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2014年9月定例会 一般質問 西山尚利議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年12月3日更新

西山尚利議員

議員

西山尚利

所属会派
(質問日現在)

自由民主党

定例会平成26年9月
質問等一般質問
質問日9月24日(水曜日)

18番(西山尚利君)自由民主党の西山尚利です。

 「原発事故は大人の責任です。私たち大人がその責任を果たすために肝要なのは、福島県の未来への土台、基礎をしっかりとつくり、レールを敷くことだ。」と質問のたびに申し上げてまいりました。今回は、この3年半、一つ一つつくり上げてきた未来への土台、基礎、レールに乗って、本県の30年後の夢をどう実現していくのか、県政の諸課題を踏まえながら質問いたします。

 福島県の30年後を示す、いわゆる「ふくしま新生プラン」、その第2章「ふくしまの目指す将来の姿」、最終ページには、中学生の佐藤美咲さんが書いた「ふくしまの未来へつなぐ」というタイトルの作文があります。

 作文の中で佐藤さんは、「私は、福島が大好きだ。大好きな福島の良いところをもっとたくさんの人に知ってもらうために、これからは若者が福島を引っ張っていかなければならない。福島に生まれてきたからには、福島を盛り上げていこうと私は思う。日本で、いや世界で1番のすてきな県にするために。」とつづっています。中学1年生がふるさとを盛り上げることの大切さを自覚し、若者の使命は大人にかわって福島を発信することだとつづっているのです。

 ことしの3月、福島大学うつくしまふくしま未来支援センターが実施した福島県のイメージ調査で、「東日本大震災以前に福島県で暮らしていた4人に1人が、実に50万人が現在県外で生活している。」という調査結果が明らかになりました。余りにも現実とかけ離れた結果に、私は改めて厳しさを覚えます。

 一方で、昨年の観光客は4,831万人と震災前の84.5%まで回復、医療機器生産額は1,244億円で4年連続の増加、福島再生可能エネルギー研究所の開設、福島国際医療科学センターや環境創造センターの着工と、復興は確実に進んでいます。

 「福島をもっと知ってもらいたい。盛り上げていきたい。世界一すてきな県にしたい。」という佐藤さんの夢実現のために、風評の固定化を防ぎ、福島を前進させるための情報発信の努力に際限はありません。

 そこで、これから県はどのような戦略で情報発信を行っていくのか伺います。

 次に、ロボット開発について伺います。

 7月21日の朝刊1面、「郡山北工高世界一」の見出しに私は大変うれしくなりました。第5回国際ナノマイクロアプリケーションコンテスト世界大会で郡山北工高の防災ロボットが優勝、世界一となりました。3年連続の出場で、昨年は準優勝、ことしはたゆまぬ努力と研究にかける情熱、そして先生方を初め関係者の緻密な戦略で世界一の夢をつかみ取りました。心から誇りに思います。

 さて、私は昨年10月、アメリカへ行政調査に行ってまいりました。スリーマイル島の原発、スマートシティーやスマートグリッド、国立再生可能エネルギー研究所、そしてシェールガス採掘会社など、再生可能エネルギー政策を調査してまいりました。

 いずれの調査先でも、私が肌で感じ、強く印象に残ったものは「グローバルスタンダード・世界基準」という言葉です。アメリカでつくった技術やシステム・規格を世界基準にしてしまい、それを全世界に流通させ、新産業として雇用を生み出し、国民を豊かにするという国策、国家の強い意志を感じ取りました。

 今、福島県では、世界一のロボットを世界基準のロボットとして開発していこうという福島・国際研究産業都市構想、いわゆるイノベーション・コースト構想が始動しております。

 「一番苦労された方が、一番幸せになる権利がある。」という信念で立ち上げられたこの構想によって、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催時には、「福島県を訪れた世界中の人々が浜通りの力強い再生の姿に瞠目することになる。」と構想にあります。瞠目とは「すごい。やっぱり日本だ。」と目をみはることです。

 ふくしま新生プランには、「ふくしまの未来を担っていく若い世代が、ふるさとで夢や希望を持って生きていくことができるようになって、地域を誇りに思う心が生まれ、それが復興・再生を支える力になり、夢・希望・笑顔に満ちた新生ふくしまがつくられていく。」と書かれています。

 若い世代の夢・希望・誇り実現のために、イノベーション・コースト構想が今後進められることを契機として、福島県が先端産業であるロボット産業の中心地となるよう、世界を視野に捉えたロボットの研究開発に力を入れるべきだと考えます。

