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2015年2月定例会 一般質問 阿部裕美子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年6月15日更新
阿部裕美子議員 
議員

阿部裕美子

所属会派(質問日現在)

日本共産党

定例会平成27年2月
質問等一般質問
質問日3月3日(火曜日)

39番(阿部裕美子君)日本共産党の阿部裕美子です。

 私は、初めに東京電力が放射能汚染雨水を海に排出していたという県民への裏切り行為に断固抗議を表明し、以下質問を行います。

 ことしは戦後70年、被爆70年です。世界で初めて使われた原子爆弾は、広島、長崎を一瞬にして焼け野原にし、数十万人の命を奪いました。広島、長崎の悲劇を二度と繰り返させないために、核兵器を廃絶する運動が粘り強く続けられてきました。

 ことしは5年に1度、ニューヨークで開かれる核不拡散条約再検討会議に核兵器廃絶を求める世論を総結集しようとの取り組みが進められています。核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議にほとんどの国が賛成していますが、日本は被爆国でありながら棄権しています。

 この間、核の平和利用の名のもとで原発は推進されてきましたが、原子力災害を受けた県として、核兵器のない社会の実現に向けて積極的に取り組むべきと思いますが、見解を伺います。

 次に、男女共同参画について伺います。

 安倍政権は、女性の活躍を掲げ、「女性が輝く社会をつくる。」と述べています。安倍政権が期待する女性の活躍とはどのような中身なのでしょうか。人口減少という大問題を前に、経済成長を軌道に乗せるための課題として女性の活躍の場の拡大が挙げられました。日本の稼ぐ力を取り戻す、そのための最大の潜在力が女性の力であり、これをどう最大限発揮させていくかという成長戦略です。

 なぜ女性の活躍なのか。男性は既に長時間労働、過密労働、ブラック企業の使い捨て、過労死と活用され尽くしています。そこから見れば女性の就業率は諸外国に比べて低いので、潜在化している力はあると見られます。

 しかし、問題なのは安倍内閣が進める労働法制の改定や、介護や医療などの社会保障縮減などが新たな女性の差別と格差を広げることにつながってしまうことです。

 そうでなくても日本の女性の人権保障、男女平等のおくれは、国連女性差別撤廃委員会などの国際機関から繰り返し改善が指摘されていて、男女平等の指標を国際的に見ると日本は142カ国中104位と、先進国で最低水準と大きく立ちおくれているのです。

 女性政策は少子高齢化対策や地域づくり、雇用対策など社会の全ての側面と深いかかわりがあり、社会のあり方を根本から考えなければならない問題であると思います。

 福島県の男女共同参画条例が制定されて13年になりますが、福島県における男女共同参画の現状と課題をどのように捉え、今後どう進めていくのか、見解を知事にお伺いします。

 女性が輝く社会は男性も輝く社会です。全ての人が差別されることなく人として対等に尊重され、安心して暮らせる社会は、何よりも平和な社会を土台として築かれます。日本国憲法に掲げられていることが実現する社会であってこそ、女性も生き生きと輝くことができるのではないでしょうか。それは、福島県が掲げる日本一子育てしやすい福島県、日本一長生きできる福島県を実現する道でもあります。

 日本が発達した資本主義国の中で最もおくれているのは、女性労働者の賃金が非正規も含めると男性の半分にすぎない賃金差別です。県内の労働者の男女別賃金比較をお示しください。

 また、働く女性の2人に1人が非正規雇用です。女性の貧困を拡大している要因と言われます。非正規雇用の比率が高いシングルマザーの貧困問題も指摘されています。県内労働者に占める非正規雇用の男女別の割合をお示しください。

 女性が働き続けられないのは、出産、子育て、家庭と仕事を両立する条件が大きくおくれているからです。若い人の非婚率が高くなっているのも、非正規雇用などで仕事が不安定で賃金が低く、将来への不安が大きいことがあります。初婚の女性が理想とする子供の数は2.42人ですが、女性が一生の間に産む子供の数は、福島県は全国平均と同じく1.41人です。理想が実現しない理由として、出産年齢の全ての世代の夫婦の回答は、「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」が最も多くなっています。

 日本は産めないのではない、社会が産ませないのだと、企業や社会のあり方を鋭く告発したルポルタージュもあります。子どもを産み、育てながら安心して働き続けられる条件整備が急がれます。

