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【ろうどうコラム】2014春闘を思う

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月15日更新

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H26.4.9  2014春闘を思う

労働委員会 労働者委員 鈴木 三男      
 今年の春季生活闘争(春闘)は、政府が経済界に対して賃上げを要請するという異例の展開のなかで幕を開けた。それまで“賃上げよりも雇用を優先、ベアは論外”としていた経団連は、春闘方針のなかでベースアップ(基礎となる賃金表を引き上げる=ベア)を容認する姿勢に転じた。
 連合の春闘方針は、10年以上にも及んだデフレ傾向から脱却し、所得向上を起点とした経済の好循環を実現する転換点とするために、5年ぶりに月例賃金の底上げとなるベアを要求した。具体的には、定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保し、過年度物価上昇分はもとより生産性向上などを、賃上げ(1%以上)として求める。定昇制度がなく賃金維持カーブ分が算定困難な組合は、賃金維持カーブ相当分の4,500円を含め9,500円(内5,000円は物価上昇分や格差是正分など)を目安に引き上げる。また、非正規労働者は物価が上昇し景気回復の局面にあることから、時給30円を目安に引き上げる。なお、正社員との均衡・均等処遇をめざす観点から、昇給ルールの導入・明確化の取り組みを強化し、昇給ルールが確立されている場合は、その昇給分を確保する。
 連合が設定した集中回答日は3月12日であったが、春闘相場に大きな影響を与える主要な大手企業からは12日を待たずにベアを回答する意思が示され、世間の注目するなか組合員の期待感が高まる労使交渉となった。3月31日(月)現在、連合が集計した構成組織の妥結状況は、平均賃金方式では1,962組合(昨年同期比431組合増)、金額は6,495円(昨年同期比1,211円プラス)、引上げ率は2.20%(昨年同期比0.40%プラス)となった。300人未満の中小組合では、妥結した組合は1,178組合(昨年同期比279組合増)、金額は4,810円、引上げ率は1.97%となった。非正規労働者の賃上げは、時給で12円(組合数129)、月給は3,191円(組合数87)であった。昨年同期と比較して妥結する組合の数も増え、大半の組合がベアを獲得し金額的に昨年を上回るなかで前半戦の交渉は終了した。
 4月からは賃金交渉の舞台は中央から地方に移り、これから中小組合の賃金交渉が本格的に始まる。景気の腰折れを防ぎ経済の好循環を作り出すためには、前半戦の交渉で獲得した成果を、中小や非正規で働く労働者の賃上げに着実に波及させなければならない。すでに消費税は4月から8%に上がっており、家計の支出は3%の増税分が負担となっている。
 増税という現実を前に労使双方が厳しい交渉を乗り越え、昨年を上回る回答を期待するものである。
連合は春季生活闘争にあわせて、「消費税価格転嫁拒否通報ホットライン」(略称 価格転嫁ホットライン)を設け、適正価格の実現に向けたキャンペーンを展開している。公正取引委員会と中小企業庁は、中小の納入業者や下請け業者が、大手企業などに納める商品の価格に増税分を上乗せ(転嫁)することを拒否されたとして、3月12日までに発注側の企業853社に対して指導したと発表している。このようなことを許せば、中小企業の経営は益々苦しくなり、労働者の賃金は上がるどころか低く抑えられたままとなってしまう。中小、零細企業で働く労働者の労働条件向上のためにも、消費税の円滑かつ適正な転嫁は確保されなければならない。

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