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2016年2月定例会 討論 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月27日更新

宮本しづえ議員

議員

宮本しづえ

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成28年2月
質問等討論
質問日3月22日(火曜日)

25番(宮本しづえ君)日本共産党の宮本しづえです。日本共産党県議団を代表して討論を行います。


 知事提出議案第1号、第9号、第23号、第34号、第35号、第51号、第54号から第56号、第147号、第148号及び第150号に反対、議員提出議案第31号、第33号、関連する請願には賛成並びに議案第44号に反対の立場で意見を述べます。

 ことしは大震災と原発事故からちょうど5年が経過しましたが、県民アンケートでは2割しか復興が実感できていないと答えているように、福島の復興はこれからという状況です。

 安倍政権は福島の事故も被害も終わったことにして原発再稼働を推進、強行された安保関連法を実施に移し、国民生活を踏みにじる消費税増税と法人税の減税、社会保障の切り下げと、あらゆる分野で国民の願いに逆行しており、国政の転換なしには、県民の復興も県土の再生も、県民の安心・安全も守れないことがいよいよ明瞭になっています。

 福島県政が県民の命と暮らしを守る防波堤としての役割を発揮し、県民の復興を実現できるかが厳しく問われていることを指摘し、以下具体的な議案について述べます。

 議案第1号「2016年度福島県一般会計予算案」についてです。

 新年度予算総額は1兆8,819億円、うち復興関連は1兆383億円と55%を占めました。

 反対の第1は、原発に依存しない社会を目指し、原発ゼロを求める県民多数の願いに背を向けていることです。

 原発再稼働反対は直近の県民世論調査で77%に上り、県民多数の願いであることが明瞭に示されました。ところが、福島県は今もって他県の原発再稼働には口を出さないとの立場をとり続け、県民の願いに応えようとしていません。

 世界に例を見ない過酷事故を経験した我が福島県民がこうむった未曽有の被害は、回復どころか時間の経過とともに拡大し続け、災害関連死や自殺者の増加からも県民の苦しみの大きさが伝わってきます。しかし、原発に固執する政策は福島事故から5年間の経過の中で、二つの点で県民、国民との矛盾を深めています。

 一つは、国民の認識の発展との矛盾です。安全神話が崩壊したこと、原発が事故を起こせば時間的にも空間的にも社会的にも異質の被害をもたらすこと、原発に頼らなくても電力は間に合うことを実体験したことなどにより、原発の廃炉を求める声が絶えず五割を超す状況にあることです。

 二つは、原発という技術システムの矛盾が限界に達していることです。40年を経過した老朽原発を常態化させるエネルギー計画の危険性、核のごみ、使用済み核燃料処理サイクルの破綻が避けられなくなってきていることです。

 福島の事故を踏まえて、過酷事故対策などで危惧すべき点があり、津波対策や避難計画にも疑問が残るのに関西電力は説明を尽くしていないとして今月9日、大津地裁が高浜原発3、4号機の運転停止を命じる仮処分の決定を出しました。原発再稼働は国が判断すべきこととして、県の態度表明を回避することはもはや許されません。

 第2に、被災県民支援でも打ち切りが行われることです。

 自主避難者の住宅無償提供を県として2017年3月で終了し、家賃の一部補助制度に切りかえることで新年度から前倒しで実施する方針です。全国に避難する自主避難者からは「命綱を断ち切るな」と継続を求める強い要求が出されていますが、県は打ち切りを強行する構えです。

 自主避難者には、全住民が避難した旧緊急時避難準備区域の避難者も含まれます。広野町はもとの住民の半分も帰還せず、川内村でも避難を継続する住民たちは仮設住宅をもっと延長してほしいと要求しています。

 このほど発表された仮設住宅の特定延長は、原発事故による放射能の不安で帰還を選択できない自主避難者は含まれていません。原発事故さえなければ避難の必要もなく、豊かな自然の中で自然の恵みを受けながら生活できていた人たちが原発事故によりふるさとを追われた事実は、国の避難指示の有無にかかわらず同じであり、避難しなかった住民もまた放射能の不安と闘いながらこの5年を過ごしてきた苦しみを抱えており、県は全ての県民を被災者として支援すべきであり、国の避難指示の有無で支援を区別すべきではありません。

 損害賠償でも、東電は新特別事業計画でみずから掲げた3つの誓いを踏みにじり、基準も示さずに相当因果関係が認められないと営業損害の打ち切りや値切りを行っていることについて、県は具体的な抗議行動を起こしていません。賠償が打ち切りとなれば、事業者の希望を奪い、県内経済に及ぼす影響も甚大です。「被害がある限り賠償は継続すべき」を単なる枕言葉にしない本気の取り組みをすべきです。

