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2014年6月定例会 代表質問 宮川えみ子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年11月5日更新

宮川えみ子議員

議員

宮川えみ子

所属会派
(質問日現在)

日本共産党

定例会平成26年6月
質問等代表質問
質問日6月19日(木曜日)

38番(宮川えみ子君)宮川えみ子です。日本共産党を代表して質問をいたします。

 大震災、原発事故から3年3カ月が過ぎました。ハード面の復興は見えてきているものの、心の復興は進まず、漠然たる不安は一層深刻になっています。いまだ128,000人の方々が避難生活を余儀なくされ、先が見えない暮らしの中で、体調の異変、孤独死や自殺もふえ続け、関連死は1,727人にもなっています。

 ことし6月初めに町村議長会と県町村会は、「未曽有の事故を経験して今も苦難に見舞われている。一刻も早い事故収束と事故前の平穏な日常を。」と、万感の思いが込められた特別決議を行いました。そして、「汚染水対策は早急に国の責任下で実効性のある対策を。」と、県内原発の全ての廃炉を強く求めるとしました。国はもちろん、県自身が福島県民の思いを真正面から受けとめ、役割を果たすべきときです。

 安倍政権が進める集団的自衛権行使容認と教育改革についてです。

 自民党安倍政権が、消費税増税と再増税、労働法制と社会保障制度の大改悪、原発再稼働など、国民と県民の願いに反した方向で施策が進められていることは世論調査ではっきりしております。中でも、集団的自衛権行使で再び戦争ができる国にするたくらみは、戦後の政治が掲げてきた諸原則すら否定する特異な右翼的立場に立っていると、保守層の中からも反対の意見が広がっています。

 集団的自衛権とは、日本が攻撃もされていないのに米国を初め他国の戦争に参加することです。安倍首相は、この核心を隠して架空の事例で必要性を説きましたが、自民党政府で邦人救出を担当してきた最高幹部も口をそろえて全く非現実的と指摘し、「ちょっとでも風穴をあければ風穴で済まず、憲法を改定したことと同じになる。米軍の要求にもはや断ることができなくなる。」と述べています。

 派兵された自衛隊に多数の死者が出れば、自衛隊に人は集まりにくくなり、徴兵制度をしく流れにつながりかねません。自民党古賀誠元幹事長が「自衛隊が戦うことになるのは間違いない。殺し殺される。」と言い、野田聖子総務会長は「少子化の中で自衛隊の若者が死傷する。血が流されることをどれだけリアルに語っているか。」と述べています。

 日本は平和憲法の歯どめによって戦後69年間、朝鮮、ベトナム、湾岸、アフガン、イラクの各戦争で、一人の日本人も一人の外国人も殺し殺されることはありませんでした。立憲主義を否定し、憲法解釈の変更で集団的自衛権行使を容認しようとすることに対し、県内の若者や子供、孫の世代まで影響を及ぼすことを考え、反対すべきと思いますが、知事の考えを伺います。

 安倍首相は、第1次安倍内閣で憲法改正と一体化した「愛国心」などを盛り込んだ教育基本法の全面的な改正を行いました。そして、その具体化の一つとして、今度は今の教育委員会に問題があるからと、政治権力が教育内容に介入できる仕組みを持ち込もうとしています。

 教育委員会を国と首長の支配下に置き、教育の独立性と自由、自主性を損なわせ、特定の愛国心を押しつけ、戦争する国づくりとの一体化を狙う新たな教育委員会制度について県教育委員会委員長に伺います。

 国のエネルギー基本計画についてですが、関西電力大飯原発三・四号機の再稼働差しとめを命じた判決を福井地裁が下しました。人の命を基礎とする人格権を最も重視し、これを超える価値を他に見出すことはできないとし、電力の安定供給やコストの問題をてんびんにかけた関電側の議論を厳しく退けました。

 「国富の喪失」とは、運転停止による貿易赤字ではなく、「豊かな国土とそこに根をおろして生活していることを失うもの」とした判決は、まさに放射能汚染で苦しんでいる福島県の実態を反映した判決だと思います。原子力発電を基幹電源として推進する国のエネルギー基本計画を見直すよう求めるべきですが、知事に伺います。

 町村長会、同じく議長会が全基廃炉の特別決議を上げましたが、県としても福島第二原発の廃炉を改めて国と東京電力に求めるべきですが、お聞きします。

 県の事故前の避難計画は、共産党が繰り返し求めてきたにもかかわらず、安全神話にどっぷりつかっていた国の基準をそのまま受け入れて策定し、大震災では大混乱、大狂乱の中での避難でした。避難の中で多くの人命が失われ、その後の自治体のあり方にも重大な結果を招いています。

 県は、福島第一・第二両原子力発電所で新たな事故が起きた場合に備えた広域避難計画を策定し、最悪のケースとして、いわき市の36万人を含む13市町村、約474,000人全員の避難を県内の46市町村と茨城県を加えて受け入れてもらうとしております。これまでの避難計画をどのように総括して広域避難計画を策定したのかお尋ねします。

 国に対して、県が先頭に立って、県内原発の全基廃炉、事故収束、完全賠償を求める県民集会を開くべきと思いますが、お聞きします。

 次に、汚染水問題等についてです。

 去る5月19日、日本共産党県議団は2度目の原発敷地内視察をしました。曲がりくねって地面をはっていた配管類は少なくなり、事故の生々しさを覆う建物などができ、各所で工事が行われておりました。

 しかし、兵庫県の工場で作成し、海上輸送された溶接型の汚染水貯蔵用タンクは、基礎工事の調整ミスと重機不足でおくれている、ALPSは全系統にわたり計画どおり動かない、凍土壁は専門家から異論が出るなど問題山積で、世界の英知を結集しているという感はありませんでした。

 山側の地下水をバイパスによって海に放出する計画ですが、何度も基準値を上回るトリチウムが検出されているH4タンク群のすぐ脇にある12番目の揚水井戸を閉鎖するよう東電に求めるべきですが、お聞きします。

 個々の揚水井戸で基準値以上の放射能濃度が検出された場合、まぜて薄めて基準値を下げてから流すような安易な放出はすべきでないとの県民の声ですが、お聞きします。

 汚染水は堰から流出させることのないよう徹底した管理を東電に求めるべきですが、お聞きします。

 凍土壁について、規制委員会は「着手を妨げない」などの無責任な態度でゴーサインを出しました。ALPSの今後の見通しについても見えません。廃炉に向けた取り組みについて、世界の英知を結集する体制をつくるよう国に求めるべきですが、伺います。

