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2015年2月定例会 追加代表質問 宮川えみ子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年6月12日更新

宮川えみ子議員

議員

宮川えみ子

所属会派
(質問日現在)

日本共産党

定例会平成27年2月
質問等追加代表質問
質問日3月2日(月曜日)

38番(宮川えみ子君)宮川えみ子です。日本共産党を代表して質問を行います。

 初めに、原発問題についてです。

 東京電力は24日、福島第一原発2号機原子炉建屋の屋上にたまる高濃度の放射性物質を含む雨水が排水路を通じて港湾外に流出していたことを明らかにしました。東電は既に昨年4月までにこのことを把握していましたが、海洋流出を防ぐ手だてを講じなかったばかりか、情報を隠し続けていました。東電の隠蔽体質が改まっていない、本気になって海を汚さないという観点に立っているのかと、漁業者だけでなく、県民の怒りの声です。

 一方、東電を指導すべき原子力規制委員会の田中委員長は「第一原発の実態を全て把握するのは困難。」などと居直り発言をしているようですが、原子力規制委員会が規制する国の役割を果たしていないことが最大の問題と思いますが、県の見解をお聞きします。

 また、東京電力に対し、排水路から外洋に直接排水させないように求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。

 次に、汚染水処理について東電の廣瀬社長は、ことし3月までに全量処理するとした目標達成の断念を発表し、さらに凍土遮水壁工事完成によって300トンから50トンに減らせる、地下水の流入を防ぐとしていましたが、これも未定で、専門家からは疑問視する意見も出ています。汚染水対策の進捗状況について、県の廃炉安全監視協議会は東京電力からどのような説明を受け、確認を行っているのか尋ねます。

 敷地内の地下水の放出に続いて、今度はサブドレン水を海洋放出させるとしていますが、東電は次々とさまざまな汚染水の海洋放出を求めてくるのではないかと見ています。汚染水貯蔵タンクを敷地内に置く余地は十分あります。漁業者に海への放出の判断を求めるべきではありません。

 放射性物質が基準以下とはいえ、サブドレン浄化水を海に流すべきではないと思いますが、県の考えを伺います。

 原子力規制委員会の田中委員長は、1月に起きた労働者死亡事故に関し、「排出濃度以下になった水を捨てずにタンクを増設する中での事故だ。」などと、まるで処理水を海洋に放出しないから労働者の死亡事故が起きたと言わんばかりの発言をしています。また、傍聴者から「海洋放出は認められない。」と声が上がると、「人が死んでもか。」と見当違いの暴言を吐きました。

 東電の数土会長自身も認めているように、死亡事故や労災事故が頻発している最大の原因は、大部分の作業員、監督も含め熟練を積んでいないことです。労働者の素人化、労働条件の悪化での士気の低下があると見るべきです。暴言は、漁業者と県民の怒りを買っています。

 雨水受けタンク上部からの転落死亡事故に関する原子力規制委員会の田中委員長の発言に対し、撤回と謝罪を求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。

 先ごろも大きな地震がありましたが、事故原発についてまたも心配される問題が出ています。第一原発1・2号機の高さ120メートルある排気筒についてですが、2013年に排気筒の中間付近で複数の支柱破断が見つかっており、東電の調査でも鋼材の腐食と見られる変色が主柱に複数確認されています。

 第一原発1・2号機の排気筒が万一倒壊した場合の影響評価や新規制基準に基づく耐震評価について、県は東京電力からどのように説明を受けているのかお聞きします。

 次に、原発労働者についてですが、1月19日と20日にかけて、第一原発、第二原発での相次ぐ労働者死亡事故が起きました。東電は同じ時期に柏崎刈羽原発でも重大な事故を起こしています。

 昨年3月の死亡事故を含めた3件の死亡事故について、県は東京電力からどのような報告を受けているのか伺います。

 死亡事故の要因に、いまだに危険手当、労務費割り増し分が本人に渡っておらず、士気の低下があると考えますが、除染労働者のように、全ての原発労働者に対して労務費割り増し分が支給されるように改めて東京電力に求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。

 多重下請構造の改善のために東京電力に対し、原発労働者を直接雇用し、労働環境の改善に全面的に責任を負うよう求めるべきですが、県の考えを尋ねます。

 県は、第一原発での外国人労働者数を把握しているのか伺います。

 除染作業で15歳の少年を働かせたとして、愛知県警が労働基準法違反の疑いで名古屋市の建設会社の専務を逮捕しましたが、同世代が複数人いたと報道されました。

 昨年3月に原発労働者の死亡事故が発生した際、原発・除染労働者が激増していることから、日本共産党地方議員団は富岡労働基準監督署に職員の増員の申し入れを行いました。富岡労働基準監督署の体制強化を図るよう国に求めるべきと思いますが、県の考えをお聞きします。

 県警察における除染作業や原発関連事業からの暴力団排除の取り組みについて伺います。

 次に、被災者、避難者支援についてです。

 知事は、「原子力災害が福島県全体に落とした影の大きさ、深刻さ、覆う影は、分断と矛盾を引き起こした。複雑化した課題の解決は多くの時間と労力を要する。」と述べています。私は、その最大の課題は、4年たった今も12万人の避難者がどこにどのように落ちついたらいいのか、その方向性すらいまだに定まらないでいることにあると思います。そして、この避難者支援が一番おくれている、つまり人間の復興が一番おくれていることだと思います。

 知事は避難者との対話を重ねてきた中でさまざまな声と思いをどのように受けとめたのか伺います。

 双葉町から避難して来たある人は、「何もないところだったが、またあの畑でホウレンソウをつくりたい。お墓は丘の上にあった。そこにおさまりたい。」と言います。ふるさとを失う深い悲しみが避難者にあります。さまざまな対話の中で実に多種多様な要望があり、それこそ一人一人みんな違うということ、あわせて共通の要望を深くくみ取り、対応することだと思います。

 生活支援相談員は見守り、相談等を行うといいますが、緊急雇用対策による短期不安定雇用ではなく、長期の事業にもなるので、専門性を高めていくためにも生活支援相談員を正規待遇の長期雇用とすべきと思いますが、県の考えを尋ねます。

