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2016年2月定例会 代表質問 亀岡義尚議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月16日更新
亀岡義尚 
議員亀岡義尚
所属会派(質問日現在)民主・県民連合
定例会平成28年2月
質問等代表質問
質問日2月24日(水曜日)


47番(亀岡義尚君)民主・県民連合の亀岡義尚であります。会派を代表して、通告に従い、質問させていただきます。


 まず初めに、県政運営についてであります。
 
 地震、津波、原子力災害という世界に類を見ない複合災害から間もなく5年を迎えようとしております。

 震災当時、内堀知事は佐藤前知事を補佐する副知事として、県民の安全を最優先に考えながら、混乱した事態への対応に取り組まれ、その後も三年半にわたり前知事を全力で支え、震災と原発事故への対応に尽力されました。日々前例のないさまざまな課題に直面され、大変な御苦労があったことと思います。

 また、一昨年の11月に知事に就任されてからは、みずからが先頭に立ち、福島県の復興再生に全身全霊で取り組まれ、その実行力には多くの県民から高い評価を得ており、今後もそのリーダーシップに大いに期待するところであります。

 そのような中、知事を初めとした県民の皆様の御努力などにより、震災によって傷ついた福島の誇りを取り戻す明るい話題もふえてまいりました。一方、今なお多くの県民の皆様が避難生活を続けるなど、福島県の復興はいまだ途上にあるというのが残念ながら現状であります。

 知事におかれましては、震災後の五年間、さまざまな思いを抱えながら福島の復興に取り組まれてきたのではないかと考えております。

 そこで、震災後5年の県政運営を振り返って、知事の思いをお尋ねいたします。

 次に、平成28年度当初予算についてであります。

 県は、復興・創生期間の初年度となる新年度当初予算について、今年度に引き続き1兆8,000億円を超える大型予算を編成しました。新年度はまさにこれまでの集中復興期間の5年間におけるさまざまな取り組みの成果を土台として、復興をさらに加速させ、地方創生という新たなステージへと踏み出すスタートの年であります。

 そのため、新年度当初予算は、今後5年間、さらにその先へと福島県が進む未来を方向づける重要な予算であり、どのような分野・施策に力を入れて取り組んでいくのか、県民はもとより、国内外からも注目されるところであります。

 そこで、知事は何に重点を置いて平成28年度当初予算を編成したのかお尋ねいたします。

 次に、福島復興再生特別措置法についてであります。

 未曽有の原子力災害を克服するため、本県独自の特別法が必要不可欠であることを県民の総意として県議会も一体となって国に訴え、平成24年3月に制定されたのが福島復興再生特別措置法であります。

 法の施行から間もなく4年が経過し、新年度には国ではいよいよ後期5カ年の復興・創生期間に入りますが、避難地域の再生に向けた動きはようやく本格化を迎えたばかりであります。

 私は、長く険しい復興の道のりが続くからこそ、本県復興への国の社会的責任が明記された福島復興再生特別措置法の精神を礎に、福島のための特別法を一層活用していくことがますます重要になるものと考えます。

 そこで、今後5年間の復興を進めるため、福島復興再生特別措置法をどのように活用していくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 以後、新年度予算に掲げられた11の重点プロジェクトに沿って質問いたします。

 まず初めに、人口減少対策についてであります。

 昨年末公表された平成27年国勢調査の速報において、平成27年10月1日現在の本県人口は前回調査時との比較において5.7%の減と、過去最大の減少幅となったとのことであり、改めて本県が置かれている厳しい現状を実感したところであります。

 他方、昨年県が策定した福島県人口ビジョンでは、本県人口は平成10年以降減少の一途をたどっており、平成17年以降は毎年1万人を超える人口減少が続くなど、人口減少は震災以前からの問題であったことが示され、特に出生率の低下や就職期及び進学期における若者の県外流出の問題が明らかとされております。

 こうした状況を踏まえ、県は昨年末ふくしま創生総合戦略を策定し、人口ビジョンで掲げた「2020年に社会動態プラス・マイナスゼロ、2040年に県民の希望出生率2.16人の実現」に向け「ふくしま七つの挑戦」を打ち出しました。

 先日発表された平成28年度当初予算案においても、知事は第1番目に人口減少・高齢化対策プロジェクトを掲げ、その中で将来を担う人材の確保や子育て環境の充実などを紹介されたことに、人口減少対策、特に若年者対策への知事の強い意気込みを感じたところであります。

 そこで、人口減少対策にどのように取り組んでいくのか、知事の決意をお尋ねいたします。

 次に、次代を担う子供たちの育成についてであります。

 子供たちの健全な成長にとって、学校での学習や生活が重要であることはもちろんでありますが、放課後の時間をどのように過ごすことができるのかも大切であると考えます。

 共働き家庭の増加に伴って、児童の生活の場である放課後児童クラブは県全体で平成23年5月には328カ所であったものが平成27年5月には410カ所と大幅に増加しており、加えて児童に多様な体験活動や学習の場を提供する放課後子ども教室も、平成27年度に県内で117カ所で実施されていると伺っております。

 私は、放課後の時間を過ごせる場について、量的な拡大に加えて、本県の課題である学力向上や体力向上のためには、児童の放課後活動の充実を図っていくことが重要だと考えます。

 そこで、県は児童の放課後活動の充実にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、避難地域の復興加速化についてであります。

 これまで平成26年4月には田村市の都路地区、同年10月には川内村の上川内地区等の避難指示が解除され、そして昨年9月5日、楢葉町が全町避難の町村で初の避難指示解除の日を迎えました。

 その後の住民の帰還状況を見ると、田村市、川内村は旧緊急時避難準備区域を含め六割程度となっている一方、解除から日が浅い楢葉町では一割に満たないなど、本格的な帰還にはもうしばらく時間がかかる状況にあります。避難指示の解除はあくまで復興へのスタートラインであるとはいえ、既に解除され、帰還が可能になった市町村が後に続く市町村を先導する形で復興再生、帰還を実現していくことが重要であります。

 そこで、県は避難指示が解除された市町村をどのように支援していくのかお尋ねいたします。

 次に、原子力損害賠償についてであります。

 原発事故から5年になろうとしておりますが、多くの中小企業や個人事業主は、何とか売り上げを回復させようとさまざまな努力を重ねているものの、いまだに事故による影響に苦しんでおります。

 商工業者等に係る営業損害については、昨年から新たな賠償が開始されたところですが、特に避難指示区域外においては、東京電力が賠償を打ち切ろうとしているとの話をたくさん耳にしております。

 そこで、商工業の営業損害について、事業を再建することができる十分な賠償を行うよう東京電力に求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 また、県を初め県内市町村が原発事故対応のため支出した経費等に対する損害賠償請求についても、東京電力から賠償金の支払いがいまだ十分に行われていない状況にあります。

 そのような中、県内自治体の損害賠償請求に対する支払いを進めていくためには、県と市町村が一丸となって取り組んでいく必要があると考えております。

 そこで、県は市町村による東京電力に対する原子力損害賠償金の請求についてどのように支援していくのかお尋ねいたします。

 次に、環境回復についてであります。

 復興計画の環境回復プロジェクトでは、その目指す姿として「放射性物質に汚染された生活圏、農地、森林などの徹底した除染及び汚染廃棄物の円滑な処理により、美しく豊かな県土が回復している。」こととされており、除染の推進により、安心して暮らせる環境をつくることが県民の切なる願いであります。この願いに応えるべく、現在、国直轄除染、市町村除染ともに計画に基づき鋭意除染が進められているところであります。

 また、県内外へ避難されている方々にとっては、生活を営む上で必要なインフラ等の整備とともに、除染の推進はふるさとへの一刻も早い帰還のためにも重大な関心事でありますが、帰還困難区域の除染方針が示されていないなどの状況もあります。私は、本県の美しい環境を取り戻すためには、必要な除染を迅速かつ確実に進めることが何よりも大切であると考えております。

 そこで、除染の進捗状況と今後の県の取り組みについてお尋ねいたします。
 一方で、県では空間線量率のモニタリングを行ってまいりました。私の地元のモニタリングポストでも空間線量率が随分低下したと感じておりますが、全県的に見ると空間線量率は現在どのような状況になっているのかお尋ねいたします。

