ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2014年9月定例会 代表質問 神山悦子議員

2014年9月定例会 代表質問 神山悦子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年12月1日更新

神山悦子議員

議員

神山悦子

所属会派
(質問日現在)

日本共産党

定例会平成26年9月
質問等代表質問
質問日9月18日(木曜日)

50番(神山悦子君)日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表し、質問いたします。

 2011年3月11日の原発事故から3年半たちましたが、いまだにふるさとに戻れない避難者は12万7千人余、そのうち県内には79,939人、県外には47,149人、避難している子供たちは県内外に26,067人です。また、この3年半で災害関連死は1,753人、震災関連の自殺者はことし7月末で56人と、被災3県の中で最も多くなっています。

 今月3日、第2次安倍改造内閣が発足しました。安倍政権は、集団的自衛権の行使、原発の再稼働、TPPへの参加、消費税の大増税、沖縄の新基地建設など、国民の5割、6割が反対しているというのに、国民の批判に耳を傾けるという姿勢が全くありません。平和、民主主義、暮らしを壊す戦後最悪の内閣ではないでしょうか。

 私たちは、原発再稼働を進める安倍政権に対し、次の4点が党派や思想、信条、立場の違いを超えて一致できるオール福島の願いだと考えます。1、福島原発全10基廃炉の決断と一刻も早い事故収束・汚染水対策、2、徹底した除染と完全賠償、3、長期にわたる子供と県民の健康支援、医療体制の確立、4、事故前の暮らしとなりわいの再生を土台に、県民一人一人に寄り添った復興です。

 一方、これらオール福島の願いを阻んでいるのが国と東京電力です。いまだに原発事故の加害責任をとろうとせず、福島の原発事故を全く教訓にしないで、今年4月11日に原発を重要なベースロード電源と位置づけた国のエネルギー基本計画を閣議決定し、財界とともに原発の再稼働と海外への売り込みを進めています。

 知事は、今期限りで引退すると表明されましたが、オール福島の県民の願いを実現するには、原発を推進する国と真正面から対峙せざるを得ないと考えます。今後の県政においても引き続き国の責任ある対応を強く求めていくべきと思いますが、知事の見解をお尋ねします。

 昨年8月の3号機の瓦れき撤去作業で放射性物質が飛散し、南相馬市の米から基準値を超える放射能が検出されましたが、今後1号機建屋カバーの解体作業が予定されています。

 東電に対し、作業日時の情報公開や作業員の被曝対策、周辺の子供や住民への被害対策などの飛散防止策を徹底するよう求めるべきですが、県の考えを伺います。

 次は、汚染水対策についてです。

 小渕経産大臣が就任直後に福島第一原発を視察し、「全体としてコントロールされている。」と述べたようですが、現状はそんな状況ではありません。ことし5月21日から地下水バイパスによる地下水放出が開始され、12番目の井戸からは1,500ベクレルを超える高いトリチウムが検出されましたが、東電は薄めて海に放出する方針を変えず、国も追認しています。さらに、サブドレンからくみ上げた地下水を処理後に海へ放出するとしていますが、漁業関係者からは反対の声が上がっています。県は、放射能で海を汚さないとの立場を堅持すべきです。

 また、320億円もの多額の費用をかけて行う前例のない凍土遮水壁工事も疑問です。海側の海水配管トレンチからの高濃度汚染水を抜き取る凍結止水工事も難航しています。場当たり的な対応でなく、地下水脈の全体像をつかまなければ、抜本対策がとれないことは明らかではないでしょうか。

 県みずからが第一原発敷地内及びその周辺地域の地下水脈など地下構造を把握するとともに、国に対し、地下構造を十分に分析し、汚染水対策を確実に進めるよう求めるべきですが、県の考えを伺います。

 去る7月、私は県議会の欧州視察に参加してきました。スイスでは、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の研究をしているナグラの2つの研究施設を視察しましたが、スイス政府は最終処分場についての結論をまだ出していません。しかも、福島の原発事故を受けて、むしろ国民からはより詳細な研究を求められていると述べています。さらに、スイスもドイツも福島の原発事故を受けて国として原発廃炉を決断したのです。

 翻って、原発にしがみつく日本の安倍政権はこれらの国々と比べても全く異常です。福島の事故を教訓にしていない原発をベースロード電源と位置づけた国のエネルギー基本計画を撤回するよう国に求めるべきですが、県の考えを伺います。

 また、避難地域の今後の将来像を描く上で第二原発の再稼働はあり得ません。第二原発廃炉の決断を第2次安倍改造内閣に対し改めて求めるべきです。県の考えをお尋ねします。

 次に、原発労働者についてです。

 第一原発で働く1日当たりの労働者が昨年の3千人台からことし9月で2倍の6千人を超すとされています。

 今月3日、高い線量の中、危険作業に当たっている現役を含む下請の原発労働者が、危険手当や残業代が支払われていないとして、東電と東電の下請17社に対し、福島地裁いわき支部に提訴しました。現役作業員が処遇改善を求め、裁判に訴えるのは初めてです。

 こうしたピンはねや偽装請負が横行する背景には、原発労働者の多重下請構造があります。東電は、たび重なる指摘を受けて、労務単価に上乗せ増額すると国会でも答弁していますが、実際には末端の労働者にまで支給されていなかったことになります。労務単価割り増し分、つまり危険手当が全ての労働者に確実に支給されるよう国に強く求めるべきですが、県の考えを伺います。

 そもそも廃炉・汚染水対策は、政府が第一義的に最優先で取り組まなければならない国家プロジェクトのはずです。廃炉・汚染水対策に当たる原発労働者の労働条件については、国家公務員に準じたものとさせるよう国に強く求めるべきです。県の考えを伺います。

 ことし4月、県は13市町村、現況人口約474,000人についての暫定重点区域における福島県原子力災害広域避難計画を策定しましたが、安定ヨウ素剤の配布方法とその備蓄場所、災害弱者対策など、3・11の教訓を具体的にどう生かすのかが問われています。しかも、我が県は他県とは違い、事故を起した原発からの避難となります。本県の広域避難計画については、国が責任を持って調整を行うよう強く求めていくべきと思いますが、県の考えを伺います。