 訪問することになる県内の仮設住宅1万2千世帯、借り上げ1万9千世帯の入居者を考えると、生活支援相談員を400人に増員しても不足すると思いますが、県の考えを尋ねます。

 知事も、復興公営住宅のおくれが生じたことについて、「全力を挙げて整備を尽くす。あわせて、入居後のコミュニティー形成や交流支援をしっかりやっていく。」とのことですが、復興公営住宅入居者は各地域から、あるいは何度も転居をしながらやっと落ちつく方も多いわけです。コミュニティ交流員の人数と活動内容を尋ねます。

 復興公営住宅の完成と同時に集会所に備品等を整備し、すぐに使えるようにすべきですが、県の考えをお聞きします。

 ことしの1月17日で阪神・淡路大震災から20年がたちました。ボランティアに行って、一面焼け野原だったことを思い出します。阪神・淡路大震災20年後の今について、町にはビルが建ったが、テナント料や家賃の値段が高くて入れず、もともとの住民が追いやられ、何のための復興かと問う報道がありましたが、被災した住民の支援こそ真の復興との立場を貫くことこそ問われております。

 阪神・淡路大震災後、被災者を中心に住宅再建費用の助成を求める大運動が起き、個人の資産に税金投入はできないとする当時の政府のかたくなな立場を変えさせ、被災者生活再建支援法に道が開かれました。その後金額も改定されてきましたが、被害規模がはるかに上回る東日本大震災にどう対応するかが改めて問われています。

 2月2日、津波で住宅が流された大熊町避難区域の仮設住宅の皆さんと懇談しました。「原発政策に協力してきたが、津波被害にもせめて何割かの支援があれば」と言います。

 まず、避難指示区域内での地震・津波被災住宅について、住民の生活再建の視点を踏まえた原子力損害賠償がなされるべきと思いますが、県の考えを伺います。

 住宅建設費がますます高騰している中で、被災者の住宅再建は大変困難になっています。昨年12月議会では、全会派一致で被災者生活再建支援法の金額の引き上げを国に強く求める意見書が提出されました。被災者生活再建支援金を500万円以上に増額するよう国に求め、県としても独自の支援を行うべきと思いますが、県の考えを尋ねます。

 1月28日の楢葉町の避難者の皆さんとの懇談では、「自分の家はリフォームしたが、周りは帰らず一面カヤだらけ。不便で物騒で子供も帰ってこない中、とても一人では帰れない。自宅でなくてもいいから、楢葉町で暮らしたい。」と要望が出されました。

 帰還を望む住民に向けて避難地域の高齢者のための住宅が必要と思いますが、県の考えをお聞きします。

 また、高齢者の帰還に向けて市町村の既設公営住宅へのエレベーター設置について県はどのように支援をするのか尋ねます。

 次は、農業問題についてです。

 米の作付面積については、大震災・原発事故後8万ヘクタールから次の年は2割くらい減ったが、今は回復して約6万8千ヘクタールになった。しかし、米価下落で来年度は種もみから推測すると作付は3%減になる予想といいます。

 米生産は人口減少や米離れで減少傾向は続く。餌米は安ければ需要はあるが補助金がないと農家の経営は難しいといいます。福島県の現状からすると、6次化や大規模化農業だけでなく農地や地域を守る家族経営にもっと力を入れる必要があると思います。

 米価下落対策は、種もみの支援だけでなく、原発事故で下落幅が大きいこともありますから、鮫川村で1反歩15,000円の支援をしていますが、県としても米の生産費を補う支援が必要と思いますが、県の考えを伺います。

 77万トンものミニマムアクセス米をやめさせることはもちろん、TPP交渉において、主食のさらなる輸入拡大はしないよう改めて国に求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。

 農協改革についてです。

 安倍政権・自民党の農協改革案が決まり、3月中に法案を提出し、統一地方選挙後に本格的審議が行われる予定です。内容は、全国農業協同組合・JA全中の地域農協に対する指導監査権限の廃止を柱とする農業関連法案です。

 安倍首相は、農協改革について、「強い農協をつくり、農家の所得をふやす。廃止するのはJA全中の指導監査だけだ。」と言いますが、狙いは全中の権限をなくして全国的な結束力を弱め、TPP反対のエネルギーをそぐこと、全農を農協法から外し、一般社団法人化してアメリカと日本の金融機関に開放することです。

 農協の事業は農家へのサービスですから、経済事業だけでは黒字になりません。金融と共済で出た利益を活用することで総合的事業として成り立っているのです。

 農村地帯では営利会社がもうけの対象とならないところに金融機関、ガソリンスタンド、スーパー等、地域社会を支えている地域農協も多くあります。地域を壊してきた自民党の農政に何の反省もなく、JAを解体することとなればさらに地方を壊し、疲弊させるだけです。

 去る2月9日、県JAグループは、改革は組合員と会員の意思に基づいて行うべきとし、今回の国の農協解体に反対の立場で国に要請するよう知事に申し入れを行っております。県は農協の役割をどう考えているのか伺います。

 安倍政権の進める農協改革について県は反対すべきと思いますが、県の考えを伺います。

 次に、住宅リフォームと福祉灯油についてです。

 昨年12月の日銀のアンケート調査では、「生活にゆとりがなくなった。」という人が3月以降連続してふえ続け、51.1%に達しました。特に弱者を直撃しています。

 今回の国の補正予算は、アベノミクスのもとでの実質賃金低下に加え、昨年4月からの消費税増税に伴う深刻な景気悪化に対し、追加の経済対策が必要になった結果出されたものです。今度の補正予算もこの観点から取り組むべきです。

 地域住民生活等緊急支援のための交付金にかかわって2点質問いたします。

 住宅リフォーム助成制度についてですが、今回の国の補正予算の審議で「消費喚起につながると認められれば交付金の対象になる。」と、我が党の田村参議院議員の質問への答弁がありました。地域経済波及効果が予算の20倍以上になることを秋田県では既に実証されていますが、福島県でも住宅のリフォームに対する助成を実施すべきですが、県の考えを伺います。

