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2015年2月定例会 追加代表質問 高野光二議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年6月12日更新

高野光二議員

議員

高野光二

所属会派(質問日現在)ふくしま未来ネットワーク
定例会平成27年2月
質問等追加代表質問
委員会開催日3月2日(月曜日)

34番(高野光二君)ふくしま未来ネットワークの高野光二です。会派を代表して、2月県議会定例会追加代表質問を通告に従いまして行います。

 東日本大震災、原発事故から5年目を迎えようとしており、その大きな爪跡からさまざまな点で動き出し始めております。中間貯蔵施設の建設見通しが立ってきたと同時に、福島県の復興・再生の姿が少しずつ前に進んでいる姿が見え、これからが形あるものに、将来の実効ある姿にしていくために魂を入れ込んでいく大切な時期でもあります。

 先日の東京電力の汚染水漏れと汚染雨水の海への流出情報隠蔽問題など、何が常識で誠意ある対応とするのか、今の成果主義、自分だけがよければいいという自己中心的な協調性のない社会になりつつあることに懸念をしております。

 昨日、福島県内の大半の高等学校で卒業式が行われました。ことし卒業する避難地域の高等学校においては、本校の校舎で1度も学ぶことなく、仮設の校舎で、サテライト校の校舎で3年間学びました。避難直後からの体育館でパーティション1枚で仕切られた教室は、隣の教室の声を共有する環境の中で勉強し、多くの親しかった友人との別れは心の葛藤の日々でもあったでしょう。

 また、先生や家族、そして周辺の多くの皆さんに支えられ学んだ子供たちは、地域振興への誓いと感謝の心を胸に大きく成長し、飛び立つ姿に、震災を乗り越えてきた頼もしさを感じた次第でありました。この未来を開く若者たちにしっかりバトンタッチすることが私たち大人の責任でもあろうと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 初めに、福島第二原発の廃炉について伺います。

 内堀知事が就任して以来、安倍晋三首相や東京電力に対して県内全基廃炉を訴え続けていますが、最近安倍首相の廃炉に向けた発言が後退し、福島県の全基廃炉の道筋が不透明になってきている感じがいたします。
 安倍首相は平成25年3月に国会で、県内の原発は「仮に安全性が確認できたとしても、実際に稼働させるには立地自治体などの理解が必要であり、現在の福島県の心情を考えると再稼働は容易ではない。」と述べています。当時の考えは県民の気持ちに寄り添ったものでありましたが、最近はベースロード電源は原発で賄うとしています。このことはいずれ第二原発が再稼働される危険性が含まれているおそれがあります。

 まだ見えぬ汚染水処理や中間貯蔵、廃炉、最終処分の問題など解決すべき課題が山積みの福島県の現状、そしてこの状況から復興し、新たな県土再生に向け頑張っている今、国に対し、強く強く福島県においては全基廃炉であるということを国と東京電力に約束を取りつけ、何らかの法制化の基準を求めていくべきと考えます。

 そこで、福島第二原発の廃炉の実現に向け、国への働きかけをさらに強化すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、地方創生について伺います。

 日本の将来を語るとき、何といっても人口減少にかかわる問題が大きく、経済成長、社会保障、年金などさまざまな分野に影響し合っています。国は、地方が成長する力を取り戻し、急速に進む人口減少を克服するため、まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げました。

 まち・ひと・しごと創生長期ビジョンは、日本の人口の現状と将来の姿を示し、人口減少をめぐる問題に関する国民の認識の共有を目指すとともに、今後目指すべき将来の方向を提示することを目的としています。

 福島県では、震災と原発事故の影響により、今なお12万人近い方々が避難を余儀なくされています。震災から大きく復興する姿を未来に築く上でも、まさに今が大事な時期であります。

 我が県の抱える課題は山積しています。福島復興再生特別措置法や復興財源なども活用しながら、逆に今をチャンスと捉え、知事の持ち前の現場主義で積極果敢にチャレンジしていくものと思っております。