 次に、農用地の除染についてであります。

 農用地は農業生産の場であり、住民の生活エリアにも比較的近いことから、環境の回復を進めるためには速やかな除染が重要であり、さらには、基幹産業である農業の再生を果たすためには営農に配慮した除染が求められております。

 農用地の除染はこれまで除染関係ガイドラインに基づき進められてきており、一部の市町村では除染が完了しておりますが、避難指示区域の国直轄除染ではなかなか進んでいないと伺っております。

 そこで、国や市町村が実施している農用地の除染について、その進捗状況と今後の県の対応をお尋ねいたします。

 次に、災害派遣精神医療チームの体制整備についてであります。

 本県は東日本大震災において、県外から精神科医師などによる心のケアチームの派遣を受け、県内の精神科医療機関だけでは対応し切れない被災者の心のケアを支援していただいた経過があります。

 最近では、御嶽山の噴火や昨年9月の関東・東北豪雨による鬼怒川の洪水被害など、全国的に大規模な自然災害が発生しているところであり、こうした大規模災害では地域の精神科医療機関が機能しなくなる場合も想定されることから、精神科医や看護師等で構成され、被災地域の精神科医療及び精神保健活動の支援を行う精神医療チームを県内はもとより全国の被災地に派遣することが必要です。

 国においては、災害派遣精神医療チーム、いわゆるDPATの活動要領を定め、都道府県における体制整備を求めており、震災を経験した本県においても、これまでの経験を踏まえ適切な派遣体制を整備していく必要があると考えます。

 そこで、県は災害派遣精神医療チームの体制整備をどのように進めていくのかお尋ねいたします。

 次に、福祉介護人材の確保についてであります。

 我が国では、世界に例のない速度で高齢化が進行しており、平成37年には全国的に約38万人の介護人材不足が懸念され、本県においても6,157人の人材が不足する見通しが示されております。

 また、震災前1.07倍だった県内の介護職種の有効求人倍率は、昨年12月時点では2.95倍と人材不足が一層鮮明となっており、福祉介護人材の確保は喫緊の課題となっております。

 こうした中、県内においては、新たに介護福祉士等養成施設を整備し、地域における福祉介護人材の養成に取り組もうとする動きがあると聞いております。

 そこで、県はこの動きを支援し、福祉介護人材の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、児童生徒の学力向上についてであります。

 本県が震災からの復興を推進していくためには復興の担い手である若者の人材育成、人づくりが重要であり、そのためには児童生徒の学力向上が喫緊の課題であると考えます。

 児童生徒の学力向上のために小中学校と家庭、地域が連携し、児童生徒の成長を支える取り組みを効果的に行っているところではよい成果が出ていると聞いております。

 そこで、県教育委員会は公立小中学校における家庭や地域と連携した児童生徒の学力の向上にどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。

 次に、医療に貢献する人材の育成についてであります。

 医療の充実は本県の復興と県民の安心・安全に欠かせない喫緊の課題であり、医師を初めとする医療従事者の養成・確保は必要不可欠な施策であります。

 これを踏まえ、先日、県立医科大学に新学部の設置を目指す方針が発表されましたが、高等学校や中学校においても、震災後多くの生徒が抱いている医療分野においての本県の復興に貢献したいという夢を応援すべく取り組んでいく必要があります。

 そこで、県教育委員会は本県の医療に貢献する人材の育成にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、食育の推進についてであります。

 県では、6月11日、12日の両日に北海道・東北では初めてとなる第11回食育推進全国大会を郡山で開催すると伺っております。

 震災から5年目を迎えた中での全国大会の開催は時宜を得たものであり、全国から本県に来て、見て、福島の食材を味わい、感じてもらい、復興に向け着実に実を結んでいる福島の姿を正しく理解してもらう絶好の機会であります。ぜひ大会を成功に導いていただきたいと思います。

 そこで、県は食育推進全国大会を契機にどのように食育の推進に取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、子供の貧困対策についてであります。

 あすの福島を支えていくのは今を生きている子供たちであります。その子供たちが自分の可能性を信じて前向きに挑戦することにより、未来を切り開いていけるようにすることが必要であります。しかしながら、現実には子供たちの将来がその生まれ育った家庭の事情等に左右されてしまう場合が少なくないと言われております。

 平成25年6月に議員立法による子どもの貧困対策の推進に関する法律が国会の全会一致で成立し、平成26年1月に施行され、県は子供の貧困対策の推進に関する計画を策定するよう求められております。

 本県は、今年度中に新生子ども夢プランを改訂し、子供の貧困対策に係る計画に位置づけることとしておりますが、子供の貧困対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、農林水産業の再生についてであります。

 農林水産業は本県の基幹産業であり、本県の食料供給はもとより、経済や雇用、農山漁村の維持など我々の生活に最も密接する産業であると考えております。

 しかしながら、5年前に発生した東日本大震災や東京電力福島第一発電所事故の影響により、農林水産業を取り巻く環境は大変厳しい状況に置かれております。

 私も果樹が盛んな伊達地方の出身でありますが、桃やあんぽ柿を生産する農家の皆さんは、放射性物質対策でやむを得ず改植したり、生産者の誇りを持ち、風評にも負けない強い気持ちで黙々と生産に励むなど、我々もこれらの頑張る農家の皆さんをこれからも支援していきたいと強く感じているところであります。

 そのような中、政府はTPP協定を昨年10月に大筋合意し、先般、署名式が行われるなど手続が進められておりますが、これらTPP協定は農林水産業者をさらに厳しい環境にさらすものと考えており、国益を守る観点から国会において十分に議論されるものと思いますが、福島県においても農林水産業の振興に全力で取り組むべきだと考えます。

 このようにさまざまな課題を抱える農林水産業に対し、県は来年度予算の重点事業を発表され、農林水産再生プロジェクトでは意欲的な施策が検討されていると、大いに期待しているところであります。

 そこで、これらプロジェクトの内容について質問したいと思います。

 まず最初は、安全・安心を提供する取り組みであります。

 原発事故以降、福島県では、県の試験研究機関などで得られた研究成果を活用しながら、樹体洗浄や深耕などの農用地除染、カリウム資材の散布など放射性物質の吸収抑制対策に農家や関係者が一丸となって取り組んできました。

 その上で、緊急時モニタリングを初め米やあんぽ柿の全量検査など徹底した検査を行って、市場や食卓に安全な農林水産物を供給しております。その結果、畜産物では平成24年度から、野菜、果実では25年度から、米では27年産から基準値を超えるものは出ておりません。

 しかしながら、震災から5年を迎える現在も消費者庁の調査で、本県産の農林水産物の購入をためらう消費者が17%程度存在し、また、価格面においても他県産に比べて低い状況にあるなど、風評はまだまだ厳しいものがあり、モニタリング検査等の対策を引き続き実施していく必要があると考えます。

 そこで、県は農林水産物の安全・安心の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、農業の再生であります。

 昨年11月に発表された農林業センサスによれば、本県の農業経営体数は53,003経営体となり、五年間でマイナス26%と大きく減少し、農業者の減少、高齢化に対応できるような担い手の確保が喫緊の課題となっております。

 そこで、県は地域農業を支える担い手の育成にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 また、園芸産地の再生につきましては、本県を代表する特産品であるあんぽ柿の主要産地である県北地方では、原発事故の影響により現在も加工自粛要請が継続されておりますが、加工再開モデル地区の設定などにより平成25年度に出荷が再開されました。

 再開後の出荷実績は、1年目が約200トン、2年目となる昨年度は約500トンとなり、今年度は倍増を目指し出荷が進められております。また、しっかりと全量検査を行い、品質的にも高い評価を受けていることから、販売単価も前年並みに順調に推移するなど産地再生が着実に進んでおり、大変うれしく思っております。

 このような中、全国の消費地からは本県産あんぽ柿の出荷量をもっとふやしてほしいという声も数多く寄せられており、一刻も早く出荷量を震災前の状態に回復させる必要があると考えているところであります。

 そこで、県はあんぽ柿の増産に向けどのように支援していくのかお尋ねいたします。

 次に、森林・林業の再生であります。

 県産材の生産拡大と森林整備の推進を図るためには、木材の利用拡大が極めて重要であり、雇用を創出し、地域産業の活性化を促進することにもつながります。

 県内では、大断面集成材や木製外壁材などの新たな製品開発を初め、木材のメタン発酵による木質バイオマス利用に向けた実証やバイオマス発電事業の進展など、木材の需要を拡大するための先進的な取り組みがなされております。

