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2015年2月定例会 一般質問 古市三久議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年6月16日更新
古市三久議員 
議員古市三久
所属会派(質問日現在)福島・みどりの風
定例会平成27年2月
質問等一般質問
質問日3月5日(木曜日)

24番(古市三久君)福島・みどりの風の古市三久でございます。

 内堀知事におかれましては、知事就任以来八面六臂の御活躍に敬意を表したいと思います。これからも福島県の復興が1日も早く実現できるようにリーダーシップを発揮しての御活躍を心から期待するものであります。

 初めに知事に質問をいたします。有事から平時への回復についてです。

 知事は昨年の答弁の中で、福島県の現状を「有事」と表現をしております。私も有事にあると思います。知事は有事について「いまだ12万人を超える方々の避難や多方面における厳しい風評」などと述べています。原発をめぐる状況は、汚染水対策など極めて困難な現実に直面しており、まさに有事にあると思います。

 中間貯蔵施設は、除染廃棄物の搬入が始まりますが、用地の確保などこれからが正念場になると思います。中間貯蔵施設は、改正された中間貯蔵・環境安全事業株式会社法に「30年以内に県外で最終処分を完了する必要な措置を講ずる」と国の責務が明記されました。

 同時に附則では「施設の周辺の地域の住民その他の関係者の理解と協力の確保の状況その他の状況を勘案しつつ、最終処分の方法に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。」となっており、県外処分が約束どおり実行されるかどうかは疑問と言わざるを得ません。最終処分場になることも否定できません。

 さらに、中間貯蔵施設と指定廃棄物処分場は環境省の事業であり、基準遵守の指導監督は環境大臣にあり、原子力規制委員会等の許可は不要になっております。アクセルとブレーキが一緒になっています。信頼が得られないとの指摘もあります。こうしたことから見ても、福島県が平時に戻るのは極めて長期になってくるのではないかと思います。

 廃炉措置、溶融燃料を取り出して更地にするまでを有事とするなら、50年、100年と長期間耐えなければなりません。国民の安全・安心を考えるなら、1日も早く有事から平時に戻すことだと思います。それは挙げて知事の手腕にかかっていると思います。

 そこで、知事は有事が解消し平時に戻るという状況についてどのように考えるのかお尋ねをいたします。

 次に、第一原発が平時に戻る時期についてですが、廃炉の取り組みにおける平時とは中長期ロードマップ上のどの時点を示すのかお尋ねをしたいと思います。

 2つ目は、原発事故の検証と総括についてです。

 泉田新潟県知事は、2013年8月21日定例記者会見において「再稼働の議論は今の段階ではしません。福島第一原発の事故の検証・総括が終わっていないからです。」と記者の質問に答えています。

 また、原発稼働の是非を問う県民投票の実施について反対をしました。その理由は、「県民が判断するための情報、柏崎刈羽原発稼働の是非を考え、議論するに必要な情報をまだ誰も持っていないのではないか」ということです。説得力のある見解だと思います。

 ことし泉田新潟県知事は、東京電力の廣瀬社長と会談した際、「まずは福島第一原発事故の原因究明だ。」と語っています。その中で、「東京電力の関係者が政府事故調の調書の公開に応じていないことや、県の技術委員会での対応を見ても、原因究明に後ろ向きだということを極めて残念に思っている。」と疑問もつけ加えております。

 原発事故の被災県として、第一原発の事故の検証と総括を県の責任で進め、事故の原因を県民に明らかにすべきと思います。

 そこで、県として福島第一原子力発電所事故の検証と総括を行い、その結果を県民に明らかにすべきと思いますが、県の考えをお尋ねをいたします。

 3つ目は、介護保険事業についてです。

 防衛費は過去最高の伸びとなりましたが、介護報酬が4月から全体で2.27%引き下げられます。人手不足がより深刻になり、介護の現場の崩壊が懸念されています。制度開始時よりも報酬は実質2.1%下がり、3年前と比べて消費者物価は4%超上昇していることを考えても、理不尽な引き下げと言わなければなりません。

 介護職員は、低賃金と重労働で離職率も高く、慢性的な人手不足になっています。特養などの施設サービスの報酬は大幅に引き下げられました。施設の経営自体が悪化すれば、職員の賃金引き上げは机上の空論になりかねません。

 消費税増税は、社会保障費の確保が目的でしたが、介護報酬額を減少させ、年金も物価上昇スライドは大幅に抑制されています。約束違反と言わなければなりません。

 安倍総理は総理就任以来外遊31回、対外支援は既に6.5兆円になりました。国内の社会保障費は減少させながら、外国には大盤振る舞いをしています。消費税の増税分が対外支援によって帳消しになっています。

 介護報酬削減は、ちょうど2千数百億円になります。介護報酬の削減で、日本の将来の介護保険、介護制度自体が崩壊するかもしれないというのに、安倍首相は気前よく中東に2,900億円をばらまいてきました。国民は踏んだり蹴ったり、まさに本末転倒だと思います。

 そこで、以下9点お尋ねをいたします。

 1点目、県内特別養護老人ホームにおける入所率と空きベッド数をお尋ねいたします。

 2点目、特別養護老人ホームの入所希望者について、震災前と直近の人数をお尋ねいたします。

 3点目、平成27年度中に新設または増設を予定している特別養護老人ホームの施設数と定員及び配置基準上必要な介護職員数をお尋ねをいたします。

 4点目、相双地方といわき市の特別養護老人ホームにおいて、平成27年4月に新卒で採用が内定している介護職員数をお尋ねをいたします。

 5点目、配置基準上の介護職員数を確保している県内の特別養護老人ホームがより多くの介護職員を必要としている現状について、県の考えをお尋ねいたします。

 6点目、介護職員が不足している要因について県はどのように考えているのかお尋ねをいたします。

 7点目、介護職員処遇改善加算は介護職員の待遇改善につながるのか、県の考えをお尋ねをいたします。

 8点目、介護報酬の今回の削減により事業者及び利用者はどのような影響を受けるのか、県の考えをお尋ねをいたします。

 国は、法人の内部留保を問題にしておりますが、介護労働者の処遇改善を置き去りにするような法人監査のあり方について問われていると思います。適正な内部留保と介護労働者の処遇改善は不離一体のものでなければならないと思います。

