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2018年12月定例会 討論 宮川えみ子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年2月26日更新

宮川えみ子議員 

議員

宮川えみ子

所属会派(質問日現在)

日本共産党

定例会平成30年12月
質問等討論
質問日12月19日(水曜日)

26番(宮川えみ子君)宮川えみ子です。日本共産党県議団を代表して、知事提出継続審査議案第39号「決算の認定について」不認定の立場で討論いたします。


 2017年度は、7度の補正予算を組み、歳入1兆6,237億3,047万円、歳出1兆5,568億8,288万円で、いずれも前年度を下回りましたが、過去7番目の規模となりました。
 国は安倍政権のもとで、米の直接支払交付金については2018年度産米から廃止となり、社会保障における自然増の抑制、共謀罪強行、原発の再稼働や輸出を推進するという、国民の願いと逆方向であり、国政との対峙なしでは県民の暮らしや経済の復興再生も安全・安心も守られないことが一層はっきりした年でした。
 原発事故に関しては、政府は国と東電に加害責任を問わない、避難者には賠償に頼るなと、一方的に自立を求める方針を打ち出したもとで、復興・創生期間2年目、知事はこの方針をそのままに避難自治体の本格的な帰還を進めるとして、避難者の住宅無償提供の打ち切りを決めました。その結果、ハード面の整備とは対照的に、県民の暮らしや避難者をめぐる状況は一層複雑化しました。
 共産党県議員団は、暮らし、なりわい、住まいの再建等、県民や避難者に寄り添った支援、経済、復興再生を求めてきましたが、次のような問題点を指摘しなければなりません。
 まず第1は原発問題です。
 その1つは原発事故対応です。2017年度は、大震災、原発事故から6年が経過し、7年目を迎えた年でした。前年の11月に3・11を思わせるマグニチュード7.4の地震が発生し、福島第二原発の燃料プールの冷却装置が一時停止するなど、いわき市では多くの方が避難する事態となり、改めて原子力災害の危険性を県民は認識しました。
 第二原発の廃炉については、昨年6月に東電の役員が交代し、ことしの1月5日に東電の川村会長が「第二原発はこの先20年のオーダーで使える」と発言、続いて当時の経団連の榊原会長も「原発は必要。感情と経済は分けて考えるべき」と発言したことに対し、知事に発言の撤回と抗議をするよう求めましたが、一切言及しませんでした。その後、危機感を感じた多くの県民の運動の中で、ことし6月の東電の廃炉の方向で検討するとの発言になりました。
 福島第一原発は汚染水がふえ続け、溶け落ちた燃料デブリのロボット調査も高線量に阻まれております。第二原発の廃炉はこの年も決まらず、避難者の帰還への不安は続きました。事故を引き起こした原発の原因究明を国、東電が行うよう求めること、県みずからも行うこと、一刻も早く廃炉にするため県民集会を開くこと、経産省の国と東電に加害責任を求めないで事故費用の大部分を国民負担に求める東電改革には意見を言うべきと求めましたが、県は具体的行動をしませんでした。国に対して全国の原発再稼働中止も求めませんでした。
 その2つは、県民一人一人の暮らしとなりわいの再建についてです。
 この年の避難者数は5万人を超えていました。政府は2017年3月末に飯舘、川俣、浪江、富岡の避難を解除しましたが、病院、商店、コミュニティーが全く不十分なために、帰りたくても帰れず、生活費増加分を含む精神的賠償も終了となり、厳しい生活を余儀なくされていることは明らかです。
 また、自主避難者への住宅無償提供の継続を求める声が当事者はもとより全国の自治体から102件に上る意見書が相次いで可決される中、県は自主避難者の住宅無償提供を2016年末に打ち切り、2017年度から県の家賃補助に移行しましたが、支援対象は限定的です。内堀知事は「一人一人に寄り添った支援を」と言いますが、原発事故で最も弱い立場に立った避難者の住宅無償提供打ち切りを相次いで行ったのです。
 また、2017年は、3月の前橋地裁の判決を含めて、いわき、福島等7つの裁判の判決が下された年でした。国を相手取っていない裁判以外、千葉の一つを除き全てで東電と国の加害責任を認めました。県民が戦ってかち取った大きな成果であり、このことを力にして東電と国に迫り、県民支援を広げるべきと求めても、知事は係争中を理由にコメントしない、県民の側に立たない姿勢でした。
 さらに、営業損害賠償で2015年に2倍相当を支払うとされた2年間の終了する年となりましたが、2017年8月以降、今日まで商工業者の追加賠償は事実上1件も支払われておりません。原子力損害賠償が打ち切られれば営業を続けられないと、商工会連合会の調査でも深刻な声が寄せられていますが、窓口での受け付けすらしないという東電の対応のひどさが明らかになっております。
 賠償がこのまま事実上打ち切られれば、事業者のなりわい再建はもちろん、福島県の経済にも重大な影響を及ぼすことになると、原子力損害対策協議会全体会議を開き、事業者の生の声を直接示し国と東電に強く迫ること、県のリーダーシップを発揮することを求めましたが、全体会議は開かれず、賠償に対する姿勢は極めて不十分でした。
