ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 2018年2月定例会 一般質問 紺野長人議員

2018年2月定例会 一般質問 紺野長人議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年6月18日更新

紺野長人議員

議員

紺野長人議員

所属会派
(質問日現在)

民進党・県民連合

定例会平成30年2月
質問等一般質問
質問日

3月6日(火曜日)

24番(紺野長人君)民進党・県民連合の紺野長人です。通告により一般質問をいたします。


 最初に、知事に福島県の復興に向けた財源の確保について質問します。
 県は、復興・創生期間の1年目となる2016年度、当初予算ベースで1兆円を超す復興財源を確保し、2年目の今年度は予算総額の約50%に当たる8,750億円を計上しています。2018年度は、6,178億円を見込んだ予算編成が示されたところですが、復興・創生1年目に比較すると約60%にまで落ち込んでいます。
 さらに、復興・創生期間が終了する2020年度以降について、国は復興財源に関する具体的な見通しを示しておらず、復興の将来像を描く上で不十分と言わざるを得ません。
 ましてや福島県の復興は、その多くが原発事故からの復旧・復興であり、国際医療科学センターや医療機器開発支援センター、県民健康調査など相当長期間にわたって運営資金を確保しなければならない事業がほとんどです。
 本来こうした事業の推進は、原発事故の責任を認めた国も主体性を発揮すべきであり、少なくとも必要な財源を継続して福島県に措置する義務があります。
 そこで、知事は復興・創生期間以降の復興に必要な財源の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
 次に、地方公務員法及び地方自治法の一部改正に伴う臨時、非常勤職員の新たな任用制度について質問します。
 現在県には多くの非正規職員が働いており、県の行政サービスを維持するために重要な役割を担っています。
 その背景には、国の行革合理化による人件費削減への圧力が強まる中で、やむなく臨時雇用に切りかえてきたという経過があります。にもかかわらず、国はこうした自治体の臨時、非常勤職員の任用に関し、常勤職員に欠員が生じた場合に厳格化するとしています。
 また、会計年度任用職員などという新たな制度のもとで、連続雇用に係る労基法の適用を除外し、本来正規職員を配置すべき恒常的な業務を非正規職員に置きかえようとするもので、官製ワーキングプアを拡大する内容となっています。
 いずれにせよ、法が施行される2020年4月までの残された期間で、県は改正法の運用を組み立て、この制度を県民サービスの向上に結びつけるとともに、震災、原発事故以降厳しさを増している県の長時間労働の拡大につながることがないようにしなければなりません。
 そこで、臨時、非常勤職員の会計年度任用職員への移行について、県の考えをお尋ねします。
 次に、新たな任用制度を臨時、非常勤職員の処遇改善に結びつけるための財源の確保について質問します。
 新たな制度では、パートタイム職員への一時金の支給やフルタイム職員への諸手当の支給が盛り込まれています。
 しかし、いずれも支給できるとの規定であり、自治体に処遇改善のための新たな財源がなければ、改正法の目的が臨時、非常勤職員の処遇改善ではなく、任用の厳格化による人員削減だけになってしまいます。
 また、これまでの臨時、非常勤職員の配置は、現場の実情に沿うよう各部局の判断を重視し、その財源については事業費や事務費から措置してきました。
 しかし、法施行後の財源のあり方次第では各部局の判断が軽視され、知事が常々言っている現場主義からは遠ざかることにもなりかねません。
 麻生財務大臣は、制度導入に要する財源の交付は考えていないと発言したと聞いています。しかし、そもそもこの法改正は、安倍総理が働き方改革の中で、自治体の実情を理解しないまま「非正規という言葉をなくす。」と言い切ったことに端を発しており、その財源について措置しないのは余りにも無責任と言わざるを得ません。
 そこで、臨時、非常勤職員の会計年度任用職員への移行に伴う必要経費は国が措置するよう求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。
 次に、深刻化する一方の介護人材不足を改善するための県の施策について質問します。