 そこで、国において議論されている社会福祉法人のいわゆる内部留保について法人に対する指導監査項目にすべきと思いますが、県の考えをお尋ねをいたします。

 4つ目は、溶融燃料の処分場についてです。

 ロードマップが最終目標にしている廃止措置は、燃料デブリを取り出して更地にすることです。廃止措置ができなければ燃料デブリは百年単位でその場にとどまることになるかもしれません。

 復興加速化指針の目標は3つあり、どのように事故収束を実現するかという方策をも明らかにすると明記されています。真っ先に議論すべきは燃料デブリの処分場でなければなりません。燃料デブリの処分場は最大の課題であり、事故収束作業と並行して議論を進めるべきです。燃料デブリの行き先が見つからなければ、ロードマップが最終目標にしている廃止措置は絵に描いた餅になります。

 そこで、事故収束作業と並行して溶融燃料の処分場について検討すべきと思いますが、県の考えをお伺いいたします。

 5点目は、汚染水対策についてです。

 東京電力福島第一原発の汚染水処理が3月末には終了せず、5月末まで延びることになりました。2月5日の時点で濃縮塩水24万1,900トンががためられています。3系統のALPSを稼働することにより、1日1,215トン処理することができますので、全てを処理するのには199日かかります。しかし、199日間、毎日400トンの汚染水が発生します。あと300日はかかる計算になります。とても5月には終わりません。東京電力は汚染水の定義を変えてつじつま合わせに躍起になっておりますが、それも断念したようです。

 汚染水処理とは、当初の定義どおりトリチウムのみの汚染水にすることであり、その見通しについてお尋ねをいたします。

 多核種除去設備により汚染水の処理が完了する見通しについて、県の考えをお尋ねをいたします。

 原発敷地を流れる地下水は3種類あると言われております。3番目の地下水は原発建屋の130から160メートル下にあり、事故前は1日3,000トンをくみ上げて使用していました。第2層の地下水の汚染が進んでいるので、下の第3層に汚染水は沈下しているとも指摘もあります。それにより廃炉計画にも影響が出ると言われております。

 そこで、第3帯水層の地下水が汚染されて海に流出している可能性はないのかお尋ねをします。

 今問題になっている全ての排水路の雨水は、本来は事故直後から液体廃棄物として管理対象にすべきでした。それを放置してきた国、東電の責任は重大です。

 昨年1月から、東電は管理対象にするために検討すると称して、湾外に高レベルの雨水を放出してきました。県は昨年1月の特定原子力施設監視・評価検討委員会等の会議に出席をしておりましたので、事実は把握していたと思います。把握しておりながら、監視、情報提供を求めず放置してきた県の責任も重大と指摘せざるを得ません。

 県は問題が明らかになってから対応に終始しています。この問題を契機に県の監視、対応のあり方の見直しが必要だと思います。

 そこで、原子力規制委員会から東京電力に対してK排水路の調査を求めた時期についてお尋ねをいたします。

 汚染水対策、凍土壁の運用など東京電力の事故処理は、廃炉の措置の入り口で立ち往生しています。事故から時間が経過するほど事故収束の困難性が明らかになっています。もはや東京電力では手に負えない状態にあるのではないでしょうか。燃料デブリの状況を把握していない時点で、中長期ロードマップに廃炉完了の時期を決めていることも疑問です。第一原発を国有化するなどの抜本的な見直しによる事故収束を国に求めるべきではないでしょうか。

 そこで、東京電力がみずから行っている事故収束作業では限界があると思いますが、県の考えをお伺いいたします。

 6点目は、凍土遮水壁についてです。

 昨日、原子力規制委員会田中委員長は、凍土遮水壁の効果に疑問を投げかける記者会見をしております。さらに、国や東電に不満をぶつけています。

 事故によって被害をこうむっている県民の不満は頂点に達しています。国の原子力政策の中で、規制委員会は機能不全に陥っていると思います。

 凍土壁の建設は、規制委員会の部会の了解の上で昨年6月見切り発車で着工しています。その後、昨年9月17日、原子力規制委員会は地下の配管などが障害となっていた山側の区間の工事を認めました。海側については、汚染水対策のおくれから工事の申請ができない状態で今日まで来ていると思います。

 東電の計画では、2014年中に凍土壁と敷地のアスファルト化を完成させ、2015年3月から凍土壁、注水井の本格的な稼動を行って、30カ月後には建屋内の汚染水水位をゼロにして、その後で地下水の流入、流出場所を明らかにして建屋内をドライアップ(汚染水の完全除去)してから止水作業を開始して、7年後には凍土壁を撤去するとなっています。

 そこで、以下お尋ねをいたします。

 地下水位の低下による地盤沈下が廃炉安全監視協議会でも問題になったようですが、凍土遮水壁を設置することにより原子炉建屋等の地盤沈下の可能性はないのかお尋ねをいたします。

 地下水位のコントロールに失敗すればさらなる汚染水の外部流出が懸念されますが、凍土遮水壁の設置に伴い、注水井による地下水位の管理をどのように行うのかお尋ねをいたします。

 ドライアップ(汚染水の完全除去)によって溶融燃料が高温になる可能性が心配されますが、凍土遮水壁を設置することにより溶融燃料に影響を及ぼさないのかお尋ねをいたします。

