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2017年2月定例会 代表質問 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年6月14日更新

宮本しづえ議員

議員

宮本しづえ

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成29年2月
質問等代表質問
質問日2月23日(木曜日)

25番(宮本しづえ君)日本共産党の宮本しづえです。共産党県議団を代表して質問いたします。


 まず最初に、事故原発の収束、廃炉作業と第二原発の廃炉についてです。
 東日本大震災と原発事故から間もなく6年が経過します。安倍首相は昨年の臨時国会で質問に答え、3年前のオリンピック誘致の演説同様、福島第一原発の汚染水はコントロールされているとの認識を繰り返しました。実態はどうか。地下水による汚染水を抑制する切り札として350億円の巨費を投じて設置された凍土遮水壁の効果は今もって確認できず、模索が続いています。原子力規制委員会の委員からは、凍土壁ならぬすだれとさえ評されたほどです。
 タンクに貯蔵されている処理済み汚染水もトリチウムを除去できずに、規制委員会からは「薄めて海に流せばいい」と無責任な発言が出されました。県漁連の強い反対で見通しが立たない状況にあります。貯蔵された汚染水も漏れ出す事故が相次ぎ、不安をかき立てているではありませんか。
 メルトダウンして溶け出した核燃料は圧力容器にとどまっているのか格納容器までメルトスルーしているのかさえ確認できていませんが、このほどようやく2号機の燃料デブリと思われるものがロボット挿入により確認できたと報じられたばかりです。
 しかも、ロボットが挿入された場所の放射線量は毎時650シーベルトと、人間が数10秒で死に至る高線量で、今後の調査、廃炉作業の困難が改めて浮き彫りとなりました。
 使用済み核燃料を貯蔵する燃料プールからの取り出し作業もこの1月、3号機の作業予定時期がずれ込むと報道されたように、一つ一つの収束、廃炉作業が困難をきわめ、計画どおりには進捗できない状況にあります。安倍総理が言うようなコントロールされているとはとても言えないのが事故原発の現状ではないでしょうか。
 事故収束、廃炉作業をめぐる現状について県はどのように認識しているか伺います。
 昨年11月22日に福島県沖で発生したマグニチュード7.4、震度5弱の地震により、福島第二原発3号機で核燃料の冷却装置が一時停止した事故の発生は、被災県民に3・11の再来を想起させ、いわき市などではガソリンスタンドに給油の列ができるなど大きな不安と危機感をもたらしました。
 しかし、当事者である東電は想定内の事故だとして、県への連絡も事故発生から1時間半も経過した後と、県民感情とは大きく乖離し、危機管理と責任感の欠如を露呈したのです。
 事故収束、廃炉作業にかかわるさまざまな事故と絶えず隣り合わせの生活を余儀なくされている福島県民にとっては、人類と原発は共存できないとの思いを募らせており、各種の世論調査でも、福島第二原発廃炉を求める意見は2016年7月調査で81.6%、全国の原発再稼働すべきでないとの意見は2015年9月調査で58八%を示しており、原発ゼロが県民の多数の声であることは明瞭です。
 東電は福島第一原発事故処理のバックアップのためにも福島第二原発の存続が必要と述べたことが報道されました。これは、国も東電も福島県民の声にまともに向き合う意思を持たず、ないがしろにするあらわれと言わざるを得ません。
 第二原発廃炉が実現しないことを帰還しない理由に挙げる避難者は少なくないのに、ことしの3月までには帰還困難区域を除く避難指示を解除するというのですから、これほどの矛盾はありません。これで本当に福島県の復興が進むのでしょうか。
 県はまず、福島第二原発廃炉を福島復興の前提として何としても実現させなければなりません。知事は新年度予算案説明の記者会見で、福島の復興に向けて攻勢的に取り組む姿勢を明言しました。
 そうであるなら、沖縄県の取り組みに学び、大規模な県民集会を開催し、第二原発の廃炉を国と東電に迫る県民の総意を示すべきと考えます。知事の見解を伺います。
 新潟県の米山知事が福島原発事故の原因究明なしに柏崎刈羽原発の再稼働はあり得ないとの立場を堅持していることは、福島県民はもとより、全国の原発再稼働に不安を抱く国民を励ましています。同時に、被災県である福島県当局が他県の原発再稼働には口を挟まないとしていることについて、多くの国民や県民は違和感を持っています。
 また、事故原因の解明が進まない状況が、国も東電も第二原発の廃炉を明言せず、被災者への賠償、支援策を渋る要因にもなっています。現在、事故原因解明のための究明作業を行っているのは新潟県の技術委員会だけという状況です。
 国会事故調査委員会が2012年7月に提出した報告書で、国会は継続して事故原因の究明を行うべきだと指摘しましたが、国会はこれを無視し続けており、引き続き国会には原因究明の努力を求めなければなりません。
 事故原因の究明は国において一元的に行われるべきものという他人任せの態度にとどまるのではなく、福島県独自の事故調査委員会を設置して原因究明を行うべきではありませんか。見解を伺います。
 原発を推進するための核燃サイクルも破綻しています。1兆円の巨費を投じても停止したままの高速増殖炉もんじゅはとうとう廃止が決定しましたが、国は反省もなく新たな高速炉の建設を決定したことは新たな無駄遣いを進めるもので、直ちに中止するべきです。
 福島県は原発事故を踏まえ、原発に依存しない社会を目指すこと、そのため再生可能エネルギー先駆けの地を目指すことを県の復興計画に明記しました。原発に依存しないということは、原発ゼロの社会を目指すことです。ところが、安倍政権はあくまで原発に固執し続けることを基本とするエネルギー基本計画とそれに基づくエネルギー需給見通しを策定し、稼働から40年以上の老朽原発を含め全国の原発再稼働に突き進んでいることは、県が目指す方向とは真逆ではないでしょうか。
 県は他県の原発には口を挟まないとするこれまでの立場を改め、復興計画の目標に沿い、原発ゼロの日本を目指すことを明確に示すべきと考えます。見解を伺います。
 次に、東電改革提言についてです。
 経済産業省の東電改革・1F問題委員会は、昨年12月20日に東電改革提言をまとめました。その内容は、福島原発事故処理に要する費用見込み額が11兆円から21.5兆円へ約2倍に膨らみ、さらにふえる可能性がある、東電は引き続き存続させ、福島の事故処理に当たるとともに、東電が負担する処理費用は原発を再稼働させることで調達する、国は税金の投入と再生可能エネルギーの新たな電力の電気料金に国民負担を上乗せする、電力業界が世界に向けて新たな事業展開しやすい構造改革を進めるというものです。
 福島の事故処理に責任を負うかのようなポーズをとりながら、実は原発事故を機に電力業界を再編して世界に乗り出そうというわけです。そのためには、福島の事故処理費用は税金と国民の電気料金で賄おうという身勝手きわまる内容だと言わなければなりません。県はこの東電改革提言についてどのような認識をお持ちか伺います。
 2倍に膨らむ福島原発事故処理費用についても大方国民負担となれば、徹底した除染、被害が続く限りの賠償、被災者支援を求める福島県民に対して国民の反発も考えられ、国民同士の新たな分断が生じることも懸念されます。
 福島県民と国民とのあつれきを生まないためにも、5年半で東電から累計2千億円もの利息を受け取っている金融機関を初め、ともに原発を推進してきた関連企業にも処理費用の負担を求めるベきと考えますが、県の考えを伺います。
 提言は、東電の柏崎刈羽原発を再稼働し、福島事故処理資金を生み出せと求めています。事故の当事者である東電がなすべきことは柏崎刈羽原発再稼働ではなく、福島の事故処理に全責任を果たすことであり、福島県としてもそのことを強く求めるべきと考えますが、県の見解を伺います。
 次に、被災者の暮らしとなりわいの復興についてです。
 国は改定福島復興指針に沿って、今年の3月末までに帰還困難区域を除き避難解除する方針に基づき住民説明会が開かれていますが、どの地域の説明会でも時期尚早との意見が相次いでいます。
 大震災、原発事故発災から昨年末までに震災関連自殺者は87人、災害関連死は2,113人に上りました。原発事故がなければ失うことのなかった命です。避難指示が解除され勇んで帰還した人たちの中に、希望と現実のギャップに苦しみ、みずから命を絶つ事例が後を絶たないのです。
 ことし1月9日のNHK特集で、川内村に帰還した若い農業者が、初めはボランティアの援助等もあり、希望を持って規模拡大もして本格的に農業に取りかかかったものの、次第に援助の手は減り、つくった作物も思うような値段がつかない中で、次第に希望が絶望に変わり、30歳代の若夫婦が自殺に追い込まれたという何ともやるせない事件が報道され、県民はもとより、全国にも大きな衝撃が走りました。
 昨年7月に避難解除された南相馬市小高区では、90歳代の農家の男性がやはり農業に絶望してみずから命を絶つ事例が報告されました。この方は真面目な篤農家で、土づくりから丹精込めて水田耕作をしてきたといいます。
 ところが、帰ってみて、丹精込めたはずの田んぼは除染の仮置き場となり、除染廃棄物が累々と積まれた田んぼに希望を絶たれ、みずから命を絶ったということです。
 希望が大きいほど現実との落差が大きいとの指摘もあります。本腰を入れた被災者の自殺防止対策が求められていると思いますが、県はどう取り組むのか伺います。
 復興公営住宅に入居した人では初めて飯舘村から福島市の復興住宅に入居した避難者が孤独死していたことが明らかになりました。また、全国各地で福島県から避難している子供たちがいじめに遭う事例が続いていることが明らかになっています。子供たちは福島だから仕方がないとじっと我慢し、心配させまいと親にも言わない事例が少なくないと言われます。大人も、避難者だとは周りに言わないでひっそりと暮らしているといいます。
 川俣町では、昨年末から年明けにかけて高齢者の孤独死が相次ぎ発見されました。子供たちが避難し、取り残された高齢者が孤独死してしまう状況があり、進行する高齢化社会の問題が原発事故により加速されているとの指摘もあります。
 福島の原発事故被害は、時間の経過とともにこれまで隠れていた被害を顕在化させるとともに、新たな問題も派生させているのです。このような悲劇を繰り返させないためにも、被災者に寄り添った丁寧な支援が求められています。