 一方で、中間貯蔵施設、最終処分場設置に関しても国の責任放棄を容認し、県が立地自治体に交付金を出すことで膠着した事態の打開を図ろうとするなど、国に責任をとらせない県の姿勢では福島県民の真の復興と県土の再生を図ることはできません。

 第3に、被災者、避難者置き去りに浜通りの復興の原動力の位置づけでイノベーション・コースト構想が進められていることです。

 新年度予算でもイノベーション・コースト構想関連事業は国と合わせると283億円の多額の関連予算が計上されました。しかし、浜通りの復興にどれだけつながるかは不透明です。

 この計画は、避難指示区域の半数近い住民が帰還しないことを前提に、福島復興の名目でロボット産業、エネルギー関連産業、航空宇宙産業に国の補助金を引き出し、企業の研究開発と企業立地を進めるトリクルダウン政策で、いずれは地域住民にもおこぼれが回ってくるという既に破綻が明らかになったアベノミクスと同じ手法です。戻る住民は支援するが、戻らない住民への支援策は見えてきません。

 新年度に新たに組まれた避難区域事業者再開支援事業は、避難指示区域内での再開には4分の3の補助、避難区域外での再開には3分の1の補助という差別扱いにもあらわれています。

 また、この構想には大規模石炭火力発電所の増設が盛り込まれており、地球温暖化対策に本気で取り組む世界の流れにも逆行し、県が掲げる再生可能エネルギー先駆けの地を目指す県土づくりからも大きくかけ離れたものと言わなければなりません。

 第4は、安倍政権の暮らし破壊の政治に抗して県民の暮らしとなりわいを守る立場が確立されていないことです。

 安倍政権は、大企業には法人税の実効税率を20%台に引き下げる一方で、社会保障の切り捨て、消費税の引き上げを行おうとしており、県民生活を一層苦しめるものです。この国の政治から全被災県民の暮らしとなりわいの再建を支援し、本格的な人口減少対策に取り組む施策が中心に位置づけられていません。

 18歳までの子供の医療費無料化は、国の財政支援がない中で県民の子育てを支援し、人口減少に一定の歯どめをかける役割を果たしてきました。本県で本格的に人口減少に歯どめをかけ、復興計画で目標とする日本一子育てしやすい県をつくるためには、子育てのさらなる経済的支援は不可欠です。学校給食や保育料の無料化に県として真剣に取り組むべきです。

 日本と福島県の農家と農業に壊滅的な打撃をもたらすTPPについても対策本部を立ち上げましたが、ТPPからの撤退は求めず、国会承認を前提に対策を講じるという国言いなりの姿勢では本県の農業も地域経済も守れません。もちろん消費税の増税を容認する立場に立っていることも許されません。

 第5には、県民の命と安全を脅かす安保法制に反対していないことです。

 国民の大反対を押し切って強行された安保法制は、間もなく施行時期を迎えようとしています。戦後71年にして初めて県内に駐在する自衛隊員を含めた日本の自衛隊が海外で殺し殺される危険にさらされることが現実味を帯びて迫っているのです。この法律に反対するかつてない規模と広がりを持った国民運動が政権を脅かす力となって発展しています。

 知事は憲法の3原則が国民の精神的支柱となってきたと述べる一方で、その中心である平和主義を壊す安保法制を否定しないのは論理的矛盾です。いわゆる戦争法の廃止なくして県民の命、安全、平和な県土は守れません。

 第6に、職員体制についてです。

 県のどの部署でも慢性的な人員不足が続いており、長期の病休者も減少していません。国の被災地域にも定数管理で職員定数減を求める異常な態度は改めさせるべきであり、今後も継続する職員不足に対して長期的な視点で職員の増員を図るべきです。今年度から本格実施となる人事評価制度の導入も問題です。

 これに関連して、議案第34号、第35号、第55号、第56号にも反対の意見を述べます。

 これらの議案は、人事評価制度の導入に連動して減給、降格を行うものです。人事評価制度については、公務員の全体の奉仕者としての業務にはなじまないと指摘されてきました。今度の法改正は、この問題ある人事評価を給与や降格に連動させるもので、公務員労働者や識者の間からも公務員を萎縮させると反対の意見が出されています。

 本県においては、復興に向けて行政と県民が一体となった取り組みが進められており、人事評価で給与や降格にまで反映されることになると、集団としての取り組みを阻害し、結果として県民サービスの低下を招くことを懸念します。教育の現場でも子供たちが主人公の学校づくりを教師集団として取り組むことに障害をもたらしかねません。よって、本人事関連議案にも賛成できません。

