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2015年6月定例会 一般質問 阿部裕美子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年9月7日更新
阿部裕美子議員 
議員

阿部裕美子

所属会派(質問日現在)

日本共産党

定例会平成27年6月
質問等一般質問
質問日6月23日(火曜日)

39番(阿部裕美子君)日本共産党の阿部裕美子です。

 きょうは、戦後70年の沖縄戦慰霊の日です。平和を願う沖縄に連帯し、質問いたします。
 
 原発事故から5年目を迎えました。事故は依然として収束していません。新たな生活に踏み出した人もいますが、先が見えず、なお苦悩が続いているのが福島の現実です。

 県内外への避難者は約11万人、震災関連死は1,921人とふえ続けています。このようなときに政府は自民党、公明党の第5次与党提言を受け、早々と原発事故からの復興指針を改定し、閣議決定を行いました。その最大の特徴は、帰還を前提に帰還困難区域以外の全てを2017年3月までに避難解除し、それと一体に避難者や自治体への賠償を打ち切るものです。

 日本共産党宮川県議の代表質問に内堀知事は「国が福島復興に取り組む姿勢をあらわしたものと受けとめている。」と答弁されましたが、このような評価で済まされるでしょうか。

 国が2030年までにエネルギーに占める原子力発電の割合を20から22%にするとしている原発再稼働と一体に福島に区切りをつける。事故も被害も終わったことにする。自立と言いながら福島切り捨てを進めることではありませんか。

 これは原発事故の根本が問われる問題です。一体誰が起こした原発事故なのですか。原発事故は当然備えておかなければならないことを怠ったために生じた人災であり、自己責任論で自立を強調するのは本末転倒です。一人一人の人間の復興、なりわいの復興を大前提に被災者支援、復興策を進めることこそが求められています。加害者である国、東京電力は深く反省し、完全賠償と復興を担う責任があります。

 7日に開かれた原子力損害対策協議会全体会議で、双葉町村会長の浪江町馬場町長は「目標ありきの避難指示解除や賠償打ち切りだけは絶対にあってはならない。」と述べています。福島県原子力損害対策協議会に寄せられた意見は、与党の第五次提言は受け入れられないというのが共通した意見だったと思いますが、知事はどのように受けとめたのか伺います。

 福島県原子力損害対策協議会に寄せられた意見は、「国、東電が一方的に避難解除の時期を示し、期限を切って賠償を打ち切ることなど認められない。」とする怒りの発言で満ちています。

 旅館ホテル生活衛生同業組合は「この案はのめない。なぜなら東電はまた汚染水を漏らすからだ。」と述べ、「今後原発処理作業等の事故による風評再発等も懸念されることもあり、一括払いは容易に受け入れることはできない。」との意見を寄せています。

 また、病院関係者は「病院は地域密着型であって、遠方に移転することはできず、賠償が打ち切られれば経営は直ちに行き詰まってしまう。地域社会が復興することによって初めて病院の営業損害を回避できる条件がそろうのであって、それが達せられるはるか以前の現段階で営業損害賠償が打ち切られてしまえば地域の病院が存続することは不可能である。現状において、病院が今後2年の間に医療経営の自立を図ることは困難である。」と述べています。

 避難指示解除準備区域の川俣町山木屋地区では、30事業所のうち18事業所が賠償を受けています。事故前の取引の主なところは浪江町であり、浪江町の復興の見通しも立たないのに賠償が打ち切られれば廃業するしかないと答えています。ふるさとに帰還して復興を目指すといっても、営業そのものを続けることができずにどうやって復興できるのでしょうか。

 県はこれらの意見を踏まえ、原発事故による商工業等に係る営業損害について国、東電に賠償を打ち切らないよう強く求めるべきと思いますが、見解を伺います。

 川俣町の仮設住宅には、山木屋から避難している53人のひとり暮らしの高齢者がいます。ほとんどの方の年金は月平均4万円前後です。事故前は、若い世帯も一緒に家族そろって暮らし、米や野菜をつくって知人と分け合って暮らしていましたが、家族ばらばらの避難生活となり、若い人たちは新たな場所での生活が定着してきて戻れません。

