ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2016年2月定例会 一般質問 吉田英策議員

2016年2月定例会 一般質問 吉田英策議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月20日更新

吉田栄策 議員

議員吉田英策
所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成28年2月
質問等一般質問
質問日3月2日(水曜日)

13番(吉田英策君)日本共産党の吉田英策です。県政一般について質問いたします。


 まず、企業誘致と地域経済についてです。

 会津若松市の半導体製造大手ジェイデバイスの工場閉鎖は、地域の雇用と経済にとって大きな影響を及ぼしました。ジェイデバイスは全国に14拠点を持つ半導体製品組み立ての大手です。会津若松工場の従業員は340人が働いていました。同社は従業員を北海道や九州の工場に配置がえし雇用は確保するとしていますが、従業員が遠隔地に移るのは難しいと言われています。

 過去の企業の事業再編で県内の製造拠点が閉鎖、縮小された例では、2013年の日本たばこ郡山工場の閉鎖、2015年にはパナソニック福島工場がデジタルカメラの生産を停止しました。ことし一月には、泉崎村の株式会社タイテックソリューションズが経営破綻をいたしました。タイテック社は県のふくしま産業復興企業立地補助金約3億8千万円を受け、2013年11月に操業を始めています。このままでは補助金が水泡に帰す結果となりかねません。

 ふくしま産業復興企業立地補助金を受けた県内企業は285社、金額は960億円に及び、雇用は約3千人にすぎません。補助金の原資は税金ということを考えれば、より有効に企業発展と地域貢献のために使われることが望まれます。

 県は企業を誘致するために補助金、工業団地の造成などを行っています。しかし、こうした企業誘致のあり方は一旦工場閉鎖や企業の倒産といった場合、その影響は雇用や地域の経済に大きな影響を与えます。

 県は補助金支給の要件として、企業に対し最近の3年間の決算報告を求めています。ふくしま産業復興企業立地補助金の採択に当たり、県はどのような観点で審査しているのかお伺いします。

 また、ふくしま産業復興企業立地補助金の交付を受けた企業が倒産した場合、補助金の返還を求めるべきと思いますが、県の考えをお伺いします。

 大手企業の誘致以上に、地元企業の育成に思い切って軸足を移し、これまで以上に地元企業の育成支援に力を入れるべきです。県内中小企業の技術力向上にどのように取り組むのか、県の考えをお聞きします。

 次に、DIOジャパン関連子会社の補助金返還問題についてです。

 1月22日、DIOジャパン問題で労働者救済の立場でかかわってきたいわき市労働組合総連合といわきのコールセンターを考える市民の会は、連名でいわきの地方振興局において県知事宛てに「DIOジャパンによる補助金不正を見逃した責任を認め、いわき市に返還請求をしないことを求める要望書」を提出しました。

 要約すれば、一つは、不正を見逃した県の責任を認めること、二つは、いわき市に不正額の返還を求めないこと、三つは、厚労省に徹底した再調査を求め報告を求めること、四つは、元従業員に対し未払い賃金全額を支給する措置を講じることです。

 DIOジャパン関連子会社であるいわきコールセンターの補助金返還問題について、県は不適正事案を見逃した責任を認めるべきと思いますが、お考えを伺います。

 また、いわき市に不適正な支出とされた補助金の返還を求めるべきではないと思いますが、県の考えをお聞きします。

 次は、公契約条例についてです。

 建設業界などでは、「多重下請構造のもと下請業者への単価の切り下げや現場で働く労働者の賃金が低く抑えられる。業務委託においても賃金が低く抑えられている。」と労働者からの声が寄せられています。また、公共施設における清掃や警備といった業務においても人件費抑制が懸念されます。

 県が発注する公共事業や業務委託において適正な労働条件を確保するため、公契約条例の制定が必要と思いますが、県の考えをお聞きします。

 次に、小名浜港の整備についてです。

 小名浜港東港の事業費は総事業費953億円にも上る巨大プロジェクトとして進められています。当初事業費730億円から約200億円もふえ、さらにふえることも懸念されます。

