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2020年6月定例会 討論 神山悦子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年9月17日更新

神山悦子議員の写真 

議員 神山悦子
所属会派(質問日現在) 日本共産党
定例会 令和2年6月
質問等 討論
質問日 7月8日(水曜日)

49番(神山悦子君)日本共産党の神山悦子です。共産党県議団を代表して議案に対する討論を行います。

   討論に入る前に、このたびの九州各地に甚大な被害をもたらした線状降水帯による豪雨災害で、現時点で熊本県の特別養護老人ホーム千寿園を含め、死亡者は57人に上り、さらに今朝6時30分と43分には岐阜県と長野県に特別警戒警報レベル五の避難勧告が発令される緊急事態になっています。亡くなられた方々と被災された全ての皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
   梅雨前線を伴う豪雨災害は今後も予断を許しません。恐れていた新型コロナ感染症の拡大のさなか、災害への対応に迫られています。我が県は、昨年の台風第十九号等豪雨災害を受け、いまだ復旧の途上にありますが、今回の九州地方の豪雨災害を見ても、異常気象の下では百年に一度の災害どころか、毎年、しかも頻繁に発生することが明らかになっています。過去の経験は全く通用しません。まず、この認識に立って、県庁全体が県民の命を守るため、新型コロナ対応の避難所や、河川など災害への準備に万全を尽くすこと。新型コロナへの対策では新しい生活様式を踏まえた新しい発想と柔軟な対応で県民の命と暮らしを守るため、第二波、第三波に備え、検査・医療体制の整備、子供たちや学校への対応、雇用と経済を守るため、私たち県議会も共に力を合わせることを冒頭呼びかけまして、以下討論に入ります。
   まず、知事提出議案第14号、第15号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担について」は反対の立場から意見を述べます。
   これは、毎年6月定例県議会に農林水産部と土木部に係る建設事業等に要する経費の一部を市町村に負担させようとするものです。県は、地方財政法など関係法令の規定に基づいて負担を求めるとしていますが、これはできる規定にすぎず、義務ではありません。既に県内の市町村は、この間原発事故被害と昨年の台風、豪雨災害、そして今回の新型コロナ感染症への対応など、住民への様々な対応をはじめ財政的にも一層負担が増しています。かつて本県は同じ県の建設事業でも、道路事業に対する市町村負担は廃止しています。
   この際、市町村応援の立場から、県の建設事業についても市町村への一部負担を求めることはやめるべきです。
   次に、議員提出議案並びに請願についてですが、以下賛成の立場から意見を述べます。
   新規議案第48号「消費税率5%以下への引下げを求める意見書について」です。
本県は、東日本大震災、原発事故から今年で十年目、そこに昨年10月に消費税率が10%へ引き上げられ、同時に台風第十九号等豪雨災害に見舞われました。これだけでも疲弊しているところに、今回の新型コロナウイルス感染症が追い打ちをかけ、県民の命と健康、暮らしとなりわいは深刻な危機に直面しています。
    福島市の創業146年の中合デパートは、主に消費税増税により売上げが大幅に減少したことから閉店すると発表されています。県内どこの商店街も今回の新型コロナの影響が加わり、次々と閉店する事態になっています。
    今月4日、東京商工リサーチは県内の倒産状況を発表しましたが、県内では今年1月から6月の上半期に負債額1千万円以上で倒産した企業が39件に上りました。これは、企業数で東日本大震災翌年以降の上半期で最多となり、また早期退職や希望退職の募集も41社、7千人超となり、リーマンショック後二番目の多さと発表されました。
    一方、ドイツは新型コロナの影響で落ち込んだ消費を回復させるため、消費税減税に踏み切っています。
日本でも4月の消費支出はマイナス11.1%と最大の落ち込みとなり、5月、6月はさらにひどくなっています。消費税率1%分は2.8兆円、5%減税分は14兆円あれば可能です。その財源は、過去最大規模の5兆円を超える軍事費と不要不急の大型開発事業を削ること、コロナ禍で減収、減益したと言いながら、大企業はこのコロナ禍でも488兆円を超える内部留保金をため込んでおりますから、大企業と富裕層にも応能負担の税の原則に立ち、応分の負担を求めれば財源はあるのです。
   これまでも政府は消費税は社会保障のためとしてきましたが、大企業や富裕層の減税の穴埋めに使われてきたのが実態です。しかも、所得の低い人ほど重い負担となる逆進性があります。しかし、財界と政府は新自由主義的政策の下、構造改革と称して労働法制を改悪し、今や非正規労働者は労働者の四割を占めるまでになっています。
   さらに、命を支える社会的基盤の医療費を徹底的にカットし、保健所はこの30年間で約半分にまで減らし、急性期のベッド削減を目指す国公立病院の統廃合を進めてきました。しかし、これらの脆弱さが新型コロナ感染症拡大であらわになり、しかも国内の貧困と格差の広がりで命と暮らしを脅かす危機的な深刻な事態を引き起こしています。
   この間、自民党内部でも消費税率をゼロにする議論が交わされてきた経緯もあるのですから、今こそ暮らし、地域経済、地方自治体に深刻な打撃を与えている消費税率を5%以下へ引き下げる意見書、新規議案第48号は可決し、新規請願37号は採択すべきです。
