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2017年2月定例会 討論 吉田英策議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年6月14日更新

吉田栄策 議員

議員吉田英策
所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成29年2月
質問等討論
質問日3月17日(金曜日)

13番(吉田英策君)日本共産党の吉田英策です。日本共産党県議団を代表して討論を行います。


 知事提出議案第1号「2017年度福島県一般会計予算」に反対の立場で意見を述べます。
 第1に、県民切り捨ての予算だということです。
 大震災と原発事故から6年が経過し、7年目を迎えました。この間、避難指示解除が行われてきましたが、広野町や川内村で6割台、楢葉町で約1割と、住民の帰還は進んでいません。
 問題は「時期尚早」との多くの住民の声が無視され、強引に避難指示解除が行われてきたことです。帰還をためらう要因は「病院がない」、「商店がない」、「コミュニティーが壊された」など、戻ってももとの生活ができないからです。避難指示解除と精神的賠償の打ち切りが連動しているところに避難者の苦悩があります。
 自主避難者への住宅無償提供の継続を求める声が当事者だけでなく全国の自治体からも上がる中、県は今月末で打ち切ろうとしています。我が党議員の質問で、3月10日現在で住宅が決まっていない世帯は227世帯に上ると答弁がありました。事実上の被災者切り捨てです。そもそも原発事故がなければあり得なかった避難であり、自主避難者の住宅無償提供は継続すべきです。そして、避難の有無にかかわらず全県民を被災者として支援すべきです。
 第2は、県は被災地復興の中心にイノベーション・コースト構想を据えていますが地域の復興や地元企業の参入がどれだけ進むかわかりません。イノベーション・コースト構想について次の点を指摘します。
 一つは、原発震災の最大の犠牲者である被災者の人権の回復、生活となりわいの再建、被災地域社会の復旧・復興が最大の課題であるとの位置づけが明確になっていないということです。
 二つは、企業呼び込みが中心であり、県内中小企業の再建、起業、技術開発、人材育成、県内産業の育成、雇用の創出につながらないということです。
 三つは、農家、漁業者、中小企業、協同組合、NPO法人、県、市町村をその推進の単なる参画促進の対象とするだけで、地域内再投資力の再形成を図る主体と位置づけていないことです。
 四つは、構想の具体化、整備に費やされる資金や整備以降に生み出される利益の大半が県外の企業のもとに流れるということです。
 五つは、本県が掲げる再生可能エネルギー先駆けの地の理念や地球温暖化対策に逆行する構想だということです。構想では、石炭ガス化複合発電IGCCを広野町といわき市に建設しますが、原発事故前の首都圏への電力供給基地の発想にほかならないものです。IGCCはLNG火力発電の約2倍の二酸化炭素を排出し、温暖化対策にも反します。
 また、構想を推進するに当たり、産業界に役立つ人材育成を県立高校教育に求める声が強く上がっていますが、本来教育は人格の完成を目標にすべきであり、教育本来の姿をゆがめることになりかねません。
 第3は、県民の暮らし、子育て、医療、介護を支える点で県が掲げる日本一子育てしやすい県、全国に誇れる健康長寿の県実現の具体的な施策が乏しいことです。
 人口減少が深刻になっていることや子供の6人に1人が貧困と言われるもとで、その対策が喫緊の課題です。県は実態の把握と対策が求められると同時に、学校給食費の無料化や子ども食堂への支援など具体的、積極的対応が求められます。
 また、保育、医療、介護の人員の確保、処遇の改善など具体的な施策も医療、介護の保険料、利用料の県の軽減策もありません。また、こうした施策の充実は地域の雇用拡大にもつながります。
 第4は、原発事故対応です。
 福島第一原発では、汚染水がふえ続け、溶け落ちた燃料デブリの状態を調査するロボットは650シーベルトという高線量と瓦れきのもと調査継続が不可能になりました。収束が一層困難であることを示しています。汚染水の解決、溶け落ちた燃料デブリの取り出しなど、事故収束を東京電力任せではなく世界の英知を結集した取り組みを国に求めるべきです。