 避難者の生活を見守る生活支援相談員は、いまだ400人の目標にも届かず300人にとどまっています。帰還するか否かにかかわらず、避難者一人一人に寄り添う丁寧な支援を行うためには、生活支援相談員の役割は非常に重要であり、配置数を大幅に引き上げ、増員を図るべきと思いますが、県の考えを伺います。
 事業委託を受けている社協からは、国の交付金が単年度ごとの交付であるため、雇用も単年度の不安定雇用となり、人が集まらないとして改善の要望が寄せられてきました。県は国に基金制度に移行し長期的な対応が可能となるよう要望しているとのことですが、まともに応えない国の責任は重大です。県は基金の創設等により継続的に生活支援相談員の雇用ができるよう国に強く求めるべきです。県の考えを伺います。
 帰還した人たちからも、周りに人がいないため不安だとの声が上がっています。生活支援相談員による帰還者の見守りについてどのように取り組むのか、県の考えを伺います。
 また、避難者は長期避難の中で健康を害する方が増加しています。ある避難者は、元気だった体はストレスが原因で糖尿病と肝硬変、ぜんそくを患い、医療費の免除が命綱になっている。いつまで継続されるのかと不安を抱えています。避難指示区域等に適用されている医療、介護の保険料、利用料減免は今後も長期にわたり継続すべきですが、県の考えを伺います。
 帰還したくてもできない理由の一つに、荒廃家屋の解体が進まない問題があります。ことしの3月に避難指示解除をしたいとしている自治体の解体希望棟数に対する実施率を見ると、昨年末で飯舘村が38%、浪江町で36%、富岡町でも45%、避難地域全体でも54%と、まだまだこれからという状況です。避難地域の住民帰還に向けて荒廃家屋の解体促進を国に求めるべきですが、県の考えを伺います。
 次に、自主避難者への住宅提供についてです。
 国の避難指示区域外から避難する、いわゆる自主避難者の住宅無償提供が間もなく終了します。自主避難者は、余計な被曝を避けたい、子供を守りたいと、やむにやまれず避難した人たちであり、当事者には何も責任がありません。しかし、戻らないのは避難者の責任であるかのように扱われ、切り捨てられる不条理に怒り苦しんでいます。
 この問題は、県が述べてきた全ての県民が被害者との認識が本物だったかどうかが問われ、国の県民切り捨て政治と一体の問題だとして、避難者たちは知事がどういう立場に立つのか説明してほしいと求めています。
 昨年末までに全国の56の自治体議会から住宅提供の継続を求める意見書が上がり、福島県の方針に異議を唱えていることを踏まえ、県はこれらの意見書を真摯に受けとめ、避難者に寄り添い、住まいの提供を継続すべきです。
 県は住宅提供の終了を前提に、1月から3回目の避難者訪問を行いました。現時点においてなお4月以降の住まいが決まらない自主避難者は何世帯になるか伺います。
 地震、津波を除く全ての避難は、原発事故がなければあり得なかったものであり、国と県は県民生活の土台となる住まいの確保のための責任を果たすべきです。
 自主避難者への住宅提供中止は、全ての県民が被災者として最後の一人まで支援するとしてきたこれまでの立場からの転換であり、福島の事故を終わりにしようとする国に同調するものではありませんか。県は全ての自主避難者の住まいの確保のため、最後の一人まで責任を果たすべきと考えます。知事の見解を伺います。
 とりわけ、国の避難指示ではなく市町村の判断で避難した旧緊急時避難準備区域の避難者は、自分の判断で避難したわけではないのになぜ退去を迫られるのか納得できないというのは当然だと思います。
 県の報告では、川内村の仮設住宅の避難者で行き先が決定していないのは数人とのことですが、私たちが聞いているのは、多くの避難者は納得しておらず、どうしても強制的に退去させられるなら出るしかない、医療体制が不十分な村に戻るのは死にに帰るようなものだと、仮設を退去した後の生活に大きな不安を持っているのです。この人たちを本当にこのまま退去させていいのでしょうか。
 仮設に住む自主避難者は、透析治療などやむを得ない事情で継続して仮設に住まわせてほしいと訴えています。せめてこの要望に応えるべきではないでしょうか。見解を伺います。
 県は、自主避難者を仮設住宅から追い出す一方で、二地域居住推進のため、他県から福島に住む人のための住居として仮設住宅の活用を検討しています。行き場のない避難者がこの報道をどんな気持ちで見ているだろうかと思うと、胸が詰まる思いがします。他県の住民を仮設に住まわせる一方で行き場がなく引き続き住まわせてほしいと懇願する県民を追い出すことは本末転倒だと指摘するものです。
 次に、被災農家の支援についてです。
 農家は地に根を張り、作物を生産する地道な仕事であり、土台の土地が汚染された影響と衝撃は想像以上のものがあります。避難指示解除で避難前の農業再開が可能であるかのような幻想を与えるのではなく、農地ごとの汚染状況を調査し、しっかり現実と向き合い、栽培可能な作物を選択しながら再建を支援する丁寧な対策を行うことで絶望を希望に変えることができるのではないでしょうか。
 三春に開設した環境創造センターには、歩きながら放射線量を測定し、GPSで地図に落とす機器があります。この機器は空間線量率を測定するものですが、おおむねの土壌の線量が推定できることから、高い線量が測定された地点の重点的な土壌調査と組み合わせることで有効な土壌調査につながります。歩行型の放射線量測定機器を活用し、農地の一筆ごとの土壌汚染調査を行うべきと考えますが、県の考えを伺います。
 次に、除染の促進についてです。
 安心して住める環境をつくる上で、除染の徹底が不可欠です。避難指示解除の要件は年間追加被曝線量20ミリシーベルト以下ですが、これから避難指示が解除される地域の放射線量の現状を県はどのように把握しているか伺います。
 また、避難区域の生活圏全体の放射線量低減のため、除染特別地域においては国に徹底した除染を求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。
 この間、除染事業に使われた事業費は市町村と県実施分を合わせて1兆円を超え、国直轄分を加えればほぼ2兆円になります。市町村実施の地域の除染は、住宅除染が計画戸数42万戸について今年度でほぼ終了と報告されていますが、実際に除染を実施した戸数は32万戸となっており、調査のみで終了とみなされた戸数が8万8,000戸に上っています。
 実施主体の市町村によって基準に相違があったために、希望していたのに実施されなかった住宅があるとともに、所有者所在不明等のため調査も行っていない住宅も残されています。今後所有者所在不明等により除染未実施の住宅で所有者から希望がある場合には除染を認めるべきですが、どのように考えているか伺います。
 フォローアップ除染について、国は改めてガラスバッジによる追加被曝線量調査を行い、年間1ミリシーベルトを超える人がいる地域についてのみフォローアップ除染を認めるという方針をとっています。これは今まで国が除染の目安としてきた空間線量率毎時0.23マイクロシーベルトとも異なるものです。
 フォローアップ除染を促進するためにも、これまでの国の目安どおり空間線量毎時0.23マイクロシーベルトを超える箇所について実施するのが最も現実的かつ県民が納得できる方法ではないかと考えます。県はこの方法を基本に、簡便な手順でフォローアップ除染が実施できるよう国に求めるべきです。考えを伺います。
 除染事業対象外の道路側溝に堆積した土砂の除去事業が本年度から始まりますが、今年度の事業費はわずかに1億円程度にとどまっています。県管理の道路分を試算しただけでも50億円程度の事業費が見込まれるとのことですから、延長がはるかに多い市町村道の事業費が果たしてどの程度まで膨らむかわかりません。
 原発事故当初から真っ先に除染実施すべきは通学路の道路側溝だとの指摘が一部にありながら、除染の仮置き場確保に時間を要したことから、結果として原発事故後6年でようやく手がつけられるようになったもので、どこでも一日も早い実施が待たれています。除染の対象とならない道路側溝等の堆積物除去について、今年度に実施するのはわずかに福島市、いわき市、西郷村にすぎませんが、今後の処理の見通しを伺います。
 この事業について、必要な仮置き場、保管所は除染事業で設置した仮置き場を活用しても構わないとする国の見解が示されました。仮置き場も活用し、処理を進めていく必要があると思いますが、県の考えを伺います。
 森林除染は里山再生モデル事業が開始されましたが、対象市町村は避難区域と隣接する17市町村に限定されています。希望する市町村は全て対象にするよう国に求めるべきですが、県の考えを伺います。
 県北地域の果樹地帯では、若い農業後継者が安心して農業に従事できるようにするため農地除染の支援が必要です。県の北部は比較的放射線量も高く、樹園地は樹木の除染は行ったものの、土壌の除染はほとんどがこれからです。
 農業団体が行った樹園地の土壌検査では、1平米当たりで数10万ベクレルと、放射線管理区域の基準四万ベクレルを大きく超える地点があり、若い農業後継者は不安を持ちながら農作業を行っているのです。福島市で樹園地の表土除染の希望をとったところ、果樹農家は樹勢が弱まるのを心配するため16%程度だったということです。県北地域の果樹農家が安心して農作業に従事できるよう除染の推進と樹勢回復のための支援を一体的に行うべきと思いますが、県の考えを伺います。
 次に、原子力損害賠償についてです。
 県民の生活となりわいの再建、地域経済の再生に賠償は欠かせません。県も県民も、被害が継続する限り賠償は継続すべきとのオール福島の要求を国と東電に求めてきました。しかし、被害の実態とは裏腹に賠償打ち切りが進められているのが実態です。
 明確なのは、今年の3月までに帰還困難区域を除く避難指示を解除するとともに、来年3月末で精神的賠償が打ち切られることです。帰還困難区域も本年6月以降分は既にふるさと喪失慰謝料として賠償済みとされているため、全ての避難区域の精神的賠償が終了することになるのです。
 国は国による避難指示があることが精神的賠償の根拠としてきましたが、避難指示が解除されたら精神的被害はなくなるのかといえば、決してそうではなく、むしろ避難解除は新たな苦悩の始まりでもあるのです。
 ある浪江の避難者は、「子供たちは浪江には戻らないと見捨てられてしまった。」と、ばらばらにされてしまった家族のきずなを取り戻せないことに苦しんでいます。