 福祉灯油についてですが、福祉灯油を今年度から実施し、来年度からは恒常的な制度にすべきと思いますが、県の考えを伺います。

 次に、漁業問題についてです。

 重大な汚染水漏れが続いており、漁業の再開も困難が予想されますが、その一方で「いわき丸」での調査で放射性物質や水産資源の分布状況調査が進んでいると聞きます。福島県海域の海水と海底土の放射性物質濃度について、原発事故後どのように変化しているかお聞きします。

 福島県海域の魚介類の放射性物質濃度についても同様にお聞きします。

 漁業の全面再開に向け魚介類の検査を効率的に行うことができるようにすべきですが、検査機器の開発状況について伺います。

 漁業の全面再開に向け漁協の自主検査体制の強化が必要と思いますが、県はどのように取り組んでいくのか尋ねます。

 次に、観光政策についてです。

 ことし4月から6月にかけて、デスティネーションキャンペーン、大々的観光誘致が行われますが、おいしい、きれいだけでなく、長期的、きめ細かい、福島や日本の未来に提起できるような内容も求められています。

 会津地域の自治体や観光協会からは、「ふくしまっ子自然体験・交流事業は大変助かっている。ふやしてもらいたい。」との要望が出されていますが、この事業の予算は年々減額されています。活用しやすいよう補助内容を見直し、予算を増額すべきと思いますが、県教育委員会の考えを尋ねます。

 「直接被災者の声を聞きたい。」、「被災地の今を見たい。」、「何か協力したい。」という多くの声がありますが、これらに対応する受け入れが必要です。県は復興ツーリズムの受け入れ体制づくりにどのように取り組んでいるのか尋ねます。

 次は、医療・福祉人材の確保についてです。

 来年度、県は楢葉町にふたば復興診療所を開設する予定と聞きます。浜通りは、いわき市を初め県内でも医療スタッフの確保が特に厳しい状況で、心配されます。県は、県立診療所の医療従事者をどのように確保していくのか伺います。

 全県的にも引き続き医師、看護職員、医療スタッフ確保の取り組みが重要ですが、特に看護職員の職場環境が深刻です。震災後の県医労連の調べでは、「慢性疲労を感じる。」が82%で全国平均の10%近く多く、仕事をやめたいと思う人は4人に1人で、やめたい理由は「思うように休暇がとれない」が45%でした。看護職員の勤務環境の改善に県はどのように取り組んでいくのか伺います。

 介護についてですが、国は介護報酬を2・27%引き下げようとしています。処遇改善加算などの上乗せを除けば、介護事業者に入る報酬はマイナス4.8%にもなります。消費税や物価高を考えれば過去最大の引き下げです。

 「月給が上がったが、ボーナスが減る。」、「経営悪化で人員が削減され、仕事はよりきつくなる。」、「古くなった施設の改善が見込まれなくなる。」、「予定された施設が中止になる。」など、働く人と事業者の両方から厳しい声が上がっています。

 人材確保が特に厳しくなっている浜通りの介護現場を訪問し、懇談しました。もともと介護職員の賃金が平均賃金より10万円も低いことが最大の原因ですが、原発事故以降、避難者の受け入れが多いところに、逆に放射能が心配で、若い子育て中の働く女性が県外に避難していったこと、そこに復興の仕事がふえて、給与の安い介護の現場に人材が集まらなくなっているとのことです。

 介護職員不足により利用者の受け入れを制限している特別養護老人ホームと介護老人保健施設について、県全体、特に相双地域、いわき市の施設数と制限ベッド数を尋ねます。

 県は介護職員初任者研修を修了した働き手をふやすためどのように取り組んでいるのか伺います。

 原発被災県として、介護職員の賃金引き上げに対する県独自の支援が必要と思いますが、県の考えをお聞きします。

 次に、子育て支援について質問します。

 こども未来局についてですが、成長期を含む子供をめぐる重大な事件が起きています。その背景に、虐待や育児放棄など愛情を受けられなく成長したことがあると指摘されております。

 子育て中の親の環境を見ると、長時間、低賃金、不規則・不安定雇用など劣悪な労働条件がはびこっております。格差社会の進行でますます子供の置かれている状況は悪化しています。

 子どもの貧困対策法の成立で計画づくりと実効ある施策展開が都道府県に求められておりますが、去る12月議会で我が党の長谷部議員の質問に総務部長と子育て支援担当理事が「新設予定のこども未来局を中心に市町村や関係団体と協議し、計画の策定も含め検討していく。」と答弁しました。

 貧困対策室等ワンストップサービスをつくる、生の声を取り入れた子供の貧困の実態の見える化を図る、全ての子供に支援情報を届ける仕組みをつくることが重要と思いますが、子どもの貧困対策計画策定に向けた県の基本的考え方について伺います。

 大震災と原発事故の影響により、県内の児童相談件数が増加傾向にあることから対策強化が必要ですが、県は児童虐待の防止と早期発見のため各市町村や地域との連携にどのように取り組んでいくのか尋ねます。

 また、児童相談所の児童福祉司の増員を図るべきと思いますが、県の考えを尋ねます。

 保育所問題についてですが、4月からスタートする子ども・子育て支援法によって大きく変化する保育所の問題です。

 保育時間が現在の児童福祉法では、保育必要量は1カ月単位で決まっていますが、今度は標準保育11時間と短時間保育8時間に自治体が設定し、これよりオーバーすると延長料金を取ってもいいことになります。

 保育短時間認定児の延長保育料金について保護者に負担がかからないように県が支援をすべきですが、伺います。

 保育料について保護者の負担が現行どおり維持できるよう県は支援をすべきですが、県の考えをお聞きします。

 幼稚園の一時預かりまで入所扱いにし、待機状態を圧縮しようとするなど、国が定義を変えました。しかし、低年齢児の待機状態は待ったなしです。ニーズの高い低年齢児保育確保のための小規模保育事業が3種類ありますが、小規模保育事業について保育士資格が職員全員に求められるA型のみの認定とするなど質の向上を図るよう支援すべきですが、県の考えを伺います。

