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県議会定例会(令和3年12月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年12月7日更新

令和3年12月福島県議会定例会知事説明要旨(令和3年12月7日)

 12月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症対策について

 はじめに、「新型コロナウイルス感染症対策」について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、全国的に新規感染者数が非常に低い水準にあり、福島県においても、11月に入ってから新規感染者が確認されない日が多く見られるなど、落ち着いた状況が続いております。
 こうした中、政府においては先月、急激に感染が拡大した第5波を教訓に、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」を決定いたしました。その中では、医療提供体制の更なる充実やワクチン接種の促進など、感染拡大に備えた対策を強化するとともに、行動制限の緩和や経口薬の活用など、感染リスクを引き下げながら、社会経済活動を継続させる方針が示され、新型感染症対策は新たな局面を迎えました。
 福島県においても、こうした政府方針を受けて、更なる病床確保を始めとした医療提供体制の充実・強化など、安心して療養できる体制を整備するとともに、感染拡大防止のための基本対策を改定し、感染対策の徹底を前提に飲食やイベント、移動等の行動制限を緩和するなど、次の感染拡大への備えと日常生活の回復に向けた取組を両輪で進めることといたしました。今後とも、県民や事業者の皆さんを始め、関係の皆さんの御理解と御協力を頂きながら、感染の再拡大防止と県内社会経済の再生に県の総力を挙げて取り組んでまいります。一方で、現在、新たな変異株「オミクロン株」の世界的な感染拡大が懸念される中、国内においても感染者が確認されたところであります。引き続き、こうした状況を注視するとともに、陽性者が確認された場合は、早期探知に努めるなど、感染対策の更なる徹底を図ってまいります。

東日本大震災からの復旧・復興について

 次に、「避難地域の復興・再生」についてであります。
 先月30日に葛尾村において、今月3日には大熊町において、特定復興再生拠点区域で準備宿泊を開始したほか、その他の帰還困難区域を抱える町においても、準備宿泊に向けた動きが加速するなど、避難地域の復興は更に大きな一歩を踏み出しました。
 一方で、復興のステージが進むにつれて、課題も複雑・深刻化するとともに、新たに顕在化する課題も見られるなど、それぞれの地域の実情に応じたきめ細かな対応が求められております。
 こうした中、先月25日から26日にかけて、これまでの要望が確実に年末の政府予算案等に盛り込まれるよう、ALPS処理水の処分への対応、帰還困難区域の復興・再生、国際教育研究拠点の具体化など、特に重要な項目を中心に、国に対し緊急要望活動を実施してまいりました。福島の復興はいまだ途上であり、多岐にわたる課題が残されております。引き続き、本県の実情を粘り強く訴えながら、福島の復興を切れ目なく安心感を持って進めることができるよう、令和4年度予算の確保、制度の充実に全力で取り組んでまいります。
 国際教育研究拠点につきましては、先月末、運営を担う新法人について、法律に基づき設置するとの方針が決定されました。これにより、拠点の長期的・安定的な運営が確保され、福島イノベーション・コースト構想の更なる進展が期待されるところであります。引き続き、世界に冠たる拠点の実現に向け、目玉となる研究内容や地元が求める人材育成機能など、更なる具体化が図られるよう求めてまいります。
 10月に、岸田総理が就任から間もなく避難地域を訪問されました。当日は、浪江町の東日本大震災慰霊碑を訪問され、亡くなられた方々への弔意を示されたほか、福島第一原発、道の駅なみえ、双葉駅周辺の復興状況などを視察されました。また、今月4日にも、会津若松市を訪問され、本県のデジタル化への取組などを視察されました。特に両日とも開催された車座では、参加者お一人お一人の話を真剣に聞いて、そのお一人お一人に対し、丁寧に話をされておられました。福島の復興の現状や県民の思いを真摯に受け止めていただくとともに、事業者や若者の活躍を通して、福島ならではの地方創生を実感いただけたものと感じております。