 楢葉に戻った人の話では、農業を再開したのはわずか14戸だけ、多くは長期の避難生活で体力が低下し、農作業の気力も出てこないため、結局避難生活の延長のような生活になり、日中することがないので、朝から酒を飲み家族に当たり散らすなど、もとの生活とはほど遠い状況があると報告されているのです。
 失われた地域のコミュニティーも戻りません。これら全てが精神的損害そのものであり、避難解除したら全て問題がなくなるかのような国の賠償の基準自体、全く現実を見ないものと言わざるを得ません。
 山菜やキノコなど山の幸を食料とし、なりわいとするなどして、わずかな年金でも何とか維持できたもとの生活は奪われ、生活そのものが成り立たないのです。避難指示解除後も継続する苦難に対して、もとの生活を取り戻すまでは賠償を継続すべきです。県はどのように考えているのか伺います。
 避難地域の財物賠償請求が進んでいないと伺います。実態を正確に把握して対策を講じなければなりません。避難地域の財物賠償、とりわけ住居確保損害の賠償金の支払いがどの程度進捗しているのか伺います。
 高齢者や障がい者などで、まだ賠償請求していない人がいると聞きます。賠償全般について被害者が円滑に手続を行えるよう支援すべきと思いますが、県の考えを伺います。
 県商工会連合会のアンケート調査で、賠償を諦め、請求すらしていない事業者がいることが明らかになりましたが、実は原発事故発生当初、東電のコールセンターに問い合わせたところ、該当しないと言われたために諦めた業者が相当数に上るというのです。
 県内89の商工会の中には、経営指導員等が一人のところも少なくありません。今になって商工団体に苦情が寄せられており、地域の商工団体の職員体制では対応できないため、体制強化のための財政支援の要望が寄せられています。県は商工業者の賠償請求支援業務を担っている商工団体をどのように支援するのか伺います。
 避難指示地域外の地域住民にとっても、この6年間こうむってきた精神的被害は避難区域同様に大きく、今後も継続するにもかかわらず、国と東電が精神的被害はないとしていることに県民は全く納得していません。原発事故関連の裁判が起こされ、裁判外の賠償を支援するADRへの申し立てが相次いで起こされてきたのもそのためです。
 商工業も農林業も深刻な被害が依然継続しているのに、事実上の打ち切りに等しい一括賠償方針が提示され、商工業では既に打ち切りが進んでいることに怒りが広がっています。県も求めてきたように、被害が継続する限り賠償を継続させる必要があります。
 そこで、事故から6年を迎える福島の現状をしっかりと把握し、指針を適時適切に見直すよう原子力損害賠償紛争審査会に求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。
 原発事故はまだまだ収束できないばかりか、被害も複雑多様化し、拡大している実態が明らかになっています。安倍政権が東京オリンピックを視野に事故の被害も終わったことにしようとすれば、ますます被災県民との矛盾は拡大せざるを得なくなります。県は全ての県民が被災者の立場を堅持して、福島県民切り捨てを許さない先頭に立つ決意が求められていることを指摘するものです。
 次に、安倍政権の政治についてです。
 安倍政権による議会制民主主義の破壊、憲法破壊の政治はとどまるところを知りません。ことしは憲法施行から70年、節目の年、日本国憲法が国民生活と平和外交、地方政治に生きる政治の実現こそが求められる中で、安倍首相は通常国会の冒頭でいよいよ憲法改悪の国会発議もあり得るとの認識を示したことは極めて重大です。現憲法の基本原則である国民主権、平和主義、基本的人権の保障を真っ向から踏みにじる自民党の改憲案を基礎に改憲議論を進めることは到底認められません。
 既に南スーダンに新たな任務を付与された自衛隊員が派遣され、戦後初めて殺し殺される危険が現実のものとなっており、首都ジュバでは戦闘が行われているのに、戦闘ではないとし、派遣隊の日誌の存在すら隠蔽する防衛相の態度は許されません。憲法違反の安保法制を廃止するとともに、憲法改悪を許さないための取り組みがますます重要になっています。
 安倍政権が戦争できる国づくりと一体に進めてきたのが秘密保護法の制定であり、さらに今国会にはテロ等組織犯罪準備罪と名前を変えて共謀罪を強行しようとしています。
 憲法では、刑事罰は実際に犯罪が行われた場合に限定され、予備罪が適応されるのは重大な犯罪行為に限定されるのが原則ですが、共謀罪は相談しただけで罪になりますが、国は一般人も対象となることを認めました。相談し、準備しているかどうか、国民、県民の普通の生活が監視され、人の内心にまで踏み込んで処罰する、基本的人権侵害の憲法違反の法律であり、現代版治安維持法と言われるゆえんです。テロ対策は現行法でも対応可能で、新たな法整備は必要なく、共謀罪の国会提出は許されません。
 昨年の大統領選挙で勝利したトランプ米政権はアメリカファーストを掲げ、あらゆる面で露骨な覇権主義を押しつけようとしています。アラブ諸国など7カ国の国民のアメリカへの入国を規制する大統領令をめぐっては、世界的に批判が広がり、裁判所が執行停止の決定を出すなど既に破綻が露呈し始めています。こうしたトランプ政権に対して日本の安倍首相は、日米軍事同盟ファーストと無条件に応じようとしており、際限のない対米従属の道を歩む危険性をはらんでいます。
 その一つがTPPの問題です。トランプ大統領は就任当日の大統領令でTPPからの永久離脱を掲げ、その上で二国間貿易協定を進めるとしています。日本があくまでTPPに固執すれば、TPP合意内容が国際公約とみなされ、これをスタートラインにさらなる譲歩を迫られることは必至です。多国籍企業の利益を優先するためのTPP固執をやめ、経済主権を尊重する公平で公正な貿易と投資の国際ルールこそ求められています。TPP協定の発効に向けた取り組みはやめるべきです。見解を伺います。
 次に、新年度予算案についてです。
 2017年度の政府予算案は総額97兆4,547億円と、当初予算としては過去最大となりました。大企業への減税を進める一方で社会保障費を抑制し、通常約1兆円の自然増を半分の約5千億円に抑えるため、高齢者への給付削減と負担増が押しつけられようとしています。社会保障費の自然増抑制による制度改悪の影響額は2001年度以降で3兆3千億円に上り、社会保障のあらゆる分野で深刻な傷跡をつくり出しているのです。
 新年度の防衛費が5兆1,251億円と、5年前との比較では4千億億円の増で過去最大規模となりました。軍事費を削って社会保障に回すことは一層切実な要求となっています。県民の復興を進めるためにも、連続する社会保障の改悪で貧困と格差を拡大し、国民生活を危機に追いやる社会保障費の自然増抑制の中止を国に強く求めるべきと考えますが、県の考えを伺います。
 アベノミクスの大企業の利益を最優先し、国民生活を犠牲にする政治は貧困と格差の拡大で国民に耐えがたい苦しみをもたらす一方で、大企業の内部留保は過去最高を更新し続け、その規模は386兆円にも積み上がり、経済政策の民主的転換は日本社会にとって避けがたく、本県の真の復興にとっても不可欠の課題となっています。
 日本共産党は、日本経済の根本対策として税金の集め方と使い方を抜本的に改め、富裕層への課税強化、無駄な大型事業を見直し、社会保障を優先すること、5兆円を超えて膨らみ続ける軍事費を削減し、暮らしに回すこと、38%と過去最高を更新する非正規雇用をなくし、長時間労働の是正と最低賃金を直ちに1,000円以上に引き上げることで内需をふやすことを提案しており、その実現に全力を尽くしてまいります。
 次に、地方創生についてです。
 知事は新年度予算案で復興と地方創生に取り組む意向を示しました。かねてから県は復興・創生事業を通じて地方創生のトップランナーになるとしています。安倍首相も地方創生を旗印にしますが、そもそも人口減少、地方の衰退を招いたのは国による大企業応援、農業と地方、国民生活を切り捨てる政治の結果ではないでしょうか。
 地方経済を支えているのは中小企業と農林水産業ですが、この10年間で第1次産業就業者数は9万2千人から6万1千人へ、中小事業者数も1万事業所減少し、地域衰退の大きな要因となっているのです。中間層の疲弊も中小企業の減少と労働者の賃金低下がその大きな要因と指摘されています。
 福島県は一貫して県外から大企業を呼び込み地域経済を活性化させようとする政策を取り、復興政策もこの路線を基調にしています。しかし、この政策では利潤は中央に吸い上げられ、地域経済は潤わないばかりか、2000年初期の不況では県内の電機関連大企業は真っ先に派遣等の不安定労働者を解雇、大量の失業者を生み出したのが福島県だったことは記憶に新しいところです。そのときに身を削ってでも労働者の雇用を必死で守ったのが中小企業だったではありませんか。
 原発事故の影響をもろに受け、厳しい経営環境にある中小企業が地域で安心して活動できるようしっかり支援することが最も重要な雇用対策であり、復興支援です。県は厳しい経営環境にある中小企業をどう支援するのか伺います。
 次に、人口減少、貧困、子育て支援についてです。
 県の総合計画、復興計画に掲げた「日本一子育てしやすい県」、「全国に誇れる長寿の県」、「再生可能エネルギー先駆けの地の実現」に本気で取り組み、県民に希望を示すことこそ福島の復興と地域活性化の道であるということを指摘し、以下具体的に伺います。
 ことしの1月の県の推計人口が189万人台となり、減少に歯どめがかかりません。一昨年の国勢調査でも秋田県に次いで全国2位の人口減少率となり、安心して子供を生み育てる環境整備は待ったなしの課題です。
 そこで、子育て支援対策についてです。
 若者が希望を持って結婚し、子育てできる福島をつくる上で、雇用環境の改善は必須です。県内企業の正規雇用拡大に向けて県はどのように対応していくのか伺います。
 女性が子供を生み育てやすい環境をつくるための保育条件の整備も待ったなしです。国はこれまでカウントされなかった保育所待機児を含めて待機児童数を明らかにすることが検討されています。
 県都福島市では認可保育所の待機児童が1千人に達するのではないかと懸念されるように、都市部での待機児童の解消が急がれます。東京都では都有地を提供するなどの取り組みもあるように、認可保育所増設は喫緊の課題として、市町村の対応待ちではなく、県としても積極的に取り組むことで子育てしやすい環境をつくるべきと考えます。対応策を伺います。
