ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2017年2月定例会 討論 渡辺義信議員

2017年2月定例会 討論 渡辺義信議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年6月14日更新

渡辺義信議員 

議員

渡辺義信

所属会派(質問日現在)

自由民主党

定例会平成29年2月
質問等討論
質問日3月17日(金曜日)

40番(渡辺義信君)自民党議員会の渡辺義信であります。私は会派を代表いたしまして、今議会に提出されました知事提出議案第1号「平成29年度福島県一般会計予算」に対し、賛成の立場で意見を述べさせていただきます。


 あの東日本大震災から6年の月日がたちました。これまで県民のたゆまぬ努力によって積み上げられました復興の礎は、その土台を確かなものとして、2020年の復興五輪で世界中に「ふくしま」を大きく発信するための準備が整いつつあります。私は知事の「福島の奇跡を起こすための挑戦」に心強さを感じている一人であり、まさに我々は今福島県民としての誇りを取り戻し、福島で生きる価値を確信する真っただ中にいるのだと思います。
 そのような状況の中編成された平成29年度当初予算は復興・創生加速化予算と位置づけられ、復興・創生分8,750億円を含む1兆7,184億円という過去4番目となる大きな予算となりました。これは知事の「復興の加速をとめない。そして、福島の未来を見据えた地方創生を推し進める。」との意志があらわれた力強い予算であると理解しております。
 今回の予算の内容を見てみますと、例えばまず歳入については、県内景気の回復傾向が続いているとはいえ、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響により法人事業税などの県税収入の減少が懸念されるなど、一般財源総額の確保は予断を許さない状況にあります。しかしながら、震災復興特別交付税を除く実質的な地方交付税は2,165億円と前年度を上回ることから、一般財源の総額は前年度と同じ割合が確保されました。
 これまで復興・再生が活発化し、財政需要は膨大となり、必要財源の確保は非常に厳しいものであったと推察いたします。そのような状況の中にあっても、原子力災害等復興基金を初めとした各種基金を有効に活用するとともに、これまで執行した事業の効果と検証、徹底した内部管理経費の節減、事務事業の見直しに加え、知事を先頭に国へ対して積極的に要望し、財源の確保に努めてきたことは高く評価されるべきであります。
 我が党としても、国に対して、震災から6年が経過し、復興の途上にある福島の現状を繰り返し粘り強く訴え、党組織一丸となって復興加速化のための予算獲得に奔走してまいりました。引き続き政権与党の一員として中長期的に安定した財源の確保を実現し、避難地域の再生や人口減少対策など復興と地方創生のいわば福島再生のための両輪を円滑に前へ進めていく覚悟であります。
 続いて、歳出についてであります。
 2月14日の知事の所信にありましたとおり、復興・創生期間の2年目に向けて、新しい福島の創造のため攻めの姿勢で取り組む予算として、総合計画の11の重点プロジェクトを中心に重点的、優先的な予算配分がなされております。復興の加速化のための実効性のある施策が並び、復興が着実に進むものと大きく期待するところであります。
 具体的な施策として、まず避難地域等復興加速化プロジェクト、生活再建支援プロジェクトに関する取り組みについてであります。
 避難地域の復興は、本県の再生のための最優先課題であります。昨年から避難指示解除に向けた動きが進展し、交通インフラ等の復旧も進んでいる中、ふるさとへの帰還を見据えた支援が大変重要となりますが、被災地域でのまち機能の早期回復や避難地域の学校再開に向けての支援、さらには双葉郡の二次救急医療を担う(仮称)ふたば医療センターの平成30年度の開所に向けた取り組みなど、住民が安心して暮らすことのできる環境整備のための予算計上のほか、避難者の生活再建に向けて、復興公営住宅の早期整備や応急仮設住宅などから避難元自治体への帰還支援に取り組むこととされております。
 また、イノベーション・コースト構想の実現に向けて、拠点施設の管理運営や産学官連携などを担う推進法人を設立するとともに、庁内に国際研究産業都市推進監を新設し、推進体制の強化を図るなど、避難地域の復興が着実に進むものと期待しております。
 次に、環境回復プロジェクトに関する取り組みについてであります。
