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2016年2月定例会 一般質問 髙野光二議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月20日更新

髙野光二 議員

議員髙野光二
所属会派
(質問日現在)
ふくしま未来ネットワーク
定例会平成28年2月
質問等一般質問
質問日3月4日(金曜日)

34番(髙野光二君)ふくしま未来ネットワークの髙野光二です。

 震災から間もなく5年になろうとする今、地域の復旧復興、そして原発事故の影響を受けた地域のさまざまな課題は今まで誰もが経験してこなかった問題ばかりであります。

 今あの当時を思い出しても、被災状況が鮮明に思い出されます。多くの友人、仲間を失い、貴重な財産が瓦れきの山となったあのさまは、白砂青松の海岸は津波のすさまじさを物語っていました。海岸線には松の木1本も残っていません。

 しかし、今は復興のつち音が少しずつ少しずつ前に進んでいる姿を見るにつけ、何とも複雑な気持ちです。また、農地が荒廃して変わった姿、そして避難地域においても帰還を諦めた人、戻って復興に頑張る姿、どれをとっても大変であり、楽な道ではありません。

 地域の復興再生という姿に、県議としてこれから4年間しっかり地域のために仕事ができることに感謝をしながら、今後も頑張っていく決意を新たにし、質問に入らせていただきます。

 初めに、観光を通じた地域づくりについてであります。

 我が国は少子高齢化の進展とその先にある人口減少社会という歴史上経験したことのない局面を迎えております。殊に震災や原子力発電所事故の影響を強く受けた本県においては、人口の減少と地域の活力の低下は他県よりずっと深刻であります。

 このような厳しい状況のもとで、それぞれの地域が活力を維持し発展していくためには、何よりもそれぞれの地域に新たな活力を導入していく取り組みが必要であります。

 このような中、観光が地域経済にもたらす効果の大きさが着目されるようになっております。また、増加する外国人観光客の受け入れは地方にとって非常に重要な課題であると考えます。

 これからの地域の活性化には外国人観光客を初めとした観光客を地域に呼び込むことが不可欠であり、そのためには県や市町村、民間事業者などが手を携えて受け入れを図るとともに、共通の課題を解決していく取り組みが必要ではないでしょうか。

 そこでお尋ねいたします。観光による地域づくりを推進するため県を挙げて国内外からの誘客に取り組むべきと思いますが、知事の考えをお尋ねいたします。

 次に、教育旅行についてであります。

 震災による風評の影響を受けた本県の教育旅行は大きく落ち込み、平成26年度においても約50%までの回復にとどまるなど、依然として厳しい状況が続いております。

 教育旅行は、子供たちが実際に福島を訪れ、子供たち自身に直接福島の姿を見て、触れて、考えてもらい、それを子供たちが自分たちの地元に帰って伝えることで風評の払拭につながる取り組みであります。また、震災の被害を受けた福島の姿や復興に取り組む県民との交流は、本県を訪れた子供たちにとって生涯の財産になる貴重な体験となります。

 私は、教育旅行の回復に向けては震災の状況や復興の姿を学ぶ震災学習を進めていくことが重要であり、本県ならではの教育旅行メニューとしてぜひ取り組みを進めていただきたいと考えております。

 そこで、県は震災学習を生かした教育旅行の回復にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、減少傾向にある消防団員の確保についてであります。

 まず、東日本大震災において、迫り来る大津波を前に最後まで住民の避難誘導に当たられ、亡くなられた24名の消防団員の方々のとうといみたまに心から哀悼の誠をささげるものであります。

 東日本大震災では、多くの消防団員が住民の避難誘導、避難所の運営などに活躍されており、消防団はまさに地域防災力の中核と位置づけられておりますが、残念ながら団員数は年々減少していると伺っております。

 近年国内では、地震、洪水、土砂崩れ、噴火など大規模な自然災害が増加する傾向にあり、このような大規模災害に対応するためにはより多くの消防団員が必要ではないかと考えております。幸い本県には経験豊かな多くのOB団員がおり、また、女性の活躍も期待されているところであります。