 そこで、知事は地方創生にどのような思いで取り組んでいくのかお尋ねをいたします。

 次に、財政運営について伺います。

 内堀知事が誕生して4カ月が過ぎようとしています。就任直後から、あの東日本大震災と原発事故からの復興と福島県民が一日でも早く笑顔を取り戻すために、国、各関係機関、東京電力、さらに最近では天皇陛下にお会いし、福島の今の状況をお伝えするなどまさに東奔西走と、知事選の公約で「福島の未来を光り輝くものにするため全力を尽くす。」と言われたそのとおりの活動は、確実に一歩一歩前に進んでいる実感を感じ取ることができます。
 2015年度の県予算案は過去最大の約1兆9千億円であり、選挙で「復興は総合政策の勝負である。新産業の育成や避難地域を元気にすることはどうしてもやりたい。」と公約したとおり、随所に内堀知事のカラーが出ているのも理解しております。

 一方では、今後10年間の福島県復興予算は3.9兆円必要とするとしています。これら復興に必要な財源は、国に大きく依存せざるを得ませんが、何といっても将来的人口減の問題はさまざまな政策を打ったとしても避けては通れないものがあると思います。将来人口が減少すればおのずと自主財源も減ることが予想されますから、その人口減少も踏まえての財源確保を見通していかなければなりません。

 そこで、県は将来の人口減少を見据え、どのように財政運営を行っていくのかお伺いいたします。

 次に、地域資源を生かした地域振興について伺います。

 我が国は多様な気候風土のもとで、それぞれの地域が独自の歴史、文化を形成し、多様な社会をつくり上げてきました。そうした生活の価値観の多様性が徐々に失われ、全国どこでも同じような景観、社会形態がつくられてきています。

 地方から、地域に住む人がみずからの地域は自分たちでつくる、未来に希望を持ち、個性豊かで潤いのある人が、若者が魅力を持って住み続ける地域社会を形成することが地方創生の目指す社会の姿であると私は思います。

 例えば、我が福島県において、只見ユネスコエコパークや尾瀬などの観光資源等を生かしながらどう発展させるのかを考えたとき、教育旅行だけにとどまるのではなく、地域の住民が密接にかかわり、食材の使用やツアーの受け入れなどさまざまな面で地域振興につなげていくことができます。さらに、そうした取り組みを継続させることで雇用の創出も図ることができるのではないでしょうか。

 そこで、県は特色ある地域資源を生かした地域振興にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、福島再生加速化交付金について伺います。

 今まで震災と原発事故から復旧・復興させるための復興予算について、各自治体からもっと自由度の高いものにしてほしいという要望がたくさん上がったことから、各自治体の事情に合わせる形で自由度の高い交付金として福島再生加速化交付金がつくられました。こうして被災地域の市町村を対象につくられた交付金に対する関係市町村からの期待は大きいものがあります。

 しかし、市町村が計画する事業の実施に活用できない事例があること、事業が単年度事業であったことなどで、平成27年度に改善されるものの、事業費規模が比較的小さいものに抑えられていることなど、自治体からはさらなる改善が求められています。

 このため、自治体が復興に取り組みやすくするため、新しい発想の取り組みについても柔軟に活用できるよう、福島再生加速化交付金の改善をさらに国に求めていく必要があると考えます。

 そこで、福島再生加速化交付金制度の改善を継続して国に求めていく必要があると思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、復興拠点の整備について伺います。

 間もなく震災から5年目となります。多くの避難されている住民は、一日でも早くふるさとに帰りたい、あるいは新しい生活への拠点を構えたいと、それぞれの事情によって自立への方向に違いはあるものの、帰還を進めていただくためには復興拠点の整備が不可欠であります。

 先日、飯舘村長から「ふるさとへ帰還する希望をつなぐためにも、一刻も早く村民に復興の姿を見せたい。そのために復興拠点の整備を早く実現したい。」と切実な声をお聞きしました。このような思いを持つのはほかの自治体も同様であり、多くの自治体で復興拠点整備の検討がされています。

 これらのニーズを踏まえ先月17日、福島復興再生特別措置法改正案が閣議決定されました。県としても復興拠点の整備を進める市町村の期待に応え、復興拠点の整備が早期に実現できるよう今後も引き続き積極的に取り組むことが必要であると考えます。

 そこで、福島復興再生特別措置法の改正を踏まえ、避難地域の復興拠点の整備をどのように進めていくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、中間貯蔵施設について伺います。

