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2016年12月定例会 討論 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年2月14日更新

宮本しづえ議員

議員

宮本しづえ

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成28年12月
質問等討論
質問日12月21日(水曜日)

23番(宮本しづえ君)日本共産党の宮本しづえです。共産党県議団を代表し、継続議案第43号「2015年度普通会計決算認定について」、反対の立場で意見を述べます。


 2015年度は、東日本大震災と福島第1原発事故から5年目の年、国が言う集中復興期間五年の最終年度で、一般会計決算規模は2兆131億円となりました。
 2015年度当初の避難者数は、県の3月時点の報告で11万6,284人に上っており、10月の国勢調査では人口ゼロの自治体が4つという異常な状況となりました。地震、津波に加えて原発事故に見舞われた本県は、東北の他の被災県にはない特別の困難が続いています。
 ところが、自民・公明政権与党は、昨年5月に福島復興加速化に向けた第5次提言を出し、安倍政権はこの提言に基づく福島復興加速化指針を閣議決定、福島原発事故も被害も終わったことのようにしようとする、文字どおり福島県民切り捨てを推進してきました。
 また、安倍政権は福島県民切り捨てとともに、国民生活を脅かす政治を次々と強行した年でもありました。アベノミクスによる貧困と格差が一層拡大したのに加えて、社会保障改悪による国民負担増と給付の削減が追い打ちをかけ、一方では大企業の法人税の減税や研究開発税減税で大盤振る舞いと、国民の暮らし圧迫、大企業優遇の政治を進めました。その結果、個人消費が2年連続してマイナスとなる戦後初めての事態を生み出したのです。
 大震災と原発事故に見舞われた本県では、より大きな被害となって県民を苦しめているのです。県民の暮らしとなりわいの再建を進めるためにも、安倍政権の県民切り捨てに対峙して、被災者に寄り添った県政の運営が求められていたのに対して、以下の点で問題があったことを指摘しなければなりません。
 第1に、原発事故に対して、全ての県民が被災者の立場で、一人一人の県民に寄り添い、暮らしとなりわいの再建を支援する立場が見えないということです。
 自公与党による第5次提言に基づく福島復興指針改定は、帰還困難区域を除く避難指示を2017年3月までで解除し、精神的損害賠償は2018年3月までとする本格的福島県民切り捨てと言うべきものです。
 避難指示解除については、3要件が示されたわけですが、特に年間追加被曝線量20ミリシーベルト以下という基準には大きな疑問の声が上がりました。また、住民との協議を行えば合意は必要なしとされ、各地で避難解除に向けた住民説明会が行われましたが、参加した住民の皆さんからは、まだ帰還できる状況ではないとして、時期尚早との意見が相次いで出されたにもかかわらず、避難解除時期が決定されてきました。県はこの国の方針を受け入れ、避難指示解除に手を貸してきたのです。
 しかし、避難解除された地域の帰還状況を見れば、強引な解除が適切でなかったことは、昨年9月5日、全町が避難解除された楢葉町の1年経過後の帰還率が1割にも満たず、昨年避難解除された地域はどこも同様の傾向を示している現状からも明らかです。
 国による避難指示がなかった地域から避難した、いわゆる自主避難者に対する住宅無償提供の打ち切りを決定したのも昨年でした。この中には、自分の意思ではなく、町や村の判断で全住民避難となった広野町や川内村などの旧緊急時避難準備区域からの避難者も含まれ、仮設住宅からの追い出し対象となったのです。
 原発事故を起こした東電や国に責任を求めるのではなく、まるで避難を継続する避難者に責任があるかのような県の方針は非情と言うしかなく、自主避難者はもとより、全国から怒りと批判の声が上がり続け、今も福島県政の熱い焦点の一つとなっているのです。
 決算委員会に示された自主避難者への住宅家賃経費は約70億円と試算されています。2兆円を超す一般会計のうち震災復興関連事業費が1兆円を超す中で、2万人もの自主避難者の命綱とも言うべき住宅支援経費は1%にも満たず、国の事故も被害も早く終わらせたいとする思惑に追随しているとしか言いようがありません。福島第2原発廃炉すら明言しない東電と国の姿勢が帰還をためらう理由ともなっているのです。