 以上の理由から、議案第1号には反対です。

 次に、議案第9号「2016年度福島県港湾整備事業特別会計予算案」についてです。

 この特別会計には、小名浜港東港地区整備費が含まれています。2015年度に国と県が事業評価を行い、総事業費がそれまでの730億円から953億円に大きく見直されました。事業費増の理由は、石炭の国際バルク港としてより大きな貨物船の入港を可能とするための整備を図るとしていることです。

 2015年に開かれたCOP21パリ協定では、化石燃料からの脱却を国際共通の課題に位置づけ、各国が本格的に温暖化対策に取り組むことを確認しました。日本国内での本気の取り組みが求められているときに、低廉な燃費を理由に、IGCCという新技術であっても大量のCO2を出す石炭火力発電所に燃料を補給するために多額の費用をかけて埋め立てを行い、港湾整備を進め、新たに100万キロワットもの火力発電所を増設しようとすることは世界の温暖化対策の取り組みにも逆行するもので、認められません。

 次に、議案第23号「行政不服審査法関係手数料条例」についてですが、法改正により異議申し立てや参考人陳述や検証等をなくしたこと、資料提出の請求に手数料を取るべきではない等の理由から賛成できません。

 次に、議案第51号「農地法に係る事務処理の特例に関する条例」についてです。

 この議案自体は、県が農業会議に諮問する手続の変更によるものですが、農地法の改正により30アール以下の農地転用は農業委員会の意見を聞く義務がなくなりました。農地転用申請のほぼ九割が30アール以下の農地と言われ、農業委員会の関与が狭められることになりました。農地の番人である農業委員会が地域の実情に応じた判断を行ってこそ農地と農業を守ることにつながることから、関連する本議案には反対です。

 次に、議案第54号「教育関係職員定数条例の改正」についてです。

 この定数条例は総定数を91人減らすものです。本県の子供の教育環境は依然として厳しく、きめ細かな個別支援が求められています。子供の状況を最もよく知っているのは担任の教師であり、さらなる少人数学級の推進や複数担任制などにより、子供たちに寄り添う教育環境の実現のためにも正教員をふやすべきです。

 次に、議案第147号、第148号についてです。

 この議案は県復興住宅をURから買い取るために契約締結するものですが、URからの買い取り価格が他の事業者からの買い取りの価格と比較して特別に高額で、いずれも1戸当たり4,000万円を超えます。完成後に精算し、若干減額となるとしても、第147号では4,500万円に上ることは県民感情からも認められません。

 次に、議案第150号「訴えの提起について」です。

 この議案はリーマン・ショック時の特例措置で優先入居した事例に県営住宅の明け渡しの訴えを起こすものです。いきなり明け渡しというのではなく、さまざまな方法で接触を図り、家賃未納の事情を丁寧に把握して納入を促し、必要なら減免措置を講ずるなどの対策こそ優先すべきと考えます。

 次に、議員提出議案第31号「安全保障関連2法を廃止し、立憲主義に基づいた政権運営を求める意見書」について、可決すべきとの立場から意見を述べます。

 戦争法が施行されれば、南スーダンのPKO活動に派遣されている自衛隊員が殺し殺される危険が現実のものとなる危険性が高まります。この20年で国連のPKO活動自体が変化をしており、国連軍が交戦の当事者となる事例がふえています。

 また、IS対策の軍事支援について、政府はやらないと言うものの、その政策判断の根拠を示すことはできません。アメリカからの要請があれば軍事支援に乗り出す危険は否定できません。日本国憲法で武力の行使を禁じている国として、自衛隊の武力行使は許されず、立憲主義を踏みにじる安保関連法は廃止するしかありません。

 次に、議案第33号「国会決議に違反するTPP協定の批准は行わないことを求める意見書」についてです。

 日本政府が調印したTPP協定は、重要五品目は守るとした国会決議に違反するとごうごうたる批判が湧き起こっています。JA県中央会が東大の鈴木宣弘教授に依頼して試算した影響額は、中心的な農業分野を含めて421億円に上るとされ、復興に向けて懸命の努力が続く本県農家に壊滅的打撃を与えるものです。日本と福島の農業、地域経済を守り、本県農業の再建のためにも、本議案への議員各位の賛同を呼びかけるものです。

 最後に、議案第44号「軽減税率の円滑な導入に関する意見書」についてです。

 これは消費税10%への増税を行うための対策であり、低所得者を含めて1世帯当たり年間62,000円の負担増になる本質は同じであり、増税は中止すべきです。日本経済低迷の中で、政府諮問機関委員の間からも消費税増税は中止すべきとの声が出始めています。国民、県民生活と中小業者の経営を悪化させる消費税増税を前提とする本議案には賛成できません。

 以上で私の討論を終わります。

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