 原発の事故収束・廃炉作業は国の事業と位置づけ、福島第一原発現地で対策に当たる対策本部設置と人員の配置拡充を求めるべきですが、お聞きいたします。

 東電関連団体、「原子力ムラ」から報酬を受け取り、さらに自分が担当している大学の講座に東電から1億円の寄附を受けた田中知氏は、経産省エネルギー調査会で「2030年以降も一定規模で原子力の維持が必要」と発言し、同席委員から「大事故を起こしてしまった反省はないのか」と批判されているほどの人です。全野党の反対を押し切って原子力規制委員会の新委員になりました。

 原発再稼働推進の立場に身を置く田中氏の起用は、福島原発の反省と教訓に立って規制行政を行う人選ではないと思いますが、田中氏が原子力規制委員会の委員へ起用されることについて県の考えをお尋ねします。

 次に、原発労働者問題です。

 1日6,000人もの労働者が敷地内で働いていることから、支援がますます重要になっております。知事も、長きにわたる廃炉作業を担う人材を安定的に確保・育成するために環境を整備することが重要と言います。収束・廃炉作業に当たる労働者の待遇について、国家公務員に準じたものとさせるよう国に求めるべきと思いますが、お聞きします。

 危険手当が労働者の手元に渡るよう、国・経産省がリーダーシップをとることを求めますが、お聞きします。

 原発作業員の被曝線量のデータ共有について、進捗状況を伺います。

 3月28日に原発敷地内で発生した死亡事故は、土砂崩れを起こすのは当然の素人的工法、一人作業、土木工事の実績が不明の会社であったなど、東電の説明を聞いても、富岡労働基準監督署との話し合いの中でも疑問が残ります。東電が安全な工事を確保できないような金額で工事を発注していることが底流にあると思います。このようなことが続けば重大な事故が今後とも起きかねません。

 県は第一原発敷地内で発生した死亡事故の原因と再発防止について、東電からどのような説明を受けているのかお聞きします。

 増加する原発労働者の安全管理、東電、下請企業の監督に当たる富岡労働基準監督署の人員をふやすよう国に求めるべきですが、お聞きいたします。

 事故収束・廃炉作業に当たる人材育成及び被曝限度を超えた技術者、熟練労働者が後進の教育に当たれるような仕組みづくりを国と東電に求めるべきですが、伺います。

 次に、除染の促進についてですが、住宅除染完了が3月末で95,000戸にとどまっており、除染の促進が求められております。市町村除染について一層の加速化を図るべきですが、県の考えをお聞きします。

 除染の目安となる空間線量を引き上げる報道がなされ、不安が広がっています。除染の目標である追加被曝線量年間1ミリシーベルト以下を堅持するよう国に求めるべきですが、お聞きいたします。

 中間貯蔵施設設置について住民説明会が開かれましたが、納得いく説明がされないという声です。このことは、16日、この問題をめぐり石原環境大臣が「最後は金目でしょ。」と発言したことにあらわれているように、ふるさとを追われ、今また切ない決断を迫られている住民に思いをはせるどころか、事故を起こした責任をみじんも感じない国の立場を反映していると思います。知事も県議会も抗議をしたことを国は重く受けとめるべきです。

 参議院では、野党が一致して、避難者や県民の気持ちを踏みにじるものとして、大臣としての資格が問われる石原環境相に対し問責決議提出を検討しているとしています。また、30年以内の県外持ち出し法制化もたった1行、PCB処分をする会社の設置法に書き込むだけで、世界でも初めての規模の最終処分場にさせられるのではないかとの住民の不安にもしっかりと応えるべきです。

 中間貯蔵施設に関する住民説明会での意見に対し、県は国に具体的な考えを示すよう求めるべきと思いますが、お聞きします。

 次に、全ての被害者への完全賠償についてですが、再稼働を狙う東電の賠償に対する締めつけがひどいという声が広がっています。原子力損害賠償紛争審査会の中間指針第四次追補は、被災者がこうむっている損害の実態を顧みないもので、被災者同士の対立と分断が深刻になっています。

 賠償の実態の把握を県として行うと同時に、圧倒的に賠償が行われていない現状を踏まえて、原子力損害対策協議会を開き、国に対し、賠償指針の見直しによる完全賠償の実現を求めるべきですが、県の考えをお聞きします。

 精神的苦痛を受け続けている全県民に対する損害について、改めて国及び東電に求めるべきですが、県の考えをお示しください。

 次に、被災者支援についてです。

 県は、ことし1月から2月にかけて初めて避難者意向調査を行いました。ばらばらにされた家族の実態など改めて心の痛むものでした。どこに住むか、家族と住むか、コミュニケーションをどうとるか、仕事や学校をどうするか、人生を今後どう計画するか、いずれにしても住まいがその重要な鍵を握ります。

 復興公営住宅建設ですが、第1期の募集結果を見ると、地域によって入居希望に大きなばらつきがあります。入居希望の多い地域については建設をさらに促進すべきですが、お聞きいたします。

 津波の被害者は災害住宅といっても家賃の負担が大きいし、自宅建設についても支援は少ないです。津波被害者への災害公営住宅家賃について、国の軽減制度に県が上乗せをして支援を行うべきと思いますが、お聞きいたします。

 津波被害者の住宅建設は、多くの方がこれからです。消費税の増税や資材の高騰、宅地の値上がりも加わり、厳しい状況です。住宅を自力で再建することを可能にするために、被災者生活再建支援法での増額を国に求め、県独自の支援制度を創設すべきですが、お聞きします。

 避難者と受け入れ市民との交流促進についてですが、意向調査では、避難者の多くが仕事を決めていない、どこに住んでいいかわからないなど、漠然とした不安を持っていることがわかります。仮設住宅、借り上げ住宅も含めて、避難者と避難先住民との交流促進を図ることができるように支援強化をすべきですが、お聞きいたします。

 次に、人員の確保等についてですが、大震災からの復興が本格的になっている今、県内市町村と県で人員・人材不足が深刻です。予算を執行できない、職員の健康状態が心配される、何よりも復興を待ち続けている県民への支援がおくれることに直結します。

 6月2日に集約された県労連が行った県内自治体アンケート調査では59市町村全てが回答を寄せていますが、原発事故後、会津地方を除きほとんど全ての自治体で人員不足と答えています。長く続く復興に対し牽引力になる正規職員が足りないのです。知事部局についてですが、県、市町村における他自治体等からの派遣職員の受け入れ状況と不足数の対応について尋ねます。