 原発事故に伴う県内の除染から出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設について、ようやく地元双葉・大熊両町の理解も得られ、安全協定も締結され、建設予定地の具体的な工事が進む見通しとなりました。この中間貯蔵施設に運ばれる汚染土壌、汚染物質については、30年後県外に搬出することが法制化されました。

 中間貯蔵から30年後には、運び込まれる2千8百万トンの除染土壌などの放射線濃度は物理的減衰の効果だけで貯蔵開始時の約4割まで低減するとしています。そして、その保管過程で焼却できるものは焼却、残った除去土壌の大半については希釈して再利用するという研究がJAEAなどで進められています。

 試験技術としては可能であると思われますが、再利用する有価物の受け入れが理解されるのかが心配であります。また、放射能の高いものについての処理、保管の方法については、あらかじめ明確に示し、住民の合意を得ることが最も大切であると思います。

 そこで、県は国の県外最終処分の取り組みをどのように確認していくのかお尋ねをいたします。

 次に、モニタリングポストの活用方法について伺います。

 福島第一原発事故後、毎時間ごとの放射線濃度を表示するモニタリングポストは現在3,660基設置され、県民の日ごろの安心や帰還に向けた一つの判断材料として利用されています。

 一方、あってはならないことでありますが、原発で新たな緊急事態が発生した場合には放射線の影響を把握する手段ともなり得ると考えています。国の原子力災害対策指針においても、住民避難などは毎時20マイクロシーベルトで一時移転、毎時500マイクロシーベルトで即時避難とするなど、住民を数時間内に避難や屋内退避などをさせるための基準としています。

 日常の中で安全・安心を保つ意味合いのモニタリングポストでありますが、再び事故が起こった場合においてどのようにこのポストを活用し住民に周知をするのか明確ではないと思われます。

 そこで、原子力発電所に新たな緊急事態が発生した場合、モニタリングポストをどのように活用していくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、介護報酬の見直しについて伺います。

 平成27年度介護報酬の改定率をマイナス2.27%としたことは、介護サービス事業者の経営や介護職員の確保などさまざまな点において影響が懸念されます。

 特に我が県では、原発事故による避難ということで県内外にまだ12万人近い方々が避難しております。特に若い方々の避難者が多いことが今後避難地域において高齢化社会が一気に進んでいくこととなり、要介護高齢者が増加する中、介護保険制度は一層の充実が必要と考えます。

 そこで、介護報酬の今回の改定をどのように捉え、どのように対応していくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、甲状腺検査について伺います。

 かつて私どもが経験したことがない原発事故に伴う放射能という目に見えない恐怖に、当時は放射能が拡散する情報はないに等しく、「とにかく逃げろ」ということで、わけもわからず事故後の線量の高かった浪江町の津島や飯舘村などに多くの避難者が一時避難をしていました。

 ほとんどの住民は放射能に関する知識がないに等しかったことから、少しでも遠くへ、安全なところへと、子供を持つ親御さんたちは特にそう思い、多くの住民が全国に避難する状況になっていきました。

 そこで、県としては放射能の外部被曝検査、ホールボディー検査が導入され、県民健康調査へと移行していきました。さらに、チェルノブイリ原発事故の教訓から、県民の18歳以下の子供全てを検査することになっていきました。このことは県民の安全・安心、そして命を守るという点では評価しています。

 先行検査では110名が結節の大きさからがんを疑われ、本検査では8名の甲状腺がんまたはその疑いの方が見つかりました。被曝による影響ではないかと心配している県民がまだまだ多いこと、原発事故当時の放射能の恐怖と情報の氾濫などでトラウマになっていることもあり、検査していただくことで安心感が得られ、甲状腺がんが発見された場合早期の治療が受けられることから、県民の安全・安心を確保するため甲状腺検査を継続していくべきと考えます。

 そこで、甲状腺検査を今後どのように進めるのか県の考えをお尋ねいたします。

 次に、応急仮設住宅の集約における影響と対応について伺います。
 震災と原発事故は多くの人命と財産を奪い、今なお多くの方々が仮設住宅での生活を強いられています。また、それと同時に多くの事業所が営業停止や県外への移転を余儀なくされました。その過程でも多くの方々が避難に伴う問題やストレスを抱えています。

 一つの例を挙げますと、楢葉町のある会社、TOTOファインセラミックス株式会社も、震災の影響により本社を楢葉町から大分県の中津市に移転しました。その過程の中で、人員整理を図る会社側から従業員がパワハラを受け、入院まで追い込まれるという事態も発生しております。

