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2016年12月定例会 代表質問 宗方保議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年2月13日更新

宗方保議員

議員

宗方保

所属会派
(質問日現在)

民進党・県民連合

定例会平成28年12月
質問等代表質問
質問日

12月8日(木曜日)

56番(宗方 保君)民進党・県民連合、宗方保であります。12月定例会に当たり、会派を代表して質問をさせていただきます。


 平成29年度当初予算編成方針についてお尋ねいたします。
 原子力災害の影響が長期に及ぶ本県の復興を着実に前に進めるためには、引き続き福島復興再生特別措置法に基づく福島限定の財政措置を十分に活用しながら、広範かつ多様な復興事業に対応するとともに、喫緊の課題である人口減少対策など、地方創生に向けたさまざまな課題にも積極的に取り組んでいくための財源確保が何よりも重要であります。
 一方で、現在国では地方交付税減額の議論がなされていると聞き及んでおり、そのような中編成される来年度当初予算については、引き続き福島復興再生特別措置法の活用など必要な財源をしっかり確保しながら、復興・再生と地方創生を加速するための予算としていくことが重要であります。
 そこで、平成29年度当初予算編成に向けた知事の基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
 先般、平成27年国勢調査の確定値が公表されましたが、5年間で11万人を超える人口が減少するとともに、高齢化率が53市町村で上昇するなど、本県の置かれている厳しい現状が改めて浮き彫りになりました。
 さらに、人口の減少傾向は続いており、本年11月1日現在の推計人口が戦後初の190万人割れと、大きな話題となったところであります。
 そこで、本県の現状を踏まえ、人口減少対策にどのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。
 この急速な人口減少及び高齢化の進行は、特に過疎地域において大きな影響を与えており、65歳以上の高齢者が住民の50%以上を占め、経済的、社会的な共同生活の維持が難しくなるいわゆる限界集落の増加が危惧されます。
 こうした中、県ではさまざまな施策を講じているところでありますが、これまで以上に対策を講じなければ、過疎地域が県内各地に広がっていくものと思われます。
 そこで、県は過疎地域の振興にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 原子力発電所事故から5年8カ月が経過しました。商工業に係る営業損害については、昨年から新たな賠償が開始されたところでありますが、事業者が事業の再建を果たすためには、東京電力は事業者に寄り添いながら風評被害に対する十分な賠償を行わなければなりません。
 そこで、避難指示区域外の商工業等に係る営業損害について、事業の再建につながる十分な賠償を行うよう東京電力に求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
 そして、県は東日本大震災以降、県内企業の事業再開、継続を支援するため、施設設備の復旧に対する補助や復興特別資金の融資などを行い、復旧・復興の大きな力となったところであります。
 しかしながら、このハード整備に加えて、業態変更などを含めた経営改善などのソフト改革を行わなければ、原子力災害による根強い風評や人口減少社会の急激な進行など、本県産業を取り巻く厳しい社会経済情勢に対応していくことはできないのではないかと危惧しております。
 県内企業の多くは、第2次世界大戦後に事業を興し、今は3代目が後を継いでおられるところが多いと思います。私は、今はその3代目の危機、そういう時代だと考えております。この困難な状況の中で頑張る事業者に対する指導、助言も非常に重要であり、地域の商工会などに対する支援を継続するとともに、賠償終了を見据えた金融面での経営者支援が重要であると考えます。
 そこで、県は中小企業・小規模事業者をどのように支援してまいるのかお尋ねいたします。
 次に、米の全量全袋検査についてであります。
 米の全量全袋検査については、24年産米から取り組みを開始し、本年で5年目を迎えており、安全性の確認を進めてきたところであります。
 この間、27年産米では基準値を超過するものがなく、また、28年産米においてもこれまで基準値超過がないという状況の中、生産現場では検査を縮小してもよいのではないかという意見もある一方で、消費者の風評対策として、検査の継続を求める取引先も多いと伺っております。
