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2014年9月定例会 一般質問 宮下雅志議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年12月3日更新

宮下雅志議員

議員

宮下雅志

所属会派
(質問日現在)

民主・県民連合

定例会平成26年9月
質問等一般質問
質問日9月24日(水曜日)

23番(宮下雅志君)民主・県民連合議員会の宮下雅志であります。通告に従って質問いたします。

 佐藤雄平知事におかれましては、2期8年にわたり福島県知事の重責を担われ、特に東日本大震災と原子力発電所事故の対応においては、我が国がこれまで経験したことのない苛酷な状況の中で日々発生する困難な課題に立ち向かい、我々にははかり知れない重圧の中で次々と決断を下され、その職責を全うされました。ここに改めて敬意を表するとともに、心より感謝申し上げます。そして、大変お疲れさまでした。

 知事は、これまで一貫して子育て支援策に積極的に取り組んでこられました。特に震災以降は、18歳以下の医療費無料化や子供たちの体験活動を支援する事業など、子供たちのための施策を積極的に展開され、多くの県民から高い評価を得ております。

 しかし、いまだに14万人を超える県民が避難し、その中には多くの子供たちも含まれております。知事もこの現状を憂いておられ、このまま勇退されることは大変残念な思いが残るのではないかと推察いたします。

 本県が真の復興を果たすためには、次代を担う子供たちが夢を持って生き生きと暮らし続けられる福島を取り戻すことが絶対の条件であり、知事がこれまで持ち続けてこられた子供たちへの思いをしっかり引き継ぐことが何より重要であります。

 そこで、知事は子育て支援策にこれまでどのような思いで取り組み、次の県政に何を託すのかお答えください。

 次に、復興計画の進行管理についてであります。

 国の集中復興期間が終了する平成28年度以降の最大の課題は、今後の復興財源がいかに確保されるかということであり、財源確保の状況によっては、本県の復興計画や重点プロジェクト、さらには総合計画にまで大きな影響が出ることが懸念されます。

 そしてほかにも、発災から3年半が経過した現在、復興計画策定当時には想定できなかった状況の変化があらわれているように感じられます。特にイノベーション・コースト構想は、浜通り地域の生活基盤や産業基盤を再構築することで復興・再生を図ろうとする大規模で体系的な施策であり、復興計画策定当時には示されていなかった構想であります。

 今後この構想が具体化していく中で、本県の復興計画や総合計画に位置づけることも必要となり、重点プロジェクトなどの施策との整合性を図ることも重要になってくるものと考えます。

 また、本県に対するイメージの低下や根強い風評、農産物価格の低迷、国のエネルギー政策の転換と原発再稼働、避難指示解除後の住民帰還の状況などは、復興計画策定当時の想定を超えた厳しいものになっていると言わざるを得ません。

 このようなさまざまな状況の変化の中で、復興計画の実効性を確保するためには、その進行管理の中で正確な現状把握と復興計画や重点プロジェクトの再構築を含めた柔軟な施策の展開、そして何よりも強く結果を求める意思が必要であると考えます。

 そこで、復興計画の実効性を確保するため県はどのように取り組んでいるのかお答えください。

 次に、福島復興再生特別措置法に基づく重点推進計画に掲げる取り組みについて伺います。

 初めに、再生可能エネルギー関連産業における新技術の開発についてであります。

 原子力に依存しない社会を目指し、再生可能エネルギー先駆けの地を実現することは本県復興の柱であります。そして、再生可能エネルギーの推進は福島特措法に基づく重点推進計画の第1番目に位置づけられており、先駆けの地の実現を目指す本県の意気込みを示すものとなっております。しかし、いまだ道半ばの感があります。

 さきの海外行政調査で再生可能エネルギーの先進地であるドイツを訪問いたしました。市民がつくった市民参加型の再生可能エネルギー電力会社であるシェーナウ電力や洋上風力発電設備の一大製造拠点であるブレーマーハーフェンの状況などを目の当たりにし、これこそ先駆けの地にふさわしいものとの強い印象を受けてまいりました。

