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2015年2月定例会 代表質問 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年6月11日更新


宮本しづえ議員

議員

宮本しづえ

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成27年2月
質問等代表質問
質問日2月25日(水曜日)

 13番(宮本しづえ君)日本共産党の宮本しづえです。日本共産党県議団を代表して質問を行います。

 ことしは戦後70年、被爆70年、そして大震災と原発事故から間もなく5年目を迎えます。先日、共産党県議団が懇談した大熊町から会津若松市に避難している仮設の避難者は「自分たちの要望は既に町や県や国に上げているのに、答えが返ってこない。」といら立ちの声が聞かれたように、被災県民にとっては再建の展望が開けないままに4年が過ぎてしまったとの思いが募っています。

 そうした被災者を置き去りにして、安倍政権は暮らし、なりわい、雇用破壊、憲法も壊す暴走政治を突き進み、福島の原発事故も終わったことにして、県民の願いとは大きくかけ離れる原発再稼働に突き進もうとしています。今福島県政に求められているのは、安倍政権の暴走にストップをかけ、被災県民に寄り添い、一人一人の生活となりわいの再建のために国と東電に加害者責任を果たさせるために全力を尽くすことです。この観点から以下質問いたします。

 第1に、第3次安倍政権と県予算についてです。

 昨年の総選挙で第3次安倍政権が発足しました。政権与党の自民党の比例の得票率は33%、福島県内では30%に過ぎないのに、議席では291と絶対多数を占めました。これが小選挙区制によるマジックです。投票数の48%が死に票となった選挙制度が国民主権、議会制民主主義の根幹としてふさわしくないことは誰の目にも明らかです。

 虚構の多数を頼りに安倍政権が進める消費税増税、アベノミクスの経済政策、憲法改悪、原発推進、沖縄新基地建設の重要全課題で国民多数の意思を無視する国民不在の政治に対して、悪政の具体化を許さず、地域住民の命と暮らしを守る防波堤としての地方自治体の役割発揮が強く求められています。

 安倍政権と正面から対決し、国民の立場で対案を示し、保守の皆さんとも共同を進めてきた共産党が議席を2.6倍の21議席に躍進、議案提案権を得ることができました。日本の政治の衰退を招いた要因の小選挙区制とあわせて、政党助成金の問題も注目されており、日本共産党は通常国会開会初日に政党助成金廃止法案を衆議院に提出しました。廃止を求める国民世論と結んで成立に全力を挙げます。

 政府の新年度予算案が提出されました。この予算案は、歳入面では、法人税を2年間で1.6兆円減税する大企業減税の一方で、そのツケは国民に回され、消費税が税目では最多額になりました。歳出面では、国民生活犠牲で手当たり次第の社会保障切り下げです。新たな制度改悪によるものだけでも、自然増分を1千7百億円も削減するものです。一方、軍事費は過去最高額となり、国民の負担で大企業に奉仕し、貧困と格差を拡大し、海外で戦争する国づくりへの暴走を加速する予算です。

 県政はこのような国民生活破壊を許さず、地方自治の本旨である住民の福祉の向上、県の復興計画が目指す日本一子育てしやすい県、日本一長生きの県づくりを目指して、国の悪政から防波堤の役割を果たすとともに、県民が主人公の自治体らしい県政、福祉型の県政をつくることが求められます。

 県の新年度予算案は、一般会計で過去最高となる1兆8,994億円となり、復興関連予算が1兆円を超えました。この予算が被災県民、避難県民にとって希望が見えるものになっているかどうかが問われます。共産党県議団は、県民の暮らしとなりわいの再建、人間の復興こそが本県復興の土台だと考えますが、予算案で強調されたのは、復興を進めるための拠点施設の整備に重点配分したことです。県が整備する研究開発拠点施設の整備費について、新年度予算案計上額と現時点における整備費の総額を示しください。

 大きな2つは、原発事故にかかわる問題です。

 安倍政権の暴走は原発政策でも顕著です。その基本はエネルギー基本計画に基づき、福島の原発事故は終わったことにし、全国の原発再稼働、輸出に突き進むことです。

 安倍首相は、総選挙の第一声を相馬双葉漁協で上げ、いつ本格操業できるのかの展望すら見えない漁業者や地域住民に向かって「この相馬は違うが、まだ12万人余の県民が避難生活を送っている。」と述べ、被害は避難指示区域と避難者に矮小化しようとする意図をあからさまにしたのです。福島の現状は本当に終わったことにできる状況なのでしょうか。

 そこで、福島原発被災県を取り巻く状況、基本認識についてです。

 大震災と原発事故から4年近くが経過した県民の実態は、今なお12万人近くの避難者がふるさとを離れ、不自由な避難生活を続けています。事故原発は今も非常事態を脱しておらず、事故は収束どころか、汚染水処理期限を延期せざるを得ないトラブルが続出で、問題山積なのに有効な対策が打てていません。

 しかも、本日の報道でも明らかなように、1年前から外洋に汚染水が流れていたにもかかわらず、この実態を公表すらしてこなかった、こういう問題が明らかになっているではありませんか。

 作業員の事故が相次ぎ、この1年間だけでも3人が死亡する重大事故が発生しました。災害関連死はふえ続けており、1月末現在で1,862人と、災害直接死1,603人を大きく上回っています。災害関連死が他の被災県と比較しても際立って多いところに原発被災県特有の問題があり、避難者最高時の16万人の1%を上回る数の関連死が起きているということです。

 県民が置かれた深刻な事態を置き去りにして、原発再稼働と一体で進めているのが安倍政権の「福島切り捨て」の強行です。昨年末、唯一残されていた南相馬市の特定避難勧奨地点の避難指示解除、住民の反対を押し切って、最後の説明会からわずか1週間後に強行しました。そのため、精神的賠償はことし3月末で打ち切られることになるのです。

 商工業等の営業損害賠償も、避難地域でも5年で打ち切るとの国と東電の素案なるものが示されました。また、中間貯蔵施設設置予定地の地権者の同意がないままストックヤードの建設業者を決定し、中間貯蔵施設への搬入予定時期を3月11日までと明言し、地権者、住民の心情を逆なでしたまま事を進めています。これら全体が福島の事故を終わったことにさせたい国と東電の思惑のもとで起きていることは明らかではないでしょうか。

 知事は「原発事故による被害は継続している。」との認識を示していますが、安倍政権は原発推進政策を強行し、被害に苦しむ県民が置かれた深刻な事態を置き去りにしようとしているのです。「福島切り捨て」とも言うべき安倍政権の姿勢を知事はどのように受けとめているのか、基本的な認識を伺います。

 2つ目は、事故収束のための取り組みについてです。

 相次ぐ重大事故が起きているにもかかわらず、原発事故収束作業を国は東電任せ、東電は下請任せの姿勢が改まっていないことは重大な問題だと思います。県もこの間一貫して求めてきたように、国家の非常事態として国が前面に出て責任を持って収束作業に当たる、文字どおり国家的プロジェクトとして取り組むための体制づくりが必要と考えるものですが、県は現状をどう認識されているか伺います。

 3つ目は、再稼働を許さない県の姿勢を示すことについてです。

 福島の原発事故を終わったことにする国の動きと全国の原発の再稼働は一体の問題であるとの認識に立つことがきわめて重要だと思います。福島の原発事故による被害の現状を見れば、一旦爆発事故が発生し、放射能がまき散らされれば、時間的にも空間的にも社会的にも異質の危険をもたらすのが原発事故であることが日々証明されています。汚染水対策も思うように進まず、安倍首相のオリンピック誘致のための「汚染水はコントロールされている。」との発言は完全に破綻しているではありませんか。

 人類のあらゆる知見を結集すべき人類未踏の事業なのです。原子力規制委員会が事故の収束の責任を曖昧にし、事故が起きた日本の安全基準は世界一などと言い張る態度は、被災県民は到底認められるものではありません。福島の原発事故は、日本国民はもとより、人類がこのような被害を及ぼす原発と共存できないことを示しているのではないでしょうか。

 共同通信が行った調査では、原発から30キロ圏内の13市町村のうち10市町村が再稼働は容認しないと回答しています。県はこの調査には無回答でした。「福島の実情を発信し続ける。」と言明する知事は、この福島の深刻な被害の実態を踏まえて、全国どこでも原発の再稼動はあり得ないし、許されないとのメッセージを発信し続けるべきではないでしょうか。知事の基本的な認識を伺います。

 安倍首相も東電も、オール福島の要求である県内原発全基廃炉に対して、今もって福島第二原発4基の廃炉を明言しないことはとんでもないことです。国は東電任せではなく、国の被災県民に対する責任として決断すべきであり、県は強い決意で国に求めていかなければなりません。県の決意をお聞かせください。

 4つ目は、賠償問題についてです。

 国と東電は昨年末、商工業等の営業損害賠償を基本的に5年で打ち切るとの素案を示しました。避難区域では来年2月までの5年、避難区域外は今月末までの4年とし、あとは相当因果関係があるかどうかで可否を判断するというものです。

