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01:ナタリー・ドノフュー さん(イギリス)

 正直に言うと、いわきスタディツアーは、会津スタディツアーよりさらに、面白く、有益な体験だった。時間に余裕があり、ゆっくりと各目的地での活動が楽しめた。ツアーの中で一番印象に残ったのはコットン収穫体験と人形作り、そして住む場所を失った地元の人が運営している仮設商店街だった。もっとも心が痛んだのは、海の近くで3・11の津波による凄まじい被害の跡を見た時だった。

 長い時間を掛け、3・11の震災の被害(特に津波による被害)を見た時の気持ちを説明しようとしていたが、どうしても言葉に出来ない。2012年の9月に初めて相馬の海岸を訪れた時も、それ以来、毎回相馬の海岸や南相馬に行く時も、どんなに科学や技術が発展しても、人間が止めるどころか抑えることすらできない自然現象の跡に直面し、言葉を失う。ビルの基礎しか残ってないかつて広い町だった風景を見る時に感じる心の痛みは言葉に表せない。

 しかし一方で、不安や混乱を感じる中、破壊された建物の瓦礫に囲まれていても、コミュニティで一体となり、無私無欲で失われたものを取り戻そうとする被災した方の意地が素晴らしい。津波で流された商店街の代わりに建てられた仮設商店街を訪れた時に、被災した方の強さや意地を見た。最初は信じられないような写真(津波が来る前、来ている途中、そして去った後)を見て、その後商店街のお店を歩き、お店を担当している住民と会話を楽しんだ。逆境を乗り越え、復興活動の取り組みに励む前向きで親切な住民には、畏敬の念を抱いている。

 海岸に立っている時、そして復興の様子を見ている時に湧いてくる気持ちを正確に伝えられないことにもどかしさを感じるが、機会があれば、ぜひ津波で被害を受けた地域に行ってほしい。自然の絶大な力を感じさせるだけではなく、復興の様子を見て、そして地元の人と会話を交わすことにより、一緒に自分の生活を取り戻し、故郷を復興しようとしている被災した方の力や強さも感じさせる。

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