 長期的な人的支援を国に求めることについてはどうか伺います。

 長期病気休暇等、精神疾患を含めての人数についてはどうかお聞きします。

 教育委員会ですが、教育職員の長期病気休暇等、精神疾患を含めて人数をお示しください。

 警察本部ですが、警察官の自殺の原因と対策について伺います。

 長期病気休暇等、精神疾患を含めての人数についてはどうか伺います。

 人的支援を国に求めることについてもお聞きします。

 次に、福祉型県政への転換についてですが、自民・公明連立の安倍内閣は18日、医療・介護総合確保推進法を強行しました。医療費抑制の責任を県に押しつけ、介護では要支援1、2を訪問や通所サービスなどの給付対象から外し、要介護1、2の特養ホーム入所を制限するものです。大震災、原発事故で医療と介護が深刻な事態になっている福島県の実情から見ても、より深刻な事態を招くことになるのは必至です。医療・介護総合確保推進法に反対すべきですが、伺います。

 次に、教育行政の充実についてですが、やっと実現した高校授業料無償化制度が廃止され、ことしの4月から入学する生徒は所得制限つきの就学支援金制度になってしまいました。就学支援の給付に所得証明の提出が義務づけられ、提出しないと受給できなくなる上、学校の事務量もふえることになりました。OECD加盟国で高校授業料が所得によって差がある国はありません。また、今後の所得制限の強化も心配されます。県立高校授業料無償化制の復活を国に求めるべきですが、県教育委員会の考えをお聞きします。

 県の奨学資金について、貸付時の学力基準を撤廃し、より多くの生徒が受けることができるようにすべきと思いますが、教育委員会の考えを伺います。

 次に、雇用対策についてです。

 安倍内閣は、生涯派遣、正社員ゼロの労働者派遣法の大改悪案を今国会に提出しました。常用代替禁止、臨時的・一時的限定の原則を投げ捨て、いつでもどこでも、いつまでも派遣で使い続ける内容です。派遣への置きかえが大規模に進み、正社員の賃下げや長時間労働、裁量労働制での残業代ゼロに広がり、日本列島総ブラック企業化に進んでいきます。

 若者が希望を持てない社会、結婚もできない暮らし、中高年も含めた雇用不安、社会不安につながります。日本経済と社会のあり方にかかわる重大問題です。国に対し、労働者派遣法改正案について反対の意見を言うべきと思いますが、伺います。

 学生のアルバイトについてですが、ここでも異変が起きています。若者を使い捨てにするブラック企業のような違法・無法な働かせ方がブラックバイトと呼ばれています。無理なシフト、違法・脱法行為、最賃ぎりぎりの低賃金、やめたいけど、かわりを紹介しろと言われるなど、学生生活と大学教育の障害になっています。

 非正規雇用の拡大と非正規雇用の基幹化の弊害と、親の仕送りが減り、巨額の借金になる奨学金にも頼れない実情が背景にあるからです。県として悪質な労働環境が疑われるいわゆるブラックバイトやブラック企業について、実態を調査し公表すべきですが、お聞きします。

 国の農政転換についてです。

 我が県の農業は、原発事故で全面的な被害を受けましたが、そこに自民党政治のもとでの農民不在の米・農地政策、農協・農業委員会制度の大改悪です。農地政策についてですが、農地中間管理事業の実施に当たっては、農業委員会を排除せず十分に意見を聞いた上で、大企業等への農地集積が優先されないようにすべきですが、県の考えをお聞きします。

 政府の規制改革会議で突然、農協の解体などTPP絡みの農業不在の方向が出されてきました。政府が進めようとしている農業改革についての県の考えをお聞きします。

 我が国の農業、中でも放射性物質による被害に苦しむ本県の農業に重大な影響を及ぼすTPPについて、協定交渉からの離脱を国に求めるべきですが、県の考えを伺います。

 原子力事故からの農林水産業再生についてですが、原発放射能汚染でこの3年間は、除染、放射能移行防止、検査など、緊急対応に翻弄されてきました。4年目に入った今日、これらの問題とあわせて放射能問題を克服して、福島県の農業を原発の事故前より活性化させ、若い人が県内外から参加できる、次の世代につながるような農業に進む道筋を示すときだと思います。

 放射能汚染といっても、広い県内の地域や地形等によってさまざまな条件の中にあるので、まず放射能汚染状況を徹底して調査する必要があります。それによって、より手厚い対策、多様な手だて、効果の薄くなった事業の収束などを行うことができます。県は農地土壌の放射性物質調査を一筆ごとに行うとともに、大学や民間団体の調査結果も積極的に活用すべきと思いますが、お聞きします。

 安全だけでなく、安心をどう確保するかです。県内外の方々に産地の検査をじかに見てもらい、生産者との交流を図るモニターツアーを拡充することが重要と思います。農林水産物の検査や生産状況を視察するモニターツアーについて、今後どのように取り組むのか伺います。

 本県漁業の再生に向けては、本格操業を目指して試験操業が続いていますが、汚染水問題の解決が見えない中、漁獲全量検査を基本とする徹底した検査体制を構築する必要があります。水産物の非破壊型検査機器を各メーカーで開発中と聞きますが、検査機器開発に向けた課題と進捗状況についてお尋ねします。

 放射性物質による被害を受けた本県の林業について、担い手確保の現状と対策についてお聞きします。

 放射能問題を克服し、農林水産業を活性化させ、再生を果たしていくためには、他の部門、部署、大学などと連携を図りながら、長期にわたる研究とそれを担う人材の育成・確保が必要と考えます。

 そこで、県は農林水産業の再生を図るための研究を担う人材の育成にどのように取り組んでいくのか伺います。

 原発事故後大幅にふえたイノシシ対策についてですが、捕獲頭数は2013年度予測が9,000頭と、原発事故前と比べて2倍以上になっています。中山間地農業の意欲の減退や過疎の進行など重大な影響を及ぼしています。猟友会メンバーの高齢化や人数減、放射能汚染でイノシシを食することができない困難などもある中、報奨金の増額や鑑札代の負担軽減等、市町村も対策を強めています。イノシシによる農作物被害の状況と防止対策に関しての県の市町村支援強化についてお聞きいたします。

 次に、中小企業支援についてですが、中小商工業の多くが消費税の転嫁ができず苦しんでいます。また、大企業に減税をする一方、中小企業には法人事業税の外形標準課税の拡大導入、課税強化を進めようとしております。復興に向かう本県の中小業者に追い打ちをかけるようなさらなる消費税増税の中止を国に求めるべきですが、伺います。

 商店のリフォーム支援についてですが、中心市街地の空き店舗に限定せず適用すべきですが、県の考えを尋ねます。

 被災した中小業者の事業再開を積極的に支援するため、中小企業等グループ補助金の周知を図るべきですが、県の考えをお聞きします。

 中小企業の二重債務問題の解決に向け、県はどのように取り組むのか伺います。

 次に、再生可能エネルギーの推進についてです。

 郡山にある産総研を視察してきました。多様な開発が具体的に大きく前進することを期待したいと思いますが、県は再生可能エネルギー分野における県内中小企業の参入と雇用の拡大にどのように取り組んでいくのか尋ねます。