 これが賠償全体の打ち切りの突破口にされる可能性が高いこと、県内経済に及ぼす影響が甚大であり、本県復興の最大の障害になるという意味で極めて重大であり、原発事故の加害者としての責任放棄そのものです。加害者主導で進められようとする賠償打ち切りに対して、これが「福島の復興なくして日本の復興はない。」と言ってきた国のやることなのかと怒りの声が上がっています。

 まず、原発事故による商工業等に係る営業損害について、東電から賠償を受けた県内の事業者数と支払い総額をお聞かせください。

 1月16日、福島県復興共同センターは、国、東電を相手に素案の撤回を求める交渉を行い、参加者からは激しい怒りの声が上がりました。避難区域のある事業者は「十数回避難場所を変え、今もっていつ帰れるのか見通しが立たない中で賠償打ち切りは絶対に認められない。」また、ある業者は「双葉町で事業を再開したいと希望を持って今まで生きてきた。しかし、いつ双葉に戻れるのかわからない。なぜ賠償を打ち切るのか。」と怒りの発言が相次ぎました。

 国と東電は、この交渉の席で何を根拠に素案をつくったのか示すことができず、担当の企画官は参加者の厳しい追及の前に「私もこの素案ではやれる自信がない。」と言わざるを得なかったのです。

 国は「賠償の中間指針第2次追補を参考にした。」と説明、指針では「賠償は基本的には対象者が従来と同じまたは同等の営業活動を営むことが可能となった日までとすることが合理的」としています。

 交渉の中で、国は「この基本方針を変えるものではない。」と回答しました。そうであるなら、3月以降の賠償は継続すべきなのです。さきの国会答弁でも、文科省は「指針では終期は決めていない。」と述べました。

 県は今回の素案と賠償指針との関係をどのように受けとめているか、認識をお聞かせください。

 南相馬市の商工会議所が行ったアンケートでは、「賠償が打ち切られた場合どうするか。」の質問に、2割の事業者が「倒産か廃業するしかない。」と回答、小高区の商工会は「国から痛いお年玉が来た。」と痛烈な皮肉を述べました。

 避難区域内の事業者のうち45%は事業再開できていませんし、避難区域外でも、例えば会津の教育旅行は県外からは3割程度しか回復していないなど全県で被害は続いており、賠償が継続しているからこそ事業が継続できているのが実態です。

 商工業等への賠償打ち切りが本県の商工業者等を倒産と廃業に追い込み、地域経済を崩壊の危機に陥れることは明瞭ではないでしょうか。県内の各商工等の団体が相次いで撤回や見直しを求める要望書を国と東電に提出しています。

 県の損害対策協議会も今月4日、国と東電に対して申し入れを行い、到底納得できるものではないと賠償の継続を求めましたが、この問題での県の取り組みは率直に言って不十分だと指摘しなければなりません。県が行ったのは、商工団体から意見を上げてもらい、それを国に伝えるトンネルの役割を果たしただけではなかったのか。本県復興をさらに困難に陥れる大問題として捉える観点が不十分ではないでしょうか。

 私は改めて県の原子力損害対策協議会の全体会を開催し、商工業等の賠償打ち切りが被害県民全体にかかわる問題として認識を一致させることが重要だと考えますが、県の考えを伺います。

 避難指示の有無にかかわらず、営業被害がいつまで継続するか、現段階で推しはかれるものではなく、要望書でも述べているように、長期的な視点で対応しなければなりません。県として打ち切り素案の撤回を求めるべきです。県の考えをお聞かせください。

 就労不能損害の賠償も今月末で終了扱いにされているため、福島労働局は相談窓口を設置したと報道されました。事業所が再開できないため就労できずにいる労働者は多数に上ります。大熊町の避難者は、仮設に入ったままで新たな仕事先を見つけようとしても、住所が定まらない人は雇いたくないと言われるなど、再就職も困難な状況に置かれているのだと、そういう実態だと話してくれました。就労不能損害賠償も打ち切りではなく継続を求めるべきです。県の考えをお聞かせください。

 今全県で原子力損害賠償紛争解決支援センター、いわゆるADRへの精神的損害賠償を求める集団申し立ての運動が広がり、その規模は4市3町村12地域、2万2千人、うち自主避難区域が4市1町、6千人に上ります。この運動はさらに広がる可能性があります。

 これまでの賠償に県民が納得していないばかりか、日々こうむっている精神的被害に対する真っ当な賠償を求めていることのあらわれです。川内村の住民は「村がやらないから自分たちでやるしかない。」と語っています。全県民が被害者と言ってきた県は、泣き寝入りしないと立ち上がった県民の戦いを積極的に支援すべきです。考えをお示しください。

 浪江町民の申し立てに対してADRの和解案が示されても、今もって東電は受け入れを4回続けて拒否し続けていることは許されないと思います。県はどのように対応する考えか伺います。

 原子力損害賠償紛争審査会の能見会長は、先月避難指示解除後の賠償打ち切りまでの相当期間を指針どおり1年とする考えを示しました。田村市都路地区は3月末で、川内村は9月末でそれぞれ精神的損害賠償が打ち切りとなってしまいます。都路地区は1年近くたっても半分以下の住民しか帰還していない実態からも、避難指示解除後1年での賠償打ち切りの指針の見直しを強く求めるべきです。考えをお示しください。

 賠償打ち切りが出てくる背景には、原子力損害賠償支援機構法と東電の特別事業計画があります。東電は助けるが被災事業者、県民は切り捨てるというものです。

 大手銀行、電力事業者、電気業界、ゼネコン等の利益共同体の上位100社が持つ内部留保の合計額は80兆円を超します。東電の賠償金総額見込みが5.8兆円であり、十分な財源確保が可能となるのです。改めて東電を破綻処理し、原発利益共同体に負担を求め、完全賠償を実現するよう国に求めるべきですが、考えを伺います。

 原子力災害被災地域の12市町村における税の申告、納付等の手続期間が今年3月末日で終了することから、一括納付を求められる事業者等が多数出てきます。3割とも言われる一括申告者が多額の納税を求められ、事業再建にとっても障害になることが危惧されます。

 そこで、徴収猶予制度などの周知を図っていく必要があると思いますが、県の考えを伺います。

 あわせて、改めて賠償金の非課税を国に求めるべきです。県の考えをお示しください。

 5つ目は、中間貯蔵施設設置に関する問題についてです。

 国は除染等で出た放射能汚染廃棄物の最終処分場問題を先送りし、中間貯蔵施設の地権者との用地交渉でも加害者としての誠意を示さず、同意がないのに環境大臣が汚染土壌の搬入時期を明言するなど、国の言動は常識ではあり得ないことばかりです。

 この国の無責任な態度が地権者の気持ちを逆なでし、この事業に困難を持ち込んでいることは明らかです。県は搬入の受け入れを表明しましたが、地権者との合意が成立していないもとで保管場工事に着手をしたことは許されないと県の毅然とした姿勢が求められていたと思います。県の考えを伺います。

 中間貯蔵施設設置受け入れに当たり、国が拠出するとした交付金3,010億円は、県民の要望にどのように応えるものになるのかお答えください。

 また、県が独自に大熊・双葉両町に出す立地町地域交付金150億円はどのように使われる見通しなのか伺います。

 6つ目は、除染についてです。

 放射能は自然低減で物理的には半分程度まで下がっています。同時に、ウェザリング効果で1度除染したところでも新たなホットスポットが出現するなど、年間1ミリシーベルト以下まで低減させるには多様な課題が山積しています。

 市町村が実施する住宅除染の到達は、昨年12月末の実施戸数で全体計画の39.5%にとどまっています。国直轄除染では到達すら明らかではありません。こうした現状を踏まえ、除染を待ち望んでいる県民の要望に早期に対応することが求められています。

 その中で、除染にまつわる事業者や作業員への未払い問題が各地で起きています。原発の多重下請構造が除染事業にも起きており、5次、6次の多重下請の実態があり、中には暴力団と思われる業者が介在する事例もあり、下請業者が予定価格の半分以下の事業費で請け負わされている現実があるのです。

 市町村除染について県は発注者任せでなく、下請事業者の代金や作業員の賃金が適正に支払われるようにすべきと思いますが、県の考えをお聞かせください。

 7つ目は、被災者の支援についてです。

 避難の有無にかかわらず、時間の経過とともに被災者の悩みも要求も変化複雑化し、深刻化しています。一人一人の被災県民に寄り添うきめ細かな支援がますます重要になっているのです。

 そこで、改めて被災者一人一人がどんな悩みを抱え、どんな問題に直面し支援を求めているのか、少なくとも避難者については一人一人明らかにする避難者カルテのようなものをつくるべきではないかと思います。県の考えを伺います。

 県は、仮設住宅や復興住宅入居者の支援員を200人から400に増員するとしていますが、見回り中心のこれまでの支援では対応できなくなっているのではないかと思います。総合的に問題を捉えて支援できる専門員を配置する体制をつくるべきではないかと考えます。