 そこで、消防団へのOB団員や女性の加入の促進について県の考えをお尋ねいたします。

 次に、原子力損害賠償についてであります。

 浪江町民が原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介を申し立てた案件について、東京電力はこれまで和解案の受け入れを6度も拒否しております。和解案の受け入れを拒否する東京電力の姿勢は、総合特別事業計画でみずから掲げた「和解仲介案の尊重」に反し、いたずらに被害者の損害の回復をおくらせるものであります。

 こうした東京電力の対応は、原子力損害賠償に関する紛争を円滑かつ迅速に解決することを目的とする原子力損害賠償紛争解決センターの役割を阻害するものであると、同紛争解決センターの総括委員会からも厳しく指摘されているところであります。

 そこで、被害者の早期救済の観点から東京電力に対し、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介案を全て受け入れるよう強く求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 また、農林業の営業損害についてであります。

 避難指示区域内の農家の中には、意欲を持って営農再開に取り組もうとしている方が少なくないにもかかわらず、「せっかく安全な農作物をつくっても、根強い風評でちゃんと売れないのではないか」という強い懸念を抱いている現状にあります。そうした生産者の不安を一日でも早く払拭できるようにしなければ、被災地域の復興はなし遂げられないものと考えます。

 そのため、事業再開等の支援施策を充実することはもとより、農林業の営業損害の賠償が包括請求対象期間経過後の平成29年1月以降も賠償が継続されることが大変重要であり、不可欠であると考えます。

 そこで、避難指示区域内の農林業の営業損害について平成29年1月以降も賠償を継続するよう国及び東京電力に強く求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 さらに、避難指示区域外における精神的損害賠償についてであります。

 一つの自治体内に避難指示区域と避難指示区域外の両地区が併存する市町村があります。こうした自治体の避難指示区域外の住民からは、放射線被曝への懸念や不安、医療及び介護施設の不足などによる不便さなど、避難地域と同様の被害があるにもかかわらず、避難指示区域の精神的損害の賠償と比べて賠償額が少な過ぎると根強い不満の声が上がっています。

 被災市町村の復興を加速化するためには、地域コミュニティーの一体感が何より重要であると実感しております。そのためには賠償によって分断された地域のきずなの復活が不可欠と考えます。

 そこで、避難指示区域外の住民の精神的損害について十分な賠償を行うよう国及び東京電力に求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、避難地域における被災家屋の解体申請の受け付けについてであります。

 避難地域においては、家屋所有者から申請を受けて国が被災家屋の解体を行っておりますが、申請の受け付けが既に締め切られている自治体においては、手続を知らないなどさまざまな事情のために申請できていない方がまだ多くいるものと思われます。

 住居の解体は、国が行う20キロメートル圏内及び緊急時避難準備区域などは国が申請を受け付けることにより解体しますが、自治体ごとに対応が異なります。

 そこで、避難地域における被災家屋の解体申請について国に柔軟な対応を求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、避難地域等の河川の維持管理についてであります。

 東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴い、避難指示区域内では全ての住民が避難し、立入制限や放射性物質の影響によりそれまで行われていた堆砂除去や草刈りなどの河川の維持管理がほとんど行われなくなっております。今後予定されている住民の帰還を促進するためにも、生活環境の整備の一環として河川の維持管理を適正に行う必要があると考えます。

 また、南相馬市小高区を例にすると、営農の再開を目指し平成29年3月には大柿ダムからの農業用水の供給が開始される予定でありますが、用水路の経路となる河川において堆積土砂等により取水に支障が出ることが懸念されております。産業再生の面からも河川の維持管理が重要であると考えます。

 そこで、県は避難指示の解除が予定されている区域において河川の維持管理にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、避難地域等の営農再開についてであります。

 避難地域等における営農再開とは、田畑に何か作物をつくって、かつての緑とにぎわいを取り戻すことと考えます。食用作物は放射性物質の影響による風評の続く中で販売に不安があり、また、野菜の大型ハウス栽培や養液栽培も適すると思いますが、できるのは一握りの農業者です。

