務として、「障がいを理由とする差別の禁止」及び、「社会的障壁の除去に係る必要かつ合理的な配慮」が規定されています。 ≪施策の方向≫ ① 窓口においては、手話通訳員等を伴う対応や、障がいの特性等について研修を受けた職員を配置するなど、障がいのある方が適切な行政サービスを受けられるよう体制整備を促進します。 ② 障がいのある方に対して、適切に情報が伝達できるよう、資料にふりがなを付したり、専門用語を分かりやすい表現に直すなど、障がい特性に配慮した情報伝達の整備を促進します。 ③ 県では、県組織でのユニバーサルデザインの実践を図り、県民サービスを向上するため策定した「封筒や名刺、ネームプレート等に関するガイドライン」及び「ユニバーサルデザインの視点に立ったイベント企画・運営の手引き」について周知を図ります。 ④ 職員対応要領に基づき,新任管理職又は新任の県職員に対する内部研修等を実施し,障害のある人に対する理解の促進と適切な対応ができる環境整備を推進します。 ⑤ 知事記者会見や議会中継の映像に手話通訳をつけて、ホームページに掲載します。【再掲】 ⑥ 利用者のニーズを重視したより分かりやすく使いやすいホームページを提供するとともに、メールマガジン、YouTube(ユーチューブ、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)や動画配信など新たな広報手法や他の広報媒体との連携を含めた電子媒体の調査・検討を行います。【再掲】 ⑦ 点字広報ふくしまの発行や同時手話通訳による県政広報テレビ番組を放映するなど、視覚・聴覚障がいのある方等に対する県政情報提供の充実を図ります。【再掲】 ⑧ ホームページ上の資料は、視覚障がいのある方へ配慮し、音声読み上げ可能なファイル形式で掲載したり、知的障がいのある方等にも分かりやすい表現を用いたりする等、障がいのある方を含む全ての人の利用しやすさに配慮した行政情報の電子的提供の充実に取り組みます。【再掲】 ⑨ 県議会の情報について、新聞広報の内容をCD等に録音して視覚障がいのある方等に配付するとともに、テレビ広報では全編に手話やテロップの取入れ、印刷物には、音声コードを導入するなど、多くの人に分かりやすく広報をします。【再掲】 ⑩ 点字版選挙案内の作成や、手話通訳者の協力によるビデオ学習会開催等、障がいのある方への選挙等に関する情報提供に努めます。 ⑪ 政見放送における手話通訳者の活用を推進します。 ⑫ 車いす使用者や足の不自由な方に向けて、スロープの設置などによる段差の無い投票所の整備に取り組みます。 ⑬ 投票所において、車いす用の投票記載台や点字器、拡大鏡など、高齢者や障がいのある方が必要とする設備や備品を整備(準備)し、これを広く周知します。 ⑭ 投票所内における人的介助 (介助者の同行)や代理投票制度の周知を図ります。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標3 障がいのある方が活躍できる社会づくり 2 障がいのある方のアクセシビリティの向上 指標の名称 現況値 目標値 コミュニケーション支援従事 者の登録者数 R2 636人 R12 686人 基本目標4 障がいのある方にとって、安全・安心で差別のない社会づくり 1 安全・安心 (1)防災対策 ア 防災対策の充実 【現状と課題】 (ア)高齢者や障がいのある方など、自ら迅速に避難することが困難な方の名簿である避難行動要支援者名簿の作成が市町村に義務付けられています。災害発生時に、地域の障がいのある方が円滑かつ迅速に避難するため、避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の情報を関係機関が共有し、障がいのある方を適切に支援できるよう、更に取組を強化する必要があります。 (イ) 自力避難が困難な障がいのある方が入居している施設の保全を引き続き優先的に行い、土砂災害警戒区域等の指定を推進するとともに、地域の防災意識を高める必要があります。 (ウ) 災害時における安全確保を図るため、障がい特性を踏まえた情報伝達体制整備を図る必要があります。 (エ) 障がいのある方を含め全ての人に配慮した避難場所、避難経路の確保が求められています。 ≪施策の方向≫ ① 災害発生時等に、地域の障がいのある方が円滑かつ迅速に避難できるように、市町村における避難行動要支援者名簿や個別避難計画の作成及び関係機関との情報共有や連携強化の取組を支援します。 ② 災害時における要支援者及び避難支援等関係者双方の安全確保を図るため、避難行動要支援者名簿や個別避難計画の事前共有等による情報伝達体制の整備を促進するとともに、それらを活用した訓練の実施に努めます。 