 今は月10万円の精神的損害賠償があるから暮らしていけますが、賠償が打ち切られればどうやって暮らせばいいのでしょうか。賠償打ち切りは血も涙もない対応であり、自立せよと賠償を打ち切ることは早く死ねと言っているのと同じではありませんか。国が避難指示解除の期限を示したことに伴い、精神的損害の賠償が一律に打ち切られることのないよう国、東京電力に求めるべきと思いますが、見解を伺います。

 避難解除を受けて家に戻ったとしても、山間地にぽつりぽつりと暮らす高齢者にとっては、日常の買い物や病院の通院など不安だらけです。県は避難指示解除後のひとり暮らしを含めた高齢者への生活支援にどのように取り組んでいくのか伺います。

 避難指示解除がされても、生活に欠かせない医療や介護福祉施設、商業施設などが整わなければ暮らしていけません。被災者は「積み上げられているフレコンバッグがなくならなければ帰れない。」と言っています。ふるさとのインフラ整備は2年間で可能と考えられるでしょうか。営業損害や精神的損害賠償が継続されてこそふるさとへの帰還準備も進むのではないでしょうか。避難指示解除までの間にインフラを整備する十分な準備期間を確保する必要があると思いますが、県の見解を伺います。

 特定避難勧奨地点に指定され、お隣同士で指定された人とされない人と分断され、地域のコミュニティーがずたずたに壊された霊山町小国地区では、福島大学の支援のもとに地域の復興プラン提案委員会がつくられ、「豊かな恵みと笑顔あふれる小国を目指して」とする小国地区復興プランを住民参加でまとめ上げました。

 分断された地域の人々の心を解きほぐし、力を合わせてふるさと再生に立ち向かうこのような取り組みを行うことができた前提に、原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)への集団申し立てに立ち上がり、賠償をかち取ることができたことにあると小国の皆さんが語っています。差別することなく賠償させる重要性を示している事例であると思います。

 現在ADRへの集団申し立てに取り組む地域は、マスコミ報道だけでも15地区、31,968人です。県は東京電力に対し、県民の集団申し立てに係る原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介案を全て受諾するよう求めるべきと思いますが、見解を伺います。

 「除染なくして復興なし」とされた除染がおくれています。住居除染は全体計画に対し47.7%にとどまっています。生活圏森林除染の住居から20メートルまでの除染をやっていないところもあり、実施してほしいとの声や、除染を実施したところでも目標の年間1ミリシーベルトに達しておらず再除染を求める声が上がっています。広大な森林除染は手つかずです。追加的除染の方針を早期に示すよう国に求めるべきですが、見解を伺います。

 森林全体の除染方針を早く示すよう国に求めるべきです。見解を伺います。

 日本共産党が伊達市で行った除染についての住民アンケートでは、不満52%、やや不満25%、合わせて77%です。毎時0.23マイクロシーベルト以上とされる除染が伊達市では毎時0.4から0.6マイクロシーベルト以上でなければ実施しません。これについて納得できない、他市町村と同じ基準でやるべきだと回答している市民が76%になっています。

 県民の全体の健康に責任を持つ立場から、県は市町村任せにせずに、市町村で格差が生じないように県の役割発揮が必要だと思います。除染の取り組みに市町村間で相違があることについて県はどのように考え、どのように対応しているのか伺います。

 原発事故収束についてです。

 福島第一原発の事故収束は福島再生の大前提です。福島復興指針改定では「引き続き国が前面に立って、中長期ロードマップを踏まえ、必要な対策を安全かつ確実に進める。」としていますが、国が前面に立つためにどうするのかは全く見えてきません。安倍首相は国が前面に出て進めると世界に向けて公約してきたのに、資源エネルギー庁、規制庁ともに体制も強化されておらず、東電任せです。県は原発事故収束について国が責任を持って取り組むよう強く求めるべきですが、見解を伺います。

 原発労働者の待遇改善についてです。

 事故収束の作業は労働者に頼らざるを得ず、労働者の安全と労働条件の改善が不可欠です。原発労働者の賃金に労務費割増分(危険手当)が確実に反映されるよう東京電力に求めるべきと思いますが、見解を伺います。

