県議会定例会(令和7年12月)
印刷用ページを表示する 掲載日:2025年12月9日更新
令和7年12月福島県議会定例会知事説明要旨(令和7年12月9日)
12月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、昨夜発生した青森県東方沖を震源とする地震について申し上げます。
この地震により被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
また、千島海溝・日本海溝沿いでは、今後1週間程度、大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まっていることから、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が初めて発表されました。このため、県では、庁内における警戒体制を強化するとともに、県民の皆さんに対し、改めて地震・津波への備えを確認いただくよう周知してまいります。
それでは、県政に関する当面の諸課題について、所信の一端を述べさせていただきます。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、昨夜発生した青森県東方沖を震源とする地震について申し上げます。
この地震により被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
また、千島海溝・日本海溝沿いでは、今後1週間程度、大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まっていることから、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が初めて発表されました。このため、県では、庁内における警戒体制を強化するとともに、県民の皆さんに対し、改めて地震・津波への備えを確認いただくよう周知してまいります。
それでは、県政に関する当面の諸課題について、所信の一端を述べさせていただきます。
東日本大震災からの復旧・復興について
はじめに、「避難地域の復興・再生」についてであります。
避難地域においては、先般、飯舘村長泥地区の特定復興再生拠点区域で、震災後初めてとなる米の出荷が実現したほか、先月4日には、双葉町の下長塚、三字、羽鳥の3行政区における特定帰還居住区域について、立入規制の緩和がなされ、住民帰還の促進に向けた大切な一歩を踏み出しました。引き続き、帰還意向をお持ちの皆さんが一日も早く古里に帰還できるよう、国と連携し、地元自治体の意向を丁寧に伺いながら、インフラや生活環境の整備等に取り組んでまいります。
一方、本県の復興は、今後も中長期にわたる継続的な取組が不可欠であることから、先月、復興大臣を始めとする関係閣僚に対し、緊急要望活動を実施いたしました。帰還困難区域の復興・再生や風評対策、福島イノベーション・コースト構想の推進、人口減少対策など、本県の復興と地方創生を切れ目なく進めていく上で、特に重要となる項目について、着実な対応を求めたところであります。
こうした中、12月2日には、高市総理大臣が就任後初めて本県を視察され、「全ての閣僚が復興大臣であるという決意の下に、内閣の重要課題として、福島の復興に責任貫徹の思いで取り組んでいく」と述べられ、復興に向けた取組を更に加速させるとの姿勢を示されました。
引き続き、第3期復興・創生期間の初年度となる令和8年度予算の確保はもとより、中長期にわたって必要となる十分な財源と枠組み、税制特例を始めとした復興を支える制度の確保等に全力で取り組んでまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
10月28日に福島第一原子力発電所を視察いたしました。2号機の使用済燃料取扱設備や燃料デブリの本格的な取り出しに向けた検討状況を直接確認するとともに、ALPS処理水の海洋放出で空になったタンクの解体状況等も確認し、この一年間で廃炉作業が着実に進んでいることを実感したところであります。
一方、今後は、燃料デブリの本格的な取り出しなど、リスクの高い作業が本格化することから、東京電力の小早川社長に対し、安全を最優先の上、確実に作業を進めるよう求めたところであり、県としても、廃炉安全監視協議会等を通じて、国及び東京電力の取組を厳しく監視してまいります。