 県民が安全・安心な生活を送るため、環境の回復は大変重要であります。除染については、市町村と一体となって迅速かつ着実な推進が図られるとともに、食品の安全確保、環境創造センターにおける研究の推進、さらに原発の廃炉に向けた安全監視の強化など、県民が安心して暮らせる環境づくりの推進が期待されます。
 また、中間貯蔵施設につきましては、我が党として関係自治体との意見交換を繰り返し行い、施設の用地確保や除去土壌の輸送などを初めさまざまな環境回復のための取り組みについて国に対して強く求めてまいりましたが、本年秋にも受け入れ・分別施設等が完成し、新年度中に50万立方メートル程度の除去土壌等が搬入されるとの国の事業方針が示されたところであります。引き続き国に対し、地権者等への丁寧な説明と対応を求めていくとともに、施設の整備と除去土壌等の搬出が安全、確実に実施されますよう、我が党としてもしっかりと取り組んでまいります。
 次に、心身の健康を守るプロジェクトに関する取り組みについてであります。
 いまだ復興の途上にある本県が多くの課題に立ち向かい、復興をなし遂げていくためには、何よりも県民一人一人が健康で元気であることが大前提であります。昨年から市町村、企業、地域が一体となって健康をテーマにした県民運動が始まりましたが、それと連動して食、運動、社会参加を3本柱とする健康づくりに引き続き取り組むとされております。
 また、矢吹病院の機能強化を図るため、(仮称)こころの医療センターの整備に取り組むとともに、昨年全面開所したふくしま国際医療科学センターを中核として県民の健康データベースを整備し、最先端の医療を提供するなど、全国に誇れる健康長寿県の実現に向けた取り組みが着実に進むことが期待されるものであります。
 次に、子ども・若者育成プロジェクトに関する取り組みであります。
 本県の将来を担う子供たちがこの福島で健やかにたくましく育ち、将来に夢や希望を持って生活できる環境をつくっていくのは我々大人の責務であります。とりわけ人づくりを担う教育の果たす役割はこれまで以上に重要となっているため、学校を初めとする教育環境の充実は必要不可欠であります。
 現在、頑張る学校応援プランの策定が進められており、本県教育の課題に対応した施策を推し進め、学力向上とあわせて、子供、若者の夢や希望をかなえる福島ならではの教育環境の充実が図られることに大いに期待するものであります。
 次に、農林水産業再生プロジェクトに関する取り組みについてであります。
 我々の日常生活にいつもある山、海、そして大地は全て先人が残してくれたかけがえのない財産です。今を生きる私たちがこの宝をさらに磨き、将来を担う子供たちへつないでいかなければなりません。
 農業の振興については、県産農産物の安全性を確認する検査の継続はもとより、第三者認証GAPの取得拡大や県GAPの導入を通して、ブランド力の向上と販路拡大、販売促進につながる積極的な取り組みが着実に推進されるものと認識しております。
 また、水田農業の経営基盤の強化に向けて、引き続き園芸作物や大豆、飼料用米の導入拡大に取り組むとともに、収益の高い大規模稲作経営を実現するため、ICT技術を活用した農業経営体の育成に取り組むとされております。
 林業の振興については、栽培キノコの再生産に向けて、原木シイタケ露地栽培の実証や安全なキノコ原木等の供給支援に努めるとともに、新たに県オリジナル品種による産地化推進と販売促進強化することによって生産者の所得向上につながるような取り組みを強く望むものであります。
 水産業の振興については、引き続き被災した漁港施設、漁船等の復旧整備を初めこれまで以上に販路拡大や競争力強化に向けた取り組みを支援し、試験操業から本格操業への道を切り開くための力強い取り組みを期待するものであります。
 次に、新産業創造プロジェクト、中小企業等復興プロジェクトに関する取り組みについてであります。
 ふるさとの復興は、既存産業の再生と新しい産業との融合が鍵となります。ロボットテストフィールドなどの整備を初めロボットの開発実証や導入支援に取り組むほか、航空宇宙関連産業に関する認証規格の取得支援、さらには、これまで開所した拠点施設を活用して、再生エネルギーに関する技術の研究開発や実用化への支援、革新的な医療機器や医薬品の開発支援を行うなど、福島の将来を支える成長産業の育成・集積をさらに促進するための予算がしっかりと確保されております。
 福島新エネ社会構想については、我が党としても未来の新エネ社会のモデル創出のため国へ対して強く要望してまいりましたが、その関連予算がしっかりと確保され、本県向けの支援が拡充したところであります。これらの予算を十分に活用し、大規模な風力発電の導入や水素ステーション、燃料電池車の導入支援、さらにはスマートコミュニティーの導入調査など、福島新エネ社会構想の実現に積極的な取り組みを期待します。