 次に、「環境回復」について申し上げます。
 先月30日に、福島第一原発を視察し、防潮堤や放射性固体廃棄物の減容化施設の設置など、この一年間で廃炉が着実に前へと進んでいる状況を確認してまいりました。一方で、燃料デブリの取り出しはもとより、凍土遮水壁の一部での温度上昇への対応や、一時保管されている放射性固体廃棄物の管理など、多くの困難な課題を抱えていることを改めて実感したところであります。今後とも、福島第二原発も含め、国及び東京電力がこうした難しい課題の解決に一つ一つ責任を持って取り組み、福島復興の大前提となる廃炉作業が安全かつ着実に実施されるよう、しっかりと確認してまいります。
 ALPS処理水につきましては、国において、8月に処分に伴う当面の対策が取りまとめられ、先月開催された廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会においては、IAEAとの連携や国内外への説明など、関係省庁による取組状況が報告されたところであります。処理水の取扱いについては、漁業者を始めとする事業者や関係団体、自治体等から新たな風評を懸念する声など、現在も様々な意見が示されております。国及び東京電力においては、今後とも、この問題が福島県だけではなく、日本全体の問題であるとの認識の下、正確な情報発信と理解の促進に取り組むとともに、行動計画の策定に当たっては、関係の皆さんから寄せられた意見を十分に反映させ、農林水産業や観光業を始めとする県内の幅広い業種に対し、万全な対策を実施するよう、あらゆる機会を通して求めてまいります。

風評・風化対策について

 次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
 令和3年度の全国醤油品評会において、本県産の醤油から6銘柄が入賞いたしました。震災と原発事故以降、風評が続く厳しい状況の中でのこの快挙は、品質の高い、おいしい醤油を造り続けてこられた御努力が実を結んだものであり、正に造り手の皆さんの情熱と誇りを感じたところであります。福島県では、各地で培われている豊かな発酵食・発酵文化を活用し、県内高校生の新しい視点を取り入れながら、発酵ツーリズムによる誘客を進めております。引き続き、こうした福島ならではの魅力を組み合わせることにより、風評払拭と風化防止にしっかりと取り組んでまいります。
 先般、米国において、日本産食品の輸入規制が撤廃されるとともに、EUにおいても一部規制が緩和されました。これらの撤廃・緩和は、他の規制実施国や地域に与える影響も大きく、福島県の風評払拭を大きく後押しするものと考えております。引き続き、国や関係機関等と連携しながら、科学的根拠に基づく正確な情報を発信するとともに、この機を逃がさず、現地の飲食店、量販店における県産品のキャンペーン開催や新たな現地観光窓口の設置などを通じて、福島県の魅力の発信を強化し、県産品の販路拡大、誘客促進に力を尽くしてまいります。

産業政策について

 次に、「産業政策」について申し上げます。
 世界的な気候変動に対する対応、エネルギー分野の技術革新など、再生可能エネルギーを取り巻く環境は大きく変化しており、その役割も一層の高まりを見せております。こうした中、福島県では、今月下旬を目指し、次の10年を見据えた新たな「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン2021」を策定することとしております。今後は、再生可能エネルギーの導入拡大と関連産業の集積のほか、持続可能なエネルギー社会の構築と水素社会の実現を新たな柱に加え、引き続き、再生可能エネルギー先駆けの地の実現に向けしっかりと取り組んでまいります。
 医療関連産業につきましては、2019年の医療用機械器具の部品等の出荷額が公表され、福島県は過去最高を記録し、10年連続で全国一位となりました。県内企業の新規参入や技術開発が進んだ成果であり、引き続き、ふくしま医療機器開発支援センターを軸にした取組により、開発から事業化まで一体的な支援を行い、医療関連産業の育成・集積に力を尽くしてまいります。
 福島ロボットテストフィールドを会場に、国内外から数多くのチームが参加し開催された「ワールドロボットサミット2020福島大会」において、福島県から出場したチームが好成績を収め、福島の技術力やチーム力の高さを国内外に発信いたしました。引き続き、メードイン福島の革新的な技術や製品が生み出されるよう、県内企業や進出企業の取組を支援するとともに、実証拠点としての魅力を広く発信してまいります。
 原油価格高騰の影響により、全国において、ガソリン、灯油、LPG価格等が上昇しております。こうした状況を踏まえ、県として、国の対策と併せて、中小事業者・農林漁業者向けの相談窓口の設置や制度資金の活用に加え、必要な措置を講じてまいります。