また、除去土壌等の県外最終処分につきましては、10月23日に石原環境大臣が県庁を訪問された際、県民の皆さんが、依然として県外最終処分の見通しを実感できない状況にあることをお伝えし、具体的な工程表の速やかな明示などを直接、訴えたところであり、引き続き、県外最終処分の確実な実施に向け、最後まで責任を持って対応するよう強く求めてまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
先月開催された「東京2025デフリンピック」では、本県のJヴィレッジを会場にサッカー競技が行われ、音のない世界で限界に挑む世界最高峰の選手たちのプレーを目の当たりにし、私たち県民も大きな感動と勇気を頂きました。
大会期間中は、県主催によるオープニングセレモニーの開催を始め、サテライト開会式における伝統芸能等の披露や、常磐ものを使用した振る舞いなどの実施、さらには、震災伝承施設を巡る周遊バスの運行などを通じて、選手や観客の皆さんに、福島の魅力や復興が進む姿を発信することができました。今後も様々な機会を捉え、本県の正確な情報がより効果的に伝わるよう取り組んでまいります。
また、9月20日に東日本大震災・原子力災害伝承館が、開館から5周年を迎え、来館者も累計で40万人を突破するなど、国内外から多くの方々に足を運んでいただいております。新たな取組として、学芸員と共に被災地を巡る特別フィールドワークの実施や、デフリンピックの開催に合わせ、語り部講話で手話通訳を実施したほか、来年1月には、高知県において、四国地方初となる出張展を開催いたします。
さらに、来年は震災と原発事故から15年、そして、現在の福島県の形が誕生してから150年という節目の年を迎えることから、これまで積み重ねてきた挑戦の歴史を振り返り、それらを礎とした新たな福島県を創造していくため、県政150周年記念事業の準備を進めております。
10月には、「県政150周年記念・官民ネットワーク」を設立し、記念事業への参加を広く呼び掛けるなど、協力いただける団体等の募集も開始いたしました。引き続き、特設ウェブサイトを始め、様々な媒体を通じて関連事業等の情報を発信し、更なる機運の醸成を図ってまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
来年1月10日から17日にかけて、再生可能エネルギーや水素等に関する経済交流と県産品の取引拡大等を図るため、スペイン、オランダ、ドイツの欧州3か国を訪問いたします。
スペインのバスク州、ドイツのハンブルク州及びノルトライン=ヴェストファーレン州との間で締結している、再エネや水素、医療関連産業等に関する連携覚書を更新し、再エネの技術革新や水素社会の実現など、今後の産学官の取組に向けた連携を深めるとともに、現地でのビジネスセミナーやトップセールス等を通じて、「福島の今」と県産日本酒等の魅力を直接お伝えし、本県に対する一層の理解醸成と県産品の販路拡大につなげてまいります。
また、来年春に「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の本番を控える中、県内における昨年の観光客入込数が5,757万3千人に達し、震災前の水準を初めて上回りました。
先月から今月にかけては、全国7か所において、DC期間中の旅行商品造成を働きかける説明会を実施するほか、補助制度等を通じた観光コンテンツづくりの支援、おもてなし力の向上や観光資源の磨き上げを目的としたセミナーの開催などにより、国内外からの更なる誘客を促進してまいります。
特に、来年2月に開催される「大ゴッホ展」を観光誘客における強力なコンテンツの一つとして捉え、観覧を軸とした旅行商品の造成や海外のインフルエンサーによる情報発信等を展開し、インバウンドの拡大と「ふくしまアートツーリズム」の推進などを図ってまいります。
一方、県内経済は、長引く物価高に加え、来年1月からは最低賃金が過去最高となる時給1,033円に引き上げられることから、県内事業者の経営に大きな影響を及ぼすことなどが懸念されます。
このため、今定例会において、賃上げに要する経費の一部を補助する県独自の事業者支援を提案したところであり、今後も社会・経済情勢を注視しながら、県内事業者の経営安定化を支援してまいります。
次に、「農林水産業の再生」について申し上げます。
令和7年度の新規就農者数は、過去最多の391名を記録し、4年連続で300名を上回りました。こうした流れをより確実なものとするため、県内外での就農相談会の開催や、「福島県農業経営・就農支援センター」を通じたきめ細かな支援を始め、農業法人における「お試し就農体験」の開催、スマート農業技術の導入による作業環境の改善など、様々な取組を進めてまいります。