 安倍政権による福島切り捨ての姿勢は、環境省の除染方法に関する中間報告にもあらわれています。しかも、山林の除染、木戸ダムの湖底やため池の除染、学校や保育所の再除染要望についても、いまだに国は明確な方針を示していません。また、国直轄除染の現場では、除染の期日を迫られて、手抜きやずさんな作業が問題になっています。県は、市町村や国直轄除染、再除染が進まない現状に対し、除染の確実な推進を国に求めるべきと思いますが、考えを伺います。

 次は、中間貯蔵施設についてです。

 今月初め、知事は大熊・双葉両町とともに施設建設の受け入れを国に正式に表明しました。しかし、課題は山積です。3,010億円という数字が示されただけで、避難地域の将来像をどうするのか。30年以内の県外搬出については法制化するとしながら、最終処分場についての国の方針は示されていません。地権者との協議もこれからです。国が責任を持って避難地域の将来像の策定に取り組むべきですが、県の考えを伺います。

 また、中間貯蔵施設に係る地権者が国との個別交渉で不利にならないように県の支援が必要と思いますが、どうお考えですか。

 さらに、県が双葉・大熊両町に交付するとしている150億円については、直接住民に対する支援とし、今後の生活再建につながるものとすべきですが、県の考えをお示しください。

 次に、原子力損害賠償についてです。

 国、東電の原発事故で避難していた川俣町山木屋の50代の女性が一時帰宅した2011年7月1日、自宅前で焼身自殺しましたが、家族が東電に対しその損害賠償を求めて起こした裁判の判決が去る8月26日、福島地裁で下されました。今回の判決は、「原発の事故による避難は予測可能だった。」、「事故と自殺とは相当な因果関係がある。」として東電の責任を認めた初の判決です。

 関西電力大飯原発の運転差しとめを命じたことし5月の福井地裁の判決に続く画期的な判決です。今回東電は判決を受け入れ、遺族に謝罪しましたが、当然のことです。「原発事故さえなければ」とみずから命を絶たねばならなかった思いを東電は重く受けとめるべきです。

 一方で、東電は原子力損害賠償紛争解決センター・ADRの和解案に対する姿勢に見られるような不誠実な態度をとり続けています。全町避難を余儀なくされた浪江町は、昨年5月29日、町民約1万5千人分の精神的損害賠償の増額を求め、ADRに集団申し立てをしました。

 浪江町の支援弁護団は、現地視察や避難者からの聞き取りを行った上で、生活費の追加賠償を含む一人月額10万円は不十分として、プラス25万円の賠償の支払いの申し立てをADRに起こしました。これに対し、ADRは増額分は5万円とする和解案を町に提示し、町もことし5月に受諾していたのです。ところが、東電は一部を除いてADRの和解案を拒否し、その拒否理由を自社のホームページ上で公開したのです。

 なお、東電は居住制限区域の飯舘村蕨平の住民33世帯、111人の集団申し立ての和解案も拒否しています。しかし、ADRは「集団申し立てについては合理性がある。」と指摘しています。原子力損害賠償紛争解決センター・ADRによる和解仲介案を尊重するよう東京電力に強く要求するとともに、国にも指導を求めるべきです。県の考えをお示しください。

 また、浪江町を初め県内のADRへの集団申し立てを支援すべきと思いますが、県の考えを伺います。

 浪江町の弁護団は、「国の中間指針は、原子力損害賠償紛争審査会が設置されてから中間指針第3次追補策定までは、全く福島県の12市町村を視察することもなく、被害地住民からの聞き取りもないまま机上の議論で指針を作成したものである。また、自動車損害賠償責任保険における慰謝料を参考にした月額10万円は不十分であり、指針に問題がある。」と指摘しています。避難指示区域内における精神的賠償への賠償の指針を見直すよう国に求めるべきです。県の考えを伺います。

 あわせて、解除1年で打ち切りという中間指針第4次追補の見直しも必要です。ことし4月、20キロ圏内で初めて解除した田村市都路地区の帰村率は33%台にすぎず、多くの子供と若い世代は戻っていません。川内村は、20キロ圏内をことし10月に解除するとしていますが、既に賠償が打ち切られた30キロ圏内の避難者は生活が困窮してきて、年金や貯金の取り崩しなどで対応しているというのが現状です。

 相当期間を1年と決めたこと自体に無理があるのです。何らかの支援策を早急に講ずるべきです。被害者の生活再建のため、国に対し、賠償が継続される相当期間を1年間とする指針の考え方を一律に適用しないことはもとより、生活支援策を早急に実施するよう求めるべきです。県の考えをお尋ねします。

 本県の復興は、ハード面の整備にとどまらず、人間の復興、つまり一人一人に寄り添った復興支援がどの分野にも求められています。今月10日にも、楢葉町からいわき市に避難して仮設住宅に入居していた87歳の女性が自殺しました。また、本日の報道では、相馬市の市営住宅に入居していた男性が孤独死しました。これ以上自殺者や孤独死を生まないためにも、復興を支える人的増員と体制強化は欠かせません。県及び市町村への応援職員については、継続的な派遣を国に求めるべきですが、県はどう考えますか。

 また、県自身も医療、福祉、土木等の技術職員の増員を図るべきと思いますが、県の考えを伺います。

 被災者の心のケアには、臨床心理士や保健師等の専門職による個別訪問が重要です。ふくしま心のケアセンターについて体制を強化すべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。

 一方、仮設住宅の入居者の見守りを担う市町村の生活支援相談員の雇用については、半年や1年での緊急雇用対応でなく正規雇用とすべきです。県の考えを求めます。

 次に、被災者の住まいの確保についてです。

 双葉地方を初め避難地域の住民は、市町村の将来が見通せない状況にあり、自分の今後の生活基盤をどこに置いたらよいのか決められず、また避難生活が長期になれば家族の状況も当然変化します。帰還するかしないかという二者択一でなく、その中間的な暮らし方も認めるなど、多様な選択を支援すべきです。借り上げ住宅の住みかえの要望について柔軟に対応できるよう国に求めるべきですが、県の考えを伺います。

 また、県の復興公営住宅は計画戸数のわずか10%程度であり、個人の住宅建設もおくれています。その主な要因は、資材高騰や人員不足です。復興公営住宅の建設における資材高騰や人員不足の対策について、被災地枠を設けるなどの対策を国に要望すべきですが、県の考えを伺います。

 また、住宅を自力で再建することを可能にするため、被災者生活再建支援金を500万円以上に増額するよう国に求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。