農林水産業の再生について

 次に、農林水産業の再生について申し上げます。
 新規就農者数が7年連続で200人を超えたほか、地域資源や先端技術を活用した新たな農業の展開、さらには若者や女性の活躍など、本県農林水産業における再生の動きは力強さを増しております。
 こうした中、10月末から11月にかけて、県内外の量販店のお力添えにより、秋の県産農林水産物トップセールスを行い、旬を迎えた県産品の魅力をPRしてまいりました。特に今回は、今年本格デビューを果たした福島県のトップブランド米「福、笑い」を中心に、生産者の皆さんの熱い情熱と高い技術が育んだ福島が誇る自慢の食材の魅力をお伝えし、多くの消費者に実感いただいたところであります。引き続き、関係の皆さんの御協力を頂きながら、福島の農業や県産農林水産物の魅力を力強く発信し、本県農林水産業の再生に力を尽くしてまいります。
 新型感染症の影響等により、主食用米の需要が大きく落ち込み、令和3年産米の概算金が大幅に下落するなど、農業者の皆さんの経営環境は大変厳しいものとなっております。このため、国に対し積極的な需給改善策を講じるよう求めるとともに、10月には、稲作農家の経営安定に係る資金の取扱いを開始したほか、各農林事務所に相談窓口を設置するなど、経営や生産対策の支援を行っているところであります。今後とも、関係機関・団体と連携しながら、農家経営の安定や生産意欲の下支えに取り組んでまいります。

県民の健康増進について

 次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
 福島県の健康指標は、震災と原発事故以降、大幅に悪化し、現在もその傾向が続いており、全国的に見てもワーストクラスの指標が多く大変厳しい状況にあります。また、新型感染症の影響により、県民の皆さんの生活習慣が大きく変化する中、心身の健康状態が更に悪化することが懸念されており、令和3年度の福島県政世論調査においても、感染拡大により、「体力が落ちたと感じる」、「運動する時間が減った」と回答している割合が高い傾向を示しております。こうした状況にある今こそ、健康づくりが重要であるという認識を皆さんと共有し、ウィズコロナの中でも、身近なところから始めることができる取組を一つ一つ実践し、継続していただくことが大切です。
 このため、現在、県民参加型のSNSを活用した取組や「食」、「運動」、「社会参加」をテーマに、様々な健康づくりにチャレンジする「健民ライフキャンペーン」など、健康への気付きや健康づくりの実践を促進する取組を行うとともに、先月には、「健康長寿ふくしまトップ会談」を開催し、こうした思いを直接お伝えしたところであります。引き続き、県民の皆さんを始め、市町村や関係団体と力を合わせながら、健康増進に向けた取組を進め、全国に誇れる健康長寿県を目指してまいります。

子ども・若者育成について

 次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
 文化・スポーツなど様々な分野で、福島の子どもや若者が目覚ましい活躍を見せる中、全国規模の合唱合奏の大会で、福島県勢が日本一に輝くなど上位を独占し、本県の実力を全国に示す結果となりました。この快挙は、新型感染症の影響が重くのしかかる困難な状況の中、常に自分を信じ、そして仲間同士が助け合いながら、ひたむきに練習を積み重ねてきた努力の結晶であります。一つ一つ理想とする形を追い求め、実現していく中で、部員全員で勝ち取ったこの成果は、復興に向けて歩みを進める福島に希望と感動を与え、県民を笑顔にしてくれたと感じております。
 また、震災と原発事故から10年余りが経過し、福島ならではの子ども・若者の育成を進めてきた中、家族のきずなを感じさせる研究や地域の文化をいかした取組、さらには環境問題や持続可能な社会の実現に向けた取組など、これまでの困難な経験の中で培われてきた、自ら考え、行動に移す力が県内各地で形となって現れてきております。こうした子ども・若者の活躍は福島の誇りであり、「私たちが福島の次代を担う」という思いがしっかりと受け継がれていると実感いたしました。引き続き、関係の皆さんと連携しながら、夢や希望に向かって挑戦し続けることができるよう、福島の強みをいかした子ども・若者の育成に取り組んでまいります。