 介護の現場だけでなく、看護師確保のためにも、今子育て中の女性が働き続けられるようにすることが求められています。24時間保育や病後児保育などの要望を調査し、事業化に向けて支援すべきと思いますが、県の考えを尋ねます。

 最後に、教育問題についてです。

 奨学資金についてですが、大震災以降浪江町の子供たちは、ことし2月時点で小学校275校、中学校365校、合わせて624校に分散して学んでいます。避難地域では小学校4校、中学校2校が休校になり、高校はサテライト5校が募集停止になり、中高一貫のふたば未来学園が開校予定です。

 避難指示解除、県外から県内に、仮設や借り上げから復興住宅になど、子供たちは転々とした落ちつかない環境のもとで経済的困難を抱えている家庭も多くあります。県PTA連合会からも、自主避難を含め避難を余儀なくされた保護者の経済的負担軽減が求められております。

 高校生向けの震災特例の奨学金についてですが、貸付型でも卒業後一定の収入以下であれば返済が免除されるので、震災を受けた子供たちにとっては大変助かっている制度です。

 この制度の利用状況を見ると、震災の年の2011年度は1,545人ですが、12年度は1,334人、13年度は979人、14年度は657人で、この制度の周知が余りされていないように見受けられます。

 震災を受けた皆さんは、住居の変わる人も多く、制度を知らない人も多いため、希望する生徒全員が漏れなく適用がされるように、震災特例採用奨学資金について対象となる一人一人の生徒に制度の周知を図るべきと思いますが、県教育委員会の考えを尋ねます。

 直接原発避難や地震、津波の被害を受けていなくても、県民はさまざまな経済的影響を受けています。国に給付型奨学金の制度創設を求めるべきと思いますが、県教育委員会の考えをお聞きします。

 学校司書についてです。

 昨年6月に学校図書館法が国会で全会一致で改正され、学校図書館の司書を置くことと研修等の努力が義務づけされました。学校司書の重要性については言うまでもなく、子どもの未来創造対策特別委員会中間報告でも「豊かな心の育成で学校司書の存在は欠かせない。小中学校において不足している学校司書の確保に向け支援強化が必要。」と報告されております。

 これまでは、図書館司書教諭はいても、授業とかけ持ちで忙しく、学校の図書館が開かれていない状況が続いたので大いに期待されるところです。しかし、今回の法改正は専任、専門、正規の位置づけではなく、直接予算化されておりませんので課題は残っております。県立高等学校における学校司書の配置の現状と全校配置の目標について、県教育委員会の考えをお尋ねします。

 郡山市やいわき市では、市民の長年の運動などがあり、PTA会費からの持ち出しなど苦労しながら学校司書の配置が行われてきました。いわき市では、出前読み聞かせなど「読書環境をよくする会」の運動があり、既に2013年度から小学校に4人、14年度は23人配置し、15年度は全小学校に配置する考えと聞きます。市町村立小中学校に学校司書の配置が進むよう県独自の支援をすべきと思いますが、県教育委員会の考えをお聞きします。

 学校維持管理経費についてですが、現場では経費節減でやっているといいますが、ぎりぎりです。そのために図書購入費は全く不十分です。

 県立学校の図書購入費を含めた維持管理経費を増額すべきですが、県教育委員会のお考えをお伺いします。

 以上で終わります。

副議長(青木 稔君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)宮川議員の御質問にお答えいたします。

 避難者との対話についてであります。

 先月も県内の仮設住宅や新潟県を訪問いたしました。避難者の皆さんから「みずからが中心になって見守りや情報紙の手渡し活動を行っている。」、「気力を失った時期もあったが、土地を借りてまた農作業を始めている。」といったお話があった一方で、「どうしてもふるさとに帰りたい。」という高齢者の方の思いや「長期の避難により精神的に追い込まれている方がふえている。」といった見守り相談員の方のお話など、切実な声も伺ってまいりました。

 私は、これまでの対話を通じて、避難の状況はさまざまであり、一人一人の意向を尊重しながらきめ細かな対応に努め、避難者の皆さんが将来の見通しを立てて前に進んでいけるよう、1日も早く震災前の穏やかなふるさとを取り戻さなければならないと改めて思いを強くしたところであります。

 今後は原発事故の収束や除染の取り組み、復興公営住宅の整備促進など復興への歩みをさらに進めるとともに、生活支援相談員や復興支援員による見守り、相談体制の強化等を通じ、帰還や生活再建の実現に向けしっかりと取り組んでまいります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させます。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 原子力規制委員会につきましては、現場を含めた監視体制を強化するとともに、情報公開の徹底を求めながら、専門的な見地から廃炉作業の十分なリスク評価を行い、東京電力への指導監督を徹底するなど汚染水対策を初めとする廃炉に向けた取り組みが安全かつ着実に進められるよう取り組むべきであると考えております。

 次に、外洋への排水につきましては、先月27日、廃炉安全監視協議会による立入調査を実施し、東京電力に対し、汚染された雨水が排水路から外洋へ流出することを防ぐため排水先を港湾内へ切りかえる対策の実施、さらには構内の排水路全体の系統構成を含めた管理計画を策定することなどを求めたところであります。

 次に、汚染水対策につきましては、地下水バイパスの稼働や高温焼却炉建屋の止水により原子炉建屋等への地下水の流入が減少している一方で、多核種除去設備が計画どおり稼働せず、タンク内汚染水の処理がおくれていること、凍土遮水壁工事が山側を先行して凍結を開始する予定であることなどの説明を受け、廃炉安全監視協議会において現地調査による確認を行いながら、専門委員等が専門的な見地から安全性の向上や追加的対策など必要な意見を申し入れております。

 次に、サブドレン浄化水の海への放出につきましては、国及び東京電力は、今回の汚染された雨水の海への流出について対策を早期に、かつ確実に進め、漁業関係者を初めとする県民の目に見える結果を出すことに総力を挙げて取り組むべきであると考えております。