 そこで、県は国際市場を見据えたロボットの研究開発をどのように進めていくのかお伺いします。

 次に、国際理解の促進について伺います。

 世界一に輝いた郡山北工高は、プレゼンテーションも質疑応答も英語で行い、英語で行った寸劇も審査員から高く評価されたと伺っております。

 ふくしま新生プランでは、30年後、「本県には多彩な産業が集積し、競争力が高まって、県内企業の海外展開が進み、国内外から県内への投資が加速し、人、モノ、資金が集まっています。」さらには、「本県の知名度が上昇し、国内外から多数の観光客が訪れ、国際交流が進展し、国境を越えた人と人のネットワークが広がっています。」とあります。

 国内経済や人口の縮小が予測される中、新生プランを実現するためには、世界との、特にASEAN諸国との経済交流や人的交流なしには実現できないと読むことができます。これからは、ASEAN諸国からの留学生や研修生を積極的に受け入れなければなりませんし、県内中高生の留学も推進しなければなりません。

 本県の事務所をASEAN域内に設置し、県内企業の進出や取引、観光、物流も支援しなければなりません。そして、その全てに必要なものが英語での会話です。

 私は、「本県の第二公用語を英語に」と訴えてまいりました。英語の必要性は、郡山北工高がありがたくも証明してくれましたし、これから英語がなければ成り立たないことが数多くあることを県も認識をしております。そのためには、県民に国際理解の重要性を啓蒙しながら、県民を地球市民として育成していくことが必要です。

 そこで、県は国際理解の促進にどのように取り組んでいかれるのか伺います。
 
 次に、農学部設置について伺います。

 30年後の本県農林水産業、新生プランには「原子力災害を乗り越え、意欲ある農林水産業者が活躍し、国内外の食料需要や資源需要を支える一大供給基地となっています。さらに、最先端技術の活用などにより、魅力ある農林水産業が営まれています。」と書かれています。

 現に本県農林水産業は、将来に向かって確実に歩みを始めております。これから浜地域農業再生研究センターや水産種苗研究・生産施設が整備されます。ことしもキリンビールが県産梨を使用した缶チューハイ「キリン氷結・和梨」を11月4日から全国発売します。昨年のあんぽ柿に続き、ことしはシイタケ原木の全量検査を目指して検査機器を開発していきます。そして、ロボットを活用したハイテク・スマート農業を導入、促進し、避難地域や津波被災地域での営農を切り開いていきます。

 しかし、その一方で、これからの気候変動により、日本の今世紀末の年平均気温は最大で4.7度上昇し、その影響で米の一等米比率が下落、温州ミカンは2020年代には本州の日本海沿岸や関東平野南部が栽培適地になり、リンゴは2060年代には北海道が適地になります。さらには、病害虫の発生量が増加し、逆にブナ林の分布面積は減少、台風の勢力拡大や降水量の増加で農地被害も増大すると環境省は予測しております。

 30年後の本県農業をより輝かせるためには、あらゆることを想定し、それら全てを結びつけて、課題を一つ一つ解決しながら福島型の農林水産業を展開していかなくてはなりません。そのため、本県農業には学問・学術が必要です。

 福島大学うつくしまふくしま未来支援センターの小松特任准教授は、「岩手県大船渡市の実家が津波に流され、人ごとに思えなかった。北海道大学での農業経営学の研究を福島県の農業復興に役立てたいと考え、移住する覚悟を決めた。私たちが取り戻したいのは、食料を生産する農家の誇りと家族が協力して営農する幸せだ。福島県にどんな農業を残し、幸せを創造できるか、それを見届けるときに悔いがないように研究者としてかかわっていく。」と述べています。

 そこで、本県農業の再生に向けて、福島大学に農業系の学部を設置すべきと思いますが、県の考えを伺います。

 次に、介護・福祉について伺います。

 「県内全域で医療体制が整い、最先端の医療サービスを享受することができ、介護ロボットの導入などにより介護サービスの提供体制が確保され、障がい者が日常生活・社会生活を営むために必要な支援を受けられる社会となっています。」と新生プランにはあります。もちろん30年かけてそれらを実現していくと言っているのではなく、一日でも一刻でも早くそれらの体制を整えようと県当局が努力しているのが現実です。

 しかし、本県では、震災前から慢性的な医師・看護師・介護士不足が続いています。これから医療や介護の現場では、ロボットの導入などが進み、多くの課題が解決され、克服されることになりますが、必要とされるものはやはり人材です。特に本県の介護現場では、原発事故の影響で休止中の介護施設もあり、介護人材が県外に流出したまま戻らず、施設入所希望者が増加をしております。