また、災害時、障がいのある方が災害情報を適時に入手できるよう、緊急速報メール(エリアメール)、Twitter(ツイッター)等の様々な手段により災害情報を提供します。 ③ 広域災害福祉支援ネットワーク協議会において、災害時、障がいのある方等要配慮者の2次被害の防止を図るため、福祉・介護専門職チームを避難所等へ派遣する体制の整備を進めます。 ④ 災害時に社会福祉施設等へ必要な情報を確実に連絡・共有できる体制づくりに努めます。 ⑤ 災害時における施設の弾力的運用を図り、被災した障がいのある方に対する支援に努めます。 ⑥ 社会福祉施設等のある地域においては、施設と近隣住民による自主防災体制を確立し、定期的に地域ぐるみの防災訓練の実施に努め、災害時の避難対策を推進します。 ⑦ 障がいのある方の居住の場の安全・安心を確保するため、社会福祉施設等の耐震化・スプリンクラー整備を促進します。【再掲】 ⑧ 非常時に、迅速な避難ができるように、災害時の避難所、避難路となる道路、都市公園、避難施設等において、障がいのある方を含め全ての人に配慮した施設のユニバーサルデザイン化を推進するとともに福祉避難所※の指定を促進します。 ⑨ 災害派遣精神医療チーム(DPAT)について、県内外で災害が発生した際の活動チームの受入や派遣の調整、展開を迅速に行うための体制整備を進めます。【再掲】 ⑩ 災害時要配慮者利用施設の施設管理者は、避難確保計画を作成するとともに、避難訓練を実施します。 ⑪ 土砂災害のおそれがある箇所を土砂災害警戒区域等に指定し、区域を明らかにする現地標識を設置するとともに、豪雨時などの警戒避難体制の整備を進めます。 ⑫ 災害時要配慮者利用施設を保全するための土砂災害対策施設の整備を進めます。 ・福祉避難所 :災害時には、市町村が一時的に学校の体育館や公民館などに設置した避難所に避難者を受け入れ、保護することとされているが、避難者の中でも高齢の方や障がいのある方など特別な配慮を必要とする方(災害時要配慮者)に対して、特別な配慮を行う避難所。令和3年3月末現在、県内では、57の市町村で456ヶ所指定されている。 イ 感染症対策の推進 【現状と課題】 (ア)新型コロナウイルス感染症等が発生・拡大した場合に、障がいのある方が参加する会議やイベントなどの開催に当たり、感染状況に応じた対応を行うことができる体制を構築する必要があります。また、ウェブ会議システムやオンラインによる情報発信などについては、感染下において即座に対応できるよう、平時から積極的に導入することも重要です。 (イ)障がいのある方が受けるべき障害福祉サービスや支援などについては、感染症が発生・拡大するような状況においても支障が生じないよう、対策を準備しておく必要があります。 (ウ)感染下では、日常生活の中で一層の不安や不便を感じる場合があるため、障がいの特性に応じた配慮が必要です。 ≪施策の方向≫ ① イベント等の開催に当たり、感染症の発生状況などを踏まえ、必要に応じ入場制限を行うとともに、オンラインによる情報発信などに取り組みます。 ② 手話通訳者の同行が困難な状況においても、聴覚障がいのある方の情報保障を確保するため、タブレット型端末等を利用してリモートで手話通訳を行う遠隔手話サービスの利用体制を整備します。 ③ 感染防止に配慮した障害福祉サービス等の提供体制を確保するため、事業所等に対する助言・指導を行います。 ④ 障害者支援施設やグループホーム等において、感染症が発生した際のサービス提供体制を確保するため、応援職員の派遣を始めとした施設等支援の体制を構築します。 ⑤ 在宅で生活する障がいのある方の家族等が、新型コロナウイルス感染症に感染し、一時的に在宅での生活が困難となった場合の受入体制の整備に努めます。 ⑥ 新型コロナウイルス感染症等が発生した場合に、障害福祉サービスの提供が途絶えることのないよう、事業所等のBCP(事業継続計画)※策定の推進に努めます。 ⑦ 感染下における障がい特性に応じた合理的配慮の提供について、周知を図ります。 ・BCP (事業継続計画) : 自然災害等が発生した場合にも、障がい福祉サービスの提供を中断させない、または中断しても早期に再開させるための方針、体制、手順等を示した計画で、障害福祉サービス事業所等が策定するもの。(令和6年度から義務化) ウ 交通安全対策の推進 【現状と課題】 (ア)高齢者や障がいのある方を含め全ての人に対し、これまで以上に道路交通の安全・安心を確保するため、「人」優先の交通安全対策(道路環境整備)を推進する必要があります。 (イ)交通安全意識の普及啓発に当たっては、行政、関係団体等が緊密な連携の下、各種施策を推進するとともに、地域における交通ボランティア等が主体となった住民参加・協働型の交通安全活動を推進する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 生活道路等における人優先の安全・安心な通行空間を確保するため、ゾーン30プラス※の整備を推進するほか、交通実態に即した交通規制の実施、見やすく分かりやすい信号機・道路標識等の整備、歩道の新設・改修等を推進します。 ② 道路交通環境の整備に当たっては、地域住民の声を取り入れながら、地域の実情に応じた効果的な対策を推進します。 ③ テレビ、ラジオ、新聞、SNS等の広報媒体を活用した効果的な広報、普及啓発に努め、県民一人一人の交通ルールの遵守と正しいマナーの実践を習慣付けるとともに、交通安全対策を推進するための県民運動を関係機関・団体が相互に連携し、組織的・継続的に展開します。 ・ ゾーン30プラス :通学路や住宅街などの区域(ゾーン)を定めた最高速度30km/h規制に加え、ハンプ、狭さくといった物理的デバイスとの組み合わせにより、生活道路における歩行者の安全を確保するもの。 (2) 防犯対策 ア 防犯対策の推進 【現状と課題】 (ア)地域の障がいのある方が様々な犯罪の被害者とならないように、県民への障がいに関する理解を促進するとともに、セーフティネットの構築や警察、地域住民等のネットワーク等による犯罪防止及び犯罪被害の早期発見可能な体制を整備する必要があります。 (イ)利便性の高いスマートフォンの普及に伴い、インターネット上でのトラブルやサイバー犯罪に関する相談が非常に多く寄せられているため、サイバー犯罪被害防止に向けた取組が求められています。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方の犯罪被害防止対策を推進するため、行政、福祉施設等の関係機関が連携して、きめ細かな巡回活動やミニ広報紙、交番・駐在所速報による地域安全情報の提供、犯罪被害防止及び犯罪被害の早期発見に努めていきます。 ② 障がいのある方に対する緊急通報手段、適切な通報方法等の普及及び広報等を推進します。 ③ テレビ、ラジオ、インターネット等の広報媒体を積極的に活用するとともに、民生委員・児童委員、身体障がい者相談員、知的障がい者相談員、警察官、市町村職員、障がい者就労支援センター職員、社会福祉協議会職員等が連携し、障がいのある方やその親族等からの相談、事案取扱、自宅・入所施設への訪問等といった個別対応により防犯対策の周知を図ります。 ④ サイバー犯罪被害防止のため、障がいのある方等への支援や被害に遭わないためのチラシを作成して配布するなど、幅広い広報啓発活動を推進します。 (3) 消費者の安全確保の推進 ア 消費者トラブルの防止及び被害からの救済 【現状と課題】 (ア)社会経済の発展により、県民の消費生活は豊かで快適なものとなった一方、消費者、特に高齢者や障がいのある方などを消費者被害から守る取組の強化が求められています。 (イ) 障がい特性に配慮した相談体制の整備が求められています。 ≪施策の方向≫ ① パンフレット等の作成・配付や出前講座の実施等を通じ、障がいのある方等自身に加え、周囲で見守る関係者の消費者トラブルについての知識の習得を推進し、消費者被害の未然防止、拡大防止に努めます。また、市町村に対し、消費者安全確保地域協議会の設置や消費生活協力員・協力団体の活用など、地域の実情に応じた障がいのある方等の消費者被害防止の取組が推進できるよう、必要な支援を行います。 ② 消費生活センター等においては、研修の受講等により、相談員の障がいに対する理解を深め、障がい特性に配慮した相談体制の整備に努めます。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標4 障がいのある方にとって、安心・安全で差別のない社会づくり 1 安心・安全 指標の名称 現況値 目標値 避難行動要支援者個別避難 計画策定市町村数 R2 39市町村 R12 (R8) 59市町村 福祉避難所指定数 R2 456箇所 (57市町村) R12 増加を目指す (59市町村) 2 差別の解消及び権利擁護の推進 (1) 障がいを理由とする差別解消の推進 ア 障がいのある方の権利擁護の推進 【現状と課題】 (ア) 障害者差別解消法等の国内法の整備が進み、国連の障害者権利条約が批准されました。障がいのある方に対する合理的配慮や権利擁護などに適切に対応していく必要があります。 (イ) 知的障がいや精神障がいなどで判断能力が十分でない方を法的に保護し、支援する成年後見制度について、利用促進を図っていく必要があります。 (ウ) 障がいのある方等が地域等で安心した生活が送れるよう、日常生活自立支援事業(あんしんサポート)の利用促進を図るとともに、多様化したニーズに対応するため、関係機関との連携を強化していく必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方の社会参加を制約することとなる各種の制限や各種施設の利用制限等の解消を促進します。 ② 人権に配慮した適正な精神医療の確保を図るため、精神医療審査会の適切な運営を図るとともに、精神科病院の入院者に対する処遇が適切に行われるよう、精神科病院に対する実地指導を行います。 ③ 学校教育における人権教育を推進することにより、児童生徒の人権尊重の意識を高めます。 ④ 市町村及び障がい者団体等が開催する研修会、シンポジウム等の障がい者権利擁護のための取組を支援します。 ⑤ 罪を犯し矯正施設を退所した障がいのある方等が地域で安心した生活が送れるよう、司法機関と連携して、支援プログラムを検討していきます。 ⑥ 成年後見制度について、必要とする人が適切に利用できるように、利用促進の主体となる市町村における体制整備の構築等について、社会福祉士、弁護士、司法書士等の専門職と連携し支援を行います。 ⑦ 日常生活自立支援事業(あんしんサポート)の普及啓発を図るとともに、支援対象者の多様化した環境に対応するため、支援従事者の資質の向上を図り、関係機関との連携を強化した権利擁護事業を推進します。【再掲】 イ 障害者差別解消法の運用 【現状と課題】 (ア)障害者差別解消法の趣旨を踏まえて、県では「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい福島県づくり条例」(平成31年4月施行)を制定しました。全ての県民が障がいの有無にかかわらず、お互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を目指しています。 (イ)障がいや障がいのある方への理解を深め、障がいを理由とした不当な差別を無くすための取組を進めていく必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいのある方に対する合理的配慮や権利擁護などに適切に対応していきます。 ② 県においては、職員対応要領に基づき、関係機関と連携して、法の円滑な運用に取り組むとともに、市町村の職員対応要領策定を支援します。 ③ 差別解消相談専用ダイヤルを活用し、障がいのある方への差別の解消を推進します。 ④ 関係機関と連携し、法の趣旨・目的等に関する効果的な広報・啓発活動、相談・紛争解決体制の整備の促進等に取り組みます。 (2) 虐待防止 ア 障害者虐待防止法に基づく障がいのある方の虐待防止の推進 【現状と課題】 (ア)障害者虐待防止法では、国や地方公共団体、障害者福祉施設従事者等、使用者などに障がい者虐待の防止等のための責務を課すとともに、虐待を受けたと思われる障がいのある方を発見した者に対して通報義務を課しています。 (イ)国(労働局)、県及び市町村では、障がい者虐待事案に係る通報を受けた場合には、速やかに、聞取調査等の必要な対応を取り、事案の早期発見、早期終結に努めなければなりません。 (ウ)法に基づき設置されている各市町村の障がい者虐待防止センター及び県障がい者権利擁護センターでは、連携して県内の障害者福祉施設、企業、家庭内等における障がい者虐待を防止するための積極的な相談対応、事実確認、被虐待者に対する支援及び広報活動を行う必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がい者団体、市町村、労働局を始めとする関係機関・団体と連携して、虐待防止体制の強化を図ります。 ② ホームページ掲載やリーフレット作成・配布等により、障害者虐待防止法の理念等について、県民への周知徹底を図るほか、通報・相談窓口の情報を提供することにより、通報・相談がしやすい環境づくりに努めます。 ③ 関係機関における障がい者虐待防止対策に係る理解を深めるとともに、各機関間の情報を共有することで法の円滑な施行を図り、県内における家庭、施設、企業及び学校・病院等における障がい者虐待の発生を防止するため、自治体職員や障害者福祉施設の管理者等を対象とした研修会を開催します。 (3) 理解促進 ア 広報、啓発活動の推進 【現状と課題】 (ア)障がい及び障がいのある方に対する正しい理解の促進については、障がい者スポーツ活動や「障害者週間」(毎年12月3日~9日)における各種行事等を通して推進していますが、総合的な視点を持って普及啓発等の在り方を検討する必要があります。 (イ)精神障がいや知的障がいのある方の地域生活移行に向け、偏見を取り除き、地域住民の理解を促進する必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 障がいの有無に関わらず、誰もが社会の一員としてお互いを尊重し、支え合って生活できるよう、県、市町村、関係団体等が一丸となって県民に対する普及啓発に努めます。 ② 障がい及び障がいのある方に対する正しい理解促進を図るため、「障害者週間」や「世界自閉症啓発デー」 (毎年4月2日)などを機会に、各種メディアを活用した啓発活動を推進します。 ③ 文化祭、スポーツ大会、各種大会など、障がいのある方とない方の交流機会としての各種イベントの開催や、障がい者団体が行う啓発活動を支援して、県民に対する障がい及び障がいのある方に対する正しい理解の普及を推進します。 ④ 地域住民に対する精神保健福祉に関する知識の普及と理解を促進するとともに、地域における精神保健福祉に関する関係機関及び団体との協力事業を実施します。 ⑤ 人の多様性を認め、一人一人が尊重される社会を実現するため、何気なく使用されている行政用語のうち、障がいのある方に対する差別・偏見を助長するおそれのあるものについては見直しを行います(〈例〉 「障害者」 を 「障がいのある方」と表記。)。 ⑥ 内部障がいのある方や難病患者のほか、妊娠初期の女性など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方が、周囲から手助けを得られやすくする目印「ヘルプマーク」の普及啓発を図ります。 ⑦ 障がいのある方への理解を深め率先して支援する、職場や地域において障がいのある方への理解促進のために積極的に情報提供するなどの活動を行う「ふくしま共生サポーター」の養成を進めます。 ⑧ 各種広報媒体、パンフレットなどを活用した「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい福島県づくり条例」及び「福島県手話言語条例」の普及・啓発を通して、障がいや障がいのある方への県民の理解促進を図ります。 イ 福祉体験・福祉教育の推進 【現状と課題】 (ア)学校において福祉教育やボランティア活動の取組を促進する必要があり ます。 (イ)体験活動を支援するボランティアの養成を計画的、継続的に実施するとともに、体験活動・ボランティア推進センターと福祉関係機関が連携し、情報等の提供を進める必要があります。 ≪施策の方向≫ ① 学校の総合的な学習の時間等を利用して、福祉教育を推進するとともに、学校における身近な地域のボランティア活動の充実や施設ボランティア活動への取組を促進します。 ② 体験活動・ボランティア推進センターと各関係機関等の連携を図りながら、学校や地域での体験活動等において行われる福祉体験活動や障がいのある方との交流活動等の情報提供やコーディネートを通して、障がい及び障がいのある方への正しい理解を促進します。 ③ 学校、企業等の社会貢献活動に対する表彰等を通して、活動に対する理解と協力を推進します。 ◎ 施策の達成度を測る指標 基本目標4 障がいのある方にとって、安心・安全で差別のない社会づくり 2 差別の解消及び権利擁護の推進 指標の名称 現況値 目標値 障がい者差別解消相談専用 ダイヤルへの相談件数 R2 19件 数値は毎年度把握し分析する (目標値は設定しない) 職員対応要領策定市町村数 R2 22市町村 R12 59市町村 障がい者虐待相談・通報件数 (養護者による虐待) R2 91件 数値は毎年度把握し分析する (目標値は設定しない) 障がい者虐待相談・通報件数 (施設従事者による虐待) R2 17件 数値は毎年度把握し分析する (目標値は設定しない) 第5次福島県障がい者計画(令和4年度~12年度) 令和4年3月発行 【編集・発行】 福島県 保健福祉部 障がい福祉課 〒960-8670 福島県福島市杉妻町2番16号 電 話:024-521-7170 F A X:024-521-7179 ホームページ:http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21035c/shakeikaku.html E-mail:shougaifukushi@pref.fukushima.lg.jp