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2014年12月定例会 代表質問 長谷部淳議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年2月23日更新

長谷部淳議員

議員

長谷部淳

所属会派(質問日現在)日本共産党
定例会平成26年12月
質問等代表質問
委員会開催日12月9日(火曜日)

 26番(長谷部 淳君)日本共産党の長谷部淳です。日本共産党県議団を代表し、知事に質問をいたします。

  2年前と同様、今議会は総選挙の真っただ中での開催です。2年前は、民主党が国民を裏切り続けた上に自民党型政治に舞い戻り、消費税増税と社会保障改悪の一体改革の今につながる悪政を民自公で談合した「政権交代見放され解散」でした。

 今回は、第2次安倍政権のもと、その談合どおりに推し進める消費税増税と社会保障改悪政治が行き詰まった中での総選挙です。しかも、自民党はかつての保守党としての自民党ではなくなり、小選挙区制度とも相まって、全くの右翼政党、全体主義政党と変貌しています。

 特定秘密保護法制定・施行、武器輸出三原則の廃止、集団的自衛権行使容認などは、戦争できる国家体制づくりであり、医療、農業、大学教育における大規模な規制撤廃と新たな国家介入、賃金と雇用条件を大幅に下げる労働規制改革、年金、医療、介護の社会保険給付と生活保護の大幅な同時削減などは、グローバル競争国家づくりそのものです。これが安倍首相の言う「この道しかない」国家の姿であり、この道に先はありません。行きどまりです。

 これらは、戦後保守政治が合意してきた立憲主義、議会制民主主義、不可侵の基本的人権、海外派兵禁止、武器輸出三原則、教育の政治的中立性、地方自治、大学自治などを「戦後レジーム」と言って否定し、ことごとく覆す試みであり、これが行き詰まったために、任期満了まではもたないと見て、圧倒的多数の議席を持ちながら、支持率がこれ以上下がらないうちに解散に打って出たというのが今回の選挙の真相だと思います。

 私たちは、大企業・大富豪減税による減収埋め合わせのための消費税増税は先送りではなく中止し、消費税に頼らない別の道に転換することで社会保障と財政を立て直し、憲法九条を生かす政治実現のため、安倍政権を退陣させる審判を下すことを強く訴えます。

 さて、原発震災から3年9カ月がたとうとしています。福島原発事故などなかったかのように、原発をベースロード電源と位置づけ、再稼働、輸出を推進する政府を再び生み出してはなりません。

 そこで、幾つか伺います。

 知事は当選直後、メディアに対し、「原子力に依存しない社会をつくろうとのメッセージを国内外に明確に発信していく。」と述べました。

 そこで、オール福島の願い実現を訴えて歩かれた知事が原子力に依存しない社会づくりについて国内外にどのようなメッセージを発信していくのか、具体的な内容をお示しください。

 知事選中、多くのいわき市民、県民との対話では、「除染の処理もままならず、事故収束のめども立たず、長期の避難者の暮らし再建のめども立たず、事故の原因もわからないのだから、県外原発の再稼働についてもはっきりと物が言える人が福島の代表になってほしい。」という声が圧倒的でした。現に東北大学がことし5月から8月にかけて行った岩手、宮城、福島、茨城4県の意識調査によると、原発再稼働については反対とする福島県民が69.8%に上ったことにも明瞭に示されています。

 こうした中、政府は九州電力川内原発の再稼働を突破口に全国の原発再稼働を狙っています。福島原発のような重大事故を防ぐ対策も万一の場合の避難計画も整っていない川内原発の再稼働には、はっきりと反対の意思を示すべきです。県の考えをお示しください。

 福島にとって、廃炉・汚染水対策の確実な進展と原発事故収束が一人一人の県民の人間としての復興の前提です。国は「前面に立つ」と言っているものの、トラブルなどで会見に顔を出すのは東京電力であり、国の姿が見えないのが県民の実感です。

 私は、国があらゆる作業の立案、実行、評価、改善、そして結果を出す責任を持った現地対策本部を確立することを県として求めるべきと思いますが、見解をお聞かせください。

 苛酷な廃炉作業現場で作業に携わる原発労働者について伺います。

 改めて原発労働者に対する危険手当、正当な賃金が支払われることが確実に確認できる仕組みを東電がつくるよう、国に指導を強く求めるべきですが、県の考えをお示しください。

 さらに、東電の作業員アンケートでも、3割近い回答者が偽装請負の疑いがあり、ピンハネが発生する原因が多重下請構造にあることは明らかです。この構造を解消し、当面は東電、最終的には国が直接雇用し、原発労働者の処遇を抜本的に改善するよう国に求めるべきですが、考えをお聞かせください。

 中間貯蔵施設の設置にかかわって伺います。用地確保について、国は原発事故で下落した評価額を基準にしているようです。評価額を下落させた原因をつくったのは、国策として原発推進をした国です。その責任を棚上げして県が差額を補填するとすれば、県が国の無責任を容認することにほかなりません。

 私は、用地確保の費用を含め、住民生活再建、地域振興など、中間貯蔵施設にかかわる全ての費用は原因者である国が負担すべきとする毅然とした県の姿勢を求めますが、見解をお示しください。

 また、放射能汚染土壌の搬入に当たっては、搬入路沿線住民から飛散による新たな被曝や、交通事故多発の不安が寄せられています。国の実施計画策定に当たり、除去土壌などの搬入に当たっての飛散防止策、搬入路の整備、通行量の増大への安全対策に万全を期す必要がありますが、県の考えをお示しください。