 そのため私自身、仲間とともに非食用作物としてのスイートソルガムを栽培したり、今年度ケナフを栽培してみましたが、栽培が比較的容易で適期に播種管理さえ行えば安定収量を確保できることがわかり、今後導入を支援し、面積を拡大していくべきと考えます。

 そこで、避難地域等の営農再開に向け、ケナフ栽培の導入を支援すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、除染についてであります。

 屋敷林、いわゆる「いぐね」は放射線量が高く、この影響で除染後も自宅の線量が下がらないのではないかと、住民は日々不安に感じています。

 また、「いぐね」以外でも水の流れ道や斜面の下など除染しても線量が下がらないところや、除染後一旦線量は下がったが再度上昇したところもあると聞いており、住民の生活環境の安全・安心を確保するための追加の対策も必要と考えるところです。

 そこで、住民の生活環境の回復を図るため除染の追加措置の実施を国に求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、モニタリングポストについてであります。

 県内に設置してあるモニタリングポストについて、原子力規制委員会では再編する方向で議論がなされたとの報道があったところであります。まだ廃炉の見通しが具体的でない状況において、万が一の事態が再び発生した場合、モニタリングポストは住民避難の目安になる情報を示す重要な機器であると認識しております。モニタリングポストの再編については慎重に対応すべきと認識しております。

 そこで、県は国のモニタリングポストの再編にどのように対応していくのかお尋ねいたします。

 次に、県民健康調査についてであります。

 調査の開始から4年以上が経過し、調査で得られたさまざまなデータがデータベースに蓄積されていると思います。県民健康調査については、県民の安心・安全のために調査は継続して実施されていくことが重要です。また、得られたデータを適切に活用していくことが県民の不安を和らげるためにも今後の大きな課題だと思うところです。

 このことに関連して、県では先月15日に開催された第22回県民健康調査検討委員会において、学術研究目的のためのデータ提供に関する検討部会を新たに設置することとされたようであります。

 そこで、県民健康調査のデータを学術研究目的のためにどのように提供していくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、災害関連死についてであります。

 市町村が災害関連死として認定した死者数が2千人を超え、発災から5年が経過しようとする現在でも災害関連死の認定が行われているところです。本県では、市町村が医師や弁護士などの有識者による審査会を設置して認定の判断を行っているところですが、認定については、新潟県中越大地震の事例をもとに厚生労働省が示した認定基準を参考にしており、統一的な基準はなく、震災や原発事故による避難の長期化により市町村における認定の判断が難しい状況にあります。一方、岩手県や宮城県においては県が認定基準を定めていると伺っております。
 そこで、県は市町村が行う災害関連死の認定の審査にどのように対応していくのかお尋ねいたします。

 次に、常磐自動車道へのインターチェンジのさらなる設置についてであります。

 昨年3月に全線開通した常磐自動車道は、1日当たり交通量が倍以上に増加しているなど、まさに今後のさらなる復旧・復興事業に必要な物流や人的交流に大きく寄与するものであります。

 現在設置に向けて動き出している大熊・双葉インターチェンジ、楢葉スマートインターチェンジなどの追加インターチェンジは、全線開通によるプラスの効果をより高める重要な施設と考えています。

 このようなことから、地元からの要望が強い南相馬市小高区や富岡町にインターチェンジをさらに設置することを引き続き国に求めていくことが必要です。

 そこで、常磐自動車道へのインターチェンジのさらなる設置に向けた取り組み状況と今後の方針をお尋ねいたします。

 次に、民俗芸能の継承についてであります。

 県内各地で伝承されてきた多彩な民俗芸能は、私たちの暮らしに潤いをもたらすとともに、地域の融和や団結に重要な役割を果たしてきました。しかし、少子高齢化の進展、さらには震災の影響で担い手が減少するなど存続の危機にある県内の民俗芸能は少なくありません。

 生まれ育ったふるさととのきずなをつなぐためにも、各地域の象徴とも言うべき民俗芸能の火を消さぬように次世代に継承していくことが重要であると考えます。

 そこで、県は民俗芸能の継承にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、TPPについてであります。