 第一原発廃炉作業をめぐる昨年度の重大な労災事故は死亡事故3件を含む10件で、前年度から倍増となりました。30年から40年かかるとされる第一原発の廃炉作業は、今年度も凍土遮水壁の稼働や1号機の原子炉カバーの本格的な解体着手など予定されています。

 原発労働者のピンはねが発生する多重下請構造を解消し、原発労働者が健康を保持し安定的に廃炉作業に取り組むことができるように、原発労働者の待遇を国家公務員に準じたものとさせるよう国に求めるべきと思いますが、見解を伺います。

 5年目に入った福島県の復旧・復興の取り組みは依然として困難を抱え、自治体職員にも疲労感が蓄積しています。復興に携わる職員を増員し、その層を厚くすることが求められます。他県等応援職員や本県職員増員により執行体制の強化に取り組むべきと思いますが、見解を尋ねます。

 特に避難市町村の職員の負担は深刻です。県は避難市町村における職員の確保にどのように取り組んでいくのか伺います。

 国民健康保険についてです。

 健康の命綱である国民健康保険税が高過ぎることから、負担能力を超えて納めることができない世帯がふえています。この根本には、国保財政に占める国庫支出金が30年前には60%だったものが2012年には25.3%にまで減少し、その分が国保税の値上げになっています。政府はこの根本問題には手をつけずに、国民健康保険の財政運営を2018年度から市町村から都道府県に移す国民健康保険の都道府県化法案を強行成立させました。

 同時に、公費拡充等による財政基盤の強化として、毎年の財政支援策も確認されました。2015年度から低所得者対策として約1,700億円、2018年度以降はさらに国費を毎年約1,700億円を支援するというものです。これらの支援の活用については、市町村でばらつきが出ています。本年度からの保険者支援制度の拡充においては、市町村に対し一般会計繰入金の削減に使用せず、国保税の引き下げに全額活用するよう指導すべきと思いますが、見解を伺います。

 国保税を滞納している世帯数は、昨年度で県内56,160世帯、全体の18.67%です。保険税を納めることができずに保険証を取り上げられて、かわりに資格証明書が発行されていますが、資格証明書の発行は2014年、県内で3,785世帯で全世帯の1.3%です。資格証明書になると医者にかかるときに全額自己負担となります。国保税を払えない世帯が窓口で全額負担できるはずもありません。どんなにぐあいが悪くても受診を我慢し、病院に運ばれたときは手おくれで死亡するという痛ましい事態が全国各地で起きています。

 全日本民主医療機関連合会の調査では、経済的理由による手おくれで死亡した方が2014年に25都道府県、64人となり、大問題となっています。市町村に対し被保険者証を奪う資格証明書の交付をさせないよう指導すべきと思いますが、見解を伺います。

 国保税滞納世帯への取り立てが強まっています。2013年度、平成25年度の国保税の滞納処理に係る差し押さえ件数について伺います。

 国保税を滞納した人の生計費にまで影響を及ぼすような差し押さえを行わないよう市町村を指導すべきと思いますが、見解を伺います。

 学校の耐震化の促進についてです。

 ことし4月1日現在の本県の公立小中学校の耐震化率は全国平均を10.7ポイント下回り、47都道府県中46位、全国で下から2番目と発表されました。倒壊家屋の下敷きになって死亡した死者が7割を超した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、住居や建物の耐震化を進めることが重要です。

 子供たちが学ぶ場所であり、避難所ともなる学校の耐震化は優先課題であります。震度6強以上で倒壊する危険が高いとされる学校を最優先に耐震診断を実施し、耐震化を急ぐべきです。市町村立学校の耐震化をどのように促進するのか、県教育委員会の考えをお尋ねします。

 福島県の特別支援学校の耐震化率は85.4%と、全国最下位です。災害のときに避難を速やかに行う上でも困難を伴う特別支援学校の耐震化は特別に重要な課題です。県立特別支援学校の耐震化を優先して進めるべきと思いますが、県教育委員会の見解を伺います。