 次に、県道いわき石川線についてです。

 内陸と浜を結ぶ重要幹線道路いわき石川線が、4月5日から田人地区で土砂の崩落による通行どめが続いています。5月2日にも直径60センチ、重さ200キロの岩が落ちました。井戸沢断層がある県道いわき石川線田人地区の道路斜面の状況について尋ねます。

 一日も早く通行を確保すべきと思いますが、通行どめ解除の見通しについて伺います。

 県道いわき石川線才鉢地内の抜本的な整備についてどのように取り組むのかお聞きいたします。

 次に、小名浜港の特定埠頭運営事業についてです。

 5・6・7号埠頭と東港を小名浜埠頭株式会社に30年契約で一括管理させるとしています。雇用の継続や地元の経済の活性化のためにも、地元の業者が締め出されないようにすべきですが、特定埠頭運営事業の実施による地元の港湾運送事業者への影響について県の考えを尋ねます。

 最後に、小名浜東港についてです。

 東港は、2020年前後に供用開始予定と聞きますが、働く人を含めて津波からの避難、転落防止、照明などの安全対策、トイレや休息施設の設置などが必要ですが、東港供用開始後の港湾利用者への安全対策とトイレ等の施設の設置について県の考えを尋ねます。

 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。

議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。


知事(佐藤雄平君)宮川議員の御質問にお答えいたします。

 集団的自衛権の行使につきましては、我が国の防衛の根本にかかわる極めて重要な問題でありますので、国会の場で十分に議論されるべきものであると考えております。

 次に、エネルギー基本計画についてであります。

 今般見直された国のエネルギー基本計画においては、本県原発事故の反省、そして教訓を出発点として、原発依存度を可能な限り低減させていくとともに、本県を再生可能エネルギーの産業拠点と位置づけ、全力で福島の復興・再生をなし遂げることが明記されたところであります。

 私は、原発事故の発災から3年が経過する今もなお、13万人に近い県民が避難を余儀なくされ、また、東京電力福島第一原子力発電所においては現在も頻繁にトラブルが発生するなど、事故収束にはほど遠い現状を踏まえ、原子力に依存しない社会の実現に向けて、県内原発の全基廃炉を決定するよう国に求めるとともに、再生可能エネルギーの飛躍的推進に向けて全力で取り組んでまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


総務部長(鈴木正晃君)お答えいたします。

 派遣職員の受け入れ状況につきましては、6月1日現在で県については209人で、充足率は86.7%、市町村については245人で、充足率は90.1%となっております。

 これらの不足数に対しては、国の独立行政法人や民間企業等からの職員の受け入れを初め神奈川県及び京都府による被災地のための任期付職員の派遣要請、さらには被災市町村による合同採用試験実施の支援を行うなど、引き続きさまざまな方策により復興・再生に必要な人員の確保に努めてまいる考えであります。

 次に、県及び市町村への人的支援につきましては、復興・再生事業の本格化に伴い、中長期にわたる対応が必要なことから、これまでも総務省や全国知事会等を通じて職員派遣等を要請してきたところであり、今月11日に行った政府予算要望においても、復興・再生に向けたさらなる人員確保の支援を求めたところであります。

 今後ともあらゆる機会を通じ、復興・再生事業が終了するまでの期間、財源措置も含めた継続的な人的支援を国に対して求めてまいる考えであります。

 次に、知事部局職員の長期病気休暇等の人数につきましては、平成25年度において133名であり、このうち精神科疾患による人数は92名であります。

 次に、さらなる消費税増税につきましては、国において法に基づき経済成長率や物価動向などの指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め、所要の措置を講ずることとされております。

 本県は、復興・再生に最優先で取り組んでいるところであり、そうした歩みをとめることのないよう、震災、原子力災害の影響や地域経済の状況に十分配慮の上、判断されるものと考えております。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 東京電力福島第二原子力発電所の廃炉につきましては、本県が掲げる「原子力に依存しない安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を目指し、これまでに国及び東京電力に対して繰り返し求めてまいりました。今後ともあらゆる機会を捉えて、粘り強く求めてまいる考えであります。
 
 次に、県内原発の全基廃炉等を国に求めることにつきましては、これまで緊急要請などを粘り強く行ってきた結果、昨年12月には福島復興加速化指針、廃炉・汚染水問題追加対策及び原子力損害賠償に係る中間指針第四次追補が策定されるなど、それぞれ一定の対策が講じられてきているところであります。

 また、3月11日に開催した県主催による復興追悼行事においても、県内原発の全基廃炉を求める知事メッセージを発信してきたところであり、引き続き、本県が抱える課題の解決に向け、国に対しあらゆる機会を捉えて県民の声や思いを強く訴えてまいります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 避難計画につきましては、原発事故における避難対象の範囲の想定が不十分であったことなどから、住民の避難において、避難先の確保・調整及び要援護者の支援が十分にできなかったことなどの教訓を踏まえ、新たに策定した広域避難計画においては、対象区域を拡大し、避難先や避難ルートを定めたほか、避難所の開設や避難住民の支援、病院や社会福祉施設等の避難についての基本的な枠組みを定めたところであり、今後は本計画を踏まえ、市町村や隣接県、関係機関と緊密に連携し、市町村の避難計画の策定を促進するなど、防災体制の充実強化に取り組んでまいります。

 次に、地下水バイパスの個々の揚水井において運用目標値を上回るトリチウムが検出された場合につきましては、当該揚水井からのくみ上げを一旦停止して傾向監視を強化し、分析結果について第三者機関とのクロスチェックを行いながら、一時貯留タンクへの影響を評価、確認することとされております。

 県といたしましては、引き続き東京電力に対し、揚水井No.12の傾向監視の強化を継続し、分析結果をしっかり確認しながら慎重に対応するよう求めてまいる考えであります。

 次に、地下水バイパスによる排出につきましては、原子炉等建屋への地下水の流入を抑制するための重要な対策であり、実施に当たっては、一時貯留タンクにおける運用目標値を厳格に定めているところでありますが、個々の揚水井においてこの運用目標値を上回る放射能濃度が検出された場合についても、揚水井からのくみ上げを一旦停止し、傾向監視を強化して一時貯留タンクへの影響を評価、確認することとされており、県といたしましては、国及び東京電力に対し、分析結果の傾向と影響をしっかり評価、確認し、慎重に対応するよう引き続き求めてまいる考えであります。

 次に、汚染水の管理につきましては、タンクからの漏えいや暫定排水基準を超える雨水の堰からの溢水など、たび重なるトラブルに対して、これまでも廃炉安全監視協議会による現地調査等を行い、東京電力に対して、信頼性の高いタンクへの置きかえ、堰のかさ上げや二重化などによる流出の防止、また、水位計設置やパトロール強化などによる現場管理の徹底等を求めてまいりました。