 次に、再生可能エネルギーの飛躍的推進にかかわって伺います。

 県は、推進ビジョンやアクションプランにおいて、県民が主役となり、県内で資金が循環し、地域に利益が還元される仕組みを構築するとしています。再生可能エネルギー普及の推進にとって、私もこの仕組み構築が不可欠だと思います。

 他県においては、条例や補助制度でこれに取り組む例もあるようです。県は、地域に存在するエネルギーは地域固有の資源であるとの認識に立ち、そのエネルギー資源の活用を図る地域主体を支援する制度や、住民と企業が共同で進める事業の推進のための仕組み、その収益を地域づくりに使用する事業への支援など、市町村とともに再生可能エネルギー普及推進を図るべきだと思います。

 そこで、地域主導による再生可能エネルギー推進にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお聞かせください。

 さて、安倍首相は先月18日、来年10月の消費税率10%への引き上げを18カ月先送りし、2017年4月に再増税することを明言しました。アベノミクスは確実に成果を上げていると見える安倍首相にとっては、もうけをふやしてため込みをふやす大企業と、株高で潤う大資産家と閣僚だけが眼中にあるようです。

 東北大学の震災復興センターの調査によれば、被災地に本社を持つ企業の業績に悪影響を与えたことのトップは4月の消費税8%増税で、人手不足、人件費高騰の44.1%、資材不足、資材費高騰の36.7%を上回り、49.8%でした。こうした県内中小企業や県民の暮らし、復興事業などへの影響も大きいと思いますが、データ的に明らかにすることは難しいようです。

 そこで、一例として、県立病院において消費税8%に増税されたことによる影響額、さらに10%にされた場合の影響額をお示しください。

 そもそも消費税は、1989年に導入されて以来、社会保障の拡充のために使われるなどということは全くのでたらめです。導入以来25年、医療でいえば、サラリーマンも高齢者も窓口負担はふやされ、年金は削減され、国保税も年金保険料もふやされ、特養ホーム待機者は増大し、これからも後期高齢者医療保険料の負担増、入院給食費の値上げ、介護保険の要支援者外しや負担増などが次々と実施に移されようとしています。被災者の暮らしを一層窮地に追い込み、中小企業の復興を阻害するさらなる消費税増税は中止すべきことを県として国に求めるべきです。考えをお示しください。

 次に、福祉型県づくりにかかわり、医療・介護総合法対応、特に市町村事業である介護保険と地域包括ケアシステム構築への県の支援について伺います。

 とりわけ要支援サービスの新総合事業への移行については、住民、利用者、事業者、そして行政が十分に理解し、合意の上で進めなければなりません。その移行には猶予期間があり、市町村によっては来年度ではなく、3年後の2017年4月とするところもあると思います。

 そこでまず、新しい総合事業への市町村の移行予定についてお示しください。

 市町村が結果として十分な準備、検討期間を置くことなく拙速な実施とならないことが必要です。新総合事業への移行に対し、県は市町村へどのように支援していくのかお示しください。

 また、移行に当たっては、要支援者への訪問介護、通所介護を単に住民ボランティアなどへの多様なサービスに置きかえるだけであってはなりません。現行サービスに加え、新たなサービス、資源を創出できるよう市町村を支援すべきと思いますが、県の考えをお聞かせください。

 要介護認定にかかわって伺います。

 政府のガイドライン案によれば、介護保険制度上の要支援者を減らし、要支援状態の高齢者を多様なサービスに流し込む意図があるようです。新総合事業においても、要介護認定の申請は被保険者の権利と思いますが、県の考えをお聞かせください。

 次に、地域包括ケアシステムの構築についてです。医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供されるのがこのシステムで、医療が冒頭に置かれているように、医療が重要なことは言うまでもありません。

 そこで、市町村の地域包括ケアシステム構築に当たり、在宅医療、介護連携の取り組みには県も主体的にかかわるべきだと思いますが、見解をお聞かせください。

 また、原発事故避難者が多く住む市町村における地域包括ケアシステムの構築についても、県の役割はより一層大きなものがあると思いますが、どのように進めるのかお聞かせください。

 さらに、このシステムの中でも中核機関と位置づけられる地域包括支援センターの整備についてです。

 昨年の9月議会で保健福祉部長は「実際に中学校区単位で30分で駆けつけられるところにきちんと整備されているかどうか、町村の御意見も聞きながら今後御指導、御相談する。」と答弁されました。事は急を要すると私は思いますが、地域包括支援センター整備についてどのように市町村を支援していくのか、県の考えをお聞かせください。

 次に、子供の貧困対策について伺います。

 子どもの貧困対策の推進に関する法律、いわゆる子どもの貧困対策法が昨年6月に議員立法で衆参両院とも全会一致で可決され、ことし1月に施行、8月には国により、教育、生活、保護者の就労、経済的支援の4分野での支援を柱とする大綱が定められました。

 貧困率削減などの具体的数値目標が盛り込まれず、財政上の措置にも言及されないもので、その実効性は未知数とも指摘されています。県として、国が定めた大綱により、計画づくりと実効ある施策展開が求められますが、その受けとめと準備状況をお示しください。