また、県産日本酒の酒粕を餌に加えて育成した「福島牛 福粕花(ふくはっか)」につきましては、本年5月の豪州訪問で築いたネットワークを活用し、先月、初の海外輸出を実現いたしました。現地の飲食店関係者等を集めた試食会においても、「柔らかく、口の中で溶けるような味わい」、「お客様にお勧めしたい、すばらしい和牛」といった、高い評価を頂いたところであり、引き続き、ブランド価値を広く浸透させ、福島牛の更なる生産振興を図ってまいります。
さらに、先月21日には、台湾において日本産食品の輸入規制が撤廃され、規制を設けている国・地域も55から5まで減少しました。今後も国と連携しながら、科学的根拠に基づいた正確な情報や県産農林水産物の魅力等を発信し、輸入規制の完全撤廃を目指すとともに、一層の輸出拡大に取り組んでまいります。
次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
本年度の県政世論調査において、心身の健康づくりの実践状況を尋ねたところ、「実践していない」と回答された方が40%となり、昨年度とほぼ同じ水準であることが分かりました。
こうした状況を踏まえ、県では、日常生活の中で気軽に取り組める健康づくりの実践に力を入れております。県内のアートスポットをウォーキングしながら巡るアートウォーキングラリーの開催や、フレイル予防の普及啓発、健民アプリに体重などを記録することで行動変容を促すキャンペーンの実施、さらには、市町村長や企業のトップを対象とした健康に関するセミナーを開催し、「女性の健康」に着目した職場環境の改善を図るなど、オール福島で健康づくりの実践を進めてまいります。
また、県民の皆さんの命と健康を守るためには、地域の医療・福祉を支える人材の確保が欠かせません。
こうした中、先般、来年度からの卒後臨床研修を希望する医学部生と臨床研修病院とのマッチング結果が公表され、本県のマッチング数は過去最多の123人となりました。これは、臨床研修の受入体制充実を始め、県外の大学も対象とした周知活動の推進など、様々な対策を強化してきた成果と受け止めております。引き続き、県民の皆さんが健康でいきいきと安心して暮らせるよう、医療・福祉・介護人材の着実な確保に取り組んでまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
10月25、26日の2日間にわたり、郡山市と伊達市を会場として、第35回全国産業教育フェア福島大会が開催され、農業や工業、商業などの専門学科等で学ぶ高校生が全国各地から福島に集い、日頃の活動や学習成果等を発信する大変貴重な機会となりました。
この大会前、生徒実行委員を務める本県の若者たちと懇談し、「復興に向けて挑戦する福島県と産業教育の魅力を全国に伝えたい」との熱い思いを伺い、本県の未来を担う若者たちの成長を頼もしく思うとともに、大会にかける情熱に深く感銘を受けたところであります。
その言葉どおり、「福島ならでは」の大会となるよう検討を重ね、工夫を凝らした様々な企画は、来場された方々からも高い評価を頂きました。引き続き、地域課題と主体的に向き合いながら、課題解決に必要な資質・能力を育成するなど、新たな時代に即した産業教育の振興を図ってまいります。
一方、こうした子どもたちを取り巻く社会環境は急激に変化しており、各方面で深刻な問題をもたらしております。
特に、先頃公表された文部科学省の調査によれば、昨年度、県内の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒数が4,365人となり、過去最多を更新しました。
不登校の要因や背景は複合化・多様化していることから、学校と家庭との連携を密にしながら、チームによる教育相談の充実を図るとともに、専任教員を配置したスペシャルサポートルームの設置や、不登校児童生徒支援センターにおける仮想空間を活用したオンラインでの支援などを通じて、児童生徒一人一人の特性や学び方に応じた多様な教育機会を確保してまいります。
次に、「インフラ整備と安全・安心の確保」について申し上げます。
ふくしま復興再生道路として整備を進めてきた国道288号「船引バイパス」が、来年の3月22日に全線開通する見通しとなりました。
国道288号は、中通りと浜通りを結び、広域的な物流や観光、救急・地域医療などを担い、災害時には救助活動や物資輸送の要となる重要な道路であります。この全線開通により、田村市船引町の中心部における交通混雑が緩和されるとともに、避難地域における住民の帰還促進や地域振興等につながるものと考えております。