 そこで、平成29年産米の全量全袋検査の実施について県の考えをお尋ねいたします。
 次に、帰還意欲を高めるための取り組みについてであります。
 避難指示区域などの住民にとりましては、インフラ整備や住宅を初めとする生活圏の除染などと同様に、森林における放射性物質に対する不安を解消することが帰還に向けた環境整備において極めて重要であります。
 そこで、県は住民の帰還に向けた森林の放射性物質対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 県は平成28年7月から円滑な営農再開と地域農業の核となる認定農業者を対象に戸別訪問を行い、先般、営農再開に必要な条件や要望などを聞き取りした結果を公表されました。
 訪問した522人のうち、営農を希望または既に営農を再開した農業者は85%を占める一方、個人や小規模でも対象となる補助事業の創設、風評対策や販路の確保、担い手不足など営農再開に向けた課題が改めて浮き彫りになり、このうち個人や小規模でも対象となる補助事業については、9月定例会において原子力被災12市町村農業者支援事業が予算化され、今月9日より申請受け付けを始めると聞いております。
 そこで、県は避難地域の営農再開に向け、原子力被災12市町村農業者支援事業をどのように推進していくのかお尋ねいたします。
 避難指示解除の動きが本格化している中、地元で小中学校を再開する市町村においては、児童生徒数の減少などさまざまな課題を抱えていると認識しております。
 このような中、子供たちが安心して通える教育環境づくりや地域と一体となった魅力ある教育活動の展開について、県教育委員会としても国としっかりと連携しながら支援していくことが大変重要であると考えております。
 そこで、県教育委員会は避難指示解除後に伴う小中学校の再開をどのように支援しているのかお尋ねいたします。
 避難者の中には、避難指示が解除されれば自宅に帰ろうとしていたものの、さまざまな理由により帰還をためらう方もいると思います。避難指示が解除されると、こうした方々は復興公営住宅への申し込みができなくなります。
 そこで、復興公営住宅について、避難者の入居が完了し、空き室がある場合、避難解除区域の住民の入居を可能にすべきと思いますが、県の考えを伺います。
 次に、双葉地区教育構想についてであります。
 双葉地区教育構想は、「真の国際人として社会をリードする人材の育成」を基本目標として、平成十八年度にスタートした人材育成プログラムであります。
 本構想においては、富岡高校と富岡町、楢葉町、広野町の3町の中学校の連携による中高一貫教育により、世界を舞台に活躍できる人材を双葉地区において育成することを目指して取り組み、震災、原子力災害の影響で富岡高校がサテライト校としての運営を余儀なくされた後も、サッカーやバドミントンなどのトップアスリートを多数輩出してまいりました。しかしながら、構想の中核を担う富岡高校が残念ながら本年度をもって休校となります。
 そこで、双葉地区教育構想にどのように取り組んでいくのか、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。
 次に、ベトナムとの交流であります。
 近年ベトナムは富裕層や上位中間層が増加してきていることから、同国との交流では企業の進出や単なる観光誘客にとどまらず、例えば温泉での保養と県立医科大学での健康診断などを組み合わせたメディカルツーリズムの売り込み、技能実習生の受け入れ拡大などさまざまな手法が考えられ、交流先として潜在可能性の高い国であると考えます。
 畠副知事は、11月16日から21日までベトナムを訪問されましたが、その主たる目的は、現地航空会社などとの意見交換や日越交流イベントにおけるPRなどを通じての本県の正確な情報発信やさらなる観光誘客のほか、企業の投資先として注目され、県内技能実習生数も上位に位置している同国との経済交流の拡大にあると聞き及んでおります。
 そこで、副知事は今回のベトナムへの訪問を踏まえ、交流拡大にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、災害対策についてであります。
 8月の末に、観測史上初めて東北地方の太平洋岸に直接上陸した台風第10号では、岩手県岩泉町を中心に人的被害や住宅の被害など甚大な被害を生じさせ、被災された皆様方にお見舞いを申し上げる次第であります。この台風の進路がほんの少しずれれば、本県に上陸する可能性もあったわけでありますので、対岸の火事では済まされません。