 ことし7月に厚生労働省が発表した子供の相対的貧困率は、2009年の15.7%よりも悪化し、2012年で16.3%、全体の貧困率16.1%を上回りました。社会のひずみや矛盾が子供たちにより集中して影響する社会構造になってしまっているのではないかとする指摘もあります。いずれにせよ、6人に1人の子供が貧困という現実は本県にとっても無関心ではいられません。

 ところが、現実問題として、経済的に追い込まれている家族は地域からも親族からも孤立し、苦しい現状を社会に訴えるどころか、昨今の生活保護バッシングのような批判を恐れてSOSさえ発せられません。そのために、子供の貧困は見ようとしなければ見えないとも言われます。それだけに、子供の貧困の見えにくさを解消し、子供の貧困の見える化を図らなければなりません。

 そこでまず、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置による子供たちや親たちからの具体的相談内容から、子供の貧困の視点でどんな役割を果たしているのかお聞かせください。

 大綱では、児童養護施設等を退所した子供のアフターケアの推進が記されています。児童養護施設などの施設及び里親宅を離れた後の子供たちの独自の調査を行っている自治体も全国にはあるようです。

 そこで、児童養護施設などの退所児童を支援するため、進学、中退の状況、雇用形態、経済生活などの実態調査が不可欠と思いますが、県の考えをお聞かせください。

 また、大綱では子供の居場所づくりに関する支援等についても触れています。孤立しがちな親たちや子供自身が住む地域に居場所づくりは不可欠と思います。家族だけで問題を抱えてしまう事態をなくし、支援を必要とする家族や子供を把握しやすくし、コミュニティーや社会全体で孤立や分断化を防ぐことにもつながる居場所づくりです。

 こうした居場所づくりは、児童相談所や福祉事務所などの行政機関や学校、保育所、民間団体などによる官民共同のネットワーク構築と同時にすべきだと思います。県は、来年度の組織改定でこども未来局を設置する方針です。こうしたさまざまな分野にわたる子供の貧困対策は、切れ目のない子ども・子育て支援と青少年の健全育成を総合的かつ一体的に推進する一環として、こども未来局において取り組むべきと考えます。

 そこで、子供の貧困対策をこども未来局において所掌すべきと思いますが、県の考えをお示しください。

 次に、子ども・子育て支援新制度について伺います。

 私は昨年、この制度の余りの複雑さ、そのために問題点も内容も知られないまま実施されようとしていること、津波、原発避難の子供たちを抱える市町村の困難さなどから、実施の延期、凍結を含めて国に求めるべきと言いましたが、担当理事は「県が求めた本県の実情に応じた弾力的な取り扱いが基本方針に盛り込まれたから、来年度開始へ向け準備を進める。」と答弁されました。

 そこで、現在その弾力的な取り扱いとはどのように生かされているのかお聞かせください。

 市町村は、国が示したスケジュールに沿い、子ども・子育て会議を設置し、昨年12月までにはニーズ調査を終え、ことし3月までには幼児教育、保育の量の見込みを検討し終え、確保方策などの検討を踏まえて、子ども・子育て支援事業計画を策定した上で条例化などの準備作業を進めていると思います。県は市町村の準備状況をどのように把握しているのかお示しください。

 ニーズ調査では、保育所による保育を希望する住民が多いと聞きますが、市町村としては、そのニーズによる保育所の不足が生じないように事業計画を立てなければならず、これまで以上に保育所を確保する義務が課せられたと思います。

 また、児童福祉法では、これまでは保育所に入れない待機児童を想定して必要な代替策を求めていましたが、この規定が削除されました。待機児童を生み出してはならず、利用者の権利性が高まったとも言えそうですが、新制度で保育所がふえる国による保証は全くありません。むしろ国としては、保育所の条件を緩和して、適用する地域型保育給付の対象事業をふやすことで受け皿づくりを進め、今まで以上に待機児童問題を曖昧にする意図が感じられます。

 待機児童については、児童福祉法第24条1項を基本に据え、何らかの保育は利用しているが、本来希望していた保育所に入れなかった子供、希望したけれども、どの保育も受けられなかった子供を県としても地域別に把握して明らかにすべきだと思います。

 そこで、待機児童について、保育における市町村の責任が果たせるよう保育所の提供体制の確保方策をどのように支援するのか、県の考えをお聞かせください。

 さらに、私が危惧するのは市町村の事務負担の増加です。これまでも市町村によっては、保育所入所受け付けの事務にほかの課などの応援を頼んでいたと聞きます。新制度では、保育所だけでなく、直接契約施設、事業所の利用申し込みも受け付け、選考や利用調整、支給認定事務も加わります。

 そこで、新制度の円滑な導入に向け、市町村をどのように支援していくのか、県の考えをお聞かせください。

 次に、農業問題です。

 「景気回復を国の隅々まで実感してもらう。」と首相は言うが、どこの国の話だ。「景気を回復させるなら米価を上げてほしい」。農家の切実で当然の悲鳴です。例えば昨年産米から4割近く下落し、60キログラム6,900円の概算金となった浜通りコシヒカリは、500ミリリットルペットボトルに入れると46円です。水より安い。これが量販店で5キログラム1,300円で売られたとしても、茶わん1杯20円以下です。

 大量の水を使い、種まき、田植え、施肥、草刈りなど半年をかけて収穫する米がこの値段です。地方創生どころの話ではありません。返す見込みもない中での融資だけでは不十分です。米価下落を受けて、稲作農家への緊急的な所得補償をすべきと思いますが、県の見解をお聞かせください。