 また、技術導入が検討されているCLTは、建築資材として断熱性や耐火性にすぐれ、軽量で施工もしやすいことから、幅広い建築分野での活用が期待されております。

 このため、このような新技術の導入を図りながら新たな用途への木材利用を促進することは、まさに本県の森林・林業の再生に向けた柱となる重要な取り組みであると考えます。

 そこで、県はCLTを初めとした県産材の需要の拡大にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、水産業の再生についてであります。

 被災した漁船の整備や小名浜魚市場を初めとする共同利用施設などは国、県の支援により復旧が進み、最新鋭の調査機器を搭載した県の調査船「いわき丸」も平成26年に竣工したところであります。

 また、平成24年6月から開始された試験操業は、漁業関係者の御努力と県が行う緊急時モニタリング検査や漁協の放射性物質検査体制への構築支援などにより対象種は72種まで拡大し、その水揚げ量も年々増加するなど、本県水産業は復旧復興に向け着実に進展していると考えております。

 今後水産業の再生をより一層推進していくためには、漁業再開に必要不可欠な漁船、共同利用施設などの整備や漁業担い手への支援が必要と考えます。

 そこで、県は水産業の再生に向けどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 
 次に、県内中小企業の振興についてであります。

 企業にとって株式の上場は、経営に必要な資金、有能な人材を集める際の有効な手段であり、県内の上場企業をふやす取り組みはそのまま県内商工業の競争力向上につながると考えます。

 また、知名度などの企業ブランドは就職を希望する学生にとって就職先を決定する際の大きな判断要素と考えられ、株式上場による県内企業のブランド力向上は首都圏等の大学へ進学した学生などを県内に回帰を促すことにつながるものでもあります。

 そこで、県は県内企業の株式上場に向けた支援にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、産業の振興についてであります。

 震災をきっかけとして多数の帰宅困難者や計画停電による通勤難民を生んだ都市機能の麻痺は、これまでの首都圏一極集中のリスクを鮮明に浮き彫りにし、先進的な企業を中心にサテライトオフィスの設置やテレワークの導入など、従来の働き方を見直す動きが出てきております。

 県ではこれまで再エネ、医療、ロボットなどを重点分野として産業振興に取り組んでおられますが、ソフトウエアを初めクールジャパンに代表され、海外でも高い評価を得ているアニメ、音楽、映像などのいわゆるコンテンツ産業のオフィスは、近年インターネットやブロードバンドといった高速通信ネットワークの整備により、必ずしも首都圏だけのものでなくなってきており、県はこうした新しい産業の振興を図るためオフィスの誘致に積極的に取り組むべきと考えます。

 そこで、県はソフトウエアやコンテンツの産業の誘致にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、企業立地補助金についてであります。

 平成24年に募集開始された県のふくしま産業復興企業立地補助金は来年度が5年目となります。平成25年からは国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金の募集が開始され、地元企業や県外からの新規立地企業が採択を受けて設備投資計画が進められていると聞いております。

 私も企業立地補助金を活用した新工場竣工の新聞記事を目にしておりますが、新たな設備投資を促進し、生産規模を拡大して生産活動を活発化させ、雇用をふやし、さらには、その効果が取引企業にも波及することなどにより、大震災により大きなダメージを受けた本県の経済が活性化することが大事なことと考えます。

 そこで、企業立地補助金について、これまでの成果と今後の取り組みをお尋ねいたします。

 次に、中小企業等グループ補助金についてであります。

 グループ補助金は、震災直後、店舗や設備が損壊するなどにより事業継続が困難となっていた商工業者の皆様の緊急的復旧が求められる中、平成23年に事業が開始され、これまで多くの事業者が当該事業を活用し、営業再開しているという状況は、私も多くの皆様からお聞きしているところです。

 そこで、中小企業等グループ補助金について、これまでの成果と今後の取り組みをお尋ねいたします。
 
 次に、新産業の育成・集積についてであります。

 本県の復興のためには、景気に左右されない力強い産業の振興が重要であります。また、避難地域の住民の帰還促進、若者の県内への定着など本県の人口減少に歯どめをかけるためにも、若者にとって夢のある新しい産業を創出し、雇用の受け皿をつくっていくことが不可欠であります。

 このような中、県では復興計画の新産業創造プロジェクトとして再生可能エネルギーや医療、ロボット等の新たな産業の振興を掲げているところであり、これまでも関連産業の育成・集積に向けた取り組みを進めておりますが、今後一層の取り組みを進め、新しい産業を本県にしっかりと根づかせていく必要があります。

 そこで、知事は再生可能エネルギーや医療、ロボット関連産業などの新産業の育成・集積にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、省エネルギーの推進についてであります。

 昨年12月、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議、いわゆるCOP21において、地球温暖化対策の新たな国際的枠組みとなるパリ協定が採択されました。我が国でも、温室効果ガス削減に向けた取り組みをさらに進めようとしております。
 近年、地球温暖化に関しては、これまで経験したことのないような異常気象の発生などもあり人々の関心が高まっておりますが、温暖化防止のためには再生可能エネルギーの導入に加え、私たち一人一人の意識改革を含めた省エネルギーの推進が極めて重要であります。

 そこで、県は省エネルギーの推進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、風評・風化対策についてであります。

 震災から間もなく5年を迎えようとしておりますが、農産物の価格が震災前の価格に戻っていない、放射線への不安から福島の食品の購入をためらうという声があるなど風評は根強く残り、一方で、震災と原発事故が過去のものになり関心が薄れているという声が聞かれるなど、風化が進んでいる面があります。

 先月、知事はダボス会議に出席されました。その際、知事は福島の復興の一番難しい課題として風評と風化の問題を挙げ、風評との戦い、風化との戦い、この両方を続けていかなければならないと話されました。

 そこで、県は風評払拭及び風化防止に向け情報発信の強化にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 また、とりわけ風評の影響が大きい農林水産物につきましては、生産者が誇りを持って再生産に取り組むことができるよう、全国の消費者や流通事業者の方々に本県産の魅力や安全性を理解していただき、一日も早く価格や販路を回復していく必要があると考えます。

 そこで、県は農林水産物の風評払拭に向けどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、県産品の海外販路の回復に向けた情報発信についてであります。

 風評は、県産品の輸出の面でも重大な影響を及ぼしております。震災前、本県にとって主要な輸出先であった香港を初め一昨年輸入規制が緩和されたシンガポールなどでは、一部の品目を除いては県産品の輸入が可能となっておりますが、風評が根強く、輸入側の取り扱いが低調であるなど、輸出の取り組みには今もなお厳しい状況が続いております。

 今年1月には、EUにおいても県産食品の安全性が認識され、輸入規制が緩和となり、依然輸入規制を続けている他の国や地域に大きな影響を与える動きもありますが、産地間競争が激しい海外においては早急な販路回復が求められるところであり、輸入規制の撤廃とともに、県産品に関する正確な情報を粘り強く戦略的に発信し、風評の払拭に取り組む必要があると考えます。

 そこで、県は県産品の海外販路の回復に向けた情報発信にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、道路整備についてであります。

 道路は県民生活や経済・社会活動を支える根幹的な社会資本であり、本県の復興には広域的な道路の整備は不可欠であります。

 また、道路整備は第3次復興計画の重点プロジェクトの一つ「復興まちづくり・交流ネットワーク基盤強化プロジェクト」に位置づけられており、震災や原発事故からの産業再生などに向けて、県全域で道路の整備を進めていかなければなりません。

 平成28年度から新たなステージである復興・創生期間に移行し、県民は本県の復興の着実な進展を求めております。このため今後5年間において、生活圏を相互に結ぶ地域連携道路の整備をしっかり進めていく必要があります。

 そこで、県は地域連携道路の整備にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、建設業の担い手の育成・確保についてであります。

 建設業は本県の復興を支える基盤の整備に欠くことのできない産業であり、それに加え、災害対応、雇用の受け皿として地域を支える重要な役割を担っており、震災の発生直後からの復旧・復興事業や関東・東北豪雨災害の応急復旧に取り組むなど、これまでその役割を大いに果たしてきたところであります。