 次に、原子力規制委員会委員長の発言につきましては、その趣旨等について承知しておりません。

 原子力規制委員会は、汚染水対策を初めとする廃炉の取り組みや作業員の安全確保についてそれぞれしっかりと確認し、東京電力への指導監督を徹底することが重要であると考えております。

 次に、1・2号機の排気筒につきましては、東京電力から「損傷を考慮した耐震安全性評価を行った結果、東日本大震災と同程度の地震が再度発生しても耐震安全性が確保されている。また、新規制基準に基づく耐震評価等については現在検討中である。」との説明を受けております。

 次に、3件の死亡事故につきましては、東京電力から「掘削業務における危険防止措置、高所作業における安全帯の使用、重量回転物を取り扱う際の注意喚起といった労働者の作業安全に関する措置が徹底されていなかったことなどが原因であり、全作業について意識、手順、設備の3つの観点から安全総点検を行うとともに、今後の事故原因となり得るリスクの洗い出しを行い、その結果を他の作業に水平展開するなど全ての協力企業と一体となって安全管理の取り組みを継続的に行っていく。」との報告を受けております。

 次に、労務費割り増し分につきましては、東京電力において元請企業等へのヒアリングを実施しており、先月開催した労働者安全衛生対策部会において、「これまでヒアリングを実施した企業については適切に支給されていることを確認した。」との報告を受けておりますが、作業員への就労実態に関するアンケートでは「支払いの説明を受けていない。」等の回答があることから、県といたしましては、東京電力に対し、関係事業者と一体となって取り組み、作業員に労務費割り増し分が適切に支払われるよう引き続き求めてまいる考えであります。

 次に、労働環境の改善につきましては、労働者安全衛生対策部会等において、労働条件の明示等による雇用の適正化や作業環境の改善、さらには労働災害の再発防止対策に取り組み、労働者が安心して働くことができる環境を整備するよう東京電力に対し繰り返し求めてきたところであり、引き続き労働者が安定的に安心して働けるよう、東京電力が責任を持って労働環境の改善に取り組むことを求めてまいる考えであります。

 次に、外国人労働者数につきましては、東京電力からは、人数は把握していないと聞いております。

 なお、作業員登録の際に行っている入所時教育の徹底などにより労働災害等の未然防止に努めているとしております。

 次に、富岡労働基準監督署につきましては、広野町に開設した臨時事務所を拠点として、県内の労働局職員の応援を得ながら毎月現場への立ち入りを行い、労働条件や安全対策などを確認しているとのことでありますが、重大な労働災害が発生していることや作業員が増加している状況などから、県といたしましては、引き続き国に対し東京電力への指導監督を強化するよう求めてまいる考えであります。

 次に、海水等の放射性物質につきましては、県は沿岸の漁港と漁場において放射性セシウムを毎月測定しており、本年1月の調査では、海水は22地点の全てで不検出、海底土は42地点で1キログラム当たり不検出から最大342ベクレルで、事故後の最大値と比較して約27分の1まで減少しております。

 また、国が測定している沖合についても沿岸海域と同レベルの値となっており、本県海域全体として減少傾向が確認されております。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 生活支援相談員の長期雇用につきましては、避難生活が長期化する中、同一の相談員が継続して支援していくことが望ましいと思っております。

 今後とも国に対して、必要な財源措置が継続して講じられるよう強く要望してまいりたいと考えております。

 次に、生活支援相談員の配置につきましては、長引く避難生活に対応するため人員を倍増するとともに、新たに主任生活支援員等を配置し相談体制の強化を図ることにより、避難者一人一人が抱える課題等に適切に対応し、健康の維持と生活の再建につなげられるよう取り組んでまいります。

 次に、福祉灯油につきましては、引き続き灯油価格の推移を見守るとともに、国や市町村の動向について情報収集に努めてまいります。

 次に、看護職員の勤務環境の改善につきましては、現在、院内保育所を設置する民間医療機関に対する運営費の補助や看護職員のライフスタイルに応じた勤務形態の導入促進に向けた研修会の開催などによりワーク・ライフ・バランスの推進を図るとともに、看護職員の負担軽減を目的に看護補助者の養成とその就業支援などに取り組んでいるところであります。今後とも医療機関における勤務環境改善に努めてまいる考えであります。

 次に、介護職員不足により利用者の受け入れを制限している特別養護老人ホームと介護老人保健施設の施設数及び制限ベッド数につきましては、本年2月1日現在、県全体で14施設、164床となっており、そのうち相双地方では7施設、87床、いわき市では4施設、49床となっております。

 次に、介護職員初任者研修を修了した働き手をふやすための取り組みにつきましては、高校生を対象とした資格取得支援事業や事業者が行う一般向けの資格取得の負担軽減事業を実施するとともに、今年度からシニア向けの高齢者社会参加活動支援事業を実施するなど各世代を対象に展開しており、今後とも人材育成にしっかり取り組んでまいります。

 次に、介護職員の賃金改善に対する支援につきましては、原発事故の影響により人材不足が特に深刻な浜通り地域などを対象に、特例措置として全額国庫による賃金手当制を新設するよう国に求めているところであり、今後も引き続き働きかけてまいりたいと考えております。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 米の生産費への支援につきましては、生産者の収入減少の影響を緩和するため、経営所得安定対策のナラシ対策が実施されておりますが、平成27年産からの加入要件の緩和を受け、認定農業者等を育成しながら、1人でも多くの稲作農業者の加入を促進してまいります。

 また、国が緊急経済対策として稲作の生産コスト低減の支援を講じたことから、これらを積極的に活用しながら稲作経営の安定を図ってまいります。

 次に、米の輸入拡大につきましては、全国知事会が先月開催したTPP交渉に関する説明会においても、国から明確な説明がなく、県といたしましては、米は重要品目の一つであることから、衆参両院農林水産委員会決議を踏まえて交渉が進められていると受けとめております。

 引き続き全国知事会等と連携しながら、国民に対する十分な情報提供と明確な説明、農林水産業の再生強化に向けた対策、被災地域の復興に最優先で取り組むことを国に対し求めてまいります。