 義務教育に係る経費の負担解消については、県内の自治体の4分の1が給食費の負担軽減策を行っています。国の就学援助制度を適用すれば、給食費も保護者負担はなくなりますが、本県の就学援助制度の適用率は全国平均を下回っており、原発避難地域の特例事業対象児童を含めてようやく全国平均になるという状態です。この制度の積極的な活用を促すため、児童生徒の保護者に十分周知すべきと思います。県教育委員会の見解を伺います。
 同時に県として全ての児童生徒への給食費無料化を支援すべきと考えますが、県教育委員会の考えを伺います。
 次に、高齢者、そして医療対策についてです。
 県民、高齢者が元気で長生きし、全国に誇れる長寿の県を目指す施策の展開が求められます。福島県民のメタボ率が上昇したと報道され、また、福島県の急性心不全による死亡率が男女ともに全国1位との重大な実態もあるなど、改めて健康対策の必要性が明らかになっています。
 県は県民運動として健康づくりを掲げてきましたが、県民任せだけではない本格的な取り組みが求められています。県は生活習慣病の予防にどのように取り組むのか伺います。
 浜通り地域の医療提供体制の不足が帰還を渋らせる要因ともなり、住民の命が守れない状況が生まれています。院長が火災で亡くなり存続が危ぶまれていた広野町の高野病院は、4月以降の院長も決定し、一歩前進しました。
 相馬市では、人工透析治療施設が満杯で、新たな患者の受け入れができず、透析患者は仙台市など遠距離通院を余儀なくされています。高齢で長距離通院が困難な患者は、透析をしなければ生きられないことはわかっていても諦めざるを得ないと話す患者すらいるなど、命の危機に立たされています。
 原発事故後、特に逼迫する浜通りの医療確保、とりわけ相双地域における透析治療する医療機関の確保が求められていますが、県はどのように取り組んでいるのか伺います。
 共産党県議団は、医療人材不足解消のためには、本県独自の思い切った処遇改善で必要な人員確保を図るべきと求めてきました。この間努力はなされているものの、不十分と言わざるを得ません。
 県は県内の雇用確保対策として企業立地に莫大な予算をつけてきました。立地補助金は2千億円近くに上り、新たに確保された雇用人数は5,923人、新規雇用1人当たりの補助金額は3千万円を超えます。
 一方、医療人材の確保対策で大震災、原発事故以降に使われた最も大きな事業である奨学金事業費総額は33億円、2016年度で見ると6億4,700億円で、1人当たり平均では約90万円です。
 雇用対策で優先すべきは、これだけ深刻となり、議会のたびに党派を超えて人材確保が求められている医療分野にこそ重点的に経済的支援を行うべきではないかと考えます。県の考えを伺います。
 次に、浜通り地域の復興についてです。
 県は新年度予算案で避難地域、浜通り復興の原動力と位置づけるイノベーション・コースト構想の推進に700億円の予算を計上し、ロボット産業、医療関連産業の集積、再生可能エネルギー関連産業の育成、航空宇宙産業の育成を図るとしています。これらの分野は全国的な競争にさらされており、外からの呼び込み型で復興が進むのかは疑問です。
 一方、避難地域の商工業者の再開率は61%、避難地域内での再開率は23.6%となっています。地元事業者の再開支援を強化し、浜通りの復興を進めるため、原子力被災事業者事業再開等支援事業はどこで再開しても同じ補助率を適用すべきと思いますが、県の考えを伺います。
 大部分の住民が戻らない、戻れない選択を余儀なくされているもとで、帰還する住民だけを対象にした地域復興計画が果たして適切と言えるのでしょうか。印象深いのは、富岡町長と懇談した際に町長が話されたことです。すぐに戻れなくても、10年、20年先に戻れる希望を持って頑張ろうと町民には話しているということでした。
 浜通りの復興を考える上で重要なのは、帰還できない住民を置き去りにしないことです。県は帰還できない避難者をどのように支援していくのか伺います。
 次に、小名浜港の港湾計画についてです。
 イノベーション・コースト構想には、IGCC型の石炭火力発電所2基、計100万キロワットの発電所計画が含まれています。共産党県議団は、この石炭火発計画は世界の地球温暖化対策に逆行するものだとして見直しを求めてきました。
 ところが、県は見直しどころか石炭火発増設を前提にしてこのたび小名浜港長期構想及び港湾計画の見直し案を策定、既に県の港湾審議会で了承され、国の交通政策審議会に諮る予定とのことです。
 計画は石炭、コンテナ、木質チップの取扱量増加で小名浜港の貨物取扱量を2,540万トンと見込みますが、そのうちの約60%が石炭です。小名浜東港の埋立地を16.3ヘクタールふやすこと、その他の事業を含めれば数100億円を下らない事業となることは必至と推計されます。
 今後10年から15年先を見通した計画とのことですが、CO2排出量世界第五位の日本は地球温暖化対策の目標を決めたパリ協定に基づき、2030年までにCO2の排出量を2013年比で26%削減、2050年までには80%削減する目標を掲げています。国際公約ですから、目標達成に責任を負わなければなりません。
 今後石炭火力発電所は増設どころか大幅に削減しなければ目標達成が困難であることは明瞭です。安倍政権が本気で目標達成をしようとしておらず、燃料費が安価な石炭火発が全国で48基も増設する計画が立てられる異常な事態を生んでおり、福島県の2基の計画も含まれているわけです。
 しかし、このまま石炭火発の増設を進めることは国際公約上も倫理上も許されないと思います。石炭火力発電所増設による小名浜港東港地区の埋立拡張は壮大な無駄遣いになりかねず、地球温暖化防止に取り組む世界の流れに逆らうものです。
 そこで、小名浜港東港地区の拡張を含む港湾計画の改訂は行うべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、再生可能エネルギーの推進についてです。
 再生可能エネルギーの目覚ましい推進で原発に頼らない県を目指し、2040年には県内で消費する電力の100%に見合う再生可能エネルギーをつくり出す目標を持つ本県は、県民が電気の利用者だけでなく電気をつくる主体となる、原発に頼らない社会をつくる主権者の自覚を促すという点で、県民参加を推進することは特別に重要な課題と言えます。
 世界で再生可能エネルギーが普及し始まった当初は日本は技術的にも普及率でも先進国でしたが、今ではおくれをとってしまいました。知事はドイツを訪問し、再生可能エネルギーの政策も学ばれたと思います。県はデンマークやドイツの先進例に学び、県独自の対策を講じる必要があります。先進国が重視して取り組んでいるような県民が参加する再生可能エネルギー事業をどのように推進するのか、県の考えを伺います。
 次に、農業の振興についてです。
 原発事故で汚染された農地を回復させ農業の再建を図ることは困難な事業ですが、なし遂げなければならない課題です。本県農業は、2010年の農業センサスによれば、農業経営体数でも販売農家戸数でも全国1位の水準にあり、2015年では順位は4位と低下したものの、農業県として高い位置を占めているのです。
 県はこれまでTPP推進を前提として勝ち残れる農業体質をつくるための支援策を計画してきました。TPPが発効しない状況のもとで、大規模化の促進だけではなく、家族経営で維持してきた本県農業再生の本格的取り組みが求められています。
 県は原発事故による放射線の影響や風評被害により困難をきわめる本県農業を基幹産業にふさわしく位置づけ、中山間地面積が耕作地面積の五割を占める不利な営農環境のもとで日本型直接支払制度の推進にどのように取り組むのか伺います。
 また、青年就農給付金を活用した新規就農者の育成にどのように取り組むのか、県の考えを伺います。
 次に、教育行政についてです。
 原発事故による教育現場への影響は今もって深刻です。双葉地域の高校はついに今年度で休校となりました。県内外に避難する児童生徒数は昨年10月で2万430人と、ふるさとでの学びが奪われ、子供にとっては避難先がふるさとになるという状況です。帰りたいとも帰りたくないとも言い出せずにじっと我慢する子供の姿も報道されるなど、子供たちを取り巻く状況は依然として厳しく、一人一人置かれた状況が全部異なることもあり、より丁寧な対応が求められていると思います。
 県は学力偏重でなく、一人一人の子供に寄り添い、社会で主体的に生きる力をどのように育成するのか、県教育委員会の見解を伺います。
 被災児童支援のため、教員の被災地域特別加配の継続を国に求めるべきです。県教育委員会の考えを伺います。
 また、県が実施する制度としての30人学級を公立小中学校の全学年に拡大すべきと思います。県教育委員会の見解を伺います。
 その際、教員定数を拡大し、必要な教員は全て正規の教員を配置すべきと思います。県教育委員会の見解を伺います。
 県教育委員会から諮問を受けた学校教育審議会は、昨年12月、高校教育のあり方の中間取りまとめを行いました。基本は1学年3クラス以下の高校は統廃合を検討するというものです。学校教育審議会の議事録では、1学年3クラス以下の高校の再編については、むしろ過疎、山間地域の学習機会の確保を図るべきとの意見が出されています。
 地域に根差した高校をなくしてしまえば、地域の活性化どころか衰退を招きかねず、本県の復興にも逆行します。県は生徒の学習機会の確保を基本に県立高校の役割を多面的に捉えるべきであり、1学年3クラス以下であっても地域に根差した高校はなくすべきではないと考えますが、県教育委員会の考えを伺います。
 最後に、県職員の増員と人事評価についてです。
 地方公務員法の改正により、公務の職場に人事評価制度が導入され、新年度からは人事評価と給与を連動させるための議案が提案されています。法律事項なので実施しないと違法状態になるとのことですが、みずからの仕事を振り返り、業務の改善につなげるためとしてきた人事評価の目的が賃金と連動することで全く歪められ、職員の勤労意欲の低下、ひいては県民サービスの低下になりかねません。
 大震災と原発事故からの再建を進める本県はまだまだ復興の途上にあり、今後長期にわたり各種復興事業を継続しなければなりません。疲労蓄積が原因と思われる職員の長期休職は減少どころか増加傾向にあり、職員の増員は復興の推進のためにも必要だと思いますが、県の考えを伺います。
 さらに、復興に向けた厳しい仕事が継続する本県職員を賃金で分断するのではなく、部局横断で連携した取り組みが求められており、人事評価や賃金への連動は持ち込むべきではないと考えます。県の考えを伺います。
 以上で私の代表質問を終わります。