 そこで、平成28年台風第10号を踏まえた災害対策について県の考えをお尋ねいたします。
 次に、森林との触れ合いについてであります。
 私は、全国の仲間たちとともに、山の日を国民の祝日にする活動にかかわってまいりました。この祝日は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日であるため、身近な森林にも目を向けることが大切であります。ことし山の日が祝日になったことを好機として、多くの県民が身近な森林への理解を深め、人と森林との触れ合いを取り戻すことが重要であると考えております。
 そこで、県は森林との触れ合いを推進するためどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 次に、除雪体制の強化については、冬期間の円滑な道路交通の確保のために重要な課題となっております。
 また、近年は温暖化による気象変動も激しく、全国的に異常気象であり、いつ何どき豪雪に見舞われるとも限りません。本県におきましても、平成26年2月の豪雪により、県内各地の道路で通行どめが発生し、人の移動や物流に大きな影響を与えたことは記憶に新しいことであります。今後の除雪体制を確保する上で、この豪雪を教訓としなければなりません。
 そこで、県は冬期間における円滑な道路交通の確保を図るため、除雪体制の強化にどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。
 次に、警察行政についてお尋ねします。
 ここ数年、連日のように高齢運転者による交通事故の発生が報道されているところであります。特にアクセルとブレーキの踏み間違いや高速道路における逆行など、加齢による認知機能の低下が原因と思われる交通事故が数多く取り上げられており、大きな社会問題となっております。
 社会全体で高齢化が進む中、これに応じて高齢運転者も増加していくことが予測されるところであり、高齢運転者の交通事故抑止対策は喫緊の課題であると言えます。
 そこで、県警察における高齢運転者の交通事故抑止対策についてお尋ねいたします。
 本年度、県議会の海外行政調査団北米班として、小桧山団長のもとで副団長をさせていただきました。今回もまた、海外から日本を見る、そして福島を考えるという意味で、大変学ぶべきところ多く、参考にさせていただきましたこと、同僚県議会の皆様方や県民の各位にまずもって御礼を申し上げるところでございます。
 その際に、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件で崩壊した世界貿易センタービル跡地を訪れました。そこには、追悼公園や追悼施設が整備されており、この事件で犠牲になった方々の遺品などを展示し、悲劇の大きさを伝えています。一つ一つの展示物が事件で犠牲になった方の物語をつむぎ、家族の悲しみや救急隊員の勇気、世界中からの支援や、そこから感じた希望など、9・11のテロの悲惨さとその影響を実感、共有することができました。その場で現物を見ることが非常に重要であると認識した経験でありました。
 福島県が経験した東日本大震災と原子力発電所事故は、世界に類を見ない未曽有の複合災害であり、特に原子力災害は二度と起こしてはならない悲劇であります。
 私は、この災害がもたらしたさまざまな影響や県民が抱いた思いを我々世代だけでなく子供たち、さらに次の世代へ伝えていかなければならないと強く思います。
 そこで、県はアーカイブ拠点施設において、原子力災害の経験と教訓をどのように伝えていくのかお尋ねいたします。
 また、航空産業のクラスターで世界的に有名なカナダのケベック州モントリオールを視察してまいりました。カナダの航空機産業ですが、ケベック州に航空宇宙産業の70%が集積し、世界第3位の民間航空機メーカーのボンバルディア社が立地しているほか、産学官連携により航空宇宙技術の研究開発を推進するコンソーシアムとしてケベック州航空宇宙研究革新連合体CRIAQが設立され、イノベーション、ネットワーク、人材育成をサポートするため百を超えるプロジェクトを手がけ、世界最大級の活動を展開している特徴もあります。
 本県でも企業が主体となった支援体制づくりの動きが出てきており、先月15日ですが、須賀川商工会議所管内の航空機産業に熱意のある10社により、仮称ではありますが、須賀川いわせ航空機産業研究会の設立に向けた検討会が開催され、航空宇宙関連産業への期待が高まっております。
