ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 国際課 > 中通り19(白河市):先人の知恵で蘇る小峰城(ハマナカアイヅ)

中通り19(白河市):先人の知恵で蘇る小峰城(ハマナカアイヅ)

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年8月5日更新

 エジプトのピラミッドからイギリスのストーンヘンジまで、古代文明の知恵や技術を代表する建造物は世界中に点在しています。どうやって造られたのかに関しては異なるいくつかの理論がありますが、はっきり分からないところがまだ多く、時間の流れと共に貴重な知恵が失われたように思います。

 こういった情報の価値は現在福島県の白河市で、東日本大震災で被害を受けた小峰城の復興作業に見られます。伝統工法を忠実に使い、城の石垣の再建に取り組んでいます。

 小峰城の石垣の10箇所が地震で崩壊し、他にも所々にゆるみました。崩壊の原因は昭和時代に行われた現代工法での修復工事で、石垣の背面をコンクリートで固めたことだと考えられています。石垣の再建作業は今年の1月に始まり、伝統工法の利用によって、耐震性の向上が期待されています。
石垣の修復工事現場を案内してくれた白河市役所の方 白河城(小峰城)御櫓絵図

 石垣の復旧作業ですが、先ずは崩壊された石に番号を振り、作業員は写真や昔の設計図を参考にしながら、各石を正確な場所に積んでいきます。修理途中の石垣を見てみたら中にはより明るい石があったのですが、聞いてみたらこれは地震で壊れてあるいは失われた石を作る必要があったからとのことでした。案内してくれた方の話によると数年経ったらその違いは分からなくなるそうです。
工事現場は安全第一! 作業員たちは石垣を積み上げていく

 ヘルメットを被り、城郭に入り、本丸南面の石垣の上までに登りました。
大型クレーン車による作業 積み上げ作業はジグソーパズルのような精密作業だ

 そこで大型クレーン車がまるで巨大な立体のジグソーパズルのように、石を積んでいました。

伝統的工法を利用した石垣の再建を簡潔に言えば次の通りです。

・先ずは写真や図などの記録を基に石を元の位置に設置します。積み上げた石は、飼石を使って固定します。

・石垣の裏には、川原石を裏込め石として人の手で均等に敷き詰めます。

・裏込め石と地山の間に盛り土を施し、安定するようよく突き固めます。
石垣復旧の流れ① 石垣復旧の流れ②

 丸い石には地震の揺れを吸収する効果があるから、コンクリートなどの現代工法よりは伝統工法の忠実な利用により石垣の耐震性が高まると考えられています。昔から日本には地震がよく起こることが知られているし、本来こういう工法で石垣を造った人は地震に配慮していたと思えてなりません。 

 本丸の南面の石垣の再建は今年中に完成する予定で、本丸と三重櫓は来年十に一般公開されます。小峰城の全体的な修理は2016年内に完成する予定です。

 伝統を守りながら、文化遺産を復興させようと努力している福島の皆さんをとても尊敬しています。

  (投稿者:ウィリアム)

前の記事へ

次の記事へ

中通りの記事一覧へ