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【2016年8月22日(月曜日)】 Vol147

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月26日更新

目次

  • リレーエッセイ
       県教育委員会委員 高橋 金一(たかはし きんいち)
  • 日々の思い
       県教育庁義務教育課長 佐藤 秀美(さとう ひでみ)
  • お薦めの一冊コーナー
  • 学校自慢コーナー
    • いわき市立渡辺小学校
    • 三島町立三島中学校
    • 県立ふたば未来学園高等学校
  • お知らせ
    • 県教育委員会からのお知らせ
    • 県立図書館からのお知らせ
  • 編集後記     
       教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)

リレーエッセイ

「地域で支える県立高校」

県教育委員会委員 高橋 金一(たかはし きんいち)


 今年8月1日、県立川口高校のボート部の練習場の完成セレモニーが行われました。
 この練習場は、東日本大震災の後、会津地方を襲った平成23年7月の新潟・福島豪雨の水害で流されてしまいました。あれから5年ぶりの復活です。この間、同校ボート部は、学校から44kmも離れた喜多方市高郷町の県営荻野漕艇場で、休日に練習していました。これでやっと平日も練習ができるようになったのです。
 修復されたのは、只見川にボートを乗り出すための浮桟橋と、そこに降りるための階段の設備です。
地元のボランティア団体「オールおくあいづ」が川口高校の状況を知り、修復のために動き出し、県宮下土木事務所が協力して、コンクリート製の階段が整備され、柳津、三島、金山、昭和の4町村で作る川口高校の後援組織「桐径会」が費用を捻出して、浮桟橋が整備されたそうです。

 この練習場完成に先立つ7月21日、私たち教育委員は、教育長とともに川口高校を視察してきました。
 川口高校は、全6クラス210名の定員に対し、生徒在籍数127名の小規模校です。しかしながら、生徒の出身校は、同校所在地に隣接する町村だけでなく、会津全域、いや、福島県全域、いや本県と隣接する宮城県、さらには、埼玉、神奈川、千葉、長野の関東圏、最も遠隔地では沖縄県にまで及んでいます。私は、初めてこうしたお話を伺って非常に驚きました。
 現在、福島県立高等学校では、学校の在籍者が定員の半数以下の状態が3年続いた場合は、本校については分校化され、分校については原則として募集停止になってしまいます。川口高校の地元金山町では、川口高校の在籍者数が定員を下回る状態が続き、さらに、近隣町村の中学校卒業者数の大幅な減少傾向という現実を前に、遠くない将来、同校が統廃合の対象になるのではないかという危機感を抱きました。そうしたことが現実化すれば、地元金山町をはじめとした近隣町村にとっては、通学が困難なことや経済的な理由で高等学校に通えなくなる可能性もあることから、川口高校の存続は、重要な課題ととらえられました。こうした観点から、金山町は川口高校に対し、様々な支援を行ってきました。
 その中でも特筆すべきものが、町営の「若桐寮」の存在です。
 川口高校がある金山町は、2メートルを超える積雪もある豪雪地帯です。そのため、川口高校には、創立間もない頃から、自宅からの通学時間が2時間以上かかるなど、遠距離通学生のために「寮(寄宿舎)」が設けられています。しかしながら、この寄宿舎は、週末の金、土、日曜日には閉鎖されてしまいます。そこで、前述のような入学者数の大幅な減少傾向という現実を前に、同校が奥会津地域を含めたJR只見線沿線市町村にとっては重要な役割を担う教育機関であるという位置づけのもと、地元金山町は、他地区、県外からの生徒募集を強化するため、平成25年度、町営の若桐寮を建設しました。
 この寄宿舎は5年リースで建設され、その運営費は、リース料を含めて年間約9500万円が金山町の予算から支出されています。さらに、今年、浮桟橋の建設費を捻出した、金山、昭和、柳津、三島の4町村の同窓生が中心となって作られている後援組織の桐径会を通して、
金山町は、通学費、寄宿舎・寮食費半額補助などに充てるため、平成25年度からそれまでの倍額の支援金を支出しているそうです。まさに地元ぐるみでこの川口高校を盛り立てようという、本気の姿勢が実感されます。その結果もあり、平成24年度の入学者数が30名まで落ち込んだのを境に、平成25年度にはその倍近い58名の入学者を数え、入学者は上昇傾向にあります。
 川口高校は、こうした地元の熱意に応えるように、毎年のように国公立大学への合格者を輩出してきました。そして、「一人ひとりが光り輝く主人公」という学校のモットーに沿って、生徒の進路も非常に多岐にわたり、各界で活躍しています。

