「学生と考えるワーク・ライフ・バランス」実施概要です
人権男女共生課では、福島大学と連携し、「学生と考えるワーク・ライフ・バランス」を実施しました。 実施概要は、以下のとおりです。
講演1
平成22年6月14日(月)18:00~19:30(90分)
○講師:株式会社東邦銀行人事部調査役/横田俊郎(よこた・としろう)氏
○テーマ:「当行の仕事と家庭の両立支援制度について」
○参加者:約100名
講演のポイント
(ワーク・ライフ・バランスのための取り組みの成果) 各種施策の成果としてまとめると大きく三つ挙げられる。
○退職者の減少 昨今の経済情勢の悪化から、退職を踏みとどまっているケースもあるかと思うが、結果として、長く働ける職場環境になってきていると考えられる。 企業が、働いている人を大事にし、そのための環境を整備し、そして、どういう人材に育って欲しいかを明確にする時期に来ている。
○女性支店長・副支店長の誕生 女性支店長は1名、副支店長は2名となっており、他の企業に比べれば、まだ低い水準であるが、今後も、多くの女性が活躍し、フォロワーとなって欲しい。
○総労働時間の短縮 各支店の平均で、概ね午後7時には終業している。以前と比べて、だいぶ早くなっている。早く帰ることで得た時間を、家族と過ごしたり、勉強をしたり、また趣味の時間等に有効に使っているようである。そいうった時間を過ごすことで、明日の仕事への活力になるという好循環も生まれているようだ。
◎株式会社東邦銀行の主な施策
(1)休暇・休業等関係
○スポット休暇を1日増設した。
○他の休暇制度との連続取得を可能とするよう改めた。
○連続休暇における最長取得期間を延長した。
○ノー残業デーとして、毎月第1・2・3水曜日を設定。
○育児休業の一部有給化し、休業中の無給状態を懸念して取得を控える行員も取りやすい制度となるようにした。取得した期間も、勤続年数に加算することとし、行員の懸念材料の解消に努めた。
○その他、「短時間勤務制度」の新設、看護休暇の改訂、介護休暇の新設を行った。また、裁判員制度休暇も設けている。
(2)手当関係
○出産祝金の増額 第1・2子について5万円(45,000円増額)、第3子は10万円(95,000円増額)
○単身赴任手当を新設した。
(3)その他
○再雇用制度の導入 当行だけではなく、他行において経験のある元行員をパートタイマーとして雇用し、後の行員登用制度も設けた。再雇用者は、20代~50代と幅広い。
○旅費規程について、通勤(高速道路、新幹線等)の利便が良くなっているので、より広い範囲から勤務先に通えるように制度を改訂した。
講演2
平成22年7月9日(金)18:00~19:30(90分)
○講師:株式会社ワーク・ライフバランス代表/小室淑恵(こむろ・よしえ)氏
○テーマ:「学生と考えるワーク・ライフ・バランス」
○参加者:約110名
講演のポイント
(ワーク・ライフ・バランスのための取り組みの成果)
○仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)には、ほど遠い仕事ばかりの生活。
○企業は、労働時間を下げ、1人当たりの生産性を上げることで、人件費を抑制しながら、短期間で付加価値の高いモノ・サービスを提供しないと、生き残れない。
○少子・高齢化による労働力人口の減少に対処するために、女性が活躍できる社会環境の整備が必要であり、男性の働き方も変わっていかなければならない。
○ワーク・ライフ・バランスは、人を定着させ、モチベーションの維持に寄与する人事戦略としての側面も持つ。
○「仕事ばかりしている私たち」 日本人の生活は、仕事の割合が大きく、「ワーク・ワーク・ワーク」の状態。 仕事ばかりで、子どもとふれあう機会がなく、夫婦での時間もない、自己研鑽(けんさん)に充てる時間ももちろんない。 「ないない」づくしでは、充実した生活を送れないし、仕事においても結果を出すことは難しい。
○「長時間労働の『成果』は?」 現在は、高度経済成長期の、「残業すると勝てる(残業神話)」環境とは異なる。 世界トップクラスの人件費となった現在、求められているのは、労働時間を下げ、1人当たりの生産性を向上させることである。 モノが溢れる時代であり、消費者は、多くの中からモノを選定するようになり、企業は、高い付加価値のモノを、短時間で届けないと、購入してもらえない。
○「社会的ニーズ」 少子・高齢化により年金制度を支える労働力人口が減少し、逆に年金を受け取る高齢者が増えていく。また、出生率が低く、女性の労働力率も低い日本の状況は、女性が働けないし、産めない国であることを表している。 短期的・長期的な視野に立った労働力人口の確保のためには、「出産を経ても女性の継続就業ができる環境整備」がなされなければならない。 女性だけ働き方を変えてもダメで、同時に男性も働き方を変えて欲しい。そこに、ワーク・ライフ・バランスの社会的必要性をみることができる。
○「企業ニーズ」 企業は、優秀な人材の確保とあわせて、優秀な人材を定着させ、高いやる気(モチベーション)が維持できる環境を整備しなければならない。 女性の労働者が、育児期を経ても働き続けることができる組織が必要であり、また、経験を積んだ有能な社員が突然介護を理由に辞めることが無いように、介護期を迎えても就業継続ができる制度、組織作りが必要になってくる。 ワーク・ライフ・バランスは、人を定着させ、モチベーションの維持に寄与する人事戦略としての側面も持つ。
○「ワークとライフの相乗効果」 家庭や私生活が充実すれば、人脈・アイデア・スキルを得られ、仕事において良い影響となり、それがまた家庭や私生活の充実につながるという好循環を生む。 ワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組み、充実した人生を過ごしてほしい。