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2018年12月定例会 討論 吉田英策議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年2月26日更新

吉田栄策 議員

議員吉田英策
所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成30年12月
質問等討論
質問日12月19日(水曜日)

13番(吉田英策君)日本共産党の吉田英策です。日本共産党県議団を代表して討論を行います。

 まず、知事提出議案第40号、議案第70号、議案第72号について反対の立場で意見を述べます。
 議案第40号「公の施設の指定管理者の指定について」です。
 郡山市にある福島県郡山自然の家を新潟市の学校法人国際総合学園に初めて指定管理者を指定するものですが、そもそも教育施設には指定管理者制度はなじみません。
 指定管理者制度はコストの削減と言われますが、指定管理者の利益の確保が優先され自治体のコスト削減にはつながらず、現場の労働者の人件費が下げられ非正規雇用に置きかえられるという事態も起きています。県外事業者の場合、収益は県外に流れ、地域の経済効果にもマイナスになります。
 次に、議案第70号「県議会の議員の議員報酬等に関する条例の一部を改正する条例」、議案第72号「特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
 今議会には、人事委員会の勧告により一般職員の給与改定、議員及び知事等特別職の期末手当の年間0.05カ月分引き上げが提案されています。議員、特別職の報酬は一般の県民よりも高い水準にあり、県職員の給与とは分けて考えるべきです。
 また、福島県は震災、原発事故から7年9カ月、復興の途上です。そのさなかの議員、特別職の手当の引き上げは行うべきではありません。
 次に、議員提出議案及び請願について意見を述べます。
 まず、議案第241号「憲法第9条の改正に反対するとともに憲法審査会での審議を行わないよう求める意見書」についてです。
 憲法九条改定について、さきの国会で憲法審査会への自民党改憲案の提出を断念させたことは、国会での野党共闘の大きな成果です。ただし、安倍首相は改憲への姿勢を崩しておりません。
 また、昨日閣議決定した新防衛大綱「中期防衛力整備計画」では、護衛艦いずもの空母化やステルス戦闘機F3535Bの購入などを決定し、前中期防から2兆8,000億円増額し、5年間で過去最大となる27兆4,700億円を計上し、大軍拡を加速させることは国民の願いとは相入れません。
 憲法9条改定による自衛隊の明記は、自衛隊の海外での武力行使を全面的に可能にすることであり、到底認めることはできません。よって、本意見書及び同趣旨の議案第240号は可決、関連する請願194号は採択すべきです。
 次に、議案第243号「消費税率10%への引上げ中止を求める意見書」についてです。
 政府は、2019年10月に消費税率を現行の8%から10%へ引き上げるとしています。しかし、内閣府が発表したことし7月から9月期の国内総生産改定値は先月発表された速報値よりさらに悪化しました。前回消費税が増税された2014年4月から6月期以来の大幅な落ち込みです。個人消費や設備投資の減少が大きく、消費不況の深刻さがあらわれており、消費税増税が消費をさらに後退させ、景気を冷え込ませることは目に見えています。
 政府は、増税のための景気対策として、キャッシュレス決済でのポイント還元、マイナンバーカード利用者へのポイント加算、プレミアム商品券を打ち出すなど、5兆円の消費税引き上げのための2兆円規模の景気対策は本末転倒です。消費税を引き上げないことこそが最大の景気対策です。逆進性の高い消費税の増税ではなく、大企業への特別の優遇税制を正し、富裕層に対する証券課税を強化すれば、2%増税分の5兆円を生み出すことはできます。社会保障を削減するのではなく、若者、子育て支援にこそ予算を増額すべきです。よって、本意見書は可決、同趣旨の請願195号は採択すべきです。