   次に、継続議案第27号「トリチウム水の処分方法について慎重な判断を求める意見書」についてです。
   この間、コロナ禍の下で政府主催の公聴会が四回開催され、知事や農林業、漁業者、経済団体、消費者団体などから意見が述べられてきたものの、動画でのやり取りであり、政府側との意見交換も十分なされていません。特に漁業関係者からは本県だけでなく、先月23日、全国漁連は国民がコロナ感染症拡大防止に努力している中で、漁業に壊滅的影響を及ぼす海洋放出に断固反対するとの特別決議を全会一致で採択しています。県内の世論調査でも約6割が汚染水の海洋放出に反対しており、6月9日には国連人権理事会の特別報告者からも新型コロナの感染拡大が一段落するまで控えるよう求められています。
   そして、県内の若者グループはスタンディング行動や専門家と国政の全野党の国会議員や県議が参加するオンライン集会を開催しましたが、今回の海洋放出には反対で一致しました。
   また、この間原発事故の被災地の苦悩と国民的議論を置き去りにしたまま、この夏にも処分決定を急ぐ政府に対し、県内の市町村議会では3月議会と6月議会で東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む汚染水、処理水の海洋放出に対し、反対や慎重な対応を求める意見書が可決されています。既に浜通り、中通り、会津地方まで全ての地域の20市町村議会、県議会を含めれば県内21議会に上っています。
   福島第一原発からの汚染水は、政府も県もトリチウムだけを問題にしていますが、タンクの約7割にトリチウム以外の基準値を超える放射性核種が含まれており、この問題については全く取り扱おうとしておりません。トリチウムについても、これまでも運転時は海洋に放出してきたなどと説明していますが、そもそも事故を起こした原発敷地内からの汚染水の処理の扱いをどうするのかが問われており、同列に扱うべきではありません。陸上でのタンク保管を継続し、当面海洋放出はやめるべきです。
   継続議案第27号は、前回2月県議会に全会一致で採択した内容とほぼ同じ意見書であり、当然可決すべきです。
   次に、継続議案第39号「選択的夫婦別姓制度の導入等の民法改正を求める意見書」についてです。
   現行の民法では、夫婦別姓での婚姻が認められていないことから、婚姻の際、9割以上が夫の姓を選択しています。しかし、これは女性に対する間接的な差別であり、夫婦同姓の義務づけは両性の平等と基本的人権を掲げた憲法に反するものです。しかも、望まぬ改姓や通称使用などによって、不利益や不都合を強いられているのが実情です。別姓を望む人に選択を認めよとの提訴も相次いでいます。
   あわせて、女性のみに適用されている再婚禁止期間を廃止することも喫緊の課題となっています。2015年12月、最高裁判所は現行の夫婦同姓規定は合憲とする判断を示した一方で、制度の在り方については国会で論じられ、判断されるべきと強調しているように、一日も早い国の対応が求められています。
   一方、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し、民法の差別的規定の廃止を繰り返し勧告しており、2016年3月にも最高裁の判断にかかわらず、現行民法は差別的な規定であるとし、改めて早急な是正を勧告しています。
   以上の理由から第39号及び同趣旨の継続議案第38号は可決、継続請願32号は採択すべきです。
   議員提出継続議案第40号「女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書」についてです。
   1979年、あらゆる形態の女性差別をなくすことを目的とした女性差別撤廃条約が制定され、日本は1985年に批准しました。その後、この条約の実効性を高めるために、国連で1999年に採択され、2000年12月に発効されたのが選択議定書です。これは、条約違反の差別で被害を受けた女性が国連の女子差別撤廃委員会に対して通報できる制度を定めたものです。現在締結国189か国中114か国が批准していますが、日本は選択議定書をまだ批准していません。
   議案第39号でも指摘したように、日本政府は繰り返し勧告を受けているのです。条約採択から40年、選択議定書採択から20年という今年、全国の地方議会では次々と選択議定書の批准を求める意見書が採択され、現在ネット署名も展開されています。
   今回の新型コロナウイルス感染症によって非正規雇用者がより不安定な労働環境に置かれていますが、非正規雇用の約7割は女性です。自宅で過ごす時間が増え、DV被害に遭う女性も増えています。特にシングルマザー、外国籍の女性、障がいを持つ女性などはさらに厳しい状況に置かれていることが明らかになりました。平常時のジェンダー不平等が今回の新型コロナ危機でより鮮明に現れています。
   世界的にも人権問題は国際社会で大きな課題として取り上げられており、ジェンダー平等を求める国際的潮流も大きく広がっています。日本がジェンダーギャップ指数121位という不名誉を返上し、性別にかかわらず平等に暮らせる社会を実現するため、国において女性差別撤廃条約選択議定書を速やかに批准するよう求める意見書、継続議案第40号は可決し、継続請願33号は採択すべきです。
   以上述べた理由から知事提出議案第14号、第15号には反対、議員提出議案第48号、継続議案第27号、第38号、第39号、第40号は可決すべき、新規請願37号、継続請願32号、33号は採択すべきことを表明し、以上で討論を終わります。

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