 今後30年から40年かかると言われる事故収束、廃炉作業にとって事故原因の究明は極めて重要です。原因究明に向けた取り組みは現在新潟県の技術委員会だけという状況です。福島県が事故原因の究明と第二原発の廃炉にどう向き合うかは本県の重大課題だと考えます。県のイニシアチブで福島第一原発の事故原因究明を行うべきです。
 経産省の東電改革・1F問題委員会が示した東電改革提言に対して、国と東電が福島原発事故処理に責任を負うためのものという県の認識は事の本質を見ないものです。提言は、東電を破綻させずに残し、事故処理費用の大部分を国民負担に求めようとするもので、認められません。除染、賠償、安全な事故処理など、国と東電の加害者責任こそ求めるべきです。
 第二原発の廃炉について、知事は機会あるごとに国、東電に廃炉を求めていくとするだけでなく、県民集会など県民の声を結集する具体的な行動をとるべきです。
 第5は、安倍暴走政治から県民の暮らしを守る立場がないということです。
 安保法制、戦争法、南スーダンへの自衛隊員の派兵などを国の専管事項として反対を言わないのでは県民の命や暮らしを守ることはできません。安保法制、秘密保護法、共謀罪は、いずれも憲法改悪、戦争する国づくりに道を開くものです。また、TPPの推進とそれをベースにした二国間協定は県内農林水産業、地域産業などを衰退させることになります。
 第六は、人事評価制度を職員の給与に連動させようとしていることです。
 本県が復興を進めるためには、全ての県職員が持てる力を十分発揮することが求められます。しかし、人事評価の給与への反映は、格差や差別、分断を持ち込み、職員同士の協力やコミュニケーションを阻害することになり、長時間労働をふやすことになり、職員の健康にも被害を与えます。自治労県本部の調べでは、今年度自治体職員の自殺は9人に上り、そのうち5人がことしになってからです。こうした状況をより一層ひどくしかねません。人事評価制度の給与への反映は認めることはできません。
 以上の理由により、知事提出議案第1号には反対です。
 次に、議案第9号「2017年度福島県港湾整備事業特別会計予算」について反対の意見を述べます。
 この特別会計には、小名浜港東港地区整備費が含まれています。県は東港地区の整備費を953億円とし、石炭の国際バルク港としての整備を進めるものです。昨年12月に策定された小名浜港長期構想では、東港の規模を約1.3倍に拡大します。しかし、世界的な流れは石炭燃料からの脱却であり、この流れに反するIGCC石炭火力発電所を前提にした小名浜港東港の整備は壮大な無駄遣いともなりかねないことを強く指摘するものです。
 次に、議案第23号「福島県自動車保管場所証明申請等手数料条例の一部を改正する条例」、議案第24号「福島県道路交通法関係手数料条例の一部を改正する条例」についてです。両議案は申請手数料の引き上げであり、県民の負担増になることから反対です。
 次に、議案第25号「福島県ハイテクプラザ条例の一部を改正する条例」についてです。検査機器の更新による使用料の引き上げですが、県内中小企業を支援するべきであり、使用料引き上げの議案には反対です。
 次に、議案第31号、議案第49号、議案第135号、議案第136号は、人事評価制度の評価結果を職員の給与に反映させるものです。さきに述べたように、職場での格差と職員同士の競争を助長し、公務労働本来のあり方をゆがめ、県民サービス低下をもたらします。よって、同議案には反対です。
 次に、議案第33号「福島県個人情報保護条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例」についてですが、マイナンバーは国民の税、医療、年金、福祉と介護、労働保険、災害補償などの情報を一括で管理し、国民のプライバシーを侵害するものです。よって、本議案には反対です。
 次に、議案第48号「福島県教育関係職員定数条例等の一部を改正する条例」についてですが、この議案は教員の定数削減です。震災、原発事故で被災した本県でこそ教員を増員し、子供に寄り添う教育と行き届いた教育の実施こそ必要です。よって、同議案には反対です。