 避難者の帰還促進を言うのなら、福島第2原発廃炉は福島の復興の前提との立場で、避難指示解除の前提条件にするなどの思い切った決断をすべきだったのではないでしょうか。
 原発事故原因の解明についても、新潟県は事故後一貫して福島原発事故原因の解明なしに柏崎刈羽原発の再稼動はないとの立場で取り組んでおり、本県においても独自の事故検証委員会を立ち上げるべきです。
 昨年も収束作業、廃炉作業にかかわる事故が連続して発生、東電から自治体への情報提供のおくれは今なお大問題です。もはや東電には原発を扱う電気事業者の資格がなく、柏崎刈羽原発再稼動は認められないとの立場を県は明らかにすべきです。
 第2に、復興事業の位置づけが県民生活優先ではなく、外からの企業呼び込み、大型公共事業優先というこれまでの県政の延長線であることです。
 浜通りに展開するイノベーション・コースト構想は、帰還しない人は置き去りに、外から入ってくる人を当て込んで新たな町をつくるというもので、呼び込みの典型です。しかも、この計画には石炭火発の増設計画も盛り込まれていることは、地球温暖化対策に逆行するものと言わなければなりません。
 避難区域内事業者の事業再開率は半分程度にとどまり、今なおどこで再開したらよいのか迷っている事業者も少なくありません。しかし、県の避難区域内事業者への支援策は、避難区域内で再開すれば高い補助率で支援するというもので、全ての事業者の事業再開を優先的に支援するものとはなっていません。
 また、避難者の帰還と復興の不可欠の条件である医療や介護の体制構築は困難をきわめ、人員不足で施設が定員どおり受け入れられない状況が依然として続いているのです。雇用確保のための企業立地補助金は2千億円近くに上り、新たな雇用1人当たりでは3,500万円にも相当します。医療や介護分野の雇用対策をもっと手厚くするなら、さらに人員確保は可能だったのではないでしょうか。
 第3に、TPPへの態度です。
 県はTPPに反対の立場をとっていません。本県の基幹産業である農業が原発事故により農業産出額は5年経っても2割も減少したままであり、林業では3割から4割も落ち込んだままという危機的状況に追い込まれる中、TPPはこれにさらに追い討ちをかけます。
 JA県中央会が東大の鈴木宣弘教授に依頼した本県への影響額試算は、全体で421億円に上り、本県地域経済に重大な影響が懸念されることが明らかになりましたが、県はこの試算を無視し続け、国言いなりに限定的な影響しかないとの立場を今もとっていることは、農家や農業団体の不安や怒りを意に介さない態度であり、許されません。
 TPPは農業分野にとどまらず、医療や介護、地域経済や知的財産権など幅広い経済活動に重大な影響が避けられず、農業と地元商工業者を守り、地域経済を守るためにも、見通しがないTPPからの撤退を求めるべきです。
 第4に、震災、原発事故に対応する職員の体制が不足しているという点です。
 2012年度に300人の職員定数増が図られたとはいえ、まだまだ不十分です。この間、県職員の不祥事が連続して発生していますが、何度綱紀粛正を掲げても減少するどころか、むしろ増加しているところに大震災と原発事故の対応に追われる本県職員の疲弊が表れていると見るべきではないでしょうか。
 いじめや虐待が増加する教育や福祉の分野での人員不足が深刻になっているにもかかわらず、関係職員を常勤化する処遇改善や人員増の努力が見られません。一人一人の被災県民に寄り添い、丁寧な対応を行うための職員体制の強化を図るべきです。
 第5に、平和憲法と国民生活を壊す国の政治から県民を守る立場が見えないことです。
 立憲主義を否定する安保法制については国において議論されるべきこととして、知事は政治家としての見解すら明らかにはしません。社会保障の相次ぐ改悪に対しても同様です。それでは憲法に基づき、県民生活と地方自治を守る県政の役割は発揮できないことを指摘するものです。
 国民、県民の声に耳を傾け、その願い実現に真摯に取り組む姿勢が県政にも求められていることを申し上げ、私の反対討論を終わります。


議長(杉山純一君)以上をもって、討論を終結いたします。

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