 そこで、生活支援相談員の増員に当たりどのような体制づくりを考えているのか、県の考えを伺います。

 川内村の仮設の自治会長さんからは「自分たちは復興公営住宅にも入れず行く場所がない。仮設の入居期間を延長してほしい。」との要望書をいただきました。2016年3月までとされている仮設住宅の入居期間をさらに延長すべきですが、県の考えを伺います。

 避難指示解除地区住民向けの公営住宅を整備する市町村も出てきています。国による線引きにかかわらず、全ての避難者が希望すれば復興公営住宅に入居できるようにすべきと昨年の12月議会でも申し上げました。避難が長期化するもとで、現在の避難地域で生活再建を希望する避難者も増加しています。借り上げ住宅を復興住宅に準じたみなし復興公営住宅扱いすることで避難者の要求に沿った制度設計が求められていることを指摘しておきます。

 避難指示解除後も避難継続する仮設住民からは、生活支援を求める切実な要望が寄せられています。原発事故被災者を支援する法的裏づけとなるのが福島復興再生特措法及び子ども・被災者支援法ですが、被災者にかかわることは子ども・被災者支援法で対応する枠組みとされたために、実際には被災者が抱える問題がなかなか解決しないという状況があります。

 県が昨年11月に国に求めた福島復興再生特措法改正に当たっての要望事項には、被災者の支援を求める観点は希薄です。県がこれまで述べてきたように、県民全てが被災者であるとの立場を確認した上で、私は福島復興再生特措法改正の中で被災者を支援するための現行制度上の不備を補う支援策を盛り込ませることが必要ではないかと考えます。県の見解を伺います。

 8つ目は、避難解除に向けた飲料水の確保についてです。

 避難指示解除準備区域の避難指示解除を予定している自治体にとって、帰還を希望する避難者のライフライン確保は帰還の希望につながる重要な課題となっており、生活用水、中でも飲料水の安心・安全の確保は急務です。住民の間から「木戸ダムからの飲料水確保は不安だ。」との声が出されています。双葉地方広域水道企業団が木戸ダムを水源として供給する水道水について、安心・安全を確保するため県はどのように対応していくのかお聞かせください。

 これまで沢水を飲料水として利用していた地域では、新たな安全な水源確保が不可欠です。現在、避難指示区域内のある市町村において、東電は希望する住民に1世帯1本の深井戸を掘る現物賠償を行っており、工事は一般社団法人福島県さく井協会加盟の事業者でつくる共同企業体が実施しています。

 県内地元の事業者が安全で安定した生活用水が確保されるまで責任を負うことで住民の安心感、信頼も増し、事業費は地元で循環し、地域経済への波及効果も生まれます。その費用を東電が負担するのは当然です。

 そこで、避難指示解除後に帰還する住民が安心・安全な飲料水を確保するための新たな井戸の掘削工事について東電が全て賠償するよう求めるべきであると思いますが、県の考えを伺います。

 9点目は、再生可能エネルギー先駆けの地にふさわしい取り組みについてです。

 県は2040年までに本県で使う全エネルギー相当分以上を再生可能エネルギーにより生み出すという意欲的な目標を掲げ、短期的にはアクションプランに基づき具体的施策を進めていますが、現在の再生可能エネルギー導入状況をお聞かせください。

 地球温暖化対策は文字どおり待ったなしの緊急課題です。本県は原発の増設とともに供給電力を調整するため、1990年以降6基もの火力発電所を増設し、CO2排出量が全国でも突出して増加し続けてきた県です。CO2の排出量は直接排出量でカウントするのが世界の常識ですが、本県で発電した電力は首都圏で消費されるため、県内CO2排出量から火力発電所の分はカウントされず、異常な増加は隠されてきたのです。この反省に立って温暖化対策に取り組む必要があります。

 イノベーション・コースト構想には、新たに4基の火力発電所の建設計画も位置づけられています。東京に本社がある石油資源開発が相馬市に出力60万キロワット2基で120万キロワットのLNG使用の火力発電所を、また東京電力が広野、勿来に各50万キロワット級の高効率石炭火力発電所を建設、合わせると220万キロワットの火力発電所が建設される計画です。ここで発電されたものは首都圏に送電されます。再生可能エネルギー先駆けの地を掲げつつ、一方では大型火力発電所増設で大量のCO2を排出するというのは、明らかな政策的矛盾ではないでしょうか。

 2014年のIPCC第5次評価報告は、温暖化対策として石炭火力発電からの転換を決定的な問題として指摘しています。燃料を高効率の石炭にするとはいえ、首都圏への遠隔送電によって約半分の電力が失われることを考慮すれば決して高効率とは言えません。CO2排出量もこれまでの石炭と比較してわずか15%程度しか削減が望めず、総排出量が増加するのは明らかです。

 これまで首都圏の電力供給地だった福島県が原発事故の被災から復興するためにまた首都圏の電力供給地となり、大量のCO2を出し続ける、これで本当に再生可能エネルギー先駆けの地と誇れるのか、県のエネルギー政策の根幹が問われており、計画の見直しを求めるべきと考えます。県の見解をお示しください。

 NPO全国気候ネットワークは高効率石炭火力発電計画に対して、CO2排出量は削減効果がわずかでありLNGの2倍になると指摘し、計画に反対の意見書を提出しています。県はこの意見書をどのように受けとめているかお聞かせください。

 先駆けの地とは単に数値だけの問題ではなく、内容でも県民参加、地域主導の取り組みが重要です。そのためには地元事業者を育成するなど先駆けにふさわしい取り組みが求められます。県は地域主導の再生可能エネルギー導入をどのように推進するのか伺います。

 10点目は、浜通りの復興とイノベーション・コースト構想についてです。

 県は、浜通り復興のエンジンとしてイノベーション・コースト構想を位置づけ、福島復興再生計画にも位置づけるとしています。この構想では「一番御苦労された地域が一番幸せになる権利がある。」と述べていますが、私はふるさとを追われ一番苦労されている住民の皆さんが暮らしとなりわいを取り戻せるようにするための浜通り地域再生計画こそ策定されなければならないと考えます。

 浪江から避難する仮設の自治会長さんは「イノベーション・コースト構想の図面を見せられたが、結局は箱物づくりだと思った。自分たち避難者のための事業ではないと感じた。」と述べ、大熊町から避難する会津の避難者も「あの計画は東電のための計画だ。避難者のためと町は言わされているにすぎない。避難者のことは置き去りにされているとしか思えない。」と同じ感想を述べていたことは象徴的でした。

 戻る住民は半分以下になると想定し、そこに新たな住民を呼び込むためのさまざまな事業が計画されているのですから、避難者のためではないと受けとめられても仕方ありません。原発事故収束、廃炉のためのロボット開発が必要なのは当然ですが、開発計画先にありきではなくて、地域住民とじっくり話し合い、避難している住民の要求に基づき必要な事業計画をつくるという手順を踏むことが大事ではないでしょうか。

 阪神大震災で復興事業に取り組んだ神戸で行政主導で進められたまちづくりが結果として失敗した事例が報道されていました。遠回りするようでも住民とじっくり時間をかけてまちづくりについて話し合って事業を進めた地域が結果としてみんなが住みやすいまちとして発展していることを教訓として導き出すべきです。

 知事は知事選でも目玉の事業として公約しました。計画書を見ただけでもロボット研究産業集積を中心に膨大な事業が盛り込まれていますが、いまだにこの事業の全体像は明らかではありません。

 そこで、新年度予算に組まれたイノベーション・コースト構想関連事業費の総額をお示しください。

 国が中心になって進めるこの構想が被災者の人権の回復、生活となりわいの再建、被災地域社会の復旧・復興が最大の課題であるとの位置づけが明確でないことは、この間の国と東電による一方的な被災者切り捨ての具体化で明らかです。結果として被災者置き去り、地球温暖化にも逆行し、大企業、財界主導の呼び込み型、箱物づくりの復興で、大企業の利益追求のための新産業育成となりかねないと危惧するものです。

 まず、被災者の生活となりわいの再建に十分な予算措置を行うことです。あわせて、浜通りの復興は上からの押しつけであってはなりりません。現在国主導でイノベーション・コースト構想の具体化が進められていますが、私は地元自治体と住民が主体となり、専門家のアドパイスを受けながら検討が進められるよう支援するのが県の役割だと思います。県の考えを伺います。

 11点目は、多様な県民ニーズに対応するための職員体制の拡充についてです。

 自治労が被災3県の自治体職員に行ったアンケート調査により、福島県内自治体のストレスによる精神的異常を訴える職員の割合が他の2県と比較しても高く、通常の3倍近くになっている実態が明らかになりました。復興は道半ばどころか始まったばかりという現状を踏まえ、4年間の慢性的な職員不足を解消するための抜本的な職員増をあらゆる分野で進めるべきです。この点は我が党が繰り返し県に求めてきたことですが、さらなる増員について県はどのように考えているのかお聞かせください。

