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2016年12月定例会 討論 神山悦子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年2月14日更新
神山悦子議員 
議員神山悦子
所属会派(質問日現在)日本共産党
定例会平成28年12月
質問等討論
質問日12月21日(水曜日)

49番(神山悦子君)日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表して議案に対する討論を行います。


  初めに、今議会前の11月22日、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生しました。3・11を思い起こさせる大きな地震で、一時は津波警報も発令されましたが、この地震で東京電力福島原発がまたも被害を受けたのです。特に第2原発3号機で、使用済み燃料プールの冷却機能の一時停止は、多くの県民を震撼させました。
 これを受けて、今議会には「第2原発全基廃炉を強く求める意見書」が全会派一致で提案されていますが、国や東京電力は県議会の意思を重く受けとめ、第2原発廃炉を今度こそ決断すべきことを最初に申し上げ、以下討論に入ります。
 まず、知事提出議案について、以下の議案に反対の立場から意見を述べます。
 議案第11号「福島県税条例等の一部を改正する条例」についてです。
 これは、地方税法の一部改正に伴い自動車取得税を廃止し、自動車税の環境性能割を創設する等の改正が提案されていますが、この条例改正は、安倍政権が消費税率10%増税を再延長した2019年10月に実施することが前提です。今さら指摘するまでもなく、これ以上の消費税の引き上げは貧困と格差を一層広げ、地域経済にも深刻な影響を与えることから、これを前提とした条例改正は認められません。
 次に、議案第13号「福島県道路交通法関係手数料条例の一部を改正する条例」についてです。
 これは、来年3月12日にスタートする改正道路交通法の施行に伴う手数料改定です。道交法改定により、75歳以上の高齢者が認知症のおそれと判断されれば、違反の有無を問わず医師の診断を受け、また、高齢者講習を受講し、その手数料が7,550円とするというものですが、余りにも高額の手数料負担ではないでしょうか。
 高齢者ドライバーによる事故は、大きな社会問題になっており、こうした厳しい措置をとるだけでは解決しないことは明らかです。宮本県議もただしたように、高齢者の足の確保をどうするのかを並行して示す必要があります。福島市が実施しているような電車やバスの無料パスの実施や、安価な料金のデマンド型乗り合いタクシーの運行など、今後の公共交通機関のあり方について、県としても高齢社会に合わせて具体化すべきことを指摘するものです。
 次は、第15号「福島県立特別支援学校条例の一部を改正する条例」に関してです。
 先ほど吉田英策県議が修正案の提案理由で説明したように、県立聾学校の校名変更については、この間、関係者の皆さんから県教委に対し、拙速な校名変更をしないでほしいとの要望が何度も出されています。
 そもそも県教育委員会の姿勢が二つの点で問われているのではないでしょうか。一つは、関係者との合意形成のあり方がどうだったのかです。
 PTAや同窓会が校名変更を知ったのは10月ごろで、学校側から口頭で説明されただけでした。その後、11月の政調会で県教育委員会が12月県議会に校名変更の条例案の提出を予定していることが地元紙の報道で初めて知ったというのが関係者の認識です。余りにも拙速ではないでしょうか。
 地元紙で知った同窓会や聴覚障害者協会などの関係者が、校名変更については異議があるとの意見を表明しました。しかし、県教育委員会は、PTAと同窓会や聴覚障害者協会や手話サークルなど関係者の間に対立があるかのように対応する一方、校名変更の方針は変えようとせず、結局関係者の合意を得ないまま今県議会に議案を提出したのです。
 本来なら、障がいがある県立高校の校名の変更ですから、関係者の合意を得られない事態になった段階で、より時間をかけて合意形成を図る努力をするというのが最も教育的なやり方ではないでしょうか。
 もう1点は、障がい児教育に対する県教育委員会の姿勢です。
 関係者が聾という言葉を残してほしいと要望しているのは、聾の字は耳が聞こえないために受けた差別を乗り越えた歴史の象徴で、私たちのアイデンティティーそのものだと述べているように、聾者をめぐる歴史的な背景があるからです。国連障害者の権利に関する条約が締結された現在においても、社会に出ればまだまだ聴覚障がい者が誇りを持って生きられる環境が整っていない現状もあります。