 今年産米下落の直接的要因は前年産米の過剰ですが、最大の問題は、過剰になることがわかっていながら、2018年をめどに米の生産調整を廃止することを昨年11月に決定し、価格安定策をとろうとしない市場任せの国の姿勢にあることは明らかです。国は、過剰米市場隔離や備蓄米をふやすなど需給調整に直ちに乗り出すこと、そして半減した米直接支払交付金をもとの15,000円に戻すべきです。

 そこで、米の実効ある需給調整を行うよう国に求めるべきと思いますが、県の考えをお聞かせください。

 農家、農村、農業をこうした事態に陥れておきながら、現在政府が中心的に目指しているのが農業の競争力強化の名による市場原理の全面的な導入です。農業の大規模化や企業参入をその手段として促進しようというわけです。ことしに入り、政府の規制改革会議が財界側委員の主張をそのまま取り込み、家族農業を基本とする戦後農政の中心に据えられてきた農業委員会、農業生産法人、農協の制度を実質的に解体し、戦後の農政を根本から覆そうとしています。

 一昨年は、国連が定めた国際協同組合年でした。多国籍化した巨大企業による支配が強まり、各国の消費者、小生産者、市民が圧迫される中で、弱者が力を合わせ、連帯して協同組合を発展させる取り組みを訴えました。ことしは、国連が定めた国際家族農業年です。家族農業こそが世界の農業の土台であり、飢餓の解消や環境の保全、伝統文化の継承にすぐれているとして、各国の家族農業への正当な評価と支援を呼びかけたものです。農業と地域社会の崩壊が広がる日本でこそ、国際家族農業年の呼びかけが実践されるべきです。政府の農業改革における農業協同組合などの見直しは、世界のこうした流れに逆行するものです。農業改革に当たっては、農業の競争力強化、効率優先の立場ではなく、あくまで組合員や農業者が主体となるべきです。

 そこで、地域農業と農家経営を守る立場からの改革が行われるよう県として国に求めるべきですが、見解をお示しください。

 次に、教育委員会の今後の活性化について伺います。

 ことし6月、安倍第2次政権のもとで地方教育行政法が改定され、教育委員会制度が変わることになります。一方で、戦後教育員会制度がつくられた3つの基本方針、すなわち「教育の民衆統制」「教育行政の地方分権化」「教育行政の一般行政からの独立」は不変です。ところが、これらを空洞化させようとしてきた歴代政府の教育行政が教育委員会制度の形骸化と言われる事態を招いた原因であることも明らかです。

 そこで、新しい教育委員会制度においては、この3つの基本方針に即し、活性化を図るべきと思いますが、県教育委員会の考えをお聞かせください。

 制度が変わった点では、教育委員長がいなくなり、その権限が知事に任命される教育長に吸収され、教育委員が教育長を罷免する権限もなくされた結果、知事の腹心の部下である教育長が教育行政を掌握することが仕組み上は可能となりました。しかし、国の通知によっても、合議制の執行機関として教育委員会の位置づけは明確であり、教育長の独走が許されるわけではありません。

 そこで、新しい教育委員会制度における新教育長に対し、教育委員会の委員による教育長に対するチェック機能を強化すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお示しください。

 もう一つ変わった点が知事による教育の振興に関する施策の大綱策定の義務づけです。仕組み的には、知事に決定権を与え、権限のないことまで盛り込めるようになりました。しかし、知事から独立した意思決定機関として教育委員会が存在する以上、知事が勝手に大綱づくりをできるはずがありません。知事は、知事の独断でも国言いなりでもなく、住民合意を大切にした大綱を創造的に策定すべきです。

 そこで、大綱の策定について県の基本的な考えをお聞かせください。

 変わった点の3つ目が知事と教育委員会との協議調整の場となる総合教育会議の設置です。知事の大綱策定時などは不可欠な場となりますが、この場は知事サイドの機関ではなく、国の通知によっても対等な執行機関同士の協議調整の場とされ、したがって、ここでも知事や教育長の独断が許されない運営が必要となります。

 そこで、総合教育会議についてどのように運営していくのか、県の考えをお示しください。

 次に、県警に伺います。

 国費と県費を合わせた捜査費の決算額は、2000年度は1億1,500万円余りだったものが、2013年度は3,600万円余りと8,000万円近い減額です。減額の要因をお聞かせください。

 また、捜査費が個々の捜査員にどのように配分されているか、また、保管や支出管理がどのようにされているかお示しください。

 そして、捜査費に関する今後の管理のあり方をお示しください。

 捜査二課において、今年度に入って3人の自殺者は異常事態です。県民に納得のいく原因究明と職場環境の根本改善について、県警としての対応をお聞かせください。

 最後に、憲法にかかわって伺います。

 知事は1986年、憲法99条に基づき、憲法遵守の誓約をして自治省に入省されたはずであります。その憲法が政府によって投げ捨てられようとしている現実があります。憲法99条を国民の面前で破壊することをはばからない人々が政府を構成する驚くべき事態です。

 原発事故によって、福島県民は生存権、健康権、個人の尊厳、幸福追求権、財産権を奪われ、それぞれ憲法25条、13条、29条をよりどころにその回復を求めています。

 ことしは、日本国憲法、特に第九条を今まで保持している日本国民がノーベル平和賞にノミネートされ、今後も世界的に受賞のための運動が展開されます。また、憲法は地方自治を独立した第八章として設け、団体自治と住民自治が含まれる地方自治の本旨を発展させる条件を指し示しています。道州制は、これを破壊するものです。