 目的は、大型船舶による石炭の大量一括輸送を可能とし、東日本地域の石炭の安定的かつ安価な石炭輸送の実現です。エネルギーとして石炭を使うことは環境に大きな負荷を与え、事業全体は環境にも財政にも配慮することが重要と考えます。小名浜港東港地区の今後の整備について、進捗状況と今後の見通しについてお尋ねします。

 その一方で、既存埠頭の整備がおくれているという指摘が港湾労働者や港湾関係者から出されています。夜間作業時の照明施設などが不足し、作業の安全にも支障を来しています。小名浜港5、6号埠頭地区における照明施設の整備について、県の考えをお聞きします。

 次に、地球温暖化対策についてです。

 昨年12月のCOP21「パリ協定」では、世界196カ国・地域が初めて温室効果ガス削減を約束しました。産業革命以前から2度未満、1.5度未満を努力目標と明記しました。パリ協定を踏まえれば化石燃料の利用を抑えることは不可欠と言われています。

 温室効果ガスの削減を世界各国が初めて約束した歴史的協定であるパリ協定について、知事の考えをお聞きします。

 今、脱炭素は世界の大きな流れになっています。アメリカは規制方針を示し、イギリスは2025年をめどに既存の石炭火力発電所の撤廃を決めました。国際的には、温暖化対策で石炭火力からの離脱は最優先の課題として位置づけられています。

 ところが、日本では今後47基の石炭火力発電所建設が予定される中で丸川珠代環境大臣は、「CO2排出量が多く是認できない。」と新設に慎重だった石炭火発の建設を電力業界の管理を強化することを条件に容認するとの立場へ転換いたしました。

 石炭火力発電は高効率でも長期にCO2を排出し続けるのであれば、環境への影響は甚大なものがあると考えるべきです。脱炭素の流れに逆行する石炭火力発電所の新設はこれ以上認めるべきでないと思いますが、県の考えをお聞きします。

 次に、介護問題です。

 「安心した老後を送りたい。」、これは介護利用者、家族の率直な思いです。ところが、介護の現場は介護労働者の不足、それによるサービス内容の変更または事業所閉鎖がふえ、介護利用者が十分なサービスを受けることができないという事態が起きています。

 厚生労働省は昨年6月、2025年には37万7千人の介護労働者が不足すると発表いたしました。介護労働者の賃金は全産業平均から10万円も安いと言われ、やりがいはあるが、働き続けることは困難という実態があり、深刻な労働者不足にあります。人材の確保ができずに施設経営も困難になっています。人材確保のために処遇の改善は急を要します。

 こうした中で、政府は要支援高齢者を介護保険から外して市町村総合支援事業へ移行し、昨年4月には介護報酬の引き下げを行いました。これにより一層の困難を介護現場に持ち込んでいます。地域支援総合事業の実施に伴って、担い手の専門職から無資格者、ボランティアやシルバー人材センターへの移行などが検討され、専門職のサービスから素人のお世話に変わることが懸念されています。

 今行うべきことは、介護職員確保のためにも、介護報酬の大幅な引き上げと介護職員養成のための養成施設の建設、そして賃金引き上げと処遇の改善です。介護の現場から、月額10万円以上の引き上げ、介護報酬の大幅なプラス改定を望む声が出されています。介護職員の賃金の引き上げは焦眉の課題と思いますが、県の考えをお聞きします。

 県内における介護職員の賃金、離職の実態をどのように把握しているのかお聞きします。

 また、県内の介護保険事業所について、直近の廃止の件数と主な理由をお尋ねします。

 特に少ない浜通り地域の福祉や介護の人材を確保するため、介護福祉士等養成施設の設置を支援すべきと思いますが、県の考えをお聞きします。

 次に、医療提供体制についてです。

 いわき市の救急医療は危機的状態にあると言われています。震災前からの医師不足に加え、救急搬送が増加し、医師、看護師、受け入れ医療機関の負担が増大しています。救急搬送数は震災前から比べれば増加傾向にあり、救急医が不足しています。

 こうした中、搬送先がなかなか決まらず、患者家族の不安、救急搬送を担う消防隊員の苦労は大変なものです。救急医療を充実するためにも医師の確保は喫緊の課題です。県はいわき市における医師確保にどのように取り組んでいるのか、県の考えをお聞きします。

