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2014年9月定例会 提案理由説明 佐藤雄平知事

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年12月4日更新

佐藤雄平知事

登壇者氏名佐藤雄平知事
所属会派
(質問日現在)
定例会平成26年9月
質問等

提案理由説明

 知事提出議案第1号から第65号まで

説明日9月12日(金曜日)

知事(佐藤雄平君)9月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。

 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、当面の諸課題等について所信の一端を述べさせていただきます。

 平成22年11月に県民の皆さんから再度の温かい御支援をいただき、福島県政をお預かりしてから4年が経過しようとしており、今議会が任期最後の定例会となりました。

 私の次期知事選に向けての考え方につきましては、既に表明したとおりであり、「権不十年」の信念を全うし、今期をもって身を引く決意を固めたところであります。

 顧みますと、8年前、一連の不祥事からの県政刷新という重い負託を受け、知事に就任し、公正で開かれた県政、明るく活力のある県づくり、そして未来を担う子ども・若者の育成を目指して全力で取り組んでまいりました。

 さらに、福島県に脈々と息づく地域社会と思いやり、これを着実に次世代に引き継いでいきたいとの思いから、再度の県政運営を担わせていただくことになり、そのやさきに、千年に一度と言われる東日本大震災に加え、東京電力福島第一原子力発電所の事故という未曽有の複合災害を経験いたしました。

 今回の大災害により県民の皆さんが受けた苦しみ、本県の宝である美しい自然や人と地域、人と人とのきずながこうむった影響は言葉に尽くすことができないほどであります。

 歴史上誰もが経験したことのない厳しい事態に対して、ふるさとふくしまを何としても再生させたい、県民の安全で安心な暮らしを取り戻したい、この一心で全精力を傾注してまいりました。

 しかしながら、東京電力福島第一原発において繰り返される汚染水問題など一連のトラブルが、地道に積み上げてきた再生の努力に水を差し、避難者の皆さんの早期帰還への期待を大きく損なうなど、復興を妨げる大きな足かせとなり、国や東京電力に対して強く申し入れを行うたびに歯がゆい思いをしたところでもあります。

 こうした苦難に立ち向かう勇気、元気を与えてくれたのは、県内外、多方面からいただいた真心のこもった御支援や御協力の数々であり、震災を契機として生まれた交流や新しいきずなの中で笑顔を取り戻していった県民の姿であります。とりわけ、震災の痛みを乗り越え、人のために、社会のために役に立ちたいとたくましく成長する子供たちの姿に、福島の未来を照らす希望の光を感じ、深く心を動かされました。

 困難な事態に直面することの連続でありましたが、福島の復興に向け一歩ずつ前進することができたのも、ひとえに県議会の皆さんを初め県民の皆さんの御理解、温かい御支援のたまものであり、心から感謝を申し上げる次第であります。

 改めまして、この4年間の県政執行につきましては、発災後の混乱した事態の収拾に苦慮する中、二度とこのような悲惨な事故を起こしてはならないとの強い思いから、原子力に依存しない社会づくりを目指すことを宣言し、県内の原子力発電所全基の廃炉を求めることを復興計画においてはっきりと打ち出したところであります。

 また、福島の復興に対する国の責任を明確にした法的枠組みの整備、多岐にわたる膨大な予算の獲得など、新生ふくしまを支える土台づくりを行い、法定の協議の場などを通じて国と粘り強く交渉を重ね、本県の要望を着実に国の施策に反映させてまいりました。その間、本県独自の取り組みとして、18歳以下医療費無料化や米の全量全袋検査も断行いたしました。

 さらに、県総合計画に盛り込んだ施策を全庁一丸となって着実に実施していくため、私を本部長とした新生ふくしま復興推進本部を立ち上げ、「ふくしまから はじめよう。」、この言葉のもと、13の重点プロジェクトを中心に、避難地域の復興再生、避難者の生活再建、除染、原子力損害賠償、農林水産業の再生、健康の確保、風評対策、インフラの復旧、産業の復興・集積、中小企業支援といった複雑多岐にわたる課題に真摯に向き合い、本県の復興を牽引するさまざまな拠点施設の整備にも道筋をつけました。

 こうした取り組みの一つ一つや県民の皆さんの懸命な努力が実を結び、今年度は環境創造センター、国際医療科学センターといった福島の未来を支える拠点施設が次々と着工され、年内には復興公営住宅への入居が始まるなど、復興の形が少しずつ見え始めてきております。まさに新生ふくしまの胎動を実感しているところであります。