 また、先月20日には、雨季に備えて降雨時の対策に万全を期すよう改めて求めたところであります。

 引き続き、現地駐在員による現地確認や協議会の現地調査を実施し、汚染水管理を徹底するよう厳しく監視してまいる考えであります。

 次に、世界の英知の結集につきましては、これまでも国に対し、国内外の英知を結集し、総力を挙げて取り組むよう繰り返し求めてきたところであり、国においては、国際廃炉研究機構を設立し、汚染水対策や廃炉に関する技術を国内外から広く公募を行うとともに、今後はさらに原子力損害賠償・廃炉等支援機構に国内外の専門人材を結集し、技術的・専門的観点から廃炉に向けた取り組みを支援する体制を整備することとしております。

 県といたしましては、多核種除去設備や凍土遮水壁、溶融燃料取り出し等における技術的課題の解決にさらに英知を結集し、廃炉に向け総力を挙げて取り組み、確実に結果を出すよう引き続き国に対して求めてまいる考えであります。

 次に、国の現地体制につきましては、関係省庁の職員が常駐する廃炉・汚染水対策現地事務所や廃炉・汚染水対策現地調整会議が設置され、現地の状況把握や対策の工程管理、関係者間の連携・調整を行っております。

 県といたしましては、汚染水対策を初めとする廃炉に向けた取り組みは国みずからの事業であるとの認識のもと、現地の状況を的確かつ迅速に把握し、責任と主体性を持って取り組み、確実に結果を出すよう、国に対して引き続き現地の人員の配置拡充を含めた体制のさらなる充実強化を強く求めてまいる考えであります。

 次に、原子力規制委員会の委員の起用につきましては、原子力規制委員会設置法に基づいて、国会の同意を得たものと考えております。

 次に、原発労働者の待遇につきましては、これまで労働者安全衛生対策部会等において、労働条件の明示等による雇用の適正化や適切な健康管理、作業環境の改善などに取り組み、労働者が安心して働くことができる環境を整備するよう東京電力に対して求め、国に対しても事業者への指導を求めてきたところです。

 県といたしましては、引き続き労働者が安定的に、かつ安心して働けるよう、国に対し事業者への適切な指導監督を求めてまいる考えであります。

 次に、労務費の割り増し分につきましては、これまで国の関係機関の職員も出席する労働者安全衛生対策部会において、東京電力に対し、労働者の賃金に適切に反映されるよう求め、また、国に対しては、労働条件の明示等による雇用の適正化について東京電力への指導を求めてきたところです。

 引き続き、国に対し、東京電力への適切な指導を求めるとともに、労働者安全衛生対策部会等において、国及び東京電力の取り組み状況を確認してまいります。

 次に、原発敷地内で発生した死亡事故につきましては、現在、警察署や労働基準監督署による原因等の調査が継続されているところであります。

 東京電力では、事故発生直後に現場の安全総点検を行ったほか、災害発生に至る背後要因を調査する検討会を設置し、現在詳細な事故原因の究明を行っており、このような死亡事故を二度と繰り返さないため、徹底した再発防止対策を講じるとともに、労働者への作業に関する安全教育や作業前の注意喚起を行うとの説明を受けております。

 次に、富岡労働基準監督署につきましては、本年4月に広野町に臨時事務所を開設したところですが、県といたしましては、これまでも労働者安全衛生対策部会等において、労働安全確保に係る東京電力の取り組み状況を確認するとともに、国に対し、東京電力への指導を強化するよう求めております。

 次に、人材の育成につきましては、今後長きにわたる廃炉に向けた取り組みを安全かつ着実に進める上で極めて重要であることから、これまでも労働者安全衛生対策部会や国の廃炉・汚染水対策福島評議会において、人材育成の仕組みづくりや研修の充実などについて確実に取り組むよう国及び東京電力に対し求めてきたところであり、引き続き技術の継承を含め、廃炉作業を担う人材を安定的に確保・育成していくための必要な事項について求めてまいる考えであります。

 次に、市町村除染につきましては、市町村ごとの進捗状況は異なるものの、全体としては仮置き場の数も徐々に増加し、住宅除染の発注も着実に進んできておりますが、仮置き場のさらなる確保や市町村における除染推進体制の強化などに取り組む必要があると考えております。

 今後とも、市町村への訪問等を通じてそれぞれの課題を丁寧に把握し、設計積算相談や業務監理者の派遣支援など、きめ細かな対応を行うとともに、市町村意見交換会等の開催を通じて、仮置き場の確保や効率的な除染手法に係る先進的取り組み事例の情報共有と水平展開を図りながら、市町村と一体となって除染のさらなる加速化を図ってまいります。

 次に、除染の長期目標につきましては、これまでも国に対し、追加被曝線量年間1ミリシーベルト以下を堅持するよう強く求め、昨年12月に閣議決定された「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」においても、長期目標として追加被曝線量年間1ミリシーベルト以下になることを引き続き目指すことが明記されたところであり、ことし3月に国に対して改めてこの目標の堅持を求めたところであります。

 次に、中間貯蔵施設に関する住民説明会につきましては、国に対してこれまで繰り返し、わかりやすく丁寧な説明、誠意を持った対応を求めてきたところであります。

 説明会においては、最終処分場への懸念、生活再建策・地域振興策等の説明に具体性を欠く等の意見が出されたところであり、国はこうした意見を真摯に受けとめ、これまで県と地元自治体が申し入れてきた県外最終処分の法制化、用地の取り扱い、生活再建策・地域振興策等の内容について早期かつ具体的に示すべきと考えております。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 原発作業員の被曝線量データの共有化につきましては、現在、この業務に係る協定や個々の作業員から得るべき同意の内容、さらには提供を受けるデータの様式等について、県立医科大学と東京電力との間で調整を進めているところです。

 次に、医療・介護総合確保推進法につきましては、病床の機能分化や医師等の確保、介護予防給付の市町村事業への移行など、医療から介護までの一連のサービスを地域において総合的に確保するためのものであることから、県といたしましては、国に対し、在宅医療を担う医療人材の確保対策を積極的に講じるとともに、地域の実情に応じた医療・介護提供体制の整備のため、十分な財源を確保するよう求めてまいる考えであります。

商工労働部長(星 春男君)お答えいたします。

 労働者派遣法改正案につきましては、現在、今国会に提出されておりますが、改正の趣旨である派遣労働者の雇用の安定や保護、計画的な教育訓練等の実施によるキャリアアップの推進などが十分に図られるよう考慮されるべきものと考えております。

