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(11)ビラ貼りの正当性

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年12月15日更新
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(平成24年11月2日現在)

ビラ貼りの正当性 ~労働者からの質問

質問

 労働組合員に対する意思伝達の手段として、会社のロッカーなどにビラ貼りをしようとしたら、会社側から「施設管理の問題があるから、許可を得てからでないとできない。」と言われました。組合活動としてのビラ貼りなのですが、どうしても会社の許諾が必要なのでしょうか。

答え

 使用者の許諾を得ないままにビラ貼りを行った場合、その行為は違法な組合活動とされてしまう可能性があります。そのため、ビラ貼りで会社の施設を利用する場合には、その管理権を有する使用者との間で合意が図られるようよく話し合う必要があるものと考えられます。

解説

1 組合活動と施設管理権
 ビラ貼りをめぐる組合活動と施設管理権との衝突・調整に対する考え方には、以下のようなものがあります。
(1)受忍義務説
 憲法第28条によって保障される組合活動の自由との関係で、使用者の施設管理権は一定の制約を受け、組合活動の必要性と業務運営や施設管理に対する支障の有無・程度とを考慮して、使用者は、正当と認められる組合活動について不当に抑圧しないよう、施設利用を受忍する義務があるとするものです。
(2)違法性阻却説
 組合活動権は施設利用権までを当然に含むものではないが、ビラ貼りの場所、態様、方法などからみて組合活動に必要があり、また業務運営や施設管理に実質的な支障を与えていない場合、無断で会社施設を利用することの違法性が阻却されるとするものです。          
(3)許諾説
 近年の判例は、この許諾説の立場をとっています。
 判例では、労働組合の会社施設の利用は、使用者との団体交渉等による合意に基づいて
 行われるべきものであるとして、受忍義務説を否定し、会社施設を無許可で利用する組合活動は、その利用の許可を与えないことが使用者の有する施設管理権の濫用と認められる特段の事情がある場合を除いて、その施設を管理する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであるため、正当な組合活動にあたらないとしています(判例1)。

2 正当でないビラ貼りの効果
 使用者は、正当でないビラ貼りに対して、その中止と撤去を求めるとともに、その行為者に対し就業規則に基づいて懲戒処分を行うことができることとされています。また、許諾を得ないで建物や窓ガラスなどにビラ貼りを行った場合、施設汚損の修復のための費用を求める損害賠償請求といった民事上の責任、さらには、器物損壊や建造物損壊罪などの刑事上の責任を問われることもあります(判例2)。

判例

○判例1  国鉄札幌運転区事件(最高裁第三小法廷判決昭和54.10.30民集33巻6号647頁)
○判例2  金沢タクシー事件(最高裁第一小法廷決定昭和43.1.18刑集22巻1号32頁)

 

 

 

 

 


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