 しかしながら、いまだに12万人を超える県民の皆さんが避難生活を送られ、真の復興実現を図る上で解決すべき困難な課題が山積している状況にあります。県内の各市町村長との意見交換の中でも、地域の活性化に向けたさまざまな問題が提起され、また、昨今全国的な話題となっている人口減少への対応も、地域の存立そのものにかかわる待ったなしの課題であります。

 そうした中、退任いたしますことは非常に心苦しい気持ちではありますが、復興実現に向けた枠組み、土台はしっかりと築いてきたつもりであります。新しいリーダーのもと、芽生え始めた新生ふくしま胎動の動きを力強く前に進め、世界に誇れるふくしま、美しく豊かな県土を取り戻して、活力と笑顔あふれるふくしまを築かれんことを切に願っております。

 今はただ、残された任期を全うすることが私に与えられた使命との思いで県政運営に最後まで全力を尽くしてまいる所存であります。県議会、そして県民の皆さんには、引き続き御支援、御協力をお願い申し上げます。

 次に、当面する県政の諸課題について申し上げます。

 初めに、東日本大震災からの復旧・復興について申し上げます。

 震災から3年半が経過し、田村市都路地区に続いて川内村の避難指示解除準備区域の解除が決定し、避難地域復興の軸となる国道6号の全面自由通行の見通しが示されるなど、復興に向けた新たな動きが出てまいりました。

 こうした中、本年6月に改定された避難解除等区域復興再生計画に、避難地域の将来像を国、県、市町村が一体となって検討することが明記され、去る8月9日の福島復興再生協議会では有識者検討会設置の報告がありました。県としても、国や関係市町村と連携をしながら、避難地域の復興のため主体的に取り組んでまいります。

 その避難地域の将来像において極めて重要な位置を占めるのがイノベーション・コースト構想であり、これはまさに浜通り地域の復興のエンジンとなるものであります。30年以上に及ぶ前例のない廃炉作業を安全かつ着実に進めるため、また、世界の英知、技術が結集された産業集積の地を実現する上で、この構想の位置づけは大変大きく、避難解除等区域復興再生計画に加え、特に私から復興大臣に強く働きかけて、国の骨太方針の中に盛り込んでいただきました。

 また、原子力災害を抱え、復興の実現に長期間を要する本県にとって、その間の必要な財源の確保を図ることは極めて重要であり、8月9日の福島復興再生協議会において、次年度の予算対策として特に緊急性の高い避難者支援の充実、再生可能エネルギーの飛躍的導入に向けた補助制度の継続・拡充、イノベーション・コースト構想の着実な推進など十の重点要望項目とあわせて、集中復興期間の延長を国に強く申し入れたところであります。その結果、先月29日に国が発表した平成27年度予算概算要求に、重点要望10項目全てが盛り込まれました。

 今後とも、形が見え始めた復興への動きをより確かなものとしていくため、本県が置かれた状況の特殊性をしっかりと国に認識していただき、必要な措置を講ずるよう求めてまいります。

 また、その前提として、復興予算を効率的に執行するため、引き続き適切かつ迅速な執行に全庁挙げて取り組み、その状況を復興の成果とあわせてしっかりと発信してまいります。

 住みなれたふるさとを離れ避難をされている12万人を超える方々の生活再建・安定に向けた対策も最優先で取り組まなければなりません。避難生活が長期化する中で、孤立化の防止や健康維持の対策がますます重要となっており、さらに仮設住宅等から新しい生活の場への移行による分散化への対応や深刻化する諸課題への対応も重要であることから、機会を捉えて、避難者へのきめ細かな支援体制の創設に必要な財源の確保を国に求めてまいりました。引き続き、避難者の健康と安全・安心を守るため、見守り・相談体制の充実強化を図ってまいります。

 また、現在、11月の入居開始を目指して準備を進めております復興公営住宅につきましては、快適な住環境を迅速に提供できるよう全力で取り組んでいるところであります。入居に際しては、コミュニティ交流員を配置し、交流活動の拠点となる集会所を併設するなど、住民がふるさとへの思いを持ち続け、周辺地域の方々ともきずなを深めていけるよう配慮してまいります。

 さらに、避難指示解除後に帰還する方が安心して日々の生活を送れるよう、商業施設の再開に向けた支援、中高一貫校などの教育環境の整備や医療体制の確保に向けた準備も進めてまいります。

