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2018年9月定例会 討論 阿部裕美子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年12月28日更新

阿部裕美子議員

議員

阿部裕美子議員

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成30年9月
質問等討論
質問日10月3日(水曜日)

38番(阿部裕美子君)日本共産党の阿部裕美子です。日本共産党県議団を代表し、討論を行います。


 初めに、以下の知事提出議案について、反対の立場から意見を述べます。
 議案第2号「平成30年度福島県港湾整備事業特別会計補正予算(第1号)」についてです。
 IGCC型石炭火発の増設による石炭輸入量の増加に伴い、民間事業者が新たに設置する高機能の荷役機械の維持運営が困難となった際に県費で負担するため、130億円の債務負担行為の補正を行うものです。
 IGCC型火力発電は、一般の火力発電所より効率がよいといっても、CO2の抑制効果はわずか15%にすぎません。異常気象によるかつてない災害が国内はもとより地球規模で発生しているもとで、地球温暖化対策は待ったなしの課題であり、これに逆行するものです。よって、反対です。
 次に、議案第8号「福島県立会津学鳳中学校の入学検定料に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
 中学校は義務教育です。教育を受ける権利、教育を受けさせる義務について、憲法第26条2項は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。」と明確に述べています。義務教育の中学校に入学を志願する者に入学検定料を課すべきではありません。
 次に、議案第18号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」です。
 県が行う公共事業等に要する経費の一部を市町村に負担させようとするものですが、市町村は大震災と原発事故からの復興の途上にあり、懸命に取り組む市町村を財政面からも支援すべきであり、負担を求めるべきではありません。
 次に、議案第34号「訴えの提起について」です。
 県営住宅家賃滞納者に対し、県営住宅の明け渡しと滞納家賃の支払いを求めるために裁判所へ提訴しようとするものです。居住実態があることから、福祉的な支援も含めて、県として丁寧な対応が求められます。この訴えの提起については賛成できません。
 次に、議員提出議案について意見を述べます。
 議案第220号「トリチウム水の海洋放出について、県民の意見を最大限に尊重しながら慎重に決定することを求める意見書」についてです。
 福島第一原発から発生する汚染水について、東電はトリチウム以外の核種は除去できると説明してきましたが、トリチウム以外の放射性物質が残留しており、放出基準を超えるものがタンクの8割にも上ること、この中でストロンチウム90は基準値の2万倍に達するものもあることを明らかにしました。
 1日に開催された国の小委員会でもこれまでの説明と違うとの意見が出されたと報道されたように、専門家でさえ正確には把握できなかったほど東電側の説明は不的確だったということです。汚染水に対する認識そのものの前提が完全に崩れたことになります。
 東電は、汚染水問題を除去が技術的に難しいとされるトリチウム問題に矮小化し、海洋放出を認めさせようとしてきたと思われます。富岡町、郡山市、東京で開催された公聴会までにその事実を公表しなかったことは、隠蔽と言わざるを得ず、県民、国民を愚弄するものです。汚染水問題は振り出しに戻し、県民が納得できる方法を検討すべきであり、安易な海洋放出は到底認められません。よって、第220号には賛成です。
 議案第224号「憲法第9条の改正に反対する意見書」についてです。
 この間、6月の歴史的な米朝首脳会談を経て、北東アジアにおいて平和への流れが大きく開始される劇的な変化が起こっています。9月30日に投開票された沖縄の県知事選挙でも米軍の辺野古新基地建設に反対する民意が明確に示されました。
 安倍首相は、憲法第九条に自衛隊を明記する改憲案を臨時国会に提出する方針を示していますが、昨日発足した第4次安倍内閣でも改憲を推進する布陣となっています。自衛隊の明記は、自衛隊の海外での武力行使を可能とし、日本が戦争する国に踏み出すことになり、憲法に掲げる平和主義の理念を根幹から覆すものです。よって、議員提出議案第224号及び同趣旨の第223号はいずれも可決すべきであり、関連する請願170号は採択すべきです。
 次に、議案第225号「所得税法第56条の廃止を求める意見書」についてです。
 所得税法第56条は、事業主と生計を一にする配偶者とその家族が事業に従事していても、対価の支払いは必要経費に算入しないと定め、控除額は配偶者86万円、配偶者以外の家族50万円までしか認めていません。これによって、各種ローンが組めないなどさまざまな不利益をこうむり、事業者の後継者不足にも一層拍車をかけています。
 これは、戦前の家父長制度のもとで配偶者や家族の人格、労働を認めていなかったことの名残です。国連女性差別撤廃委員会でも2016年3月、日本政府に対して家族経営における女性の労働を認めるよう所得税法の見直しを勧告しました。県内でも28市町村で意見書が採択されています。よって、議案第225号は可決、関連する請願171号は採択すべきです。
 次に、議案第229号「水道施設の戦略的な老朽化対策等を求める意見書」についてです。
 この意見書では、水道施設の戦略的な基盤強化や施設管理に取り組む上で官民連携の推進が述べられており、営利企業の参入を促す民営化推進の立場が前提です。民営化の問題は一般質問でも指摘したとおり、清浄、豊富、低廉な水を全ての国民に供給するという水道法の理念に反するものです。よって、議案第229号には反対です。
 次に、議員提出議案第234号「キャッシュレス社会の実現を求める意見書」についてです。
 端末機を持たない人が不利益をこうむること、データ利活用の推進で情報漏えいの危険があること、さらに博報堂生活総合研究所が行った調査によれば、賛成が49%、反対51%と賛否が真っ二つに分かれており、社会的合意は得られていません。よって、議案第234号は反対です。
 次に、議員提出議案第236号「主要農作物種子法の復活を求める意見書」についてです。
 ことし3月末で廃止された種子法は、国や都道府県の種子に対する公的役割を明確にし、主要農作物の原種及び原原種の生産や優良品種を決定するための試験などを義務づけ、また農民の生産販売活動にも大きな役割を果たしてきました。この種子法が廃止された後も継続のために全ての都道府県で条例や要綱を策定していますが、本来国が財源保障を含め責任を持って行うべきものであり、法の復活は当然です。よって、議案第236号、同趣旨の第235号は可決、関連する請願183号は採択すべきです。
 最後に、継続議案第213号「計画的な教職員定数改善の推進及び義務教育費国庫負担制度の拡充を求める意見書」についてです。
 義務教育費国庫負担制度は、小泉政権下の三位一体改革の中で国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられました。これが地方財政を圧迫し、自治体間の教育格差を生じさせています。
 教育は、各自治体の取り組みによって格差が生じないよう、国が機会均等を保障することが憲法で定められています。そのため、1953年度にこの制度が制定されたのであります。
 ところが、日本はGDPに占める教育機関への公的支出割合が2.9%と、OECD加盟34カ国中、2年連続最下位となっています。義務教育費国庫負担を2分の1に戻すことは当然です。よって、継続議案第213号は可決、関連する継続請願168号は採択すべきです。
 以上、意見を申し上げ、討論を終わります。


議長(吉田栄光君)以上をもって、討論を終結いたします。

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