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個別Q&A2-(2)賃金の引き下げ

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年2月18日更新
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賃金の引き下げ

質問

 社長から「来月から賃金を15%カットする」と突然告げられました。減額の理由について何も説明がなく納得できません。会社は一方的に賃金を減額できるのでしょうか。
 なお、当社は従業員7名の会社のため、就業規則はありません。

答え

 会社は一方的に賃金を減額することはできません。

解説

 賃金などの労働条件を、労働者の同意を得ることなく、一方的に不利益に変更することはできません。
 賃金減額に対し、異議を述べずにいると、「黙示の合意」として承認したと受け止められる可能性もありますので、明確に意思を表明することをお勧めします。

●労働条件の変更と労使の合意
 会社側が労働条件を変更する場合は、労働者から同意を得る必要があります(労働契約法第8条)。設問のとおり就業規則がない場合は、労働者の同意のない一方的な労働条件の不利益変更は無効です。
 個別の労働者と使用者では、労働者の方が立場が弱く、力関係の不平等が存在しています。このため、労働契約の締結及び労働条件の変更に当たっては、労働者と使用者が対等の立場で合意するべきという「労使対等の原則」が定められています。(労働契約法第3条第1項)

●労働条件についての十分な説明
 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするとされており(労働契約法第4条第1項)、労働条件の変更に当たっては、使用者は変更後の労働条件についての十分な説明と情報提供を行う必要があります。
 同意を求められても即答はせず、まずは説明を求めましょう。

●書面による確認
 労働条件の変更の際に、書面を交付することまでは求められていませんが、トラブル防止のためにも、できる限り書面により確認を求めましょう。(労働契約法第4条第2項)

●労働者の同意の有無
 実際にトラブルになった場合には、労働条件の不利益変更に対する労働者の同意があったといえるか否かが問題となります。「黙示の合意」でも合意があったと認められる場合がありますが、多くの裁判例は、労働者が会社に対し弱い立場に置かれやすいことを考慮し、労働者が変更内容を十分に理解したうえで自由な意思に基づいて同意したといえるかという観点から、合意の認定を慎重かつ厳格に行っています。
 また、詐欺や重大な錯誤による場合も、同意の取消しができることもあります。

判例

○北海道国際航空事件(最一小判平成15.12.18 労判866号)

 

 

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