 中間貯蔵施設につきましては、国との粘り強い交渉の結果、先月の8日、県外最終処分の法制化、用地の取り扱い、県や立地地域等がその実情に応じて幅広い事業に活用できる、総額3,010億円の自由度の高い3つの交付金を含む生活再建・地域振興等の内容が提示されました。

 また、町が懸念する課題に最大限対応するため、県独自の財政措置の枠組みを設ける考えを私から大熊・双葉両町長に示し、両町の議会全員協議会や行政区長会において説明をいたしました。

 その上で、施設の安全性や国から示された地域振興策等を精査・確認して、地元には長期間にわたり大変重い負担を強いることになりますが、一日も早い環境回復を図り復興を実現するため、広域自治体の長として施設の建設受け入れを容認するという苦渋の決断を行ったところであります。その考えを両町長、両町議会議長、さらに双葉郡の町村長の皆さんにお伝えをし、両町長からは私の考えを重く受けとめるとの御意見をいただきました。

 これらを踏まえ、今月1日、環境・復興両大臣に建設受け入れの容認を伝えるとともに、地権者にわかりやすく丁寧な説明を行うこと、建設受け入れと搬入受け入れの判断は別であり、県外最終処分の法案の成立など、搬入受け入れを判断するに当たっての五条件を付することを申し入れ、また、安倍総理には、避難地域の将来像を示すことや長期にわたる地域振興策等への対応を強く要請したところであります。

 中間貯蔵施設は、除去土壌や除染廃棄物の早期搬出、除染の加速化に欠かせない一方、施設や輸送に関する安全確保対策などの課題にしっかりと対応していく必要があります。このため、速やかに生活環境部に中間貯蔵施設等対策室を設置をして、国や関係市町村と連携をしながら、環境回復に向けた取り組みを引き続き推進してまいる考えであります。

 昨年の本県への観光客数は、NHK大河ドラマの効果もあり、震災前の8割まで回復いたしましたが、教育旅行は4割にとどまっており、東京電力福島第一原発でのトラブルが報道されるたびに観光地ではキャンセルの対応に苦慮するなど、原発事故に伴う風評はいまだ払拭されていない状況にあります。

 さらには、震災の記憶が徐々に薄れ、今なお原子力災害下にある福島が過去のものとして忘れ去られていくことにも危機感を抱いており、風化防止対策の必要性を強く感じております。

 7月に佐賀県で開催された全国知事会の席上、そうした本県の実情を申し上げたところ、埼玉県の上田知事から、本県への教育旅行の推進など取り組みの紹介とともに、各県知事に対して改めて被災県に対する支援協力の継続を呼びかけていただきました。

 福島県といたしましても、これまで支援をいただいた全国の自治体や民間団体等に対して、感謝の気持ちと本県の復興の姿を伝えるための訪問活動や、本県を応援する企業や団体を全国にふやしていくための取り組みをこの夏から開始したところであります。

 また、来年のデスティネーションキャンペーン本番に向け、本県が有する宝をさらに掘り起こして磨きをかけ、被災地を含めた県内3つの地方を横につなぐ商品づくりを進めるなど、全国の皆さんから、「ふくしまに来て、見て、感じて、良かった」と思ってもらえる最高のおもてなしを展開してまいります。

 こうした重層的な取り組みを通じて、福島に対する応援の輪をさまざまな地域・分野へと広げ、本県の魅力や「今」についての正確な情報の発信、震災の記憶や教訓の未来への継承、ひいては風評の払拭や風化の防止につなげてまいりたいと考えております。

 そして何より、廃炉の取り組みが安全かつ着実に進められることが本県復興の大前提であり、風評の大きな要因となっている東京電力福島第一原発における汚染水問題等について、国及び東京電力の取り組みを引き続き厳しく監視してまいります。

 本県の復興を牽引するための大きな柱の一つであります再生可能エネルギー関連産業の集積につきましては、4月に開所いたしました福島再生可能エネルギー研究所を中心に、産学官連携による研究開発や技術支援を行う一方、発電設備の積極的な導入を進めており、国に強く制度改正を求めた結果、津波被災地域だけでなく、内陸部の原発被災地域においても農地転用の特例が受けられることになり、川俣町と川内村でのメガソーラー建設が可能となったところであります。引き続き、再生可能エネルギーの飛躍的推進を図り、エネルギーの地産地消による持続可能な社会づくりに努めてまいります。