 先日、私の地元の南相馬市で自動車関連の2社に話を聞いてみましたところ、「輸出産業である自動車産業はTPPはプラスになる。」という話がある一方、畜産農家の方は「TPPは外国から価格の安い肉類や乳製品が輸入されることで大きな影響があるのではないか。」という悲観した見方をされていました。県全体に目をはせれば、TPPはさまざまな分野で大きな影響を及ぼすものと考えております。

 そこで、TPP協定の締結により県全体で生じる主な影響についてどのように見込んでいるのかお尋ねいたします。

 さらに、TPP協定の農業への影響についてお伺いいたします。

 私どもの南相馬市の避難地域では、原子力発電所事故で営農再開もままならない状況であり、その他の地区も風評等で非常に厳しい環境にあります。このような中でTPP協定が発効されれば、本県農業への影響は避けられないものと考えられ、県は影響を最小限にし、農家の不安を払拭すべくさまざまな対策を講じるべきと考えます。

 そこで、TPP協定の締結により影響が懸念される農業についてどのように対応していくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、高齢化が進む集落対策についてであります。

 福島県人口ビジョンによると、2040年の本県の人口は約147万人まで減少すると推計されております。人口減少の要因として、未婚者の増加、晩婚化、経済的背景で結婚を考えながらも困難な状況等があることから、何とか食いとめたいと政策を講じているところであります。

 一方で、高齢化が進み、65歳以上の高齢者が住民の50%以上を占める、いわゆる限界集落も過疎・中山間地域を中心に増加するものと思われ、その対策が重要であります。

 そこで、県は過疎・中山間地域の集落対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、結婚や子育ての支援についてであります。

 昨年12月に策定されたふくしま創生総合戦略では2040年に合計特殊出生率を2.16にするという高い目標を掲げていますが、これを実現し、人口減少対策に歯どめをかけるためには、結婚から子育てまで切れ目なく支援することが必要であります。

 そこで、結婚から子育てまで切れ目のない支援にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。

 次に、保健医療従事者養成施設の整備についてであります。

 ことしの1月12日に知事は記者会見の場で、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床検査技師の4職種について養成を行う保健医療従事者の養成施設に係る基本構想を発表したところであります。

 そこで、改めて保健医療従事者養成施設の整備について県の基本的な考えをお尋ねいたします。
 
 次に、看護職員や介護職員の人材育成と確保についてであります。

 病院や介護施設等、看護や介護の現場は女性が多い職場であり、女性が安心して働き続けるためには、早出や夜勤など交代勤務に対応できるより利便性の高い事業所内保育施設など子育て環境の整備が重要であると考えます。子育てをする皆さんの職場の環境を整えてこそ女性が積極的に働くことができると思います。

 そこで、県は看護職員や介護職員の子育て環境の整備にどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。

 また、相馬地方における福祉・介護人材の育成及び確保についてであります。

 団塊の世代が後期高齢者となる平成37年には全国的に約38万人の介護人材不足が懸念され、本県においても6,157人の人材が不足する見通しです。介護及び福祉事業を進めるに当たり大変深刻な状況にあります。また、特にさきの震災、原子力発電所事故により相馬地方の施設において不足していた福祉・介護職員の不足は一層深刻になっています。

 介護施設のベッド数に必要な職員の確保が進まないことから、特養や老健施設に入所を希望しても待機者がたくさんいて入院や介護福祉施設に入れないというお話をたくさん伺っております。特養や老健施設を初め関係団体が地域で必要とする福祉・介護人材をみずからの地域で育てる必要があると強く認識し、相馬地方に介護福祉士などの養成施設の設置を切望し、要望活動も行っているところであります。

 そこで、こうした要望を踏まえ、相馬地方における福祉・介護人材の育成と確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、農業の振興についてであります。

 昨年度から農政改革の柱として農地中間管理機構による農地集積の取り組みが全国的に始まっています。担い手の減少、高齢化が進む本県においても、当該機構の役割はますます重要になってきていると感じております。今後ますますふえることが予想される不耕作地を少しでもなくす意味からもスムーズな土地の流動化が図られなければなりません。