 しかしながら、本県の建設業は若年労働者と40代の働き盛りの世代の減少が顕著となっており、半数以上が50代以上であるため、今後の大量退職に備えて建設業が持続的にその役割を果たしていけるよう、担い手の育成・確保に積極的に取り組む必要があると考えます。

 そこで、県は建設業の担い手の育成・確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、新たな県民運動の推進についてであります。

 昨年12月に、次期県民運動検討委員会から内堀知事に対して、「健康」をテーマとする新たな県民運動の取り組み方針の報告がありました。報告書にも記載されていたとおり、避難生活の長期化によるメタボリック症候群の増加やストレスの増大など、県民の皆さんの健康課題が顕在化しております。

 一方、野球やバスケットボールなど地域プロスポーツの活躍や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定などにより、スポーツに対する注目が高まっております。

 このような震災以降の本県の状況を踏まえ、健康や運動に関する取り組みを県全体で取り組んでいくことは県民運動として非常にふさわしく、わかりやすいテーマだと感じたところであります。

 そこで、知事は新たな県民運動にどのように取り組んでいくのか、考えをお尋ねいたします。

 次に、障がい者スポーツの振興についてであります。

 県は去る2月8日に、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けてアクションプランを策定し、本県復興のさらなる加速化につなげるため、将来の活躍が期待される本県選手の育成強化など、さまざまな施策に取り組むこととしたところであります。

 2014パラリンピック冬季競技大会では、猪苗代町出身の鈴木猛史選手がアルペンスキーで金メダルと銅メダルを獲得し、県民栄誉賞を受賞しております。このような国際大会等での本県出身選手の活躍は、これから競技を始めようとする障がい者に勇気を与えるとともに、東日本大震災からの復興に向かう県民にとっても大きな励みになるものであり、本県障がい者スポーツの振興に向けてより一層の取り組みが必要ではないかと考えております。

 そこで、東京パラリンピックに向け障がい者スポーツの振興にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねいたします。

 次に、若者の社会参画についてであります。

 情報化社会の進展や社会経済のグローバル化など、現在の子供、若者を取り巻く環境は急速に変化しております。変化の激しいこれからの時代を生き抜くためには、基礎的、基本的な知識、技能を活用し、自分で課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力が求められております。

 本県は、震災により大きな打撃を受けましたが、福島で自分の力を発揮したい、福島に貢献したいと考える若者がふえていると感じております。これは非常に心強いことであります。

 若者が福島に愛着を抱いて、将来も福島で過ごしたいと考えることは、未来につながる希望であります。福島に愛着を抱く若者が地域づくりや復興にかかわれば、若者らしい発想でさまざまな成果が期待できるものと考えます。

 そこで、県は若者の社会参画にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、女性の活躍促進についてであります。

 県内各地で少子高齢化が進む中、地方創生の鍵は女性が握っているとも言われております。これまで福島の復興に果たしてきた女性の皆様の力は非常に大きいものがあり、女性のネットワークにより震災直後から避難所等で支援活動を実施していただくなど、復興に御尽力されました。

 女性の活躍に関する国の動きを見てみますと、昨年8月に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が制定され、また、昨年12月に策定された第四次男女共同参画基本計画でも女性の活躍を促進するための環境整備の重要性がうたわれており、今後さらに女性の活躍が期待されるところであります。

 そこで、県は女性の活躍促進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、公共土木施設の復旧についてであります。

 県が昨年7月に実施した県政世論調査によりますと、「復興が前に進んでいると感じるのはどのような情報を得たときですか。」という問いに対し、最も多かった回答は「道路、海岸などの公共土木施設の復旧に関する情報を得たとき」という回答であり、全回答の3割を占める結果となりました。

 この結果からもわかりますように、公共土木施設の復旧というのは、現場における日々の進捗が目で見て確認できるため、復興を最も身近に感じる事業の一つであり、県民の関心が高いことが見てとれます。

 今後は、県民の安全・安心の基本である道路や海岸、港湾などの公共土木施設の復旧を一日も早く完成させることが非常に重要であります。

 そこで、震災から5年が経過する中、被災した公共土木施設の復旧の進捗状況と見通しについてお尋ねいたします。
 また、関東・東北豪雨により県内各所で人家や農地、公共土木施設などに豪雨災害としては県政史上5番目となる甚大な被害が発生したところであります。これにより被災した公共土木施設を一日も早く復旧し、県民生活の安全・安心を確保する必要があると考えます。

 そこで、平成27年9月関東・東北豪雨で被災した公共土木施設の復旧の見通しについてお尋ねいたします。

 次に、河川に堆積した土砂の除去についてであります。

 関東・東北豪雨などの影響で河川への土砂の堆積が進み、県民からその対策を強く求められております。

 一方、新聞報道によれば、相双地方を初め県北、県中地方を流れる河川では、放射性物質の影響により堆積した土砂の処分方法について見通しが立っていないため、土砂の除去が進んでいないと聞いております。

 しかしながら、河川に堆積した土砂を放置すれば洪水時に氾濫するおそれがあることから、一日も早く土砂の除去を実施する必要があると考えます。

 そこで、県は河川に堆積した放射性物質を含んだ土砂の除去にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、道の駅の機能向上についてであります。

 震災後、風評や風化といった課題の中、各地域のさまざまな取り組みにより明るい兆しが見られるようになりました。平成26年10月にオープンした道の駅あいづ湯川・会津坂下では1年間で約100万人が訪れるなど、会津観光を支える観光地となっております。

 ほかの道の駅においても、さまざまな取り組みにより県内外から多くの観光客を呼び込んでいます。東日本大震災のときには、自衛隊などの活動拠点になるなどさまざまな用途に利用されました。道の駅は、各市町村の地域活性化の拠点として、また、防災の拠点としてきわめて重要な施設となっております。

 そこで、県は道の駅の機能の向上にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射についてであります。

 北朝鮮が国際世論の反対を押し切り、人工衛星と称する弾道ミサイルの発射を強行したことは、明白な国連安保理決議違反であり、我が国の安全保障上重大な懸念を生じたものとしてまことに遺憾であります。

 今回のミサイル発射情報は県民の安全・安心にとって脅威であり、緊急事態の発生を待たずに県として対応すべき危機事象の一つであったと思います。

 そこで、県は北朝鮮のミサイル発射にどのように対応したのかお尋ねいたします。

 また、今回の北朝鮮によるミサイルの発射だけでなく、世界各地で発生しているテロや昨年の関東・東北豪雨、一昨年の御嶽山の噴火などの今まで想定されなかったような自然災害など、県民生活を脅かすおそれのある危機事象の発生は決して対岸の火事ではありません。

 こうした危機事象に対し、迅速な避難や的確な初動対応を行い被害を最小限に抑えるためには、県民一人一人の取り組みや地域での取り組みが不可欠であります。

 そこで、県は県民の自助・共助の促進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、日本赤十字社との連携についてであります。

 東日本大震災では多くの団体から御支援をいただいたところでありますが、とりわけ日本赤十字社からは、災害派遣医療チームの派遣や支援物資の提供など、人的にも物的にも多大な支援を受けました。

 本県と日赤との縁は明治21年の磐梯山噴火災害に始まるとのことでありますが、昨年3月に内堀知事と日本赤十字社の近衛社長が署名した「福島県と日本赤十字社との復興、防災対策等に関する共同宣言」に基づく協定が先日締結されたところです。

 そこで、県は日本赤十字社との連携をどのように強化していくのかお尋ねいたします。

 次に、サイバー犯罪対策についてであります。

 インターネットは、パソコンだけではなくスマートフォンからも利用できるようになり、今や県民の生活や経済活動において必要不可欠なものとなっております。

 その一方で、インターネットバンキングのIDとパスワードを盗み取り、他人の口座に不正に送金してしまう事犯や、個人情報を狙ったと見られる不正なアクセスによる被害が確認されているほか、インターネットショッピングをめぐる犯罪、コミュニティーサイトの利用に絡む犯罪など、インターネットを利用した犯罪が後を絶たない状況となっております。

 犯罪の被害件数が減少している一方で、インターネットを利用した犯罪は増加傾向にあり、その手口も悪質、巧妙化していくものと考えられ、こうした犯罪には警察の取り締まりはもちろんのこと、被害の防止対策の強化が必要であると考えます。