 私たちが訪問した7月21日は、ちょうど夏休みの初日でした。校内の一般教室は、さすがに人気がありませんでしたが、介護の実技指導を受けている生徒、大学進学希望者のために導入されたインターネットによる進学講座(スタディサプリ)で勉強している生徒、中東の歴史を研究している生徒など、熱心に活動している生徒がいました。そして、体育館では、男女のバレーボール部が元気に練習をしていました。
 若桐寮を見学したとき、この日から入寮するという生徒の引っ越し作業に出会いました。この生徒は、それまでは列車通学をしていましたが、1学期を経験して一人で生活ができる自信がついたということで、夏休みから徐々に生活になれようと、この日に入寮してきたそうです。その生徒が、これからの新たな生活に期待の胸をふくらませ、非常に明るい表情をして、楽しそうに荷物の整理をしていたのが印象的でした。

 第6次福島県総合教育計画では、目ざすべき教育の姿の基本目標の一つに、「学校、家庭、地域が一体となった教育の実現」を掲げていますが、川口高校に、その一つの実践例を見た思いがしました。
 福島県は日本第三位の面積を持つ県です。多彩な地域の特色があり、個性豊かな学校があります。そうしたことは、実際に行ってみて実感ができるものだと思います。多様な学校のあり方を肌で感じ、ふくしまの子どもたちの未来のために、それぞれの実情にあった快適な教育環境を整備していかなければならないと改めて感じた今回の視察でした。
 紙幅の関係で、同じ日に訪問させて頂いた大熊中学校については、触れることができませんでしたが、機会がありましたら、ご紹介させていただきたいと思います。
 この日、私たちを案内して下さった関係者の皆様、本当に貴重な機会を作っていただき、ありがとうございました。

日々の思い

「オリンピックから道徳を考える」

県教育庁義務教育課長 佐藤 秀美(さとう ひでみ)


 8月6日に開幕したリオ五輪もすでに10日が経過した。日本選手の活躍に連日テレビの前で熱い声援を送っている方も多いことだろう。そのような中、全7階級でメダル獲得という快挙を成し遂げた柔道男子日本代表。15日には井上康生監督が選手らとともに成田空港に帰国し、記者会見を行った。そのニュースから、日本代表が「最強かつ最高の選手」という究極の目標を掲げて厳しい練習を続けてきたこと、そして、選手たちはウォーミングアップ会場の掃除や次の選手の試合応援に率先して参加するなど、試合以外でも大きな成長を遂げたことなどを知り、改めて「最高の選手」という言葉に感動を覚えた。と同時に、考えさせられたのがオリンピックと道徳の関係についてである。

 ご存じのとおり日本の教育は、「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」を目指している(教育基本法第1条)。
 その基盤となるのが道徳性であり、道徳性を育てることが学校教育における道徳教育の使命となっている。例えば、自らの夢や目標に向かって努力することは、スポーツだけでなく学習においても不可欠の要素であるし、社会に貢献したいという思いは学習の強い動機付けともなる。ややもすると、道徳教育は「豊かな心」を育むためのものと思われがちだが、「確かな学力」や「健やかな体」の基盤にもなっているのである。
 道徳教育をめぐっては、昨年3月、従来の「道徳の時間」を「特別の教科 道徳」と位置付けるための学習指導要領等の一部改正が行われるとともに、答えが一つではない道徳的な課題を自分自身の問題と捉え、「考える道徳」、「議論する道徳」へと質的転換を図ることが求められた。
 私は常々、自らの生き方を方向付ける「心の羅針盤」ともいうべきものをしっかり形成し続ける営みが道徳教育であると考えてきた。子どもたちの心に深く刻まれるよう、時にはタイムリーに、効果的に、である。