 さて、一部上場企業の2018年度決算が過去最高益を達成するのではと報じられていますが、診療報酬や介護報酬によって収益が左右され、それによって職員への賃金を確保しなければならない医療機関や介護事業者は、景気状況がよくなるほど他産業に人材が流れ、労働力の確保が困難になると言われています。
 現在避難地域の介護人材確保に向けては、何種類かの支援メニューが準備されていますが、深刻な介護人材不足は全県に共通する問題であり、こうした支援策を全県に拡大するなど、相当思い切った施策に踏み込まなければ、さらに深刻な人材不足に陥る情勢にあることを認識しなければなりません。
 こうした厳しい情勢のもとで介護人材を確保していくためには、若者が安心して介護の道に進むことができるよう、就職前の学びと就職支援に加え、離職防止につながる就職後のスキルアップなど、切れ目のない支援をしていくことが必要です。
 そこで、県は県内で介護職として働く若者をどのように支援しているのかお尋ねします。
 次に、介護事業における労働環境の改善に向けた取り組みについて質問します。
 高齢化社会の進行とともに成長してきた医療福祉産業ですが、福祉切り捨て政策により介護事業所の倒産が今、加速度的に増加しています。東京商工リサーチの調査でも、昨年1-12月期のわずかの間に全国で111件もの事業所が倒産に追い込まれており、介護保険法が施行された2000年以降では最多となっています。倒産の背景にあるのは、介護報酬の引き下げによる介護職場の劣悪な労働条件と、それに見合わない低賃金のもとで深刻化する介護人材の不足です。
 介護は、本来は社会保障の枠組みであったものを国民負担を基本とする介護保険制度に移行した経緯からすれば、国庫負担の拡充による介護報酬の大幅な引き上げを行わない限り、この状況を根本的に解決することはできません。
 さらに、介護職場における労働強化の原因として、基本報酬の細分化による介護記録の煩雑化や報酬加算のための介護計画の作成に多くの労力を奪われていることが挙げられています。
 記録と伝達は介護のかなめと言われる中で、倒産の多くは事務作業の電子化に資金を投入することが難しい小規模事業所であり、地域包括ケアシステムの基本でもある住みなれた地域の中でサービスを受けることが困難な現状に向かおうとしています。
 そこで、介護事業所における書類の電子化を支援すべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。
 次に、県が嘱託雇用している女性相談員の待遇改善について質問します。
 女性相談員は、以前は売春防止法に関する業務が中心でしたが、現在は配偶者の暴力からの保護や母子家庭の生活相談など、社会情勢の変化の中でその役割は重要性を増しています。
 県は、現在女性のための相談支援センターなどに相談員を配置していますが、守秘義務などから、特別公務員としての扱いにもかかわらず、嘱託職員のため賃金は手取りにすると月10万から12万円程度で、配偶者の収入がなければ生活が成り立たないのが実情です。女性の自立を支援するはずの相談員が生活の自立が困難な待遇のままではどうしようもありません。
 また、相談者との信頼関係などからも雇用の継続性と安定性が求められる職務であり、嘱託雇用の女性相談員の待遇改善が必要です。
 昨年10月に福島市で開催された全国協議会でも、活動強化事業として厚生労働省からは、相談員の手当について月額最大191,800円まで引き上げるとの基準が示されています。
 そこで、女性相談員の待遇改善が必要と思いますが、県の考えをお尋ねします。
 次に、市町村が取り組む成年後見制度への助言と支援について質問します。
 高齢化社会に伴う認知症患者の増加などに伴い、成年後見制度はその役割を急激に拡大しており、以前のように家庭裁判所の対応だけでは制度が機能しない状況となっています。
 認知症患者は、生活困窮や手続の困難さなどにより必要な医療や介護が受けられないケースも多く、市町村とNPOなどが運営する地域成年後見センター、さらには地域包括支援センターの連携による支援が極めて重要です。
 老人福祉法では、こうした制度運用の中心に位置するのが市町村ですが、成年後見制度に関する国からの財政措置が不十分なことや法施行の責任体制と予算確保の根拠が明確でないことから、県内でも市町村の対応はまちまちです。
 また、地域成年後見センターの位置づけが善意に頼り過ぎているため、市民後見人への報酬額の基準が不明瞭で、後見人等の担い手不足の原因にもなりかねません。
 高齢化社会の進行に加え、若者の流出による高齢者のみ世帯の増加などにより、成年後見制度の体制整備は重要な県政の課題となっています。