 大きな3点目は、安倍政権の暴走政治の具体化を許さない取り組みについてです。

 その1つは、消費税増税を中止させることです。

 昨年4月からの消費税率8%への増税が既に県内事業者に塗炭の苦しみを与えています。ある事業者は「8%になり、売り上げは大きく落ち込んでいる。年末の書き入れどきでも回復しない。いつまで商売が続けられるのかの瀬戸際にある。」と述べています。円安による輸入原材料の値上がりと消費税増税のダブルパンチで、ことし3月末の消費税の申告納税時に倒産に追い込まれる事業者が出ることは必至と言われているのです。

 本県財政にとっても消費税増税による負担増は大きく、通年ベースの県試算では、地方消費税で県に入る額は約330億円、一方県事業により支出される消費税分は480億円となり、支出の方がはるかに大きく県財政を圧迫しています。

 総選挙後に行われた世論調査でも過半数の国民が「10%に増税すべきではない。」と答えており、安倍政権の方針が支持されたわけではないのです。県は復興を阻害し、県民生活を一層困難に陥れる消費税増税は中止を国に求めていくべきです。考えを伺います。

 2点目は、アベノミクスによる不況と格差拡大にストップをかけ、県民生活を守り、真の地域再生を進めることです。

 安倍首相が新年度の目玉に位置づける地域創生は、アベノミクスを地方に波及させることだと説明していますが、国民は生活にゆとりがなくなった、景気は悪くなると答えており、アベノミクスによるトリクルダウン経済は既に破綻しています。

 昨年12月に発表されたOECD報告書は「格差拡大政策では経済成長はできない。トリクルダウンという考え方は誤りだ。」と分析し、トリクルダウン経済からの決別をと指摘しました。長年の自民党政治こそ地方を衰退させ、少子化を招いた元凶であり、消費税増税、社会保障切り捨て、格差拡大、TPP推進、中小企業と農業切り捨てのアベノミクスが地方の衰退を一層加速させることは明かであり、この道を転換してこそ真の地方再生につながるものと考えます。

 そこで以下具体的に伺います。

 貧困を増大させた最大の問題である雇用政策についてです。

 国は働き方の改革と称して、残業代ゼロ制度や限定正社員の導入、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へと大胆に転換することを掲げ、新年度予算で国が補助金を使ってリストラを応援することは許されません。最低賃金引き上げのため中小企業を支援する環境整備費を盛り込んだものの、生産性の向上によって賃金を引き上げた場合の経費補助であり、直接助成ではありません。

 全労働者に占める非正規雇用の割合は年々増加し、38%を超えました。勤労者の年間平均賃金は1997年の467万円をピークに、2013年には414万円まで低下、年間一人当たり平均53万円も減少しています。

 年収200万円以下の労働者が8年連続で1千万人を超え、貯蓄ゼロの世帯は31%に上ります。低賃金不安定雇用労働者を大量に生み出したことが貧困を一層深刻化し、格差を拡大したことは明かです。

 ところが、安倍政権は派遣から正規雇用に切りかえる歯どめをなくす労働者派遣法の改悪案をまた国会に提出、派遣労働を拡大固定化しようとしていることは重大です。子どもの貧困対策法も施行されましたが、具体的な支援策はこれからという状況にあり、子供だけでなく社会全体の貧困化が進んでいるもとで総合的な対策が求められています。

 そこで、国が進めてきた非正規雇用拡大政策を転換し、働くときは正規雇用が当たり前の雇用のルールを確立すること、残業代ゼロ、長時間労働を強いる高度プロフェッショナル制度の導入に反対すること、本県の最低賃金、時給689円にすぎず、全国一律最低賃金1,000円に引き上げること、以上の抜本対策を国に求めていくべきと思いますが、県の考えを伺います。

 雇用に関して、福島市に工場があるパナソニックが事業の再編で320人の労働者を配置転換させる計画が発表され、同企業に働く労働者のみならず、地域にも大きな雇用不安を生み出しています。県商工労働部長と福島市長がいち早く大阪府門真市にあるパナソニック本社に出向き、雇用の維持確保を求めたことは時宜を得た重要な取り組みでした。

 パナソニックは、福島市の工場以外でもさまざまな事業再編を行っています。その際、労働者に不当な配転、例えば夫婦が同一事業所で働いていた場合にばらばらの遠隔配転案を示し、やめざるを得ない状況に追い込むなど横暴きわまりないむき出しの横暴が明らかになっています。

 現在、福島工場の労働者には、やめるか配置転換に応じるか、一旦は退職する形で賃金半額、月額15万円の下請派遣会社に移るかの選択肢が既に提示されて、3月2日までに決断を迫っていると聞いています。これが大震災と原発事故で破壊された経済、雇用を守る必死の努力を続ける福島県民に対する仕打ちなのかと憤りを禁じ得ません。

 2013年3月期決算で2兆4,433億円もの内部留保を保有する大企業の雇用を守る社会的責任が問われているのです。県はパナソニック福島工場の事業再編計画に対して引き続き雇用継続を求めるべきと思いますが、考えを伺います。

 次に、地方を衰退させた農業切り捨て、農協破壊に反対して、農業の再建を進めることです。

 地方の基幹産業である農業を切り捨て、大企業の利益を優先してきた歴代自民党政治が農業では暮らせない状況を生み出し、その矛盾を自治体合併で覆い隠し、地域経済と地方の衰退を招いたことは明らかです。この反省なしに地域創生と言ってさらに地方自治を破壊し、道州制の導入を図ることは真の地域再生どころか地方破壊そのものです。このことは、この間吸収合併された旧町村が急速に衰退していることにもあらわれています。

 わけても地方の基幹産業、農業の落ち込みは大きく、20年前の本県農業算出額は3,140億円あったものが震災前は2,330億円まで減少、大震災と原発事故により、さらに2013年は2,049億円と大きく落ち込みました。

 そこに去年の生産者米価の大暴落で農業そのものを諦めざるを得ない農家が続出している深刻な状況が起きており、今まで耕作を引き受けてきた農業者が引き受けをやめる例がふえ、このままでは耕作放棄地にならざるを得ない農地がさらに拡大します。大規模化した農家ほど米価下落の影響が大きいと言われ、規模拡大の矛盾も明らかになっています。

 農家の努力を無視し、農地を大資本に開放させるとともに、協同組合組織である農協を解体し、大企業、大銀行が農業分野での新たなもうけをむさぼる仕組みづくりが進められようとしていますが、TPP交渉を3月中旬の閣僚会議での合意にこぎつけるため抵抗勢力を弱体化させることが農協解体の目的の一つだと言われている。これに対して地域のJAは猛反発を強めています。

 農業が持つ多面的機能を守り、本県農業を再建するために日本農業に壊滅的打撃を与えるTPP交渉から撤退すること、大規模農家を優先的に支援するだけでなく、家族経営の小規模農家も担い手として支援対象にしっかり位置づけること、本県農業の柱である米の安定生産に向けて国の責任による需給調整や所得補償制度創設を国に求めるべきですが、県の考えをお示しください。

 次に、県内中小業者の支援と育成についてです。

 県内事業者約6万件の99%は中小企業で占められ、中でも小規模事業者が圧倒的多数を占める現状にあります。ところが、安倍政権は大企業を潤すことが日本経済を発展させるとして大企業にはさらなる減税をし、大多数が赤字の中小企業には外形標準課税の強化で増税を課そうとしており、地方創生どころか地域経済の衰退に拍車をかけることは明らかです。

 昨年6月に小規模企業の持続的発展のための支援策を講じる小規模企業振興基本法制定されました。地域に密着した小規模事業者の支援に本格的に取り組む必要がありますが、県は新たな法律の施行を踏まえどのように取り組もうとするのかお示しください。

 中小業者の再建支援として要望も多く、期待の高いグループ補助金ですが、ばらばらな避難を強いられている事業者がグループを組むこと自体が困難との声があり、グループを組めない事業者を救済するための新たな支援が必要ですが、県はどう支援しようとするのか伺います。

 県民生活に直結する暮らしと福祉の問題でも国の社会保障切り捨てが県民生活重大な影響を及ぼそうとしています。地方自治体が住民の福祉の増進という自治体本来の原点に立って福祉と暮らしを守る防波堤の役割を発揮し、福祉型県政にかじを切ることが求められます。

 そこでまず、国保制度についてです。

 来年度から国保の医療費が全額共同事業に移行し、広域化が実質スタートするに当たって、国保の抜本改革を求めることが重要です。国保事業が抱える構造的問題を温存したまま進められてきたのが国保広域化、都道府県単位化で、一般会計からの繰り入れをやめさせ、保険料の引き上げ、収納率の向上、医療費適正化を県に一体的に進めさせるところに広域化の狙いと本質があります。