議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の御質問にお答えいたします。


 東京電力福島第二原発の廃炉につきましては、これまで国及び東京電力に対し私から繰り返し求めており、先月日に開催された福島復興再生協議会の場においても経済産業大臣等に対し改めて廃炉を要請したところであります。
 引き続き、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉の実現に向け、あらゆる機会を捉えて強く求めてまいる考えであります。
 次に、自主避難者の住まいの確保につきましては、4月以降の住まいが決まっていない世帯などを対象に3回にわたる戸別訪問を実施し、避難者一人一人の事情を伺いながら、丁寧に生活再建への支援を行っております。
 また、住まいの確保を促進するため、家賃補助を初め避難者向けの県営住宅や雇用促進住宅の提供、さらに避難先の都道府県に対して公営住宅の確保の要請を行うなど、支援策の一層の充実を図っております。
 これらの取り組みにより、大部分の避難者においては4月以降の住まいの確保の見通しが立ってきている状況ではありますが、いまだ課題を抱える避難者もおられることから、避難元市町村や避難先の都道府県などと連携しながら、避難者の生活再建に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 次に、小名浜港につきましては、大型船舶の海上輸送に対応した国際バルク戦略港湾に選定され、さらに全国初の特定貨物輸入拠点港湾に指定されるなど、本県の物流拠点の機能を果たすことはもとより、東日本地域のエネルギー供給を支える拠点港として重要な役割を担っております。
 今回の港湾計画は、東日本大震災後の社会経済情勢の変化に対応するため、昨年12月に策定した長期構想を踏まえ、10年から15年程度先を見通し、港湾施設の規模や配置、土地利用計画等を見直したものであり、取扱貨物量の増加への対応、地域のにぎわいや観光振興、大規模災害への対応などを盛り込んだところであります。
 今後、港湾計画の改定を行うことにより、広域かつ多様な交流ネットワークの拠点として小名浜港が地域の経済と雇用を支え、活力ある産業の育成と競争力の向上に大きな役割を果たし、福島県の復興・創生を力強く牽引する港となるよう取り組んでまいる考えであります。
 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