 また、議案第50号「福島県警察職員定数条例の一部を改正する条例」も、復興の途上であり、他県から応援を受けている中での定数削減には反対です。
 次に、議員提出議案及び請願について意見を述べます。
 第111号「「テロ等組織犯罪準備罪」法案に関する慎重な議論を求める意見書」、関連の継続第90号「「共謀罪」法案を国会に提出しないことを求める意見書」についてです。
 テロ等組織犯罪準備罪は、犯罪の合意と犯罪の合意のための準備行為だけで犯罪が起こる前に処罰を可能にするもので、誰もが対象になります。この間、3度廃案になった共謀罪の復活です。政府は東京オリンピック・パラリンピック成功のために必要と言いますが、テロ対策に必要な法整備はなされており、新たな整備は必要ありません。現代版治安維持法と言われ、明らかに憲法が保障する内心の自由を侵すものであり、本議案は可決すべきです。関連の継続請願66号も採択すべきです。
 次に、第112号「南スーダンPKO部隊への「駆けつけ警護」の任務付与を撤回し、自衛隊員の救急救命体制の強化を求める意見書」についてです。
 安倍首相はようやく南スーダンに派兵していた自衛隊部隊の撤収を決めました。深刻な内戦状態が続く南スーダンでは、戦後初めて自衛隊員が殺し殺される危険にさらされています。また、戦闘が繰り返される現地情勢の実態の日報の隠蔽は許せません。5月末と言わず、直ちに撤退させるべきであり、本意見書は当然可決すべきです。
 次に、第118号「水素ステーションの整備促進を求める意見書」についてです。
 水素ガスは精製の過程で大量のCO2が発生します。また、エネルギー効率の点からも、電気は電気として使ったほうがロスは少なくて済みます。水素ステーションの整備は、安全性、耐久性、環境的にも問題があり、経済的にも膨大な無駄遣いとなります。よって、この意見書は可決すべきではありません。
 次に、第120号「社会保障における自然増の抑制に反対する意見書」についてです。
 格差と貧困の根絶が政治課題となっている中で、これ以上の社会保障費の削減は新たな国民負担増になり、復興の足かせになるものです。この意見書は可決すべきです。新規請願98号も採択すべきです。
 次に、第125号「カジノ解禁推進法を廃止することを求める意見書」についてです。
 日本のギャンブル依存症有病率は成人人口の4.8%、536万人で、諸外国の有病率1%前後と比べても5倍から6倍と高率です。カジノが誘致されれば、周辺地域の治安悪化、家庭崩壊なども懸念されており、カジノ解禁推進法は廃止すべきです。よって、この意見書は可決すべきであり、新規請願101号も採択すべきです。
 次に、第126号「地域の実情に応じて運用できる「民泊」の法制化を求める意見書」についてです。
 宿泊サービスは、旅館業法のもと、観光客、旅館、ホテル、近隣住民の3者の安全・安心が守られて初めて成り立つものです。民泊の規制緩和は、原発事故の風評被害によって観光業が深刻な影響を受けている本県に打撃を与えることにもなりかねません。この意見書は可決すべきではありません。
 次に、第127号「農業の戸別所得補償制度の法制化を求める意見書」、第128号「農業者戸別所得補償制度の復活を求める意見書」についてです。
 安倍政権は、米の直接支払交付金について、2018年度産米から廃止するとしています。急激な制度変更に農家からは不安の声が上がっています。制度を復活し、恒久的制度とすることが求められます。よって、この意見書は可決すべきです。新規請願104号も同趣旨であることから採択すべきです。
 次に、継続請願20号「「自主避難者」への住宅無償提供の継続を求めることについて」、77号「原発事故避難者に対する住宅の無償提供継続を求めることについて」は、当初予算で述べた理由から採択すべきです。
 以上の理由から、知事提出議案第1号、第9号、第23号から第25号、第31号、第33号、第48号から第50号、第135号及び第136号に反対、議員提出議案、継続第90号、新規第111号、第112号、第120号、第125号、第127号及び第128号は可決、議員提出議案第118号、第126号は否決、継続請願20号、66号、77号、新規請願98号、101号及び104号は採択すべきとの立場を表明し、討論を終わります。

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