ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 国際課 > 中通り20(国見町):時空を超える蓮が咲く夏に(ハマナカアイヅ)

中通り20(国見町):時空を超える蓮が咲く夏に(ハマナカアイヅ)

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年8月6日更新

  福島県の北部に位置する国見町では、ちょっとした特別な蓮(ハス)が、見頃を迎えました。
国見町 国見町の中尊寺蓮

 その名は、「国見町に咲く(これは重要、原因は後述)中尊寺蓮」です。
蓮池の池の入り口 風になびく中尊寺蓮ののぼり

 優雅に咲きだす蓮の姿をご覧ください。

 撮影当時は35℃を超える猛暑日だったが、蓮の静なる美と、蒼い水面に浮かぶカエルたちに心を奪われ、どことなく吹く風に、一縷の涼を感じ夏の風情を愉しみました。

優雅に咲く蓮の花 蓮池とカエル

 しかし、見渡す限り、蓮池の周辺では寺院らしき建物が見当たりませんでした。

 そもそも、国見町には「中尊寺」というお寺は存在していません。

 ならば、なぜこんなにもご立派に咲く蓮は、「中尊寺」の名が付くのでしょうか?

 ここで、「中尊寺蓮」まつわる逸話を紹介したいと思います。

 800年ぶりに蘇る中尊寺ハス

 中尊寺は、世界遺産登録で有名な岩手県の平泉町にあります。

 昭和25年、中尊寺の金色堂で豪族・奥州藤原氏に関する学術調査を行う際、100粒あまりのハスの種子が発見されました。この中の5粒が研究資料として持ち帰られ、その後、なんと研究家の丹精により、平成10年7月に一輪の花を開花させました。

 奥州藤原氏が名を轟かせるのは、今から数えて実に800年も前の平安時代でした。

 800年の眠りから目を覚まし、平安の香りを伝えるこの蓮は、我々に思念を伝えるために蘇った「時空の語り部」かもしれませんね。
中尊寺ハスの由来 時空を超える語り部

鎮魂の思いを込めて

 国見町は、奥州藤原氏が築いた阿津賀志山防塁がある縁で岩手県平泉町と交流していています。平成21年に中尊寺蓮を譲り受けて鉢で育てました。

 東日本大震災が発生した平成23年、有志が町に避難していた大熊町民とともに犠牲者への鎮魂の思いを込めて池に植え始めました。

 今では45アールほどの池に約1万本の大輪の花が咲き競っており、遠方から来られた客も後を絶ちません。
鎮魂の思いを込めた蓮池 咲き競う蓮の花よ永遠に

 古代中国の儒学者・周敦頤が、作品の「愛蓮説」では蓮について以下のように描写しました――
 「出淤泥而不染,濯清涟而不妖」
 (蓮は泥から出て泥に染まらず、清らかに水面に波紋を描いて俗に流されない) 

 蓮の花は、泥の中から美しい花を咲かせます。

 苦しみや困難があっても乗り越えて、いつか清浄で美しい大輪の花を咲かせることを信じています。
 国見町に咲く中尊寺蓮の花は、まさしく苦境から立ち上がる新生ふくしまの象徴だと思います。

 がんばっぺふくしま!

(投稿者:徐)

前の記事へ

次の記事へ

中通りの記事一覧へ