また、今冬に向けた除排雪対策につきましては、今年2月の大雪対応に係る検証結果を踏まえ、市町村との連携の下、集中的に除排雪を行う路線の設定や新たな雪捨て場の確保、市町村に対する県有機械の貸与手続きの制度化等により、除排雪体制を強化したほか、雪害が発生した際に適切な対応ができるよう、市町村や警察、消防などの防災関係機関と連携し、行動計画の策定を進めるなど、大雪時における対応力の強化に取り組んでまいります。
そして、もはや災害レベルの非常事態とも言うべき「クマ対策」につきましては、クマが人里に慣れ、出没が常態化する「クマの人馴れ」と、人もクマの出没に慣れ、危機感が薄れる「人のクマ慣れ」の両課題に対応するため、10月23日に緊急対策を盛り込んだ補正予算を編成し、市町村に専門家を派遣する人的支援や、捕獲に必要な資材を提供する財政的支援、さらには、様々な媒体を通じた注意喚起等に努めてまいりました。
先月13日には、国に対する緊急要望として、私から直接、石原環境大臣に対し、地方が被害防止対策を確実に進められるよう、国の各省庁等が一体となって必要な予算を確保することや、国が主体的に実効性のある対策を講じることなどを求め、国の「クマ被害対策パッケージ」にも反映されたところであります。
県としても、補正予算に加え、予備費を充用した追加対策を、市町村や関係団体等と連携して実施するとともに、引き続き、国の動向を注視しながら、効果的な対策に取り組んでまいります。
避難地域においては、先般、飯舘村長泥地区の特定復興再生拠点区域で、震災後初めてとなる米の出荷が実現したほか、先月4日には、双葉町の下長塚、三字、羽鳥の3行政区における特定帰還居住区域について、立入規制の緩和がなされ、住民帰還の促進に向けた大切な一歩を踏み出しました。引き続き、帰還意向をお持ちの皆さんが一日も早く古里に帰還できるよう、国と連携し、地元自治体の意向を丁寧に伺いながら、インフラや生活環境の整備等に取り組んでまいります。
一方、本県の復興は、今後も中長期にわたる継続的な取組が不可欠であることから、先月、復興大臣を始めとする関係閣僚に対し、緊急要望活動を実施いたしました。帰還困難区域の復興・再生や風評対策、福島イノベーション・コースト構想の推進、人口減少対策など、本県の復興と地方創生を切れ目なく進めていく上で、特に重要となる項目について、着実な対応を求めたところであります。
こうした中、12月2日には、高市総理大臣が就任後初めて本県を視察され、「全ての閣僚が復興大臣であるという決意の下に、内閣の重要課題として、福島の復興に責任貫徹の思いで取り組んでいく」と述べられ、復興に向けた取組を更に加速させるとの姿勢を示されました。
引き続き、第3期復興・創生期間の初年度となる令和8年度予算の確保はもとより、中長期にわたって必要となる十分な財源と枠組み、税制特例を始めとした復興を支える制度の確保等に全力で取り組んでまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
10月28日に福島第一原子力発電所を視察いたしました。2号機の使用済燃料取扱設備や燃料デブリの本格的な取り出しに向けた検討状況を直接確認するとともに、ALPS処理水の海洋放出で空になったタンクの解体状況等も確認し、この一年間で廃炉作業が着実に進んでいることを実感したところであります。
一方、今後は、燃料デブリの本格的な取り出しなど、リスクの高い作業が本格化することから、東京電力の小早川社長に対し、安全を最優先の上、確実に作業を進めるよう求めたところであり、県としても、廃炉安全監視協議会等を通じて、国及び東京電力の取組を厳しく監視してまいります。
また、除去土壌等の県外最終処分につきましては、10月23日に石原環境大臣が県庁を訪問された際、県民の皆さんが、依然として県外最終処分の見通しを実感できない状況にあることをお伝えし、具体的な工程表の速やかな明示などを直接、訴えたところであり、引き続き、県外最終処分の確実な実施に向け、最後まで責任を持って対応するよう強く求めてまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
先月開催された「東京2025デフリンピック」では、本県のJヴィレッジを会場にサッカー競技が行われ、音のない世界で限界に挑む世界最高峰の選手たちのプレーを目の当たりにし、私たち県民も大きな感動と勇気を頂きました。
大会期間中は、県主催によるオープニングセレモニーの開催を始め、サテライト開会式における伝統芸能等の披露や、常磐ものを使用した振る舞いなどの実施、さらには、震災伝承施設を巡る周遊バスの運行などを通じて、選手や観客の皆さんに、福島の魅力や復興が進む姿を発信することができました。今後も様々な機会を捉え、本県の正確な情報がより効果的に伝わるよう取り組んでまいります。