 ところが、関係者の意見も聞かず、強引に進める県教育委員会のやり方は、今回の校名変更だけにあらわれたものではありません。今年度からこれまで私たちも何度も求めてきた特別支援学校の過大・過密解消、遠距離通学の解消がようやく具体化されたことは大きな前進ですが、あぶくま養護学校の分校化に伴う通学バスの廃止方針もあわせて出されたことについて、保護者からは存続を求める声が上がっていますが、その方針も変えていません。本来、教育機関である県教育委員会こそ障がい者に対する最も教育的な配慮が求められるべきではないでしょうか。
 吉田英策県議も指摘したように、文部科学省も校名変更を義務づけしていない上、全国でも29都府県、50校が何らかの形で聾の言葉を校名に残しているのが実態です。PTAも含めて同窓会、聴覚障害者協会などが県立聾学校の校名変更に納得していない現状を踏まえれば、県教育長はもちろんのこと、総合教育会議の長である知事も障がい者の声に真摯に耳を傾け、関係者の合意形成の努力が求められます。今からでも遅くはありません。
 議案第15号については、関係者の切実な思いを酌み取り、県立聾学校の校名変更の部分を削除する修正案を議会の意思として御賛同いただき、可決とするよう改めて求めます。
 次に、議案第27号「福島県建築基準法施行条例の一部を改正する条例」についてですが、ハイブリッド車などがふえてきているからとはいえ、大規模の自動車車庫に必要とされる換気設備要件を緩和する措置の改正であることから反対です。
 次に、議案第31号「公立大学法人福島県立医科大学が徴収する料金の上限の一部変更の認可について」です。
 これは、県立医大において看護師の特定行為を行う研修講座を創設し、その受講料を新たに定め、また、入院ベッドの特別加算料の規定を変更し、高額な特別室を設定しようとするものです。
 政府が2014年6月に医療介護総合確保推進法を強行成立させましたが、これは19もの法案を一括法とした中にある保健師助産師看護師法の一部を改正し、看護師に特定行為を認めるとしました。この背景にあるのは、安倍政権の安上がりの医療政策です。医療費の支出を抑制するため、医師をふやさず、看護師の業務範囲を拡大しようとするもので、医療現場からは高度で危険な医療行為をすることになると不安の声が上がっています。安全・安心の医療を提供するためには、医師、看護職、医療技術職などそれぞれの専門職能を発揮するためには、それを保障する大幅な増員こそが求められます。
 次に、議案第16号「県議会の議員の議員報酬等に関する条例の一部を改正する条例」並びに同第18号「特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」についてですが、職員給与引き上げとは別にすべきであり、引き上げはすべきではありません。
 また、第33号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」は、市町村負担の追加を求めるものであり反対です。
 次に、請願並びに意見書案について意見を述べます。
 まず、意見書89号「安全保障関連法に基づく新任務付与の閣議決定を撤回し、南スーダンPKOから自衛隊の撤退を求める意見書」及び関連請願65号についてです。
 安倍政権は、今年11月に南スーダンPKOに派遣された第11次隊に今月12日指揮権が移され、安保法制・戦争法に基づく駆けつけ警護の任務実施が可能となり、他国部隊やNGO職員が攻撃された際に、自衛隊も武器を使って応戦することができることとなります。これは、明らかに憲法9条が禁止する海外での武力行使につながる行為です。
 南スーダンの実態は、ことし7月に大規模な戦闘が行われ、首都ジュバでは南スーダン政府軍が国連職員やNGO職員が宿泊するホテルを襲撃し、殺人、暴行、略奪、レイプを行うなど、国連への攻撃が繰り返されました。こうした事態のもとで自衛隊が駆けつけ警護をすれば、自衛隊が武器を使用し、殺し殺される現実の危険が一層高まることは必至です。県内からも2人の自衛隊員が参加しているとされていることから、事は県民の命に関わる問題でもあります。
 意見書案にあるように、新任務を付与する閣議決定を撤回し、南スーダンPKOから自衛隊を撤退させることを求める意見書の提出に、ぜひ多くの議員各位の賛同を強く求めます。
 新規請願79号から83号及び意見書99号から103号についてです。いずれも年金制度改定に関する請願及び意見書です。
 現行の国民年金制度も、憲法25条の健康で文化的な最低限の生活さえ保障されない低い年金額ですが、さきの臨時国会で強行された年金法案はまさに年金カット法とも言うべき内容です。物価が上がっても賃金が下がれば年金額を減らす仕組みを初めて導入しました。