 来年度から国保税の賦課徴収は市町村ですが、給付財政は都道府県単位の国保連合会が担うことになり、市町村は拠出金を納付し、保険給付金の交付を受ける形になります。来年度からの保険財政共同安定化事業で市町村の拠出金と交付金に差が生じ、拠出超過額がふえるのではないかと危惧する声がありますが、県はどう対応するのかお示しください。

 今国会には、2018年度から都道府県を保険者とするための法案が出されます。国が示した内容を知事会はのんだ形になりましたが、当初全国知事会会長の山田京都府知事は「私は都道府県広域化推進派だが、それにしてもやり方がおかしい。怒りを禁じ得ない。」と述べ、知事会社会保障常任委員として国と交渉してきた栃木県の福田知事も「わずかばかりの国庫負担増や総報酬制導入では構造的問題は解決しない。国保税を協会健保並みに引き下げるためには1兆円の国庫負担増が必要。」と述べるなど、政府の欺瞞を突き、本当の制度改革の方向性を示す発言が出てきているのです。

 本県も国保の医療保険制度改革に当たっては構造的な課題解決が先だとの認識を議会答弁してきましたが、国の対応についてどのように認識しているのかお答えください。

 構造的な問題解決のために、日本共産党は以下のような改善提案をしています。

 第1に、国の責任で保険税負担を軽減し、誰もが払える国保税にする。そのために1人1万円の国保税軽減を行う。とりわけ所得がなくてもかかる応益割を引き下げること。

 第2に、生活困窮者からの保険証取り上げをやめさせることです。国は生活を窮迫させるおそれがある場合は滞納処分を停止することを徹底すると国会で約束し、塩崎厚労大臣も「ぬくもりを持った行政を徹底していく。」と答弁せざるを得ませんでした。

 第3に、小手先の対応ではなく、国民皆保険スタート当初の目標だった相当額の国庫負担の実現で根本的な改革を行うことです。

 以上3つの我が党の提案について、県の見解を伺います。

 次に、介護保険制度の見直しについてです。

 介護保険に係る本県の課題の一つが介護専門職員の確保が困難であることです。職員不足のため、施設の機能が100%発揮させられない施設が特に浜通りに多くあります。

 ところが、国は介護報酬を2.27%削減する方針です。一般労働者の平均賃金比較でも月額10万円も低い介護労働者の処遇をさらに悪化させ、職員不足が一層深刻化することは明らかです。

 介護施設関係団体がこぞって反対を表明しているように、介護職員確保のためにも介護報酬引き下げ方針は撤回するよう国に強く求めるべきです。県の考えをお聞かせください。

 あわせて、原発事故被災地であるがための本県特有の介護職員不足に対応するため、現行事業に加えて、さらに人材確保の独自策を強化すべきですが、考えを伺います。

 医療費の負担増も大きな問題です。高額医療費限度額の見直しによる負担増に加えて、入院給食費患者負担が1食260円から460円になり、1日600円も増額されます。食事も重要な治療の一環として保険対象とされていたものが保険外扱いとなり、既に介護施設の給食費が実費負担となっていたものを今度は一般の入院患者の給食費負担を高い方に合わせる形で引き上げるというものです。

 国民全体の貧困化が進むもとで入院時食事療養費負担増は国民の医療を受ける権利を脅かすものであり、県民の命を守り、健康維持増進のためにも重大な問題であり、国に撤回を求めるべきです。国の見直しについて県の考えをお聞かせください。

 次に、子供の健全な発達の保障についてです。

 本県の子供たちが置かれた過酷な状況について、子供に寄り添い、一人一人の子供たちに行き届いた発達保障の支援策が求められます。原発事故当時十八歳以下だった全ての子供を対象にした甲状腺検査は長期にわたり継続する必要がありますが、18歳を超えると医療費の負担が出てくるという問題があります。18歳を超えても医療費を無料にすべきですが、県の考えを伺います。

 避難生活、放射能の不安と通常ではない生活環境が大きなストレスとなって子供たちに影響を与えております。4年間じっと我慢してきたけれども、徐々に限界となり、ひきこもり等の新たな問題も顕在化していると報告されています。子供たち一人一人にきめ細かな支援ができるようにするためにも、公立小中学校における30人学級は有効であり、全学年に拡大すべきと考えます。県教育委員会の考えを伺います。

 大きな4点目は、戦後70年を迎える年、戦争する国づくりを許さず、憲法が生きる政治にすることです。

 ことしは戦後70年、被爆70年の節目の年を迎えます。年明け早々に野蛮で残虐なテロ集団ISによる日本人人質殺害事件が発生し、国際社会に大きな衝撃を与えました。このたびの蛮行は断じて許されず、国連決議に基づき、国際社会が結束して無法なテロ集団を追い詰めていくことが重要です。

 同時に、二度とこのようなことを繰り返させないためにも、日本政府の対応についても冷静な検証が求められます。安倍政権がこの問題を自衛隊の海外派兵に乗り出す好機にしようとすることは絶対に認められるものではないことを指摘するものです。

 安倍首相は、みずからの野望である戦後レジームからの脱却を掲げ、国民主権の否定、平和憲法、特に9条の解釈を変え、集団的自衛権行使容認の閣議決定に基づいて戦争する国づくりのための法制化が戦後以来の大改革と称して今国会で本格的な法整備を行おうとする重大な局面を迎えています。

 知事は、昨年12月議会の我が党議員の質問に「日本国憲法の平和主義は国民の精神的支柱となってきた。」との認識を示しました。その立場で安倍政権の自衛隊法改定など集団的自衛権行使に向けた具体的な法整備の中止を求めるべきですが、知事の考えを伺います。

 戦後70年が日本とアジア諸国との和解と友好に向かう年になるよう努力しなければなりません。その基本は、村山談話、河野談話の核心である日本政府が国策を誤り、侵略と植民地支配を行ったこと、従軍慰安婦を連行し、重大な人権侵害を行ったという歴史の事実に基づく認識を継承し、ふさわしい行動をとることです。歴史の事実を正確、誠実に子供たちに伝えることは、今に生きる私たち大人と政治の責任です。政府の公式見解に基づく歴史認識を教育に正しく位置づけるべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺い、私の質問を終わります。

議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。


 知事(内堀雅雄君)宮本議員の御質問にお答えいたします。

 安倍政権につきましては、国内外に多くの重要課題を抱えている中、イノベーション・コースト構想の政府方針への明記、常磐自動車道の前倒しでの開通、福島県の要望を反映した補正予算及び当初予算案の編成や福島特別措置法の改正に向けた取り組みなど復興・再生に積極的に取り組む姿勢を示していただいていると認識をしております。

 一方、事故の完全収束を初め避難者の生活再建や賠償、帰還に向けた取り組み、産業全体の再生などさまざまな課題について継続的な対策を講じていくことが重要であり、私は機会あるごとに「復興がなし遂げられるまでが復興期間である。」と申し上げているところであります。

 今後とも県民の皆さんの切実な声、市町村や地域の思いを国に届け、福島県としての意見をしっかりと述べながら、復興をさらに前へと進めてまいる考えであります。

 次に、原発再稼働についてであります。

 本県では、東京電力福島第一原発事故から4年が経過しようとしている今もなお約12万人の方々が県内外に避難を余儀なくされており、廃炉・汚染水対策のおくれや根強い風評など深刻な影響が続いています。

 私は、福島県知事として、二度とこうした事故を起こしてはならないというメッセージをしっかりと発信し続けていくことが使命であると考えており、これまでも日本記者クラブや日本外国特派員協会での会見を初めあらゆる機会を通じ、国内外に向けて訴えてまいりました。

 引き続き原発事故の早期収束と県内原発の全基廃炉を国及び東京電力に対して強く求める一方、再生可能エネルギーの飛躍的な推進を図り、本県復興の基本理念である「原子力に依存しない社会」の実現に向けて全力で取り組んでまいる考えであります。

 次に、集団的自衛権の行使に向けた法整備につきましては、我が国の防衛、安全保障政策にかかわる極めて重要な問題であり、国会において慎重かつ十分な議論がなされるべきであると考えております。

 その他の御質問につきましては、副知事等から答弁させますので、御了承願います。

副知事(鈴木正晃君)お答えいたします。

 税の徴収猶予などの制度につきましては、これまでも県のホームページに掲載するとともに、納税通知書にチラシを同封するなど周知を図ってきたほか、今月には原子力災害被災地域の12市町村における法人2税の未申告者に対して個別に通知したところであります。

 個人住民税等につきましても、該当市町村を通じ、住民等への周知に努めているところであります。

 次に、職員の増員につきましては、正規職員や任期付職員の採用を初め即戦力となる他県等応援職員の受け入れ、さらには専門性を有する国の独立行政法人や民間企業等の職員の受け入れなど多様な方策により必要な人員を確保し、執行体制の強化を図っているところであります。