 そこで、県警察におけるサイバー犯罪対策についてお尋ねいたします。

 質問を終えるに当たり、所信の一端を述べさせていただきます。

 間もなく震災から丸5年が過ぎようとしております。震災と原発事故による県内外への避難者はいまだ10万人近い方々がおられ、そのうち県外へは1月14日時点で43,270人を数えております。この方々の一日も早いふるさとへの帰還が私たちに課された最大の責務であります。

 知事はさきの所信表明において、震災を乗り越えて「シンカ」した新しい福島、将来世代に誇りを持って引き継ぐことができる魅力ある福島を創造する覚悟を力強く表明されました。今までよりもさらに強い決意と受けとめさせていただきました。

 私は、戦後の復興を果たしてきた勤勉で実直な県民性がある限り、未曽有の大災害からの再生が「フクシマの奇跡」として花開き、我が国の歴史にさん然と輝くことをかたく信じるものであります。

 佐藤雄平前知事時代にまいた復興の種は、内堀県政の発足とともに小さな胎動から新たな息吹へと育ちつつあります。
 世界が注目する東京オリンピック・パラリンピック競技大会まであと五年、そのときまでに知事の唱えるオールふくしまの精神により県民挙げて復興をなし遂げ、たくましくよみがえった福島の復興の姿が全世界の人々の記憶と心に強く刻まれることを期待しながら、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。


議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。



知事(内堀雅雄君)亀岡議員の御質問にお答えいたします。


 震災後5年を振り返っての思いであります。

 5年前の3月11日、未曽有の複合災害は、これまで築き上げてきた県民の誇り、そしてふるさと福島に大きな影を落としました。私は、副知事という立場で危機管理の対応に追われながら、かつての美しく穏やかな福島を思い起こし、福島を必ず復興再生させるという強い使命感を胸に刻み、自分自身の情熱の全てを復興の実現に注ぐことを誓いました。

 それから激動の3年半を経験し、県民の皆さんの負託をいただき、知事に就任した今でも、その思いは私の心の真ん中、私の頭の真ん中にあります。

 震災から間もなく5年が経過しようとする中、県民の皆さんの懸命な御努力により、環境創造センターなど復興を支える拠点施設整備の進展やロボットを初めとした革新的な産業の創出など、福島の未来を拓く希望の光が強まりを見せてまいりました。一方、今なお多くの方々が避難生活を続けているなど依然としてさまざまな課題が山積しており、復興への道のりは長く険しいものであると考えております。

 しかし、この厳しい状況だからこそ我々は希望を持って前に進まなければなりません。福島の未来を信じ、挑戦を続けることで必ず真の復興がなし遂げられるものと確信をしております。

 今後も就任時に掲げた基本姿勢を貫き、本県に思いを寄せる全ての皆さんの力強い応援のもと、県民の皆さんとともに新しい福島の誇り、新しいふるさと福島を築いてまいる考えであります。

 次に、当初予算編成についてであります。

 新年度は、復興再生と地方創生をなし遂げていくための第一歩を踏み出す大切な年であります。このため、11の重点プロジェクトに予算を優先的に配分し、復興計画とふくしま創生総合戦略に掲げる施策を総合的かつ効果的に展開することとしております。

 中でも最重点の課題は、避難地域の復興加速化であります。双葉地域の二次救急提供体制の確保など安心して暮らすことのできる環境づくりや、帰還に向けた総合的な支援のほか、イノベーション・コースト構想の具体化など世界のモデルとなる復興を力強く進めてまいります。

 また、地方創生・人口減少対策も復興とあわせて取り組むべき重要な課題であります。学生の奨学金支援等による産業人材の確保や、待機児童の解消に向けた取り組みなどの子育て環境の充実に加え、交流人口拡大のための事業も積極的に展開し、人口減少に歯どめをかけ、地域の活力を取り戻してまいります。

 私は、これら復興再生と地方創生の実現の原動力は地域産業の活性化にあると考えております。本県の基幹産業である農林水産業や商工業、観光業の再生はもとより、これまで推進してきた医療機器関連産業や再生可能エネルギー、ロボット産業に加え、航空宇宙関連産業への参入を促進するなど新たな産業創出にもしっかり取り組みながら、魅力ある新生ふくしまの創造に全力を尽くしてまいる考えであります。

 次に、人口減少対策であります。

 本県では、出生率の低下や進学期及び就職期における若者の県外流出等に伴い、震災以前から構造的に人口減少が続いており、このまま減少が継続した場合、地域経済の活力低下とともに地域コミュニティーや行政サービスの維持が困難になるなど、地域社会への深刻な影響が危惧されます。

 このためふくしま創生総合戦略では、「未来を担う若者が希望をかなえられる社会の実現」を基本理念の一つとして掲げ、若い世代に対する施策を重点的に進めていくこととしたところであります。

 この戦略の中では、各種仕事づくりへの挑戦のほか、若者の県内定着・還流に向けた学生への奨学金返還の支援や、県外からの移住希望者を支援するための県内での各種割引制度が受けられるチャレンジパスポートの発行、さらには多様な子育て環境の充実に向けた多世代同居・近居の推進など新たにチャレンジする施策を優先して盛り込んだところであり、新年度から地方創生への取り組みを加速化させてまいります。

 大震災と原子力災害の影響を受け、この5年間で約11万人の人口減少に見舞われ、全国でも極めて厳しい状況に直面している本県だからこそ、まさに地方創生のトップランナーを目指して真剣に向き合う必要があり、市町村、企業、大学など福島のあらゆる力を結集させ、私自身その先頭に立ち、人口減少対策に果敢に挑戦を続けてまいります。

 次に、新産業の育成・集積についてであります。

 震災や原子力災害により甚大な被害を受けた本県の産業を復興させ、住民の帰還や若者の定着を進めるためには、今後さらなる導入拡大を目指す再生可能エネルギー、国内有数の販売額を誇る医療機器、さまざまな分野での活用が見込まれるロボットなど、新たな時代をリードする成長産業の育成・集積を通じて活力に満ちた新生ふくしまを築いていくことが極めて重要であります。

 このため、再生可能エネルギー及び医療機器については、産学官の連携による県内企業の研究開発支援や国内外への販路開拓支援、ロボットについては、子供の理解醸成を図る展示会の開催や介護分野等での導入促進に取り組むとともに、企業立地補助金や復興特区制度を活用した関連企業の誘致も行ってまいりました。

 今後は県内企業が研究を進めてきたメードイン福島の技術や製品の実用化を一層支援していくとともに、福島再生可能エネルギー研究所や会津大学の先端ICTラボ、本年秋に開所予定の医療機器開発支援センター、今後整備するロボットテストフィールド等の拠点を活用して、技術支援や認証取得の支援等を行うことにより関連企業の誘致を進めてまいります。
 さらに、航空宇宙産業についても、新たに人材育成等の県内企業の参入支援を進めるなど、本県の将来を支え、若者が夢と希望を持てる魅力ある産業の育成・集積を図ってまいります。

 次に、新たな県民運動についてであります。

 私は、復興を進めていく上で、県民の皆さんが元気で健康であること、そして笑顔でいることが重要であると考えております。
 昨年12月に検討委員会から報告をいただいた「健康」をテーマに取り組むべきとする新たな県民運動は、震災以降、避難生活の長期化などにより県民の健康指標の悪化が顕著になっている本県においては、今まさに必要な取り組みであり、しっかり実践をしていくことが大切であると考えております。

 このため、新年度においては、関係団体とともに新たな県民運動の推進組織を設置し、健康に向けた意識を高める広報活動やウオーキングや体操などの運動が実践できるイベントの展開を初め、子供たちの体力向上を目指し体を動かすことの楽しさを伝える機会を提供するほか、健康長寿や食育など健康づくりへの取り組みを進めながら、市町村や企業、各種団体が実施する事業とも連携し、県民運動の普及・浸透を図ってまいります。

 これらの取り組みを通して、人も地域も笑顔で元気な福島を目指し、子供からお年寄りまで誰もが参加しやすく、県全体で盛り上がる県民運動となるよう積極的に取り組んでまいります。