 そこで、県は航空宇宙関連産業の育成・集積にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 ニューヨークを訪問した際には、野口英世博士の墓参りをし、米国日本人医師会の事務局長にお会いしました。野口博士の傷んだ青銅版プレートをみんなでポケットマネーを出し合って修復し、来年5月には盛大に慰霊祭を開催するということでありました。また、基金をつくり医師の奨学金制度を立ち上げたいとのことでしたが、まことに頭の下がることしかりであります。
 全国的に地方の医師不足が続く中、医師を確保することは大変重要なことであり、本県においても奨学金制度を大いに活用するなどし、医師の確保を図っていくべきと考えます。
 つきましては、県は医師不足の解消に向けどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
 海外調査に行ってしみじみ考えさせられたことは、10月30日、ニューヨーク午前6時30分、ようやくNHKの国際放送が見られまして、何とそのときのタイトルが須賀川市公立岩瀬病院であります。コンクリート製の煙突の倒壊、直ちに新設された新病棟への患者の移送、病院と市民の協力で災害FMの放送開始、そして何よりも院長が誇ることは、医療チームから一人の離職者も出なかったこと、そして現在、管理棟の建設を経て産科病棟を新設するまでに至りました。これもひとえに県当局の指導のたまものであります。歴史的に公立岩瀬病院も福島医大も、もとは須賀川医学校であり、あの後藤新平も学んでおります。
 そして、前々日に訪問したロチェスター市のメイヨー・クリニックを中心としたまちづくりと対比して、福島を考えてみました。
 ロチェスター市は社会資本の整備を中心に、そしてメイヨー・クリニックは建築物を中心にまちづくりを展開しておりました。それらが見事なバランスがとれ、人口12万人のうち大学、医療・介護等研究者から医学生まで4万人近くが住んでおり、全米から患者が押し寄せ、世界中から医療関係者が研修に来られているということでした。
 国情も地域性も法律も、全てに違いがあることもさることながら、我が県を振り返ってみますと、3・11以降、県立医科大学には県民の健康の維持・増進を図る拠点として、4百億円に上る費用を投じて今まさにふくしま国際医療科学センターの整備が進められ、放射線医学のみならず、全国有数の医大に、そして病院になってまいりました。すばらしいことであります。ロチェスター市と同様に、ふくしま国際医療科学センターという大きな資源を診療だけでなく、民間医療関連企業の立地促進など本県の復興に大いに活用すべきではないかと考えます。
 そこで、本県の復興に向けふくしま国際医療科学センターをどのように活用してまいるのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 私からの提案を申し上げさせていただければ、現在、県立医科大学、そして福島大学は、4号線を間に挟み、わずかその距離は2キロメートル程度です。さらに、今後13号国道が現状より南下してきて、医大と福大の間に結節点としてつながってくると伺っております。
 これからの地域の姿として、福島医科大学の医、福島大学の食が今度はつくわけです。合わせて医食同源、すなわち健康づくりのための地域開発が求められているわけであり、まさに福島の核となってくるのではないかと思うわけであります。
 医大と福大を中心としてどう地域開発を図れるか。蓬萊団地、松川町、松川インターチェンジ、それらをエリアとして捉えることが重要であります。
 例えば公共交通、つまりバスの循環などを図ることによって、民間医療関連企業の立地促進を図り、住宅、商業施設、アパートなどの立地が促進されることも考えられます。
 まさに4号線プラス13号線、この結節点から二本松、本宮を経てふくしま医療機器開発支援センターや郡山の民間病院群との連携を図ることで、高次の教育機関、高次の医療機関と各施設をつなぐ。結節点を中心にどういう地域開発、福島市のみならず郡山市までの広域化を図っていくかということは、まさに全国的に有数の医療先進県になっていくために必須なのではないでしょうか。
 オールふくしまとよく聞きますが、福島市、福島市の商工団体、福島医大、福島大学、そこに福島県が入って取り組む、これからの課題として各部各課にぜひとも検討していただきたいと思います。これこそがまさにオールふくしまだと私は考えます。
 このことこそがロチェスターに行って、メイヨー・クリニックを中心とした世界に冠たる医療都市をこの目にしっかりと焼きつけてきて、福島を考えて、行政の縦割りを排して、しっかり次の世代に向かっていかなければというのが私の最大の思いであります。
 以上申し上げまして、私の代表質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。