 また、救急搬送は、いわき市内に受け入れ病院がない場合近隣の市町村に搬送されることになります。県は県内7つの医療圏を設定し、二次医療圏ごとに課題を解決し、医療機関の役割に応じた医療機能強化を図り、質の高い医療供給体制の構築を目指すとしています。

 いわき市は避難者の受け入れや、原発労働者や除染労働者で対象人口がふえており、実態に見合う対策が必要と考えます。いわき市における救急医療の機能を強化するため、施設や設備の整備が必要と思いますが、県の考えをお聞きします。

 次に、18歳選挙権及び高校の政治教育についてです。

 18歳選挙権がことしの参院選挙から実施されることになり、文部科学省は昨年10月、旧通知を廃止し、新たに「高等学校における政治的教養の教育と高等学校による政治的活動等について」を各都道府県に通知し、それに基づき「Q&A集」を作成しました。

 この通知は、生徒の政治的活動等について、「生徒による政治的活動等は無制限に認められるものではなく、必要かつ合理的な範囲で制限を受ける。」として学校長の判断を優先し、デモ、集会を届け出制にしています。また、学業に支障を来す場合は学校は禁止を含め適切に指導を行うとしています。また、校外や家庭にまで言及し、活動を制約し、教職員に対しても学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って生徒に接しないよう求めています。

 本来主権者として自由であるべき政治的活動について、高校生ということでさまざまな制約が設けられています。それは結果的に生徒、教職員が行う主権者教育を萎縮させることになりかねません。県立高等学校において生徒の政治的活動の自由を認めるべきと思いますが、県教育委員会の考えをお伺いします。

 高校の政治教育のあり方として、現実の政治をきちんと教え議論することが大事であり、例えば安保法制や消費税、TPPなど日本の今と将来にわたり、現在の高校生にも深くかかわる問題です。

 政治教育は1947年の教育基本法によって定められ、現行の教育基本法でも「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」とされています。これは、戦前の軍国主義的教育が国家の政策を無条件に服従する子供を育てたことを深く反省し、子供に政治に関する基本的知識を与え、政治的批判力、判断力を養うために構想されたものです。一人一人が主権者として政治にかかわる民主主義の社会を築くため不可欠な教育と言えます。

 現実の政治課題を取り上げることは、文科省も認めたように生きた教育として重要です。生徒も教師も自由闊達に政治や社会の問題を語り合えてこそ民主主義の国の教育と言えます。県立高等学校の政治的教育において、教員が生徒に政治的意見を自由に述べることを認めるべきと思いますが、県教育委員会の考えをお聞きします。

 次に、スクールソーシャルワーカーについてです。

 不登校、いじめ、暴力、発達障がい、家庭環境、児童虐待など深刻化する児童生徒の抱える問題を解決するスクールソーシャルワーカーの役割は大きなものがあります。

 今県内では41人が活動していますが、その配置は県内7カ所の教育事務所に17人、22市町村へ24人と極めて少なく、非常勤の職員です。あるスクールソーシャルワーカーのお話を聞くと、携帯電話を持たされ、24時間対応せざるを得ない場合もあるとのことです。

 複雑化する児童生徒の問題を解決するには、スクールソーシャルワーカーの増員と少なくとも正規職員化は急務です。スクールソーシャルワーカーの増員と常勤職員としての配置をすべきと思いますが、県教育委員会の考えをお聞きします。

 次に、原発労働者です。

 現在、1日約6千5百人もの労働者が原発事故の収束のために働いています。労働者の安全と健康管理は事故収束を行う上で最重要の課題になっています。しかし、労働者の状況は大変厳しいものです。原発の収束作業では、多重下請構造のもと、実際現場で働く労働者は賃金のピンハネが行われています。労働者の多くは賃金の中間搾取、社会保険未加入、被曝しても補償すら受けられない。

 厚生労働省は昨年10月、東京電力福島第一原発の事故後の作業に従事し、後に白血病を発病した元作業員の男性に対して労災認定を行いました。業務と発病との関係が否定できないというのがその理由です。