 凍土壁の外側の水位が高くなることによってサイホンの原理による影響が考えられますが、凍土遮水壁の下部から地下水の浸透が生じないのかお尋ねをいたします。

 凍結管が冷凍機から数百メートル離れていることにより冷凍能力の低下が懸念されますが、凍土遮水壁に用いる冷凍機の凍結能力は十分なのかお尋ねをいたします。

 東電は2月9日、当初目指していた14年度運用開始を断念しましたが、今後の凍土遮水壁の運用、止水完了などについてお伺いをいたします。

 凍土遮水壁の設置後どのような状態になれば止水完了と判断されるのかお尋ねをいたします。

 凍土遮水壁の設置後に止水が完了しない場合、いつまで凍結を続けるのかお尋ねをいたします。

 凍土遮水壁の効果が見られない場合、事業中止の判断は誰が行うのかお尋ねをしたいと思います。

 7点目は、原発労働者の賃金についてです。

 福島第一原子力発電所の労働災害が事故前の3倍に増加しています。労働者は、放射能で汚染された高線量エリアの中で大量被曝作業、想定外、マニュアル外での作業、下請多重構造による賃金ピンハネとずさんな放射線被曝管理の中での作業を強いられています。こうした構造の中で、死亡事故を初め労働災害が多発しています。

 今回の死亡事故に伴う労働者への待機命令は会社都合であることは言うまでもありません。労働者を待機とする性格上、労働者を拘束し、一定の制約を課したことになりますので、賃金の完全支給を東電に求めるべきと思います。

 東京電力は安全総点検により待機中となった労働者に対して賃金が支給されるよう対応すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 8点目は、環境創造センターについてです。

 環境創造センターの目的は、原発事故による放射性物質で汚染された環境を早急に回復し、県民が将来にわたり安心して暮らせる環境を創造するとなっております。

 しかし、設置準備検討委員会のトップなど原子力を推進している方々が計画にかかわっております。放射線の基礎知識の展示例として、低線量被曝の健康影響に否定的な著書からイラストを引用しているなど、原発安全神話、放射能安全神話の新たな拠点としての原子力のPR館を連想させます。

 交流棟は環境回復に力点が置かれ、深刻な被害については二の次、放射線との共生を訴える色合いまで出ているとの指摘もあります。

 研究棟はJAEAと国立環境研究所が入り、IAEAも拠点を置く予定になっております。JAEAは原子力推進機関であり、IAEAは原子力に肯定的な立場をとってきました。

 福島にとって大切なことは、原子力業界からの影響を排して、あくまで被災者の視点に立った原発に頼らない社会をつくるのに役立つものにすべきと思います。新たな安全神話の拠点になってはなりません。県が計画している環境創造センターは新たな原子力安全神話を連想させるが、考えをお尋ねをいたします。

 9点目は、原子力損害賠償についてです。

 現在、東京電力の賠償に納得がいかない多数の被害者が、原子力損害賠償紛争解決センターに和解の仲介を申し立てています。

 紛争解決センターにおいては、これまで一定の和解が成立をしておりますが、東京電力が和解仲介案を受け入れない事例もあり、東京電力には誠実さが欠けていると言わざるを得ません。

 紛争解決センターの和解仲介は被害者の早期救済につながることから、和解仲介案が著しく不合理なものでない限り東京電力に受け入れさせる法的措置を含めて、国による指導監督の強化が必要であります。

 そこで、国に対して原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介案の受け入れを加害者に義務づける立法を含め、東京電力への指導監督を強化するよう求めるべきと思いますが、県の考えをお伺いいたします。

 大きな10点目は、国の避難指示の解除についてです。

 安倍首相は、1月30日午後の衆議院予算委員会で、福島第一原発の状況について「汚染水対策を含め、廃炉、賠償、汚染など課題が山積している。」とした上で、「今なお厳しい避難生活を強いられている被災者の方々を思うと、収束という言葉を使う状況にはない。」との認識を示しています。

 県内の避難指示解除をした町村を見たとき、生活環境が整わないまま帰還に追い込まれています。住民は仕事を失い、賠償も打ち切られ、厳しい現実に引き戻されています。原発事故が収束していないのに自治体を避難指示解除に追い込むことは矛盾していると思います。地元が歯どめをかける有効な手段がない中で、国が都合よく物事を進めやすくなっているとの指摘もあります。

 被災者一人一人の生活再建の条件が整備されることが避難指示解除の最低条件ではないでしょうか。原発事故が収束していない中での避難指示の解除は地元軽視、住民軽視そのものと言わなければなりません。原発事故が収束していない中で国が避難指示を解除することについて、県の考えをお尋ねをいたします。

 大きな11は、内部被曝線量の推計についてです。

 甲状腺検査について内部被曝線量の分析を進め、甲状腺がんとの因果関係の検証に踏み込むべきだとの声が、県民健康調査検討委員会の中で出されています。原発が爆発した直後の放射性ヨウ素による放射能汚染のさなか、国と県はほとんどの県民を避難させずに置き去りにいたしました。そのためにも放射性ヨウ素による甲状腺被曝と多発している甲状腺がんとの因果関係を明らかにする責務があると思います。

 完全なものではありませんが、福島県内の放射性ヨウ素汚染マップは3枚残されています。日本原子力研究開発機構が公表した汚染マップは、6月14日時点の汚染をあらわしており、それと一体となすヨウ素131市町村別推計降下量の一覧表があります。

 6月14日は東日本大震災から95日目になります。96日目で放射性ヨウ素は4千分の一になります。一覧表の数字全てを4千倍にすると、全て1平方メートル5千ベクレルを超える値になります。また、ヨウ素129からヨウ素131を推計することも可能です。ヨウ素129は、半減期が1,570万年で、ヨウ素の証拠隠滅をさせない核種と言われております。ヨウ素汚染マップと甲状腺がんの患者数のマップを重ね合わせると、因果関係が明らかになるかもしれません。