 一昨年5月に施行された成年後見制度の利用の促進に関する法律では、市町村が利用促進のための基本計画を策定するとともに、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりの役割を担うこととされました。
 また、この利用促進法では、こうした市町村の取り組みへの支援を都道府県に求めています。
 そこで、県は成年後見制度の利用促進に取り組む市町村をどのように支援していくのかお尋ねします。
 次に、農作物への鳥獣被害対策について質問します。
 農作物の鳥獣被害は、依然として深刻な状況が続いており、その捕獲と殺処分による対策強化の必要性は県議会でも何度となく取り上げられてきました。一方では動物愛護の精神から、放置された犬や猫などの保護を求める県民の声も大きく、県は動物愛護センターの設置などにより殺処分ゼロを目指すとしています。
 この矛盾する二つの取り組みに少しでも合理性を持たせるためには、野生鳥獣の生態を調査し、すみ分けや追い払いによる個体数の抑制によって、できる限り殺処分を少なくすることが求められます。
 そのためには、有害鳥獣の捕獲だけでなく、緩衝帯の整備や侵入防止柵の設置などを実施している市町村等に、野生鳥獣の生態を把握し、対策に取り組むことのできる専門職員を配置することが重要です。
 また、こうした専門職員は、高度な知識や技術を必要とすることから、安定した収入と雇用のもとで、長期的な視点で育成することも重要と考えます。
 そこで、県は農作物の有害鳥獣被害対策を担う専門職員の育成にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
 次に、栽培作物の転換による農業経営の安定に向けた県の取り組みについて質問します。
 政府は、TPP交渉の農業分野における譲歩を繰り返し、その下地づくりとして、2018年度からの米の生産調整の廃止など農業の集積化と大規模化へ誘導しようとしています。
 一方、地方においては個人農家が集落機能を維持しながら、地域の助け合いで成り立ってきた高齢者の生活破壊、消防団組織などによる自主防災力の低下、児童減少による公立学校の廃止などを必死に食いとめようとしているのが現状です。
 また、主食用米は毎年御飯茶わん12億杯分に相当する8万トンずつ消費が減少しています。これは、国民一人当たりにすると、月に一膳だけ御飯を多く食べてくれれば歯どめがかかる計算にはなりますが、人口減少と食生活の変化によって米の消費低迷はとまりそうにもありません。
 そうした中、政府は業務用米や飼料用米などへの転作を促していますが、農業の将来に希望の持てる政策とはなり得ていません。
 今後、ТPPが本格スタートすれば、農業分野も同じ条件での国際競争を義務づけられることを考えると、安定的な収入を確保できる園芸品目などへの転換を進めなければ、農業と地域の崩壊は避けられない情勢となっています。
 そこで、県は地域に適した園芸品目への転換にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
 最後に、教育現場における人権教育の充実について質問します。
 相模原の障がい者施設での悲惨な事件では、加害者は被害者の人権には全く思いを寄せておらず、発達段階に応じた人権教育はどうだったのかと考えてしまいます。
 また、電通などの過労自殺では、被害者が労働者の基本的人権を擁護するために各種の労働法制があることを学んでいれば、追い込まれる前に行政機関や労働組合が設置している相談窓口に訴えることができたのではと悔やまれます。
 人権教育において身につけるべき知識は、自分と他者の人権を尊重し、人権問題を解決する上で具体的に役立つ知識でなければならないというのが基本です。そのことが理解され実践されていれば、いじめやパワハラ、体罰なども含め、こうした問題は大きく改善の方向に向かうはずです。
 しかし、教育現場からは、学力調査や受験科目に合わせた教育内容に偏り過ぎると、子供たちが将来人間らしく生きていくための教育に時間を割く余裕がなくなるのではとの声も聞かれています。
 2020年度には小学校、2021年度には中学校において、新学習指導要領が全面実施され、学校教育が大きく変わる節目を迎えることから、特に人権教育を重視していく必要があります。
 そこで、県教育委員会は公立小中学校における人権教育にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
 以上で質問を終わります。