 本県においても、昨年11月に浮体式洋上風力発電実証研究における洋上風車と洋上変電所の運転が開始され、4月には産総研福島再生可能エネルギー研究所が開所したところであり、今後これらが取り組む最先端の技術開発について、本県としてどうかかわっていくかをしっかりと考える必要があると思います。

 さらに、国においては、再生可能エネルギーの推進に関し、明確な方針が示されていないばかりか、原発をベースロード電源と位置づけ、再稼働に向けた動きを加速化しようとしております。そして、今後の電力買い取り価格の動向によっては、本県が進めてきた大量導入に向けた取り組みも大きな影響を受けることとなり、再生可能エネルギー推進に関する施策が停滞するおそれが出てまいります。

 このような状況の変化によって、これまでの取り組みが水泡に帰さないためにも、県はリスクを恐れず、大胆な発想で夢のある新技術の開発に取り組んでいくべきと考えます。

 先日、いわき市に拠点がある古河電池が、非常時に水を入れると発電する燃えないマグネシウムの電池を開発したことを発表したところ、その株価がストップ高となるなど、高い評価と大きな期待が寄せられました。

 県が夢のある新技術の開発を行うことは、本県に大きな経済効果をもたらすばかりでなく、先駆けの地の実現に大きく前進することとなり、県民に勇気と希望を与えることになります。

 そこで、県は再生可能エネルギー関連産業における新技術の開発をどのように進めていくのかお答えください。

 次に、会津大学の果たす役割についてであります。

 福島特措法に基づく重点推進計画では、「世界最先端の情報通信技術研究の推進及び産学官共同の取組」を事業として位置づけ、その推進を図ろうとしており、会津大学にはその中核的な役割を果たすことが期待されております。

 会津大学は、最先端の情報通信技術研究と産学官連携によって情報関連産業の集積を図り、日本のシリコンバレーを実現するという高邁な理想を掲げて開学いたしました。その後、半導体不況などにより、シリコンバレー構想は頓挫したかに見えました。しかし、震災以降、会津地域において、観光関連産業やその他多くの産業に深刻な風評被害が及ぶ中、ICT関連産業は比較的堅調に推移しており、これを生かすことはほかの産業への好影響にもつながるものと考えます。

 会津大学では、会津地域はもとより県内へのICT関連企業の集積を促し、雇用の拡大を図るために昨年3月会津大学復興支援センターを設置し、情報通信技術に係る研究を推進してまいりました。今後はこの取り組みを生かし、もう一度かつてのシリコンバレーを目指した気概を持って関連産業の集積に取り組み、復興の拠点となることを強く願うものであります。

 そして、今年度はその中核施設となる先端ICTラボを整備し、平成27年度に稼働する予定とのことですが、この先端ICTラボの整備を踏まえて、会津大学復興支援センターが復興に果たす役割についてお示しください。

 次に、県内中小企業の再建についてであります。

 東京電力福島第一原子力発電所事故は、県内に極めて広範かつ多様な損害を生じさせ、本県の経済基盤が大きく損なわれたことから、県内中小企業ははかり知れないダメージを受けております。一部復興需要などによる改善は見られるものの、事故から3年半が経過した現在でも避難指示区域の内外を問わず、風評被害を含めいまだに深刻な状況が続いております。

 原発事故による営業損害に対する賠償が確実になされたとしても、それはリーマン・ショックの影響が色濃く残る原発事故前の状況に戻るのみで、事故前の2008年10月28日には日経平均株価が一時6,000円台まで下落しており、この2年5カ月後に震災と原発事故が起きたことになります。このように、賠償の基準年である震災前3年間は本県の中小企業は極めて厳しい状況にあったと言わざるを得ません。

 今後本県中小企業が活力を取り戻すためには、賠償が確実になされるだけでなく、包括賠償など事業の再建につながる賠償がなされることが重要であり、加えて、産業復興機構や再生支援機構による支援や県の制度資金による支援を強化するなどさまざまな施策を重層的に実施し、県内中小企業の再建と自立を図っていくことが必要と考えます。