インフラの復旧等について

 次に、「インフラの復旧等」について申し上げます。
 震災から10年の時を経て、地震や津波で甚大な被害を受けた浪江町の請戸漁港の復旧・復興事業が完了し、先月、竣工式を開催いたしました。請戸漁港は、福島第一原発から最も近い漁港であり、立入制限が続く中での工事着手となりましたが、浪江町を始め関係の皆さんの御協力により、地域の防災と基幹産業を支える重要なインフラとして蘇りました。これにより、県内10漁港全ての復旧・復興工事が完了し、漁港機能の復旧と強化が図られたことから、本県漁業の本格的な操業に向けて、弾みがつくものと期待されるところであります。今後とも、関係機関と連携しながら、福島県の復興と産業振興や地域活性化に向けて、県土づくりの礎となるインフラ整備にしっかりと取り組んでまいります。
 只見線鉄道施設群が選奨土木遺産に認定されました。地域資源の活用や豪雪地帯を結ぶライフラインとして、機能美や四季折々の風景を作り出すものと高く評価されたものであり、令和4年秋ころの全線運転再開を目指して整備が進む、JR只見線の魅力の発信や会津全体の振興、活性化につながるものと期待しているところであります。今回の認定に加え、只見柳津県立自然公園の越後三山只見国定公園への編入をきっかけに、引き続き、地元自治体や関係団体と連携しながら、多くの皆さんに利用していただけるよう、更なる地域資源の掘り起こしや磨き上げを進めてまいります。

地方創生・人口減少対策について

 次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
 福島の人口は、出生数の減少や若者の県外流出などにより、依然として減少傾向にあり、厳しい状況が続いております。こうした中、令和2年度における移住相談件数の調査結果が公表され、本県への相談件数は昨年度を上回り、過去最高の全国3位となりました。市町村等関係の皆さんと連携しながら、コロナ禍においても早い段階からオンラインを活用し、数多くのイベントを開催するとともに、全国で最も多くの相談窓口を設置し、きめ細かに対応してきた結果であると認識しており、こうした取組が過去最多となった令和2年度の本県への移住実績に結びついたものと考えております。
 福島県への移住は、特に40代以下の若い世代が7割を占め、働く世代の増加が目立ってきております。引き続き、こうした流れを加速させるため、首都圏との近接性をいかし、副業やテレワークを促進するとともに、地域資源を活用した福島ならではの「くらし」、「しごと」を体験する取組を進めるなど、本県との関係人口づくりや移住のきっかけづくりを推進し、地方移住への関心の高まりを的確に捉えながら、本県の強みをいかした地方創生の推進に力を尽くしてまいります。

 当時小学生で震災と原発事故を経験し、避難を余儀なくされた若者が、ふるさとの復興の役に立ちたいと、東日本大震災・原子力災害伝承館の職員となり、自身の体験や命の大切さを伝えるため、語り部として活躍しています。「私自身の経験を聞いた方が、少しでも自分事として感じてもらえればうれしい。若い世代が福島の今を発信し、過去だけでなく未来も考えるきっかけにしていきたい。それが私の使命だと信じている。」若者はこれから語り部として活動していく上での決意をこのように言葉にしています。こうした若者の話を聞いたとき、私はそれぞれの世代が、記憶と教訓を語り継いでいくことの大切さを改めて感じるとともに、自らの夢や希望を一つ一つ形にしていくことで、世代を超えて福島の未来を切り拓いていくことができると確信いたしました。引き続き、これまでも様々な困難を乗り越えてきた福島県民の大きな力を結集し、必ずや復興を成し遂げ、新しい福島を創造するための挑戦を全力で続けてまいります。

提出議案について

 提出議案について御説明申し上げます。
 令和3年度一般会計補正予算案につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、今後の感染拡大に備えた入院病床、宿泊療養施設の確保や自宅療養者への支援体制強化、「ワクチン・検査パッケージ」の活用などに対応するための検査体制整備、プレミアム付き電子食事券の追加販売、稲作農家への種子購入支援、震災・原子力災害からの復興として、避難地域等の医療復興を進めるための基金積立て、被災農地の整備などに要する経費を計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、283億8,700万円となり、本年度予算の累計は、1兆3,912億7,800万円となります。
 特別会計等につきましては、福島県国民健康保険特別会計など6会計につきまして、それぞれ補正額を計上いたしました。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県税条例の一部を改正する条例」など14件、条例以外の議案が「当せん金付証票の発売について」など22件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
 慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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