 もう一つの柱であります医療関連産業につきましては、今月、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州との間で連携強化のための覚書を締結したところであり、県立医科大学に整備を進めている医薬品の研究開発支援拠点や、今後整備予定の医療機器関連産業支援拠点の取り組みとあわせて、国際市場を視野に入れた医療関連産業の育成・集積を推進してまいります。

 また、生産年齢人口の減少等により、産業のあらゆる分野で人材不足が懸念されていることから、就職相談窓口の機能強化を図り、県内企業の人材確保を支援するとともに、先月設立いたしました産学官の連携組織において、将来の本県産業を担う人材を効果的に育成していくための検討を行ってまいります。

 7月以降、桃や夏野菜などの本格的出荷が始まり、東京の大田市場や首相官邸に出向いて、そのおいしさをしっかりと伝えてまいりました。取引価格の面ではまだ震災前の水準まで回復したとは言えない中、昨年までと比べて風評が相当払拭されてきているとの話を伺い、福島県の果物、野菜のすばらしさ、安全性に対する評価が着実に高まっていることを実感いたしました。

 また、原木シイタケを初め避難地域で生産された花卉や野菜の出荷が再開され、水産業では試験操業の対象が51魚種までふえるなど、農林水産業に携わる皆さんのたゆまぬ努力が実を結び、着実に本県の基幹産業が復活しつつあると感じております。

 こうした流れをより確たるものとするため、復興・再生に向けた取り組みと同時に、農地の集積や担い手の育成、地域産業六次化のさらなる推進など、本県の農業経営基盤を強固なものとし、力強い農業を実現していく取り組みにも引き続き力を注いでまいります。

 さらに、風評の払拭や農業振興を図る上で農産物の輸出は重要と考えており、インドネシアへの桃、梨の初出荷、シンガポールへの米輸出再開などを足がかりに、海外市場の開拓をさらに進めてまいります。

 人口減少問題につきましては、全国の自治体の半数が消滅するとの衝撃的な報告がなされ、7月の全国知事会においても少子化非常事態宣言が行われました。

 私は、就任当初から、東京への一極集中の是正と交流人口の増大の必要性を訴え、企業誘致や定住・二地域居住の取り組みを進めてまいりました。また、本県では震災の影響で少子化と高齢化が加速し、その対策が急務の課題となっていることから、人口減少・高齢化対策プロジェクトを県総合計画の最重点事項に掲げたところであります。

 先日、都市住民の3割が農山漁村に定住したいとの内閣府の統計結果が示されました。このような都市部の住民を呼び込み、県外への流出を防いで定住人口の増加につなげていくためにも、産業復興による雇用の創出や子育てしやすい環境づくり、高齢者が生き生きと暮らせる地域づくりを相互に連携させ、一体的に推し進めていくことが重要であると考えております。このため、そうした取り組みを効果的に進めるための体制づくりを行い、国における地方創生の動きにもしっかりと対応してまいります。

 JR只見線につきましては、生活を支える足としてはもちろんのこと、観光や過疎化対策などの地域振興にも欠かせない交通基盤であり、引き続き利活用のさらなる促進に努めるとともに、早期全線復旧に向けて取り組んでまいります。

 次に、平成25年度の決算について申し上げます。
 
平成25年度の予算につきましては、あらゆる方策を講じて財源を確保しながら、総合計画や復興計画に基づいて一日も早い復興・再生の実現を図るために編成をし、新たな課題に対処するため八度にわたる補正予算を編成してまいりました。

 この予算を執行するに当たりましては、例年以上に経費の節減・合理化を心がけ、実施に移すなど、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。これにより、一般会計の実質収支は105億1千万円となったところであります。

 提出議案について御説明を申し上げます。

 平成26年度一般会計補正予算案につきましては、東日本大震災からの復旧・復興のために要する経費など、緊急に措置すべきものを計上いたしました。

 その主な内容といたしましては、除染のさらなる推進を図るための市町村に対する交付金の増額を初め県外避難者の帰還や生活再建を支援するための経費などを計上いたしました。

 これによる一般会計補正予算の総額は551億8,100万円となり、本年度予算の累計は1兆8,288億2,700万円となります。

 特別会計等補正予算案につきましては、母子寡婦福祉資金貸付金特別会計など7会計につきまして、それぞれ所要の経費を計上いたしました。

 その他の議案といたしましては、条例が福島県いじめ問題調査委員会条例など14件、条例以外の議案が工事請負契約についてなど43件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。

 慎重に御審議の上、速やかな議決をお願い申し上げます。

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