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2018年2月定例会 討論 神山悦子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年7月3日更新
神山悦子議員 
議員神山悦子
所属会派(質問日現在)日本共産党
定例会平成30年2月
質問等討論
質問日3月20日(火曜日)

49番(神山悦子君)日本共産党の神山悦子です。共産党県議団を代表して議案に対する討論を行います。


 今国会では学校法人森友学園への国有地売却をめぐる問題で、決裁文書を改ざんしていたことが判明しました。公文書改ざんは、国民主権と議会制民主主義を壊す歴史的犯罪行為です。佐川氏、昭恵氏両人を国会に招致し、真相の徹底究明を求めるものです。
 最初に、知事提出議案について、以下の議案に反対の立場から意見を述べます。
 議案第1号2018年度福島県一般会計予算についてです。
 去る3月11日で東日本大震災、原発事故から丸7年が経過し、8年目に入りますが、県の発表だけでも約5万人が今なお避難生活を送っています。事故原発の廃炉・汚染水対策もまだまだ見通しが立っていません。
 県は原発事故後、原子力に依存しない社会づくり、日本一子育てしやすい県、全国に誇れる健康長寿の県の3つの政策を掲げました。ことしは、秋に県知事選挙がありますが、内堀県政がこれらをどう進めてきたのか、新年度予算にはどう反映させたのかが問われます。
 まず、原発事故への対応です。知事は、原発事故を起こした国と東京電力にはっきり物を言っておりません。
 安倍政権は、原発を次々と再稼動させ、さらにイギリスやトルコへの原発輸出を狙っています。関西電力は、昨年の高浜原発3、4号機に続いて、大飯原発3号機を再稼動させ、5月には大飯原発四号機も再稼動させる方針です。九州電力も今月中に玄海原発3号機を、5月には同4号機を再稼動させようとしています。
 しかし、知事は全国の原発が次々と再稼動されても、これまで一言も発言していないどころか、東京電力の川村会長が福島第二原発の再稼動を示唆する発言を行い、経団連の榊原会長が「原発は必要」、「感情と経済は分けて考えなければならない」などと県民を愚弄する発言に対しても抗議すらしない。共産党県議団の質問に対しても一言も触れようとしていない。これで原発全基廃炉を求めるオール福島の県民を代表する知事と言えるでしょうか。県民の75%が全国の原発再稼働に反対しています。知事が本気で第二原発廃炉を言うのであれば、国や東京電力と正面から対峙すべきです。
 群馬地裁に続いて、福島地裁も原発事故を起こした国、東京電力の法的加害責任を断罪する判決を明確に下し、中間指針を超える賠償も認められました。ところが、県はこの判決を県政に生かそうとしていないのです。
 2018年度一般会計当初予算は、1兆4,472億1,200万円が計上されました。そのうち復興・創生分は6,178億2,500万円で、対前年度比2,572億円、15.8%の減となりました。これは、市町村の住宅除染や県復興公営住宅の整備がほぼ完了したためとしています。
 避難者については、県の発表では約5万人としていますが、その実態さえつかまれていません。今月京都地裁と東京地裁で、自主避難者の合理性を認める判決が下りました。この判決を受けて、県は避難者の生活実態を把握すべきです。既に震災関連死は、直接死の1,605人を上回る2,225人となり、震災自殺者は7年間で99人に上っています。いずれも被災3県で最も多いのが本県の現状です。
 昨年3月末と4月1日に、帰還困難区域を除いてほとんどが解除され、同時に自主避難者への住宅無償提供も打ち切られました。医療費や介護保険料など各種減免制度を今後も継続すること、復興公営住宅の家賃超過者への軽減措置を早期に示すことも必要です。
 県は、子育て支援として新年度から子育て世代包括支援センターを設置し、妊娠後期の妊婦訪問に係る経費への補助を計上しましたが、わずか2,200万円程度です。しかも、ひきこもりやひとり親の子供の生活、学習支援を行っている民間団体に1カ所にわずか約500万円、6カ所で約3,000万円の補助金を、県のモデル事業は終わったとして今月末で打ち切る方針です。子供の貧困対策がこれだけ指摘されているのに、その対策費もわずかでした。日本一子育てしやすい県を目指しているとはとても言えません。
 また、医師、看護師確保、介護士や保育士、放課後児童支援員の人件費助成への対策も不十分です。特別養護老人ホームの待機者が1万人台のまま10年間も推移していますが、新年度から3カ年で整備するのはわずか831床です。健康をテーマに掲げながら、病気を予防する県民の健診費用への助成もありません。これで全国に誇れる健康長寿の県を目指していると言えるでしょうか。