 3年半がたち、県外、県内の自主避難者はこれまでの経済的負担に加え、さまざまな精神的ストレスや不安を抱え、情報も不足しています。自主避難者に対する支援を継続すべきと思いますが、県の考えを伺います。

 次は、医療、福祉、教育の充実についてです。

 安倍政権は、消費税増税と一体に社会保障の切り捨てを一気に進めようとしていますが、被災県民には不安と負担が増すばかりです。そもそも本県は、震災前は医療、福祉は全国最下位レベルでした。改めて人間の復興を実行するため、以下の具体化を求めるものです。

 安倍政権は、昨年子ども・子育て支援法を成立させ、来年4月からの新制度実施を目指しています。新制度では、現行の保育所と幼稚園、認定こども園は残るものの、20人以下の小規模の地域型保育事業は、一部を除き、保育士の資格が不要で、研修だけでよいとしており、給食も3歳未満児を対象としているのに外部搬入を認める、低い面積基準も参酌基準にしています。駅ビルのワンフロアを使うなど企業参入をしやすくするというのが狙いではないでしょうか。

 県は、これまで自治体が独自につくってきた制度や水準が後退しないようにすべきです。認可外保育施設が認可保育所への移行を希望する場合、県はどのように支援するのか伺います。

 また、保育施設の種類にかかわらず、正規の保育士配置を求めるよう認可基準を定めるべきですが、県の考えを伺います。

 保育所の企業参入については、保育の質の低下を招かないよう指導すべきです。県の考えを求めます。

 また、この新制度に基づき、学童保育所も基準が定められます。おおむね40人以下、1人1.6平方メートル、6年生までの保育など、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の質が担保できるよう、小規模施設への支援継続、常勤の指導員確保と処遇改善、研修の実施について県はどのように取り組んでいくのか、考えをお尋ねします。

 ところで、日本の子供の貧困問題は以前から指摘されていました。教育や福祉現場からはこうした子供の報告が上がっていたのに、日本の歴代政権は社会問題としてとらえず放置してきたのです。しかし、2012年の厚労省の国民生活基礎調査で子供の貧困率が16.3%と、1985年の調査開始以来過去最悪を更新しました。これは母子家庭などのひとり親家庭や非正規雇用がふえていることが要因です。

 政府は昨年6月、この調査結果を受けて、子どもの貧困対策の推進に関する法律を制定し、ことし1月、子どもの貧困対策推進法を施行、8月にはこれに基づく子どもの貧困対策大綱を決定し、4つの分野で対策を進めるとしています。

 貧困対策大綱に基づき、学校と福祉をつなぐスクールソーシャルワーカーの増員や採用枠の拡充、従事者の社会保険加入などの待遇改善を図るべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺います。

 また、県の奨学金についても、全ての希望者に給付型奨学金制度を創設すべきと思いますが、県教育委員会にお尋ねします。

 また、公立小中学校の児童生徒に対する就学援助について、生活扶助基準額の引き下げと連動させずに認定すべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺います。

 クラブ活動費などが支給対象品目となっていることについて、県内全ての市町村に徹底すべきと思いますが、これについてもお答えください。

 また、被災児童生徒等就学援助支援事業の継続を国に求めるべきと思いますが、考えをお示しください。

 子供の虐待もふえています。今月初め郡山でほぼ寝たきりだった1歳4カ月の長男を床に落とすなどの虐待事件がありました。児童虐待は、48時間以内に子供の安全確認をすることになっていますが、初期の対応など現場に足を運ぶに必要なマンパワーが足りない現状にあります。児童福祉司を初め正規職員の増員を図るべきと思いますが、県の考えを伺います。

 次は、雇用問題です。

 安倍首相は、女性の活躍を声高に叫んでいますが、安上がりの労働と男性を含めたさらなる労働法制の規制緩和を狙っています。今でも若者を使い捨てにするブラック企業やブラックバイトなども横行していますが、悪質な労働環境が疑われる企業、いわゆるブラック企業への対応について、県の取り組みを伺います。
 また、福島県の最低賃金は現在689円ですが、これを全国一律1,000円以上に引き上げるよう国に求めるべきです。県の考えをお示しください。

 女性が多く働く医療・福祉分野では、雇用の劣化が急速に進んでいます。医療・介護従事者について、処遇改善を図り、正規雇用をふやすべきです。県の考えを求めます。

 次に、教育行政について伺います。

 まず、全国学力テストについてです。

 今般、静岡県知事が教育委員会の承諾なしに成績の上がった校長名を公表したことが問題になりましたが、安倍政権の教育改革を先取りしたものと言えます。子供たちに学ぶ喜びと真の学力を身につけさせること、これに逆行し、過度な競争と学校の序列化につながりかねません。全国学力・学習状況調査の結果については公表すべきでないと考えますが、県教育委員会の考えをお尋ねします。

 教員の多忙化については、ことし6月に発表されたOECD国際教員指導環境調査でも明らかです。OECDの調査結果を受け、教員の多忙化について、県教育委員長の見解を求めます。

 また、本県は今も多くの子供たちが避難している状況にあり、教員の精神疾患や病休も増加しています。県は教員を増員するため、国に教員定数の改善を求めるべきと思いますが、教育長の答弁を求めます。

 ところで、今年6月に成立した医療介護総合確保推進法は、今月基本方針で示されたように、県ごとに入院病床の削減を進める地域医療ビジョンの策定が来年4月から始まります。医療機関から県に報告する仕組みですが、全国共通データベースに入力させ、都道府県はそれに基づいて地域医療構想を策定します。

 また、介護サービスについても、地域包括ケアシステムで支出抑制を図り、要支援1、2を介護サービスから外すとともに、特養は要介護3以上に、年収280万円以上の介護利用料の負担を2倍にするとしています。本県は、原発の被害を受けた被災県です。これ以上削減されたら、県民の命が脅かされることになります。県は原発事故避難者の避難先における医療体制の充実にどう取り組む考えなのか伺います。

 また、避難している高齢者への介護施設の整備についてはどのように取り組む考えでしょうか、伺います。
 医療介護総合確保推進法が具体化されようとしている中、県は県民の医療・介護の充実にどのように取り組んでいく考えなのかお尋ねいたします。

 さて、この秋も値上げラッシュになって県民の暮らしを直撃しています。しかし、安倍政権は消費税を来年10月に10%にする増税を狙っています。しかし、8月13日に発表されたGDP統計では実質でマイナス7.1%と大幅下落しました。被災住民や県内中小企業の復興に影響を与える消費税率10%への増税中止を国に求めるべきですが、県の考えを伺います。