 今では、自治体によって意見が分かれていることを理由に、平和や憲法をテーマにした市民活動や表現活動に対して公民館を使用させないとか、公民館だよりに憲法九条を題材にした市民の作品掲載を拒否するとか、憲法99条どころか、19条の思想の自由、21条の表現の自由を侵す自覚がない行政の不穏な事態すら散見されます。

 原発震災で侵害された県民の人権回復のよりどころともなり、平和国家の前提となる地方自治の再生のよりどころともなる現行憲法に対する知事の認識を伺いまして、私の質問を終わります。

議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)長谷部議員の御質問にお答えいたします。

 原子力に依存しない社会づくりについてであります。

 間もなく東京電力福島第一原発事故から3年と9カ月が経過をしようとしています。本県では、住みなれたふるさとを離れ、県内外に避難を余儀なくされている12万人余りの県民の切なさ、いわれなき風評に苦しんでいる農林水産業や観光業関係者の憤り、子育てを行っている方不安など、その厳しい影響は県内全域に及んでいます。

 私は、原子力災害に今も見舞われている福島県の知事として、こうした現実や廃炉・汚染水対策のおくれ、原発の安全管理の困難性など、事故の現状と教訓を踏まえ、二度とこうした事故を起こしてはならないというメッセージを国内外にしっかりと発信し、次世代へと継承していくことが使命であると考えております。

 その上で、引き続き原発事故の早期収束と県内原発の全基廃炉を国及び東京電力に対して強く求める一方、再生可能エネルギーの飛躍的な推進を図り、本県復興の基本理念である原子力に依存しない社会の実現に向けて全力で取り組んでまいる考えであります。

 次に、憲法認識についてであります。

 日本が戦後、今日の平和と繁栄を手にすることができたのは、国民のたゆまぬ努力はもちろん、三つの基本原則を掲げた憲法の制定が国民の精神的支柱になるとともに、平和を希求する国家として国際社会からの信任を得たことが大きかったためであると認識をしております。

 また、地方制度は地方自治の本旨に基づくべきことを明確に規定しており、地方分権や住民主体の地域づくりが一層求められる中、大切な存在意義を有しております。

 私は、こうした現行憲法の精神を原点として、一人一人が生きがいと幸せを実感できる豊かな県づくりを推進し、震災と原発事故からの復興と県政のさらなる発展に全力を尽くしてまいる考えであります。

 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。

総務部長(鈴木正晃君)お答えいたします。

 さらなる消費税増税につきましては、現下の経済状況等を踏まえ、18カ月先送りされることが表明されたところでありますが、我が国の最重要課題である震災からの復興・再生への歩みが滞ることのないよう、国において被災地の復興に与える影響等に十分配慮の上、判断されるものと考えております。

 次に、子供の貧困対策につきましては、現在保健福祉部など関連する各部局で取り組んでいるところでありますが、新年度においては、新設予定のこども未来局を中心に進めてまいりたいと考えております。

 次に、教育の振興に関する施策の大綱につきましては、教育基本法に規定する基本的な方針を参酌しながら、地域の実情に応じて策定することとされており、新たに設置する総合教育会議の場において教育委員会と十分に協議調整を図ることとされております。

 今後、大綱策定の具体的な進め方等について検討してまいる考えであります。

 次に、総合教育会議につきましては、知事と県教育委員会が十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有し、より一層民意を反映した教育行政の推進を図るといった今回の制度改正の趣旨を踏まえ、今後具体的な会議の運営方法等について検討してまいる考えであります。

企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 川内原発の再稼働につきましては、東京電力福島第一原発事故の影響により、12万人余りの県民が避難を余儀なくされている本県の厳しい現状を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先にして、国の責任において検討されるべきものと考えております。

 次に、再生可能エネルギーの推進につきましては、地域が主体となった事業化を推し進め、これを地域活性化につなげていくことが重要であると考えております。

 このため、地元企業参入促進に向けた人材養成講座の開設や専門家の派遣、地元間伐材の木質バイオマス燃料としての活用支援、さらには避難地域における売電益を財源としたふるさと再生事業を要件とする国庫補助制度の活用など、地元企業や地域が参加しやすい環境づくりを図りながら、地域主導による再生可能エネルギーのさらなる推進に積極的に取り組んでまいる考えであります。

生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 国の現地対策本部につきましては、廃炉・汚染水対策現地事務所や現地調整会議が対策の進捗管理や現場の状況確認を行い、東京電力に対し必要な指示を行っております。

 県といたしましては、廃炉に向け、国が前面に立ち、世界の英知を結集し、総力を挙げて安全かつ着実に進め、確実に結果を出すよう、また、対策の進捗状況や効果などについて県民に対してわかりやすく説明を行うよう、現地の体制を含めた体制の充実強化を引き続き求めてまいる考えであります。

 次に、労務費割り増し分等の支払いにつきましては、東京電力において、元請業者へのヒアリングや作業員への就労実態に関するアンケートを実施しており、このアンケート結果においては、支払いの説明を受けていない等の回答が依然あることから、県といたしましては、今月3日に開催した県の労働者安全衛生対策部会において、東京電力に対して、労務費割り増し分や賃金が適切に支払われるよう、関係事業者と一体となり取り組むことを、また、国に対して指導監督の徹底を求めたところであり、引き続きこれらの取り組み状況を確認し、必要な申し入れを行ってまいる考えであります。