 そこで、県は農地中間管理事業による農地の利用集積にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。

 次に、警察行政についてであります。

 先般、私の地元南相馬市の住民が2,500万円もだまし取られるなりすまし詐欺の被害が発生するという報道がありました。復旧・復興に向け住民が邁進している中でこのような被害が発生したことは非常に残念なことであります。

 県警察では来年度、なりすまし詐欺の捜査体制を強化することとしており、犯人を検挙することでこれら犯罪を抑止することに大いに期待しているところでありますが、やはりこのような卑劣な犯罪に遭わないのが1番であります。

 昨年1年間のなりすまし詐欺の被害件数は過去最高となっておりますが、被害に遭われた方の実に約6割が65歳以上の高齢者の方であります。そのため、高齢者の見守り活動などにより高齢者の被害を減少させていくことはもちろん、これにあわせて家族や地域の中での注意の喚起を行うことにより、地域住民がなりすまし詐欺への意識を高め、被害を防止していくことが大切であると考えております。

 そこで、なりすまし詐欺の被害防止への今後の取り組みについてお尋ねいたします。

  最後に、教育行政についてであります。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が平成27年4月1日から施行されました。これにより知事が教育行政に果たす責任や役割が明確になるとともに、公の場で教育政策について議論することが可能となったところであります。福島県としての独自の教育、さらなる学力向上と人材育成に期待するものであります。

 そこで、県教育委員会は総合教育会議を活用し、知事との連携をどのように強化していくのかお尋ねいたします。

 結びに、一言述べさせていただきます。

 つい先日、避難指示区域の解除に向けての市の説明会に参加してきました。市の復興状況と国の考え方、現状認識の説明がありました。参加された住民の方々からは次々と質問が出され、除染が十分でないなどの不安の声、今後の営農、事業再開の厳しさの訴えや賠償の問題など、国が考え、現状の中で示している解除の条件と復興の考え方に温度差を感じました。避難者に寄り添う姿勢と政策として進める実態には問題があると強く感じた次第です。

 帰還を進める集落には、山積みされた除染の黒いトンバッグ、安心して住める環境とそれで言えるのでしょうか。中間貯蔵施設の建設もようやく始まろうとしていますが、今なお地権者の同意を得たのはわずか2%とまことに低い状況にある中で、被災地域の復興の今後の見通しが本当の意味で見通せないのが現状かもしれません。

 しかし、この震災から立ち直ってこそ、そして被災地域が再び緑豊かなふるさとを取り戻すという希望を失うことなく今後も頑張ってまいりたいと思います。

 政治は住民、県民の幸せのためにどうあるべきか、そして政治が住民にとって身近なものになっていくことが今後の福島県の復興と未来につながり、震災から復興し、夢と希望を描ける福島を未来の子供たちにしっかりバトンタッチする努力を今後とも頑張っていくことをお誓いし、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。

議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。

知事(内堀雅雄君)髙野議員の御質問にお答えいたします。


 観光による地域づくりについてであります。

 私は人口減少社会が本格化する中、観光が裾野の広い産業であり、新たな交流により地域に活力をもたらすことなどから、その振興は本県の復興や地域活性化を着実に進めるための重要な柱であると考えております。

 このため、引き続き福島の農産物や自然環境、歴史、文化等の素材を世界に誇る観光資源となるよう地域の方々とともに磨き上げ、福島のすばらしさを国内外に発信し、さらなる誘客に努めてまいります。

 また、デスティネーションキャンペーンを契機として、県内各地で県民みずからが地域のために考え行動する観光による地域づくりの動きが生まれており、こうした流れを確実に定着させるため、観光による地域づくりを担う日本版DMOの導入を進め、国内外からの観光誘客に全県一丸となって取り組む体制を整備してまいります。

 今後とも国内はもとより、海外からの誘客にもしっかりと取り組み、観光がもたらす多様な活力を幾度も訪れたくなるふるさと福島の創造につなげてまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。


