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(4)書面性を欠いた労働協約の規範的効力について

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年2月24日更新
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(平成24年12月19日現在)

書面性を欠いた労働協約の規範的効力について
  ~使用者からの質問

質問

 今年度の4月に遡って行うベースアップと新賃金体系を議題として労働組合と団体交渉を行ったところ、ベースアップについては合意が得られたのですが、新賃金体系については合意を得ることができず、そのため、合意した内容を書面にするには至りませんでした。  
 このような経過があったところ、労働組合から、ベースアップ部分については合意したのだから労働協約としての効力はあるとして、4月に遡って組合員に賃金を支払うよう要求がありました。
 当社としては、合意した内容を書面にしていないので、労働協約としての効力はないと考えますが、どうなのでしょうか。

答え

 労働協約は、労働組合と使用者との間で合意のあった労働条件等を書面に作成し、かつ、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力が発生するものです。
 したがって、書面が作成されなかった場合、労働協約としての効力は生じませんので、賃金の支払い要求に応じる必要はないと考えられます。
 ただし、合意がどのような法的効果を持つのかについては諸説があり、民法上の契約としての効力を認める説では、使用者の不履行によって生じた損害につき、損害賠償請求が可能であるなどとしています。
 また、使用者が合理的な理由がないにもかかわらず同意内容を書面にすることを拒否している場合には、不当労働行為(団交拒否等)としての問題が発生することになりますので注意が必要です。

解説

1 労働協約の成立要件
 労働協約については、労働組合法(以下「労組法」という。)第14条で「労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる。」と規定しています。
 このように、労働協約の締結を、「要式行為」(法規の定めた一定の方式に従って行わなければ不成立又は、無効となる法律行為)としたのは、労働協約には、労組法第16条の規定により、労働協約が個々の労働契約を直接規律する効力、いわゆる「規範的効力」等が認められるためで、労働協約の締結には当事者に注意を払わせ、後でその内容についてトラブルが生じないよう、当事者間で確定した意思を明確にしておく必要があることから、書面の作成と両当事者の署名等をその成立要件としています。
(なお、書面の表題は「労働協約」と標記される必要はなく、「協定」や「覚書」等の名称であっても労働協約となり得ます(判例1)。
【参考】
労組法第16条
 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定めがない部分労働についても同様とする。

2 書面性を欠いた労働協約の規範的効力

 労働組合と使用者との間で合意した労働条件等が書面に作成されなかった場合について最高裁は、「労働協約は複雑な交渉過程を経て団体交渉が最終的に妥結した事項につき締結されるものであることから、口頭による合意又は必要な様式を備えない書面による合意のままでは後日合意の有無及びその内容につき紛争が生じやすいので、その履行をめぐる不必要な紛争を防止するために、団体交渉が最終的に妥結し労働協約として結実したものであることをその存在形式自体において明示する必要がある」とし、「書面に作成され、かつ両当事者がこれに署名し又は記名押印しない限り、仮に、労働組合と使用者との間に労働条件その他に関する合意が成立したとしても、これに労働協約としての規範的効力を付与することはできない」と判示しました(判例2)。
 なお、書面を作成しなかったことにより労働協約としての規範的効力がない場合でも、労働組合と使用者との間で合意のあった労働条件等がどのような法的効果を持つのかについては、一切の法律上の効力を認めない説や、民法上の契約としての効力を認める説などがあり、例えば、民法上の契約としての効力を認める説の場合、使用者による協約違反については損害賠償請求が可能で、使用者は実行義務を負うことから、労働組合は使用者に対し、履行請求、確認請求をなし得るとしています。
 また、使用者が、団体交渉で合意が成立した内容を労働協約として書面にし署名又は記名押印することを、合理的な理由がないにもかかわらず拒否している場合には、不当労働行為(団交拒否等)としての問題が発生することになります。
 使用者としては、団体交渉の経緯は十分尊重する必要があるでしょう。

判例

○判例1 青森放送事件(青森地裁判決平成5.3.16労判630号19頁)
○判例2 都南自動車教習所事件(最高裁第三小法廷判決平成13.3.13労判805号23頁)

 

 

 

 

 


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