 今後とも復興・再生事業の進捗状況や中長期的な行政需要等を踏まえながら適正な人員配置に努めてまいる考えであります。

 次に、さらなる消費税増税につきましては、我が国の最重要課題である震災及び原子力災害からの復興・再生への歩みが滞ることのないよう、国において被災地の復興に与える影響等に十分配慮の上、判断されるものと考えております。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 県が整備する研究開発拠点施設の整備費につきましては、平成27年度当初予算計上額は、ふくしま国際医療科学センターが約143億円、医療機器開発・安全性評価センターが約25億円、環境創造センターが約70億円であります。

 また、復興を進めるために県が整備する研究開発拠点施設の現時点における見込まれる整備費の総額は、さきの3施設に会津大学先端ICTラボ、浜地域農業再生研究センター分を加え、約6百億円であります。

 次に、東京電力福島第二原発の廃炉につきましては、これまで国及び東京電力に対し繰り返し求めてきており、今月1日に開催されました福島復興再生協議会の場においても、知事から直接、経済産業大臣に対し求めたところであります。今後ともあらゆる機会を捉えて粘り強く求めてまいります。

 次に、中聞貯蔵施設等に係る交付金等につきましては、帰還支援や風評対策、研究施設等の運営費など中間貯蔵施設や原発事故に伴う影響の緩和や地域振興などに必要なソフト・ハードにわたる広範な事業に活用できるものであり、地域の実情を踏まえた自主的かつ主体的な取り組みに有効に活用してまいりたいと考えております。

 次に、福島特措法における被災者支援の充実につきましては、これまでも被災者の心のケアや健康支援活動等、生活の安定を図るために必要な措置等が講じられてきたところであります。

 また、昨年11月の知事の緊急要望を踏まえ、今月17日に閣議決定された改正案において、避難指示解除後の帰還者が公営住宅に入居できる措置や被災者に対する相談体制の整備等に関する規定が新たに盛り込まれたところであります。

 まずは、改正案の早期成立を国に求め、さまざまな支援制度を活用して被災者の支援に努めてまいる考えであります。

 次に、再生可能エネルギーの導入状況につきましては、アクションプランで示した今年度末の累計導入見込み量である約661メガワットに対し、昨年11月末時点の累計で約664メガワットの発電設備が導入され、今年度末の導入見込み量は既に達成されております。

 今後も再生可能エネルギー先駆け地の実現を目指し、全力で取り組んでまいります。

 次に、火力発電所の県内増設計画につきましては、発電効率の高い世界最新鋭の石炭ガス化複合発電や、石炭火力に比べ、二酸化炭素排出量の少ない天然ガス火力発電など、いずれも環境に配慮された発電方式による計画であり、原発事故により失われた浜通り地方の雇用の創出及び地域経済への波及効果が見込まれるものであります。

 次に、再生可能エネルギーの導入推進につきましては、地域が主役となった事業化を推し進め、これを地域の活性化につなげていくことが重要であると考えております。

 このため、避難地域における売電益を財源としたふるさと再生事業を要件とする補助制度や、地元企業参入促進に向けた人材養成講座の実施や専門家の派遣、地元間伐材の木質バイオマス燃料としての活用支援など、地域や地元企業が参加しやすい環境を整備しながら、地域主導による再生可能エネルギーのさらなる推進に積極的に取り組んでまいる考えであります。

 次に、平成27年度当初のイノベーション・コースト構想の本県関連事業予算につきましては、ロボット産業の集積に向けた県内企業等への技術開発支援や避難地域における再生可能エネルギー導入、植物工場施設の整備支援など約50億円を計上したところであります。

 次に、イノベーション・コースト構想の具体化の検討につきましては、国が設置した構想推進会議において関係15市町村長のほか、双葉郡のNPO法人や商工会の代表の参画を得て議論を進めており、また県の設置した検討会議においても、市町村や大学等の意見を踏まえた具体化が図られるように取り組んでいるところであります。

 引き続き、国、県、市町村が一体となり、本構想が住民の期待に応えられる浜通り再生の力強いエンジンとして具体化されるよう取り組んでまいります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 事故収束に向けた国の体制につきましては、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議や原子力損害賠償・廃炉等支援機構、国際廃炉研究開発機構などが設置され、また廃炉・汚染水対策現地事務所や原子力規制事務所の増員が行われてきたところであります。

 今月22日及び昨日、汚染された水が海へ流出したとの報告を受け、汚染源の特定や除去、雨水対策等を確実に実施することなどを厳しく申し入れたところであり、本日関係部長会議を開催し、近日中に廃炉安全監視協議会の立入調査を行い、必要な対策を強く求めていくこととしたところであります。

 今後現場のリスク管理や汚染水対策の確実な実施に加え、溶融燃料の取り出しなどの前例のない困難な作業が控えており、国は前面に立って、世界の英知を結集し、総力を挙げて安全かつ着実に進め、確実に結果を出すよう、現場を含めたさらなる体制の強化を引き続き国に求めてまいる考えであります。

 次に、国の保管場工事の着手につきましては、県内各地からの早期搬出の要望に対応するため、大熊・双葉両町の建設受け入れ容認を受け、国の責任において工事に着手したものと認識しております。

 県といたしましては、引き続き地権者に対してわかりやすく丁寧な説明を行うよう国に求めてまいる考えであります。

 次に、大熊・双葉両町への県の交付金につきましては、中間貯蔵施設に関して、両町において懸念される既存の事業や新たな交付金では対応できない地権者支援等の課題に迅速に対応できるよう交付するものであります。

 両町において、それぞれ今月の臨時議会で当該交付金を受け入れるための基金に関する条例が制定され、具体的な事業内容について検討が進められております。

 次に、除染における下請代金につきましては、市町村と連携した元請事業者への指導等により、適切な支払いを含む元請・下請関係の適正化に取り組んでおりますが、今般一層の適切な施工体制や管理体制を構築するため、除染作業共通仕様書等を改正するとともに、説明会を開催して周知を図ったところであります。

 また、作業員の賃金につきましては、労働者と雇用主との雇用契約によるものであり、基本的には労働基準法等の関係法令により保護されているものと考えておりますが、引き続き適正な労働条件の確保等について、市町村や関係業界団体等を通じ周知徹底に努めてまいります。

 次に、高効率石炭火力発電所につきましては、環境影響評価手続において事業者が提出した計画段階環境配慮書に対して二酸化炭素を削減するための措置として、二酸化炭素回収等も含め最良の削減対策の導入を検討するよう求めております。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 避難者のカルテにつきましては、今般新たな相談支援体制強化策の一つとして、生活支援相談員の訪問記録をケース台帳として電子化することにより、支援者間で情報共有を図ることとしたところであります。

 これにより、避難世帯それぞれの課題をしっかりと把握し、生活の再建等につながるよう取り組んでまいります。

 次に、生活支援相談員の増員に伴う体制につきましては、長引く避難生活により、課題が複雑化、多様化していることから、新たに専任職員や主任生活支援員を配置するなど組織的な支援体制を整備し、課題の解決につながるようしつかりと取り組んでまいります。

 次に、木戸ダムを水源とする水道水につきましては、県と企業団が放射性物質検査を週3回実施してきており、全て検出限界値未満となっております。

 さらに、企業団では検査体制強化のため、昨年12月から検査を毎日にふやしたほか、新年度からは24時間モニタリング可能な検出装置を稼働させる予定であります。

 引き続き企業団と連携して水質監視やホームページによる情報提供に努め、住民の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

 次に、保険財政共同安定化事業につきましては、新年度から全医療費へ対象が拡大され、市町村の拠出金がふえることから、実際の医療費を超える拠出を懸念し、多くの市町村から超過した全額について調整交付金による支援を求められております。

 県といたしましては、これら市町村の意向も踏まえ、本年度末までに改定する県の広域化等支援方針の中で検討することとしております。

 次に、国保の医療保険制度改革につきましては、平成29年度以降、毎年約3千4百億円の公費が投入されることは、十分とは言えないながらも、国保財政を安定化させる上で一定の前進があったものと考えております。
 また、平成30年度から県が財政運営の責任主体となることから、共同で事業を運営する市町村とこれまで以上の十分な協議連携が必要となると認識しております。

 次に、国保制度に対する御提案につきましては、国保税は制度を維持する上で被保険者が所得に応じて負担すべきものであると考えております。

 一方、所得の低い方に対しては応益割の負担が重くなることから本年度軽減措置の拡充が行われたところであり、また、さまざまな事情で生活が困窮した方には、その状況を十分勘案した上で負担能力に応じた丁寧な対応が重要であると考えております。

 次に、介護報酬につきましては、これまで報酬を一律に減額しないよう国に対し求めてきたところであります。

 今回の改定では、報酬本体は引き下げられるものの、介護職員処遇改善加算の大幅な拡充や入所者の要介護度に応じた加算などが充実されることから、県といたしましては、事業者に対して制度を周知し、適切な活用を促すことにより介護職員の確保につながるよう努めてまいります。