 私は、このような事例も震災と原発事故に起因する問題の一つであると捉えております。今なお県内外に12万人弱の方々が避難されており、先ほど申し上げた事例のように抱える問題もさまざまであることから、より住民に寄り添ったきめ細やかな支援が必要だと考えます。

 そのような中、震災から四年の時間の経過とともに自立の道へと進む人々もふえ、仮設住宅の空きが目立ってきた地域もあることから、集約ということで、今後相馬市、新地町を初めとし、かなりの地域で進めていかれるものと思います。

 このような集約という状況の中で、集約することで避難者への支援がしやすくなり、仮設に居住する避難者の生活の面での見守りや不審者の監視、孤独死に対する対応などよい面がある一方で、避難している仲間同士のコミュニケーションなど新たに移り住むことによっての不安要素が出てきます。これら仮設住宅の集約に伴う仮設から仮設への移り住み、仮設から借り上げ住宅への移り住みについてさまざまな問題が想定されるものと考えます。

 そこで、応急仮設住宅の集約における影響についてどのように対応していくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、復興公営住宅の整備について伺います。

 震災から4年がたとうとする中で、避難されている方々のニーズも変化してきています。仮設住宅や借り上げ住宅に入居している避難者も、長期化する避難生活をこれからどこでどのように送るか、将来につながる住まいをどうすればよいのか、それぞれ迷い、悩んでいます。

 自宅の再建を考えている方々の一方で、復興公営住宅の入居申し込みをしている人、これから入居を希望するか迷っている方も多いようであります。このような避難者のニーズにも相談対応していくべきであると思います。家族の中での世帯の分離、仮設住宅での生活ででき上がったコミュニティーがなくなることへの不安、それらのことも考慮すべきであります。

 そこで、県は復興公営住宅への入居判断を保留している避難者にどのように対応していくのかお尋ねいたします。

 次に、県道原町川俣線について伺います。

 本路線は、相双地域と県北地域を結ぶ産業の振興や地域の生活に欠かせない重要な道路であります。震災を受け、ふくしま復興再生道路として位置づけ、川俣町内の水境工区の完了や南相馬市内の八木沢バイパストンネル工事着工など本路線の整備を加速していることは、震災で甚大な被害を受けた本地域の復興と避難先からふるさとへ帰還を目指している地元住民にとってまことに心強いものであります。

 しかしながら、沿岸部の復旧・復興事業がピークを迎えており、交通量が大幅に増加していることや、さらに中間貯蔵施設への除去土壌の輸送が控えていることから、今後ますます交通量が増加することが見込まれます。

 また、原町川俣線は、南相馬市、飯舘村地内には高度の医療を受けられる3次の医療施設がなく、高度な医療が受けられる県立医科大学附属病院と南相馬市や飯舘村を最短で連絡する命の道路でもあります。地元住民は、八木沢バイパストンネルを初めとする本路線の一日も早い整備を待ち望んでいるところであります。

 そこで、県道原町川俣線の整備状況と今後の見通しについてお尋ねをいたします。

 次に、南相馬市の都市計画道路下高平北長野線について伺います。

 昨日の常磐道富岡~浪江間14キロの開通により、埼玉県から宮城県まで300キロの全線開通は相双地域の方々にとって念願であり、復興をさらに加速化させるためにも大いに期待しているところです。

 しかしながら、南相馬市原町区内において南相馬インターチェンジから国道6号へ向かうアクセス道路の県道原町川俣線は市街地を経由せざるを得ない状況にあり、最近では復興関係車両などの増加が市街地の交通混雑に拍車をかけており、このため交通量の増加、交通事故の防止策、住民の安全性など考慮しなければならない事柄が出てきています。南相馬インターチェンジと国道6号をバイパスで結ぶ都市計画道路下高平北長野線を県道として整備することが必要であると考えております。

 そこで、南相馬市の都市計画道路下高平北長野線の整備について県の考えをお尋ねいたします。

 次に、被災地域の営農再開について伺います。

 原発事故の避難指示区域以外において、試験栽培も含めて徐々に作付が試みられてきています。その中にあって、津波被災地において津波による土砂、瓦れきを取り除き、地盤が沈下した農地においては客土しながら基盤整備を行い、来年度から栽培できる状況にあります。

