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自殺で残された家族と友人のケアとサポートの手引き(5)

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
目次(4)(5)(6)

法的問題

検死

英語ではautopsyとpost mortemsという言葉があり、どちらも使われます。死亡の正確な原因をつきとめるために法律で定められた調査です。死因が明らかに見える場合も、検死官の仕事は、殺人や事故、災難などの他の死因ではないか確かめ、故人の代弁者として必要な手続きなのです。

検死の前に「遺体確認」を頼まれることがあります(もう頼まれた方もおられるでしょう)。この手続きでは、心の準備と事後のデブリーフィングをソーシャルワーカーに支援してもらえる場合があります。もしソーシャルワーカーの支援がない場合は、友人や親族に付き添ってもらうとよいでしょう。

後で、故人との時間を過ごすことができる場合があります;場所は死体安置所のこともありますし、葬儀担当者が準備した場所の場合もあります。葬儀担当者が故人とすごす機会を準備した場合、ふつう、あまりあわてる必要もなくストレスも少なく、長い目で見てよかったと思う人がほとんどのようです。こうした時間をすごすことによって、記憶の前景にあるイメージをよい方向に変えることができます。

検死によって遺体が損傷されているのではないかと不安に思うかもしれません。誰か信頼できる人にまず確かめてもらい、どんな様子か教えてもらって、心の準備をしましょう。ほとんどの場合、実際は思ったほどひどくないものです。しかし、見なくてもいい詳細な部分や光景は、「覆って」もらったり、余り長く見過ぎないほうがいいものです。

自殺された故人がAIDSや感染症を患っていた場合、もう親密に接する機会がないかもしれないので、検死の前にできるだけ長く故人と過ごすことをお勧めします。

 どのような場面で「対面」する場合も、あとでそのことを話す時間があるとよいでしょう。病院、死体安置所、葬祭場の外の厳しい現実に直面する前に、話しをして、その経験を心に収めることができます

検死官報告書

検死官の報告書の詳細が手に入るまでは、少し時間がかかることがあります。手に入ったら、心の細やかな思いやりのある人と一緒に読むとよいでしょう;多少、医学的なトレーニングを受けた友人や親族などです。地域によっては検死所から依頼されたソーシャルワーカーに同席してもらい、わからないことを説明してもらうことができます。地域の検死所がソーシャルワーカーを依頼していない場合も、トレーニングを受けた遺族カウンセラーを見つけて(友人や親族に手伝ってもらいます)、同じように同席してもらうことができます。

詳細を読むのがつらいときは、誰かにそばにいてもらって読める範囲だけ読み、あとで心の準備ができてから読むとよいでしょう。 もちろん、全く読まないという方法もあり、それも構いません;現実的な選択をするということが大切であり、自分の力になるのです。 法的な手続きが全部終わるまで、悲嘆の気持ちがある程度抑えられていることもあります。新たな負担が持ち上がったときに対処できるように、個人的なニーズはしまっておくというわけです。この「しまっておくこと」は、すっかり安心して心の底から悲嘆できると感じるまでの間、安全に持ちこたえるという大きなニーズのための一つの手段と思われます。