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08:ゴルメザノ・アキ さん(アメリカ)

 相馬には行ったことがなかった。相馬を例えて言うと福島第一原発の上にあるいわきの双子的な存在だ。いわき人として兄弟を訪れてよかった。なぜかというと苺が大好きだから。いわきには新鮮なトマトが食べられるとまとランドというところがあると聞いているが、相馬には、同じようなところがあり、食べるのはトマトじゃなくて苺だ。どうやら相馬の方が優秀な遺伝子に恵まれた。ツアーの中でいちご園を訪れ、着いてすぐにお腹がいっぱいになるまで、思い存分苺をガッツリ食った。

 何列もの苺でいっぱいのハウスをぶらぶら歩いた。読者の中には飲み放題の経験のある人はいるかな?日本では決まった時間と値段でできるだけ酒が飲めるお店がたくさんある。

 費やした金の元を取ろうと、必死に飲み過ぎる人(私は違う(笑))は少なくない。

 言うまでもなく、私は苺を食べ過ぎた。20分間苺を食べつづけた。頭が狂ったと言っていいほどだ。まるで狂犬病にかかったように、赤色をちらっと見るだけで身震いが抑えられないような、苺に狂った獣に変身した。帰った時はお腹を抱えたままだった。苺でお腹を膨らんだ前に、いちご園の担当者からの説明があった。私たちは苺の期待で口から泡を吹きながらその説明を聞いた。

 担当者は2011の東日本大震災が起きた時に相馬から避難したたくさんの人の一人だった。混乱や高い放射能の中、 政府からの指示を待たず、すぐ仙台の方に避難した。そして仙台ではガスと水のない状況からまた避難し、東京の方に向かった。震災から1ヶ月半後、いちご園に戻ってきて、津波による大きな被害の光景に迎えられた。見せてくれた写真の中には凄まじい被害が写っていた。かつて苺でいっぱいだった農地が壊れた船や建物などの破片で瓦礫だらけになっていた。地盤の柔らかい農地には機材が持ち運べなくて、ボランティアの力を借り、素手で瓦礫の撤去に取り組んだ。後は相馬市、福島県、そして国からの支援でなんとかいちご園を再開することができた。和田いちご園のスタッフはボランティアへの感謝の気持ちを込めて、いちご園を震災前の状態への復帰に向けて毎日頑張っている。

 相馬に行く機会があれば、ぜひ苺の食べ放題を体験してみて!

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