 一方で、今まで作付を制限していた地域においては賠償という形で一定の収入の補償がされてきましたが、昨年の米価の下落は稲作農家にとってとても採算のとれる価格ではなく、JAによる補金や営農加算金があったとしても、再び米をつくる意欲が湧く価格とは言えません。

 平成27年のJA相馬の基準で試算しますと、人件費などは含まれないもので、稲作栽培10アール当たりの経費として73,239円かかることになります。

 県もJAも自治体の対応も餌米を中心に栽培を進めるとしていますが、今の現状の価格構成ではとても農家が米をつくる意欲が湧かない状況にあることから、抜本的な支援策や営農形態のあり方も含め、県として指導力を発揮すべきと思います。

 そこで、南相馬市の旧警戒区域外における稲の作付再開に向け県はどのように支援していくのかお尋ねをいたします。

 次に、漁業の復興に係る風評対策について伺います。

 福島第一原発2号機原子炉建屋から汚染雨水が排水路を通じて港湾外の海に流出していた問題が発覚しました。さらに、東電では昨年4月から雨水の線量が高い数値を示していたこともわかっていながら、その情報を伝えていなかったとのことです。

 県を初め各関係機関を挙げて風評払拭に取り組んでいる中で、このことは極めて遺憾であり、議会としても特別決議をし、東電に申し入れたところであります。

 漁業関係者にとりましても、試験操業を初めとする努力を積み重ね本格操業を待ち望んでいただけに、東電の取り組みに対しての信頼関係が大きく失われた気持ちと東電の体質が今さらのように浮き彫りになった感じがいたします。

 その上で質問いたしますが、沿岸漁業について安全性が確保されている魚種を対象とした試験操業が実施されており、対象魚種も58種まで拡大してまいりました。今後も安全性が確認されている魚種がふえ、取扱量もふえていくものと考えています。

 現場の漁業関係者の皆さんからは、現在漁協が行っている検査体制で対応ができるのか、また、震災前の価格で販売できるかなど今後の評価を大変心配しております。こうした背景を踏まえ、先を見据えた風評対策を今から積極的に展開することが何よりも大事ではないかと考えます。

 そこで、県は漁業の復興に向けた風評対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。

 最後に、小高商業高等学校と小高工業高等学校の統合校について伺います。

 県教育委員会は、高校改革懇談会を開催し、その中で統合の方針を示した両校について、避難指示解除を前提として平成29年4月を目途に統合し、現在の小高工業高校校舎を利用して統合校としてスタートを切る計画であると聞いております。

 新たな統合校では、復興のシンボルとして現在検討が進められているイノベーション・コースト構想の中に含まれるロボット工学や地元の産業の復興人材の育成に対応した魅力ある学校とすることが求められており、そのために必要となる教育内容やその実践のための施設整備をしなければならないと思います。

 そこで、小高商業高等学校と小高工業高等学校の統合校を魅力ある学校とするためにどのように取り組んでいくのか、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。

 結びに、ことしは統一地方選挙の年であります。私どもの県議会議員選挙もことしの秋に行われます。福島の未来を築き、元気にするのは、政策や行政の役割も大事でありますが、県民一人一人の力が大切です。選挙で選ばれる我々と選挙権を有する有権者、すなわち県民との信頼関係の構築が大切であります。

 改めて政治の役割を認識し、会派一丸となって福島の輝ける未来をつくるため、子供たちの未来のために頑張ることをお約束し、追加代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

副議長(青木 稔君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)高野議員の御質問にお答えいたします。

 地方創生についてであります。

 大震災と原発事故により課題が複雑多様化している本県が人口減少問題を克服し、地域の活力を取り戻すためには、各地域がみずから考え、進取果敢に取り組むことが必要であり、それをなし遂げる鍵となるのは知恵と連携であると考えております。

 私は、就任以来積極的に現場に赴き、豊かな自然、人と人とのきずなを大事にする地域社会、伝統文化やさまざまな地場産業のほか、未来を担う子供たちなど誇るべき多くの宝があると感じてまいりました。

 私は、地域に今あるもの、これに光を当て、あるいは改めて掘り起こし、知恵と工夫によりしっかり磨き上げるとともに、県民の皆さんを初め国、市町村、NPO、大学、企業など多様な主体と連携をしながら地域の活性化に結びつけていくことが極めて重要であると考えております。