 次に、原発労働者につきましては、労働者安全衛生対策部会等において、労働条件の明示等による雇用の適正化や作業環境の改善に取り組み、労働者が安心して働くことができる環境を整備するよう東京電力に求めるとともに、国に対しても事業者への適切な指導監督を求めてきたところであり、県といたしましては、引き続き労働者が安定的に、かつ安心して働けるよう、事業者への指導監督の徹底を国に求めてまいる考えであります。

 次に、中間貯蔵施設に係る費用につきましては、施設の設置者である国の責任において措置すべきものと考えており、建設・管理運営等に係る財源はもちろん、施設の整備等による影響緩和のための生活再建・地域振興策についても、新たな財政措置が県及び大熊・双葉両町に対し国から提示されております。

 なお、中間貯蔵施設は本県の環境回復を図るため大変重要な役割を果たす一方、地元に大変大きな負担を強いることから、県としても、両町がさまざまな課題に迅速に対応できるよう、新たな交付金を措置することとしたところであります。

 次に、輸送の安全対策につきましては、国が先月策定した輸送の基本計画において、安全かつ確実な輸送の実施を初め輸送の基本原則が示され、輸送や積み込み、荷おろしの手段、住民の生活環境や一般交通等への影響に係る対策等について実施計画で定めることとしております。

 県といたしましては、市町村を初め県の専門家会議の意見も伺いながら、国の連絡調整会議等において協議検討を行い、実施計画において、輸送の安全・安心が確実に確保されるようしっかり取り組んでまいる考えであります。

保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 要支援サービスの新しい総合事業につきましては、準備期間を考慮して、実施可能な市町村から移行を開始し、平成29年度には全ての市町村で事業を実施することとされております。

 県内では、平成27年度中の移行予定が19市町村、平成28年度中の移行予定が2市村、平成29年度の移行予定が10市町村となっており、移行時期を検討している市町村が28となっております。

 次に、新しい総合事業への移行に対する支援につきましては、市町村の担当課長等を対象とした説明会や研修会を実施するとともに、今年度新たに、県内5市町において地域づくりによる介護予防推進支援モデル事業を実施し、その取り組み状況を他の市町村へ情報提供しております。

 来月には、市町村長や地域の医師会長等を対象とした地域包括ケアトップセミナーを開催するなど、新しい総合事業へ円滑に移行できるよう支援してまいります。

 次に、新しい総合事業への移行につきましては、従来の訪問・通所介護相当のサービスに加え、新たなサービスの創設が重要であると認識しております。

 このため、地域の担い手育成やネットワークの構築などを行う生活支援コーディネーターを養成しているところであり、その活用も含め、多様な主体による多様なサービスの提供が可能となるよう市町村を支援してまいる考えであります。

 次に、要介護認定の申請につきましては、新しい総合事業に移行後も被保険者の当然の権利であります。

 なお、国のガイドライン案においても、被保険者が介護保険によるサービスを希望している場合は要介護認定の申請が可能となっております。

 次に、在宅医療・介護連携につきましては、地域の医師会や居宅介護支援事業所などとの多職種連携による取り組みが重要であることから、県といたしましては、今年度内に新たに地域における在宅医療のあり方等を検討する協議会を県及び方部ごとに設置し、医師会や看護協会、介護支援専門員協会等の関係機関と広域的な調整を図りながら積極的に取り組んでまいる考えであります。

 次に、原発事故避難者が多く住む市町村の地域包括ケアシステムの構築につきましては、その取り組みの一つとして、避難者が集中するいわき市において、相双保健福祉事務所いわき出張所が中心となって調整し、来月から避難4町との連携による健康サロンなどの介護予防事業を実施することとなりました。

 今後とも受け入れ市町村や地域の医師会などと連携を図りながら積極的に取り組んでまいる考えであります。

 次に、地域包括支援センターにつきましては、地域包括ケアシステムの拠点であり、その役割は増大しております。
 このため県といたしましては、地域支援事業交付金による財政的支援や職員に対する研修を行ってきたところであり、今後は地域の実情に応じてセンターが十分な機能を発揮できるよう技術的助言を行うなど、その充実強化に向けて支援してまいる考えであります。

農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。

 米価下落を受けた稲作農家への緊急的な所得補償につきましては、国の経営所得安定対策において、認定農業者等を対象として、過去の平均収入と当年産収入との差額の9割を補填するならし対策と、本年産米に限り、それ以外の生産調整達成者を対象として、農家負担なしでならし対策の国負担分の5割を補填する円滑化対策により、収入減少への補填策が講じられております。

 県といたしましては、今後ともならし対策への加入促進に努めてまいる考えであります。

 次に、米の実効ある需給調整につきましては、本年9月、北海道東北地方知事会を通じ、国に要望いたしました。
 先月、国が売り急ぎ防止対策等から成る本年産米の米価下落への対応を決定したところであり、県といたしましては、その動向を注視するとともに、必要に応じ国に対してさらなる有効な対策を講じるよう求めてまいる考えであります。

 次に、農業改革につきましては、農業協同組合や農業委員会等の組織が地域の農業・農村に果たしている機能や役割、中山間地域の実情などに配慮し、生産現場に混乱が生じないよう、農業者や農業団体など関係者の意見を広く聞き、慎重に議論を尽くした上で、地域農業と農業経営の維持発展につながる見直しとなるよう国へ要望を行っており、今後とも見直しの内容を注視してまいります。