 ところで、原発依存をやめ、県内でも土湯温泉のバイナリー発電や会津発電、また、他の地域でも地域主導型の再生可能エネルギーの取り組みが始まっています。県は地域主導による再生可能エネルギーの導入をどのように推進していく考えなのか伺います。

 放射能で汚染された農林水産業の再生も課題です。森林整備をする上でも、農産物や水産物においても丸ごと検査できる機器の開発が求められています。放射能被害から本県の農林水産業を再生させるため、非破壊型検査機器の開発が必要と思いますが、県の考えをお尋ねします。

 ところで、ことしの米価は県内でも1俵7,000円から10,000円と、40年前の水準にまで暴落する異常事態になっています。安倍政権は、日本人の主食である米の需給調整には責任を持たないとしていることはとんでもないことです。

 当面、米価下落の対策として、政府が過剰分を買い入れ、市場から隔離し、価格の回復を図る必要があります。国に対し、ことしの備蓄米の買い上げ量をふやすよう求めるべきと思いますが、県の考えを求めます。

 また、集中豪雨、突風被害などの異常気象による農業災害に県はどのように対応していくのかお尋ねいたします。

 最後は、災害対策についてです。

 広島の土砂災害を踏まえ、県内の土砂災害警戒区域等の指定状況と指定のための予算確保について、県の考えを伺います。

 また、住民への災害情報の伝達について、県はどう取り組む考えなのか伺います。

 最後に、災害時の要配慮者の避難支援について、県はどのように取り組む考えなのかお尋ねいたしまして、私の代表質問を終わります。

議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。


知事(佐藤雄平君)神山議員の御質問にお答えいたします。

 今後の県政についてであります。

 世界にも類を見ない複合災害から3年半、私は県民を守ることを最優先に持てる力の全てを傾注し、県政を運営してまいりました。国には、被災地の実情を何度も訴え、復興予算の確保、福島復興再生特措法の制定、子どもを守る緊急プロジェクトなどの実施につなげてきたほか、県内原発の全基廃炉の方針を決定し、再生可能エネルギーの推進など未来に向けた取り組みも進めてまいりました。さらに、たび重なる汚染水のトラブルなどには、国は前面に出て責任を持って対応するよう繰り返し求めてきたところであります。

 私は、復興に向けた歩みが着実に進む中、避難者の生活再建や帰還に向けた取り組みが一層重要になってくる一方で、震災の風化が懸念されるなど、これからが復興をさらに加速させる大事な時期であると思っております。

 そのため、県民の総意である県内原発の全基廃炉や事故の完全収束を初め避難者へのきめ細かい対応、除染、賠償、健康などさまざまな課題への対応について、本県が復興を果たし、被災者の生活再建がなされるまで国の責任ある対応を引き続き求めていくことが極めて重要であると考えております。

 次の県政にも、未曽有の被害をこうむった福島県民の思い、これをしっかりと受けとめ、その声を届け、県民の皆さんと一体となって福島復興・再生をなし遂げていただきたいと期待しているところであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。

総務部長(鈴木正晃君)お答えいたします。

 県及び市町村への応援職員につきましては、これまでも総務省や全国知事会等を通じ職員派遣を要請してきており、去る六月の政府予算要望においても、復興・再生に向けたさらなる人員確保の支援を求めたところであります。

 今後とも、復興・再生事業の着実な推進のため、業務に精通した応援職員が必要であることから、あらゆる機会を通じ、財源措置も含めた継続的な人的支援を国に対して求めてまいる考えであります。

 次に、技術職員につきましては、正規職員の増員や任期付職員の採用に加え、他県等からの応援職員や国の独立行政法人等からの職員の受け入れなどにより必要な人員を確保し、体制強化を図ってきたところであり、今後とも復興・再生事業の進捗状況等を踏まえながら適正な人員配置に努めてまいる考えであります。

 次に、消費税率10%への増税につきましては、国において法に基づき、経済成長率や物価動向などの指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め、所要の措置を講ずることとされているところであり、本県の復興・再生への歩みをとめることのないよう、震災、原子力災害の影響や地域経済の状況に十分配慮の上、判断されるものと考えております。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 エネルギー基本計画につきましては、東京電力福島第一原発事故の教訓や反省を出発点とし、原発依存度を可能な限り低減させていくことを盛り込むなど、国の責任において策定されたものと考えております。

 県といたしましては、2040年ごろまでに県内で使う全エネルギー相当分以上を再生可能エネルギーにより生み出すという意欲的な目標を掲げ、先駆けの地を目指し、全力で取り組んでまいる考えであります。

 次に、東京電力福島第二原発の廃炉につきましては、これまで国及び東京電力に対し、繰り返し求めてきたところであります。

 今後とも本県が掲げる原子力に依存しない安全・安心で持続的に発展可能な社会づくりを目指し、あらゆる機会を捉えて粘り強く求めてまいる考えであります。

 次に、再生可能エネルギーの推進につきましては、地域が主役となった事業化を推し進め、これを地域活性化につなげていくことが重要であります。

 このため、地元企業参入促進に向けた人材育成講座の開設や専門家の派遣、事業可能性調査や実施設計、初期投資への補助、さらには避難地域における売電益を財源としたふるさと再生事業を要件とする補助制度の活用など、地元企業や地域が参加しやすい環境づくりを図りながら、地域主導による再生可能エネルギーのさらなる導入を積極的に推進してまいる考えであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 原子炉建屋カバーの解体作業につきましては、県の廃炉安全監視協議会等において、東京電力に対し、飛散防止剤の散布の徹底や強風時の作業停止基準の明確化等のさらなる対策、ダストモニターの追加設置による監視の強化、さらには作業全体計画や日々の作業状況等の県民へのわかりやすい情報提供を求めたところであります。

 次に、地下構造の把握につきましては、汚染水対策を検討する上で重要であり、廃炉安全監視協議会等において、引き続き東京電力に対して必要な資料の提出を求め、専門委員の意見を伺うとともに、国に対し、地下構造全体の分析等を踏まえながら、さらに汚染水対策の実施や効果の検証に取り組むよう求めてまいる考えであります。