 次に、農協の役割につきましては、農業者の協同組合として総合事業を展開することにより、組合員の営農及び生活全般を支えるとともに、高齢化、過疎化が進む農村地域においては、生活インフラを提供する重要な役割を果たしているものと考えております。

 また、農協は農業者を代表する組織として長年行政と連携し、農業の振興を図るとともに、東日本大震災後は米の全量全袋検査や農家の損害賠償請求事務を担うなど、本県農業の復興・再生を進める上でも重要なパートナーであると考えております。

 次に、農協改革につきましては、政府・与党間で合意した改革案を全国農業協同組合中央会が受け入れ、現在法案化に向けた作業が進められておりますが、農協が地域の農業・農村の振興に果たしている機能や役割を踏まえることが必要であると考えております。

 県といたしましては、国に対し、さまざまな機会を捉えて本県農業の復興・再生につながる改革となるよう要請してまいります。

 次に、福島県海域における魚介類の放射性物質濃度につきましては、平成27年1月までに24,438件を検査いたしました。

 このうち放射性セシウム濃度が現在の基準値100ベクレルを超える割合は、平成23年度は34%、平成24年度は13%、平成25年度は2%と低下傾向で、本年度は1月末までの結果で0.6%となっております。

 次に、魚介類の検査機器の開発状況につきましては、現在複数のメーカーが漁協等の協力を得て、魚の種類や大きさごとに測定値を更正するためのデータ収集や検体の処理が従来よりも簡易な方法で測定が可能となる機器の開発に取り組んでいるところであります。

 次に、漁協の自主検査体制の強化につきましては、これまで簡易分析器の配備や検査マニュアルの作成、漁協職員への検査技術講習会の開催などに取り組んでまいりました。

 今後は県漁連が主催する水産物検査体制等検討部会の結果を踏まえ、魚種や水揚げ量の増加に対応した人員や検査機器の配置等、効率的な検査体制の構築を支援してまいります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

  市町村の既設公営住宅へのエレベーター設置につきましては、国の交付金により整備できることから、市町村に対し、県などの事例の説明や整備計画の策定に関する助言を行うなど技術的な支援を引き続き実施してまいる考えであります。

 次に、住宅のリフォームにつきましては、現在木造住宅の耐震改修と空き家の改修に対する補助を実施しております。

 今後ともこれらの利用を促進するとともに、復興需要により不足している工務店や職人等に関する情報を提供するなど住宅リフォームを実施しやすい環境づくりに努めてまいります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 地震、津波に被災した住宅に係る原子力損害賠償につきましては、地震によって建物が倒壊した場合や津波によって建物が流失した場合以外は、地震、津波による損害分を除いた賠償が行われているところであります。

 なお、倒壊または流失した住宅にあっても、家財に係る損害に対し一定の賠償がなされております。

 次に、被災者生活再建支援金につきましては、国への提案・要望活動や北海道東北地方知事会による提言など、これまでも国に対し再三にわたり増額を要望してきたところであり、今後とも被災者の住宅再建が十分に図られるよう、その拡充を求めてまいる考えであります。

子育て支援担当理事(小林武正君)お答えいたします。

 子どもの貧困対策計画につきましては、教育や生活の支援、保護者に対する就労支援などさまざまな観点からの検討が必要であると考えております。

 このため、新年度市町村や有識者から成る懇談会を設置し、計画の策定を進めてまいる考えであります。

 次に、児童虐待の防止と早期発見につきましては、児童相談所と市町村や学校、警察などの関係機関が情報を共有し、連携して対応することが重要であることから、児童相談所において関係機関の連携のための講習や地域の民生児童委員等を対象とした専門研修を実施するなど、関係機関との協力体制の強化に努めているところであります。

 次に、児童相談所の児童福祉司につきましては、今年度4名増員しております。今後とも複雑困難化する相談の動向などに配慮しながら適正な人員配置に努めてまいりたいと考えております。

 次に、保育短時間認定児の延長保育料金につきましては、子ども・子育て支援新制度においても現行制度と同様に、市町村の延長保育事業に要する経費に対し財政支援を行うこととしております。

 次に、保育料の保護者負担につきましては、保護者の所得に応じ、国が定める基準を上限として、市町村が地域の実情に応じて定めることとなります。県といたしましては、引き続き保育所の運営費に対する支援を継続するとともに、多子世帯の保育料の軽減について取り組んでまいる考えであります。

 次に、保育の質の向上につきましては、小規模保育事業の認可は児童福祉法により市町村が行うことと規定されていることから、県といたしましては、保育の質を高めるための施策として、保育士をより多く配置している施設への財政支援や保育士確保のための事業などに取り組んでまいる考えであります。

 次に、病後児保育などの事業化に向けた支援につきましては、市町村では病気の回復期にある児童の保育など子育て支援に関する事業についてのニーズ調査を実施しており、その結果を踏まえた市町村子ども・子育て支援事業計画を策定することとなっております。

 県といたしましては、市町村が計画に基づいて実施する事業を支援してまいる考えであります。

避難地域復興局長(樵 隆男君)お答えいたします。

 コミュニティ交流員につきましては、復興公営住宅100戸に2人程度を配置する方針に基づき、現在福島市、会津若松市、郡山市、いわき市に管理者を含めて13人を配置し、交流行事の企画や自治組織の立ち上げ支援のほか、受け入れている地域との関係づくりに取り組んでおります。

 今後は住宅整備に合わせ段階的に人員体制を拡大し、4,890戸全ての住宅が完成した際には、約100人の体制で支援活動に取り組むこととしております。

 次に、復興公営住宅集会所の備品等につきましては、入居者の自治組織の活動や交流活動を円滑に行うことができるよう必要な物品をそろえていく考えであります。

 次に、避難地域での高齢者のための住宅につきましては、ふるさとに帰還した高齢者が安心して暮らすための住宅が必要との市町村からの声も多いことから、市町村とともに検討してまいる考えであります。