 そこで、放射性ヨウ素の汚染マップの活用やヨウ素129の測定値により内部被曝線量を推計すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 12番目は、農協改革の本県農業への影響についてです。

 JA改革の目的は農業者の所得向上でしたが、いつの間にか柱はJA全中の抜本的な見直しとなり、地域農協に対する監査権限を廃止し、全中を社団法人に転換することに落ちつきました。

 JA改革は、TPPに反対するJAの口封じとも言われておりますが、真の狙いは在日米国商工会議所によるJA解体であり、JAバンク、JA共済の規制撤廃です。日本の金融・保険市場を競争原理の市場に丸ごと放り込むということであります。

 TPP交渉の中で既得権益、岩盤規制などと攻撃の対象とされ、解体を迫られてきました。JAバンクやJA共済、JAによる販売、加工、指導などいわゆる本来業務があり、それがあってこそ組合員がお金を預ける銀行業務や、助け合いの精神から生まれた共済事業があります。市場原理とは一線を画す互助的な取り組みであります。

 こうした営みが日本社会に存在して地域社会を守ってきました。地域の農協は地方を支える生活インフラの役割を果たしています。それが解体するというのがJA改革ではないでしょうか。

 そこで、国の農協改革が本県農業に与える影響について県はどのように考えているのかお尋ねをいたします。

 13番目は、イノシシ対策についてです。

 震災後、イノシシの生息数の増加や生息域の拡大に加え、農業被害が深刻化していることから、県は新たな管理計画のもと個体管理を行うとしております。管理計画は、イノシシの捕獲頭数をふやすことが前提ですが、捕獲の担い手である狩猟者は高齢化などにより減少しており、人材の育成はこれからの課題と考えます。

 そこで、イノシシの捕獲について当面は自衛隊を活用すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 14番目は、県営住宅入居者への家賃減免制度についてです。

 千葉県銚子市の県営住宅において、家賃滞納で強制退去になった母親が無理心中を図り長女を殺害した事件を受けて、国交省は入居者に家賃減額制度を十分に説明し、必要に応じ減額などの負担軽減措置を講じ、市町村と連携して生活保護申請の助言をも行うように求めております。

 生活に困窮している県営住宅の入居者への家賃減免制度について、利用の実績と周知の方法をお尋ねをいたします。

 15番目は、海岸堤防の整備についてです。

 巨大防潮堤の建設を前提にして復興政策が進められておりますが、巨大防潮堤は住民生活の視点から見ればさまざまな問題点を引き起こすことも懸念されます。巨大防潮堤の建設は、生態系の破壊、景観の破壊はもとより、今回の津波で再生した海辺の再破壊も問題視されております。

 また、環境の保全を理念の軸の一つとして取り入れた現行の海岸法や河川法の考え方に矛盾し、さらには、こうした現行法にのっとって進められている各省庁の復興施策、環境省のグリーン復興や国交省の河川・海岸構造物の復旧における景観配慮の手引などとも不整合を起こしているとの指摘もあります。

 1次産業、特に漁業や観光業が、災害そのものではなく、その後の防災事業の実施によってその存在基盤を奪われる危険性も指摘されております。加えて、住民合意やアセスメントは不要なものとして進められております。

 防潮堤が張りめぐらされ、海への遮断壁となり、海へ出られず、海との距離が遠くなることは明らかであります。海との距離を縮める対応策は用意されているのか問われております。海岸堤防の整備に当たっては、地域住民や海岸利用者に配慮すべきと思いますが、県の考えをお伺いをいたします。

 16番目は、復興公営住宅建設地に隣接する道路の整備についてです。

 復興公営住宅の入居による住民の増加によって、隣接する道路においては通行量が増加し、渋滞が発生したり、児童や生徒の通学に支障が出たりすることが予測されます。

 ある受け入れ市町村では復旧・復興事業を数多く抱えており、職員が不足していることから道路整備などが困難であると伺っております。

 そこで、復興公営住宅建設地に隣接する道路の整備を県が受け入れ市町村にかわって行うべきと思いますが、考えをお尋ねいたします。

 17番目は、県道いわき浪江線についてです。

 震災以降、いわき市内での交通混雑は激しさを増しております。特に県道いわき浪江線は、復興や廃炉、除染等の関係車両で朝夕に渋滞が発生しており、歩行者や農作業車両の安全確保のためにも渋滞を減らす取り組みが必要と考えております。

 そこで、県道いわき浪江線のいわき市内における渋滞の緩和について県の考えをお尋ねいたします。

 次に、国の直轄除染作業従事者の通勤時における交通マナーの徹底についてであります。

 県道いわき浪江線のみならず、周辺の生活道路にまで国の直轄除染作業に従事している作業員等の車両が朝夕の通勤時間帯に頻繁に通行しており、子供の通学やお年寄りの散歩など地元の住民は日々不安を抱えながら生活している状況にあります。

 そこで、国直轄除染作業従事者の通勤時における交通マナーの徹底を国に求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 18番目は、応急仮設住宅の用途廃止についてです。

 県は新年度から、あいた応急仮設住宅を復旧・復興事業を担う作業員の仮設宿舎にして貸し出す方針であると新聞報道がありました。

 いわき市内には多くの原発作業員等が宿泊しており、幹線道路、特に県道いわき浪江線は朝夕を中心に渋滞が発生している状況にあります。いわき市内にある応急仮設住宅を原発作業員の仮設住宅として使用させることになれば、さらにいわき市での原発作業員の宿泊者がふえ、ますます交通渋滞が発生することになります。

 そこで、いわき市内の応急仮設住宅について、原発事故の収束作業等に従事する作業員の仮設宿舎として貸し出すべきではないと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 19番目は、県有施設における新電力の導入についてです。