 次に、労務費の割り増し分につきましては、県の労働者安全衛生対策部会において、東京電力が現在行っている元請業者に対する労務費割り増し分の支給に関するヒアリングや全作業員を対象とする就労実態に関するアンケートの実施状況を確認してきており、引き続き部会においてこれらの取り組み結果を確認し、国に対して事業者への適切な指導監督を求めてまいる考えであります。

 次に、原発労働者の労働条件につきましては、これまで労働者安全衛生対策部会等において、国に対し、労働条件の明示等による雇用の適正化や作業環境の改善などに取り組み、労働者が安心して働くことができるよう事業者への指導を求めてきたところであり、県といたしましては、引き続き労働者が安定的かつ安心して働けるよう、事業者への適切な指導監督を国に求めてまいる考えであります。

 次に、広域避難計画につきましては、県外における避難先の確保・運営や避難に必要な車両及び運転要員の確保等について、隣接県を初めとした広域的な調整やバス協会等、関係団体からの幅広い協力が必要であることから、国に対し、これらの課題について積極的に調整を行うよう引き続き求めてまいる考えであります。

 次に、除染の確実な推進につきましては、これまでも国に対し、長期目標として追加被曝線量年間1ミリシーベルト以下の堅持や追加的除染の仕組みの早期提示、国直轄除染の確実な実施や帰還困難区域における実施方針の明確化などを求めてきており、国の責任において除染を確実に実施するよう引き続き求めてまいる考えであります。

 次に、中間貯蔵施設に係る地権者への支援につきましては、国に対し、今後の地権者への説明において、補償額のイメージ等を含めたわかりやすく丁寧な説明を求めるなど、地権者に真に寄り添った対応がなされるよう引き続き強く求めていく考えであります。

 次に、大熊・双葉両町への交付金につきましては、地権者に対する生活再建のための助成を初め町の地域振興等に必要なさまざまな課題に迅速かつ柔軟に対応できる制度とするよう検討しているところであります。

 次に、住民への災害情報の伝達につきましては、気象警報や避難情報等が迅速かつ確実に伝わるよう、市町村における防災行政無線等の整備充実を促進するとともに、緊急速報メールの配信、テレビのデータ放送による提供などの多様化・多重化を進めてきております。

 今後とも、市町村と連携しながら、さまざまな情報手段の活用により、住民への情報伝達を迅速、的確に行ってまいります。

 次に、災害時における要配慮者の避難支援につきましては、市町村に対して、災害時に必要な要配慮者に関する名簿や個別計画の策定が促進されるよう、県内各方部での説明会等を通して助言しております。

 さらに、要配慮者の確実な避難を図るため、市町村の個別訪問や実動訓練による検証会等を通じ、消防、自主防災組織、福祉事業者等と協議を重ね、引き続き市町村において実効性のある避難体制が構築できるよう取り組んでまいります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 ふくしま心のケアセンターにつきましては、これまで職員の増員や研修部門の強化など支援体制の整備に努めてきたところであります。

 今後とも臨床心理士等の専門職の確保に努めながら、ハイリスク者に対する支援や生活支援相談員との連携を強化するなど、さまざまな課題に適切に対応できるよう心のケア対策の充実に取り組んでまいる考えであります。

 次に、生活支援相談員につきましては、避難生活の長期化に伴い、避難者への支援体制の充実を図る必要があることから、相談員を複数年雇用することにより継続的に支援することが望ましい旨、国に要望し、協議を重ねてまいりました。

 今後とも相談支援活動の効果が上がるよう、国に対して柔軟な対応を求めてまいります。

 次に、医療及び介護従事者の処遇改善につきましては、まず、看護職員については、医療機関の院内保育所運営や働きやすい院内施設整備に対して財政支援を行うとともに、多様な勤務形態の導入を働きかけるなど、職場の就労環境改善に取り組んでおります。

 また、介護職員については、処遇改善加算による賃金改善や就労支援金の支給、資格取得の支援などを行っております。

 今後とも処遇改善を図りながら、職員の正規雇用に向けた取り組みを一層推進していく考えであります。

 次に、避難先の医療体制につきましては、現在特に避難者の受け入れにより人口が増加しているいわき市の医療体制について、浜通り地方医療復興計画に基づき、病院機能の強化や地域中核病院の整備等の支援に加え、医師等医療従事者の確保に取り組んでおります。

 今後はさらに、双葉郡町村が共同で設置する2カ所の診療所について、関係する市町村や団体等と協議しながら整備の具体化に向けて検討を進めるなど、当該地域の医療体制の充実強化を図ってまいる考えであります。

 次に、避難している高齢者への介護施設の整備につきましては、原発事故等により休止している施設のうち既に一部はいわき市と郡山市で仮設施設により再開したほか、今年度新たな介護施設が川内村と三春町で着工の運びとなっております。

 今後とも被災市町村のニーズに合わせて市町村と十分に調整を図りながら整備を促進してまいる考えであります。

 次に、医療介護総合確保推進法につきましては、医療から介護までの一連のサービスが切れ目なく効果的に提供できるよう、市町村や関係機関と連携し、地域医療ビジョンなど関連する計画の策定等に取り組むとともに、国に対し、地域における在宅医療を担う人材の確保対策や医療・介護提供体制の整備等に必要な財源を措置するよう求めてまいる考えであります。

商工労働部長(星 春男君)お答えいたします。

 悪質な労働環境が疑われる企業への対応につきましては、県庁内に設置した中小企業労働相談所の専門の相談員がさまざまな労働相談に応じ、法違反の疑いがある場合には、監督官庁である労働基準監督署への申告を助言するとともに、国や商工団体等と連携し、労働関係法令等の周知及び啓発を図るなど、きめ細かな対応に努めてまいります。

 次に、最低賃金につきましては、国が法律に基づき、労働者の生計費や賃金、さらには企業の生産活動などの経済指標等を考慮して決定することとされており、県といたしましてはこれを尊重すべきものと考えております。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 非破壊検査機器につきましては、これまで主食である米や放射性物質が製造過程で濃縮されるあんぽ柿等について民間企業の開発を促し、実用化が図られてきたところであります。

 機器の開発に当たっては、国が定める技術的性能要件を満たす必要があるほか、測定物の種類を絞り込み、形質や重量を均一にして計測することや、鮮度を維持しながら短時間で計測する必要があることなど課題も多いことから、引き続き国や民間企業等と連携を図りながら検討してまいります。