子育て支援担当理事(小林武正君)お答えいたします。

 子供の貧困対策につきましては、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、健やかに育成される環境を整備することが重要であると考えております。

 県といたしましては、市町村や関係団体と協議を行いながら、計画の策定も含め、効果的な取り組みについて検討してまいる考えであります。

 次に、児童養護施設等の退所児童の実態調査につきましては、現在も施設の退所時等に進路の確認を行っております。

 また、経済状況等に関する詳細な調査の実施については、施設の意向なども踏まえ、検討すべき課題であると考えております。

 次に、子ども・子育て支援新制度における弾力的な取り扱いにつきましては、震災、原子力災害の影響により、教育、保育などに係る需給見込みの予測が困難な市町村においては、子ども・子育て支援事業計画の策定に当たり、需給に関する数値目標などを当面設定しない取り扱いが認められたものであります。

 次に、市町村における準備状況につきましては、各市町村が進めている子ども・子育て支援事業計画の策定や保育所の運営基準などの条例制定について、各保健福祉事務所を通じて随時把握しております。

 県といたしましては、新制度が円滑に開始されるよう、引き続き市町村を支援してまいる考えであります。

 次に、保育所の提供体制の確保方策に係る支援につきましては、市町村が保育士を含めた教育・保育サービスの必要量及び提供体制の確保方策などについて事業計画を策定することとされていることから、県といたしましては、事業計画に記載されている保育所などの施設整備を促進するため、市町村に対して財政支援を行ってまいる考えであります。

 次に、新制度の円滑な導入に向けた市町村への支援につきましては、これまで説明会を逐次開催し、国の検討状況を含め、制度の内容や準備事務について周知を図る一方、支給認定事務などのシステムの導入経費についても財政支援を行ってまいりました。

 今後とも新制度の円滑な導入に向け支援してまいる考えであります。

病院局長(佐原輝一君)お答えいたします。

  県立病院における消費税につきましては、医療機器や診療材料の購入などには課税されるものの、社会保険診療は非課税であり、患者に転嫁できない制度となっております。

 このため、現在運営している3病院について、平成25年度決算額をベースにその影響額を試算した場合、税率8%では3,395万円、10%では5,561万円の増額になると推計されます。

教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 子供の貧困対策におけるスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの役割につきましては、教育相談活動の中で子供の貧困に起因する問題等が見られた場合には、その解決に向けて、市町村の保健福祉部局や県の保健福祉事務所、児童相談所等の関係機関と連携を図り、対応しているところであります。

 次に、新しい教育委員会制度につきましては、引き続き教育委員は議会の同意のもとで任命され、合議制の教育委員会が執行機関であるなど、政治的中立性は確保されております。

 県教育委員会といたしましては、今回の制度改正の趣旨を踏まえ、新たに設置される総合教育会議や教育の振興に関する施策の大綱の策定など、地域の民意を代表する知事との連携を一層強化し、教育委員会の活性化に努めてまいる考えであります。

 次に、新教育長に対するチェック機能につきましては、教育委員の3分の1以上の委員から会議の招集の請求があった場合、遅滞なく委員会を開催することが新たに法律で定められたほか、新教育長に委任した事務の管理及び執行状況についても、教育委員会に報告する義務が課せられているところであります。

警察本部長(名和振平君)お答えいたします。

 捜査費決算額が減額となった要因につきましては、捜査費は、捜査に要する経費のうち緊急性があるもの、または秘匿性のあるものに充てるものとされており、犯罪情勢等を踏まえ、必要と見込まれる額を予算計上し、執行しているところでありますが、近年、地域社会における人間関係の希薄化により、警察に対する情報提供等の協力が得られにくくなっていることや、DNA型鑑定等の鑑識鑑定技術の高度化等により、情報収集のあり方が多様化していることが決算額減少の要因となっているものと考えております。

 次に、捜査費の捜査員への配分方法につきましては、一般捜査費と捜査諸雑費に区分されており、一般捜査費につきましては、捜査員が必要の都度所属長に申請し、所属長がその必要性等を検討した上で交付されるものです。

 また、捜査員の判断に基づき執行できる少額な経費に充てるため、月の初めに捜査員に捜査諸雑費を交付しております。その額は、担当業務により異なりますが、捜査員1人当たり5千円から2万円程度となります。

 次に、捜査費の保管、支出管理の現状につきましては、一般捜査費は所属長の指揮のもと、次席や副署長等が現金の金庫での保管管理や出し入れを行い、出納状況を現金出納簿に記載して支出管理しております。

 捜査諸雑費については、捜査員自身が保管管理することとなりますが、いつでも使えるように財布等に入れて携行する場合のほかは、施錠できる机等の引き出しに保管することとしているところであり、捜査員が執行した都度、関係書類を作成し、課長補佐や署の課長等に報告した上、月末には残金等の精算を行い、支出管理しております。

 次に、捜査費の今後の保管管理のあり方につきましては、これまでも確実な保管管理を指導してきたところでありますが、今回の事案の発生を踏まえ、改めて一般捜査費については金庫での確実な保管、捜査諸雑費については、財布等に入れて携行する場合のほかは、施錠できる机等での確実な保管の徹底を指示しております。

 県警察といたしましては、これらの保管を徹底させるとともに、管理状況の確認を行うなどのほか、捜査費にかかわる職員に対して改めて公金であることの重要性を意識づけするなどして、捜査費の適正管理に努めてまいります。