 そこで、今後長期にわたると見込まれる原発事故の影響を踏まえ、中小企業が事業を再建することのできる十分な原子力損害賠償を国及び東京電力に求めていくべきと思いますが、県の考えをお示しください。

 また、県内中小企業は、リーマン・ショック後の景気悪化に対して、多くが金融機関からの借り入れによって事業継続を図ってきました。そして、震災後はこの既存の借り入れが大きな負担になっております。

 この二重債務問題に対して、福島県産業復興機構や東日本大震災事業者再生支援機構を設立し、債権の買い取りを含め再生可能な中小企業を支援しております。しかし、二つの支援機関を通じた支援決定件数は、8月の段階で宮城県338件、岩手県219件に対し、本県は77件と極端に少なくなっております。これは原発事故という特有の事情から来るものと思われますが、賠償で何とか事業継続が可能となっている今こそ、この制度の積極的活用を図るべきと考えます。

 そこで、県は被災中小企業の二重債務問題の解決に向けどのように取り組んでいくのかお示しください。

 この再生支援機構などの支援は、債権放棄を伴うことから金融機関の合意を得るのが難しい場合もあります。また、このように債権放棄まで行かなくても、既存債務を取りまとめ、金利を低減し、元本の返済期間を大幅に延ばすことができれば、企業の金融支出は抑えられ再建できる企業がふえるものと考えます。

 そこで、県は被災中小企業への県制度資金による金融支援についてどのように取り組んでいくのかお示しください。

 次に、農業施策についてであります。

 県産農産物は、震災から3年半が経過した今なお、根強い風評の影響などによる価格の低迷が続いており、販路の回復も厳しい状況にあります。特に本県特産の桃を初めアスパラガス等の青果物や牛肉などは、全国の市況に比べ、震災前よりも1割から2割程度安く取引されております。米も他県産に比べて相対的に価格が低下しており、平成26年産米の概算金単価も非常に厳しい状況となっております。

 一方で、県産米は品質がよい上に価格が安いことから、業務関係からの引き合いが多く、「売れるならば、高品質・低価格産地として生きていくことを考えるべきではないか。」との意見も出されております。

 今、本県農業は大きな岐路に立たされていると感じています。私は、福島県は低価格産地ではなく、これまでどおり高品質の農産物が高値で取引される強いブランドを守るべきであり、この厳しい状況の中でも、農産物の価格回復に向けた施策を積極的に進め、本県のブランド回復に全力で取り組むべきものと考えます。

 そこで、県産農産物に対する風評がおさまらない中、県は価格の回復にどのように取り組んでいくのかお答えください。

 本県の農業を守るためには、若い農業者の地域への定着が何よりも重要です。そのためには、地域に安定した就業の場としての農業が確立していなければなりません。この点で、地域の農業法人の役割は大きいものがあります。また、農地の集積や新規就農者の育成の場としても農業法人の位置づけは重要です。

 この農業法人が規模拡大を図りながら地域の農業を担っていくためには、働き手としての就農者の確保が必要です。県はこれまでも農業法人への就農・定着に向けた施策を行ってきましたが、思うような成果が得られていないようであり、より実効性の高い取り組みが求められております。

 そこで、県は農業法人への就農の促進にどのように取り組んでいくのかお答えください。

 県産農産物のブランド力を回復し、さらに強化していくためには、県の試験研究の充実が不可欠であります。育種による新品種の開発やさまざまな技術開発による品質向上は、ブランド回復にとっても重要な取り組みであります。しかし、近年、厳しい財政状況の中でこの試験研究への取り組みが弱くなっているのではないかとの指摘を受けることがあります。

 そこで、県産農産物のブランドの回復及び強化を図るため、県は試験研究にどのように取り組んでいくのかお答えください。

 次に、過疎・中山間地域における働く場と収入の確保についてであります。

 過疎・中山間地域の定住を促進し、人口流出を抑え、活力ある地域をつくっていくためには、それぞれの地域の特性を磨きながら、自立できる地域経済の基盤をつくることが最も重要となります。そして、この地域で十分な収入を確保するために農林業は欠かせません。