 オリンピック憲章をネットで検索したところ、オリンピズムの根本原則に記載されている次の一文に出会った。「オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである。その生き方は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。」
 なるほど「最高の選手」に通じている。

 このメルマガが配信され2学期が始まる頃、スポーツの祭典はすでに閉幕しているが、子どもたちも多くの感動を胸に学校に戻ってくるに違いない。最高の素材をそのままにしてしまうのはいかにももったいない。
 授業はもとより、朝の時間やホームルームなど様々な場面をとらえ、リオ五輪のエピソードを紹介し合う、異なる文化を尊重することや平和の大切さについて考える、フェアプレーとは何かを考える、2学期の自分の目標を設定するなど、オリンピックを素材とした教育活動が数多くの学級で展開されることを願っている。

お薦めの一冊コーナー

 このコーナーでは、福島県立図書館司書の「お薦めの一冊」を御紹介します。

『奥会津』 須賀 武継/著 雷鳥社 2013

  福島県・奥会津地方の豊かな自然を写した写真集です。住民の手で護られてきたというカタクリの群生、鏡のように山を映す只見川、気候に合わせた特徴ある稲架掛け、雪に覆われた冬の夜など、春夏秋冬それぞれの景色が収められています。
  人の姿がほとんど写っていない写真のなかに、美しくも厳しい自然と寄り添うようにして暮してきた人々の生活が感じられる一冊です。

福島県立図書館
→ https://www.library.fks.ed.jp

学校自慢コーナー

 このコーナーでは、各学校の特色ある取組を御紹介します。詳しい内容は県教育委員会のホームページで紹介していますので、ぜひ御覧ください。

「豊かな地域資源(人材・環境)を生かした体験活動」

 いわき市立渡辺小学校

 今年度は、福島県「田んぼの学校・畑の学校」交流促進事業を受けて、いわき市にある双葉町立双葉南小学校と、双葉町立双葉北小学校の友達とともに米作りを体験しています。地域の「応援団」の皆様とともに植え・かかし設置・稲刈り・収穫祭を行います。
 応援の方々への感謝の気持ち、米作りの苦労、避難を余儀なくされている友達への思いやり等、米作りをとおして、子どもたちの豊かな心を育みます。

「故郷を愛し、明日の社会を担う人間としての調和のとれた生徒の育成を目指す」

 三島町立三島中学校

 本校は、平成7年に、旧宮下中学校と旧西方中学校とが統合して誕生した学校です。現在、生徒数は30名。小規模校の「強み」を生かし、生徒間、生徒と教師間の信頼関係を育み高めながら、教育活動の充実に取り組んでいます。
 また、保育所や小学校と合同の協議会や授業研究会を定期的に開催し、保育期からの成長へのかかわりを追究しています。

「未来創造探究の取り組み」

 県立ふたば未来学園高等学校

 未来創造探究は、本校が2・3年次「総合的な学習の時間」等(7単位)で取り組む活動です。
 福島県及び企業や大学等と連携し、「原子力災害からの復興」をテーマの中心に据え、6つの探究班ごとに、その原因、背景、過程の同種事例等を参考に研究・検証し、グローバルな視点で地域課題の解決や地域再生に向けて実践していきます。そして、国内外で研究成果発表や提言を行います。

お知らせ

 教育総務課にひまわりの種が届きました。調べてみると蒔き時が過ぎてしまい、現在は、来年の開花を楽しみに机上でそのときを待っています。そう言えば、『ふくしま道徳教育資料集第3集 郷土愛・ふくしまの未来へ』にも「ひまわり」が掲載されていました。みなさまの夏休みはいかがでしたか。
さて、ここからは8月のお知らせコーナーです。

県教育委員会からのお知らせ

県教育委員会ホームページ「トピックス」

 最近の教育動向及び教育委員会事業等の様子を発信しています。現在、8月8日(月曜日)に実施した「県庁に みんなの声を 届けよう!」
 プロジェクトの様子を掲載しておりますので、どうぞご覧ください。