総務部長(長谷川哲也君)お答えいたします。


 職員の増員につきましては、正規職員や任期付職員の採用を初め、即戦力となる他県等応援職員の受け入れ、さらには専門性を有する国の独立行政法人や民間企業等の職員の受け入れなど、多様な方策により必要な人員の確保に努めてきたところであります。
 今後とも、復興の進捗状況や中長期的な行政需要等を踏まえながら、適正な人員配置に努めてまいります。
 次に、職員の人事評価につきましては、地方公務員法の改正により、能力及び業績に基づく新たな評価制度として実施が義務づけられたことから、本県においても今年度から導入したものであり、職員の能力向上、人材育成及び公務能率の向上が図られるよう取り組んでまいります。
 また、評価結果の給与への反映については、同法の規定に基づき、国や他県の実施状況等を踏まえ、平成29年度から反映できるよう適切に対応してまいる考えであります。


危機管理部長(樵 隆男君)お答えいたします。


 福島第一原発の現状につきましては、放射線量の低減など作業環境の改善が進む中、使用済み燃料の取り出しに向けた準備作業が進められており、また、2号機へのロボット投入により原子炉内の状況が次第に明らかになっているほか、凍土遮水壁の凍結は最終段階を迎えております。
 廃炉の取り組みについては、今後も前例のない困難な作業が続くことから、国及び東京電力に対し、世界の英知を結集しながら、安全を最優先に着実に進めるよう引き続き求めてまいります。
 次に、原発事故の原因につきましては、原子力安全規制を一元的に担っている国の責任で検証されるべきものであり、確実に調査を進め、その結果についてわかりやすく情報提供すべきであると考えております。
 次に、放射線量の現状につきましては、避難指示解除準備区域で79地点、居住制限区域で126地点のモニタリングポストで常時測定しておりますが、本年2月1日現在の1時間当たりの空間線量率は、避難指示解除準備区域においては0.05から0.47マイクロシーベルト、居住制限区域においては0.10から1.46マイクロシーベルトの範囲でありました。


企画調整部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。


 国の原子力政策につきましては、東京電力福島第一原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、国の責任において検討されるべきものと考えております。
 次に、東電改革提言につきましては、有識者等で構成される東京電力改革・1F問題委員会により、国と東京電力が福島第一原発事故への責任を果たしていく上での課題と対応策が示されたものと認識しております。
 本県の復興において、福島第一原発の廃炉や原発事故に伴う賠償等は極めて重要な問題であり、国と東京電力の責任においてしっかりと進められるべきものと考えております。
 次に、福島第一原発事故の事故処理費用の負担のあり方につきましては、福島第一原発の廃炉や原発事故に伴う賠償等が着実に進められるよう、国と東京電力の責任においてしっかりと対応されるものと理解しております。
 次に、福島第一原発の事故処理につきましては、国と東京電力の責任においてしっかりと進められるべきものと考えております。
 また、そのために必要な経営改革やその他の対策も、国と東京電力の責任において取り組まれるものと考えております。
 次に、TPPにつきましては、アメリカと初めとする関係国における情勢や国会での動きなど、TPP協定をめぐる動向を引き続き注視してまいる考えであります。
 次に、県民が参加する再生可能エネルギー事業につきましては、地域が主役となった事業を推し進め、地域経済の活性化につなげる観点から重要であり、これまで県民に身近で導入が比較的容易な住宅用太陽光発電設備への補助や再生可能エネルギー産業を担う人材の育成、県内企業等を対象とした事業化支援などに取り組んできたところであります。
 今後とも、県民や県内事業者が参入しやすい環境を整備するとともに、事業化支援等の取り組みの充実を図りながら、さらなる推進に取り組んでまいる考えであります。


生活環境部長(尾形淳一君)お答えいたします。


 避難地域の荒廃家屋の解体につきましては、これまで国に対し、事業に携わる職員の増員や発注時期の弾力化を図るとともに、個別の実情に応じた柔軟な対応を要望してきたところであり、現在国においては、新年度早期に発注が完了するよう取り組みが進められております。
 引き続き、県といたしましては、避難地域の住民帰還の支障とならないよう荒廃家屋の解体の早期完了を国に求めてまいる考えであります。
 次に、除染特別地域の除染につきましては、これまでも国に対し、地元市町村の意向を十分に反映し、迅速かつ確実に実施するよう求めてきたところであり、面的除染終了後もフォローアップ除染や森林除染など必要な除染を確実に実施するよう引き続き国に求めてまいる考えであります。
 次に、所有者の所在不明等により除染が未実施の住宅につきましては、これまでも市町村において住宅所有者に戸別訪問や広報紙等で継続的に市町村による除染の実施について呼びかけるとともに、当該住宅敷地周辺の空間線量を測定し、周囲への影響がないことを確認する取り組みを進めてきたところであります。
 今後、除染未実施の住宅所有者から除染実施の希望が寄せられた場合には、市町村が確実に対応できるよう国に求めてまいる考えであります。
 次に、フォローアップ除染につきましては、国は事後モニタリング等で除染効果が維持されていないと確認された箇所において、それぞれの現場の状況に適した除染手法により個別に対応するとの考えを示しております。
 県といたしましては、国に対し、これまでの知見等を踏まえ、フォローアップ除染がより簡便な手順で実施されるよう引き続き求めてまいる考えであります。


保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。


 被災者の自殺防止対策につきましては、これまで心のケアセンターにおいて臨床心理士等による訪問活動を行うとともに、被災市町村等が実施する自殺対策の分析や助言を行うアドバイザー派遣事業等に取り組んできたところであります。
 新年度からは、特に帰還された方への重点的な支援を実施するため、心のケアセンターの体制強化を図るなど、被災者の自殺防止対策の充実に努めてまいります。
 次に、生活支援相談員の配置数につきましては、避難者一人一人が抱える悩みや課題等に適切に対応するため、新年度も400人程度の配置を目指してまいります。
 次に、生活支援相談員の継続雇用につきましては、避難者の見守りと生活支援の充実のためには、長期的雇用により継続した支援ができる制度が必要であることから、今後とも国に対して強く要望してまいります。
 次に、生活支援相談員による帰還者の見守りにつきましては、訪問活動を実施し、安否確認や悩み事の相談に対応するとともに、必要に応じて専門機関の支援につなげております。
 今後避難指示の解除などにより帰還者の増加が見込まれることから、関係機関と連携しながら見守り活動にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、避難指示区域等における国保税や介護保険料の減免等につきましては、国において予算措置がなされ、新年度も継続できる見込みであり、今後も国の財政支援を強く要望してまいります。
 次に、社会保障費につきましては、医療費や介護保険等の分野で県民にとって過度な負担や急激な変化とならないよう、これまで国に対して十分な配慮を求めてきたところであり、今後とも全国知事会や他団体との連携を図りながら国に対して要望してまいります。
 次に、生活習慣病の予防につきましては、日々の食生活の改善や体を動かすことが重要であることから、県民へのリーフレットの配布や広報番組での呼びかけ等の啓発に加え、健民アプリを本格的に稼働させたところです。
 引き続き、食生活の改善を促す減塩、野菜摂取のキャンペーンや健康測定、スポーツ体験イベントの開催など、県民運動と連携しながら生活習慣病の予防に取り組んでまいります。
 次に、相双地域における透析医療につきましては、浜通り地方医療復興計画等に基づき、人工透析機器等の整備、医師や必要なスタッフの人件費に対する補助などを行ってきたところであります。
 今後とも患者の動向や関係医療機関の意向も踏まえ、新年度政府予算案に計上された新たな財源を有効に活用し、人工透析実施医療機関への支援を通じて地域における透析医療の確保に取り組んでまいります。
 次に、医療人材の確保につきましては、修学資金を貸与することに加え、医師向けには県外から転任する産科医等への研究資金を貸与するとともに、看護職員向けには原子力災害の影響により人材確保が特に困難な双葉郡等の病院を対象に、住宅の確保や一時金の支給などに要する経費を支援しているところであり、引き続き医療人材の確保と県内定着に努めてまいります。