 県営住宅入居問題についてです。

 原発避難者向けの復興公営住宅について、避難者の要望に応え、連帯保証人については柔軟に対応するとの方針が出されましたが、二親等までの保証人が難しい場合なども考えられます。復興公営住宅の入居における連帯保証人を求めることについては個々の事情に柔軟に対応すべきと思いますが、見解を伺います。

 昨年9月、千葉県で家賃の滞納を理由に県営住宅から強制立ち退きを迫られ、母親が娘を殺すという痛ましい無理心中未遂事件が起きました。家賃減免制度や生活保護を受けるなど母子家庭を救う手だてがあったのに生かされなかったことなど、自治体の対応が課題として残る問題が浮き彫りになった事件です。

 低所得など生活に困難を抱えている県営住宅入居者について福祉関係機関との連携を強め、支援していく必要があると思いますが、見解を伺います。

 県営住宅の入居に当たって連帯保証人を立てることが困難な場合、柔軟な対応をすべきと思いますが、見解を伺います。

 「福が満開、福のしま。」旅行券の販売方法について県民の声を考慮した検討を行うべきと思いますが、見解を伺い、質問を終わります。

副議長(青木 稔君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)阿部議員の御質問にお答えいたします。

 原子力損害対策協議会における構成員の意見につきましては、事業再建に当たっての苦労や根深い風評被害の現状から賠償継続を求める声や新たな支援施策に期待をする声、各市町村の復興状況に応じた対応を求める意見など原子力災害により被害を受けた県民からの切実な思いであったと受けとめております。

 私はこうした意見を踏まえ、今後2年間で避難指示が解除できる環境整備や被害者の事業再建を果たす覚悟を国に対し直接問いただし、今回の提言の枠組みはそれがなされなければ成り立たないことを申し述べてまいりました。

 また、東京電力に対し、被害がある場合には賠償が継続することを確認するとともに、損害の範囲を幅広く捉え、事業再建につながる賠償を柔軟に行うよう強く求めたところであります。

 引き続き被害者の方々の生活や事業の再建が果たされるよう、国及び東京電力が責任を持って取り組むことを強く求めてまいります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。

総務部長(藤島初男君)お答えいたします。

 執行体制の強化につきましては、正規職員や任期付職員の採用を初め即戦力となる他県等応援職員の受け入れ、さらには専門性を有する国の独立行政法人や民間企業等の職員の受け入れなど、多様な方策により必要な人員の確保に努めてきたところであります。

 今後とも復興・再生事業の進捗状況や中長期的な行政需要等を踏まえながら適正な人員配置に努めてまいる考えであります。

 次に、避難市町村の職員につきましては、これまでも県任期付職員の派遣や被災3県合同による全国の都道府県への職員派遣要請、県の企画及び実施による複数市町村合同採用試験等を通して職員の確保に努めてまいりました。

 今後とも任期付職員のさらなる派遣などにより、避難市町村の職員の確保に取り組んでまいります。

危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故収束につきましては、前例のない取り組みであり、東京電力はもとより原子力行政を一元的に担っている国の責任で安全かつ着実に進めるべきものであります。このため、今月12日に行いました国への要望活動を初め廃炉安全監視協議会や廃炉・汚染水対策福島評議会などあらゆる機会を捉えて国が前面に立って取り組むよう求めてまいります。

 次に、労務費割り増し分につきましては、今月開催した労働者安全衛生対策部会において、東京電力が実施したアンケートやその回答に対する追跡調査結果等の説明を受け、全ての労働者に対して割り増しの説明と説明どおりの支払いが行われているかについて、さらに実態の把握や対応を求めたところであり、引き続き東京電力に対し、関係事業者と一体となって取り組み、労働者に労務費割り増し分が適切に支払われるよう求めてまいる考えであります。