 さらに、広い農地の確保が難しいこれらの地域で安定した農業収入を確保するには、収益性の高い施設園芸の推進が重要です。周年出荷が可能な大規模施設園芸を導入し、平場と連携した大規模産地を形成するなどにより、過疎・中山間地域における働く場と収入の確保を図るべきと考えます。

 そこで、県は過疎・中山間地域における働く場と収入の確保にどのように取り組んでいくのかお答えください。

 次に、大規模施設園芸の導入についてであります。

 今も申し上げたとおり、大規模施設園芸は過疎・中山間地域の所得確保に有効であり、また、米価の下落によって所得の減少が懸念される稲作農家の収入の下支えとしても有効です。さらに、施設の強度を確保することによって、豪雨や豪雪、台風などの災害に強い農業を実現することも可能であると考えます。

 この大規模施設園芸の導入については、さきの2月議会でも質問し、それに対して県から「周年出荷が可能な大規模施設園芸は、農家の所得確保の点からも有効であることから、積極的に推進していく。」旨の答弁がありました。

 しかし、農家は大規模施設園芸と聞くと、膨大な初期投資や燃料コスト、園芸作物栽培にかかる手間などのマイナス要因がまず頭に浮かび、積極的に導入を検討する人は少ないように思われます。

 私は、導入費用やランニングコスト、栽培技術やエネルギーなどの情報を導入を検討している農家に速やかに提供できるよう、試験研究機関などとの連携のもと、県が率先して実証試験やデータの収集などに取り組むべきと考えます。

 そこで、大規模施設園芸の導入について県はどのように推進するのかお答えください。

 最後に、避難市町村への支援についてであります。

 震災と原発事故から3年半が経過した現在、除染の進捗状況や放射線量、インフラの復旧など避難市町村が置かれている状況はさまざまで、それぞれに大変な課題を抱えております。

 このような中、今後の復興に向けそれぞれが復興計画を策定し、あるいは策定作業を進めております。しかし、避難市町村が抱える課題はいずれも非常に繊細で重い課題であることから、それぞれが計画の実現に向けて必死に取り組んでいるものの、単独の市町村の力では実現が難しい課題が多いように感じられます。

 このような中、県としても市町村の復興計画実現に向け、状況に応じ、きめ細かくしっかりと支援していくことが必要であると考えます。

 そこで、避難市町村の復興計画の実現に向け県はどのように取り組んでいくのかお答えください。

 私は、今後の双葉郡の復興には、広域的復興という視点が重要であると考えます。一部地域で避難指示が解除され、今後は住民の帰還に向けたさまざまな環境整備の取り組みが必要となりますが、膨大な事業をこなさなければならないことから、マンパワーや財源などの不足が生じ、各町村が単独でそれぞれの課題を解決するのが困難な状況になることが危惧されます。

 そして、その解決のためには、一部事務組合や広域連合などの仕組みを活用するなど、広域的視点での町村間の連携が重要になると考えます。しかし、町村によって復興の状況が大きく異なることから、具体的に進める上では多くの課題が存在することは否定できません。

 しかし、広域的復興の必要性を認識し、心を合わせ、一丸となって復興に向かうべきものと考えます。そして、このように異なる状況にある町村間の連携を図るためには、広域自治体である県の役割が大変重要であり、県は連携の実現に向け積極的に支援すべきものと考えます。

 そこで、双葉郡の復興に向けた自治体間の連携をどのように支援していくのか県の考えを伺い、質問を終わります。

議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。


知事(佐藤雄平君)宮下議員の御質問にお答えいたします。

 子育て支援についてであります。

 私は就任以来、子供を社会全体の宝と捉え、安心して子供を生み育てることのできる環境づくりとともに、夢と希望を持てる未来を担う人づくりを積極的に進めてまいりましたが、未曽有の大震災と原発事故により、本県の子育て環境は深刻な影響を受けることとなりました。