 また、議案第242号は消費税に関連する意見書ですが、10%への引き上げを前提にしていることから反対です。
 次に、議案第245号「国際リニアコライダーの誘致実現を求める決議」についてです。
 国際リニアコライダーは、光とほぼ同じ速さに加速させた電子などを衝突させて、宇宙が誕生した直後の状態を再現する巨大な実験施設です。日本やヨーロッパなどの科学者が参加する国際プロジェクトで建設する計画で、東北地方の北上山地が候補地になっています。
 建設費だけでも7千億円を超す巨大な実験施設の日本への誘致について、科学者を代表する日本学術会議の委員会は昨日、科学的な成果が巨額の経費負担に見合うとは認識できないとして、誘致を支持するには至らないとする見解案をまとめました。こうした意見を踏まえるならば、拙速な結論を出すべきではありません。よって、本決議には賛成できません。
 次に、議案第250号「後期高齢者の医療費自己負担2割引上げに反対する意見書」についてです。
 政府は、2019年度予算編成について、後期高齢者の医療費自己負担を現行の1割から2割に引き上げる検討をしています。高齢者の7割が所得100万円未満であり、厳しい生活を送っています。年金は減らされ続け、後期高齢者医療制度の特別軽減措置も段階的に廃止になる中、医療費自己負担2割への引き上げは、受診を自己抑制し、重症化をもたらしかねず、命を縮めることになりかねません。よって、本意見書は可決、関連する請願200号は採択すべきです。
 次に、議案第251号「認知症施策の推進を求める意見書」についてです。
 本意見書は、高齢化が進む我が国において認知症施策の推進を求めるものですが、そのために疫学調査と疾患登録に基づくビッグデータの活用を促しています。政府は、ビッグデータ活用のため名前を明かさないことを条件に、医療機関が持つ患者データを患者の同意なしに集められる仕組みづくりを表明していますが、個人情報保護法にも反し、患者のプライバシーの侵害にもつながりかねません。よって、本意見書には賛成できません。
 次に、教育関連の議案及び請願について意見を述べます。
 議案第253号「義務教育諸学校教職員給与費の義務教育費国庫負担を2分の1に復元するとともに制度の充実を求める意見書」についてです。
 義務教育費国庫負担制度は、教職員配置の支えとして積極的な役割を果たしてきました。しかし、2006年度から国の負担割合を2分の1から3分の1に削減しました。その結果、本県の財政負担が増大し、教育予算を圧迫しています。教育は未来への先行投資であり、子供たちに最善の教育環境を整備することは国の責務です。よって、本意見書及び同趣旨の議案第252号は可決、関連する請願201号は採択すべきです。
 次に、議案第254号「高等学校等就学支援金制度の延長及び返済猶予・減免制度のある奨学金制度の整備・拡充を求める意見書」についてです。
 高等学校授業料無償化は、父母や教職員の長年の運動により2010年に民主党政権のもとで実施されました。その結果、経済的理由での高校中退者は大きく減りました。しかし、その後自民党政権のもとで所得制限を導入し、制度を後退させました。全ての高校生に国が学習権を保障することは当然のことです。よって、本意見書は可決、関連する請願202号は採択すべきです。
 次に、請願196号「私立高校の生徒の授業料等学校納付金に対する就学支援事業の拡充を求めることについて」です。
 私学では、親の経済状況のもと学費負担が重過ぎて学校をやめなければならない事例や学費滞納といった事態が起きています。教育費負担の公立、私立間格差をなくすために、私立高校生への就学支援事業の補助対象を授業料以外の納付金にまで拡大し、より多くの生徒、保護者がこの制度の対象として補助を受けられるようにすべきです。よって、本請願は採択すべきです。
 請願197号「私学に対する運営費補助の拡充を求めることについて」です。
 私立学校は、特色ある教育を展開し、教育の発展に大きな役割を果たしています。しかし、経営は少子化による生徒数の減少、原発事故での避難による生徒確保の困難さ、校舎の改修など厳しい状況に直面しています。私学の健全な発展のためにも私学助成を充実させ、私学振興法に基づき、運営費補助の拡充をすべきです。よって、本請願は採択すべきです。