 平成12年3月の電気事業法の改正により、東北電力株式会社などの一般電気事業者のほかに、特定規模電気事業者、いわゆる新電力からの電力購入が可能になっております。

 「脱原発を進める県」として、脱原発政策で最も効果的なのが、特定規模電気事業者、PPS(パワー・プロデューサー・アンド・サプライヤー)から電気を買うことです。県施設は、現状より確実に電気代が安くなる施設からPPSに切りかえていくべきと思います。

 また、導入に向けて、電気使用量・電気代平均単価契約方式について調査を進めるべきではないでしょうか。できるだけ早い時期に大きな経済効果を図れるように検討すべきと思います。

 そこで、県有施設における新電力の導入にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 20番目は、携帯電話の通話エリアの拡大についてです。

 携帯電話の通話エリアについては事業者や国・県の補助事業によって整備が進められ、平成26年5月現在で本県の世帯カバー率が全町村避難の6町村を除き約99.8%になりました。いまだに携帯電話を利用できない中山間地域には約3,100人の方が住んでいます。こうした現状を解消するため、携帯電話の基地局整備を積極的に進めるべきと思います。

 そこで、携帯電話の通話エリアの拡大にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねをいたします。

 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。

 

知事(内堀雅雄君)古市議員の御質問にお答えいたします。

 有事が解消される状況についてであります。

 未曽有の複合災害から間もなく4年、長引く避難生活や各方面への風評など、復興はいまだ途上にあり、これらを総体的に捉え、福島県は有事が続いていると認識をしております。

 このような現状を打破し、課題を一つ一つ克服していくため、総合計画、復興計画に基づくさまざまな施策を全庁一丸となって進めているところであり、私はこれらの取り組みを通して美しく豊かな県土を取り戻し、産業全体が活力にあふれ、産み育てやすい環境の中であらゆる世代が生きがいを持って暮らせる福島県づくりを1日も早くなし遂げてまいる考えであります。

 その上で、県民の皆さんが復興をしっかりと実感をし、福島に生まれて、住んでよかったと、この誇りを取り戻していくことが真の復興につながっていくものと考えております。

 今後も就任時に掲げた基本姿勢を貫き、光り輝く新生ふくしまの創造を力強く進めてまいります。

 その他の御質問につきましては、副知事等から答弁をさせます

副知事(鈴木正晃君)お答えいたします。

 新電力につきましては、県有施設の維持管理経費縮減等の観点から、既にテクノアカデミー郡山など5施設において導入しており、電気料金の削減に一定の効果を得ているところであります。

 現在教育庁が所管する施設においても、新電力等を対象とした一般競争入札の手続を進めており、今後も導入効果の検討を行いながら、さらなる新電力の導入に向け取り組んでまいる考えであります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

  携帯電話の通話エリアの拡大につきましては、補助事業の活用により基地局を整備し、これまでに120地区、約1万5千人分のエリア拡大を図ってきたところであります。

 県といたしましては、引き続き未整備地区における情報通信格差の解消を図るため、市町村と連携を密にして事業者への整備要請を強化するなど、携帯電話の通話エリア拡大に取り組んでまいる考えであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 中長期ロードマップにおける廃炉の取り組みにつきましては、安全かつ着実に進められることが本県の復興の大前提であり、汚染された雨水の海への流出など喫緊の最重要課題である汚染水問題の一刻も早い解決、また、溶融燃料の取り出しについて国及び東京電力が世界の英知を結集し、総力を挙げて取り組むべきであると考えております。

 次に、原発事故の検証と総括につきましては、政府や国会の事故調査委員会が検証を行い、取りまとめた報告書において継続して検証が必要とされた事項等について、原子力規制委員会が確実に調査を進めるとともに、その調査結果についてわかりやすく情報を提供すべきであると考えております。

 次に、溶融燃料につきましては、原子炉圧力容器内部における分布状況の調査や取り出し技術の研究などが開始され、今後処理処分については研究が進められることとなっております。

 県といたしましては、これまでも県内の原子力発電所で使用した核燃料は県外へ確実に搬出するよう求めてきたところであり、溶融燃料につきましても国及び東京電力の責任において県外に搬出され、処分されるものと考えております。

 次に、多核種除去設備による汚染水の処理につきましては、計画どおりの稼働実績が得られないことから、ストロンチウム除去設備等も導入して処理が進められておりますが、本年1月に東京電力から、当初予定していた年度内の全量処理が本年5月中になる見通しであり、その具体的な完了時期は3月中旬までに示すとの報告を受けております。

 県といたしましては、汚染水処理のスケジュールを具体的かつ定量的に示すよう求めているところであります。

 次に、第3帯水層の地下水につきましては、東京電力から、これまで第3帯水層よりも地表面に近い第2帯水層の地下水において、護岸付近のボーリング等による影響を除くと放射性物質が検出されていないこと、また、第2帯水層と第3帯水層の間には水を通しにくい粘土質の地層があることから、第3帯水層の地下水が汚染され海に流出している可能性は低いと聞いております。

 次に、K排水路の調査につきましては、平成26年3月31日に開催された原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会において、東京電力が敷地境界における線量低減策に関する議題の中で、各排水路の評価手法を確立するための調査や各排水路の計画的な清掃について説明し、原子力規制委員会が確認しております。

 次に、事故収束作業につきましては、一刻も早い事故収束と安全かつ着実な廃炉が本県復興の大前提であります。

 東京電力はこのたびの汚染された雨水の海への流出など汚染水問題の一刻も早い解決や廃炉に向け、速やかな情報公開を徹底しながら、全社を挙げて取り組み確実に結果を出すべきであり、また、国は汚染水対策を初め廃炉がみずからの事業であるとの認識のもと、さらに前面に立ち、世界の英知を結集し、責任を持って進めることが重要であると考えております。