 子供たちを何としても守り抜くという強い決意のもと、私は直ちに子どもを守る緊急プロジェクトを立ち上げ、子供を取り巻く環境の回復にいち早く取り組み、また、このようなときだからこそ日本一安心して子育てしやすい県づくりをなし遂げるとの思いで、18歳以下の医療費無料化を初め屋内遊び場の整備、ふくしまっ子体験活動応援事業の推進など、本県ならではの取り組みを実施してきた結果、合計特殊出生率が震災前の水準に回復するなど、明るい兆しが見えてまいりました。

 震災を乗り越え、人のため、地域のために役に立ちたいとたくましく成長する子供たちは、福島の未来を照らす希望であります。次の県政においても、本県の将来を担う人づくりを目指し、子育て支援を一層充実させ、子供たちの元気な声が絶えない、笑顔が輝く明るい県づくりをしっかりと進めていただきたいと期待するものであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させます。

総務部長(鈴木正晃君)お答えいたします。

 会津大学復興支援センターにつきましては、中核施設となる先端ICTラボが有するデータセンターや産学連携による研究事業推進のための施設設備などを活用して、先端ICTの研究や人材の育成を進めるとともに、企業のイノベーションを促す場を提供することとしております。

 会津大学は、こうした取り組みにより、新たな産業の創出や県内へのICT企業の集積を促進し、復興に貢献することとしており、県としても必要な支援に努めてまいる考えであります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 復興計画につきましては、毎年度、施策の達成状況や現状の課題、今後の取り組みの方向性等について点検・評価を実施するとともに、総合計画審議会における意見や方部別に開催する地域懇談会での意見等を速やかに取り組みに反映するなど、適切かつ機動的な進行管理に努め、実効性を確保しているところであります。

 今後も復興状況や将来の展望を見据え、新生ふくしま復興推進本部のもと、さまざまな方々との連携協働を進め、必要な取り組みの追加や修正を行いながら、復興のさらなる加速化に取り組んでまいります。

 次に、過疎・中山間地域における働く場と収入の確保につきましては、持続可能で活力ある地域を形成するため極めて重要であると認識しております。

 このため県といたしましては、今年度より地域資源を活用した新たな事業の創出などの提案に対し、県、市町村、民間アドバイザー、金融機関等が一体となり、構想段階から一貫して多角的に支援を行う取り組みを実施しております。

 今後もこうした取り組みをさらに進め、モデルとなる成功事例を積み重ねることにより、官民連携した過疎・中山間地域の活性化の流れを加速してまいります。

商工労働部長(星 春男君)お答えいたします。

 再生可能エネルギー関連産業における新技術の開発につきましては、国等と連携して、世界的な注目を集める浮体式洋上風力発電や再生可能エネルギー大量導入の鍵を握る水素によるエネルギー貯蔵等の技術開発を進めるとともに、産学連携による浅部地中熱の研究開発等を支援してきたところであります。

 これらに加え、今年度から県内企業による福島再生可能エネルギー研究所との共同研究や開発した技術の実用化への支援を行うなど、本県から次世代を牽引する新技術の開発を積極的に推進してまいる考えであります。

 次に、二重債務問題につきましては、これまで県及び市町村の広報や県内各方部での相談会の開催、さらには福島産業復興相談センターにおける約3万5千社を対象とした経営課題に関するアンケートの実施を通じて、支援が必要な事業者に対し、制度の周知やその活用を働きかけてきたところであります。

 今後はこれらの取り組みに加え、国、商工団体、金融機関等関係機関との連携のもと、被災中小企業への個別訪問を一層強化するなど、引き続き二重債務問題に積極的に取り組んでまいります。

 次に、県制度資金による金融支援につきましては、利用者の負担軽減を目的に、震災直後から長期・低利で保証料率が低いふくしま復興特別資金を設け、これまで被災中小企業に対し約1万4千件、融資総額約2,300億円の資金繰り支援を行ってまいりました。