商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。


 商工団体への支援につきましては、職員配置や事業実施のための補助等を通し、商工業者への経営改善指導や復興関連業務を支援するとともに、避難地域商工会等への新たな経営指導員の配置や国の原子力災害対応雇用支援事業を活用し復興支援員を配置するなど、商工団体の体制強化に取り組んでおります。
 今後とも経営支援や賠償請求支援業務がスムーズに進むよう商工団体をしっかり支援してまいります。
 次に、中小企業の支援につきましては、これまで産業振興センターや商工会等を通じた経営支援、県制度資金等による金融支援等を通して経営基盤の強化に取り組んでまいりました。
 中小企業は風評や人口減少による売り上げ低下など厳しい経営環境にあることから、今後ともきめ細かな経営相談等を行うとともに、オールふくしま経営支援連絡協議会のサポート委員会等を活用し、個々の事業者に寄り添った経営改善方針を示すなど、中小企業の経営支援に積極的に取り組んでまいります。
 次に、県内企業の正規雇用の拡大への対応につきましては、福島労働局において、有期契約労働者等を正規雇用労働者に転換した場合など、事業主に助成するキャリアアップ助成金制度を設けております。
 県といたしましては、福島労働局と連携し、県内企業への訪問などを通じ、この制度について広く周知してまいります。
 次に、原子力被災事業者事業再開等支援事業につきましては、帰還困難区域の被災事業者が被災12市町村外で事業再開等を行う場合、その補助率を被災12市町村内の場合と同程度とすることを検討しております。


農林水産部長(小野和彦君)お答えいたします。


 農地一筆ごとの土壌汚染調査につきましては、国が毎年更新している農地土壌の放射性物質濃度分布図を県から市町村やJA等に配布しているほか、農地除染後の空間線量率については、国や市町村を通じて地権者へ伝達されております。
 なお、空間線量率から農地土壌のセシウム濃度への換算については、国が開発した簡易な方法により推計できることから、不安を抱える農業者には農林事務所等を通じて丁寧な説明に努めてまいります。
 次に、森林の除染につきましては、「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」において、住居周辺の里山など日常的に人が立ち入る森林について、現場の状況を勘案し、追加被曝線量を低減する観点から、地元の具体的な要望を踏まえ、堆積有機物の除去や残渣処理などの対策に取り組むこととされております。
 県といたしましては、総合的な取り組みを踏まえ、市町村の要望に沿った除染対策が着実に進むよう引き続き国へ働きかけてまいります。
 次に、県北地域における果樹園の除染等につきましては、事故直後から樹体洗浄、粗皮削り等の除染や栽培指導に取り組んできたことにより、モニタリングの結果からも明らかなように、安全な果実が安定的に生産されております。
 なお、国の除染関係ガイドラインの中で、農業者の要望等を踏まえ、表土剥ぎによる除染を行うことが可能となっていることから、県といたしましては、引き続き地力回復等に必要な助言や栽培指導に努めてまいります。
 次に、日本型直接支払制度の推進につきましては、複数組織の連携による活動の効率化や事務委託の推進による負担の軽減などにより取り組みの拡大を図ってきたところです。
 今後は、特に過疎化や高齢化の進行に伴い活動組織の弱体化が進む中山間地域において、市町村訪問や広報紙等の活用により、制度の拡充や運用緩和等に関する丁寧な説明を行うとともに、集落ごとに異なる状況を踏まえた制度の有効活用を助言するなど、引き続き地域がまとまって活動できるようきめ細かに支援してまいる考えであります。
 次に、青年就農給付金を活用した新規就農者の育成につきましては、就農希望者からの相談や農業高校での進路指導において制度の活用を積極的に働きかけるとともに、早期の農業経営確立に向け、市町村等による地域のサポート体制づくりを初め、普及指導員等による栽培技術や経営管理の継続的な指導等を通じて、地域と行政が一丸となってきめ細かく支援してまいります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 除染の対象とならない道路等側溝堆積物の処理につきましては、平成28年度から3市村が着手し、平成29年度からは新たに15市町村が実施の意向を示しております。
 県といたしましては、関係市町村と一体的に処理できるよう、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。
 次に、道路等側溝堆積物の除染事業で設置した仮置き場の活用につきましては、直接最終処分場に搬出ができない場合は有効であると考えております。
 県といたしましては、引き続き、仮置き場の活用も含め、関係市町村と連携しながら処理が円滑に進むよう取り組んでまいります。


原子力損害対策担当理事(大島幸一君)お答えいたします。


 精神的損害の賠償につきましては、原子力損害賠償の指針において、避難指示解除後の賠償が継続される相当期間について、避難指示が解除された区域の状況や被害者の個別具体的な事情に応じて柔軟に判断すべきとの考えが示されているところであります。
 引き続き国及び東京電力に対して被害の実情を踏まえた賠償を行うよう求めてまいります。
 次に、住居確保損害の賠償金につきましては、昨年12月末時点の支払い状況を東京電力に確認したところ、持ち家分として約2,680億円、借家分として約33億円を支払い、そのうち持ち家分については、賠償想定額の4,532億円に対し、約6割の進捗となっております。
 次に、賠償請求手続の支援につきましては、問い合わせ窓口における相談対応や弁護士による巡回法律相談などを行っております。
 また、東京電力に対しては被害者の負担軽減を図るよう求めてきたところであり、これを受けて高齢者等を個別に訪問し、賠償請求書の作成に協力する取り組みなどが行われております。
 引き続き、被害者が円滑に賠償請求を行えるよう支援してまいります。
 次に、原子力損害賠償の指針につきましては、これまでも原子力損害対策協議会の活動等を通し、被災地の実情に応じて適時的確に見直すよう原子力損害賠償紛争審査会に求めてきたところであります。
 審査会では、委員による現地調査や地元の市町村長等との意見交換等を通し被災地の現状把握を行っていることから、引き続き、市町村や関係団体等と連携しながら的確な賠償がなされるよう求めてまいります。


避難地域復興局長(成田良洋君)お答えいたします。


 4月以降の住まいが決まらない自主避難者の世帯数につきましては、戸別訪問等の結果から、現時点において確認できた世帯のうち約2%で、250世帯程度となっております。
 次に、応急仮設住宅への継続入居の要望につきましては、応急救助という災害救助法の考え方から、応急仮設住宅の供与を本年3月末までとし、それ以降については県独自の支援策に移行することとしております。
 避難生活の長期化に伴い、透析や難病治療を抱える避難者が現在の避難先でなければ治療が困難となる場合に対応するため、支援策の拡充を行い、住まいの確保を支援しているところであります。
 次に、帰還できない避難者への支援につきましては、避難元の生活環境の整備や避難指示解除などの状況にかかわらず、個々の事情から直ちには帰還できない避難者も少なくないものと認識しております。
 今後も、全国各地の相談拠点による対応や情報提供などにより、避難者の一日も早い帰還や生活再建につながるようきめ細かな支援を継続してまいります。


こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。


 認可保育所の増設につきましては、保育の実施主体である市町村が必要となる保育定員数を確保するため、地域の実情に応じ取り組んでいるところであり、市町村の計画に沿って引き続き財政支援を行ってまいります。


教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 就学援助制度につきましては、事業の実施主体である市町村において、入学時や進級時などに児童生徒の保護者へ周知が図られているところであります。
 県教育委員会といたしましては、制度の趣旨や申請方法等を確実に周知するよう市町村教育委員会に促すとともに、研修等の機会を通じて教職員に制度についての理解を深めさせ、就学援助制度の周知に努めてまいる考えであります。
 次に、市町村立小中学校における給食費につきましては、学校給食法により保護者が負担することとされており、そのあり方については学校の設置者である市町村が判断すべきものであります。
 また、いわゆる要保護・準要保護及び被災児童生徒に対しては、保護者が負担する給食費への支援が行われていることから、県教育委員会による支援については困難であると考えております。
 次に、社会で主体的に生きる力の育成につきましては、知識や技能、思考力や判断力、表現力などから成る学力はもとより、社会規範やコミュニケーション能力、さらには社会の形成に主体的に参画する意欲を高めることが重要であると考えております。
 このため、県教育委員会といたしましては、道徳教育の充実に加え、地域の方々とのかかわりを深めることにより子供たちの社会性を養うとともに、復興に寄与する社会体験活動や身近な地域の課題に対し、他者と協力しながら解決を図る探求活動などを通して課題解決力や高い志、主権者意識を育み、子供たちが主体的に生きる力を育成してまいります。
 次に、被災した児童生徒を支援するための教員の加配につきましては、いわゆる標準法により決定される教員数に加えて、児童生徒の学習支援や心のケア等に当たるために教員を増員して配置しているところであり、新年度も継続してまいる考えであります。
 今後とも被災した児童生徒へのきめ細かな指導ができるよう、引き続き国に対して教員の加配を要望してまいります。
 次に、公立小中学校において30人学級を全学年に拡大することにつきましては、本県では全国に先駆けて30人学級及び30人程度学級を導入してきたところであり、児童生徒の学習、生活両面で少人数教育の特色を生かし、よりきめ細かな指導に取り組んでまいります。
 次に、公立小中学校で実施している30人学級全てに正規教員を配置することにつきましては、いわゆる標準法を上回る教員定数を安定的に確保する必要があることから困難であります。
 次に、地域に根差した高校につきましては、特に過疎、中山間地域においては、教育機会の確保のみならず、地域づくりの観点からも大切な存在であると考えております。
 一方、県内の中学校卒業者数は今後10年間で約5,000人減少する見込みであることから、学校教育審議会の中間まとめにおいては、生徒同士が多様な考えに触れ、切磋琢磨することを通じてその資質や能力を伸ばすという学校教育の特質を踏まえれば、一定の集団規模を確保することが望ましいとされております。
 県教育委員会といたしましては、審議会における議論をさらに深めていただき、ことしの夏ごろに予定されている答申を受けて今後の県立高等学校のあり方について検討してまいります。