副議長(柳沼純子君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)紺野議員の御質問にお答えいたします。


 復興に必要な財源の確保についてであります。
 複合災害から7年が経過する中、避難指示が解除された区域が拡大し、帰還困難区域における復興拠点の計画が大きく動き出すなど、復興は着実に進んでいる一方、避難地域の再生や被災者の生活再建を初め廃炉・汚染水対策、中間貯蔵施設整備の確実な実施や風評・風化対策など本県特有の問題が山積しており、中長期的な対応が不可欠であります。
 このような中、国、県、市町村を初めさまざまな主体が復興・創生期間後も切れ目なく安心感を持って復興に専念することができるよう、財源を含めた道筋を共有することが重要であり、先日の福島復興再生協議会においても国、市町村と一体となって、復興・創生期間後のビジョン、構想を描いていきたいと強く訴えたところであります。
 引き続き復興・創生期間の残り3年間において、直面する一つ一つの課題に挑戦し、復興を着実に前へ進めながら、国が福島の復興に最後まで責任を果たすよう求めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。


総務部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。


 臨時、非常勤職員の会計年度任用職員への移行につきましては、会計年度任用職員制度が適正な任用や勤務条件の確保を図る趣旨で創設されたことを踏まえ、平成32年4月からの導入に向けて実態把握などを進めており、円滑に移行できるよう検討してまいる考えであります。
 次に、会計年度任用職員への移行に伴う必要経費につきましては、給与等勤務条件の検討を進めるとともに、国の財源措置状況を踏まえ、他県や全国知事会等と連携しながら必要な要請等を行う考えであります。


保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。


 県内で介護職として働く若者への支援につきましては、介護福祉士等養成施設入学者への返還免除規定つきの修学資金の貸与、施設等就職時の就労支援金や住宅手当の支給、就職後における介護福祉士等の資格取得に対する補助など、切れ目のない支援を行っております。
 引き続きこれらの支援を行うとともに、福祉の職場合同就職説明会などさまざまな機会を捉え、各種支援制度の周知にも努めてまいります。
 次に、介護事業所における書類の電子化につきましては、国において帳票等の文書量の半減や情報通信技術を活用した事務負担軽減の取り組みを進めることとしていることから、国の動向を注視しつつ、介護事業所に対し、ホームページなどを通じ、適時適切に情報を提供してまいります。
 次に、成年後見制度の利用促進に取り組む市町村への支援につきましては、これまで市民後見人の養成等を支援するとともに、身寄りがない方などのために市町村長が申立人となるためのマニュアルを今年度中に作成することとしております。
 新年度は、新たに家庭裁判所や関係機関と連携し、計画策定研修会や地域連携ネットワーク支援会議を開催するなど、市町村の取り組みが円滑に進むよう積極的に支援してまいります。


農林水産部長(佐竹 浩君)お答えいたします。


 農作物の有害鳥獣被害対策を担う専門職員の育成につきましては、集落ぐるみの総合的対策を推進する上で重要であります。
 そのため、市町村リーダーの配置拡充、有害鳥獣の生態や地形など地域の実情に応じた専門性の高い研修などにより、専門職員の資質向上を図ってまいります。
 次に、園芸品目への転換につきましては、市場ニーズの高い品目の選定、収量や品質を安定化させる生産技術が必要であります。
 そのため、新年度から園芸品目の地域適応性、出荷期間の長期化に向けた栽培体系、収穫機械等の導入による労力軽減など地元農業者と連携した現地実証を行い、収益性の高い園芸品目への転換を積極的に支援してまいります。


こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。


 女性相談員につきましては、DV被害等の困難を抱える相談者の状況に応じて支援を行うため、一定の専門的知識等が求められることに加え、夜間、休日にも相談に応じることから、業務内容や勤務形態を考慮した待遇としており、今後も適切に対応してまいります。


教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 公立小中学校における人権教育につきましては、道徳科の授業はもとより、家庭、地域と連携しながら進める教育活動全体を通して、命や個人の人格を尊重する意識の醸成を図ることが大切であると考えております。
 このため、モデル地域を指定して、児童生徒が乳幼児との触れ合いや高齢者、障がい者との交流活動を行うことにより他者への理解を深め、自己を見詰め直すことを促すとともに、その成果を授業公開等を通して普及するなど人権教育に積極的に取り組んでまいります。


副議長(柳沼純子君)これをもって、紺野長人君の質問を終わります。

ご意見お聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

※1 いただいたご意見は、より分かりやすく役に立つホームページとするために参考にさせていただきますので、ご協力をお願いします。
※2 ブラウザでCookie(クッキー)が使用できる設定になっていない、または、ブラウザがCookie(クッキー)に対応していない場合はご利用頂けません。