 中小企業、小規模企業者についても、我が党として平成26年の小規模企業振興基本法制定を踏まえ、商工団体の皆様と現状と課題について意見交換を繰り返し、県の中小企業振興基本条例の見直しに取り組み、今般中小企業振興基本条例見直し検討会を経て小規模基本法の理念を盛り込んだ条例改正案が上程されることとなったところであります。地域の活力の鍵を握る企業活動の土台をしっかりと固め、経営基盤の強化のための手厚い支援がなされるよう強く望むものであります。
 次に、風評・風化対策プロジェクトに関する取り組みについてであります。
 我々が県民としての誇りを取り戻すためには、風評・風化の問題は避けて通ることのできない重要な課題であります。知事みずからによる積極的な福島の現状発信などにより、観光客の増加、東南アジアへの桃の輸出拡大など一定の成果があらわれてきていると思いますが、農林水産物の市場価格や教育旅行の宿泊者などはいまだ震災前の水準には回復しておらず、発災から6年という長い時間の経過とともに福島に対する関心が低下していることに危惧の念を抱いております。
 そのため、我が党として風評対策の強化について強く要望を繰り返した結果、新年度予算に福島県農林水産業再生総合事業が盛り込まれたところであります。これらの予算を積極的に活用して、引き続き県産品の販路拡大や教育旅行の再生、インバウンドの推進に取り組むとともに、ホープツーリズムの推進など交流人口の拡大についての取り組みがさらに進んでいくことで、風評払拭と風化防止対策が大きく実を結ぶことに期待をするものであります。
 次に、復興まちづくり・交流ネットワーク基盤強化プロジェクトについてであります。
 相馬福島道路の阿武隈東道路区間の開通見通しやJR常磐線浪江-小高駅間の運転が再開される見込みであるなど、復興を支える交通物流基盤の整備は着実に進んでいると理解しております。
 特にJR只見線については、以前から関係自治体及び地域の皆様とともに早期の全線復旧に向け党を挙げて取り組んできたところでありますが、今般県と全会津17市町村が一体となり、会津地方の総意として上下分離方式による鉄道復旧案が取りまとめられたことを高く評価するものであります。我が党としましても、引き続き鉄道軌道整備法改正案の早期成立に向けた取り組みを強化してまいる考えであります。
 最後に、人口減少・高齢化対策プロジェクトに関する取り組みについてであります。
 国の試算によれば、2060年には5人に2人が高齢者となり、人口も9千万人を割ると見込まれております。本県においても、これまでの構造的な人口減少に加え、東日本大震災と原発事故後にはさらに拍車がかかり、推計人口は戦後初めて190万人を割り込む事態となりました。
 そのため、新年度は復興の加速化と同時に急激に進む人口減少への対策を進めながら、復興への取り組みを通じた本県だからこそ可能な地方創生の確立が急務であります。福島の強みや魅力を生かした定住・二地域居住の推進や都市部の大学生などを対象にしたふくしまふるさとワーキングホリデーの実施、高校生、大学生の県内でのインターンシップなど、県内外の若者が古来、浜通り、中通り、そして会津地方のそれぞれの地域が持つ自然、食物、人材などに魅力を感じ、県内への定着につながるなど、地域の活力を取り戻す事業として盛り込まれており、地方創生の一翼を担う大いに期待のできる取り組みであります。
 出光興産の創業者、出光佐三が敗戦からたった2日後の昭和20年8月17日、社員を前にして伝えた言葉があります。「愚痴をやめよ。世界に例のない3千年の我が国の歴史を見直せ。そして、今から建設にかかれ。」。批判や愚痴ばかりでは何も生まれません。今の時代に生きる我々が愛する子供や孫たちのために何を残せるか。どうなるのかではなくて、どうしていくのか。自民党議員会は、この気概を持って、この議場にいる全ての皆様を初め全ての県民とともに福島の復興・再生に全力で取り組んでいくことをお約束いたします。
 以上のように、知事提出議案第1号「平成29年度福島県一般会計予算」につきましては、復興の加速化と地方創生の両輪を同時に進めることのできる予算として大いに評価できる内容であり、当然に賛成すべきであると考えます。全議員の多大なる御理解、御賛同をお願い申し上げまして、私の討論を終わります。御清聴ありがとうございました。

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。