 さらに、これらの地域の宝の活用に加え、「ひと」の移転や「しごと」の創出、子育てしやすい環境づくりなどにも大胆に取り組み、福島に生まれたこと、住んでいることを誰もが誇りに思える「ふくしま」の復興・創生に向け、全庁を挙げて取り組むことが私の使命であると考えております。

 その他の御質問につきましては、副知事等から答弁をさせます。

副知事(鈴木正晃君)お答えいたします。

 人口減少を見据えた財政運営につきましては、長期にわたり復興・再生に向けて取り組み、本県が描く将来像を実現していく上で重要な視点であると認識しております。

 県といたしましては、さまざまな人口減少対策の取り組みを進める中で、産業の活性化や雇用確保等を通じた税源の涵養など引き続き安定的な自主財源の確保に努めるとともに、国の財政措置等の動向も注視しながら、自立した健全な財政運営をしっかりと行ってまいる考えであります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 東京電力福島第二原発の廃炉につきましては、これまで国及び東京電力に対し繰り返し求めてきており、先月1日の福島復興再生協議会や昨年12月の避難地域の将来像に関する有識者検討会などの場においても、知事から経済産業大臣や復興大臣に対し改めて直接求めたところであります。

 引き続き本県復興の基本理念である原子力に依存しない社会づくりを目指し、第二原発の廃炉の実現に向けて、あらゆる機会を捉えて粘り強く求めてまいる考えであります。

 次に、地域資源を生かした地域振興につきましては、遊休農地を活用して資源作物の栽培、加工を始めた事例や、地元農産物を高齢者向けに加工し、宅配サービス等を始めた事例などのように、地域資源を掘り起こし、それらを活用して雇用の創出や地域所得の向上等に結びつけることが重要であると考えております。
 このため県といたしましては、特色ある地域資源を活用した事業提案に対し、県、市町村、民間アドバイザー、金融機関等が一体となり、構想段階から一貫して多角的に支援を行い、モデルとなる成功事例を積み重ね、地域の振興を図ってまいります。

 次に、福島特措法改正を踏まえた復興拠点の整備につきましては、避難者の帰還のために不可欠であることから、住宅、医療、商業等のさまざまな生活機能がある市街地を一体的に整備するための制度や、道路、公営住宅等のインフラ整備に必要な交付金措置等が今回の改正法案に新たに盛り込まれたところであります。

 今後これらの制度が避難地域の市町村で幅広く活用できるよう引き続き国に強く求めるとともに、市町村と緊密に連携して迅速かつ円滑な拠点整備に取り組んでまいる考えであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 国の県外最終処分の取り組みにつきましては、30年以内の県外最終処分が法制化され、同法案の附帯決議では、国は減容化、再利用技術の早期開発と必要な措置の具体的内容等を明記した工程表を作成し、進捗状況を毎年国会に報告することとされております。

 さらに、先月締結した安全協定では、県及び大熊・双葉両町が国からの報告を受け、必要に応じて国に取り組みを促すことができることと定めたところであり、県といたしましては、県外最終処分の取り組みが確実に実施されるよう、専門家の意見を伺いながらしっかり確認してまいる考えであります。

 次に、モニタリングポストにつきましては、現在県内全域の3,660カ所に設置され、リアルタイムに空間線量率を測定しております。

 原発事故の教訓を踏まえて見直した県の地域防災計画においては、モニタリング計画に基づき空間線量率を実測し、その値に応じて避難等の防護措置を講ずることとしており、新たな緊急事態が発生した場合にはモニタリングポストにより空間線量率の変化を速やかに把握し、さらにモニタリング要員や測定車両等による実測を行い、必要な防護措置を講じてまいります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 介護報酬の改定につきましては、マイナス改定による事業者への影響が懸念される一方で、介護職員処遇改善加算の拡充や中重度の要介護者及び認知症高齢者への対応強化のための新たな加算の創設などにより、サービスの質の向上や保険料の抑制等にもつながるものと考えております。