また、9月20日に東日本大震災・原子力災害伝承館が、開館から5周年を迎え、来館者も累計で40万人を突破するなど、国内外から多くの方々に足を運んでいただいております。新たな取組として、学芸員と共に被災地を巡る特別フィールドワークの実施や、デフリンピックの開催に合わせ、語り部講話で手話通訳を実施したほか、来年1月には、高知県において、四国地方初となる出張展を開催いたします。
さらに、来年は震災と原発事故から15年、そして、現在の福島県の形が誕生してから150年という節目の年を迎えることから、これまで積み重ねてきた挑戦の歴史を振り返り、それらを礎とした新たな福島県を創造していくため、県政150周年記念事業の準備を進めております。
10月には、「県政150周年記念・官民ネットワーク」を設立し、記念事業への参加を広く呼び掛けるなど、協力いただける団体等の募集も開始いたしました。引き続き、特設ウェブサイトを始め、様々な媒体を通じて関連事業等の情報を発信し、更なる機運の醸成を図ってまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
来年1月10日から17日にかけて、再生可能エネルギーや水素等に関する経済交流と県産品の取引拡大等を図るため、スペイン、オランダ、ドイツの欧州3か国を訪問いたします。
スペインのバスク州、ドイツのハンブルク州及びノルトライン=ヴェストファーレン州との間で締結している、再エネや水素、医療関連産業等に関する連携覚書を更新し、再エネの技術革新や水素社会の実現など、今後の産学官の取組に向けた連携を深めるとともに、現地でのビジネスセミナーやトップセールス等を通じて、「福島の今」と県産日本酒等の魅力を直接お伝えし、本県に対する一層の理解醸成と県産品の販路拡大につなげてまいります。
また、来年春に「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の本番を控える中、県内における昨年の観光客入込数が5,757万3千人に達し、震災前の水準を初めて上回りました。
先月から今月にかけては、全国7か所において、DC期間中の旅行商品造成を働きかける説明会を実施するほか、補助制度等を通じた観光コンテンツづくりの支援、おもてなし力の向上や観光資源の磨き上げを目的としたセミナーの開催などにより、国内外からの更なる誘客を促進してまいります。
特に、来年2月に開催される「大ゴッホ展」を観光誘客における強力なコンテンツの一つとして捉え、観覧を軸とした旅行商品の造成や海外のインフルエンサーによる情報発信等を展開し、インバウンドの拡大と「ふくしまアートツーリズム」の推進などを図ってまいります。
一方、県内経済は、長引く物価高に加え、来年1月からは最低賃金が過去最高となる時給1,033円に引き上げられることから、県内事業者の経営に大きな影響を及ぼすことなどが懸念されます。
このため、今定例会において、賃上げに要する経費の一部を補助する県独自の事業者支援を提案したところであり、今後も社会・経済情勢を注視しながら、県内事業者の経営安定化を支援してまいります。
次に、「農林水産業の再生」について申し上げます。
令和7年度の新規就農者数は、過去最多の391名を記録し、4年連続で300名を上回りました。こうした流れをより確実なものとするため、県内外での就農相談会の開催や、「福島県農業経営・就農支援センター」を通じたきめ細かな支援を始め、農業法人における「お試し就農体験」の開催、スマート農業技術の導入による作業環境の改善など、様々な取組を進めてまいります。
また、県産日本酒の酒粕を餌に加えて育成した「福島牛 福粕花(ふくはっか)」につきましては、本年5月の豪州訪問で築いたネットワークを活用し、先月、初の海外輸出を実現いたしました。現地の飲食店関係者等を集めた試食会においても、「柔らかく、口の中で溶けるような味わい」、「お客様にお勧めしたい、すばらしい和牛」といった、高い評価を頂いたところであり、引き続き、ブランド価値を広く浸透させ、福島牛の更なる生産振興を図ってまいります。
さらに、先月21日には、台湾において日本産食品の輸入規制が撤廃され、規制を設けている国・地域も55から5まで減少しました。今後も国と連携しながら、科学的根拠に基づいた正確な情報や県産農林水産物の魅力等を発信し、輸入規制の完全撤廃を目指すとともに、一層の輸出拡大に取り組んでまいります。