 請願203号「教育予算の増額を求めることについて」です。
 福島県は、全国に先駆け、全ての特別支援学校への高等部設置や公立小中学校での少人数学級の実施を行ってきました。これは積極的意義があります。しかし、県単独事業のため、配置される教員の多くが臨時、任期付採用教員となっており、正規での教員増が求められます。また、学校での備品や教材など本来公費で賄うべきものが保護者負担というものも少なくありません。教育予算の大幅増額が求められます。よって、本請願は採択すべきです。
 請願204号「県独自の学力テストの中止を求めることについて」です。
 来年4月から実施される小学4年生から中学2年生までを対象にした県独自の学力テストは、子供と教職員を競争に駆り立て、より一層の負担を押しつけるものです。保護者からも「過去の問題が宿題に出される」、「テスト対策で真の学力が身につかない」との声が上がっています。教員の多忙化解消にも逆行します。
 そういう中で、長野県や奈良県は県独自の学力テストを廃止しました。福井県では、議会が中止の決議を上げています。子供と教員を点数獲得競争に追いやり、教育予算が切迫する中で約7,600万円の予算を投じる県学力テストは中止すべきです。よって、本請願は採択すべきです。
 次に、議案第255号、議案第256号、議案第257号について意見を述べます。
 今月10日に閉会した臨時国会では、外国人労働者の受け入れ拡大、沿岸漁業への企業参入推進、水道事業の民間開放の3つの悪法が強行されました。いずれも経団連が主導して作成した未来投資戦略と骨太の方針に明記されているものです。財界中心政治がいよいよきわまっています。
 さらに、未来投資戦略はソサエティー5.0を成長戦略の目玉とし、教育分野でも初等教育からプログラミング教育を取り入れるなど、個人の発達や人格の完成という教育本来の目的が企業が求める人材育成へと変質することになりかねません。
 まず、議案第255号「外国人労働者の人権保護及び労働環境整備を求める意見書」についてです。
 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置の一部を改正する法律案が政府与党により強行採決されました。外国人労働者の受け入れを拡大するものですが、外国人労働者の低賃金、長時間労働などはそのままで、受け入れの業種、規模及び人数は明記しておらず、法律の体をなしていません。
 現在でも劣悪な待遇や暴力を理由に失踪した外国人技能実習生の数は野党の調査で2017年末時点で7,089人に上っていることが明らかになりました。こうした実態を改善し、外国人労働者が安心して働ける環境を整備することこそが急務です。よって、本意見書は可決すべきです。
 次に、議案第256号「Society5.0時代に向けた学校教育環境の整備を求める意見書」についてです。
 ソサエティー5.0とは、AIやロボットなどの技術革新を産業や社会に導入することを柱とした成長戦略です。AIなどの技術は国民生活と密接にかかわっており、企業の都合で国民の生命、安全を守る規制を取り除くことや教育を人材育成の場に変質させることは許されません。よって、議案第256号には賛成できません。
 次に、議案第257号「中小零細漁業者の優先漁業権を守ること及び漁村を維持・発展させることを求める意見書」についてです。
 沿岸漁業と地域経済を支えてきた漁業法の改定が強行採決されました。地元漁業者に漁業権を優先し、沿岸漁業の環境や地域経済を支えてきた仕組みを70年ぶりに改定し、企業に漁業権を与えるものです。
 また、海区漁業調整委員を公選制から知事の任命制に変更します。これほどの重大な改定を漁業関係者への周知が不十分なまま行ったことに怒りが広がっています。地元漁業者の優先漁業権を守り、漁村の維持、発展に力を尽くすべきです。よって、本意見書は可決すべきです。
 政府の横暴な政治から県民の暮らし、利益を守る防波堤の役割が本議会に求められていることを訴え、討論を終わります。


議長(吉田栄光君)以上をもって、討論を終結いたします。

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