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2019年9月定例会 討論 阿部裕美子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年12月26日更新

阿部裕美子議員

議員

阿部裕美子議員

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会令和元年9月
質問等討論
質問日10月3日(木曜日)

38番(阿部裕美子君)日本共産党の阿部裕美子です。日本共産党県議団を代表して、議案第54号、2018年度普通会計決算について不認定の立場で意見を述べます。

日本共産党の阿部裕美子です。 一般会計歳出決算額は1兆3,217億7,600万円、前年比2,351億円のマイナスとなりましたが、県民一人当たりの予算規模は約70万円と全国でも高い水準にあり、これが県民の復興に有効に役立てられたのかどうかが問われます。
 2018年度は、大震災と原発事故から7年、復興・創生期間3年目の年に当たります。ふるさとに戻れない避難者数は年度当初で五万人を超え、震災関連死は2,278人を超え、依然として暮らしとなりわいの再建の道のりは険しい状況に置かれていました。
 県政は、復興に向けて懸命に努力する被災県民に寄り添い、県民生活再建を最優先に取り組むことが求められていましたが、以下の問題点を指摘し、意見を述べます。
 第一に、原発問題への対応です。
 2018年の年明けに榊原経団連会長が知事に挨拶に来た際に、福島第二原発の廃炉を求める県民の気持ちはわかるとしつつも、経済と感情は分けて考える必要があると、県内原発全基廃炉を求める県民を愚弄する発言を行いました。しかし、県は一切抗議を行いませんでした。
 全基廃炉を求める県民世論と運動に押され、東電がようやく第二の廃炉の方向での検討を表明したのは昨年6月、正式表明は本年7月末までかかりました。この間、国と電力資本は全国の原発を次々と再稼働させてきましたが、全国の原発再稼働は反対との圧倒的県民世論に対して、県は他県の原発再稼働には口を挟まないとの立場をとり続け、県民世論にも背を向けてきました。
 原発事故の当事者である東電は、地盤改良しなければ動かせない新潟県の柏崎刈羽原発再稼働の申請を行い、原子力規制委員会はこれを承認、今後1.6兆円の経費をかけて再稼働の準備を行う計画です。
 東電が行うべきは、福島第一原発事故の収束、廃炉作業を安全かつ確実に行うこと、被災県民への加害責任を果たすことであります。多重下請構造で原発労働者が置かれている低賃金や不安定雇用を抜本的に改善すること、賠償切り捨てを許さず、被害の実態に基づく完全賠償を行うことです。東電の再稼働に何も言わないことは、東電のこうした無責任を県が容認したことも同然と言わざるを得ません。
 新潟県が県独自の原発事故検証委員会を立ち上げて検証を行っているのとは余りにも対照的です。県は、原発ゼロを求める県民の願いを真摯に受けとめ、行動を起こすべきです。
 第二に、復興の名のもとに県民生活よりも復興関連の大型事業が優先されていることです。
 その典型がイノベーション・コースト構想です。2018年度のイノベ関連事業費は、予算額が700億円、決算額は639億円と報告されました。2017年度と合わせると、2カ年で1,400億円近くが関連事業費に充当されたことになります。イノベ関連なら何でも優先的に予算がつく構造がつくられていると思われます。
 イノベーション・コースト構想中間まとめは、一番苦労した地域が一番幸せになる権利があると述べ、浜通りに大型拠点施設をつくり、道路等の関連公共施設を整備することが浜通りの復興と位置づけ、各種事業を推進してきました。しかし、避難区域を初め浜通りの住民が幸せを実感できているでしょうか。
 南相馬市原町区の商工会議所が行ったアンケート調査で、イノベが復興に役立っていると思うと答えたのはわずか3%にとどまったように、避難者、避難区域自治体の復興には直接関係ないと受けとめられ、避難者、避難自治体置き去りの復興になってしまっています。
 復興の名目で整備されてきた各拠点施設は、維持管理は基本的に県の責任とされ、基金が底をつけば、莫大な維持管理費が県財政を圧迫することは避けられません。