 まず何よりも国が男女の同一労働・同一賃金の実現など、男女がともに人間らしく生き働ける均等な労働条件を確立することです。

 さらに「男は仕事、女は家事育児の役割分担」論を克服し、子育ては男女の責任で取り組む社会を当たり前にすることですが、県内の育児休業の取得は女性の90%に対して、男性が3.3%と大きな開きがあります。県は県内企業における男性の育児休業の取得促進にどのように取り組むのか伺います。

 国は指導的地位に占める女性比率を2020年まで30%にするとしていますが、議員の比率や行政、民間などあらゆる分野で方針、政策決定の過程に参加する女性が圧倒的に少ないことがあります。県は県職員の管理職に占める女性の割合は全国平均より低い状況を踏まえ、女性管理職の登用にどのように取り組んでいくのか伺います。

 また、市町村の男女共同参画計画の策定について県はどのように支援していくのか伺います。

 職場でのパワハラ、セクハラを防止し、男女がともに働きやすい職場環境づくりのための普及啓発にどのように取り組んでいくのか伺います。

 次に、除染についてです。

 振りまかれた放射能を取り除き、安心して暮らせる環境を取り戻すために、「除染なくして復興なし」と、除染は復興への重要課題として取り組まれてきました。しかし、原発事故から丸4年を経てスピードが遅いことや、伊達市のように除染実施の基準を年間5ミリシーベルトにして、空間線量が3マイクロシーベルト以上でなければ除染を実施せず、調査にて終了という手法が行われるなど、市町村間での違いが浮き彫りになっています。行政への不信感や不安が募っています。

 防火水槽の除染についても実施してほしいとの要望が出されていますが、実施に取りかかっているところとそうでないところと、市町村間での違いが出ています。除染という重要な課題で市町村間の違いはあってはならないことではないでしょうか。

 実施主体は市町村にあるのだからと、市町村任せにすることなく、県内全ての市町村で速やかに進められるよう広域自治体としての県の指導的役割発揮が必要であると思います。除染の取り組みに市町村間で相違があることについて県はどう考えるのか伺います。

 先日視察した国の放射性物質対策の技術実証を行っているため池では、除去物を最小にして放射線量を下げるという目的が達成されましたが、現場では多額の費用がかかり過ぎる、水抜きをして放射線量の高い泥をかき出す手法の方が安く、安心できるとの声が上がっています。県は技術実証を踏まえ、ため池の放射性物質対策をどのように進めていくのか伺います。

 次に、仮設焼却施設についてです。

 環境省が田村市と川内村の境界に計画する指定廃棄物の減容化施設の処理量を過大に見積もっていたことが明らかになりました。設置費用も膨大なものです。原発事故から4年を経過しようとしている中で状況の変化も考えられます。

 国が設置し、または設置予定の仮設焼却施設の処理量や事業費について、国に精査するよう求めるべきと思いますが、見解を伺います。

 次に、農業問題について伺います。

 日本でも、世界でも、貧富の格差と栄養不足人口の増大、気象変動による食料供給の不安定化が広がる中で農業生産のあり方の見直しが問われています。国連は昨年の国際家族農業年に続いて、ことしを国際土壌年と定め、国際的取り組みを呼びかけています。

 土壌は農業、生態系や食料安全保障の基盤であり、地球上の生命を維持する重要な役割を担っています。しかし、福島県は原発事故によってこの豊かな土壌が壊されてしまいました。地球上の土壌の33%が劣化しているとされている中で、福島県の農地の地力を回復していく取り組みも重要な課題です。農業の基本となる土づくりについて県の取り組みを伺います。

 今後の農業の復興は、農業を継ごうという後継者を生み出すことにかかっています。県は若い農業後継者の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。

 次に、有害鳥獣被害対策についてです。

 イノシシによる農地や農作物の被害増加が深刻化しています。農業者の営農意欲の低下や遊休農地の増加につながり、地域住民の生活圏も脅かすものとなっており、ふえ続けるイノシシについての有効な対策が求められています。地域で中心となってイノシシの捕獲を担う鳥獣被害対策実施隊の設置が重要と考えますが、県内の設置状況について伺います。