 国は骨太の方針で、外国人が日本で活躍できる社会をつくるために、外国人技能実習期間を3年から5年へ延長します。そして同時に、介護分野における外国人留学生の活躍を支えるために、介護福祉士などの国家資格を取得した留学生が卒業後に日本での就労を可能とする在留資格などの制度設計も今年度中に行われます。

 そこで、県内における東南アジアからの介護福祉士候補者の受け入れ状況について伺います。

 福島県民が今も30年後も求める最たるものは安心です。安心とは、確実な医療・介護・福祉が身近に存在するという確信です。今後も県民から「本当の安心がある。」と評価される医療・介護・福祉実現のための施策の展開を望みます。

 次に、重要港湾小名浜港について伺います。

 新生プランには、「太平洋と日本海を結ぶ物流網・情報網が強化され、福島空港・相馬港・小名浜港を拠点とした人やモノの流れや経済交流が盛んになり、小名浜港は東日本有数の貿易港として発展しています。」とあります。県の統計によると、小名浜港の震災前の取扱貨物量は約1,500万トン、震災後の平成24年には石炭などの鉱産品が増加し、約1,800万トンと震災前を上回っております。しかし、鉱産品の輸入が増加し、さらには船舶が大型化して、現状の港湾施設では沖合で何日も入船を待つ状況が発生していると聞いております。

 このような中、小名浜港は資源やエネルギーなど貨物の輸入拠点港として平成23年に国際バルク戦略港湾に選定され、昨年12月には全国初となる特定貨物輸入拠点港湾に指定されました。小名浜港が広域的な物流拠点港として発展するためには、より一層の港湾施設の整備が急がれます。

 そこで、物流拠点としての小名浜港の整備にどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。

 最後に、知事にお伺いいたします。

 時代の潮流が激しい現代社会の中で、東日本大震災と原発事故が発生しました。この未曽有の経験したことのない困難を克服するために、知事は「夢・希望・笑顔に満ちた30年後のふくしまの姿」を新生プランの中でお示しになりました。そして、最後となった今定例会所信演説で「30年後の新生ふくしま実現に向けた枠組・土台はしっかりと築き、復興に道筋をつけ、まさに新生ふくしまの胎動を実感している。」と述べられました。

 しかしながら、福島県民は、知事が御勇退なさった後も、困難の渦の中でもがきながら、迷いながら、苦しみに耐えながら、福島県復興への道を歩み続けていくのです。

 「3・11ふくしまコンサート 復興のひびき」で子供たちと歌っている知事の笑顔が今、目に浮かびます。そのときの知事の笑顔には、「震災の痛みを乗り越え、人のために、社会のために役立ちたいとたくましく成長する子供たちの姿に、福島の未来を照らす希望の光を感じ、深く心を動かされました。」と所信演説で述べられたように、福島の子供たちを何としてでも守り抜くという決意に満たされていました。
 
そこで、知事は御勇退に当たり、これまでの子供たちの姿をごらんになって、福島県の将来を担う子供たちへどのような思いを抱いていらっしゃるのか、最後にお聞かせ願います。

 全身全霊で夢と希望と笑顔を創造することに邁進してくださった知事の8年間、殊この3年6カ月間に改めて心から敬意と感謝を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

副議長(青木 稔君)執行部の答弁を求めます。


知事(佐藤雄平君)西山議員の御質問にお答えいたします。

 子供たちへの思いについてであります。

 振り返りますと、未曽有の複合災害直後から子供たちはさまざまな面で言葉では言いあらわせない困難に見舞われ、私は日々胸を痛めながら、何とか安心できる環境をつくろうと、校庭、通学路、公園の除染を初め18歳以下の医療費の無料化など、子供の安全・安心に向けたさまざまな施策を全力で進めてまいりました。

 そのような中、ふくしま総文について、47年に1回の地元開催だからとの高校生の熱い情熱を受けとめ、その開催を決断したところ、開会式で披露された構成劇は、私を初め国内外で大きな感動を呼んだところであります。

 また、私との意見交換の場、そして少年の主張でのしっかりと未来を見詰める姿、さらには文化・スポーツで活躍し続ける姿に、私たちは大いに勇気づけられました。

 私は、常々「県づくりは人づくり」と申し上げております。これまでの8年間、生み育てやすい環境の整備、学校、家庭、地域が一体となった教育の推進、文化・スポーツ、芸術の振興など、未来の主人公である子供たちが夢や希望を実現できる県づくりを積極的に進めてきた今、その礎が築かれたものと実感しております。