 その一方で、知事は安倍政権と一体で復興加速化の名のもと、財界がもうかる先端産業や研究開発施設を次々と整備しました。特に浜通り地域の福島イノベーション・コースト構想を国家プロジェクトと位置づけ、ロボットなどの先端産業を推進する県の構想が県民の前に姿をあらわしつつあります。イノベ関連事業には、2017年度と2018年度にそれぞれ約700億円ずつ計上しています。ロボットテストフィールドの整備費は約156億円、これを2年間で整備します。
 福島新エネ構想で水素関連事業や阿武隈山系の尾根に約500基ものメガ風力発電が計画されています。そのうち、遠野地区には3つの風力発電が集中して建設される計画が判明し、地元住民からは県に9割以上の反対署名が提出されています。一方、送電網設備費として約85億円を計上しましたが、県民の住宅用太陽光等の補助はわずか9億円です。桁が違います。
 さらに、広野町といわき市勿来の2カ所にIGCC石炭火力発電所を計画しています。石炭の荷揚げ量がふえるからとして、小名浜東港地区整備に新たに384億円増額する方針です。
 新年度は、議案第10号の港湾整備事業特別会計予算分を含め69億円を計上しています。IGCC石炭火力発電は15%程度のCO2削減であり、石炭を燃やせばCO2は排出されます。地球温暖化対策は、人類の死活的な課題となっており、安倍政権は化石賞を何度も受けているほど世界の流れに逆行しています。本県は石炭火発から徹底し、再生可能エネルギーを推進すべきです。
 ただし、周辺への環境や人体への影響などを考慮すべきです。既に稼働中の田村市と川内村、いわき市にまたがる滝根小白井風力発電所の周辺では風下、風上に関係なく低周波による睡眠障害などの被害に住民が苦しんでいます。環境や健康に配慮する県独自のルールを盛り込んだ県の条例制定を急ぐべきです。
 そもそも避難住民置き去りの復興計画では、何のための、誰のための復興でしょうか。しかも先行して整備された医療機器開発支援センターの運営費の見込みの甘さが露呈しました。約113億円かけて整備され、オープンから1年も経過しないうちに赤字が出る見込みとなり、新年度から3年間にわたり毎年2億円以上を県の一般財源から繰り入れ、総額7億円を赤字補塡に充てるとしています。
 これ以外にも県立医大の国際医療科学センターの整備費約413億円、環境創造センター整備費は約127億円です。運営費が今後見込めなくなれば、県の一般会計から再び繰り入れるというのでしょうか。大変なお荷物となりかねません。
 議案第15号福島県地域開発事業会計は、これも企業局の工業団地整備に係る赤字分を県の一般会計から繰り入れようとするものです。
 県営工業団地の造成費用を大幅に下回る原価割れ販売を行った結果、累積欠損金が多額に上り、新年度から毎年13億3,000万円、総額92億円を繰り入れるとしていますが、県の見通しの甘さのツケを県民に回すべきではありません。県の地域開発事業は廃止する方針ですが、この際、呼び込み方式による企業誘致のあり方も見直すべきです。
 議案第23号「福島県消防法関係手数料条例の一部を改正する条例」、議案第32号「福島県建築士法関係手数料条例の一部を改正する条例」、議案第34号「福島県道路交通法関係手数料条例の一部を改正する条例」、これらはいずれも県民個人に手数料の引き上げを求めようとするものです。
 今回の手数料の改定の特徴は、事業者への手数料を引き下げる一方で、県民の負担をふやすものです。
 また、議案第40号「福島県立博物館条例の一部を改正する条例」は、入館料として年間パスポートの上限を新たに設定し、高校生と小中学生にも負担を求めようとするものです。高校生以下は無料とすべきです。
 議案第41号「福島県職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」は、県職員の退職金を平均78万円、3.3%引き下げるものです。
 この7年間は、特に大震災、原発事故で奮闘してきた県職員です。特別職以外は、退職金を引き下げるべきではありません。
 議案第63号「福島県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例」は、いわゆる民泊です。
 旅館業法のような規制を受けない民泊は、京都などの観光地で急増し、周辺住民とトラブルが発生していることや、最近では犯罪事件まで発生しています。政府が観光立国を掲げて外国人を呼び込むため民泊を推進していますが、地域住民が迷惑や不安を感じ、住みづらくなるような訪日客誘客と受け入れ施設の整備は、住んでよし、訪れてよしの観光政策の理念にも反するものです。県の条例の制限に関する規定は非常に緩いものです。
 議案第65号「福島県教育関係職員定数条例等の一部を改正する条例」は、教職員の定数を児童生徒数の減少に合わせて削減しようとするものです。
 原発事故から7年たつ本県は、まだまだ復興の途上にあります。まして県独自の新たな学力テストや小学校の英語教育を始めようとしています。さらに、教職員の時間外労働は他県より多い現状です。人づくりと言うのであれば、子供一人一人にゆとりを持って当たる正教員こそふやす必要があります。教員多忙化解消のためにも県独自に正教員を増員すべきです。
 次に、議員提出議案について意見を述べます。