次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
本年度の県政世論調査において、心身の健康づくりの実践状況を尋ねたところ、「実践していない」と回答された方が40%となり、昨年度とほぼ同じ水準であることが分かりました。
こうした状況を踏まえ、県では、日常生活の中で気軽に取り組める健康づくりの実践に力を入れております。県内のアートスポットをウォーキングしながら巡るアートウォーキングラリーの開催や、フレイル予防の普及啓発、健民アプリに体重などを記録することで行動変容を促すキャンペーンの実施、さらには、市町村長や企業のトップを対象とした健康に関するセミナーを開催し、「女性の健康」に着目した職場環境の改善を図るなど、オール福島で健康づくりの実践を進めてまいります。
また、県民の皆さんの命と健康を守るためには、地域の医療・福祉を支える人材の確保が欠かせません。
こうした中、先般、来年度からの卒後臨床研修を希望する医学部生と臨床研修病院とのマッチング結果が公表され、本県のマッチング数は過去最多の123人となりました。これは、臨床研修の受入体制充実を始め、県外の大学も対象とした周知活動の推進など、様々な対策を強化してきた成果と受け止めております。引き続き、県民の皆さんが健康でいきいきと安心して暮らせるよう、医療・福祉・介護人材の着実な確保に取り組んでまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
10月25、26日の2日間にわたり、郡山市と伊達市を会場として、第35回全国産業教育フェア福島大会が開催され、農業や工業、商業などの専門学科等で学ぶ高校生が全国各地から福島に集い、日頃の活動や学習成果等を発信する大変貴重な機会となりました。
この大会前、生徒実行委員を務める本県の若者たちと懇談し、「復興に向けて挑戦する福島県と産業教育の魅力を全国に伝えたい」との熱い思いを伺い、本県の未来を担う若者たちの成長を頼もしく思うとともに、大会にかける情熱に深く感銘を受けたところであります。
その言葉どおり、「福島ならでは」の大会となるよう検討を重ね、工夫を凝らした様々な企画は、来場された方々からも高い評価を頂きました。引き続き、地域課題と主体的に向き合いながら、課題解決に必要な資質・能力を育成するなど、新たな時代に即した産業教育の振興を図ってまいります。
一方、こうした子どもたちを取り巻く社会環境は急激に変化しており、各方面で深刻な問題をもたらしております。
特に、先頃公表された文部科学省の調査によれば、昨年度、県内の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒数が4,365人となり、過去最多を更新しました。
不登校の要因や背景は複合化・多様化していることから、学校と家庭との連携を密にしながら、チームによる教育相談の充実を図るとともに、専任教員を配置したスペシャルサポートルームの設置や、不登校児童生徒支援センターにおける仮想空間を活用したオンラインでの支援などを通じて、児童生徒一人一人の特性や学び方に応じた多様な教育機会を確保してまいります。
次に、「インフラ整備と安全・安心の確保」について申し上げます。
ふくしま復興再生道路として整備を進めてきた国道288号「船引バイパス」が、来年の3月22日に全線開通する見通しとなりました。
国道288号は、中通りと浜通りを結び、広域的な物流や観光、救急・地域医療などを担い、災害時には救助活動や物資輸送の要となる重要な道路であります。この全線開通により、田村市船引町の中心部における交通混雑が緩和されるとともに、避難地域における住民の帰還促進や地域振興等につながるものと考えております。
また、今冬に向けた除排雪対策につきましては、今年2月の大雪対応に係る検証結果を踏まえ、市町村との連携の下、集中的に除排雪を行う路線の設定や新たな雪捨て場の確保、市町村に対する県有機械の貸与手続きの制度化等により、除排雪体制を強化したほか、雪害が発生した際に適切な対応ができるよう、市町村や警察、消防などの防災関係機関と連携し、行動計画の策定を進めるなど、大雪時における対応力の強化に取り組んでまいります。
そして、もはや災害レベルの非常事態とも言うべき「クマ対策」につきましては、クマが人里に慣れ、出没が常態化する「クマの人馴れ」と、人もクマの出没に慣れ、危機感が薄れる「人のクマ慣れ」の両課題に対応するため、10月23日に緊急対策を盛り込んだ補正予算を編成し、市町村に専門家を派遣する人的支援や、捕獲に必要な資材を提供する財政的支援、さらには、様々な媒体を通じた注意喚起等に努めてまいりました。