 県といたしましては、年度内に開催する説明会や各種手続の際の助言などにより介護報酬の適切な運用を図り、介護サービスの向上につながるよう努めてまいる考えであります。

 次に、甲状腺検査につきましては、現在県民健康調査検討委員会の甲状腺検査評価部会において、これまで得られた先行検査の結果に対する評価や今後の検査の進め方、さらには進学等による県外転出者の把握などについて議論が行われており、年度内に中間取りまとめが行われる予定です。

 県といたしましては、県立医科大学とも協議しながら、この取りまとめの内容を今後の検査に適切に反映し、甲状腺検査が将来にわたり子供たちの健康を見守るものとなるよう取り組んでまいる考えであります。  

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

  南相馬市の旧警戒区域外における稲の作付につきましては、平成26年産米で安全性が確認されており、本格的な再開に向けた支援が必要であると考えております。

 このため放射性物質の吸収抑制対策を初めカメムシの追加防除などを支援するとともに、安定して高収量を得るための栽培技術の指導により、市や生産者団体の意向を踏まえた収益性の高い飼料用米の団地化を推進するなど、稲の作付再開をしっかりと支援してまいります。

 次に、漁業の復興に向けた風評対策につきましては、漁業者の信頼を裏切る今般の汚染された雨水の流出問題は極めて遺憾であり、まずは東京電力が汚染水対策に万全を期すことが何よりも重要であります。

 その上で、これまでのメディアを対象としたセミナーやツアー等の開催に加え、漁協が行う自主検査の効率化を支援するとともに、新たにいわき市と相馬市に整備される魚市場におけるPRイベントの開催や全国紙を活用した試験操業の周知拡大、漁業者に焦点を当てたテレビ番組の制作放映などにより、安全性とおいしさを積極的にPRしてまいります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 県道原町川俣線につきましては、県北地域と相双地域を結ぶ重要な路線であることから、ふくしま復興再生道路に位置づけ、平成30年代前半の完成を目標とし、八木沢峠のトンネル工事や川俣町飯坂地内の歩道整備を進めるとともに、飯舘村芦原地内の急カーブを解消する改良工事に今年度着手したところであります。

 今後とも復興まちづくりや交通の変化などに対応した整備を進め、相双地域の復興を支援してまいる考えであります。

 次に、南相馬市の都市計画道路下高平北長野線につきましては、南相馬インターチェンジと国道6号を結ぶ県道原町川俣線のバイパスとしての機能を有することから、市街地の渋滞解消や物流の効率化等の効果が期待できるものと考えております。

 今後は常磐自動車道の全線開通を踏まえ、交通量調査や交通解析などを行い、必要性や緊急性などの面から検討してまいる考えであります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 応急仮設住宅につきましては、災害公営住宅の整備等により一部に集約の動きが出ており、それに伴い、コミュニティーの維持や仮設住宅にとどまる方の自立に向けた支援が課題となっております。

 新年度においては生活支援相談員を倍増し、孤立の防止や交流の促進に努めるとともに、健康、生活等の相談に幅広く応じるなど避難者の健康維持や生活再建に向け、市町村や関係機関と一体となって取り組んでまいります。

避難地域復興局長(樵 隆男君)お答えいたします。

 福島再生加速化交付金につきましては、学校施設の環境改善や水道施設の整備、産業団地の造成など復興に向けた事業に取り組むとともに、制度の改善について機会を捉えて国に要望してきた結果、対象事業の追加や基金化が一部図られる見通しとなっております。

 県といたしましては、市町村等が計画する復興と帰還に向けた事業が円滑に進むよう、さらに使い勝手のよい交付金を目指して、引き続き国に改善を要望してまいる考えであります。

 次に、復興公営住宅につきましては、住民意向調査において現時点で入居するかどうか判断できないと回答した世帯と調査に回答していない世帯を合わせると、全世帯の半数を超えていることから、こうした方々が入居の判断を行うことができるよう、判断の参考となる復興公営住宅整備の見通しや進捗状況をきめ細かく情報提供してまいります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 小高の統合校につきましては、復興を担う人材を育て、地域再生の柱となる魅力ある学校とするため、新たな産業集積に対応できる専門性の基礎となる知識や実践的な技術を身につけるための産業革新科の新設などの学科改編を行うこととしており、新年度速やかに検討委員会を立ち上げ、カリキュラムや実習棟などの施設の内容について具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

副議長(青木 稔君)これをもって、高野光二君の質問を終わります。

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