 新規意見書のうち、以下の議案に賛成の立場から意見を述べます。
 議案第181号「憲法第九条の改正に反対する意見書」及び関連する請願151号についてです。
 安倍政権は、北朝鮮の脅威をあおりながら、今開かれている通常国会に憲法9条に自衛隊の存在を明記する憲法改正法案を提出する構えです。しかし、朝鮮半島では南北の話し合いが進み、米国との会談など外交交渉での方向に情勢は大きく進展しています。東日本大震災など災害救助で奮闘した自衛隊は、安保法制、戦争法によって集団的自衛権の行使が可能となった自衛隊となっています。自民党は、憲法9条2項を残すか残さないかの論議をしているようですが、いずれにしても新たに第3項に書き加えた途端に、後からつくった法律は前の法律に優先するという法の原則で規定され、平和国家の根本を否定し、戦争への道を切り開くことになります。憲法9条を改定すれば、真っ先に犠牲になるのは自衛隊員です。戦争で若者の命を奪うことは許されません。当然憲法9条を改正しないように求める意見書は可決すべきです。
 議案第182号「消費税率10%への引上げ中止を求める意見書」及び請願152号についてです。
 安倍政権は、2019年10月に消費税率10%への引き上げを実施するとしていますが、国民一人当たり年間約400万円、4人家族で16万円の負担増となります。
 しかし、本県は大震災、原発事故を受け、県民や県内のあらゆる産業が震災前の水準に経済状況が戻っていません。県医師会も昨年12月に、持続可能な社会保障制度の確立のため、適切な財源の確保と医療費等に係る消費税問題を抜本的に解決することとの決議を上げています。社会保障の財源は、大企業、富裕層への課税強化で十分賄えます。消費税は最悪の不公平税制であり、景気悪化にもつながります。議案第182号及び請願152号は当然可決し、採択すべきです。
 議案第187号「長時間労働を規制する法律の早期制定を求める意見書」及び議案第189号「「働き方改革を推進するための関係法の整備に関する法律案」に反対する意見書」及び請願157号は、関連しているため一括して意見を述べます。
 裁量労働制の拡大について、安倍首相のデータ捏造が発覚し、一括法から切り離されたものの、新たに導入する高度プロフェッショナル制度、残業代ゼロ制度は、専門職について年次有給休暇以外の労働時間規制を全て適用除外とするもので、さらに深刻な中身です。よって、さらなる過労死を生む労働法案提出を断念することを求める意見書、議案第187号、議案第189号及び請願157号は採択、可決すべきです。
 議案第188号「中小企業・小規模事業者の支援及び最低賃金の大幅な引上げを求める意見書」及び請願156号についてです。
 これは、議案第185号と趣旨は全く同じです。本県の最低賃金は748円で、フルタイムで働いても月収は13万円にすぎません。最高の東京都の時給958円とは年44万円もの格差があり、若者の県外流出の要因となっています。
 全国一律最低賃金制度の確立と最低時給1,000円を目指し、中小企業・小規模事業者の負担を軽減するため、社会保険料の減免等に取り組むこともあわせて求める意見書です。議案第188号及び請願156号は当然可決し、採択すべきです。
 新規請願159号「県内市町村の教育にかかる保護者負担の実態を調査し、県独自の教育予算の増額を求めることについて」です。
 子供の貧困や労働者の収入がふえていない中で、子育て世代の教育費の保護者負担軽減は切実です。本来公費で賄うべき学校で使う教材までが保護者負担になっています。実態を調査し、教育予算の増額を求めます。請願159号は採択すべきです。
 最後に、議案第190号「欧州連合(EU)との経済連携協定(日EU・EPA)及び環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)の発効に向け、農林水産業振興のための万全の対策を求める意見書」については反対の立場から意見を述べます。
 国際競争力の強化が必要として、農業に画一的な大規模化やコスト低下を押しつけ、中小の家族経営は非効率と切り捨て、種子法の廃止も強行しました。国内農業を外国産を含めて全面的な自由競争に投げ出し、競争力ない農業は潰されても構わないという無責任な農政にほかなりません。本県農業にも大きな影響を与えます。よって、議案第190号は否決。また、議案第192号もTPP11などへの協定参加を前提にしていることから否決すべきです。
 議案第195号「所有者不明土地の利用促進を求める意見書」については反対の立場から意見を述べます。
 所有者不明の土地に関しては、各所で論議が行われていますが、所有者不明土地を公共事業に利用するに当たっては住民合意を基本とすべきです。それがないまま進めれば、所有権を取り上げることにつながりかねず、拙速にならずに慎重な審議を求めるものです。よって、議案第195号は否決すべきです。
 以上で討論といたします。

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