 次に、原子炉建屋等の地盤につきましては、東京電力が原子力規制委員会に提出した実施計画において、堅固で十分な安全性を有していること、また、建屋周りの地下水の水位は震災前も建屋基礎付近まで低下させていたこと等から、凍土遮水壁の設置に伴う地盤沈下による建屋等への影響はないとされております。

 次に、凍土遮水壁の設置に伴う地下水位の管理につきましては、東京電力によると、地下水の水位が建屋内滞留水の水位を下回ることのないよう、凍土遮水壁内の全体に31本設置した井戸へ必要に応じて注水することにより、地下水と建屋内滞留水の水位差を0.3メートル以上に維持することとされております。

 次に、溶融燃料につきましては、東京電力によると循環注水冷却により冷却が維持されており、凍土遮水壁の設置に伴う地下水の水位等の変動による影響はないとされております。

 次に、地下水の浸透につきましては、東京電力から凍土遮水壁造成前後の地下水流動予測を行った結果、凍土遮水壁の下部から地下水が浸透するものの、その量はわずかであると聞いております。

 次に、冷凍機の凍結能力につきましては、国及び東京電力において福島第一原発で実際に凍結管を埋設して行った実証試験により凍結することが確認されており、凍結能力は十分であるとしております。

 次に、止水完了につきましては、東京電力から、凍土遮水壁設置後に凍土遮水壁の外側と内側の水位差や原子炉建屋等への地下水流入量の減少を確認しながら判断するものと聞いております。

 次に、凍土遮水壁の凍結につきましては、国及び東京電力においては凍結ができていない箇所がある場合等には、補助工法を併用して凍結を促進し、確実に止水することとしております。その後原子炉建屋等の止水により地下水の流入が防止され、凍土遮水壁が不要であると認められるまでの間、凍土遮水壁を維持するとされております。

 次に、凍土遮水壁の効果につきましては、敷地内の舗装による雨水の浸透防止など重層的な対策を講ずることとされており、必要に応じ政府の判断において対策の見直しを検討することとされております。

 次に、安全総点検中の賃金につきましては、福島労働局が東京電力に対し、作業員に対する待機期間中の賃金について適切に支払われるよう対応を求めており、東京電力では現在対応を検討していると聞いております。

 次に、環境創造センターにつきましては、県政の基本方針である原子力に依存しない社会づくりに向け、環境放射能のモニタリング、除染等の調査研究、環境や放射線に関する情報の収集・発信、研修を実施するなど、放射性物質に汚染された環境を回復し、県民が将来にわたり安心して暮らせる環境を創造する拠点として整備してまいる考えであります。

 次に、自衛隊につきましては、自衛隊法に基づき、治安維持上重大な事態や天災地変その他の災害に際して派遣を要請することができることとされております。イノシシの捕獲については、今後とも関係機関と連携し、狩猟者の確保と育成を図りながら積極的な捕獲に努めてまいります。

 次に、国直轄除染作業従事者の交通マナーにつきましては、これまでも国に対し通勤時の交通渋滞の回避や交通安全対策を講ずるよう事業者への指導を求めてまいりました。県といたしましては、地域住民の不安解消に向け、引き続き国に対し交通マナーの徹底等について事業者を十分に指導するよう求めてまいる考えであります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 県内の特別養護老人ホームにおける入所率と空きベッド数につきましては、本年1月1日現在で入所率は97.1%、空きベッド数は295床となっております。

 次に、特別養護老人ホームの入所希望者につきましては、震災前の平成23年1月1日現在で12,093人、直近の平成26年4月1日現在で12,516人となっております。

 次に、平成27年度中に新設または増設を予定している特別養護老人ホームにつきましては11施設で、定員数は入所とショートステイを合わせて690人となっており、配置基準上常勤換算で234人以上の介護職員が必要となります。

 次に、相双地方といわき市の特別養護老人ホームにおいて、本年4月に新卒で採用が内定している介護職員数につきましては、施設に確認したところ相双地方は4施設で12人、いわき市は14施設で49人となっております。

 次に、県内の特別養護老人ホームが配置基準を上回る介護職員を必要としている現状につきましては、各施設において利用者に対しより質の高い介護サービスを提供するため、また、介護職員の夜勤の負担軽減、休暇の取得や研修の受講機会の確保などにより、離職の防止や定着を図るためにより多くの職員を必要としているものと考えております。

 次に、介護職員が不足している要因につきましては、平成25年の実態調査の結果においては、職場での身体的・精神的負担が重い割に賃金や社会的評価が低いことなどが挙げられております。また、原発事故等により職員が退職したことも大きく影響していると考えております。

 次に、介護職員処遇改善加算につきましては、サービス提供事業者は加算で算定した額以上に介護職員の給与、手当、賞与等の改善を行う必要があり、さらに処遇改善の内容及び費用を全職員に周知しなければならないことから、介護職員の待遇改善につながるものと考えております。

 次に、介護報酬の改定につきましては、事業者にとっては基本報酬の削減による収支への影響が懸念される一方で、認知症高齢者への対応などきめ細かな加算が設けられたことから、質の高いサービスを提供し、各種の加算を算定することによって収支の改善が図られるものと考えております。

 また、利用者にとっては、保険料の上昇が抑制されることにより負担の軽減につながるものと考えております。

 次に、社会福祉法人のいわゆる内部留保につきましては、これまで指導監査項目とはされておりませんでしたが、今般国の社会福祉法人制度改革において指導監査対象とする動きがあることから、県といたしましてはその動向を注視するとともに、慎重かつ丁寧な制度設計を行うよう、必要に応じて全国知事会とともに意見を申し入れてまいりたいと考えております。