教育総務課 024-521-7759 
→ 過去のトピックスのページ

読者投稿欄「みんなの学舎」が始まります。

 県教育委員会メールマガジン「うつくしま教育通信」では、次の投稿規定に沿って、平成28年9月号から読者投稿欄「みんなの学舎」を開設いたします。
 「みんなの学舎」は、現在、あなたが学校で出会った心温まるエピソード、あなたの学校のちょっといい話を募集します。
 現在通われている学校の自慢話、お子さまが通う学級の自慢話、懐かしい母校での思い出等、あなたの心のエピソードを紹介してください。

投稿規定

  • メールマガジン「うつくしま教育通信」の読者であれば、どなたでも投稿できます。児童生徒のみなさんが投稿する場合は、保護者の方が次のページをご覧のうえ、購読の申込みを行ってから投稿してください。
     → メールマガジンのページ
  • 毎月10日を締め切り日とし、集まった原稿の中から1編を当月号に掲載させていただきます。
  • 原稿は800字以内とします。
  • 匿名や他との二重投稿、採否の問い合わせはお断りします。
  • 掲載する場合は、こちらで添削させていただく場合があります。
  • 郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号をメール本文に明記してください。
  • 原稿は、次のアドレスにお届けください。
教育総務課 024-521-7759 
→ k.kouhou@pref.fukushima.lg.jp

県立図書館からのお知らせ

「美しい本たち ~豆本の世界~」

 期間:平成28年9月2日(金曜日)から10月5日(水曜日)
 場所:展示コーナー
 内容:
  豆本とはどんなものか解説をつけ、当館で所蔵している「みちのく豆本」等を展示しながら、装丁・装飾の美しさ、緻密さなど豆本の魅力を紹介します。

県立図書館 企画管理部 024-535-3200
→ http://www.library.fks.ed.jp

編集後記

 今月8日に、「県庁にみんなの声を届けよう!」プロジェクトがありました。小学生に県庁に集まってもらい、「福島の魅力を多くの人に伝えるためには」をテーマに議論し、その成果を内堀知事や鈴木教育長、教育委員の皆さんに発表しました。私は子供たちの議論のコーディネーターを務めましたが、「子供観光大使をつくる」、「福島検定のアプリをつくる」、「福島全体をテーマパークにする」など、ユニークなアイディアを提案してもらい、楽しい時間があっという間に過ぎました。1日を共に過ごし仲良くなった子供たちと、「また会おうねー」と別れたけれど、人生の中で二度とお会いできない可能性の方が高い。そう考えると、ふと寂しさがおそってきました。

 さて、今月は内閣改造もありました。復興大臣などが交代し、多くの人が「また代わった…」と思ったことは否めないと思います。
 馳文部科学大臣は退任にあたって、在原業平の句「ついに行く 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを」(誰しもが最後に通る道とは聞いていたが、まさかそれが自分の身に、迫ったものだとは思いもしなかった)を詠んでいらっしゃいました。そのような折に、とあるお酒の席で「高橋さんも、どうせ3年くらいで文部科学省に戻るんですよね」とグサッと言われました。私の人事は私が決めるものではないですが、冷静に考えると、そうなる確率は高いと思います。

 だからこそ、私は福島に来てから、「一期一会」という言葉を、本当に大事に思うようになりました。茶道の心得から来る言葉で、どの茶会も一生に一回のものと思い、主客ともに誠意を尽くすことです。人生はたった一度きり、そしていつ終わるか分からない。これは誰も否定できない事実。
 だからこその「一期一会」。まだまだ十分ではないとは思いますが、一日一日、一人一人との仕事を大事にしていきたい。たくさんの学校現場に行きますが、子供たちと会えるのは1回限りの可能性が高い。
 だからこそ、日々の仕事は、福島の子供たちのために真剣勝負でありたいと思うのです。

 うーん、変だな…なんだか辛気くさくなりましたが、まだ福島に来たばかりだし、この地で全力を尽くしますから!そして将来、住所が変わったとしても、一生「福島人」の気持ちですから!

教育総務課長 高橋 洋平(たかはし ようへい)

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