議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)宗方議員の御質問にお答えいたします。


 平成29年度当初予算についてであります。
 来年3月の避難指示解除の動きなど、本県の復興は新たな段階を迎えておりますが、復興・創生期間の2年目となる来年度が復興と地方創生をさらに加速させるための正念場であり、その実現に向けた取り組みを着実に前進させるための財源確保が極めて重要であります。
 このため、6月の政府要望を初め、7月の福島復興再生協議会などにおいて本県の実情を訴え、さらに、政府に対して先月17日には避難地域12市町村の生活環境整備の促進などについて、今月5日には福島復興再生特別措置法の改正について緊急要望を行うなど、復興に向けた取り組みの加速を求めてまいりました。
 来年度当初予算編成に当たりましては、こうした財源を有効に活用しながら、避難地域の復興はもとより、定住・二地域居住の推進など、人を呼び込み、人口減少を克服するための取り組みを初め、県民の皆さんの心身の健康を守るための取り組みや子ども・若者の育成、農林水産業の再生や中小企業等の復興、新産業の創出、風評・風化対策など11の重点プロジェクトを中心に、効果的かつ戦略的な事業構築を図り、県民一人一人が実感できる復興と地方創生の実現に全力を尽くしてまいります。
 次に、人口減少対策につきましては、震災と原発事故に伴う社会現象の収束等により、減少率は震災前の水準に戻っている一方で、依然として総数の減少傾向が続いており、少子高齢化や若年層の県外流出といった震災前から続く構造的な課題への取り組みをより一層強化する必要があります。
 人口減少が進む中で、今我々に何ができるか、県内にはそれを示す幾つもの事例があります。ゲレンデを花畑に変えるなど既存資源を活用し、新たな魅力を創出するリノベーションにより、通年観光客でにぎわう場所へと生まれ変わった喜多方市のスキー場や、道の駅を拠点として地域資源循環型の里山づくりに挑戦する二本松市東和地域、伝統工芸の体験生受け入れが村内への移住に結びついている昭和村の織姫・彦星事業などのように、今あるもの、昔からあるものを生かして知恵と工夫で磨き上げ、地域の活性化につなげていくことが重要であり、こうした優良モデルを県内に数多く波及させてまいりたいと考えております。
 さらに、復興を担う成長産業の集積・育成を通じた若者の定着や県外からの移住促進、起業や新規就農など挑戦する若者や女性への支援、福島の今を伝えるホープツーリズムによる交流人口の拡大等に力を入れ、復興の取り組みを通じた福島からの地域創生モデルの創出を目指してまいります。
 未来を担う若者を初めとするより多くの人が福島で働きたい、福島で住み続けたいと思える魅力のある県づくりに向けて、あらゆる側面から全庁を挙げて取り組んでまいります。
 次に、ふくしま国際医療科学センターの活用についてであります。
 私は、大震災と原子力災害という未曽有の災害を経験し、健康不安や風評、人口の流出等のさまざまな課題を抱える本県において、医療と健康の分野を復興の大きな柱として位置づけております。
 そのため、世界最先端の医療提供体制や関係施設の整備、充実を図ることにより、将来にわたり県民の健康を見守るとともに、関連産業の振興を図っていくことが重要であると考えております。
 今月11日に全面開所を迎えるふくしま国際医療科学センターは、県民健康調査の着実な実施を担う放射線医学県民健康管理センター、最先端の医療機器を用いた疾患のより早い段階での診断や新薬の研究開発などを行う先端臨床研究センター等から成り、最先端の治療や救急、高度被曝、子供医療体制の拡充、医療人材の育成、関連産業の振興などを通じて、福島の復興を医療面から強力に支えていくものであります。
 命と健康を守るとともに、新たな産業を興し、復興をなし遂げることが本県、そして県立医科大学に課された使命であります。誇りあるふるさと福島の実現に向けて、さらに被災地福島から最先端の医療・研究の地福島へと進化していくため、県立医科大学と連携をしながらしっかりと取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事等から答弁をさせますので、御了承願います。


