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【労働判例の紹介】平成24(ワ)20126号 賃金請求事件

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月15日更新

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平成24(ワ)20126号 賃金請求事件

(東京地裁 平成26年1月30日判決)

◯ 就業規則所定の解雇理由に基づき解雇した場合に、その時点で会社に人員削減計画が存在したことをもって、当該解雇を事実上の整理解雇であるとすることはできないとされた事案

◯  解雇の際に解雇予告期間を置かず、かつ解雇予告手当の支払いをしなかった場合には、解雇の効力は、30日の期間を経過するか又は予告手当の支払いをした時点で生ずるとされた事案

事件の概要

 平成20年(以下元号は省略する。)に、Xは、Y社の顧客の記帳・経理業務を専門に担当するコンサルタントとして、Y社に雇用された。

 Xは、「期限を守らない、会計処理を誤る、原資料を適切に管理しない、顧客からの問い合わせに適切に回答しない」等の不適切な業務処理を繰り返すなど勤務成績が悪く、Y社は、それが明らかになる都度、注意や指導を行ったが改善が見られなかった。なお、Xによる不適切な業務処理を補正するために、Y社は多大な労力を費やしており、また、重要な顧客を失っている。

 24年2月中旬に、Y社は業務の一部を系列企業に移管し人員が余剰となったことから、人員削減を計画し一部の職員に退職勧奨を行った。この際にXにも退職勧奨を行ったが、Xは応じなかった。 

 24年3月31日に、Y社は、「職務遂行能力を欠き、職員としての適格性が無い」こと等が就業規則の解雇規定に該当するとして、Xを解雇した。これに対し、Xは、この解雇は、実質は人員削減計画に基づいてなされた整理解雇であって解雇権の濫用であること、及び、30日前の解雇予告がなされておらず、解雇予告手当も支払われていないことを理由として解雇の無効を主張し、雇用契約上の地位確認及び未払い賃金と慰謝料の支払いを求めて提訴した。

判決要旨

 東京地裁は、Y社が24年3月31日に行ったXの解雇は有効であり、解雇の効力は解雇を告げた日から30日が経過した24年4月30日に生じるとして、24年4月30日までの給与について請求を認め、他の請求は棄却した。

(判決理由要旨)
 Xの解雇は実質的な整理解雇といえるかについては、就業規則所定の解雇理由があると認められる以上、他に解雇権の濫用を根拠づける事情が認められない限り、「事実上の整理解雇であって解雇権を濫用したものである」とすることはできない。 

 Xを解雇するにあたって解雇予告期間を置かず、解雇予告手当の支払いもしなかった場合の解雇の効力については、30日の期間を経過するか、又は予告手当の支払いをしたときに解雇の効力を生ずるものと解すべきである。

 ※本件は控訴された。

参考

 参考文献 『労働判例』(産労総合研究所)No.1097(2014.11.1)75~86頁

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