個別Q&A11-(4)退職願の撤回
(平成24年8月24日現在) | |||||||
退職願の撤回 | |||||||
質問会社の人事部長をしていますが、先日ある従業員から「一身上の都合のため退職したいので、御承諾願います。」と退職願が提出されました。人事部長としてこれを承諾し、その旨を本人に伝えました。ところが、後日、この従業員から退職願を撤回したいとの申し出 がありました。すでに退職の手続を済ませ、後任者も決定しており、非常に困惑しています。このような場合、退職願の撤回を認めなければならないのでしょうか。 | |||||||
答え従業員から会社に対してなされる退職願の提出は、一般に労働契約の合意解約の申込みと解されています。御質問の場合、会社がこれを承諾し、承諾の意思表示が当人に到達していることから、労働契約の合意解約が成立していますので、退職願の撤回に応じる義務はないと考えられます。ただし、例外として、退職の意思表示が、錯誤による場合は無効となり、詐欺又は強迫による場合には従業員はその意思表示を取り消すことができます。 解説1 退職願の撤回 「○月○日をもって退職したい。」という内容の退職願の提出は、一般に労働契約の合意解約の申込みと解されており、その申込みを会社が承諾すれば、労働契約は合意により解約され、退職が有効に成立したことになります。よって、会社の承諾の意思表示がなされた後は、原則として退職願の撤回はできないとされています(ただし、使用者が任意に撤回に応じることは可能ですが、応じるか否かは使用者の判断に委ねられています。)。逆に、退職願を提出しても、会社から当人に対して承諾の意思表示がなされる前であれば、合意解約がまだ成立していない状態であるため、退職願の撤回ができるものとされています。 判例○判例1 大隈鐵工所事件(最高裁第三小法廷判決昭和62.9.18労判504号6頁) | |||||||
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