 第2は復興のあり方です。
 その1は、イノベーション・コースト構想についてです。
 この年の5月19日に福島復興再生特別措置法を改正し、イノベーション・コースト構想は国家プロジェクトと位置づけられました。県は、原発事故で甚大な被害を受けた県民の帰還が進まない中、帰還した住民と新産業の研究員や労働者から成る新住民で復興を図るとして、イノベ関連予算はこの年だけで約700億円の税金が投入されました。しかし、帰還できない住民置き去りの大企業呼び込み型中心で、研究拠点施設の運営破綻も明らかになりました。
 ふくしま医療機器開発支援センターが1年もたたずに赤字となることが判明し、そのうち研究部門の運営費として2018年から2020年まで一般会計から毎年2億数千万円ずつ補塡することになりました。他の研究施設についても同様のことが懸念されます。
 一方、工業団地についても、過大投資と原価割れ販売で、7年間で約93億円を一般会計から繰り入れることを決めた年でもあります。
 その2は、再生可能エネルギー問題についてです。
 県は、再生可能エネルギー先駆けの地を目指すとしますが、福島県の経済に貢献できる循環型が後景に追いやられ、地元住民参加型にもなっておらず、数値目標の追求ばかりが目立つ方向でした。集中立地に対して何の環境規制も行わないために、いわき市遠野地区では市民生活が脅かされるとして大型風力発電の集中立地の見直しを求める運動が起き、地域住民の圧倒的多数の署名が県に提出されています。環境との共生は喫緊の課題ですが、県にはその視点がありません。
 さらに、国際社会が求めている地球温暖化対策としてのCO2削減に背を向け、県はIGCC型石炭火発を推進し、石炭輸入量増加に対応するために、小名浜港東港地区整備に新たに384億円を増額する方針を決めました。東港地区人工島にかける税金は、これまでの953億円と合わせると1,337億円になります。
 その3は、日本一子育てしやすい、全国に誇れる健康長寿の県を掲げていますが、具体的施策に乏しいことです。
 子供の7人に1人が貧困とされる中で、その対策が喫緊の課題となっています。学校給食費の無料化や子ども食堂の支援など、具体的、積極的対応はなされませんでした。
 奨学資金返還金滞納件数がふえ続け、過年度分が毎年100件近くになり、実人数でも4年間で50人、2割以上ふえています。若い人の活躍が求められているときに、お金がないと学業も続けられない実態に対応すべきです。勉強したいという意欲のある若者には条件をつけず、県として返済不要の給付型奨学金制度を拡充すべきです。
 また、不登校やいじめが増加し、緊急な対応が求められますが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの不足のため十分な対応ができていない状況で、教育現場からは常勤の専任配置が必要と強く要望されています。2017年の県内いじめ件数は前年比で2倍にふえ、4,883件と過去最多になっています。教育費の抜本的増額が必要です。
 医療、介護の問題は全県的に深刻化していますが、特に浜通りは一層深刻です。介護士が不足し集まらないことから、施設の受け入れ定数まで余裕があっても入所希望者に対応できない、あるいは施設そのものも休止してしまう、そういうことが起きています。
 避難解除で帰還してきた方への対応が必要な双葉郡や避難者を受け入れているいわき市など、原発事故による要因が大きいわけですから、財政支援を国に求め、県もみずから支援をして給与を増額し、抜本的改善のために手だてを尽くすべきです。
 その4は、県職員の働き方の問題です。
 この年、人事評価制度を職員の給与に連動させることを決めました。人事評価を給与に反映することは、格差、分断を持ち込み、上司の顔色をうかがうなど職員同士のコミュニケーションを阻害し、ひいては県民サービスの低下につながりかねません。
 知事部局の県職員の長期病欠者が2011年度比で見ますと109人から160人と1.5倍にもふえています。災害が多い日本列島の中で、今後福島への派遣支援が難しくなることを考えても、職員をふやすべきです。
 第3は、安倍暴走政治から県民の暮らしと安全を守る立場がないことです。
 安倍首相は、2017年5月の憲法記念日に9条改憲を表明しました。県民の命と暮らしを脅かす重大問題ですが、知事は安保法制、戦争法、派遣していた南スーダンの自衛隊問題などを含め、国の専管事項などとしてみずからの意見は言いませんでした。
 全国の原発再稼働に対しても、直接県民に影響を及ぼす県境から39キロしかない東海第二原発や53キロの柏崎刈羽原発の再稼働に対しても原発被災県として国や事業者に中止を求めることなしでは、県民の安全・安心は守れません。
 以上の理由から、議案第39号「決算の認定について」は不認定です。


議長(吉田栄光君)以上をもって、討論を終結いたします。

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