 また、東京電力は2月29日、福島第一原発の凍土遮水壁の工事に携わった男性作業員が年間40ミリシーベルトを上回り、43.2ミリシーベルトの被曝をしたと発表しました。法令では年間被曝上限は50ミリシーベルトと定められていますが、凍土壁作業では東京電力は40ミリシーベルトと定めています。作業員の安全管理に問題があると思われます。

 今後の廃炉作業の状況によっては、放射線量の高い場所での作業も予想され、ますます健康管理が重要になります。労働者の待遇改善が事故収束の大前提と言えます。原発労働者の法定健康診断について、県は東京電力からどのように報告を受けているのかお伺いします。

 また、原発労働者への賃金が適正に支払われるよう国及び東京電力に求めるべきと思いますが、県の考えをお聞きします。

 以上で私の質問を終わります。


副議長(満山喜一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)吉田議員の御質問にお答えいたします。


 パリ協定についてであります。
 昨年12月、COP21において2020年以降の温暖化対策の新たな国際枠組みとなるパリ協定が採択され、初めて190余の条約締約国全てが地球温暖化対策に合意したことは大変意義深いものと受けとめており、今後この協定のもと、先進国のみならず全ての国々の取り組みを通じて世界規模で温室効果ガスの削減が進むことを期待しております。

 このように、温暖化対策は地球規模での対応が求められるものでありますが、一方で地域や企業、そして私たち一人一人が取り組むべき重要な課題であり、引き続きあらゆる主体と一体となって県民総ぐるみの省エネルギー対策や再生可能エネルギーの飛躍的な導入を推進するなど、温室効果ガスの削減に総合的に取り組んでまいります。

 その他の御質問につきましては、関係部長から答弁をさせます。


総務部長(藤島初男君)お答えいたします。


 公契約条例につきましては、我が国では既に労働基準法や最低賃金法を初めとした法整備により労働者の保護が図られているものと考えております。

 なお、県発注工事においては、現行法制度に加え、元請・下請関係適正化指導要綱に基づき適正な下請契約の締結や下請代金の支払いがなされるよう指導しているところであり、今後も適正な労働条件の確保に努めてまいります。


危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。


 原発労働者の法定健康診断につきましては、県の労働者安全衛生対策部会において各事業者が雇い入れの際及びその後6カ月ごとに実施し、その受診結果について東京電力としても確認を行っていると報告を受けております。

 次に、原発労働者の賃金につきましては、これまで労働者安全衛生対策部会等において賃金の適切な支給や労働条件の明示等による雇用の適正化などの取り組みが確実に行われ、労働者が安定的に安心して働くことのできる環境を整備するよう国及び東京電力に対し繰り返し求めてきたところであります。


生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。


 石炭火力発電所の新設につきましては、国は環境影響評価法に基づく審査において国の温室効果ガス排出削減目標等との整合性を個別に確認していくこととしており、県といたしましてはその動向も注視し、引き続き環境影響評価手続の中で現時点で実行可能な最大限の削減対策を講じるほか、今後の技術開発も踏まえた継続的な取り組みを通じ、温室効果ガス排出を最大限削減するよう事業者に求めてまいる考えであります。


保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 介護職員の賃金につきましては、今年度から拡充された介護職員処遇改善加算により一定の改善が図られたところであります。

 また、介護人材の確保につながるようさらなる処遇改善についてこれまでも国に要望してきており、今後も引き続き働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、県内の介護職員の賃金と離職の実態につきましては、公益財団法人介護労働安定センターが実施した調査によれば、平成26年10月1日現在で、時間外勤務手当等を除く1カ月当たりの所定内賃金は180,8109円、離職率は14.1%となっております。

 次に、県内の介護保険事業所の廃止件数につきましては、今年度は2月1日現在で62件となっており、主な廃止理由は、資格を有する退職者の補充が困難なこと、利用者が少なく、採算が確保できないこと、事業の統合、譲渡、他の介護サービスへ移行したことなどによるものとなっております。

 次に、介護福祉士等養成施設につきましては、これまでも学生を募集する活動に対する補助や運営費の一部補助を行ってきたところであります。

 新年度は新たに、社会福祉法人等が養成施設を設置する際に必要となる実習用の設備や備品の整備に対する補助制度を創設し、設置者の負担軽減を図ることとしており、今後とも福祉・介護人材の確保に向けしっかりと取り組んでまいります。