先月13日には、国に対する緊急要望として、私から直接、石原環境大臣に対し、地方が被害防止対策を確実に進められるよう、国の各省庁等が一体となって必要な予算を確保することや、国が主体的に実効性のある対策を講じることなどを求め、国の「クマ被害対策パッケージ」にも反映されたところであります。
県としても、補正予算に加え、予備費を充用した追加対策を、市町村や関係団体等と連携して実施するとともに、引き続き、国の動向を注視しながら、効果的な対策に取り組んでまいります。
地方創生・人口減少対策について
次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
本年7月に、600を超える企業・団体、市町村等の参画を頂いて設立した「ふくしま共創チーム」の下、9月からは大学生を中心に、企業や市町村などの若手の皆さんが参加するワーキングチームが活動を開始し、企業訪問やワークショップなどを通じて活発な議論が行われています。
魅力的な働き方に関する議論では、「休暇制度が整っていても取りづらい雰囲気がある」、「服装や髪型など自分らしさが尊重される職場づくりが進んでほしい」といった、若者目線による率直な意見や課題が出されたほか、チームの活動に関わった企業側においても、「新たな気づきにつながっている」などのうれしい感想を頂いております。
若い世代の県外流出を抑制するためには、こうした若者たちに県内企業の持つ魅力を効果的に発信していく必要があることから、新たな取組として、本県の学生が実際に県内企業を訪れ、自身が感じたその企業の魅力をショートドラマで表現し、SNS等で発信する活動等も進めております。引き続き、若い世代の声を、県の施策や企業などの取組に反映し、若者らの県内定着や還流促進を図ってまいります。
また、総務省が先月公表した「令和6年度における移住相談件数」では、本県に関する移住相談が過去最多の20,505件となり、全国2位となりました。県ではこれまで、移住を希望される方々のニーズを踏まえながら、全国最多となる12か所の相談窓口を設けるなど、丁寧な相談対応に努めてきたところであり、先月8日に都内で開催した移住相談会では、県内市町村等が数多く出展し、来場者数も過去最多を更新いたしました。地方移住への関心は依然として高い水準にあることから、今後も市町村や関係団体等と連携しながら取組を進めてまいります。
以上、県政に関する諸課題等について、所信の一端を申し上げました。
「わたしたちは、過去だけでなく未来についても語っている」
これは、震災と原発事故の語り部活動を行っている県内の女子中学生が、先日開催された英語弁論大会の場で語った言葉です。
この女子生徒は、震災のあった年に生まれました。当時の記憶はありませんが、両親や地元の方々から話を聞いたり、実際に津波の被害に遭った現場などを訪れるうちに、「自分たちの世代でも、教わったこと、学んだことを語り継ぐことができるのではないか」と考え、語り部活動に参加するようになったそうです。
女子生徒は、聴衆をしっかりと見つめながら、災害がいつどこで起きてもおかしくないこと、命が失われてから準備を始めても遅すぎることなど、語り部活動を通して学んだ大切な教訓を訴え、最後に力強く、こう語ってくれました。
「あなたに私の経験を、考えを、感じたことを、そして、未来への希望を伝えるために、私は今日、この場にいる。私はこれからも2011年生まれの語り部であり続ける」
その言葉は、会場の人々だけでなく、自分自身に向けて発せられた、“決意”のように感じられました。
時間の経過とともに、震災の記憶の風化が進む中、こうした若い世代の奮闘は、本県の未来に向けた大きな希望であります。
「過去から学び、未来を創る」
女子生徒が示してくれた大切な教訓、そして、揺るぎなき復興への思いを共有しながら、私はこれからも、県民誰もが安全・安心に暮らし、夢と希望に満ちた福島の未来を創るため、全力で挑戦を続けてまいります。
本年7月に、600を超える企業・団体、市町村等の参画を頂いて設立した「ふくしま共創チーム」の下、9月からは大学生を中心に、企業や市町村などの若手の皆さんが参加するワーキングチームが活動を開始し、企業訪問やワークショップなどを通じて活発な議論が行われています。
魅力的な働き方に関する議論では、「休暇制度が整っていても取りづらい雰囲気がある」、「服装や髪型など自分らしさが尊重される職場づくりが進んでほしい」といった、若者目線による率直な意見や課題が出されたほか、チームの活動に関わった企業側においても、「新たな気づきにつながっている」などのうれしい感想を頂いております。