副知事(畠 利行君)お答えいたします。


 ベトナムとの交流につきましては、近年経済発展が著しく、また本県への風評が少ない国であることから、これまで観光誘客の促進に力を入れてまいりましたが、このたび企業進出や人材交流なども進める契機とするため、同国を訪問いたしました。
 今回の訪問では、工業団地を視察した上で、政府計画投資省のチュン副大臣と会談し、海外企業の投資の円滑化について要請する一方、航空会社や大手旅行会社を訪問し、チャーター便の運航やさらなる交流拡大に向けた積極的な連携を確認したところであります。
 また、ジャパン・ベトナム・フェスティバルでは、ふくしま・ベトナム友好協会などと連携し、本県の伝統文化を紹介するとともに、豊富な観光資源を映像を活用して来場者にPRいたしました。加えて、地元テレビ局の取材に対し、私から直接、本県の魅力を強く発信してまいりました。
 今後は、今回築いたネットワークを生かし、ジェトロ等の関係機関と連携しながら、県内からの企業進出を支援するとともに、ベトナムの現地窓口を活用した観光情報発信などに取り組み、さらなる観光誘客と経済交流の促進を図ってまいる考えであります。


危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。


 台風第10号を踏まえた災害対策につきましては、去る10月21日に市町村防災・福祉担当課長会議を開催し、県が公表する河川水位や土砂災害危険区域の指定状況等を参考に、市町村は速やかに避難指示等を出すこと、避難に時間を要する社会福祉施設等は避難計画を定め、避難準備情報の段階から早目に避難することなどを確認したところであります。
 この会議の模様をテレビ会議システムで地方振興局及び市町村に配信し、130名を超える施設や消防団等の関係者と情報の共有を図ったところであり、今後とも市町村や関係機関と連携し、減災に向けたさまざまな対策を講じてまいる考えであります。


企画調整部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。


 過疎地域につきましては、高齢化や若者の流出による担い手不足など、依然として厳しい状況に直面しております。このため、福島県過疎地域自立促進計画に基づく復興・再生に向けた施策など過疎対策を推進するとともに、雇用の創出や定住の促進に向け、移住者の受け入れに取り組む団体を支援するモデル事業の実施、地域おこし協力隊等の外部の力の活用に取り組んでまいりました。
 今後は、スキー場などの冬の地域資源を活用した国内外からの誘客に加え、県外の若者が働きながら地域との交流を通して「ふくしまぐらし」を体験する国内版ワーキングホリデーの実施により新たな人の流れを創出し、過疎地域のさらなる振興に取り組んでまいります。


保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。


 医師不足の解消につきましては、これまで全国の医学生や指定大学の医学生を対象とする修学資金を設けたほか、県立医科大学医学部の入学定員増に伴い修学資金の貸与人数をふやしてきており、特に周産期医療を担う医師を目指す場合には貸与額を増額するなど、医師の養成や県内定着を図っているところであります。
 また、県内18の臨床研修病院が行う合同ガイダンスや見学会、実習機器の整備等への支援のほか、指導医の養成を行うなど、臨床研修医の確保に努めるとともに、ドクターバンクの運営や研究資金の貸与等により県外医師の招聘等を行っており、引き続き県立医科大学と連携しながら医師の確保にしっかりと取り組んでまいります。