 猿のようにイノシシについても市町村を超えて広域で捕獲が可能な協議会の結成を進めるべきと思いますが、見解を伺います。

 西日本の取り組みに学んで、田畑を有害鳥獣の被害から守るため鳥獣侵入防護柵について積極的に普及すべきと思いますが、見解を伺います。

 あんぽ柿産地の再生について伺います。

 あんぽ柿の製法は大正時代に梁川町五十沢で開発され、全国に広まりました。発祥地としての歴史と確かな技法に支えられ、本県が全国に誇るよりすぐりの逸品として2010年に福島県のブランド認証を受けました。その直後に原発事故に遭遇し、加工自粛となり、昨年3年目にしてようやく一部生産が始まりました。

 今年度さらに生産地域が広がったものの、原発事故前に1,402トンあった生産量は、2013年200トンと14.2%に落ち込み、2014年でも33.9%の回復率です。

 郷土が誇るブランド品を復興させ、かつてのような活気を地域に取り戻すため、トレーだけでなく、主力製品であった大玉個袋包装の贈答用化粧箱も放射線量を測定できる検査機器の開発を急ぐべきと思います。震災以前の贈答用化粧箱の出荷が再開できるよう、個袋包装に対応できる検査機器の開発について県の考えを伺います。

 また、原発事故の影響に加え、高齢化や後継者不足により新たな投資も難しく、生産量の減少が懸念されています。あんぽ柿産地を維持していくための取り組みについて伺います。

 次に、災害に強い地域づくりについて伺います。

 阪神淡路大震災から20年、東日本大震災から丸4年、震災のたびに多くの人々の命が奪われ、築いてきた財産を失うことが繰り返されてきました。ここから教訓を引き出し、何よりも命を守るための対応が問われていると思います。

 地震災害はどこで起きてもおかしくありません。阪神・淡路大震災の死亡者の8割は家屋の倒壊による圧死と言われています。地震対策を行っていれば救われた命は少なくないと思います。

 まずは学校や病院、社会福祉施設、大規模集客施設など人が集まるところを優先して耐震化を進める必要があると思います。市町村立小中学校の耐震化を急ぐべきと思います。県教育委員会の見解を伺います。

 木造住宅の耐震化に対する助成制度の利用を促進すべきと思います。見解を伺います。

 土砂災害警戒区域等の指定に必要な基礎調査について、今年度の補正予算額と平成27年度当初予算額を伺います。

 農業用ダムやため池の防災対策に向けて早期に点検を行う必要があると思いますが、県の考えを伺います。

 次に、特別支援教育についてです。

 障がいがあっても一人一人の子供を大切にし、その子供の実態にふさわしい教育の場を用意することは行政の責務であります。学校での豊かな教育活動を保障できるよう、学校に通う児童生徒の過大・過密化の解消、教室の間仕切りや特別教室の普通教室への転用の解消など教育環境改善が求められています。特別支援学校に通学する子供たちの数がふえています。学校新設を含む過密解消に向けた全体計画を早急に示す必要があると思います。

 伊達地区への特別支援学校の設置を踏まえた県立特別支援学校全体整備計画の見直しについて早期に明らかにすべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねします。

 大笹生養護学校の校庭を整備すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねします。

 特別支援学校のスクールバスは希望者全員が利用できるよう運行すべきと思いますが、県教育委員会の見解を伺います。

 最後に、ひきこもり対策について伺います。

 登校拒否や社会的ひきこもりが今もふえ続けています。ここ7年から8年来ふえてきた働き盛りの社会的ひきこもりは、その代表例と言われます。2010年に内閣府が約70万人という推定人数を発表しましたが、国は実態調査をしていません。適切な対処法がわからないまま本人も家族も不安を抱えて過ごしています。

 適切な対応と援助によって社会参加につながり、働くことにつながっている人もいます。人口3,800人の秋田県藤里町の社会福祉協議会の実践が注目されています。長期間家に閉じこもっていた人たちに寄り添い、試行錯誤の末、地域ぐるみでさまざまな形の働く場を用意し、3人に1人が働き始め、ひきこもりを地域の力に変えた実践です。

 まず行った実態把握では、18歳から55歳までの8.74%が家に引きこもっていることがわかりました。これまでの国の調査による推計の5倍近い数です。本県におけるひきこもりを約9千人と推計していますが、本県においても社会的ひきこもり問題について本格的に取りかかる必要があると思います。

