「福島県版ユニバーサルデザイン実現への提案」研究会員からのメッセージです(小野 勉さん)
印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案
家族介護や老々介護を可能にする住まいのあり方
小野 勉
趣旨
できるだけ住み慣れた環境の中で必要な介護が受けられ、安心な生活ができるように~リフォームによる改善~
高齢になって体の機能が低下してくると、今まで意識しなかったものが障壁となって生活の不自由さを感じ、意欲が低下することにつながります。 介護施設などで安心・快適な環境を提供する方法もありますが、多くの人はそれまでの生活を変えたくないと感じているものです。 住宅内部のバリアフリー化は当然ですが外出や訪問が不自由なくできるようにすることで地域との交流や生活の質を維持することが可能になります。 介護の専門家にゆだねるばかりでなく、だれもが介護に当事者意識を持ち、家族や協力者が自分の役割を果たせることで、やさしさや思いやりの心をはぐくみ、良い人間関係と社会が形成、維持できることになります。 高齢者が永く培ってきた地域の文化や技術、精神を今の社会に生かしていくことが大切で、社会に積極的に参加する意欲を高めることが必要です。
提案
- ガイドラインの作成と情報の提供 ユニバーサル・デザインの考え方を取り入れた住宅改善を考えるとき、高齢者にはわかりにくい専門的なことや、家族に対する気がねから使う側からのニーズが発信されないことも多いので、行政、医療、建築業者が協力してのガイドラインの作成と、一歩踏み込んだ指導性を持った情報の提供が望まれます。
- リフォームの実際が体感できる施設 注文主・施工業者双方が、実際の使い勝手がよくわからず、また高齢者や障がいのある人の安全のためのガイドラインなどが確立されていない中では、トラブルの発生も心配されます。ユニバーサル・デザインのモデルハウスやリフォームの実際が体感できる建物を各地に設けることが必要です。
- 利用者が安心できる認定基準 施工の方法、基準などに関する講習会を開くとともに、一定のレベルに対する業界や行政の認定基準を設けることで安心感に基づいた利用者側との関係がつくられます。
- 社会的財産として 使う側の状態や建物の状態により費用は異なりますが、出入り口、トイレ、浴室などを基本にして、個人住宅であっても社会的な財産であるという考え方から、リバースモーゲージ(高齢者生活資金融資制度)などの普及・適正運用と行政の積極的援助が求められます。
- 結果を生かせるシステムづくり 実際に利用して使い勝手に問題点がないか、改善個所の有無などを調査し、結果を生かせるシステムづくりが必要です。自宅で安心な生活ができるために、多くの専門家が必要であり、それらを一つのチームワークとして機能するよう調整機関などの設置が望まれます。
今できることから入ってバリアフリーなどの問題解決で意識向上を図り、だれでもが平等に社会参加でき、お互いを等しく認め合える安心、安全の社会づくりを目指すのがユニバーサル・デザインだと考えます。