 次に、いわき市の医師確保につきましては、市内の医療機関に対して県立医科大学の教員や災害医療支援寄附講座を活用した医師の派遣を行うとともに、震災で離職した医師を雇用した場合や県外の医療機関から医師の転入または派遣の受け入れを行った場合に人件費等の補助を行っているところであります。

 次に、いわき市の救急医療につきましては、増加する医療需要に対応していくため浜通り地方医療復興計画に基づき、いわき市の中核となる総合磐城共立病院の新病院整備や救急医療機関の機能強化につながる施設設備の整備を支援し、二次及び三次救急を担う医療機関の機能強化を進めてまいりました。

 今後も医療情報のネットワーク化や休日夜間急病診療所の整備を支援するなど、引き続きいわき市の救急医療の充実強化に取り組んでいく考えであります。


商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。


 ふくしま産業復興企業立地補助金の審査につきましては、事業計画の内容、事業を円滑に遂行するための経営基盤、地元雇用や地域経済への貢献度などの観点から、審査会において企業経営等の専門的知識を有するアドバイザーの助言を受けながら審査を実施しているところであります。

 次に、ふくしま産業復興企業立地補助金の交付を受けた企業が倒産した場合につきましては、補助金を活用して取得した財産の売却収入等に対し補助金相当分の返還を求めていくこととしております。

 次に、県内中小企業の技術力向上につきましては、これまでハイテクプラザによる技術支援や巡回指導、産業復興支援アドバイザーの御用聞き訪問による技術課題の解決や新商品開発への助言などに取り組んでまいりました。

 さらに、再生可能エネルギーや医療機器、ロボット等の重点分野においては、県内企業等から成る研究会を設置し、最新情報の提供や人材育成等により技術的基盤の強化を図っております。

 今後ともこれらの取り組みを通じて県内中小企業のものづくりの力を一層高めてまいる考えであります。

 次に、いわきコールセンターにつきましては、国の最終報告書において、所有権移転特約付リース契約による財産取得が実施要領等に明らかに抵触することから、不適正事案とされたところであります。

 県といたしましては、補助事業の内容について関係資料等に基づき改めて確認しましたが、一連の事務手続において補助事業者としての県の役割は果たしてきたものと考えております。

 次に、いわき市に補助金の返還を求めるべきでないことにつきましては、国の最終報告書において、不適正な支出額は県が造成した基金に早急に戻されるよう適切に対応していくという処理方針が示されていることから、引き続き国と協議しながら、不適正な支出額の返還について事業主体であるいわき市と話し合いを進めてまいる考えであります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 小名浜港東港地区の整備につきましては、国と県が国際物流ターミナル整備事業を進めており、全体事業費約953億円に対し、今年度末には約7割の進捗となる見込みであります。

 また、今後の見通しについては、国と連携を図りながら早期供用を目指し、臨港道路や水深18メートルの岸壁、埋立造成などの工事を引き続き進めてまいります。

 次に、小名浜港5、6号埠頭地区における照明施設につきましては、石炭など鉱産品の取扱量が増加し荷役作業が夜間まで行われていることから、整備手法等を検討してまいる考えであります。


教育長(杉 昭重君)お答えいたします。


 生徒の政治的活動につきましては、国家、社会の形成に主体的に参画することが期待される一方、国の通知により、生徒会活動等においてその本来の目的を逸脱した政治的活動を行うことや、放課後や休日等であっても、日常の学習活動に支障が生じる場合及び違法、暴力的なもの等の場合は制限または禁止する必要があることが示されているところであり、県教育委員会といたしましては今後とも適切に対応してまいります。

 次に、政治教育につきましては、教育基本法等により政治的中立性の確保が求められていることから、教員は公正かつ中立な立場で生徒を指導することや、多様な見方や考え方のできる事柄、現実の利害等の対立のある事柄等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるようさまざまな見解を提示することなどが重要であると考えております。今後とも政治的中立性に配慮し、適切に対応してまいります。