 この法律に基づく施行は5年後となっていますが、年金削減は高齢者だけの問題ではなく、非正規雇用がふえているもとで、将来の年金生活者にとっても大変深刻な問題です。
 意見書案が求めている99号、年金隔月支給を国際基準並みの毎月支給に改めること、100号、年金を毎年下げ続けるマクロ経済スライドを廃止すること、101号、全額国庫負担の最低保障年金制度を早期に実現すること、102号、年金支給開始年齢をこれ以上引き上げないこと、103号、年金積立金の株式運用をやめること、これらを国に求める意見書提出は県民の切実な声です。よって、年金関係の意見書は可決すべきです。
 意見書98号「受動喫煙防止対策の強化においてサービス業等への配慮を求める意見書」案及び関連請願78号についてです。
 厚生労働省が来年通常国会に提出を予定している受動喫煙防止対策について法案は、国際的に求められている基準に合わせようとするもので、この方向とは逆行する内容であることから反対です。
 次に、教育行政にかかわる請願及び意見書についてです。
 新規請願85号及び意見書106号は、高等学校等就学支援金の延長及び返済猶予や減免制度のある奨学金制度を整備、拡充することを求める意見書です。
 高校授業料無償化という画期的な制度が2010年度に導入されたものの、2014年度からは所得制限が加えられました。子供の貧困対策がこれほど求められている現状から見ても、また、原発被災県である本県の高校生の学習権を保障するためにも、国において低所得者の支援に限定することなく、高等学校等就学支援金の延長及び返済猶予や減免制度のある奨学金制度に整備・拡充する措置を求めることは当然です。賛同を求めます。
 新規請願86号及び意見書107号「義務教育諸学校教職員給与費の義務教育費国庫負担を2分の1に復元するとともに制度の充実を求める意見書」についてです。
 義務教育費国庫負担は、教職員配置の財政的支えとしてこれまでも積極的な役割を果たしてきましたが、2006年度から3分の1に削減されたままになっています。被災県の子供たちに最善の教育環境を保障し整備していくことは、本県にとっても重要な課題です。そのためにも、国の負担をもとの2分の1に復元することと制度の充実を国に求める意見書は採択すべきです。
 新規請願97号「学校給食費の無償化を求めることについて」です。
 請願では小中高特別支援の給食費を無償にすることを県に求めています。本県が掲げる日本一子育てしやすい福島県の具体化として、県内でも学校給食費を何らかの軽減策をとっている町村が、全額無料の金山町を含めて15町村に広がっています。来年度から全額無料を実施する塙町を加えれば16町村となり、県内27%の自治体が何らかの軽減策を行い、子育て世代を支援しています。
 文部科学省も、保護者の負担とするにとどめず、自治体が軽減策をとることには制限しないとの見解を明らかにしています。請願書にあるように、成長期の子供たちの健全な食生活を保障し、子育て世帯の経済的負担の軽減策として、学校給食費無償を求める切実な県民の要望を真摯に受けとめて、請願は採択すべきです。
 新規意見書109号「「米政策改革」において生産者の経営安定の確保を求める意見書」については、反対の立場から意見を述べます。
 米の生産調整政策は、国民の主食である米の需要供給と価格を安定させる上で一定の役割を果たしてきました。転作の条件づくりなどの問題はあっても、農家も産地も国が示す計画のもとで生産してきました。
 しかし、安倍政権のもとで2018年産から米の生産調整が廃止されようとしています。さらに重大なことは、これがTPP参加、米の輸入の増大を念頭に、米に対する国の関与を全面的になくそうとしていますが、これは認められません。安倍政権は、攻めの農業、強い農業を言いますが、主食の米に政府が責任を持たず、市場原理に任せることになれば、米過剰で生産者米価が暴落しても生産者の責任にされます。
 生産現場でも大規模農家や集落営農などが、将来の見通しが立たないとの声が多数上がっていますし、家族型経営・小規模農家が日本農業を支えているというのが実態です。生産費を上回る米の価格保障、食料自給率を引き上げるなどの根本対策が求められます。よって、これを前提としている意見書には反対です。
 知事提出議案第11号、13号、15号原案、16号、18号、27号、31号、33号は反対、15号修正案は賛成。請願78号は反対、65号、79号から83号、85号、86号、97号は賛成。意見書案第98号、109号は反対、第89号、99号から103号、106号、107号は賛成を表明し、以上で共産党県議団を代表しての討論を終わります。


議長(杉山純一君)以上をもって、討論を終結いたします。

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