商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。


 中小企業・小規模事業者への支援につきましては、これまで商工会等を通じた経営指導や金融機関、信用保証協会と連携した県制度資金等による金融支援を初め、ハイテクプラザによる技術開発への助言や開発された商品の販路開拓支援などを行ってまいりました。
 風評や復旧・復興需要の減少による売り上げ低下など、事業者を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増していることから、今後は昨年立ち上げたオールふくしま経営支援連絡協議会サポート委員会等を一層活用し、個々の事業者に応じた経営改善方針を示すなど、さらなる中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、航空宇宙関連産業につきましては、これまで参入を目指す企業の認証取得や福島大学と連携した加工技術向上のための人材育成を支援するとともに、国際航空宇宙展で国内外に県内企業の高い技術力を情報発信するほか、航空宇宙シンポジウムや先月約7千名が来場した航空宇宙フェスタの開催等により、企業の参入意識の醸成や県民の理解促進を図ってまいりました。
 また、今月12日には県内企業を対象に、認証取得後の受注機会の創出やサプライチェーンの構築を目指し、大手メーカー等が求める技術を理解するための航空機産業セミナーを開催するなど、さらなる航空宇宙関連産業の育成・集積に向け、積極的に取り組んでまいります。


農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。


 米の全量全袋検査につきましては、放射性物質の吸収抑制対策の効果や生産管理体制の整備により、27年産米以降、基準値を超過するものは出ておりません。
 しかしながら、いまだに根強い風評の影響によりブランド力が低下し、販売棚の回復がおくれていることや、他産地との価格差が依然として生じている現状を踏まえ、29年産米についても風評対策の強化とあわせて検査を継続してまいる考えであります。
 次に、森林の放射性物質対策につきましては、関係3省庁がまとめた「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」の具体化に向けて、本年9月、除染関係ガイドラインに森林の除染方針が新たに位置づけられたところです。
 今後は避難指示解除を見据え、これまで限定的であった除染範囲の拡大や土砂流出対策などについて地元の要望を踏まえて進めるよう、国との調整に努めてまいります。
 また、国や川俣町など4町村とともに里山再生モデル事業の具現化に取り組むほか、他の市町村においても年内にモデル地区が選定されるよう、国への働きかけを強めるなど、帰還する住民の不安解消に向けて積極的取り組んでまいります。
 次に、原子力被災12市町村農業者支援事業につきましては、避難地域の営農再開のためには地域的なまとまりを持って農業が営まれることが重要であることから、その核となる担い手農家への支援に加え、意欲のある小規模農家の帰還を促進することを目的に創設したものであります。
 このため、関係者の話し合いに基づく営農再開ビジョン等の策定を進めながら、地域農業の再生を先導する取り組みを支援してきた福島再生加速化交付金による共同利用施設等の整備と本事業による個別農業者への支援を適切に組み合わせることで、避難地域の農業・農村が再構築できるよう強力に後押ししてまいる考えであります。
 次に、森林との触れ合いにつきましては、県民の森や緑化センターなどにおいて、年間を通して夏山体験や自然観察会の開催、緑の少年団員による野外活動の支援に取り組んでおり、山の日の制定を契機に、森林づくりへの意識がさらに高まるものと期待しております。
 今後は、森林の持つ多面的機能の理解促進に向けて、大学生による森林づくり活動を通じた森林文化の学習や地域との交流活動を初め、災害時における森林を活用したキャンプ技術の習得のほか、身近な里山景観の維持・保全のための整備など、県民みずからが行う幅広い活動への支援を通じ、森林と触れ合い、守り育てる機運の醸成に努めてまいります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 復興公営住宅につきましては、避難指示区域からの避難者の入居希望に応じた戸数の整備に取り組むとともに、今後の避難指示区域の解除を見据え、入居に関する募集案内を丁寧に行っているところであります。
 今後、入居を希望した避難者の意向の変化や既に入居した方々のふるさとへの帰還等により空き室が発生した場合には、避難指示が解除された区域の方々の優先入居について検討するなど、避難者に寄り添った復興公営住宅の有効活用に努めてまいります。
 次に、除雪体制の強化につきましては、平成26年2月の豪雪の経験を踏まえ、除雪の出動基準を積雪15センチメートル以上から5センチメートル以上に変更し、道路の特性や降雪の状況に応じた柔軟な出動に取り組むとともに、他の道路管理者との相互乗り入れ路線数の拡大や車両が立ち往生した峠等へのライブカメラの増設、さらには歩道除雪機械の貸し出しの拡充などを進めているところであります。
 今後とも関係機関と連携のもと、地域住民の理解と協力を得ながら、迅速かつ効率的な除雪に取り組み、円滑な道路交通の確保に努めてまいります。