 次に、スクールソーシャルワーカーにつきましては、新年度、大学等の関係機関の協力を得ながら教育事務所及び市町村教育委員会に七名増員し、48名を配置する予定であり、また、その職務の専門性、困難性から、社会福祉や精神保健等の知識、技能を有した人材を相当数確保する必要があるため、今後とも弾力的な勤務形態が可能な非常勤特別職として委嘱してまいる考えであります。


13番(吉田英策君)再質問をさせていただきます。


 知事にお伺いをいたします。

 温暖化の問題は今人類が直面する最大の問題だと考えています。人類が将来にわたり健康で文化的な生活をするためには、決して避けて通ることができない問題です。温室効果ガスの最大の原因である石炭火力発電所の規制は、これも避けて通れない問題だと考えています。石炭の利用は世界の流れに逆行することになると考えています。

 パリ協定の温室効果ガス削減を受け、県の取り組みは省エネの推進、そういうことを御答弁されました。県がもっと主体的に石炭を使わない、そういう取り組みを進めていくことが大事だというふうに考えています。御答弁をお願いしたいと思います。

 次に、土木部長にお聞きいたします。


副議長(満山喜一君)13番議員に申し上げます。


 知事に対する質問は、パリ協定についての知事の考えを問うものであります。先例により、再質問は主質問の範囲内に限るものとされ、新たな事項の追加は認められないことから、石炭火力発電所に関する質問については答弁を求めないこととしておりますので、御了承願います。

 その他の質問については、執行部の答弁を求めます。


13番(吉田英策君)パリ協定のかかわりというのは、温室効果ガスの削減だというふうに考えています。その点で知事にもう一度詳しくお聞きしたいというふうに思った次第ですが、質問をいたします。


 土木部長にお伺いいたします。

 小名浜港東港地区の整備については、目的がこの間いろいろと変わる中で事業費が大きくふえているというふうに思います。国に大きな比重がある事業といっても、県は3分の1の負担をすることになっています。目的は石炭バルク港の建設ということになります。

 質問でも申しましたが、環境問題からいっても時代の要請に逆行するものだと思います。石炭荷上げ港といって天下御免で予算を使い、県民への負担の増加があってはならないと考えています。これ以上の予算の増加はないのか、今後の整備状況をお聞きいたします。

 商工労働部長に再質問をいたします。

 地域経済と雇用の主役はやはり何といっても地域企業だと思います。誘致企業や県内に進出した大手企業に倒産や撤退があれば、雇用や地域経済に大きな影響を及ぼすというのがこの間の経験であります。倒産、撤退があった場合、地元企業、そして雇用に大きな影響があります。地域の企業への支援を充実させるということが必要だというふうに考えています。地域の技術の向上、そういう点で地域の中小企業への支援のあり方、もう一度質問させていただきます。

 介護の問題で保健福祉部長にお尋ねをいたします。

 介護をめぐる事件が本当に相次いでいます。老後を安心して過ごしたいという思いは世代を超えた共通の思いです。事務所の縮小廃止の理由の中で、やはり人材不足が一番大きな理由だというふうに考えています。介護労働者の方々の処遇改善は本当に急を要すると考えております。そのために県がどういうふうに果たしていくのかお聞きいたします。


知事(内堀雅雄君)吉田議員の再質問にお答えいたします。


 県における地球温暖化対策につきましては、県民総ぐるみの省エネルギー対策、再生可能エネルギーの飛躍的な導入の推進、あわせて環境影響評価手続の的確な運用など、温室効果ガスの削減に総合的に取り組んでまいります。


保健福祉部長(鈴木淳一君)再質問にお答えいたします。


 介護職員の処遇等についてでございます。

 国におきましても、一億総活躍プランの今春取りまとめる新たなプランにおいては、保育士、それから介護職員等の処遇についても課題として取り上げるということで、会議において表明されておりますので、一つは国の賃金制度については国で大きくは決めていただくところになりますので、ここに注目をしていくほか、県といたしましても、さまざまな支援制度、修学制度、それから養成施設に対する支援などを通じまして、人材の育成に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。


商工労働部長(飯塚俊二君)再質問にお答えいたします。


 地元中小企業の支援を充実させることはまことに重要だと考えております。これまで県では、ハイテクプラザによる技術支援や巡回指導、あるいは産業支援復興アドバイザーによるきめ細かな指導を行ってきましたが、今後ともさまざまな取り組みを通じて県内中小企業のものづくりの力を高める施策を展開してまいりたいと考えております。