 次に、放射性ヨウ素による内部被曝線量の推計につきましては、現在環境省が実施している線量評価に関する研究の中で、ヨウ素131に比べて半減期の長いヨウ素129の測定データや、文部科学省が平成23年に作成した放射性ヨウ素の汚染マップ等を利用する研究が進められていることから、こうした研究により一定の推計がなされるものと考えております。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 国の農協改革につきましては、中央会制度が見直された一方で、地域の農協に関しては、准組合員の利用制限が見送られるなどその影響は限定的なものであると考えております。

 本県の農協では、既に自主的な改革として来年3月の県内4JAの合併に向けた協議を進めており、県といたしましては合併後の農協が独自性を発揮しながら自由な経営を行うことにより、農業者の所得向上と地域農業の振興につなげていくことを期待しております。

土木部長(松本英夫君)お答えいたします。

 県営住宅入居者への家賃減免制度につきましては、収入が一定の基準を下回った場合に減免を実施しており、昨年度は全入居世帯の2割程度に当たる1,670世帯がこの制度を利用しております。また、周知の方法につきましては、入居時の説明会や毎年の全入居者への家賃決定通知時等にお知らせするほか、入居者からの相談に丁寧に対応しております。

 次に、海岸堤防の整備に当たっての地域住民や海岸利用者への配慮につきましては、海辺に近づきやすくするため堤防の傾斜を緩やかにすることや、地元の意見を聞きながら堤防に階段やスロープを設置することなどにより利用しやすい海岸となるよう努めてまいります。

 次に、復興公営住宅に隣接する道路につきましては、復興公営住宅の建設に伴い必要となる整備を迅速に行うため、県の代行による施行も含めて、市町村と調整を図ってまいります。

 次に、県道いわき浪江線のいわき市内における渋滞緩和につきましては、国、県、いわき市及び道路を利用する関係事業者等が連携し、時間差通勤や自動車相乗り、鉄道利用などの対策を実施しているところであります。

 今後とも定期的に交通状況を把握し、効果の検証を行いながら、関係機関と連携の上、渋滞緩和に向け有効な対策を検討してまいる考えであります。

 次に、応急仮設住宅につきましては、浜通りの被災地域において宿泊施設の不足が深刻なことから応急仮設住宅の用途を廃止し、仮設宿舎として貸し出す制度を検討しているところであり、利用対象者は復興公営住宅整備などの公共事業や被災者等の住宅再建の建設作業員とする考えであります。

原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 紛争解決センターの和解の仲介につきましては、これまで原子力損害対策協議会による要望において国が指導を強化し、東京電力に原子力災害の原因者としての自覚を持って和解仲介案を積極的に受け入れさせるよう繰り返し求めてきたところであります。

 今後とも紛争解決センターによる紛争の円滑、迅速、公正な解決を含め、被害者の立場に立った賠償がなされるよう取り組んでまいります。

避難地域復興局長(樵 隆男君)お答えいたします。

 避難指示につきましては、年間積算空間放射線量等を踏まえ、3つの区域に設定されておりますが、その解除は除染、インフラや生活関連サービスの復旧など諸条件が整ったところから、国が県、市町村と協議した上で判断するものであります。

 ふるさとに戻りたいとの避難者からの希望もあることから、地元市町村と十分協議しながら取り組んでまいる考えであります。

24番(古市三久君)生活環境部長に幾つかお尋ねしたいと思いますが、K排水路の問題についてですけれども、これは3月31日に指示したというようなことで答弁がありましたが、会議に出席をして1月の時点から福島県はわかっていたわけですよね。東京電力は規制委員会から言われたとおりのことを1年間やったというふうなことだと思うのです。そういう意味では東京電力にとっては何ら問題ないという認識だと思うのです。

 そこで、その辺について県はいろいろと新聞に出ていたから抗議したとか、要請したとかということだと思います。そういう問題のないという認識であったということは間違いないと思うのですけれども、何か問題があったというふうなことなのですか。その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 私は、東京電力が問題なかったというようなことを言ってきたから、県も問題なかったという理解で来たと思うのです。そういうふうな理解でいいですか。

 それから、イノシシの問題ですけれども、自衛隊を使うことは、いろいろ法律的な制約があるということですよね。しかしながら、福島県は有事にある。したがって、有事ということから自衛隊にお願いをして、イノシシを捕獲するのか討伐するのかよくわかりませんけれども、そういうふうなことについて自衛隊にさらに要請をしていくことについてどのようにお考えなのかお尋ねをしたいと思います。

 それから、直轄除染の件ですけれども、国に求めるというふうなことをおっしゃいましたが、国への求め方についてはいろいろあると思うのです。これまでも私たちがいろいろ要望すると、「それは国に求めていく。」というようなことをおっしゃいましたが、つまりこういう問題は国にどういうふうなアクセスをして、例えば文書で申し入れるのか口頭で申し入れるのか、その辺についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

 それから、原発事故の検証と総括についてですが、規制委員会、国会事故調査委員会で事故の原因等についてはそれなりに究明をされてきたというのが部長の見解だと思います。しかしながら、そう言っても事故の原因についてはさまざま意見が分かれているところもあるわけです。

 先ほど規制委員会でやっていることについて説明するようなお話をしていましたが、やはり福島県は原発立地県として、被災県として責任あると思うのです、県民に対して。だから、きちっとした独自の総括なり検証を行って、そうした原因等について県民にしっかりと知らせるということが県の役割だと思いますので、その辺について改めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

生活環境部長(長谷川哲也君)再質問にお答えをいたします。

 まず1つ目、排水路の問題でございます。原子力規制委員会の検討会等につきまして、26年の1月、それから3月に開催をされております。こちらは公開で開催され、県もオブザーバーとして出席をしております。

 その際、東京電力からは各排水路の出口では告示濃度を下回っているものの上流に高い箇所があり、計画的に清掃を行って、さらに濃度を低減していくという説明があり、また、敷地境界の線量を低減していく中で各排水路の評価手法を確立するための調査について説明があったところでございます。その内容については承知をしております。