 次に、障がい者スポーツの振興についてであります。

 私は、障がい者スポーツには、障がい者の自立や社会参加の促進はもとより、多くの人々に勇気や感動を伝える力があり、復興への原動力になるものと考えております。
 
  本県では、ソチ2014パラリンピック冬季競技大会において、猪苗代町出身の鈴木猛史選手がアルペンスキーで金メダルを獲得したことは記憶に新しいところですが、現在、東京パラリンピックに向けて県障がい者スポーツ協会等と連携しながら選手の育成強化等に取り組んでおり、有望な若手の障がい者アスリートが世界選手権等へ出場するなど活躍をしているところであります。

 また、このたび県からの要望に応えて、日本障がい者スポーツ協会において国内最高峰の障がい者の陸上競技会である2017ジャパンパラリンピック陸上競技大会を平成29年9月にあづま陸上競技場で開催することが内定をいたしました。

 本県においてこのような国際パラリンピック委員会の公認大会を開催できることは、選手や関係者にとって大きな励みや自信となるものであり、これを契機として、東京パラリンピックに向けて本県障がい者スポーツのより一層の振興に取り組んでまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


総務部長(藤島初男君)お答えいたします。


 市町村による原子力損害賠償金の請求につきましては、これまで担当者会議等による情報共有や東京電力との意見交換会の開催等により支援を行ってまいりました。

 さらに、今月19日には自治体賠償に係る市町村等担当者会議を開催し、県内市町村等の請求・支払い状況や県の原子力損害賠償紛争解決センターへの和解仲介申し立ての考え方等について説明を行ったところであり、今後とも市町村に対する賠償金の支払いが迅速に進むよう支援してまいる考えであります。

 次に、風評払拭及び風化防止に向けた情報発信につきましては、全国各地で開催したチャレンジふくしまサミット等において、本県の現状を初め食や観光の魅力を直接伝えるとともに、ホームページやフェイスブックの活用などさまざまな手段で国内外へ広く発信してまいりました。

 今後は食の安全・安心や復興の取り組みなど正確な情報発信にさらに努めるとともに、知事欧州訪問のきずなを生かした英国学生の招聘や首都圏学生のスタディーツアーを通じた発信、本県の今と魅力を伝える動画の充実など、本県への関心を高め、復興の状況がより効果的に伝わるよう情報発信の強化に取り組んでまいります。


危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。


 県内の空間線量率につきましては、約3,600基のモニタリングポスト等により空間線量率の状況を常時監視するとともに、この情報をリアルタイムで公表しているところであります。

 県内の空間線量率は、事故直後から平成27年12月までに県北、相双地域においては約九割減少したほか、県中やいわきにおいても約八割減少してきております。引き続き空間線量率の常時監視と県民への情報提供に努めてまいります。

 次に、北朝鮮のミサイルへの対応につきましては、発射の懸念が高まった1月29日に庁内関係課長会議を開催し、危機管理部職員が24時間体制で情報収集や市町村等への連絡に当たることとしたほか、各部局においても、緊急時の連絡体制を確認し、待機体制をとったところであります。

 また、国際機関への発射時期等の通告後は、発射予定時間帯を中心に危機管理部職員が待機し、緊急情報伝達システムであるエムネットの受信確認や市町村等への情報提供に当たったところであり、今後もさまざまな危機事象について関係機関と連携し、臨機に対応してまいります。

 次に、県民の自助・共助につきましては、災害時に県や市町村が行う災害対策に加えて、県民や地域団体などが「みずからの命はみずから守る、みずからの地域は皆で守る。」という自助・共助の精神を持って行動することが防災や減災に大きな力を発揮することから、地域における自主防災組織を活性化するため、具体的な取り組みに対するアドバイスを行う専門の講師を派遣することとしたほか、自主防災組織のリーダー研修や情報交換会の開催によるネットワークづくりを支援してまいります。

 また、危機管理センターを活用した自助・共助に関する防災教育の実施等により、自助・共助への県民理解の促進に取り組んでまいる考えであります。

 次に、日本赤十字社との連携につきましては、昨年3月の県と日赤との共同宣言を具体化するための全国初となる協定を今月締結したところであります。

 協定では、日赤は医療救護活動や救援物資の調整を行う職員を県の災害対策本部へ派遣すること、本県において日赤が制作した防災教育プログラムを活用していくこと、日赤はそのネットワークを通じて国内外へ本県に関する正確な情報を発信していくことなどを取り組み内容としております。

 さらに、新年度には新たに県民の防災意識の高揚を図るため、防災フェアを共同で開催することとしており、これらを通して日赤との連携を強化し、地域防災力の向上を図ってまいります。


企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。


 福島復興再生特別措置法につきましては、税財政上の特別措置を初め道路等の国直轄権限代行措置や福島復興再生協議会の設置、開催などが盛り込まれた特別立法であり、原子力災害からの本県の復興再生を推進するための基本的な枠組みを定めているものであります。
 
今後とも福島復興再生特別措置法を最大限活用して復興を加速させてまいりますが、まずは来月にも開催される見込みの福島復興再生協議会の場において、避難地域の将来像の具体化やイノベーション・コースト構想の推進等に向け、法に基づく福島復興再生基本方針の変更を国に対し求めてまいる考えであります。


生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。


 除染につきましては、住宅や公共施設を中心に着実に進捗してきており、昨年12月末現在で国直轄除染地域では五市町村において、また、市町村除染地域では11市町村において計画全体の進捗率が100%となっております。

 県といたしましては、引き続き取り組み・進捗状況の調査や市町村訪問等を通じ個別の課題にきめ細かな対応を行うことにより、除染の迅速かつ確実な推進を図るとともに、国に対して、帰還困難区域や森林の除染に関する実施方針を明確にし、追加的除染も含め必要な除染を確実に実施するよう求めるなど、市町村や関係機関と一体となって本県の環境回復にしっかり取り組んでまいります。

 次に、省エネルギーの推進につきましては、地球温暖化の防止はもとより、再生可能エネルギー先駆けの地の実現を目指す上でも重要であることから、これまでもあらゆる主体と連携しながら県民運動として福島議定書事業やエコチャレンジ事業などに取り組んできているところであります。

 新年度においては、新たに既存住宅の断熱改修に対する支援のほか、企業や学校への高効率照明等のモデル的導入や子供たちに対する幅広い啓発などを通じて地域における省エネ意識の醸成に総合的に取り組むなど、環境への負荷を低減する賢いライフスタイルへの転換に向け省エネルギーのさらなる推進に取り組んでまいる考えであります。

 次に、女性の活躍促進につきましては、復興を着実に進め、地方創生を実現するためには、あらゆる分野で女性が活躍できる社会を築いていくことが重要であると考えております。

 このため、今年度、経済団体や国、市町村等とのネットワークの構築や県内で活躍する女性や男性と知事が意見交換するフォーラムの開催、女性活躍の情報を一元化したポータルサイトの開設のほか、女性の再就職支援や起業家の育成など普及啓発や環境整備に取り組んでいるところであり、今後さらにポータルサイトの充実による情報発信の強化を図るとともに、さまざまな団体の参画によりネットワークを拡充しながら、関係機関が連携して女性の活躍促進に積極的に取り組んでまいります。


保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 災害派遣精神医療チームにつきましては、平成26年度に設置した精神科病院協会等を構成員とする運営協議会においてチームの編成方法など派遣体制の整備に向けた検討を重ね、今月1日には、被災地への派遣調整等を行う統括者及び発生後72時間以内に被災地で活動を行う先遣隊について国に登録したところであります。

 新年度は、県内の医療機関の協力のもと派遣チームの編成が促進されるよう、精神科医師や看護師等を対象とした研修を行うとともに、支援活動に要する資機材を整備するなど、新たな災害に備え早期の派遣体制の整備に積極的に取り組んでまいります。

 次に、福祉介護人材の確保につきましては、質の高い人材を安定的に確保するため、新規就労者に対する就労支援金の支給や合同就職説明会の開催などを実施してきたところであります。

 新年度は新たに、社会福祉法人等が介護福祉士等養成施設を設置する際に必要となる実習用の設備や備品の整備に対する補助制度を創設するほか、介護の現場を正しく知ってもらい、イメージアップを図るため、施設や事業所で元気に働く若手職員の姿をおさめた映像を作成し、テレビスポット放送やインターネット配信を行うこととしており、今後とも福祉介護人材の確保に向け積極的に取り組んでまいります。