 市町村がきめ細かく取り組むことができるようなひきこもりの実態把握に取り組むべきと思います。県はひきこもりの実態把握にどのように取り組むのか伺います。

 身近な地域でひきこもりの相談ができるよう取り組むべきと思いますが、見解を伺います。

 ブラック企業で働いたことがひきこもりの要因になった若者など、ひきこもりの要因も社会的なものも含めて多様化しています。就労支援についても福祉的就労や中間的就労、伴走型就労支援などさまざまな取り組みが模索されます。県はひきこもりなどの若者への就労支援にどのように取り組んでいくのかお伺いいたしまして、質問を終わります。

議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)阿部議員の御質問にお答えいたします。

 男女共同参画についてであります。

 私は、本県の復興を着実に進めるためには男女がともに個人として尊重され、自己の個性や能力を発揮し、あらゆる分野にともに参画をし、責任を担う男女共同参画社会を築いていくことが極めて重要であると考えております。

 このため、復興・防災における男女共同参画の推進、これを基本目標に盛り込んだふくしま男女共同参画プランに基づき、男女共同参画意識の普及啓発や人材育成などのさまざまな施策を推進しているところであります。

 これまで男女共同参画に対する理解の深まりや意思決定過程への女性の参画拡大など一定の成果を上げてはおりますが、さらに取り組むべき課題があることから、今後ともワーク・ライフ・バランスや家庭、地域における男女共同参画の取り組みを促進するなど、男女がともに多様な生き方や働き方をより一層選択できるよう、市町村や関係団体等との連携を深めながら、男女共同参画の推進に積極的に取り組んでまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、副知事等から答弁をさせます。

副知事(鈴木正晃君)お答えいたします。

 女性管理職の登用につきましては、これまで福島県職員男女共同参画推進行動計画において目標値を設定し、キャリア形成に向けた女性管理職員等との交流会などの多様な研修機会の確保や幅広い職務経験の付与等、能力向上に取り組むなどして管理職に占める女性の割合は徐々に上がってきており、今後も積極的に進めてまいる考えであります。

直轄理事兼安全管理監(藤島初男君)お答えいたします。

 核兵器のない社会につきましては、平成12年7月に県議会におきまして決議されました「非核平和福島県宣言」にもありますように、福島県民全ての願いであり、人類共通の悲願であると考えております。

 未曽有の原子力災害を経験した本県としましては、原子力に依存しない安全・安心で持続的に発展可能な社会の実現を目指して取り組んでまいります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 市町村の男女共同参画計画の策定につきましては、地域住民を対象とした意見交換会や講座の開催を通して意識啓発を行うとともに、計画策定の手引を今年度改定し、市町村職員を対象とした説明会を開催するなど計画策定に向けた理解促進を図っているところであります。

 今後とも市町村を個別に訪問し、それぞれの課題解決のための助言をきめ細かに行うなど、市町村の男女共同参画計画策定に向け積極的に支援してまいります。

 次に、市町村除染につきましては、市町村が地域ごとの実情を踏まえて除染実施計画を策定し、住民の理解を得ながら除染関係ガイドラインや県が作成した除染業務に係る技術支援等に基づき取り組んでいるところであり、県といたしましては市町村意見交換会等を通じて除染手法等の先進的取り組み事例の情報共有や水平展開を図るなど、除染の着実な推進に取り組んでまいる考えであります。

 次に、国が設置する仮設焼却施設につきましては、廃棄物の仮置き場での保管量や自治体への調査等から推計した処理見込み量と事業期間等に基づき、施設の規模、事業費が決定されております。震災後の廃棄物の処理状況や調査精度の向上などによりこれら見込み量等が変動することもあることから、国に対し、引き続き精査を行いながら確実な廃棄物処理を進めるよう求めてまいります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 ひきこもりの実態把握につきましては、ひきこもりは家庭内の問題として表面化しにくいため実態調査は困難であり、推計値として公表されているところであります。

 県といたしましては、より効果的な支援につなげるため、本年度開設したひきこもり支援センター等の相談活動を通じてひきこもりの背景や現状の分析等を行うほか、市町村等と情報共有を図ることにより実態の把握に努めてまいる考えであります。

 次に、ひきこもりの相談につきましては、誰もが気軽に相談できる窓口としてひきこもり支援センターを開設したほか、各保健福祉事務所において家族教室を開催するなど相談支援の充実に努めてきたところであります。

 今後は身近な地域で適切な相談支援がなされるよう、市町村職員等を対象とした研修の拡充に取り組むとともに、関係機関とのネットワークづくりを進めるなど相談体制の強化に努めてまいる考えであります。