土木部長(大河原 聡君)再質問にお答えいたします。


 小名浜港東港地区の予算の増加、いわゆる全体事業費についてでございますが、今年度において公共事業評価の手続を進めながら見直しを行っておりまして、国と県と合わせまして約953億円と変更してございます。現在進めておりますターミナル整備事業はこの変更した事業費が必要となりますので、この額で進捗管理をしてまいりたいと考えております。


副議長(満山喜一君)13番議員に申し上げます。


 再々質問につきましては、答弁者を明確にした上で的確な質問をお願いします。


13番(吉田英策君)再々質問をさせていただきます。


 教育長にお伺いをいたします。18歳の選挙権についてです。

 高校での政治教育では、今後さまざまな意見を取り入れて検討していくということが求められていくと思います。今、学校の現場で実際に先生の声を聞きますと、「中立性の確保と言われても難しい。18歳選挙権になって、どう教えていくのかがなかなか難しい。」というお話を伺います。そして、「こういうことをやっていいのか。」とお聞きすると、「これはだめだ、あれはだめだ、何々するべからず。」という、そういう返事が返ってくるというお話を聞いています。これは結局は禁止規定そのものになってしまうのではないかというふうな心配をいたします。

 諸外国、特にスウェーデンでは、教師が特定の見解を押しつけるのではなく、「自分はこう思う。」と自分の意見を述べながら授業を進めるのというのが一般的な授業の行われ方だと聞いています。18歳になった高校生が主権者として政治に参加するために、さまざまな規制を設けずに高校生の自主的な活動を認めるということが大事だと思います。教育長にお聞きいたします。

 もう一つは、また同じく教育長にお聞きします。スクールソーシャルワーカーについてです。

 現在7人の増員をされたという御答弁でした。しかし、スクールソーシャルワーカーに求められている仕事の中身から見ると、本当に大変な内容だと思っています。一つの事案を解決するために、複数の役所との交渉や親御さんとの交渉や学校との交渉を進めると。そして、7人増員して全県で41人の配置といっても、1人当たりのソーシャルワーカーの方々が受け持つ学校数は本当に多くの学校ということになってしまいます。そういう中での活動ということになるわけです。24時間携帯電話を心配しながら生活、仕事をせざるを得ないという、そういう訴えをされました。

 増員を7人などと言わずに、もっと計画的な増員をお願いしたいと思いますと同時に、私が質問の中でも述べた非常勤から常勤化をぜひ検討していただきたいというふうに思います。常勤として身分をきちんと保障してあげるというのがこの仕事を全うするためにも本当に大事なことだというふうに思います。

 あらゆる作業で非正規雇用、派遣労働、非常勤化が進む中で、本当に働く方々の待遇が大変になっているわけです。ですから、子供さんたちの成長を本当に大事にするソーシャルワーカーが常勤として働ける、そういう体制をつくっていくことが大事だというふうに思います。教育長の答弁をお願いしたいと思います。

 以上です。


教育長(杉 昭重君)再質問にお答えいたします。


 まず、主権者教育で先生方、そしてまた教員の自由な活動でございますが、学校の政治的中立性というのは教育基本法に基づき規定されているものであり、公職選挙法改正前も後もこれは変わらないものであります。

 そういう中で、本県の生徒が一層政治への関心を高めて、将来にわたって主体的に社会に参加していく力を育むことができるように、県教育委員会としても今後一生懸命取り組んでまいりたいというふうに思います。
 
  二つ目のソーシャルワーカーの数、それから常勤化ということでございますが、答弁させていただきましたように、スクールソーシャルワーカーというのは専門性、困難性から、常勤ということになれば相当数の人材を確保しなければならないということになります。

 また、勤務形態も非常勤の特別職ということで今やっていただいているわけですが、今年度の数、それから次年度等も予想して41名から来年度は48名という形で、ある程度これならば対応できるということでやっておりますので、次年度はとにかく48名、それから非常勤の特別職としてやっていきたいと考えております。


副議長(満山喜一君)これをもって、吉田英策君の質問を終わります。

 

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。