 次に、原発労働者の待遇につきましては、これまで労働者安全衛生対策部会等において国に対し、労働条件の明示等による雇用の適正化、労務費割り増し分の適切な支給などが確実に行われるよう事業者への指導を求めてきており、さきに行いました国への要望活動においても、国が事業者と一体となって労働者が安定的に安心して働くことができる環境の整備に取り組むよう求めたところであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 追加的除染につきましては、国は川内村等において事後モニタリング調査結果を踏まえ、雨どい下や水の流れ道など除染効果が維持されていない箇所においてモデル的に実施しながら今後追加的除染のあり方を検討していくとしていることから、県といたしましては引き続きそれらの取り組み内容を確認するとともに、追加的除染の対象箇所や手法など具体的な仕組みを早期に示すよう国に求めてまいる考えであります。

 次に、市町村除染につきましては、市町村は国の除染関係ガイドラインや県が作成した除染業務に係る技術指針等を踏まえ、地域ごとの実情を勘案した除染実施計画を策定し、住民の理解を得ながら進めているものと考えております。

 県といたしましては、これまで意見交換会等を開催し、除染手法等の先進的取り組み事例について情報共有や水平展開を図ってきたところであり、今後ともこれらの取り組みを通じて市町村除染を着実に推進してまいります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 避難指示解除後の高齢者への支援につきましては、多様なニーズに応じた生活支援サービスを地域において提供する必要があります。

 このため、来月には地域包括支援センター等の関係職員が地域の課題を共有し、今後の取り組みを議論する推進会議を開催するとともに、新たに担い手育成やネットワーク構築を担う生活支援コーディネーターを養成することとしております。

 今後とも地域の実情に合わせて高齢者を支える体制が構築できるよう、市町村と連携し、取り組んでまいります。

 次に、保険者支援制度につきましては、市町村における低所得者数に応じて国保税の算定額の一定割合を財政支援することにより、市町村の財政基盤の強化及び国保税の軽減に活用するものであります。

 本年度拡充となった財源の具体的活用については、国保税を賦課し、国保財政を担っている市町村において判断されるものと考えております。

 次に、資格証明書につきましては、国民健康保険法において1年以上国保税を滞納した世帯について被保険者証の返還を求めた上で交付するものとされておりますが、その際には短期被保険者証を発行して期間を延長しながら定期的な納付相談の機会を設けているところであります。

 今後とも滞納者の実情を十分勘案した上で適切に対応するよう市町村に対し助言してまいりたいと考えております。

 次に、平成25年度の国保税の滞納処理に係る差し押さえ件数につきましては、8,836件となっております。

 次に、国保税滞納者への差し押さえにつきましては、国税徴収法において生活保護法による生活扶助費相当分などの差し押さえ禁止事項が規定されております。市町村においてこれを遵守することはもとより、県といたしましても滞納者の実情を十分に勘案し、催告を経た上で適正に行うよう助言しているところであります。

農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。

 森林全体の除染方針につきましては、本県森林の再生や不安の解消につながる重要な指針となることから、これまでも国への要望活動や環境回復検討会などのあらゆる機会を捉え、早期決定を求めてまいりました。

 今後は県が行ってきた空間線量率の低減や拡散抑制対策などの効果実証を踏まえ、関係市町村や森林組合などとも協議し、具体的な提言として取りまとめ、国に対し方針の決定を強く働きかけてまいる考えであります。

土木部長(大河原聡君)お答えいたします。

 復興公営住宅の連帯保証人につきましては、原子力災害による避難者の実情を踏まえ、親、兄弟がいない、また、知人が遠く離れているなどやむを得ない事情があると判断できる場合には免除できる取り扱いとしたところであり、免除申請の内容に応じて丁寧に対応していくこととしております。

 次に、県営住宅入居者につきましては収入に応じて家賃を定めており、収入が著しく低い入居者に対しては減免制度によりさらに低い額の家賃とすることで支援しております。また、生活の困難により家賃を滞納している入居者には今後とも福祉関係機関と連携し、適切に対応してまいります。

 次に、県営住宅の連帯保証人につきましては、入居者には公平な家賃負担と適切な住宅の使用が求められ、これらが確実に実行されるためには連帯保証人が必要であり、今後とも従来どおり対応してまいりたいと考えております。

原子力損害対策担当理事(成田良洋君)お答えいたします。

 商工業等に係る営業損害につきましては、今月7日に開催した原子力損害対策協議会の全体会議において、知事が直接東京電力に対し、損害がある場合については賠償が継続されることを確認したところであります。引き続き、事業の再建につながる賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。