商工労働部長(星 春男君)お答えいたします。

 県内労働者の男女別賃金につきましては、国の平成26年賃金構造基本統計調査によりますと、企業規模10人以上の事業所において一般労働者に支給する現金給与額の平均は、男性が322,400円、女性が226,200円となっており、また、平均の勤続年数は男性が13.6年、女性は11年となっております。

 次に、県内労働者に占める非正規雇用の男女別の割合につきましては、5年ごとに行われている国の就業構造基本調査の平成24年調査によりますと、男性が20.5%、女性が52.5%となっております。

 次に、県内企業における男性の育児休業の取得促進につきましては、仕事と子育ての両立など働きやすい職場環境づくりに取り組む企業の認証等を通して県内企業への普及啓発に努めてまいりました。今後はこれらに加え、男性の育児休業取得モデル事業を実施し、すぐれた取り組みを行う企業への支援を行うとともに、取り組み内容等を広く県内企業に周知するなど、男性の育児休業の取得促進に取り組んでまいります。

 次に、男女がともに働きやすい職場環境づくりにつきましては、企業訪問やセミナーの開催等により、県内企業に対しその重要性について理解促進を図るためのさまざまな啓発活動に取り組んでまいりました。

 今後はこれらに加え、企業のすぐれた取り組み事例などをまとめた冊子を作成し、企業訪問等において配布するなど、男女がともに働きやすい職場環境づくりのための普及啓発に積極的に取り組んでまいります。

 次に、ひきこもりなどの若者への就労支援につきましては、働く意欲を醸成し、就労への円滑な移行を促進するための就労体験や、家族を対象とした親と子のかかわり等について学ぶセミナーの開催など、若者の自立に向けたさまざまな支援に取り組んでまいりました。

 今後ともこれらの取り組みを通じ、国の地域若者サポートステーションなど関係機関との連携を図りながら就労支援に積極的に取り組んでまいります。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 ため池の放射性物質対策につきましては、さまざまな技術実証を行い、その結果を分析し、本格展開に向けて一層の技術向上やコスト縮減の検討を行っております。

 今後は実証結果を踏まえ、個々のため池の立地条件や汚染状況及び対策の経済性などについて総合的に判断し、最適な工法の選定ができるよう、本対策に取り組む市町村への支援をしっかりと進めてまいります。

 次に、農業における土づくりにつきましては、農作物の安定生産はもとより、良質な農産物の生産を行う上で非常に重要であると考えております。このため、土壌診断等による適切な指導を行いながら放射性物質対策も含め、環境保全型農業直接支払制度の活用や耕畜連携による堆肥の施用により本県農地の土づくりを進めてまいります。

 次に、若い農業後継者の確保につきましては、農業高校生を対象とした若手農業者のもとでの実践研修や県農業会議と連携した農業法人等への就職あっせんなどを行うとともに、国の青年就農給付金制度の積極的な活用を図っております。

 今後はこれらに加え、農業短期大学校の機能強化を通じ、学生の就農率の向上を図るなど、本県農業を支える若い農業後継者の確保にしっかりと取り組んでまいります。

 次に、イノシシの捕獲につきましては、地域での組織的な対応が重要であることから、鳥獣被害防止特別措置法に基づく鳥獣被害対策実施隊の設置を市町村に強く働きかけてまいりました。その結果、これまでに31市町村において鳥獣被害対策実施隊が設置され、1千名を超える隊員が活動しているところであります。

 次に、イノシシ対策における広域協議会につきましては、農作物被害の発生状況や生息地域について市町村間で情報を共有するとともに、連携して一斉に対策を実施することが効果的であると考えております。このため新年度から複数の市町村を範囲とする広域協議会の設置を推進し、地域での足並みをそろえた対策を重点的に支援してまいります。

 次に、侵入防止柵の設置につきましては、農作物等の鳥獣被害防止を図る上で主要な対策の一つであると考えております。このため県では集落での合意形成を基本として、やぶの刈り払い等の環境整備や捕獲と組み合わせ、共同で取り組む効果的な侵入防止柵の設置について積極的に支援してまいります。

 次に、あんぽ柿の個袋包装に対応できる検査機器の開発につきましては、国が定める技術的な性能要件や効率性を満たす必要があり、現時点では困難な状況にあります。

 一方、本年度関係機関・団体で構成する福島県あんぽ柿産地振興協会が既存の検査機器を活用して、贈答用出荷に向け大玉果実を用いた2個入りトレーでの試験販売を行ったところであります。今後はその成果を踏まえ、生産者団体が行う高級感のあるパッケージデザインの作成や販売促進などの取り組みを支援してまいります。