 次に、介護人材の確保策につきましては、特に人材不足が深刻な浜通り地方等の介護施設に県外から人材を呼び込むため、今年度から首都圏などで就職フェアや現地見学バスツアーを企画開催するとともに、就職準備金等の貸与を行っているところであります。新年度は、活動範囲を首都圏以外にも広げ、さらなる人材確保にしつかりと取り組んでまいります。

 次に、入院時食事療養費の見直しにつきましては、入院患者と在宅療養患者との負担の公平性を図る観点で行われるものであり、所得の低い方については据え置きとされているところであります。

 次に、甲状腺検査に係る医療費につきましては、これまで強く要望してきたところ、今般国の新年度予算案に必要な経費が計上されたところであり、新年度早期に支援を実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

商工労働部長(星 春男君)お答えいたします。

 正規雇用を原則とする雇用ルールの確立につきましては、国は若者等の正社員雇用の拡大や非正規雇用労働者の正社員転換等の促進に取り組むこととしており、県といたしましては、労働者の雇用の安定と処遇改善に向けたこれらの取り組みを注視してまいりたいと考えております。

 次に、特定高度専門業務・成果型労働制、いわゆる高度プロフエッショナル制度につきましては、現在国の労働政策審議会において同制度の導入に向けた検討が進められておりますが、導入による労働者の意欲や能力の発揮に期待する一方、長時間労働による健康への懸念も指摘されているところであり、県といたしましては、今後の審議の動向を注視してまいりたいと考えております。

 次に、最低賃金につきましては、国が法律に基づき、労働者の生計費や賃金、さらには企業の生産活動などの経済指標等を考慮して決定することとされており、県といたしましては、これを尊重すべきものと考えております。

 次に、パナソニック福島工場の事業再編につきましては、本年1月9日の計画公表を受け、13日に福島市長とともに本社を訪問し、事業の継続と雇用の維持について要請したところであり、今後も地域の経済と雇用を守るため福島市と連携しながら、新たな事業展開など事業の継続と安定した雇用の確保を強く働きかけてまいる考えであります。

 次に、小規模企業の支援につきましては、これまで産業振興センターや商工会等を通じた経営支援や県制度資金による金融支援等を中心として、規模企業の経営基盤の強化に取り組んでまいりました。

 さらに今年度、中小企業のさまざまな経営課題にきめ細かく対応する支援拠点を郡山市に新設し、支援体制の拡充を図ったところであり、新年度は小規模企業に特化した制度資金を新設するなど小規模企業への支援の強化に取り組んでまいります。

 次に、グループを組めない事業者への支援につきましては、これまで説明会や個別相談によるグループ組成の支援や避難解除等区域へ帰還する事業者を対象としたグループ要件緩和等によりグループ補助金の活用を図ってきたところであり、今後とも国、市町村及び商工団体等と連携して、個々の事業者の実情にきめ細かく対応しながら、事業の再開、継続を支援してまいる考えであります。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 TPPにつきましては、国民に対する十分な情報提供と明確な説明、農林水産業の再生強化に向けた対策、被災地域の復興に最優先で取り組むことを国に対し強く要望してまいりました。

 今後とも全国知事会等と連携しながら、衆参両院農林水産委員会における決議を踏まえ、万全な対応を行うよう国に対し求めてまいる考えであります。

 次に、家族経営の小規模農家につきましては、食料生産はもとより、国土保全や水源涵養など農業・農村が有する多面的機能の発揮を図る上での地域の担い手であるとともに、地域コミュニティーの維持に重要な役割を果たしております。

 このため、日本型直接支払制度を活用し、農地などを保全する共同活動等に要する経費を助成するほか、地域特性を生かした園芸産地の育成や6次化商品開発などを支援してまいります。

 次に、米の需給調整につきましては、国は平成27年産米の生産数量目標を引き下げるとともに、主食用米の長期的な販売等を支援する米穀周年供給・需要拡大支援事業を創設し、主食用米の需給状況を改善することとしており、これらの効果を注視してまいります。

 また、所得補償制度につきましては、加入要件が緩和されたナラシ対策の効果や、農業経営の安定を目的とした収入保険制度の検討状況を注視しながら、実効ある対策となるよう国に求めてまいる考えであります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 原発事故による商工業等に係る営業損害の賠償金につきましては、東京電力に確認したところ、昨年12月末までに県内の約3万8千の事業者に対し、総額で約8千4百億円が支払われております。

 次に、営業損害の賠償の素案と指針の関係につきましては、指針において営業損害の賠償の終期に関する具体的な目安を一律に示すことは困難なため、個別具体的な事情に応じて判断することが適当とされており、その判断に当たっては、従来と同等の営業活動を営むことが可能となった日を賠償の終期とすることが合理的とする考えとともに、一般的には賠償対象期間に一定の限度があるとの考えも示されているところであります。

 県といたしましては、事業者の個別具体的な事情を十分に踏まえた賠償がなされるべきと考えております。

 次に、原子力損害対策協議会につきましては、これまで被害者の生活や事業の再建につながる賠償が十分になされるよう関係団体や市町村とともに国及び東京電力に対する要望・要求活動等を行ってまいりました。

 引き続き国及び東京電力の対応等を注視しながら適時適切に協議会の活動を行い、被害者の立場に立った賠償がなされるよう取り組んでまいる考えであります。

 次に、営業損害の賠償の素案につきましては、今月4日の原子力損害対策協議会による要望・要求活動において、国、東京電力に対し、原子力災害の特殊性や被害の実情をしつかりと確認しながら、事業者等の意向を十分に踏まえた上で素案を見直し、被害の実態に見合った賠償を最後まで確実に行うよう求めてまいりました。

 引き続き関係団体等と力を合わせ、事業の再建につながる賠償がなされるよう取り組んでまいる考えであります。

 次に、就労不能損害につきましては、来月以降においても、生命・身体的損害の発生や避難指示解除後の相当期間内に帰還したことによる就労環境の変化に伴い減収が生じた方、さらには個別のやむを得ない事情により就労が困難な方についても賠償がなされるところであります。

 県といたしましては、今後とも東京電力に対し、被害者の立場に立ち、個別の事情を丁寧に聞き取った上で賠償を柔軟に行うよう求めてまいります。

 次に、県民による紛争解決センターへの申し立てにつきましては、被害者それぞれの事情による損害賠償請求に関する紛争を円滑、迅速、公正に解決するためには、紛争解決センターによる和解の仲介が重要であることから、これまで原子力損害対策協議会の活動を通し、東京電力に対し、被害者からの賠償請求を真摯に受けとめ、被害者の心情にも配慮して誠実に対応するとともに、和解仲介案を積極的に受け入れるよう繰り返し求めてきたところであります。

 次に、紛争解決センターの和解仲介案の拒否につきましては、東京電力は国の認定を受けた総合特別事業計画において和解仲介案の尊重を掲げ、手続の迅速化に取り組むこととしていることから、引き続き原発事故の原因者としての自覚を持って和解仲介案を積極的に受け入れるよう求めてまいります。

 次に、避難指示解除後の賠償が継続される相当期間につきましては、避難指示が解除された区域等の現状を十分に把握した上で、それぞれの地域の特別な状況や被害者の個別具体的な事情に応じて柔軟な対応がなされるよう国に求めてきたところであります。

 引き続き被害者の生活や事業の再建のために必要な期間が確保されるよう取り組んでまいります。

 次に、原子力損害賠償に必要な資金につきましては、原子力損害の賠償に関する法律に基づき、原子力事業者に賠償責任が集中されていることから、東京電力があらゆる手段を通して確保するとともに、同法に基づき国からの援助もなされるところであります。

 県といたしましては、引き続き国及び東京電力の責任においてしつかりと賠償がなされるべきものと考えております。

 次に、営業損害への賠償金の非課税措置につきましては、今月4日に実施した原子力損害対策協議会による要望活動を初めこれまで被災地域全体における税制のあり方を踏まえながら、被害者救済の視点を十分に反映させるよう国に求めてきたところであり、今後とも働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、仮設住宅の入居期間につきましては、現在平成28年3月までとしておりますが、引き続き避難指示の解除はもとより、復興公営住宅の整備や避難者の住居確保の状況等を踏まえ、検討を行い、国とも協議してまいります。

 次に、安全な飲料水を確保するための井戸の掘削費用につきましては、避難指示解除後に安心して帰還できる環境を整備するため、町村の実情に応じて住民に対し東京電力による賠償や自治体による補助制度が創設されており、補助を行う自治体に対してはその費用を東京電力が賠償しているところであります。

 引き続き東京電力に対し、被害の実態に見合った賠償を行うよう求めてまいります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 30人学級を全学年に拡大することにつきましては、本県では全国に先駆けて30人学級及び30人程度学級を導入しているところであり、これをしっかりと実施することにより、少人数教育の特色を生かしたよりきめ細かな指導に取り組んでまいります。