 次に、精神的損害の賠償につきましては、改定された福島復興指針において、早期に避難指示が解除された場合であっても事故から6年後に解除する場合と同等の支払いを行うとされております。この枠組みは、避難指示が解除できる環境が整うことが大前提であり、それがなされなければ成り立たないことを原子力損害対策協議会の全体会議において申し述べたところでございます。

 次に、紛争解決センターの和解仲介につきましては、東京電力の一律の基準では賠償されない個別の事情による損害の円滑な賠償に極めて重要であることから、これまで東京電力に対し、原発事故の原因者としての自覚を持って和解仲介案を積極的に受け入れるよう繰り返し求めてきたところであります。引き続き、被害者の立場に立った賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。

避難地域復興局長(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 避難指示の解除につきましては、日常生活に必須なインフラや生活関連サービスの復旧状況、県、市町村、住民との十分な協議等を踏まえ国が判断することとしております。この二年間でインフラ復旧などが着実に進むよう、国が前面に出て取り組むことを求めるとともに、県としても市町村の取り組みをしっかりと支援してまいります。

観光交流局長(橋本明良君)お答えいたします。

 「福が満開、福のしま。」旅行券の販売方法につきましては、高齢者の方などからは主に、購入方法がわかりにくい、長時間並んでも購入できなかった等の御意見やお問い合わせを数多くいただきました。それらを踏まえ、第2期以降の販売については、わかりやすく、かつ購入機会の公平性が担保されるよう検討してまいります。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 市町村立学校の耐震化につきましては、設置者である市町村が学校の統廃合なども考慮しながら早期完了に向けて取り組んでいるところであり、平成27年4月1日現在で31の市町村が耐震化を完了しております。

 県教育委員会といたしましては、今後とも市町村が補強工事や改築工事の前提となる耐震診断を実施して、可能な限り早期の耐震化を図れるようきめ細かに相談に応じ、取り組みを支援してまいる考えであります。

 次に、県立特別支援学校の耐震化につきましては、今年度中に全て完了する予定としております。

39番(阿部裕美子君)再質問をいたします。

 知事に伺います。今後2年間で避難指示が解除できるような状況に努力をしていくという知事の答弁は、私はこれはごく当たり前のことだと思うのです。復興指針改定の最大の問題は、避難指示と精神的賠償、損害賠償を含めて期限を設けているという、ここのところが一番の問題点だと思います。

 例えばインフラ整備の問題など帰還に向けての3つの条件クリアの問題についても、2年間でここまでできるとお考えでしょうか。

 また、一番の問題点として避難解除時期が指定をされていることがあります。6月7日に開かれた原子力損害対策協議会で多くの皆さんが述べているその代表的な意見、第5次与党提言、これは受け入れられない。その最大の理由として、「目標ありきの避難指示解除や賠償打ち切りだけは絶対にあってはならない。これは被害の実態、現状を見ればとても応じられるような状況ではない。」という浪江町の馬場町長の発言に代表されると思います。

 各界の皆さんも共通して、今の被害の実態からとても2年間で賠償打ち切りのような状況は考えられない、こう述べているのであります。

 6月7日の意見の5日後に、意に介さないように国は復興方針を改定し、閣議決定をいたしました。これで福島切り捨てと言えないでしょうか。

 避難解除時期の問題、それからもう一点は期限を切った賠償打ち切りの問題についても、現場の実態から見ればとても受け入れられない、そういう声が各界から上がっているのであります。国は一旦打ち切っても、あとは個々の対応を行っていく、こういうようなことであります。

 しかし、この個々の対応を行うというのが問題のところだと思います。結局今までの状況を見ますと、個別に対応をすることによって膨大な事務的な準備をしなければならない問題などが出てきます。そういう中で十分な賠償をかち取れない、それでADRへの申し立てや裁判への訴え、こういうような形になっていきます。現状を見れば、被害の実態を見れば期限を切っての打ち切りには応じられない、この立場に知事は立つべきではないでしょうか。