 次に、あんぽ柿産地を維持していくための取り組みにつきましては、加工再開モデル地区の拡大に向けて原料柿の放射性物質検査を引き続き行うとともに、干し場の清掃や衛生管理の徹底などを指導し、生産回復に努めてまいります。

 さらに、生産者の減少や高齢化に対応した効率的な生産加工体制の構築など、あんぽ柿産地の維持を図る取り組みを積極的に支援してまいる考えであります。

 次に、農業用のダムやため池につきましては、今後の効率的かつ重点的な防災対策を実施するため早期に点検を進める必要があります。県といたしましては平成27年度までを集中点検期間と捉え、受益面積が0.5ヘクタール以上の農業用のダムやため池を対象に点検を進め、地域の安全・安心の確保に取り組んでまいります。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 木造住宅の耐震化につきましては、耐震診断及び耐震改修に対する補助を実施しており、市町村や事業者に対する説明会の開催、出前講座や住宅相談会の実施、県民向けのリーフレットの配布等により利用の促進を図ってまいりました。今後とも市町村や建築関係団体等と連携しながら周知活動を展開し、これらの利用促進に努めてまいります。

 次に、基礎調査の予算額につきましては、12月定例会で3,861万1千円の増額補正を行うとともに、本定例会において4億8千万円の増額補正と、4億2,003万円の平成27年度当初予算を提案しております。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 市町村立小中学校の耐震化につきましては、設置者である市町村が学校の統廃合なども考慮しながら早期完了に向けて取り組んでいるところであり、平成26年4月1日現在で27の市町村が耐震化を完了しております。

 県教育委員会といたしましては、今後とも市町村がそれぞれの実情に応じ、可能な限り早期の耐震化を図れるようきめ細かに相談に応じ、取り組みを支援してまいる考えであります。

 次に、県立特別支援学校全体整備計画につきましては、障がいのある児童生徒の学習活動が適切に行える教育環境を整えるため、全県的な視野に立って見直しを進めているところであります。

 次に、大笹生養護学校の校庭につきましては、体育の授業や学校行事等が円滑に実施できるよう整備のあり方について検討を進めてまいる考えであります。

 次に、特別支援学校のスクールバスにつきましては、各学校において毎年児童生徒の居住地や乗車時間、障がいの状況等を考慮し運行計画を策定しており、引き続き利用を希望する小中学部児童生徒が多数乗車できるよう努めてまいる考えであります。

39番(阿部裕美子君)再質問いたします。

  知事にお伺いいたします。

 男女共同参画プランの到達の現時点をしっかり踏まえた上での対策が必要だと思います。福島県は、残念ながらいろいろな指標で全国平均に到達していないという現状があります。男女平等が憲法に明記されて、女性が参政権を得てから70年になります。男女に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約が日本で批准されてから30年です。

 しかし、国際機関の統計データから、経済活動や教育、健康、政治の分野の男女格差の指標は日本は先進諸国で最低水準にあって、福島県はその日本の中でも低い状況です。地方議会に占める女性議員の割合を例に挙げれば、全国平均11.4%、福島県は7.4%です。地方公務員管理職への女性の登用状況では、福島県の割合は4.9%、全国平均7.2%と、全国平均まで届いていません。

 この議場を見ましても、執行部の女性の占める割合は極端に低いという状況でありますが、これが福島県の到達点と言えるのではないでしょうか。人口の半分は女性です。男女がともに力を合わせてこそ、よりよい社会を築く力になると思います。

 原発事故からの復興に立ち向かっている福島県にとって、女性の視点を取り入れることが大切だと思います。子供を産み育て、介護や健康のことなど、日々の生活の苦労がよくわかる女性の声を反映することがよりよい社会をつくっていく確かな力になることを確信します。男女共同参画社会の実現に向けて、新しい知事に大いに期待をしております。知事の決意のほどを再度伺います。