危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。


 消防団へのOB団員や女性の加入促進につきましては、地震や洪水等の大規模災害では多様な能力を持つ多くの団員が必要であることから、十分な出動経験と救助資機材の使用に熟練しているOB団員による機能別消防団員制度の導入や女性団員の加入促進を図ることが必要であると考えております。

 このため県では、四方部で消防団幹部や市町村担当職員を対象に消防団員確保対策研修会を開催するとともに、市町村への個別訪問を実施するなど、引き続きOB団員や女性の加入促進に取り組んでまいります。

 次に、国のモニタリングポストの再編につきましては、現在も原子力発電所事故は収束しておらず、廃炉に向けた長期の作業が進められる中、県内のモニタリングを引き続きしっかり行うことは本県の復興を図り、県民の安全・安心を確保する上で重要なことと認識しております。

 県といたしましては、国に対し地元の実情を十分に把握した上で検討を進めるよう求めてまいる考えであります。


企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。


 TPP協定締結による福島県全体への影響につきましては、消費者においては海外の農林水産物がより安く手に入り、また、商工業分野においては関税の撤廃等による輸出の促進等の好影響が期待される一方、農林水産業分野においては、関税撤廃等により一部の品目で長期的に価格が低下するなどマイナスの影響が懸念されるところであります。

 今後も引き続き国に対し、具体的な影響、効果について十分かつ丁寧な説明を求めるとともに、万全の対策を講じるよう強く求めてまいる考えであります。

 次に、過疎・中山間地域につきましては県土の八割を占めることから、本県の地域づくりを進める上で極めて重要な地域である一方、高齢化や若者の流出による担い手不足、地域活力の低下が深刻になっております。

 このため、地域資源を生かした雇用の創出や定住の促進を視野に入れつつ、大学生や集落出身者と集落との結びつき強化の支援や地域おこし協力隊の導入推進など交流人口の拡大を積極的に図りながら、過疎・中山間地域の集落の活性化に取り組んでまいります。


生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。


 被災家屋の解体申請につきましては、国が市町村ごとに期間を定めて受け付けしており、11市町村のうち6市町村で受け付けを終了しております。

 これまで県では国に対し、受け付け終了後も柔軟に対応するよう求めてきており、国では窓口開設期間の延長や個別の事情を考慮した申請の受け付けなどの対応を行っております。

 今後とも国に対し、制度の十分な周知や被災者の事情に応じた柔軟な対応を求めてまいる考えであります。

 次に、除染の追加措置につきましては、国は除染効果が維持されていない箇所について、個々の現場状況に応じて個別に対応するという考え方を示しております。

 県といたしましては、雨どい下や水の流れ道などで線量が除染直後より上昇した場合や当初の除染で効果が得られなかった場合などに地域の実情に応じて的確に対応できるよう、対象箇所や手法など追加的除染の具体的な仕組みの構築を国に求めてきており、引き続き追加的除染も含め必要な除染を確実に実施するよう求めてまいる考えであります。


保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 県民健康調査のデータの学術研究目的のための提供につきましては、県民の健康の維持増進など県民の利益につながることが重要であることから、公益性や信頼性を確保して実施するためのルールについて検討していくこととしております。

 そのため県民健康調査検討委員会のもとに、個人情報、法律、統計等の専門家で構成する検討部会を新年度の早い時期に設置し、データの提供先や審査基準などについて意見をいただくこととしており、会議を公開で行うなど検討過程の透明性を確保しながら慎重に進めてまいります。

 次に、保健医療従事者養成施設につきましては、有識者会議からの提言を踏まえ、高齢化によるリハビリテーション需要の増大、医療技術の高度化、専門化、大学進学志向の高まり等に応えるとともに、原子力災害の影響等による人材の流出や県民の各種健康指標の悪化など本県固有の環境変化にも対応するため、必要となる理学療法士等の4職種について、将来の需給予測に基づき4年制課程の大学として整備しようとするものであり、県立医科大学にその運営を依頼したところであります。