 次に、食育の推進につきましては、ことし6月に「チャレンジふくしま!おいしく たのしく 健康長寿」をテーマとして食育推進全国大会を開催し、取り組みを一段と加速することとしております。

 このため、新年度は新たに日々の食生活を自己チェックできるスマートフォンアプリの本格的な運用により県民一人一人の食生活の改善を促すとともに、飲食店や事業所を対象に栄養バランスのとれたメニューの開発を支援する「減塩と野菜を食べようキャンペーン」を実施することとしております。
 今後とも食育応援企業団や市町村等多様な主体と連携し、健康づくりに向けた食環境の整備に取り組んでまいります。


商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。


 県内企業の株式上場に向けた支援につきましては、企業が株式を上場することにより資金調達力や社会的信用が増すとともに、首都圏に進学した大学生等のUターン就職の受け皿になるなど、人材確保の面でも大きなメリットがあるものと考えております。

 こうしたことから、県内企業の上場を促進するため新年度から金融機関と連携し、若手経営者を対象とした株式上場に関するセミナーを開催するとともに、上場手続に要する経費の一部を補助するなど、県内企業の上場に向けた支援に積極的に取り組んでまいる考えであります。

 次に、ソフトウエアやコンテンツの産業の誘致につきましては、これまで情報通信機器等の借り上げ経費やデータ通信費、市町村が行う受け入れ施設の整備費に対する補助制度を活用し、ソフトウエア開発やアニメ制作会社など3社の立地につなげてきたところであります。

 新年度は、補助率の引き上げなどこれらの支援制度を拡充するとともに、オフィスとして活用できる県内の廃校、空き家等に関する情報発信に努めるほか、コンテンツビジネスの国際総合展「コンテンツ東京2016」に出展し、自然豊かな福島で働く魅力をアピールするなど、引き続き市町村と連携し、ソフトウエアやコンテンツの産業の誘致に取り組んでまいります。

 次に、企業立地補助金につきましては、これまで国と県を合わせて637件の新増設を指定しており、そのうち本年1月末現在で337件が完了し、約2,140億円の投資が行われ、約3,700名の新規雇用が創出されるなど、本県の産業復興に大きく寄与しております。

 新年度は、県内全域を対象に現行制度が継続されることに加え、新たに避難指示区域等を対象に自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金が創設されることから、これらの企業立地補助金を活用して、引き続き市町村と連携し、企業立地の促進と雇用創出に取り組んでまいる考えであります。

 次に、中小企業等グループ補助金につきましては、これまでの24回の募集において347グループ、3,624事業者に約1,082億円の交付決定を行い、被災事業者の事業再開を支援するとともに、風評払拭や地域コミュニティーの再生等に向けた取り組みを促進することにより地域経済の再生に大きな効果を上げております。

 新年度も引き続き津波浸水区域や避難指示区域等を対象に、従来の施設等の復旧に加え、新商品製造ラインへの転換など売り上げを回復するための新分野への進出を支援することにより、産業の復興を進めてまいる考えであります。


農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。


 農用地の除染の進捗状況につきましては、昨年12月末現在、国直轄除染では約5割、市町村による除染は約8割が完了しております。

 国直轄除染につきましては、除染が農業生産に支障を及ぼさないよう、除染特別地域の農林地除染連絡会において農業者や市町村の意見、要望について検討し、確実な除染の実施を国に求めているところです。

 また、市町村による除染につきましては、急傾斜牧草地や石が多い農地などについて現場の実態に即した除染手法を助言するほか、地域の求める効果的な除染技術等の柔軟な対応について国に働きかけるなど、除染の迅速かつ円滑な進展に向けて今後ともしっかりと支援してまいります。

 次に、農林水産物の安全・安心の確保につきましては、引き続き生産現場における放射性物質の吸収抑制対策と流通前のモニタリング検査などにしっかり取り組むとともに、その結果について消費者や流通業者に対しわかりやすく丁寧に伝えてまいります。

 また、出荷が制限されている一部の山菜などについて、採取地のマップ化による検査の効率化を図り、早期の制限解除に向けた取り組みを進めてまいります。

 さらに、生産者段階での生産工程管理、いわゆるGAPの推進に当たっては、点検項目に放射性物質対策を盛り込み、安全性への対応を強化することにより、消費者の安心感の醸成に努めてまいります。

 次に、地域農業を支える担い手の育成につきましては、地域の実情を踏まえた個別経営体の育成や集落ぐるみでの営農継続の仕組みづくりを進める必要があると考えております。

 このため、意欲ある農業者の規模拡大等に必要な機械、施設の導入を支援するとともに、専門家による経営コンサルティングを通じて法人化を進めるなど、生産力と経営管理能力にすぐれた経営体の育成に取り組んでまいります。

 また、大規模化や法人化が困難な中山間地域等の条件が不利な地域においては、高齢農業者や兼業農家など多様な農業者がそれぞれの役割に応じて地域農業を支えていけるよう、集落営農への取り組みを支援してまいります。

 次に、あんぽ柿の増産に向けた支援につきましては、伊達みらい農業協同組合が整備を進めている加工選別包装施設と長期貯蔵施設の効率的な活用に向け、県、市町村、出荷団体等が参画するあんぽ柿産地振興協会の活動の中で、安全な原料柿の生産はもとより、価格競争力が高い年内の出荷量の増大、出荷期全体にわたる安定的な出荷体制の確立を目指してまいります。

 また、高齢化により生産加工から撤退する農家の増加が懸念されることを踏まえ、新年度から産地を支える担い手の強化に向けて圃場の利用集積のための調整や乾燥機械の導入への支援を行うなど、産地の維持と生産量の復活を支えてまいります。

 次に、県産材の需要の拡大につきましては、建築や再生可能エネルギーなど幅広い分野での利用可能性を広げるため、集成材や木製パネルの新製品の開発に加え、新たにCLTの利用の拡大に向けて官民連携し、建築設計者向け研修会の開催などに取り組んでいるところであり、新年度、県内で開発された強固な接合技術とCLTの特徴を生かし、木材だけで大空間を形成できる建物への支援を通じ、工期の短縮化や建築コストを検証する予定です。

 また、木質燃料ボイラーの導入の促進を図るほか、木材発酵によるメタンガス製造技術の実証を進めるとともに、実用化に向けた事業者へのPRに努めてまいりたいと考えております。

 次に、水産業の再生への取り組みにつきましては、今後住民の帰還が加速化することを踏まえ、地元の漁業団体等と協議しながら、漁船や共同利用施設など漁業生産基盤の整備に対する支援に努めるとともに、本格的な操業再開に向けて、沿岸漁業振興の中核を担う水産種苗研究・生産施設の復旧や放射性物質の研究機能を拡充した水産試験場の整備に取り組んでまいります。

 また、試験操業が拡大していく中、漁業技術の継承が円滑に図られるよう、技術習得に向けた現場研修や試験操業の参加に必要となる漁具の整備に対する支援、さらには養殖業の再開に向けた技術指導の実施などにより担い手の育成・確保に努めてまいります。

 次に、農林水産物の風評払拭につきましては、知事のトップセールスを初めテレビCM、全国紙などマスメディアを通じて多様な消費者に訴えていくほか、流通事業者を対象とした大規模な商談会や消費者を対象とした産地ツアーなど、対象に応じた効果的な施策の展開に努めてまいります。

 さらに、今後はおいしさを追求し続ける生産者のこだわりや思いを消費地において直接働きかけ、販売につなげることができるよう、量販店等における販売促進活動や生産者及び料理人等が消費者と触れ合う対話型のイベントなどをふやすことにより、生産者と消費者の共感の輪を広げてまいる考えであります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 地域連携道路につきましては、高速道路などの基幹的な道路を補完し、隣接する生活圏を相互に結び、広域的な道路ネットワークを形成する上で極めて重要な交通基盤であります。

 このため、復興・創生期間においてこれらの道路整備を効率的かつ効果的に進める必要があることから、復興財源の確実な確保に努めるとともに、事業監理や調整業務の外部委託等による執行体制の強化を図りながら、債務負担行為を活用した工事発注等により円滑かつ着実な事業執行に努め、国道118号や県道いわき石川線などの地域連携道路の早期整備に積極的に取り組んでまいります。