 これからも子供たちがこの土台の上でたくましく成長して、本県の未来の担い手としてさまざまな分野で活躍し、本県に脈々と続く地域社会、思いやり、伝統文化、これらがしっかりと継承されていくことが私の切なる願いであります。

 引き続きグローバルな社会の中でさらに子供たちが才能や可能性をしっかりと伸ばして、世界に羽ばたいていけるような環境づくりに努め、自分たちのふるさとに誇りを持てる新生ふくしまの創造を期待しております。私も子供たちが未来へ進む姿を応援し、時には手を差し伸べながら、その成長をしっかり見守ってまいりたいと考えております。

 その他の御質問につきましては、関係部長から答弁させます。

直轄理事兼安全管理監(藤島初男君)お答えいたします。

 情報発信につきましては、再生可能エネルギー先駆けの地を目指す福島ならではの取り組みや、未来に向け積極的に活動する子供たちの姿などを発信し、新しい「ふくしま」のイメージをつくっていくことが風評払拭に効果的であると考えております。

 このため、情報発信戦略に基づき、マスメディアやフェイスブックなどを活用し、幅広く発信してきたところであり、今後は本県に思いを寄せる企業や民間団体等の連携促進に取り組む「ふくしまから はじめよう。未来づくり“HAJIMEPPE”」と連携した取り組みなどを通じ、前向きに進み続ける本県の姿を国内外に力強く発信してまいる考えであります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 福島大学につきましては、震災以降、うつくしまふくしま未来支援センターの設置や大学院ふくしま未来食・農教育プログラムの開設等により、放射性物質に対応する新たな営農システムの確立や人材育成など、本県農業の復興への支援を行っております。

 さらに、国の来年度予算概算要求において、同大学における農学系人材の養成機能に係る調査費が計上されております。

 県といたしましては、各界の声も伺いつつ、同大学の主体的な判断を尊重しながら、農業系学部を含む農学系人材育成の検討状況等を注視してまいる考えであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 国際理解の促進につきましては、県及び国際交流協会に配置した国際交流員や青年海外協力隊のOB・OG等が学校などで海外の文化や開発途上国の現状等を紹介する出前講座を実施しているほか、JICA二本松訓練所等の協力により、異文化理解や国際協力、コミュニケーション、多文化共生等をテーマとする県民参加型のセミナーなどを開催しているところであり、また、県国際交流協会が行う国際理解や国際交流活動に対し支援しております。

 引き続き県内の国際関係団体等と連携し、国際理解の促進に積極的に取り組んでまいる考えであります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 東南アジアからの介護福祉士候補者の受け入れ状況につきましては、国が平成20年度から経済連携協定に基づく取り組みを開始したことを受け、本県ではこれまで2施設においてフィリピンから12名を受け入れ、うち3名の方が介護福祉士試験に合格しております。

 本年度も新たに4名を受け入れることとなっておりますが、県といたしましては、この取り組みが円滑に進むよう、日本語や専門分野の学習費用の補助を行うとともに、各施設に対して制度の周知を図ってまいります。

商工労働部長(星 春男君)お答えいたします。

 ロボットの研究開発につきましては、世界最先端となる手術支援や機能回復等の医療用ロボットの開発を支援するほか、今年度より世界的な需要が見込まれる災害対応ロボットの開発を支援しております。

 これらに加え、今後はノルトライン・ヴェストファーレン州との覚書に基づき、同州と連携した医療用ロボットの共同研究に向けた取り組みを進めるとともに、福島・国際研究産業都市構想による国際的な開発・実証拠点の着実な整備を国に求めるなど、国際市場を視野に入れたロボットの研究開発に積極的に取り組んでまいる考えであります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 小名浜港につきましては、地域産業の発展と国際競争力向上のため、東港地区において、船舶の大型化や取扱貨物量の増加に対応した水深十八メートルの大水深岸壁を有する石炭等鉱産品を中心に多様な貨物を取り扱う国際物流ターミナルを整備しております。

 引き続き国際バルク戦略港湾として東日本地域のエネルギー供給を支える拠点港を目指し、国と連携を図りながら、東港地区の重点的な整備に取り組んでまいる考えであります。

副議長(青木 稔君)これをもって、西山尚利君の質問を終わります。

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