観光交流局長(五十嵐照憲君)お答えいたします。

 復興ツーリズムの受け入れ体制づくりにつきましては、これまでふくしま観光復興支援センターを設置し、視察研修などを行う旅行会社や各種団体等の要望に応じ、震災語り部や視察先との連絡調整、コースの提案等の支援を行ってまいりました。

 今後も福島の復興に関心を寄せる多くの方に福島の現状を正しく理解していただけるよう、受け入れ体制づくりを一層進めてまいります。

病院局長(佐原輝一君)お答えいたします。

 県立診療所の医療従事者につきましては、複数の診療科を予定しているため、医師については県立医科大学や国、関係機関と密接に連携を図りながら、公募も含めたあらゆる確保策を講ずることとしております。

 また、看護師、放射線技師などの医療スタッフについては、県立病院間の異動等により必要な人員を確保することとしており、県立診療所が双葉地域の復興に向け円滑にスタートできるよう取り組んでまいる考えであります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業につきましては、利用実績や関係団体等の要望などを踏まえ、必要に応じて見直しを行ってきたところであり、引き続き子供たちの自然体験や交流活動の機会が確保できるよう取り組んでまいる考えであります。

 次に、震災特例採用奨学資金制度につきましては、県内の各学校において、入学後の個別面談等により生徒の現状を把握し、対象となる生徒一人一人に制度の周知を図っているほか、生徒が広域に避難している状況を踏まえ、全ての都道府県に対し制度の周知を依頼しているところであります。今後とも引き続ききめ細かに対応してまいります。

 次に、給付型奨学金制度の創設につきましては、意欲と能力のある学生が家庭の経済状態にかかわらず安心して学業に専念できる環境を整えるため、国に対して引き続き要望してまいります。

 次に、県立高等学校の学校司書につきましては、いわゆる標準法に基づき、一定規模以上の学校に配置してきたところであり、今回の学校図書館法改正の趣旨を踏まえ、新年度はこれまで配置していない規模の学校の一部に配置することとしており、今後も配置校の拡大に向け努めてまいる考えであります。

 次に、市町村立小中学校における学校司書につきましては、国による地方財政措置について市町村教育委員会に周知するとともに、学校司書を活用した効果的な取り組み事例についての研修会を実施するなど配置が進むよう取り組んでまいります。

 次に、県立学校の図書購入費を含めた維持管理経費につきましては、各学校の規模や設備の状況等を踏まえるとともに、要望等を調査した上で必要額の確保に努めているところであり、今後とも学校を取り巻くさまざまな動向にも配慮しながら予算の適切な配分に努めてまいる考えであります。

警察本部長(石田勝彦君)お答えいたします。

 除染作業等からの暴力団排除につきましては、福島第一原子力発電所・暴力団排除対策協議会現地連絡会のほか、環境省除染事業等暴力団排除対策協議会、18地区の除染事業等警察連絡会等と連携して対策を実施しております。

 県警察としましては、引き続き同協議会等の関係機関や事業者と連携し、暴力団等の事業参入を阻止してまいります。

 さらに、あらゆる法令を駆使した犯罪の取り締まりにより、本県の復興の妨げとなる暴力団等の排除を徹底してまいる考えであります。

38番(宮川えみ子君)再質問いたします。

 まず、生活環境部長にです。汚染雨水流出問題についてです。

 溶け落ちた強烈な放射能を発する核燃料はずっと冷やし続けなければなりませんが、何年続くか見通しはなく、今後とも敷地内からはさまざまな汚染水流出の可能性が続くと思います。

 東電が全くこれまでの反省なしに情報を隠したり、国の規制委員会がその役割を果たせなかったら、福島の復興はありません。漁業の再開、風評の払拭、避難者の帰還、全て問題が進みません。

 福島民報の社説のように、収束と廃炉を直接担う国の組織の設置、担当能力のない東電の解体と資産処理も含めた法規制を求める時だというのも当然だと思います。

 タンク作業で死亡事故を起こしたときの田中委員長の発言などを見ても、東電はもちろん、国は「放射能で海を汚さない」、そういう観点に立っていないのではないかと思います。もっと国が役割を果たすように、原子力規制委員会が役割を果たすように県は求めるべきだと思うのです。

 指導監督が徹底されていないからこういう事態が起こるのです。もっと遠慮しないで県はちゃんと国に言うべきだと思うのです。再答弁をお願いします。

 それから、排気筒の問題も、そんなことを断定的に言っていいのですか。もっと検証すべきだと思いますが、これも質問します。

 それから、労働者の割り増し賃金です。「払っている。」、「もらっていない。」、こういう事態なのです。それをそのままにしておくなんてとんでもないと思います。このことについてもきちんと申し入れをして徹底すべきだと思います。

 それから、知事に再質問させていただきます。

 知事が就任早々、避難者を訪問して対話を重ねてきていただいたことは大変よかったと思います。さまざまな要望もあったかと思います。私どもも5年目を迎える今日、さらに避難者の皆さんと対話を重ねてきました。本当に千差万別です。

 また、避難者といっても、解除されてしまうと自主避難者になってしまって、何の支援もなくなっていくという、そういう問題もあるのです。原発の推進政策で、そしてこういう事故が起こされた。国の安全神話のもとで起こされたのです。

 ですから、知事がこういう思いをいろいろ聞いていただいて、そして知事の提案で国にどんどんいろいろな政策を実施させるような法制化も含めてやっていただく時だと思うのです。

 それで、知事の思いをどういうふうに具体化するのか、また、対話の機会を今後ともどのように持っていくのかお尋ねしたいと思います。

 それから、保健福祉部長ですが、介護人材問題では本当に深刻です。30人以下の中規模施設と言われる老人の施設については市町村が把握しているわけです。これも合わせると本当に大変な実態なのですよ。

 ですから、国に求めているということは、これはもちろん当然で、一生懸命やっていただきたいのですけれども、原発事故によってこういう事態が物すごく深刻になってきているということは誰の目にも明らかなのです。これも県独自の対策を当面やりながら国に求めていただくということが大事だと思います。