 次に、歴史認識につきましては、学習指導要領及びその解説を踏まえ、客観的かつ公正な資料に基づき事実を正確に理解できるよう指導しているところであります。

13番(宮本しづえ君)再質問いたします。

 最初に、知事に伺います。

 私は、質問の中で、今安倍政権がやっているさまざまな事態というのはまさに「福島切り捨て」とも言うべき事態ではないのかということで知事の認識を伺いましたけれども、そういう切り捨てということに直接かかわるような認識の表明はございませんでした。

 ただ、今問題になっているこの事態というのは、結局福島の原発をもう終わったことにする、被害も賠償もほぼもう終わりなのですという形にしなければ原発の再稼働はしにくいという、こういう政権の事情があるのだと思うのですよ。

 安倍首相は、口では、例えば事故の収束でも政府が先頭に立ってやるのだと言っているけれども、実際にやっているのは全部東電任せです。東電は下請任せ、こういう状況が変わっていない。

 だけれども、こういう状況が続けば続くほど、きょう報道されたようなこういう事態も結局1年近くも公表されなかった。県民はだまされてきたという怒りをあらわしていますけれども、当然のことだと思います。十分に福島に対して手だてをとらないままに事を進めるということ自体が「福島切り捨て」だと言われても仕方がない、そういう状況なのだと思うのです。

 こういう東電任せにしてきた、そしてそういう事態を規制庁も東電任せにしてきた、十分な監視もしてこなかったということが、1年間も汚染水が外洋に流出していたのにチェックもできなかったということにつながるのではないですか。

 そういう人たちがやるような原発の再稼働や輸出ということを今福島県民は本当に認められるのか。そのことについて県のトップとしての知事の認識はどうなのですかということが問われているのだと思います。

 私は、事故の収束も、そして完全賠償もきちんと国に責任をとらせるということが知事としての一番の責任だと思います。そういう点で、私は今国がやっていることは違うのではないのかという点で知事の認識を伺ったわけですので、改めてそこの認識を伺いたいと思います。

 再稼働についても、県内の原発の10基廃炉は求めるという立場ですけれども、知事は県外の再稼働についてどうするのかということについては言及をしていません。今回の答弁でもそのことについてはおっしゃっていないわけです。

 私は、避難者のうちの1%を超える人たちが災害関連死で命を落としているというこの重い現実、原発が事故を起こせば、避難に伴ってこれだけの命を奪うものなのだ、それが原発の事故なのだという、この被害の実態に照らしても、もう再稼働なんてあり得ないのだということをこの福島から発信する、全国の再稼働もあり得ないということを発信する、それが災害関連死で亡くなった人たちの命も犠牲にしない、そういう県としての姿勢なのではないかというふうに考えます。そういう点に関連しても、再稼働は許さない、こういう明確な姿勢を示すべきだと考えますので、知事の改めての認識を伺いたいと思います。

 それから、商工業等の損害賠償の打ち切りについてですけれども、国と東電は地元の意見をよく聞いて見直すというふうに述べているわけですけれども、そうであるならばなおのこと直ちに全体会を開いて意見を集約すべきではありませんか。

 共産党の国会議員に経産省が「2月の打ち切りというのは一応断念をしました。」というような報告をしてきたようですけれども、県の方にはそのような報告は来ているのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

知事(内堀雅雄君)宮本議員の再質問にお答えをいたします。

 安倍総理は、就任時の会見で「国が前面に立って、国の責任において福島の再生に取り組む。」と発言されております。

 今後ともこの総理の思いに基づき、引き続き福島の復興を前に進めていただきたいと考えております。

 次に、原発の再稼働につきましては、原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先として国の責任において検討されるべきものであります。

 県といたしましては、引き続き県内原発の全基廃炉を国及び東京電力に対して求めていくとともに、原子力に依存しない社会の実現に向けた取り組みをこの福島の地から発信をしてまいります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)再質問にお答えいたします。

 原子力損害対策協議会につきましては、商工関係団体等への訪問活動により、営業損害の賠償の素案に係る意見等をお聞きして賠償の課題等を共有してきたところであります。

 今後とも国及び東京電力の対応状況を見きわめながら適時適切な活動を行ってまいりたいと考えております。

 また、今回の営業賠償の考え方については、あくまで素案ということで伺っております。今月4日の原子力損害対策協議会におきましても、協議会として、今回の案は素案のものであり、そのまま見切り発車をしないということも確認しておりまして、見直しあるいは再考されるものというふうに県の方では確認をしております。

13番(宮本しづえ君)再々質問いたします。

 今の知事の答弁についてですけれども、私は、安倍首相が前面に出て福島の事故収束のためにも責任を持って取り組むのだと言ってきたけれども、実際には本当にそういう姿になっているのかということを県はどう認識しているのだろうかというふうに思うのですよ。

 今回の汚染水の漏出事故についてだって、要するに原子炉の建屋に近いところの雨水を流す排水経路、これが実は外洋に流すようになっていたわけですよね。誰が考えたって、あの地域の中は非常に高濃度の汚染物質がいっぱいあるところに降った雨が雨どいを流れるわけだから、排水溝を流れるわけだから、それが外洋に排出されることになっていたなんていうこと自体が実は私は驚きでした。そういう状態を規制庁だってそのまま放置してきたわけでしょう。

 そして、1年近くになって、実は雨が降るたびに高くなっていましたということを東電は知っていたけれども十分に報告もしない。規制庁もそのチェックもしないで来た。まとめて今回になって明らかになりましたということが発表されたわけですけれども、こういう国と東電のずぶずぶの関係ですよね。

 こういう状態の中でこれから全国の原発が再稼働されようとしているということなのです。そういう規制庁のいいかげんな審査や監視体制しかやっていない。規制庁がことしまた職員をふやすと言ったけれども、本当に福島の原発事故の収束のために人がふえているのかと聞いたら、11人の体制のままですよ。だから、福島の事故収束のための規制庁の職員はふえていないのですよ。

 そうやって「国が前面に出る」と言ったって、ちゃんとした監視体制だってとっていない。そういう人たちが全国の原発の再稼働に対してゴーサインを出そうとしている。こういうことについて福島県が何も言わなくていいのですかということが今問われているのではありませんか。

 これを私はやっぱり福島の切り捨てと一体だというふうに言わなくてはいけない。そう指摘をせざるを得ないのですよ。ましてこれだけ関連死がふえ続けている。事故が起きればそういう被害が起きるのだ。

 あの浜岡原発、これから静岡でこれが再稼働されるなんて言って、事故が起きたら、あそこに60万人が30キロ圏内に住んでいるわけですから、1%といったら6千人ですよ。6千人の人たちがもしかして事故が起きて避難になったら命を落とすかもしれない。避難に伴って関連死が起きるかもしれない。そういう問題が原発の事故なのだ。避難に伴う被害なのだ。この命の重み、これをしっかりと福島から発信すべきだと私は思うのです。だからこそ許してはいけない。再稼働を認めてはいけない。

 このことを関連死の犠牲を受けた福島県だからこそ、トップがその先頭に立ってそういう発信をすべきなのではないか、このことを私は改めて指摘をしたいし、知事の見解も求めたいと思うのです。改めて見解を伺いたいと思います。

 それから、もう1点質問したいと思いますのは復興特措法の関係です。被災者の支援についての特措法での支援が不十分だ、この点についてもう福島県の被災者支援というのは待ったなしですよ。避難解除されてしまったら、ほとんど支援がなくなってしまう。仮設住宅に入っていてもいいよ、借り上げ住宅の家賃だけは出しましょう、これだけの話ですよね。こんなことで被災者が置き去りにされていっているという現実がある。

 このことに対して県はどういう支援をするのか。そのときに法的な裏づけはないのだから、特措法でやるべきではありませんかということを改めて求めているわけでして、この点について、改めて特措法の改正についてもっときちんと求めていくべきだったのではないか。これからだって、知事の提案権も使えるわけだから、それをやるべきではないかということを求めていますので、答弁を伺いたいと思います。企画調整部長に聞いています。企画調整部長です。

 そして、商工労働部長に。パナソニックは、西のパナソニック、東のルネサンスと言われるくらい……ごめんなさい。では、終わりです。

知事(内堀雅雄君)再質問にお答えいたします。

 福島県内には現在、県内原発の全基廃炉、事故の完全収束を初め避難地域の再生、除染、健康、賠償など、本当に多くの課題があるところでございます。

 国においては、安倍総理を先頭に国が前面に立って、国の責任において福島の再生に取り組む、これを実行していただくよう県としてもしっかりと対応してまいります。

企画調整部長(近藤貴幸君)再質問にお答えいたします。

  被災者の支援につきましては、今回の福島特措法改正案や高速道路無料化措置の一年間延長の実現のほか、県の新年度予算におきましても、避難者見守り活動支援事業や復興支援員の拡充などを行っているところでございます。

 まずは、国会に提出されたばかりでございます改正案の早期成立、これをまず国に求めた上で必要な支援に引き続き努めてまいりたいと考えております。

議長(平出孝朗君)これをもって、宮本しづえ君の質問を終わります。

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