 次に、悪質な労働環境が疑われる企業につきましては、国がその権限に基づき、必要な調査及び指導監督を行うこととされております。

 県といたしましては、専門の相談員がさまざまな労働相談に応じ、法違反の疑いがある場合には、監督官庁である労働基準監督署への申告を助言するとともに、企業を個別訪問し、労働関係法令等の周知及び啓発を図るなど、労働者が働きやすい職場環境づくりを進めてまいる考えであります。

 次に、商店のリフォーム支援につきましては、これまで中心市街地の活性化を目的として、空き店舗を活用する場合には、その改修費用の一部を助成するとともに、個々の店舗の改装や備品の買いかえについては、街なか再生特別資金等制度資金により低利の貸し付けを行ってきたところであり、今後ともこれらの支援を通じて魅力的な中心市街地の形成に努めてまいる考えであります。

 次に、中小企業等グループ補助金につきましては、これまで新聞への募集記事の掲載や各方部における説明会の開催、市町村、商工団体等を通じた幅広い周知などを行ってきたところであります。

 今後とも関係機関等と連携しながら、グループ編成等に関する個別相談などきめ細かな取り組みにより、被災企業の事業再開を積極的に支援してまいる考えであります。

 次に、二重債務問題につきましては、事業者の再生に向け重要な課題であり、これまでも県及び市町村による広報や県内各方部での個別相談会の開催、さらには福島県産業復興相談センターにおける約32,000社を対象とした経営課題に関するアンケートの実施を通じて、潜在的に支援が必要な事業者に対し、制度の周知やその活用を働きかけてきたところであります。

 県といたしましては、今後とも制度の活用に向けた取り組みを強化するとともに、国や商工団体、金融機関等、関係機関となお一層の連携のもと、引き続き県内中小企業の二重債務問題に積極的に取り組んでまいる考えであります。

 次に、再生可能エネルギー分野における県内中小企業の参入支援等につきましては、約500の企業等から成る研究会の活動を通じた製品開発や発電事業への参入支援、企業立地の促進、産業施策と一体となった雇用支援などに取り組んできたところであり、これまで国、県の企業立地補助金では関連企業26社が新増設の指定を受け、約340人の雇用創出が見込まれております。

 今後は、これらの取り組みに加え、福島再生可能エネルギー研究所と連携しながら、人材の育成、研究開発の支援、産業フェアの開催などによる販路開拓支援等を一層推進し、県内中小企業の参入と雇用の拡大を図ってまいる考えであります。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 農地中間管理事業につきましては、農地の貸付先を検討する過程であらかじめ市町村が農業委員会の意見等を聴取するよう、農地中間管理機構である福島県農業振興公社の事業実施規程に定められております。

 また、県の基本方針等において、地域での話し合いに基づき市町村が作成する人・農地プランの内容を考慮するよう定めており、地域の担い手への農地集積が優先されるものと考えております。

 次に、農業改革につきましては、農業協同組合や農業委員会等の組織が地域の農業・農村の振興に果たしている機能や役割、中山間地域の実情などに配慮し、生産現場に混乱が生じないようにすることが必要であると考えており、今月11日には国に対し、農業者、農業団体、地域住民など関係者の意見を広く聞き、慎重に議論を尽くした上で、今後とも地域の農業・農村振興に十分な機能を果たすような見直しとなるよう要望を行ってきたところであります。

 次に、TPPにつきましては、国民に対して十分な情報提供と明確な説明を行うとともに、農林水産業が将来的にも持続的に発展していけるよう、その再生強化に向けた対策を講じること、また、被災地域の復興に最優先で取り組むことが重要であると考えており、先般の国に対する提案・要望活動において改めて要望してまいりました。

 引き続き全国知事会等と連携しながら、衆参両院農林水産委員会における決議を踏まえ、万全な対応を行うことを国に対し求めてまいる考えであります。

 次に、農地土壌の放射性物質調査につきましては、放射性物質濃度の推移の把握と農作物における放射性セシウム吸収の要因解析のため、国と県が毎年度約400地点で実施しております。

 これらの調査結果と農地上の空間線量率から県全域の農地土壌の放射性物質濃度を推計し、農業者が実質的に田畑を確認できる詳細な農地土壌の放射性物質濃度分布図を作成し、市町村やJA等に配布しております。

 また、大学等が実施した調査結果の活用につきましては、調査方法が国、県と異なるものもあり、慎重な検討が必要であると考えております。

 次に、モニターツアーにつきましては、今年度はツアーの対象者を県外のほか県内の消費者にも広げ、生産者と交流する天のつぶ産地ツアーの新たな実施や、昨年度、米や野菜等で行ったメディアツアーを畜産物や海産物にも対象を広げるなど、企画内容や実施回数を拡充してまいります。

 また、市町村や民間団体が行う産地ツアー等への助成を拡大し、引き続き風評払拭にしっかりと取り組んでまいります。

 次に、水産物の非破壊型検査機器の開発につきましては、魚種が多様であり、検体に身の部分よりも放射線量が低い内臓や骨が含まれること、鮮度を保つ氷等の影響で測定値に誤差が生じるなどの課題があります。

 現在、メーカーでは試作機を用いて魚介類の種類や大きさごとに内臓や氷等の影響を考慮した測定値に更正するための基礎となるデータ収集などを行っており、課題解決に向けて取り組んでいるところであります。

 次に、林業担い手の確保につきましては、林業への新規就業者数は、震災前の5年間の平均が162名なのに対し、震災以降も毎年100名を超える方々が就業しており、その平均年齢は約40歳と、若年層の就業も見られております。

 放射性物質の影響を考慮し、研修会の開催や個人線量計の配布などに取り組むとともに、伐採作業に必要な資格取得や高性能林業機械の導入支援など就業環境の向上を図り、担い手のさらなる確保・定着に努めてまいります。

 次に、研究を担う人材の育成につきましては、昨年4月に連携協定を締結した農業・食品産業技術総合研究機構の農業放射線研究センターに3名の研究員を配置し、より高度な専門知識や研究手法を習得し、現地実証研究において成果を上げております。

 また、国の試験研究機関や県内外の大学、企業などとともに数多くの放射性物質対策の共同研究を実施しながら、研究者のレベルアップに努めているところであります。

 今後ともこれら研究機関との連携を深め、人材育成に取り組んでまいります。

 次に、イノシシによる農作物被害につきましては、平成24年度の被害額は避難指示区域を除き約6,800万円となっており、鳥獣被害全体の約4割を占めております。

 また、被害防止対策につきましては、緩衝帯の整備、侵入防止柵の設置、捕獲活動等を組み合わせた市町村の総合的な対策を支援しており、今年度は前年度実績額の約2.6倍の予算を措置し、市町村からの支援強化の要望にしっかりと対応してまいります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 復興公営住宅の入居希望が多い地域の建設促進につきましては、用地取得の迅速化を図るとともに、県による直接整備に加えて、都市再生機構への建設要請や民間事業者を活用した木造住宅の買い取りなどにより建設を加速してまいる考えであります。