 それから、福祉灯油についてですが、避難者を多く抱えた福島県でこそ求められると思うのです。平成19年と平成20年で実施したのですね。数千万円です。1億円にも満たない金額なのです。東北では、各県本当にいろいろやっています。私は福島県こそやるべきではないかなと思いますが、再質問させていただきます。

知事(内堀雅雄君)宮川議員の再質問にお答えいたします。

  避難者への支援につきましては、避難されている皆さんが一日も早く安心して生活を送れることが何よりも大切であると考えております。

 このため、今後とも避難者の皆さんとの対話を継続するとともに、新年度においては生活支援相談員や復興支援員を大幅に増員し、避難者へのきめ細かな対応に努めるなど帰還や生活再建につながる取り組みを着実に進めてまいります。

生活環境部長(長谷川哲也君)再質問にお答えいたします。

 まず、原子力規制委員会についてでございますが、汚染水対策を初め廃炉に向けた取り組みを安全かつ着実にする、これが福島の復興の大前提でございます。

 これまでも現場を含めた監視体制等も含めて、強化につきましては繰り返し求めてきたところであります。
 専門的な見地から、東京電力の指導監督をさらに徹底するよう引き続き求めてまいる考えであります。

 次に、1・2号機の排気筒につきましては、東日本大震災と同程度の地震が再度発生した場合の耐震安全性についての評価は終わってございますが、新規制基準に基づく耐震評価につきましては、基準地震動の評価も含めて検討を進めているということでありますので、それらの状況につきましてしっかりと確認をしてまいる考えであります。

 それから、労務費割り増し分につきましては、東京電力において元請企業等へのヒアリングにつきましては現在も継続して実施をしております。

 2月の廃炉安全監視協議会の部会におきまして、これまでの結果等について報告を受けたところでありますけれども、今後も継続しているそれらの結果について引き続き確認をした上で、労務費割り増し分が適切に支払われるよう引き続き求めてまいる考えであります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)再質問にお答えいたします。

 一つは、介護人材不足の問題でございます。これは、県としても御指摘のとおり深刻に受けとめております。これまでも新採用職員の住宅の確保手当であるとか、就職に当たっての支援準備金であるとか、研修に行く方の代替職員の支援であるとか、ある意味あらゆる方策を講じてきていると言ってもいいくらいさまざまな手段は講じてきております。

 このたびは、中高生に職場体験をしていただいたり、あるいはロボットなどで環境改善ができるところはまたそういった努力もしたりということで、県民の皆様の理解を広くいただきながら人材の裾野も広げていこうということで、あらゆる努力をしつつ、御指摘の原発事故に伴う部分につきましては、引き続き国に求めるべきものは求めていきたいと考えております。

 それからもう一点、福祉灯油につきましては、現在のところ店頭価格については落ちついているのかなというふうに認識をしておりますが、引き続き価格動向、それから市町村、他県の動向などにも注意を払ってまいりたいと考えております。

38番(宮川えみ子君)再々質問させていただきます。

 生活環境部長ですが、本当に県民の声をどう聞いていらっしゃるのかなと思います。何となく緊迫感がないというか、物すごく心配して怒っています、漁業者だけでなく。

 原子力規制委員会、国にどんなふうにこのことについて求めているのかなと思います。この問題について、原子力規制委員会、国が役割を果たしていないと私は思うし、県民も多く思っているのですが、このことをどういうふうに伝えているのかなということで、もう一度答弁をお願いします。

 それから、教育長に質問させていただきます。

 高等学校の維持管理費についてなのですが、適切に配分という言葉は日本語としてとても抽象的です。維持管理費の中に図書経費も入っているのです。ですから、どうしても購入のほうに回っていかないのです。せっかく国のほうが全会派一致して読書を推進しようという時なのですから、そういう努力が見えるようなことが必要だと思うのです。

 私は、維持管理経費がぎりぎりで図書費に回らないという実態は改善すべきだと思うのです。そのことについてもう一度答弁をお願いします。

 それから、図書館司書の問題ですが、心を育てるということは今とても大事です。原発で先ほどいろいろ述べましたけれども、いろんな面で心の問題もすごく大事だと思うのです。そういう福島県だからこそ、他県に先駆けてこの問題、市町村への支援をやったらどうかなというふうに思うのです。

 少し前ですけれども、商労文教常任委員会で島根県に視察に行ったときは、県が費用の負担をしながら全県の小中学校に図書館司書を配置していたのです。やり方はいろいろありました。パートの人もいましたし、親たちの支援をいただくということもありました。でも、何か実質的な支援を市町村に進めていくということで、この学校図書館に注目がいくのです。

 ですから、学校も子供たちも親たちも地域も、今後学校図書館にいろいろ注目がいくというふうな形にしていくためにも、市町村への図書館司書の配置について、具体的に配置する人員への支援、そういう方法も求められていると思うのですけれども、もう一度市町村の学校への図書館司書の配置のための支援についてお尋ねをしたいと思います。

生活環境部長(長谷川哲也君)再質問にお答えいたします。

 原子力規制委員会につきましては、現場を含めた監視体制を強化するとともに、東京電力の指導監督をさらに徹底するなど、汚染水対策を初めとする廃炉に向けた取り組みが安全かつ着実に進められるよう引き続き求めてまいる考えであります。

教育長(杉 昭重君)再質問にお答えします。

 まず、1つ目の県立学校の維持管理経費についてですが、必要な額は確保しているものと認識しておりますが、なお今後とも学校の要望等を踏まえながら教育環境の整備に努めてまいりたいと思います。

 また、各学校の維持管理費の状況につきましては、数回にわたりまして年間所要見込み額の調査等によりまして把握をしているところでございます。

 2つ目の市町村立小中学校における学校司書でございますが、県立の場合と違いまして、県の支援としては、国による地方財政措置の周知、それからどのような学校図書の活用法をしているか、具体的な効果的な事例、また司書の研修会、そういうものを通じて市町村を支援していきたいというふうに思っております。

副議長(青木 稔君)これをもって、宮川えみ子君の質問を終わります。

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