 知事は東京電力と国の調整役ではなく、県民の声、切実な県民の立場に立って東京電力、国に立ち向かう、この姿勢が今問われていると思います。期限を切って賠償を打ち切るという第5次の提言に対しての県民の声を知事はどう受けとめたのか、もう一度質問をいたします。

知事(内堀雅雄君)阿部議員の再質問にお答えをいたします。

 国が福島復興指針において示した賠償の考え方につきましては、今後2年間で避難指示が解除できる環境の整備を図るとともに、確実に被害者の事業再建を果たすことが大前提であり、それがなされなければ成り立たないことを原子力損害対策協議会の全体会議において私から明確に申し述べたところであります。

 また、損害がある場合については賠償を継続することを確認をしており、引き続き国及び東京電力に対して、被害の実態に見合った賠償がなされるよう強く求めてまいります。

39番(阿部裕美子君)知事にもう一度質問いたします。

 被害の実態に見合った賠償を求めていくということでありますけれども、一旦期限が設定されて、あとは個々の対応になっていくというようなことでは、実態に応じた損害賠償にはなっていかないと思います。今までの状況を見ても、それは言えることではないかと思います。

 期限の問題について明確に東電、国に対して、今時期を設けるべきではない、その立場に立って賠償の問題なども考えていくべき、これを求めるべきではないでしょうか。

 それから、危機管理部長に伺います。原発事故収束と、国が責任を持って取り組むということについてでありますけれども、先日6月15日に国との交渉を行った席でも、国の答弁は、「現在の段階で職員の人員体制についても十分な体制だ、これで不十分なのか。」と開き直っています。事実上の東電任せという状況は変わっていません。国に対して、職員の増員体制なども含めてきちんと求めていく必要があると思います。

 今原発では毎日7千人の労働者が働いています。この1年間でも死亡事故3件を含む重大事故も発生し、火事が起きたり、ビニールのパイプの問題などいろいろな汚染水のことが連続して報道される現状にあります。本気で収束に向かう体制をつくっていくには、これで十分とは言えないと思います。国が前面に立っている姿は見えてきません。国が前面に立って、収束の対応をとることを強く求めていく必要があると思います。もう一度お答えください。

 それからもう一点、危機管理部長に質問をいたします。原発労働者の危険手当の問題についてです。ピンはねで原発労働者に渡っていないということが大きな問題になり、結局改善されずに、原発労働者が裁判に訴えています。

 裁判で東電は、「危険手当は社会的に明言したことであって、契約したものではない。」という答弁をしています。真摯に危険手当を払うという態度はここからは見えてきません。裁判所が契約書を出せと指導するというやりとりが行われるという状況であります。東京電力に対して、危険手当は働いている労働者にしっかり渡るように指導を徹底すべきと思います。質問をいたします。知事も含めて質問をいたします。

知事(内堀雅雄君)阿部議員の再質問にお答えをいたします。

 国は、改定された福島復興指針において、今後2年間で各種施策を集中的に展開し、避難指示が解除できる環境整備、被害者の事業再建を果たす決意を示したものと受けとめております。

 原子力損害対策協議会の全体会議においても、私から協議会のメンバーの前で直接国の覚悟を確認するとともに、東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、相当因果関係を確認する場合でも簡易な手法で柔軟に行うよう強く求めたところであり、今後とも福島県知事として被害者の立場に立った賠償をしっかりと求めてまいります。

危機管理部長(樵 隆男君)再質問にお答えをいたします。

 責任を持って取り組むよう国に対して申し入れを行うべきだということでございますが、国に対しましてはあらゆる機会を捉えまして、引き続き国が前面に立って確実に結果を出すよう求めてまいる考えでございます。

 次に、労務費割り増し分の説明と支払いに関するその後の状況についてでございますが、さきの労働者安全衛生対策部会において東京電力に対して説明を求め、東京電力は追跡調査をしたということで報告を受けまして、その報告についてまだ十分でないという部分もございましたので、確認が行われていない部分につきましては、企業へのヒアリング等の実施によるさらなる実態の把握と対応を求めたところでございます。

副議長(青木 稔君)これをもって、阿部裕美子君の質問を終わります。

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