 次に、看護職員や介護職員の子育て環境の整備につきましては、子育て中の職員が安心して働くことができる環境づくりが重要であることから、病院内保育所にあっては看護職員の交代制勤務に対応して、24時間保育を行う場合の加算などを含めた運営費及び施設整備費に対する補助を行っております。

 また、介護の施設や事業所内における保育施設についても施設整備への補助制度を活用するよう市町村に働きかけており、今後とも看護職員や介護職員の子育て環境の整備に努めてまいる考えであります。

 次に、相馬地方における福祉・介護人材の育成確保につきましては、相双地域等に県外から就職する方に貸与する返還免除つきの就職準備金のメニューに、新年度新たに家族数に応じた赴任手当の加算等を設けることとしております。

 また、相双地域の人材の育成や確保等を協議する対策会議のもとに、県、地元自治体、関係団体を構成員としたワーキングチームを設置し、今月中に検討を始めることとしており、今後とも福祉・介護サービス提供体制の充実にしっかりと取り組んでまいります。


農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。


 避難地域等の営農再開に向けたケナフ栽培の導入につきましては、栽培が容易で機械化による大規模栽培も可能であること、放射性物質の吸収もないことなどから、販路の確保を前提に当該地域において農地を効率的に利用するために有効な作物の一つであると考えております。

 このため南相馬市内の生産者と連携してその生産性について調査してきたところであり、今後収益性や連作障害の有無などを確認した上で、本格的な導入に向けた支援策の検討を進めてまいります。

 次に、TPP協定の農業への影響につきましては、原発事故による風評に加え、担い手の減少という本県農業の現状を踏まえれば、協定の発効時期にかかわらず、激化する産地間競争を見据えた生産性の向上を初め農地の利用集積や担い手の育成確保は喫緊の課題であると認識しております。

 このため経営感覚にすぐれた担い手の育成や生産性向上対策を通じて体質強化を図るほか、地域産業の六次化や農業生産工程管理の導入等による競争力の強化、条件が不利な地域における農業生産活動への支援など、国の施策を最大限に活用しながら迅速に対応してまいる考えであります。

 次に、農地の利用集積につきましては、地域の実情に精通した地方駐在員を各農業普及所に配置し、丁寧な制度説明や人・農地プランの作成支援に当たらせるほか、普及所ごとに2カ所程度モデル集落を選定し、現状把握と分析に基づく将来像を提示するなど課題解決に向けた話し合いを促進してまいります。

 また、地域リーダーを育成するための研修会の開催や法人化への誘導等を通して、当該事業の受け皿となる集落営農組織の立ち上げを支援し、地域ぐるみでの農地の利用集積を進めてまいる考えであります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 避難指示の解除が予定されている区域における河川の維持管理につきましては、住民が安心して帰還するために重要であると認識しております。


 県といたしましては、帰還の時期を考慮しながら、生い茂った草木や堆積した土砂の除去、破損した護岸の修繕等を実施し、河川の氾濫防止や環境の回復を図るとともに、震災前と同様な河川の利用が可能となるよう適切な維持管理に取り組んでまいります。


原子力損害対策担当理事(成田良洋君)お答えいたします。


 紛争解決センターの和解仲介につきましては、個別の事情による損害に係る紛争について、裁判よりも簡易かつ柔軟な手続で公正、迅速に解決が図られることから、被害者の早期救済に極めて重要であると考えております。

 引き続き東京電力に対し、原発事故の原因者としての自覚を持って和解仲介案を積極的に受け入れるよう求めてまいります。

 次に、避難指示区域内の農林業の営業損害につきましては、原子力損害対策協議会の活動等を通し、多くの生産者が将来の農業経営に対する懸念を強めている厳しい現状を踏まえ、平成29年1月以降の賠償に関する考え方を早急に明示するよう国及び東京電力に強く求めてまいりました。

 引き続きJA等の関係団体と連携し、生産者の生活や事業の再建につながる賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。

 次に、精神的損害の賠償につきましては、これまで原子力損害対策協議会の要望・要求活動において、個別具体的な事情への対応を含め、被害の実態に見合った賠償がなされるよう国及び東京電力に求めてきたところであり、引き続き被害者それぞれの状況を十分に踏まえた賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。