 さらに、今地球温暖化が世界の大問題となっていますが、それに逆行するIGCC型の石炭火力発電所を2基建設し、その石炭の荷揚げ港として小名浜港東港整備に新たに384億円が増額されました。
 2018年度に整備されたロボットテストフィールドは、供用開始前から施設内の大規模水槽にひびが入り傾くなど、既に全国にも例のない大型施設の問題点が露呈しています。徹底した原因究明が必要です。国の事業を県内に呼び込み、県財政を苦しめるようなことはやめるべきです。
 一方、県民生活にかかわる指標はいずれも重大な立ちおくれを示しています。子育て支援では、保育所等の待機児童率が2018年度末では全国十位と高く、高齢者支援では1万人以上の特養ホームの待機者が一向に解消しません。2025年の介護職員充足率予測は全国最下位となっており、こうしたところに重点的に予算を配分すべきです。県民一人当たりの老人福祉費は全国35位の低いレベルにあります。大震災と原発事故に見舞われた本県だからこそ、福島県に住んでよかったと思えるように積極的な県民生活支援策を講ずるべきです。
 第三に、原発事故に見舞われた本県の子供たちに寄り添うのではなく、一層厳しい競争に駆り立てる県独自の学力調査実施計画と県立高校改革前期実施計画が策定されたことです。
 2018年度は、今後の方向性を検討し、学力調査は小学4年生から中学2年生まで拡大、本年4月に新たな県学力テストが実施されました。さらに、県立高校は三クラス以下を統廃合する高校改革前期実施計画が示されました。この方針に基づき、今年度地域懇談会が開かれていますが、どこでも大きな批判が起こっており、県の教育方針は県民要求から乖離しているということを示しているのではないでしょうか。
 同時に、教育もイノベーション・コースト構想に役立つ人材の育成が優先され、教育現場にゆがみが生まれています。今回の決算審査で調査したある高校では、イノベ関連でタブレット購入費など多額の予算がついていました。校長は、大学入試には大変役立つと述べていますが、入試には公平性が求められるのに、特定の高校だけ優遇するのは適切ではなく、教育の機会均等、公平性に反します。
 また、県立高校の維持管理費の中の小規模修繕費は全県総額でわずか1億1千万円であり、一校当たりでは平均136万円にすぎず、修繕工事もままならない学校があります。県教育行政が行うべきは、特定の高校を支援するのではなく、どこの高校で学ぶ生徒も平等に安全に教育を受けられる環境を整備することです。
 同時に、地域住民や自治体は小規模高校の統廃合が人口減少と地域の衰退を招くとの危機感を深めています。人口減少に歯どめをかけることは県政の最重点課題の一つになっており、高校統廃合はこの政策にも逆行するものであり、県政全体の政策的整合性が図られていないことを指摘しなければなりません。
 本県の不登校やいじめが過去最高に増加しています。子供たちの対応にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが配置されていても、他県から通勤してくる方や、一人で二校や三校を担当しなければならず、十分な対応ができない状況にあり、教育現場からは常勤の専任配置が要望されています。教師の多忙化の解消のための正規教員の増員と教育費の抜本的増額が必要です。
 第四に、人員抑制が職員の長時間労働と長期病気休暇者を生んでいるということです。知事部局、教育委員会、いずれも毎月平均で過労死ラインを超えて超過勤務している職員が少なからずいることから、どの部局でも職員増が求められています。
 県は、東電に職員定数を削減できなかった分の人件費の賠償を請求したとのことですが、本県は他県からの応援職員の助けをかりて日常業務を行う状況が継続しており、復興関連の事業は復興期間が終了しても継続するため、定数を減少できるような現状にはなく、国の定数管理は返上し、必要な職員確保に努力すべきです。
 以上の理由で議案第54号、2018年度決算は不認定といたします。
 以上で討論を終わります。

議長(吉田栄光君)以上をもって、討論を終結いたします。

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