 次に、市町村が整備する災害公営住宅の家賃の軽減につきましては、国の制度として、災害公営住宅家賃低廉化事業と東日本大震災特別家賃低減事業があります。

 県といたしましては、市町村がそれぞれの実情を踏まえ、これらの事業を有効に活用できるよう支援してまいる考えであります。

 次に、県道いわき石川線田人地区の道路斜面につきましては、平成23年4月の余震による大規模なのり面崩壊直後の緊急点検により、斜面に亀裂や浮き石を確認した2カ所について落石対策等の工事を実施しております。

 今後とも、日常のパトロールや年1回の定期的な点検により斜面状況の的確な把握に努めてまいります。

 次に、通行どめ解除の見通しにつきましては、斜面が急勾配で、不安定な土塊が斜面上部にあることから、施工の安全性を確保するため、特殊な機械による土砂の撤去とのり面を安定させる工事を上部から段階的に実施する工法を採用し、必要な工期を9月末としております。

 次に、才鉢地内の抜本的な整備につきましては、平成23年度からトンネルや橋梁により約3キロメートルをバイパス化する事業に着手しており、引き続き早期整備に努めてまいります。

 次に、小名浜港の特定埠頭運営事業につきましては、港湾法に基づき、港湾施設の使用について公平性及び公共性を確保することなどを認定要件として、港湾管理者が民間事業者に埠頭の貸し付けを行うものであり、港湾施設利用者である地元の港湾運送事業者への影響はないものと考えております。

 次に、東港供用後の港湾利用者への安全対策につきましては、車どめ等の転落防止施設等を整備するとともに、津波などからの避難体制について関係機関と協議してまいります。

 また、トイレ等の施設の設置につきましては、今後緑地などの詳細な設計において検討してまいる考えであります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 原子力損害対策協議会につきましては、被害者の生活や事業の再建につながる賠償が迅速かつ十分になされるよう、これまでも関係団体や市町村とともに国、東京電力に対する要望活動等を行い、昨年12月には住居確保のための追加賠償の考え方等を示した中間指針第四次追補の策定を実現させたところであります。

 引き続き賠償の課題等を見きわめながら適時適切に協議会を開催するなど、被害の実態に見合った賠償がなされるよう取り組んでまいる考えであります。

 次に、県民の精神的損害につきましては、市町村等と一体となった原子力損害対策協議会の活動等を通し、被害の実情を踏まえた賠償が公平かつ迅速になされるよう国及び東京電力に求めてまいりました。

 今後も個別具体的な事情への対応を含め、原子力発電所事故により生じた県民の被害の実態に見合った賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。

 次に、被災者生活再建支援金につきましては、今月11日に実施した復興加速に向けた国への提案・要望活動を初め北海道東北地方知事会での要望など、これまでも国に対し再三にわたり増額を要望してきたところであり、今後とも被災者の住宅再建に資するようその拡充を求めてまいる考えであります。

 次に、避難者と避難先住民との交流促進につきましては、避難生活が長期化し、避難者が今後の生活や健康などさまざまな不安を抱えている中で、地域に溶け込み、安心して暮らすことが極めて重要であると考えております。

 このため、相互理解が図られ融和が促進されるよう、避難元及び避難先自治体を初め民間団体等と連携し、交流の場の提供や交流活動を支援する人材の配置など、引き続き地域の実情に応じた効果的な支援に取り組んでまいる考えであります。

教育委員会委員長(小野栄重君)お答えいたします。

 教育委員会制度につきましては、現在も教育行政全般にわたり合議制の利点を十分生かした運営がなされているものと考えております。

 一方、教育行政における責任体制の明確化や迅速な危機管理体制の構築、地域の民意を代表する地方公共団体の長との連携強化などの視点も重要であるため、新たな教育委員会制度においては、総合教育会議の場を最大限に活用しつつ、本県の子供たちの幸せの実現のために今後も教育行政の継続性、安定性をしっかりと担保し、本県教育がさらに充実発展するよう力を尽くしてまいる考えであります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

  県教育委員会教職員の長期病気休暇等の人数につきましては、平成24年度において323名であり、このうち精神科疾患による人数は133名であります。

 次に、県立高等学校授業料無償制の復活につきましては、新たな制度は教育に係る費用負担の公平性を図るものであるとともに、生活保護世帯等への支援の拡充、公立・私立間における格差の縮小などにつながるものであることから、県民に新たな制度の趣旨、内容等を丁寧に説明し、制度の円滑な導入に努めているところであります。

 次に、奨学資金貸付制度につきましては、経済的理由により就学困難と認められる生徒に奨学資金を無利子で貸与し、教育の機会均等を図るという趣旨で運営しており、生徒の学習意欲を促し、希望する進路の実現につなげるためにも、貸し付けに当たっては一定の学力基準が必要であると考えております。

警察本部長(名和振平君)お答えいたします。

  警察官の自殺の原因につきましては、当時の勤務状況などについて調査を行っているところであり、引き続き自殺の要因についての解明を進めてまいりたいと考えております。

 県警察といたしましては、業務の合理化、効率化を図ることなどによる職員の業務負担の軽減や心の健康を増進するための具体的な方策についても検討を進め、職員の自殺防止のための対策の充実を図ってまいる考えであります。

 次に、警察職員の長期病気休暇等の人数につきましては、平成25年度において47名であり、このうち精神科疾患による人数は24名であります。

 次に、警察官の増員につきましては、東日本大震災による被害を受けたことに伴って警察の事務が増大していることに鑑み、平成26年度から28年度までの間における特例として増員がされております。

 また、平成25年度にはサイバー空間の安全確保及び検視体制の強化を図るための増員がされております。

 さらに、本県の置かれた状況を踏まえ、国に対し来年度の警察官の増員を要望しております。

 県警察といたしましては、引き続き国に対して必要な体制の確保について要望してまいる考えであります。

38番(宮川えみ子君)再質問をいたします。

 まず、知事にですが、集団的自衛権問題で再質問いたします。

 県内の若者に対しても非常に重大な影響を及ぼすものでありまして、国に丸投げ的答弁は非常に心もとないと思います。若者憲法集会が近々ありまして、その中での呼びかけ文ですが、集団的自衛権の行使で現実に想定されるのは、アフガンやイラクの戦争で自衛隊が武器を持って戦地に送られ、戦闘に加わるということです。アメリカでは、これらの戦争に行った兵士60万人がPTSDにさいなまれ、一日平均22人が自殺をしています。武器を持って戦場に行けば、平和国家としての日本の信頼がなくなり、人道的支援をしているNGOの活動が困難になります。

