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一時保管エリアPにおけるノッチタンクからの水の漏えい

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年3月30日更新

 構内の排水枡から全ベータ放射能の値が高い水が検出されたトラブルについて説明します。

トラブルの概要

  • 令和3年7月5日、ガレキ類一時保管エリア(以下「一時保管エリア」という。)Pの排水枡にて採取した水の放射能分析結果において、全ベータ放射能の値が一時的に上昇していることが確認されました。
    ​この事象によって周辺海域の海水に異常は認められませんでした。
  • その後の調査でエリア内に保管されているノッチタンクの蓋がずれており、内部に溜まった線量の高い水が流出したことが分かりました。
  • その後の対策として、屋外で保管されているノッチタンクへのシート養生やドローンを使用した定期点検が行われました。

これまでの経緯

トラブルの経緯について、時系列に沿って説明します。

福島第一原子力発電所構内概略図(図内の番号は目次番号の場所を示しています) 目次
地図 1.一時保管エリアP排水枡における水の全ベータ放射能値上昇
2.溢水の原因調査と対処
3.対策の実施

 

1.一時保管エリアP排水枡における水の全ベータ放射能値上昇

  • 7月5日
    ガレキ類一時保管エリアP排水枡における放射能分析結果(6月29日採取分)において、全ベータ放射能の値が、前回(5月21日採取分)と比較して上昇していることが確認されました。
    なお、この排水枡からの流入がある陳場沢川河口においてもサンプリングが実施されましたが、前回(6月4日採取分)と比較して有意な変動はありませんでした。
    東京電力は応急処置として、排水枡にストロンチウム除去材とゼオライト土のう※を設置し、放射性物質の更なる流出抑制に努めました。翌日以降も、一時保管エリアP周辺の排水溝近くにゼオライト土のうが随時設置されました。
    ※ゼオライト土のう:セシウムなど一部の放射性物質を吸着する特性のあるゼオライトを詰めた土のう

  • 7月6日
    東京電力は当該排水枡周辺の地表面の放射線測定を行い、一時保管エリアPに保管されているノッチタンク周辺において、ベータ線の値が有意に高い場所があることを確認しました。

  • 7月7日
    排水枡の全ベータ放射能の値が上昇した原因の調査のため、東京電力は周辺の一時保管エリア近傍を流れる排水溝や排水枡、陳場沢川河口の水を採取して分析を行ったところ、一時保管エリアP南側の排水溝および東側流入地点の全ベータ放射能の値が高いことを確認しました。また、前日に確認したノッチタンクの状況を調査したところ、ノッチタンク2基において、天板及び天板上のハッチ蓋が2箇所ずつずれており、ノッチタンク内に雨水が流入して満水状態であることが確認されました。
    同日、福島県は東京電力に対して、ガレキ一時保管エリアP排水枡における全ベータ値の一時的な上昇に対する申し入れを行いました。(参照:申し入れ

  • 7月8日
    ノッチタンクの内包水および天板上の水の放射能分析の結果、全ベータ放射能が高い値で検出されました。

  • 7月19日
    一時保管エリアP排水枡およびノッチタンク2基の内包水および天板上の水を詳細分析した結果、ベータ線源となり、天然核種でないストロンチウム90とイットリウム90が検出されました。このことから東京電力は、ノッチタンクに雨水が入り、放射性物質を含んだ雨水が地表面に溢れ、その一部が排水枡へ流れ込んだと判断しました。

 

ノッチタンク ゼオライト土のう
一時保管エリアの現場確認の様子 排水枡付近に設置されたストロンチウム除去材とゼオライト土のう

 

確認日 確認事項
7月6日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアP排水枡における全ベータ値の一時上昇への対応状況(1)
7月7日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアP排水枡における全ベータ値の一時上昇への対応状況(2)
7月8日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアP排水枡における全ベータ値の一時上昇への対応状況(3)
7月9日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアP排水桝における全ベータ値の一時上昇への対応状況(4)

 

2.溢水の原因調査と対処

  • 7月8日
    東京電力はノッチタンク天板のハッチ蓋4箇所のずれの直し、シート養生及び周囲へのゼオライト土のうの設置を実施しました。
    また、ドローンを用いて他の一時保管エリアで保管されているノッチタンクのハッチ蓋の状況を確認したところ、一時保管エリアXで保管されているノッチタンク1基でハッチ蓋がずれていることが確認されました。

  • 7月9日
    ハッチ蓋がずれている一時保管エリアXのノッチタンク1基の中を目視し、内部に水が入っていないことが確認されました。また、ハッチ蓋を元に戻すとともに、ハッチ蓋がずれないよう蓋上に土のうが設置されました。