25番(宮本しづえ君)再質問いたします。


 知事に再質問したいと思います。
 まず、第二原発の廃炉に向けた取り組みについてです。
 去年の11月22日の地震と、それから第二原発3号機の冷却装置の停止という事態をめぐって、県民の原発に対する思いも、また廃炉に向けた思いも一層強まっているわけです。ですから、この廃炉に向けた取り組みの質的な転換が今求められているのではないかというふうに思うのです。
 知事の答弁は今までと同じなのです。これで本当に廃炉が進むのか、県の取り組みの姿勢がそれで本当に示せるのだろうかということに私は大きな疑問を感じます。
 国も東電もそうですが、この東電改革の中でも第二原発の廃炉については何も触れていないです。それどころか柏崎刈羽原発をもっと動かすと、こういうことを言うわけですけれども、県民の思いは全く違うということですので、ことしは必ず第二原発の廃炉は実現させるんだという強い決意を示す、そういう行動をとるべきだと思うのです。
 基地問題を抱える沖縄県がオール沖縄で県民集会を開いて国に基地の撤去を求めているというように、福島では県内原発全基廃炉という、このオール福島の意思をあらわすために県民集会を開く、これまでと違った取り組みを行うことでより国と東電に廃炉を迫るという、この取り組みをすべきではないですかということを提起したわけです。そのことについて、今までと同じ答弁ですが、県民集会についてやる意思がないのかどうか、改めて見解を求めたいと思います。
 それから、自主避難者の住宅提供の継続についてです。
 これも知事に伺いたいと思いますが、避難地域復興局長の答弁では、決まっていない、まだ未確定という世帯は約250世帯ということですけれども、実際には行っても会えないとか、まだ報告がないというところも含めれば900世帯ぐらいになりますよね。ですから、かなり多くの世帯が実はまだ決まっていないというふうに言えるのだろうと私は思っております。
 実はこの未確定の中には、避難した先がどこかによってことしの4月以降も家賃が発生しないというところもあるのです。自治体が家賃の支援しましょうというところもあるので、発生しないところもあるのです。ですから、まさか6年後にこういう事態になるとは誰も想定しないで避難先を選んだけれども、避難した自治体の支援策があるかないかによって4月以降の生活環境がまるで変わってしまうという状況が起きることもまた事実なわけなのです。
 母子避難をしたというような世帯の中には、離婚という本当に悲劇的な事態も実は起きております。しかし、そういうこともありながらなぜ避難生活を継続しているのかということなのです。それは、子供の将来を案じる、健康不安を感じる、そういう一途な思いが避難を継続させる、そういう思いになっているのです。一番放射能に不安を感じている人が避難を継続しているということなのです。だから、ここにしっかり寄り添って、最後まで被害者として支援をするという県の態度こそが今何よりも必要なのではないかというふうに思います。
 そういう点で、250人が確定すれば、それで県の役割が終わったのだということにはならない。決まった人の中にも、不本意ながら川内村のさっきのように、死にに帰るようなものだと言う人も含めて、帰還を、あるいは別なところでの移住を選択せざるを得なかった、そういう事情があるわけです。そういう点を踏まえた支援が求められていると思いますので、改めて見解を伺いたいと思います。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の再質問にお答えいたします。


 先月28日に開催された福島復興再生協議会の場において、改めて私から廃炉を要請し、経済産業大臣からは、「福島第二原発を他の原発と同列に扱うことは難しい。」との回答がありました。
 私は、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉の実現に向け、引き続きあらゆる機会を捉えて強く求めてまいります。
 次に、自主避難者に対する応急仮設住宅の供与につきましては、いまだ課題を抱えておられる避難者もいますことから、避難元市町村や避難先都道府県などと密接に連携しながら丁寧に取り組んでまいります。


25番(宮本しづえ君)再々質問いたします。


 今の知事の答弁ですけれども、私は県民集会を開いて、そして第二原発の廃炉を求めるべきではありませんかと。つまり6年間ずっとそのことを言い続けてきた。県議会も四回も意見書を出してきた。だけれども、国も東電もこの姿勢変わらないわけです。だからこそ、やり方を変えないといけないのではないですか。
 では、そのやり方の一つの方法として県民集会が有効ではありませんかというふうに、知事の見解を聞いているわけです。県民集会は余り有効でないということだから、今までどおりのやり方をやりますということなのかどうか、これも含めて見解をお聞きしたいと思います。
 それから、自主避難者の問題については、これはやはり人権にかかわる問題です。そして、避難者には何の非もないのだという、ここのところにしっかりと立った支援が必要だというふうに思います。
 先ほど東電改革の話をしましたけれども、これはもう東電は最初から、破綻させない、支援はする、そのために税金もどんどんつぎ込む、国民に新たな電気料金の負担も求めるというようなことをやりながら、一方で国は、被害者の支援は早く打ち切りたい、この一つが住宅支援の打ち切りなのだと思うのです。
 ここに同調してしまっていいのだろうかということが問われているわけですので、これは被災者、避難者をどう支援するのかという基本的な県民の支援にかかわる問題ですので、そういう視点で改めて知事の見解を伺いたいと思います。
 それから、小名浜の港湾計画の見直しについてですけれども、今、東港の整備が進められているわけなんです。これが行われて供用開始されるようになれば、石炭貨物船の沖待ちは基本的には解消されるのではないかというふうに私は思うんです。それについてはどのようにお考えなのか伺いたいと思います。
 問題は、新たな石炭火発を増設しようとするから、埋立造成の拡大が必要になるのではないでしょうか。石炭貨物の取扱量増加分の約九割近く、88%が新たな火発の増設によるものです。1基180万トンの石炭の輸入が出てくる。2基で360万トン。広野につくるのは積みかえるから、もう1回180万トンの取扱量がそこに出てくる。合わせて540万トンの石炭の取扱量がそこで出てくるから、今の石炭の取扱量と比較をすると約616万トンの増加ということになるのです。この中の540万トンは88%になるのですよね。だから、新たな火発の増設が結局石炭の取扱量をふやすことになるし、新たな港湾計画の策定が必要だということになるのではありませんか。
 温暖化対策から見たら、このようなやり方がいつまでも通用するはずがない。今の自民党の政権だからこういうことになってしまう。エネルギー政策は根本的な見直しをしなければ国際公約を守れないのです。だから、政策の変更は当然あり得ると考えるべきなのです。だからこそ、長期的な視野で、しかも道理に立った公共事業のあり方が検討されるべきではないかというふうに考えますので、改めてこういう視点から知事の見解を求めたいと思います。
 それから、商工労働部長は先ほど、帰還困難区域の事業者が事業再開する場合、避難指示区域外でも3分の1の補助を4分の3にすることを検討していますという答弁でしたね。これ検討するということですけれども、私は直ちに実施すべきだというふうに考えますが、いつから実施することで検討しているのかお聞かせください。


議長(杉山純一君)25番議員に申し上げます。


 先例によって、再質問は主質問の範囲内に限られ、新たな事項の追加は認められません。よって、発電等についての再質問については答弁は求めませんので、御了承願います。
 執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の再質問にお答えいたします。


 昨年の12月県議会において福島第二原発廃炉を求める意見書が可決をされました。こうした県議会の意思に対し、福島県知事として私が先頭に立ち、しっかりと訴えてまいります。
 自主避難者に対する応急仮設住宅の供与につきましては、避難元市町村や避難先都道府県などと密接に連携しながら丁寧に取り組んでまいります。
 小名浜港につきましては、今回の港湾計画は東日本大震災後の社会経済情勢の変化に対応するため見直すこととしているものでございます。小名浜港が福島県の復興・創生を牽引する港となるようしっかり取り組んでまいります。


商工労働部長(飯塚俊二君)再質問にお答えします。


 帰還困難区域の被災事業者の事業再開の補助金につきましては、来年度に行うような形で検討を進めたいと考えております。


議長(杉山純一君)これをもって、宮本しづえ君の質問を終わります。

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