 次に、備蓄米につきましては、国民の主食である米が不足する事態に備え、法律に基づき、国が適正水準とされる100万トン程度を確保するため、市場価格に影響を与えないよう、作付前の事前契約により毎年適正量を買い入れる制度となっております。

 このため、今年産米の買い入れは既に決定しており、収穫後に量をふやすことは難しいものと考えられますが、国に対し、緊急的な需給調整対策を講ずるよう、北海道東北知事会を通じて要望してまいります。

 次に、異常気象による農業災害への対応につきましては、被害の未然防止のための技術情報の提供や被害発生状況の迅速な把握と的確な技術指導を行うとともに、被害の状況に応じて各種補助事業により施設の復旧や被害の軽減のための農薬、肥料等購入費用の負担軽減を図っております。

 今後とも施設化や多目的防災用ネットの導入を推進するなど、異常気象に対しても農家の経営安定が図られるよう、市町村や関係団体と連携して支援してまいります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 復興公営住宅につきましては、震災以降、被災地の建設工事費が大幅に上昇したことから、昨年9月、被災3県における1戸当たりの建設工事費の上限額について、国から15%の引き上げが認められたところであり、引き続き資材や人件費の高騰に対応するため、さらなる増額を要望してまいる考えであります。

 次に、県内の土砂災害警戒区域等につきましては、土砂災害危険箇所が8,689カ所あり、土砂災害警戒区域を2,309カ所、そのうち土砂災害特別警戒区域を1,855カ所指定しております。

 指定のための予算につきましては、引き続き区域を定めるための基礎調査に対して国の負担率のかさ上げを要望するなど、指定の推進に向け、さらなる予算の確保に努めてまいります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 紛争解決センターによる和解仲介案の尊重につきましては、これまで原子力損害対策協議会の活動を通し、和解仲介案を積極的に受け入れ、迅速に賠償を行うよう東京電力に繰り返し要求するとともに、国に対しても指導の強化を求めてきたところであります。

 引き続き被害者の立場に立った賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。

 次に、紛争解決センターに対する集団申し立てにつきましては、多くの被害者に共通する損害について、類型化による指針への反映を国に求めていくとともに、東京電力に対しては、紛争解決センターが提示した和解仲介案を積極的に受け入れ、同様の損害を受けている被害者についても直接請求によって一律に賠償するよう要求しているところであります。

 次に、避難指示区域内における精神的損害の賠償につきましては、被害の実態に見合った賠償が確実かつ迅速になされるよう、国、原子力損害賠償紛争審査会に対して指針への適切な反映を求めてまいりました。

 今後も個別具体的な事情への柔軟な対応も含め、賠償が的確になされるよう取り組んでまいる考えであります。

 次に、被害者の生活再建につきましては、原子力損害対策協議会の活動等を通し、国に対し、個別の事情を踏まえて賠償が継続される相当期間を柔軟に判断し、生活再建に必要な期間を確保するとともに、国の全責任のもと、被害者に寄り添った生活支援策を講じるよう求めているところであり、引き続き市町村等と一体となって取り組んでまいります。

 次に、借り上げ住宅の住みかえにつきましては、災害救助法において本来認められておりませんが、避難者の病気やけが、介護など真にやむを得ない場合については、避難者の声を丁寧に聞きながら可能な限り対応しているところであり、引き続き柔軟な対応を国に求めてまいる考えであります。

 次に、被災者生活再建支援金につきましては、今年6月に実施した国への提案・要望活動を初め7月の北海道東北地方知事会による提言など、これまでも国に対し再三にわたり増額を要望してきたところであり、今後とも被災者の生活再建が十分に図られるよう、その拡充を求めてまいる考えであります。

 次に、自主避難者への支援につきましては、借り上げ住宅の提供を初め市町村ごとの放射線量や子育て支援策などを随時盛り込んだ「ふくしまの今がわかる新聞」などによる情報提供や母子避難者等を対象とした高速道路の無料化措置などの支援に取り組んでいるところであります。

 引き続きこれらに加え、健康、就労、教育などの相談体制やママカフェの充実など、帰還後の支援にも努めてまいる考えであります。

子育て支援担当理事(小林武正君)お答えいたします。

 認可外保育施設の認可保育所への移行支援につきましては、円滑な移行へ向け、個別の相談に応じるほか、必要な建物の改修費や施設運営費に対して、市町村と連携し、財政支援を行っております。

 今後とも保育の質の向上や量の拡大が図られるよう取り組んでまいる考えであります。

 次に、保育士配置に係る施設の認可基準につきましては、児童福祉法により、保育室等の面積や職員配置などを規定する省令に従って、県や市町村が条例で定めることとされており、保育施設の種類にかかわらず、適切な保育が提供されるものと考えております。

 県といたしましては、保育の質の向上が図られるよう、保育士の確保や研修などに引き続き取り組んでまいります。

 次に、保育所に対する指導につきましては、保育所の設置主体にかかわらず、保育士の配置や保育室の確保などの認可基準を遵守して運営されているかどうかを確認するため、保健福祉事務所において原則として年一回以上保育所の監査を実施しているところであります。

 県といたしましては、今後とも認可基準に沿った適切な保育が提供されるよう指導してまいる考えであります。

 次に、放課後児童クラブにつきましては、来年4月から始まる子ども・子育て支援新制度において量的な拡大を図るとともに、質の向上を図ることとされております。

 これを受け、現在国において児童指導員の確保や処遇改善のための財政支援、研修内容などについて検討が進められており、県といたしましては、その結果を踏まえ、市町村と連携し、取り組んでまいる考えであります。

 次に、児童相談所の職員につきましては、今年度児童福祉司を4名増員しております。

 今後とも児童虐待相談を初め複雑困難化する相談の動向などに配慮しながら職員の適正配置に努めてまいりたいと考えております。

避難地域復興局長(樵 隆男君)お答えいたします。

 避難地域の将来像の策定につきましては、今月、知事から改めて早期の検討を申し入れ、現在、有識者検討会の設置などにより、国、県、市町村が連携して進めることとされております。