 経済同友会の終身幹事だった故品川正治さんは、日本陸軍の一員として中国最前線の戦闘で目の前の友人が爆撃で亡くなり、みずからも意識不明の中、何とか一命をとりとめ、戻る船の中で日本国憲法草案9条を読み上げたとき、隊員全員が涙を流したと言っていました。先人がどんなにつらい体験を経てこの9条を手にしたか、戦場に行くのは安倍首相ではない、私たち若者です。この声を突きつけようと、青年集会が呼びかけられております。県内の若者も参加します。県内の若者のこの思いに対して、はっきり知事の意思の入った答弁を聞きたいと思いますが、再度求めます。

 それから、原発推進の国のエネルギー基本計画についての再質問です。

 知事は、できるだけ原発を軽減すると、そういうことを言っていますけれども、3年以上ほとんど原発は動いていないのです。その原発を再稼働させるということなので、軽減ではないのです。福島県の原発全基廃炉はもちろんなのですけれども、この前、私は総括質問で2月議会にやりましたけれども、東電は柏崎刈羽の再稼働を求めています。柏崎刈羽から会津までの距離が60キロですね。女川もそうですが、新地まで70キロ、東海原発は40年も超えて古くて、私はいつもびくびくしているのですが、私のいる勿来までは54キロです。

 ですから、今知事が言うような観点でどんどん再稼働されたら、県民の安全と安心が守られるのかということを私は思います。この国のエネルギー基本計画、私は推進としか読めません。軽減などということはとんでもないことだと思います。原発推進の計画は見直すように国に再度求めてほしいと思いますが、伺います。

 それから、商工労働部長に再質問いたします。

 ブラックバイトについてです。私、県内の大学生に聞きました。コンビニは、研修期間と称して最低賃金より安く働かされております。塾の講師は、宿題を見る時間を勘案してもらえない。かわりがいないと休めない。居酒屋は、バイトの賃金は少し高いが、呼び出しされたり、人がいないので残れと深夜に及んだり、試験前でも休めないと言います。親からの仕送りがないということで、足元を見られているというか、やめられないわけです。そういうので非常になかなか厳しいわけです。私は、実効ある調査をして、そして人もちゃんと配置して、こういう実態をよく調査してほしいと思いますが、再度部長に質問します。

知事(佐藤雄平君)宮川議員の再質問にお答えいたします。

 集団的自衛権の行使につきましては、国民のさまざまな議論を踏まえ、国会の場で十分に議論すべき問題であると考えております。

 また、エネルギー政策の件でありますけれども、私は先ほどの答弁で、国のエネルギー基本計画の中の考え方を申し上げました。そういうふうな中で、私自身は引き続き県内原発の全基廃炉を決定するようにしっかりと国に求めてまいります。

商工労働部長(星 春男君)再質問にお答えをいたします。

 ブラックバイト、ブラック企業についてでございますが、その労働環境の調査権限といいますか、その権限は国にありますので、国がその権限に基づいて必要な調査、指導をしっかりやるべきだと思っております。

 県といたしましては、繰り返しになりますけれども、現在労働相談というものを受け付けておりますので、その労働相談の中でさまざまなアドバイス、場合によっては労働基準監督署への申告を助言するような、そういう支援の仕方をしてまいりたいと思っております。

38番(宮川えみ子君)再々質問をいたします。

 知事にですが、国のエネルギー基本計画について質問いたします。

 放射能は、県境とかそういうものはないですよね。本当に県民の命と暮らしを守るということであれば、県内原発はもちろん廃炉は当然なのですけれども、私たちが受けている原発の問題、戦前戦後ではないですけれども、私もまさかこんな事態に遭うとは思いませんでしたけれども、スリーマイルとかチェルノブイリと違って、狭い日本の中での原発なのです。

 この前、大飯原発再稼働差しとめの判決がありましたけれども、当時の近藤駿介原子力委員会委員長は、最悪のシナリオとして、事故直後福島原発から250キロ圏内の避難を検討したというのです。私も第二原発を視察に行ったとき、東京電力から「あと2時間対応ができなかったら第二も危なかった。」と。これは東電から説明を受けたのです。

 ひどい思いを私たちはしていますけれども、一方で見れば、あれだけで済んだとも言えるような事態なのです。こういうことを考えれば、今もう原発なしでやっているわけですから、どこに行っても、うちはトマト工場で太陽光をやっています、うちは小水力をやっています、うちはバイオでやっていますと、こういう動きがどんどん出ているわけですから、動いていないやつを何も動かすと、そんなふうなことはする必要ないわけです。

 私は、ほかの県の知事が国に意見を言うのではないと思います。国の責任で起こされた原発事故の真っただ中にいる最高責任者として意見を言うというのは当然のことだと思うのです。私は知事に、この国の政策、今動いていないのだから再稼働するような内容にするなと、これを言ってほしいのですが、再度お願いいたします。

 それから、商工労働部長に聞きますが、国がやるべきことをやる、労働相談で受け付けてそういうアドバイスをしてやる、それだけで本当にいいのですか。一生懸命勉強しようとしている、そういう状況がなかなか難しくなっている人がいっぱいいるのです。

 私が聞いたAさんは、1日4時間半のバイトで月45,000円、奨学金月10万円で暮らしているのです。授業料が半年で20万円なので、そのために毎月4、5万円はとっておかなくてはならない。ぎりぎりの生活なのです。でも、この人も卒業後、620万円の奨学金を利子つきで払うのですよ。生活がかかってやめられないのです。

 今大学生の間では、バイト必修・授業選択という状態になっている人も多いのです。本当に一生懸命勉強しようという人に、いい環境というか、私たちがやっていたころのバイトとは本当に違うのです。だから、そういうことをもっとよく調べて、そして労働相談を受け付けてアドバイスをしますなんていうだけではなくて、本当の支援をしてほしいと、このように思いますが、再度答弁をお願いいたします

知事(佐藤雄平君)宮川議員の再々質問にお答えいたします。

 我が国の原子力政策につきましては、本県での原発事故がもたらした甚大かつ広範囲な被害の実態を踏まえて、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、国の責任において示されるものであると考えております。

 私は、引き続き福島県内における深刻な被災状況及び県内原発の全基廃炉を福島県知事として強く国に求め、原子力に依存しない社会の実現に向けて全力で進んでまいる考えであります。

商工労働部長(星 春男君)再質問にお答えをいたします。

 繰り返しの答弁になりますけれども、その権限を持っておる国において必要な調査、指導を行うということになってございます。

 県といたしましては、労働相談員のお話を申し上げましたけれども、個々の事業所等に直接訪問いたしまして、労働関係法令等の周知、そういうこともやりながら、労働者が働きやすい労働環境をつくれるような、そういう取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。

議長(平出孝朗君)これをもって、宮川えみ子君の質問を終わります。

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