 今年度は利用者の要望も踏まえ、一層の返済負担軽減を図るため、借りかえ等を可能とする制度の見直しを行ったところであり、今後とも信用保証協会等の関係機関と連携し、本制度の積極的な利用を促すなど、被災中小企業の金融支援に積極的に取り組んでまいる考えであります。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 県産農産物の価格回復に向けた取り組みにつきましては、米を初めさまざまな品目で卸売業者や量販店のバイヤーを対象とした求評会や産地懇談会などを開催し、安全性や品質のよさを強力にアピールし、ブランド力の再生、強化を図ってまいります。

 また、県内外の消費者を対象とした産地ツアーやジャーナリストを対象としたセミナーを開催し、県産農産物に対する正しい理解の促進に努め、適正な評価のもとに販売が拡大されるよう全力で取り組んでまいります。

 次に、農業法人への就農の促進につきましては、各農林事務所等に新規就農相談所を設置し、きめ細かな助言を行うとともに、県農業会議に無料職業紹介所を開設し、農業法人への就職をあっせんするなどの支援を行っております。

 これらに加え、人材派遣会社を活用して、就農希望者の募集から営農に必要な研修、さらには農業法人と就農希望者とのマッチングまでを一体的に実施する事業に新たに取り組むなど、即戦力となる意欲ある人材の就農が一層促進されるようしっかりと取り組んでまいる考えであります。

 次に、県産農産物のブランドの回復及び強化に向けた試験研究につきましては、現在、オリジナル品種の開発や高品質・安定生産技術の確立に取り組んでおります。

 今後はこれらの取り組みをさらに加速するため、DNA解析技術の活用により優良品種の開発期間の短縮に努めるとともに、現在国の研究機関や大学、企業などと共同で複合環境制御システム等の先端技術を活用した花の高品質・周年生産や、野菜産地の復興を支える良質苗の安定供給などの現地実証研究を実施しており、これらの成果の普及に努めてまいります。

 次に、大規模施設園芸の導入につきましては、規模拡大に対応した経営管理能力の向上や販路の確保が重要であります。

 このため、栽培指導や経営セミナーの開催により、高度な技術と経営能力を有する経営体を育成するとともに、再生可能エネルギーや情報通信技術などの最新技術を活用した施設導入を支援してまいります。

 さらに、量販店との直接取引や食品メーカーとの契約栽培など安定的な販路確保に向けた取り組みを支援することにより、大規模施設園芸の導入を積極的に進めてまいります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 中小企業への原子力損害賠償につきましては、事故から3年半を経過した現在でも風評被害などの損害が継続していることから、今月11日に実施した原子力損害対策協議会の要望・要求活動等においても、国及び東京電力に対し、逸失利益はもとより事業用資産の再取得のための費用等も含め、事業者が早期に再建を図ることができる賠償がなされるよう求めてきたところであります。

 引き続き、事業者それぞれの実情にも配慮した賠償が確実かつ迅速になされるよう取り組んでまいります。

避難地域復興局長(樵 隆男君)お答えいたします。

 避難市町村の復興計画につきましては、策定の段階から積極的に参画し、県としての意見を申し述べるとともに、計画の実現に向けても国と協働で市町村を訪問し、さまざまな課題について協議を行っているほか、県単独でも本庁や出先機関の関係部署が出向いて課題の解決に取り組んでまいりました。

 市町村が置かれている状況はさまざまであることから、今後もより一層連携を密にし、市町村と一体となって復興計画の実現に取り組んでまいります。

 次に、双葉郡の復興に向けた自治体間の連携につきましては、避難者の分散化や新たな課題への対応のため、今後ますます重要になると考えております。

 これまでも郡立診療所の設置について双葉郡の町村と調整を進めてきたほか、窓口業務や福祉サービスの提供などの共同化についてさまざまな意見交換を行ってきたところであり、今後も復興の進展を図る観点から、自治体間相互の連携を県として支援してまいりたいと考えております。

議長(平出孝朗君)これをもって、宮下雅志君の質問を終わります。

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