 今後は市町村との連携を密にしながら、福島・国際研究産業都市構想や市町村の復興計画など地元の意向が十分反映されるよう、全庁を挙げて取り組んでまいります。

教育委員会委員長(小野栄重君)お答えいたします。

 OECD国際教員指導環境調査の結果につきましては、私は、日本の教員が児童生徒のために日々高い水準を目指して自己研さんに励み、教育活動に邁進している姿を見出し、心強く感じており、より質の高い教育活動を展開する視点に立って、多忙化の原因となっている業務を見直し、教員一人一人が持てる力を十分に発揮しながら児童生徒としっかりと向き合える環境を整えることにより、本県の未来を担う人材の育成に取り組んでまいります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 スクールソーシャルワーカーにつきましては、今年度、教育事務所や市町村教育委員会に増員して配置し、教育相談体制の充実に努めてきたところであり、今後とも非常勤特別職として委嘱してまいる考えであります。

 次に、給付型奨学金制度の創設につきましては、限られた財源を有効に活用し、より多くの生徒の就学を支援する上で貸与型が適していることなどから、給付型の創設については困難であると考えております。

 次に、就学援助につきましては、本県の市町村においては、認定基準を従来どおりとすることや児童生徒の家庭の事情等を総合的に判断することにより、生活扶助基準額の引き下げによる影響がないように取り組んでおります。

 次に、就学援助の支給対象項目につきましては、各市町村の実情に応じて選定されているところであり、今後とも就学援助が適切に実施されるよう制度の周知に努めてまいります。

 次に、被災児童生徒等就学支援事業につきましては、平成27年度以降も事業を継続できるよう国に要望しております。

 次に、全国学力・学習状況調査の結果につきましては、児童生徒の学力向上と教員の指導力向上に役立てるため、今後も県全体や生活圏別の結果とその改善策について公表してまいる考えであります。

 次に、国に教員定数の改善を求めることにつきましては、全国都道府県教育長協議会などを通して要望していることに加え、本県独自にも実施しており、引き続き十分な教員配置が長期的に措置されるよう取り組んでまいります。

五十番(神山悦子君)再質問をさせていただきます。

 再質問の冒頭に、全体にかかわるということを申し上げたいと思います。

 知事も次の県政に望むことの中で、これまで取り組んできたこともおっしゃいましたし、部長からそれぞれ御答弁いただきましたが、復興に向かうという、この原発事故を受けた福島県はまだ復興の最初の入り口に立ったにすぎないなと私は思っています。

 ハード面の整備は少しは進んでいるかのように見えますけれども、しかし、復興公営住宅についてもまだまだこれからですし、もっと足りないと思いますのは、やはり人間の復興、県の総合計画にも書かれておりますが、一人一人に対する支援、ここがまだまだ足りないと思いますね。

 そういう意味では、それを支援する職員の処遇や増員やいろんな面で私は足りないと思いますので、もう1つは原発事故への対応も含めて再質問させていただきたいと思います。

 企画調整部長に最初にお尋ねいたします。

 国のエネルギー基本計画について、これまでと同じような答弁でした。私は、原発被害を受けた福島県からの答弁とは思えません。私たちはこの七月に欧州を視察してまいりましたけれども、福島の原発事故を受けて、原発には依存しないで、原発をやめるという国もあるのですよ。

 しかし、今回の4月11日に国が決めたエネルギー基本計画には福島県の実情は書いてありますけれども、原発をやめるとも書いておりませんし、割合もまだはっきりしませんが、とにかく原発再稼働、そのための計画見直しを国が行ったのでしょう。なぜそこを言わないのでしょうか。私は本当に残念でなりませんが、もうい あわせて、当時の第一原発の所長だった吉田さんの調書も出ておりますが、あれを見ただけでもはっきりしているのではないでしょうか。企画調整部長の御答弁をもう一度お願いいたします。

 生活環境部長にお尋ねいたします。
 汚染水対策の対応は引き続き求めて、やってほしいと思いますが、原発労働者の問題です。東京電力は何度も増額、危険手当を払うと言っていますが、2万円になっていたはずなのですけれども、こうやって裁判を起こさなければいけないほど手元に渡っていないでしょう。やはりそこは足りないと思います。

 私は、県を通じて東京電力に労務単価の割り増しの表を要求しているのですよ。でも、もっと前から言っているのに全然出てこないのですよ。国会でもやると言いながら、これが実行されていない。これでは、廃炉・汚染水対策なんか本当に人が集まるのでしょうか。質は担保されるのでしょうか。ちゃんと収束できるのでしょうか。

 そういう意味で、原発労働者の待遇も含めて非常に大事な問題になっているから、この裁判でも指摘されているように、県が原発労働者の労務単価をちゃんと払えということをきちんと言うべきだと思いますが、これについての県の考えをお尋ねいたします。

 それから、原子力損害対策担当理事にお聞きいたします。

 ADRの問題ですけれども、集団的訴訟に対する支援ということには言及しませんでした。なぜ浪江町が集団でやらなければならなかったのか、ここは理由があるでしょう。それは、浪江町だけではありません。私も指摘したように、飯舘村でもやっています。

 集団になれば対応しないなんていうのは、どう考えてもおかしいじゃないですか。そして、ADRでさえそれを指摘しているのですよ。裁判にならなくても、ADRに持ち込んでやる。どういう形であれ支援するというのが県の立場ではないでしょうか。もう一度そこをお聞かせください。

 それから、避難者の支援ということですけれども、指針の見直しが必要だと私も申し上げましたが、川内も、それから都路地区も、解除されたら、1年後には月10万円の精神的追加賠償、これがなくなるのですね。私は、これは何度もこれまでも言ってまいりましたが、1年以上たったら切らないと言いながら、しかし、その精神的賠償はなくなるわけですよ。

 だから、何らかの生活支援をと求めたのに、避難者支援担当理事にお聞きしますけれども、将来の姿を描くと言いながらハード面だけじゃないですか。人への支援については、そこは私たちは関係ないと言われまして、私は賠償担当に聞いたのです。両方にお聞きいたします。

企画調整部長(近藤貴幸君)再質問にお答えいたします。

 我が国における原子力政策につきましては、東京電力福島第一原発事故の発災から3年半が経過する今もなお、12万人を超える県民が避難を余儀なくされている本県の厳しい現状を踏まえ、国の責任において対応していくべきものであります。

 県といたしましては、引き続き県内原発の全基廃炉を粘り強く国に求めていくとともに、本県の原子力に依存しない社会の実現及びその情報発信に全力を傾けてまいる考えであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)再質問にお答えをいたします。