  • 7月11日
    ノッチタンクの内包水を可能な範囲で回収して内部を調査した結果、ノッチタンクの内容物はベータ線で汚染された高線量の土壌を収容したフレコンバッグであることが分かりました。回収した内包水は、滞留水の移送先であるプロセス主建屋に移送されました。

  • 7月12日
    ノッチタンク天板の詳細調査の結果、タンク本体に固定していたクランプや錆の発生状況からノッチタンク天板及びハッチ蓋のずれは比較的新しいものと推定され、同年2月13日に発生した地震による影響の可能性が高いと推定されました。

  • 8月10日
    一時保管エリア周辺の伐採を行い、ドローンによりノッチタンク上部の状態を確認した結果、一時保管エリアWに保管しているノッチタンク2基の天板に穴があることが確認されました。
    ​東京電力は、天板周辺の放射線測定結果が高くないこと、周辺の排水路の指示値に有意な上昇は見られないことから、ノッチタンクの内容物が外部に流出した恐れはないと判断しました。
    穴が開いていた原因は、保管開始時点でノッチタンクの天板に損傷や腐食があったこと、雨水等の影響で腐食が進展したことが挙げられています。

 

シート 養生
シート養生されたノッチタンク上部(一時保管エリアP) シート養生されたノッチタンク(一時保管エリアW)

 

確認日 確認事項
7月19日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアP排水枡における全ベータ値上昇事象への対応状況
7月21日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアNの現況確認
7月30日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアXの現況確認
8月16日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアW1、Pの現況確認
8月19日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアCにおけるノッチタンクの保管状況
8月20日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアPの現況確認

 

3.対策の実施

  • 東京電力は、溢水したノッチタンク周辺土壌の表層を除去しました。
    また、屋外の一時保管エリアに保管されているノッチタンクのうち、天板の構造等によりハッチ蓋が容易にずれる可能性のあるノッチタンクについて、ハッチ蓋の上に土のうを設置しました。
  • ノッチタンク天板から雨水が流入する可能性のあるノッチタンク88基について、ノッチタンク外面から仮設シートによる養生が実施されました。
    その後、溢水したノッチタンク2基以外のノッチタンク天板について、腐食進展防止のための塗装を施すとともに、火災や紫外線劣化に耐性のある耐候性シートによる養生が実施されています。
  • 溢水したノッチタンク2基の内容物については、今後コンテナへの移し替えが計画されています。

 

対候性
耐候性シートによる養生(手前)

 

確認日 確認事項
(令和3年)  
8月27日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアP排水枡における全ベータ値上昇事象への対応状況
(令和4年)  
1月12日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアW1における収納容器のシート養生状況
1月13日 現地駐在活動報告書 ガレキ類一時保管エリアPの現況

 

福島県の対応

申し入れ

県では東京電力に対し、重大なトラブルに繋がるリスクに対して申し入れや要請などを行っています。

 令和3年7月8日
 申入者 危機管理部政策監 伊藤 智樹
     危機管理部原子力安全対策課長 伊藤 繁
 相手方 東京電力ホールディングス株式会社福島第一廃炉推進カンバニー バイスプレジデント 田南 達也
     東京電力ホールディングス株式会社福島復興本社 福島広報部長 松井 健一郎

ガレキ一時保管エリアPの排水枡における全ベータ値の一時的な上昇について、東京電力に対し、早急に原因を特定するとともに、同様の事象が生じることがないよう日常の監視や点検を強化することなどについて申し入れを行いました。

 

 令和3年7月21日
 申入者 危機管理部原子力安全対策課 課長 伊藤 繁
     危機管理部原子力安全対策課 主幹 水口 昌郁
 相手方 東京電力ホールディングス株式会社福島第一廃炉推進カンパニー バイスプレジデント 田南 達也
     東京電力ホールディングス株式会社福島復興本社 福島広報部長 松井 健一郎

トラブルの未然防止に向け、施設・設備の安全管理の一層の徹底を図るよう、東京電力に対し申し入れを行いました。

廃炉安全監視協議会

​廃炉安全監視協議会では、排水枡の放射能濃度の上昇の原因やその後の対策について東京電力より説明を受けるとともに、立入調査を実施しました。また、東京電力に対して徹底的な総点検の実施と、トラブルを未然防止するため、日常の監視活動や放射線モニタリングの強化に取り組むよう求めました。

第77回(令和3年度第2回)廃炉安全監視協議会 (立入調査)令和3年8月11日

福島第一原子力発電所にて立入調査を行い、一時保管エリアPの現況や濃度の上昇が確認された排水枡下流に位置する沈砂池において現地確認を実施しました。

第78回(令和3年度第3回)廃炉安全監視協議会 (会議)令和3年9月9日

第77回廃炉安全監視協議会における立入調査の結果を県から報告するとともに、東京電力から事象発生後の調査結果及び新たな点検方法などについて説明を受けました。

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