 その各排水路の調査結果、また、清掃等の取り組みの状況については、国の検討会等で速やかに報告をされるべきであります。今回その結果が先月24日になって初めて公表されたことは遺憾であり、県としてはその報告を受け、廃炉安全監視協議会による現地調査、それから措置要求、その中では排水路全体について改めてチェックをし、そしてつけかえも含め、全体の系統も含めて全体の計画を見直しをし、今月中に報告するように措置要求をしたところであります。引き続きその内容について厳しく確認をしてまいります。

 次に、イノシシの対応でございます。

 イノシシの駆除を進める上で、自衛隊の災害派遣についてはどうかということでございます。こちらにつきましては自衛隊派遣法によりまして天災地変、大規模事故などの災害に対して要請することができるとされておりますけれども、有害鳥獣対応については災害派遣における3要件、公共性、緊急性、非代替性を満たすことが困難だということで災害派遣としては取り扱わないというふうに伺っております。

 それから、直轄除染の従事者の交通マナーについてでございます。

 これまで文書あるいは口頭も含めまして、さまざまな形で交通安全対策等々につきましては国の方に求めてきたところであります。現地確認もしておりますので、今後とも現地調査あるいはさまざまな機会に、交通マナーを含めた交通安全対策の徹底等について求めてまいる考えであります。

 それから次に、原発事故の検証等についてでございます。

 原発事故の検証につきましては、原子力安全規制を一元的に担う国の責任において行い、そしてその結果等につきましては県民等にわかりやすく情報を提供すべきであると考えております。

24番(古市三久君)K排水路のことについて再々質問いたしますが、つまり東京電力は、昨年の1月なのか、3月だと思うのですけれども、一年間規制委員会から時間やるからよく調べろというふうなことを言われたわけですよね。ずっと調べて、3月に報告したわけではないですか。そうしたら、それはレベルの高い雨水が港湾外に流れていたと。それが新聞に載ったということで、てんやわんやなのかどうかわかりませんけれども、そういう問題になったと私は思っているのです。

 そこで、何が問題なのかというと、つまり昨年1月に県は把握しているわけだから、そうしたら例えばその問題についてきちんと監視をするというか、あるいは情報公開を求めるというか、これは本来は事故の直後に液体廃棄物の管理についてきちっとした手だてというか、そういうふうなものを本当はつくるべきだったのですが、つくってこなかったところに問題があるわけです。そういうふうなことが初めて昨年1月ごろ議論になったわけです。それが福島県でわかったわけだ。

 そうしたら、福島県でわかってても、黙って福島県は見ていたわけです。いろいろ新聞に載ったら大変だとなって、いろいろやったということだと私は思っているのです。

 そうではなくて、そういう問題を把握したらやはり内部で議論をして、そしてどういう実態なのかを調査をして、東京電力にその時々の情報を求めていくことをやるべきだと私は思っているのです。それがどこの組織なのか私はよくわかりませんけれども、廃炉安全監視協議会なのか何なのかわかりませんが、そういうふうなことをしなかったら、これまだそういうものがまた出てきます。

 したがって、県はそういうふうな、監視なのか何かよくわかりませんが、そういうことについての組織の見直し、改善、これをやらないと私はこういうものが再び起きてくると思います。

 したがって、そういう事実を把握していてこれを放置しているわけだから、県民に対して福島県の責任は非常に重いと思っているのです。だから、そこはそうならないような仕組みをつくるべきだと思います。その辺について再度御答弁をいただきたいと思います。

 2つ目の問題は、イノシシもこれいろいろ言いたいわけですが、直轄除染等の方々の交通マナーについて要望をしたと、調査もしたと。

 では、国に、どういうふうなところに要望したのですか。例えば、福島県の今の原発事故、東日本大震災で、いろいろな国の組織が福島県のどこかに来ています。そういうところにそういう話をして、その結果どういうふうになったのか。それは文書で申し込むのか、口頭で申し込むのか、そういうことについてしっかりとした仕組みをつくって、県民にわかるようにしなかったら、全く言った、言わなかった、そういうふうなことをやったというだけでよくわかりません。

 そういうことについて、こういう問題は国のどこそこに言いました、ちゃんと文書で申し入れました。結果的に元請会社がこういうふうな指導をちゃんとしましたということがなければ、私は県民の安全・安心、生活環境を守るということにはなっていかないのではないかと思いますので、その辺について仕組みをしっかりとつくってあるのかつくっていないのかわかりませんけれども、そういう仕組みがなければつくって、しっかりと県民に報告をするとか、そういうことをやっていただきたいと思いますので、その辺について再度御答弁をいただきたいと思います。

生活環境部長(長谷川哲也君)再質問にお答えいたします。

 まず、排水路の件でございます。

 昨年の1月、3月につきましては、東京電力が各排水路の出口では告示濃度を下回っているけれども、上流部で高いところがあり、それについてはしっかり精査をして下げていくという説明を受けております。そして、その各排水路の調査等につきましては、当然国の検討会等においてしっかり報告をされ、審議されるべきものであります。

 また、その結果について、4月以降のデータにつきましては、先ほど申し上げました濃度が高い部分のものが雨水のときに出ていたと。そういうものも含めて、これまで情報を公表されてこなかったというところが極めて遺憾であり、それを受けて廃炉安全監視協議会で立入調査、そして措置要求を行ったところでございます。

 それから、交通マナーの件でございますが、こちらについてはこれまでも直轄除染につきましては、宿舎の問題、それから交通渋滞、あるいは交通安全の問題がありまして、これについては福島環境再生事務所等、そちらに対しまして対策について申し入れをしてきたところでございます。引き続きさまざまな機会を通じて申し入れをしていきたいと考えてございます。

議長(平出孝朗君)これをもって、古市三久君の質問を終わります。

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