避難地域復興局長(伊藤泰夫君)お答えいたします。


 災害関連死の認定につきましては、発災から長期間経過し、災害との因果関係の判断が難しくなっていることから、市町村への助言や定期的に情報交換会を開催するとともに、昨年度からは認定の判断が難しい発災から2年を超えて亡くなった方の認定事例のリスト化を行い、必要に応じて類似事例を提供する共有化の枠組みを構築したところであります。

 今後とも市町村と一体となって、認定の審査が円滑になされるよう取り組んでまいります。

 次に、常磐自動車道へのインターチェンジのさらなる設置につきましては、復旧・復興の加速化や地域活性化など多様な観点からその重要性を認識しており、これまでも国に十分な財政措置を含めた支援の充実を要望してきたところです。

 県といたしましては、引き続き関係する市や町とともにあらゆる機会を捉えて国に対して施設の必要性を訴えながら、その実現に向けて取り組んでまいります。


文化スポーツ局長(篠木敏明君)お答えいたします。


 民俗芸能につきましては、人々の心のよりどころであるとともに、地域のきずなを強めるものであり、復興への大きな力になるものと考えております。

 このため民俗芸能の発表の機会としてふるさとの祭りを開催するとともに、新たに今年度から県内各地の民俗芸能保存団体を対象に、専門家を派遣しての地区別説明会や個別訪問等を実施し、各団体の実情に応じた助言などの支援を行っており、今後とも専門家や市町村と連携しながら地域の宝である民俗芸能の継承に積極的に取り組んでまいります。


こども未来局長(尾形淳一君)お答えいたします。


 結婚から子育てまでの支援につきましては、これまでも若者の出会いの場づくりや出産後の子育てに不安を抱える母親への支援などに取り組むとともに、昨年夏にはふくしま結婚・子育て応援センターを設置し、切れ目のない支援を行ってまいりました。

 新年度は、出会いを求める男女がみずからの情報を登録し、相手を探すことができるシステムの構築や、子育てを支援するための人材の育成などを通して結婚や子育てがしやすい環境づくりに取り組んでまいります。


観光交流局長(橋本明良君)お答えいたします。


 震災学習を生かした教育旅行の回復につきましては、これまで子供たちに震災時の状況等を説明する語り部の育成に取り組んできたほか、ふくしま観光復興支援センターを設置し、学校や旅行会社の要望に応じ、語り部や視察先とのマッチング、学習コースの提案等の支援を行ってまいりました。

 今後はこうした取り組みに加え、語り部や地域の受け入れ団体等と連携しながら地域主導の震災学習プログラムづくりを進めるなど、教育旅行の一層の回復に向け積極的に取り組んでまいる考えであります。


教育長(杉 昭重君)お答えいたします。


 総合教育会議を活用した知事との連携につきましては、本年度開催された会議において、教育の振興に関する施策の大綱や教育、子育てに係る方策等について協議を行い、新年度新たに知事部局と連携して中学校段階から医療人材の育成を図る取り組みや幼児期から読書に親しむ取り組み、児童の放課後活動の充実を図る取り組みを実施することといたしました。

 今後とも総合教育会議の場を積極的に活用し、知事との連携を一層強化しながら各施策の充実を図ってまいる考えであります。


警察本部長(石田勝彦君)お答えいたします。


 なりすまし詐欺の被害防止への今後の取り組みにつきましては、現在実施している各種広報活動や不審電話撃退装置の普及促進、金融機関と連携した水際対策等さまざまな段階の被害防止対策に加え、全国に先駆けて実施した自治体や企業等との連携によるなりすまし詐欺防止ふくしまネットワークの拡充や町内会単位で委嘱しているなりすまし詐欺防止協力の家の普及などを積極的に推進しており、被害を未然に防いだ事例も相当数出てきているものと考えております。

 今後もこうした施策をさらに推進し、卑劣ななりすまし詐欺の撲滅に向け取り組んでまいる考えであります。


議長(杉山純一君)これをもって髙野光二君の質問を終わります。

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