若い世代の県外流出を抑制するためには、こうした若者たちに県内企業の持つ魅力を効果的に発信していく必要があることから、新たな取組として、本県の学生が実際に県内企業を訪れ、自身が感じたその企業の魅力をショートドラマで表現し、SNS等で発信する活動等も進めております。引き続き、若い世代の声を、県の施策や企業などの取組に反映し、若者らの県内定着や還流促進を図ってまいります。
また、総務省が先月公表した「令和6年度における移住相談件数」では、本県に関する移住相談が過去最多の20,505件となり、全国2位となりました。県ではこれまで、移住を希望される方々のニーズを踏まえながら、全国最多となる12か所の相談窓口を設けるなど、丁寧な相談対応に努めてきたところであり、先月8日に都内で開催した移住相談会では、県内市町村等が数多く出展し、来場者数も過去最多を更新いたしました。地方移住への関心は依然として高い水準にあることから、今後も市町村や関係団体等と連携しながら取組を進めてまいります。
以上、県政に関する諸課題等について、所信の一端を申し上げました。
「わたしたちは、過去だけでなく未来についても語っている」
これは、震災と原発事故の語り部活動を行っている県内の女子中学生が、先日開催された英語弁論大会の場で語った言葉です。
この女子生徒は、震災のあった年に生まれました。当時の記憶はありませんが、両親や地元の方々から話を聞いたり、実際に津波の被害に遭った現場などを訪れるうちに、「自分たちの世代でも、教わったこと、学んだことを語り継ぐことができるのではないか」と考え、語り部活動に参加するようになったそうです。
女子生徒は、聴衆をしっかりと見つめながら、災害がいつどこで起きてもおかしくないこと、命が失われてから準備を始めても遅すぎることなど、語り部活動を通して学んだ大切な教訓を訴え、最後に力強く、こう語ってくれました。
「あなたに私の経験を、考えを、感じたことを、そして、未来への希望を伝えるために、私は今日、この場にいる。私はこれからも2011年生まれの語り部であり続ける」
その言葉は、会場の人々だけでなく、自分自身に向けて発せられた、“決意”のように感じられました。
時間の経過とともに、震災の記憶の風化が進む中、こうした若い世代の奮闘は、本県の未来に向けた大きな希望であります。
「過去から学び、未来を創る」
女子生徒が示してくれた大切な教訓、そして、揺るぎなき復興への思いを共有しながら、私はこれからも、県民誰もが安全・安心に暮らし、夢と希望に満ちた福島の未来を創るため、全力で挑戦を続けてまいります。
提出議案について
提出議案について御説明申し上げます。
令和7年度一般会計補正予算案につきましては、賃上げによる経営への影響を緩和するための中小企業等への緊急一時支援、「ふくしまDC」に向けた海外誘客促進のための観光プロモーションの展開、新たに承継・開業を行う診療所への支援などに要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、72億6千6百万円となり、本年度予算の累計は、1兆3,004億3千万円となります。
特別会計等につきましては、福島県土地取得事業特別会計など7会計につきまして、それぞれ補正額を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例」など19件、条例以外の議案が「当せん金付証票の発売について」など20件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
令和7年度一般会計補正予算案につきましては、賃上げによる経営への影響を緩和するための中小企業等への緊急一時支援、「ふくしまDC」に向けた海外誘客促進のための観光プロモーションの展開、新たに承継・開業を行う診療所への支援などに要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、72億6千6百万円となり、本年度予算の累計は、1兆3,004億3千万円となります。
特別会計等につきましては、福島県土地取得事業特別会計など7会計につきまして、それぞれ補正額を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例」など19件、条例以外の議案が「当せん金付証票の発売について」など20件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
