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うつ病と自殺について 「高齢者の自殺の実態」

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

高齢者の自殺の実態

平成10年から急増

 自殺者の総数は、平成10年から急増し、全国では3万人を超え、福島県でも500人を超えました。

 60歳以上の自殺者も、平成10年以降170人を超えています。(福島県警察本部統計から)

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自殺者の約4割近くはお年寄りです。

 福島県内では、H14年に523人の人たちが自殺により命を落としています。
 その中の約4割に近い194人が60歳以上のお年寄りでした。(福島県警察本部統計から)

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お年寄りの自殺の動機

 お年寄りの自殺の「原因・動機」の中でもっとも多いのは「健康問題等」で、60歳以上の自殺者の約7割を占めています。ただし、これらの原因は単独で論じられるものではなく、「経済・生活問題」「家庭問題」などと複雑に絡み合っているものと考えられます。 (福島県警察本部統計から)

自殺の背景

お年寄りの自殺の背景として以下の3つが挙げられます。

第1は身体的負担です。

自殺の「原因・動機」の7割を「健康問題」が占めている事実が示すように、お年寄りの自殺者の90%以上が身体的異常を訴えており、約85%が入通院による治療を受けております。お年寄りの多くは自分の健康状態について悪い評価を下しがちで、病気を大きなストレスに感じ、「楽になりたい」「元の体にもどらないなら死んだほうがましだ」といった言動が目立ちました。高齢になると、高血圧症、糖尿病、脳梗塞後遺症、心臓病、関節痛などの慢性的疾患をかかえることが多くなります。こうした継続的な身体的苦痛がうつ病の引き金となり自殺につながると考えられます。

第2は家族への精神的負担です。

自殺したお年寄りのほとんどが家族と同居していました。一人暮らしのお年寄りの自殺者は全体の5%以下に過ぎません。お年寄りの自殺者の多くが生前家族に「長く生きすぎた」、「迷惑をかけたくない」ともらしていました。お年寄りは病気がちになったり、体力が低下したり、物忘れが多くなることで心身両面の衰えを自覚し、同居する家族に看護や介護の負担をかけることへの遠慮が生じると考えられます。周りの者は決してそんなことは考えていなくても、御本人は負担に感じてしまうのです。

第3は喪失感と孤立です。

お年寄りの自殺者の約10%で落ち込みの原因として配偶者、子、兄弟など近親者の病気や死があげられます。行動範囲が狭くなりつつあるお年寄りにとって心身両面で近親者への依存度が増加するため、近親者の不幸は重く耐え難いものです。強い喪失感から閉じこもり・引きこもりがちとなり、孤独・孤立状態からうつに至ると考えられます。