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個別Q&A10-(5)有期労働契約の雇止め

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月4日更新

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有期労働契約の雇い止め

質問

 私は、パートとして現在の会社に勤めており、これまで6か月間の労働契約を2回更新し、通算1年6か月働いています。
 しかし、契約期間満了の1週間前になって突然契約を更新しないことを告げられ、困惑しています。
 会社は、契約を更新してきた者に対して、前もって契約を更新しないことを告げなくてもよいのでしょうか。

答え

 通算勤務期間が1年を超えるので、会社は契約期間満了日の30日以上前までに契約を更新しないことを予告しなければなりません。

解説

1.契約更新の有無の明示

 有期労働契約については、契約更新の繰り返しにより一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然、契約期間満了時に使用者が契約の更新を拒否する、いわゆる「雇止め」をめぐるトラブルを防止するため、使用者は、契約締結時に更新の有無を明示しなければならないとされています。
 また、更新する場合があると明示したときは、契約を更新する(または更新しない)場合の判断基準も明示しなければなりません(労働基準法第15条、同法施行規則第5条第1項)。

2.雇止めの予告

 雇止めしようとする有期労働契約が以下のいずれかに該当する場合は、雇止めの日の30日以上前に労働者に雇止めを予告する必要があります。
(1)有期労働契約が3回以上更新されている場合
(2)1年以下の有期労働契約が更新または反復更新され、通算1年を超える場合
(3)1年を超える有期労働契約を締結している場合

3.雇止めの理由の明示

 雇止め予告後又は雇止め後に、労働者から雇止め理由の証明書を請求された場合は、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。

4.有期労働契約の雇止め

 有期労働契約の雇止めは無制限に行えるものではありません。

(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その契約期間満了時に更新しないことが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
(2)労働者が、有期労働契約の契約期間の満了時に労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由があると認められるもの

 (1)、(2)のいずれかに該当し、労働者が契約の更新又は締結を申し込んだ場合に、使用者がその申込みを拒否することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、従前の労働条件と同じ労働条件で労働者の申込みを承諾したものとみなされます(労働契約法第19条)。

(参考)

1.雇止めの有効性に関する裁判例の傾向

 雇止めについて争われた裁判例をみると、以下の6つの要素により契約関係の状況を総合的に勘案したうえで、雇止めの有効性が判断される傾向にあります。
(1)業務の客観的内容
 従事する仕事の種類・内容・勤務形態
(2)契約上の地位の性格
 地位の基幹性・臨時性、労働条件についての正社員との同一性の有無等
(3)当事者の主観的態様
 継続雇用を期待させる当事者の言動・認識の有無・程度等
(4)更新の手続き・実態
 契約更新の状況、契約更新時における手続きの厳格性の程度
(5)他の労働者の更新状況
 同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等
(6)その他の事情
 有期労働契約を締結した経緯、勤続年数年齢等の上限の設定等

2.有期労働契約の民法上の原則

 有期労働契約は、契約期間の満了をもって終了するのが民法上の原則です。
 ただし、契約期間満了後、契約更新がないまま引き続き労働に従事し、使用者からも異議がなかった場合には、黙示の更新があったものとされ、従前と同じ労働条件で雇用されたものと推定されます(民法第629条第1項)。

判例

○東芝柳町工場事件(最一小判昭和49.7.22 民集28巻5号)
○日立メディコ事件(最一小判昭和61.12.4 労判486号)

 

 

 

 
 

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