原子力損害対策担当理事(大島幸一君)お答えいたします。


 避難指示区域外の商工業等に係る営業損害につきましては、これまで東京電力に対し、被害がある場合には賠償が継続することを確認するとともに、損害の範囲を幅広く捉え、事業の再建につながる賠償を柔軟に行うよう繰り返し求めてきたところであります。
 引き続き商工団体等と連携しながら、原子力損害対策協議会の活動等あらゆる機会を通し、被害者の立場に立った賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。


文化スポーツ局長(安齋睦男君)お答えいたします。


 アーカイブ拠点施設につきましては、基本構想の策定に向けた検討会議において議論を重ねてまいりました。
 これまでの会議における検討を踏まえ、原子力発電所の事故により一変した環境や生活について、データや資料などの記録と証言や手記などの県民の記憶を組み合わせて伝えること、放射線に対する取り組みなどを体験していただくこと、さらには県民参加を推進し、人の言葉で語り継ぐことなどにより、未曽有の原子力災害の経験と教訓を次の世代へ伝えてまいる考えであります。


教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 避難指示解除等に伴う小中学校の再開につきましては、本年7月に立ち上げた福島県学校再開支援チームを中心として、各市町村の実情に応じたきめ細かな助言などを行っており、昨日も、今後の学校再開の方向性等について、国、県、関係12市町村で意見交換する会議を開催したところであります。
 県教育委員会といたしましては、再開する小中学校に経験豊富な教員を配置するとともに、スクールカウンセラーの活用や教職員の加配を行い、ふるさとについて調べる学習や小中一貫教育などの魅力ある教育活動が展開できるよう、引き続き学校の再開を支援してまいります。
 次に、双葉地区教育構想につきましては、これまで富岡高等学校を中心に、広野町、楢葉町、富岡町の3町及び関係団体と連携し、特色ある中高一貫教育の取り組み等により、サッカーやバドミントンにおけるトップアスリートの育成などにおいて成果を上げてまいりました。
 今後はこれまでの取り組みを総括した上で、本年度中に関係団体とともに新たな構想を策定し、双葉郡八町村に拡大した推進体制のもと、ふたば未来学園高等学校を核として、国際社会で活躍する未来創造型リーダーの育成に取り組んでまいる考えであります。


警察本部長(松本裕之君)お答えいたします。


 高齢運転者の交通事故抑止対策につきましては、みずからの身体機能の低下を認識していただくことが重要であることから、簡易なイラストを活用した認知機能検査や、画面を見てハンドルやブレーキを操作し、反応動作を判断する運転適性検査等を取り入れた講習を行っています。
 また、遠隔地の駐在所においても運転免許証の自主返納を受理するなど、返納しやすい環境も整備しております。
 来年3月には、75歳以上の運転者が認知機能が低下したときに起こしやすい違反行為をした際に、臨時の認知機能検査を受けることを義務づけた改正道路交通法が施行されることから、関係機関と連携し、円滑な運用を図るなど、高齢運転者の交通事故抑止対策に取り組んでまいります。


議長(杉山純一君)これをもって、宗方保君の質問を終わります。

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