 次に、教育長に伺います。

 県立特別支援学校全体整備計画にも述べられていますが、小中学校、高等学校の在籍者数は減少傾向ですが、特別支援学校の児童生徒数はふえています。ふえた児童生徒に対応するために教室を間仕切りしたり、学校の増築に、大笹生のように校庭を潰したりする対応は普通学校ではあり得ないことではないですか。特別支援学校では、それがまかり通るということは、障がいを持っている児童生徒に対する差別と言わざるを得ません。障がいのある児童の数がふえているのにそれにふさわしい対応をしない、お金をかけずに安上がりの方法で済ませているところに問題があると思います。

 2006年に障害者福祉条約が国連でつくられて、日本では国内法の整理がされてきました。障がいに基づく差別を禁止して、平和な、平等な機会、チャンス、扱いを保障する法律、差別解消法に沿った対応を県はとるべきだと思いますが、教育長の見解を再度伺います。

知事(内堀雅雄君)ただいま各種の指標等も含め、福島県の現状についてお話をいただきました。


 県といたしましては、今後ともワーク・ライフ・バランスや家庭、地域における男女共同参画の取り組み、あるいは意思決定過程への女性の参画拡大など各種施策を進めながら、本県における男女共同参画の推進に積極的に取り組んでまいります。

教育長(杉 昭重君)再質問にお答えいたします。

 まず、大笹生養護学校の校庭でございますが、これまで体育の授業で体育館を使ったり、近隣のグラウンドを借用しながらやってまいりました。ただ、学校としてグラウンドは必要ですので、今後ともグラウンドの検討は進めていきます。

 それから、全体整備計画でございますが、子供たちがよりよい教育環境で学習できるように、今後とも全体整備計画の見直しを進めてまいります。

39番(阿部裕美子君)再々質問をいたします。

 教育長に伺います。

 特別支援学校のスクールバスについてですけれども、希望者は全員使えるような対応をすべきではないでしょうか。片道約1時間かかる状況で通学を余儀なくされています。最初からスクールバスに乗ること、車椅子の子供は除外されています。そういう状況は改善していかなければならないと思います。

 伊達方部から23年、24年、71名が通学しています。さらに、ことしは数がふえることが予想されています。身近な地域で学ぶことができるような対策をとっていく、これが県としての障害特別支援学校に対する対応として必要なことではないでしょうか。もう一度教育長の答弁をお願いします。

 それから、生活環境部長に伺います。

 除染の着実な取り組みを行っていくとの答弁でありましたけれども、例えば伊達市では9月末、住宅除染が11,730戸、12月末で11,731戸、調査にて終了5,229戸、9月末の段階です。12月末で5,230戸、3カ月たって1戸の除染しか進んでいません。こういうような現状についてどのように把握され、どういうふうに推進していくのか、もう一度答弁をお願いします。

 それから、農林水産部長に伺います。

 イノシシの対策についてですけれども、昨年1万1千頭捕獲しました。今1.2倍の勢いでイノシシがふえている。福島県にとっては正念場の状況だと思います。九州とか西日本のような状況にならないように、今しっかり対策していくことが求められていると思います。地域の皆さんにとっては、福島県の本気が見えないという声もあります。もっと積極的な予算規模についても取り組みが必要だと思います。もう一度答弁をお願いします。

生活環境部長(長谷川哲也君)再質問にお答えをいたします。

 伊達市を初め各市町村においてそれぞれ地域の実情を踏まえて除染実施計画を策定し、それに基づき住民の方々の理解を得ながら取り組んできているものと認識をしております。

 先進的な取り組み事例の情報共有、そして水平展開を図りながら、除染の着実な推進に引き続き取り組んでまいる考えであります。

農林水産部長(畠 利行君)再質問にお答えをいたします。

 イノシシ対策につきましては、鳥獣保護法が改正になりまして、個体調整も含めて実施するというふうになりました。市町村が行う対策や予算につきましては、ことしは一昨年の2.5倍の予算を計上しましたし、来年度につきましても市町村の要望どおり今年度を上回る予算を計上しておりますので、しっかりと取り組みを支えながら県としても頑張っていきたいと思っています。

教育長(杉 昭重君)再質問にお答えいたします。

 スクールバスの運行についてでありますが、各学校では学校が始まる前に、保護者、それから子供たちの障がいの程度、そういうものを考慮しながら運行計画というものをつくっております。その中で、いろいろと希望を聞きながらやっております。これからもそういうものをしっかりとやりながら、多くの子供たちがスクールバスに乗れるようにやっていきたいと思います。

議長(平出孝朗君)これをもって、阿部裕美子君の質問を終わります。

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