 次に、建設業の担い手の育成・確保につきましては、これまで関係団体と連携し、建設業のイメージアップや労働環境改善などに取り組むとともに、今年度から若手技術者の技術力向上を目的に発注者及び受注者合同で現場研修会等を実施したところであります。

 また、現在、建設業を取り巻く環境の変化に対応するため、福島県建設業審議会において今後の建設業のあり方について審議いただいているところであり、今後の答申を踏まえ、担い手の育成・確保について新たな施策を検討してまいる考えであります。

 次に、震災において被災した公共土木施設の復旧につきましては、平成28年1月末現在、中通りと会津地方では全ての復旧が完了しており、県全体としては、災害査定を実施した2,133カ所のうち約94%で工事に着手し、約79%が完了しております。

 今後は浜通りにおいて、これまで災害査定を実施した箇所の平成31年度までの完了を目指し、復旧に取り組んでまいります。

 次に、関東・東北豪雨で被災した公共土木施設の復旧につきましては、全323カ所のうち主要な道路などで緊急を要する47カ所は既に工事に着手しております

 今後とも残る箇所の早期着工に努め、桧沢川など復旧にあわせて河川の拡幅等の改良事業を実施する箇所については平成30年度までに、その他の箇所については平成29年度までの完了を目指し、復旧に取り組んでまいる考えであります。

 次に、河川に堆積した放射性物質を含んだ土砂の除去につきましては、現在堆積状況や放射線量について調査を実施中であり、その処分方法について環境省などの関係機関と協議を進めているところであります。

 今後は調査結果を踏まえ、緊急に対策が必要な箇所を優先し、放射線量の比較的高い部分の土砂を仮置き場に保管するなど適切な措置を講じながら土砂の除去を実施し、適正な河川管理に取り組んでまいります。

 次に、道の駅の機能の向上につきましては、現在国と連携し、情報発信機能の強化を進めているところであり、来月末には東北で初めて県内全ての道の駅において情報端末やWi-Fiスポットの整備が完了し、無料でインターネットに接続できることとなり、リアルタイムの交通規制やライブカメラによる道路情報、特産品や観光などの地域情報の入手が可能となります。

 また、外国人旅行者の利便性向上のため、英語による情報発信の拡充を図るとともに、災害時等に対応できるよう非常用電源や太陽光パネルを設置するなど、地域の振興、観光や防災の拠点として機能強化に重点的に取り組んでまいります。


原子力損害対策担当理事(成田良洋君)お答えいたします。


 商工業等の営業損害につきましては、これまで東京電力に対し、原発事故による損害の範囲を幅広く捉えながら、事業者の個別の事情を丁寧に伺い、被害の実情を踏まえた賠償を柔軟に行うよう繰り返し求めてきたところであり、本年1月にも知事から直接東京電力の会長や社長に対し、事業の再建につながる賠償を的確に行うよう申し入れております。

 引き続き商工団体等と連携しながら、原子力損害対策協議会の活動等あらゆる機会を通し、被害者の立場に立った賠償がなされるよう取り組んでまいります。


避難地域復興局長(伊藤泰夫君)お答えいたします。


 避難指示が解除された市町村につきましては、日常生活に必要なインフラ整備はもとより、医療や商業機能など暮らしに密接なサービスの復旧が重要であることから、今月楢葉町に開所したふたば復興診療所の設置を初め近く営業開始予定の広野町、川内村の商業施設整備の支援などに取り組んでまいりました。

 今後も官民合同チームによる事業再開支援、企業立地の促進などによる雇用の場の創出、さらには事業者の帰還や再開に向けた需要喚起のための支援などにより、復興を先導している地域が多くの方々が帰還して真の復興を果たせるよう全力で取り組んでまいります。


こども未来局長(尾形淳一君)お答えいたします。


 児童の放課後活動につきましては、小学生の放課後の居場所となる放課後児童クラブと放課後子ども教室が連携し、その活動内容を一層充実させることが求められていることから、新年度本県独自の取り組みとして、小学校で実際に児童や教員の支援に携わっているサポートティーチャーを活用した学習支援や自然体験、スポーツ等さまざまな分野における体験活動を行うための共通のプログラムを展開することといたしました。

 今後とも市町村や教育委員会と連携し、こうした取り組みの普及を通じて児童の学力向上、体力向上に資することができるよう放課後活動の充実に取り組んでまいります。

 次に、子供の貧困対策につきましては、今年度中に新生子ども夢プランを改定し、関係機関との連携の強化や生活困窮者への支援などを新たに盛り込むこととしております。

 新年度は、よりきめ細かな支援に結びつけるため本県の子供の貧困に関する状況を調査し、市町村など関係機関による支援のためのネットワークの形成を推進するとともに、将来の安定した生活の基礎となる学習への支援やひとり親家庭の子供たちが安心して過ごせる居場所づくりなどを通して子供たちを健やかに育むことのできる環境づくりに取り組んでまいります。

 次に、若者の社会参画につきましては、福島の復興を前に進める際に大切なのは若い世代であることから、これまでも大学生と高校生がNPOにおいて地域課題の解決手法などを学ぶ取り組み、小学生が地域の商店街の活性化を考える活動など、さまざまな事業を展開してまいりました。

 新年度は、子供たちがみずから復興に寄与する活動を行う際の支援を拡充するとともに、新たに本県で学ぶ学生が福島の魅力や暮らしやすさなどについて考え、首都圏の若者に向けて発信し交流する機会を設けるなど、実践的な社会体験活動を通じて本県の復興やまちづくりなどに貢献したいと考える若者を支援してまいります。


観光交流局長(橋本明良君)お答えいたします。


 県産品の海外販路の回復に向けた情報発信については、本県の復興の現状や食の安全確保の取り組み等の正確な情報を現地の食品関係事業者や消費者等に継続的に発信していくことが重要と考えております。

 このため、国等と連携して輸入規制緩和を粘り強く働きかけるとともに、現地セミナーの開催やバイヤーの招聘、商談等の実施を通じ、食品関係事業者等に県産品の魅力や安全性を伝えてまいりました。

 新年度は新たに、アジアビジネスの拠点であり影響力の大きい香港において、現地のテレビや雑誌、SNS等を活用した情報発信を行い、直接消費者層に伝え続けることにより、本県のイメージ回復と需要喚起に取り組んでまいる考えであります。


教育長(杉 昭重君)お答えいたします。


 家庭や地域と連携した学力の向上の取り組みにつきましては、家庭や地域と一体となって取り組む児童生徒の学習習慣及び生活習慣の確立が重要であることから、教職員と保護者が協力し、児童生徒が主体的に学習に取り組むための心構えなどをまとめた学びの手引や自主的、計画的な学習や生活を促すための学びのプランを作成し、家庭との連携を図っているほか、地域で活躍している方による児童生徒の夢を育む講演会などを開催しているところであり、今後も家庭や地域と連携した「つなぐ教育」の推進を図り、学力向上に取り組んでまいります。

 次に、本県の医療に貢献する人材の育成につきましては、生徒が早い段階から医療に関する職種やその社会的役割についての理解を深め、医学や地域医療に対して強い関心を持ち、進学意欲を高めることが重要であると考えております。

 このため医師を志す高校生を対象に、県立医科大学における講義や実習、地域医療の現場に触れる機会等を設けてきたところであり、今後は新たに医療に関心を持つ中学生が、医師のみならずさまざまな医療従事者から直接話を聞く機会や医療機器に触れる機会を設けるなど、生徒の発達段階に応じた取り組みを進め、医療に貢献する人材の育成に取り組んでまいります。


警察本部長(石田勝彦君)お答えいたします。


 県警察におけるサイバー犯罪対策につきましては、サイバー空間の脅威が深刻化している現状を踏まえ、本年1月、関係部門が一体となったサイバーセキュリティ戦略推進委員会を新設するなどの対策を進めております。

 具体的には、取り締まりの強化はもとより、技術的な知見を有する会津大学や事業者等との連携を深め情報の共有を図っているほか、解析用機材の整備や人的・物的基盤の強化、さらには積極的な情報発信活動など被害防止対策を推進しております。

 県警察といたしましては、今後ともサイバー犯罪への対応力を高め、悪質・巧妙化するサイバー犯罪に対して総合力を発揮し、的確に対応してまいります。


議長(杉山純一君)これをもって、亀岡義尚君の質問を終わります。

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