 労務費の割り増し分につきましては、これまで県の労働者安全衛生対策部会において東京電力に対して労働者の賃金に適切に反映されるよう求めてきたところであり、現在東京電力において元請業者に対するヒアリング、それから全作業員を対象とするアンケート調査を実施しており、それらの取り組みの結果を当該部会で確認をし、国に対して必要な指導等を求めてまいる考えであります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)再質問にお答えします。

 ADRに対する集団的申し立てでありますけれども、東京電力におきましては、総合特別事業計画の「三つの誓い」の中で和解仲介案の尊重を掲げております。

 県といたしましては、その尊重を強く求めているところでありまして、引き続き原子力災害の原因者の立場をもって積極的に受け入れるよう申し入れていきたいというふうに考えております。

 それから、川内、都路の避難指示の解除、あるいは解除された地域の賠償につきましては、賠償だけでは避難解除地域についても生活環境を完全に取り戻すことはなかなか難しいというふうに考えております。

 そうしたことで、賠償の中でも被害の実態に見合った賠償とともに、生活再建策を施策としてしっかりとやっていくと、そういうことを国に対して引き続き求めてまいりたいと考えております。

50番(神山悦子君)私は両方に聞いたのですけれども、議長、もう一度答弁求めてください。促してください。

 私は、生活支援のことで、将来の生活設計についても含めて避難地域復興局長のところに答弁を求めたつもりだったのですが、そこをもう一度お聞かせください。

 で、私は再質問させていただきますけれども、教育長にお尋ねいたします。

 スクールソーシャルワーカーですけれども、確かに福島県はこの被災を受けて人数もふやしてきたと思います。しかし、処遇改善がなければ単にふやすだけでは安定した対応ができないと私は思うのです。それから専門家も育てなければいけない。貧困対策のためにもこれは必要だと国のほうからも言っているわけです。そういう意味での答弁はないのですけれども、そういう意味で私はお聞きしたのですが、もっとふやすとか待遇改善とか、このあたりもどうお考えですか。

 それから、保健福祉部長にお尋ねいたします。

 児童相談所の体制も、それから医療・福祉関係の職員も、医療・介護の職員も処遇改善が必要だと答弁もいただきましたけれども、やはり人もふやさなければいけないし、ここがまず必要なのです。それから労働環境というか、ちゃんと正規で働いて質を担保するということが求められているはずなのですよね。それぞれの分野にここが足りないと思うのですよ。

 私は、そういう意味で幾つかお尋ねしたし、また、福島県は三年半たってストレスとか子供の支援とか避難者の支援というのはまだ長期に続くわけでしょう。そこを保健福祉部としてどう見て、職員体制や処遇改善を図るつもりなのか、ここをお示しいただきたいと思います。

 もう一つは、農林水産部長ですけれども、米価下落についてです。

 御答弁いただいたように、この米価下落は本当に大変なことになっておりますので、知事会を通じて要望するということですけれども、米をつくる生産費は福島県の場合は1俵当たり12,000円から13,000円とお聞きしました。ことし示されている概算のJAなどが出している米価は、中通りで7,000円、会津のコシヒカリで10,000円ですよ。もう既にここで割っているわけです。しかも、この被災を受けて大変なことを農家の皆さんは続けているわけですよ。

 でも、米は主食ですから、本来なら国が責任を持ってそこはやるべきなのです。部長もおっしゃいましたが、その米価下落を本当に東北の生産県としてちゃんと対策をとって、農家が再生産できるような対策をしっかり具体的に示すべきだと私は思うのですけれども、お聞かせいただきたいと思います。

 最後に、土木部長に災害対策の対応についてです。

 今回の広島の土砂災害を受けて、その指定にかかわる最初のところが問われました。国に予算を要望するのは当然だと思います。でも、県自身もその予算がかつての3億円台から2億円台に減っている。ここが私は問題だと思うのです。

 土木部は、ハード事業がたくさんあるかもしれません。でも、ここはやはり人間の命や県民の命、財産を守るというところの大事な点ですから、その防止のための指定をやるために予算をしっかりとって、県もやるべきだと思いますけれども、災害対応についてのお考えをお聞かせください。

保健福祉部長(鈴木淳一君)再質問にお答えいたします。

 人の確保が大変重要であるということにつきましては、私も全く同じ認識をいたしております。昨日も本会議で答弁申し上げましたとおり、相談員についての大幅増員、それだけではなくて、もちろん本日もおただしがあったとおり専門職の確保、それからその連携によって全体としての質も高めていくといったことにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

農林水産部長(畠 利行君)再質問にお答えをいたします。

 米価下落につきましては、一つは国の経営所得安定対策の中で下落の九割が補填されるという制度がございます。それから、そのほかに今年度25年産米については国のほうで特別隔離対策ということで、米穀機構の方で一定量、25万トンを買い上げて加工用米に回したという経過がございます。そういった制度もありますので、今回北海道東北知事会も含めてそういった対策を講じるように求めてまいりたいと考えております。

土木部長(松本英夫君)再質問にお答えいたします。

 土砂災害警戒区域等の予算の確保についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、国に対しまして引き続き要望してまいりますけれども、さらに県の予算編成におきましても指定の推進に向けて予算の確保に努めてまいる考えでございます。

 教育長(杉 昭重君)再質問にお答えいたします。

  スクールソーシャルワーカーの件でありますが、今年度31名から40名というふうに九名ほど増加いたしました。人材の養成ということに関しましては、これは国家資格ですので申し上げることができませんが、ただ、スクールソーシャルワーカーの中でもアドバイザー、スーパーバイザーという方を昨年度の1名からことしは3名に増員いたしまして、スクールソーシャルワーカーの皆さんの指導ということに当たっております。

 それから、待遇ということでありますが、先ほど非常勤の特別職というふうな形で申し上げましたけれども、待遇の中にはいろいろ給与面とか社会保険とかあるわけですけれども、これにつきましては今後、国、また他の都道府県の動向を注視してまいりたいというふうに考えております。

議長(平出孝朗君)これをもって、神山悦子君の質問を終わります。

50番(神山悦子君)議長、議事進行。

議長(平出孝朗君)50番。

50番(神山悦子君)後で私の再質問の文言を整理していただきたいと思いますし、私はちゃんと求めていますよ。2回目も求めているのですよ、もう一度お答えくださいと。なぜそれを言わないのでしょうか。

議長(平出孝朗君)議長の手元で精査をさせていただきます。

 

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。