 次に、自殺防止のための原因究明と職場環境の改善につきましては、現在本年11月の自殺事案に関し調査を行っているところであります。

 4月の自殺事案以降、過重勤務の抑制、職員や家族の相談窓口の設置、幹部職員に対する研修等のメンタルヘルス対策などに取り組んでおりますが、今回の自殺に関する調査も踏まえて、これまで取り組んできた施策についてさらに改善充実を図るほか、職員一人一人が前向きに仕事に取り組める職場環境づくりに取り組んでまいる考えであります。

26番(長谷部 淳君)再質問いたします。

 知事にお伺いいたします。

 原発が重大事故を起こして放射性物質を外部にまき散らせば、これを完全に抑える手段はない。被害は空間的にどこまでも広がって、時間的にも将来にわたっていく。地域社会の存在すらも危うくするというのが原発事故の現実です。知事が議会の冒頭でおっしゃいましたけれども、現在進行形で苦しんでいる。原発のリスク、原子力災害の過酷さ、これがその姿だというふうに思います。

 日本は地震活動期に入っていると言われ、火山活動も活発化している状況です。火山の大噴火の予知はできないというのも専門家の知見です。福島原発事故が示したのは、安全な原発はない、原発と人類は共存し得ないということだと思います。

 原発ゼロを福島県知事が発信をするということが原子力に依存しない社会づくりの最も重要なメッセージだというふうに思いますので、その点について知事の考えをもう一度お聞かせください。

 企画調整部長にお伺いしますけれども、川内原発にかかわってです。

 福島原発事故が示したのは、安全神話が最も危険だということだと思うのです。私は、11月6日、7日と鹿児島県議会と県庁へ行ってきました。県議会と知事が川内原発再稼働の虚構の住民合意を表明したのはその7日でありました。議会棟も県庁も正面玄関は県職員のバリケードで、鹿児島県民ですら自由に出入りができないという状況で、異論を差し挟ませないという、まさに安全神話そのものだったというふうに思います。

 これに先立って、実は3日に鹿児島入りしていたのが宮沢経産相ですけれども、「福島みたいなことが起きても、もう命の問題なんか発生しない。避難計画が発動されるケースはほとんどないだろう。事故時には国が責任を持つことを約束した。」こう言ったのです。要するに事故は絶対起こらないという安全神話そのものです。

 今回の自民党の選挙公約に、「原発の再稼働を進めます。」ということですけれども、その実践なのだろうと思うのですが、とにかく福島原発事故の重要な教訓が「安全神話が最も危険だ」ということですから、新たな安全神話に基づく再稼働には、福島県として異議を唱えるということが福島の役割ではないでしょうか。

 選管のポスターを見ますと、「とどけ!福島の声!」とあります。その声をぜひ届ける必要があるのではないかと思いますので、もう一度お答えください。

 子育て支援担当理事にお伺いします。

 子ども・子育て支援制度の円滑な導入にかかわって伺いましたけれども、市町村の事務量は、施設型給付や地域型保育給付などの給付額の違いとか、子供の人数の変動だとか、保育所の利用調整などでふえるということはもう間違いないですよね。円滑な導入に当たっては、事務量の増大に応じた人員の増も伴わなければ、過労で倒れる職員も続出しかねないという懸念を私はいたしております。ですから、その対応抜きに円滑な導入もままならないと思います。その点での対応と県としての支援についてもう一度具体的にお聞かせください。

 それと、県警本部長にお伺いいたしますけれども、自殺の再発防止にかかわってなのですが、例えばことしの4月の件でも、パワハラであるとか、長時間勤務であるとか、仕事上の悩みがあったというふうに説明をされました。ただ、私には一般的な理由を抽象的にされているような印象なのです。実際には、個別具体的な事件に関するパワハラだったり悩みだったりしたという可能性もあろうかと思います。

 事件の捜査というのは、一つ一つの事件の顔に応じた捜査をするのが警察の仕事だと思います。ですから、個別の原因究明と働き続けられる職場環境についてそういう意味で聞いたわけですけれども、さらなる原因究明を含めて具体的な対応についてもう一度お聞かせいただければと思います。

知事(内堀雅雄君)長谷部議員の再質問にお答えをいたします。

 原子力災害による被災県として、過酷な事故による現状と教訓を伝えていくことが私の使命であると考えております。

 引き続き、県内原発の全基廃炉を初め原子力に依存しない社会の実現に向けた取り組みを、ここ福島の地から発信をしてまいります。

企画調整部長(近藤貴幸君)再質問にお答えいたします。

 原発の再稼働につきましては、福島の原子力発電所の事故の反省や教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先にして、国の責任において検討されるべきものと考えておりまして、県といたしましては、引き続き県内原発の全基廃炉を国及び東京電力に対し強く求めてまいるとともに、再生可能エネルギー先駆けの地を目指すことにより、本県の原子力に依存しない社会の実現とその情報発信を国内外に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

子育て支援担当理事(小林武正君)再質問にお答えいたします。

 子ども・子育て支援新制度の円滑な導入に向けた市町村への支援についてでございますが、先ほど申し上げましたように、支給認定事務などの電算システムの導入経費についても財政支援を行って省力化を支援してきたということもございます。

 今後とも新制度の円滑な導入に向け助言して、支援してまいりたいというふうに考えてございます。

警察本部長(名和振平君)再質問にお答えをいたします。

 自殺の要因というものにつきましては、まさに一人一人の個人の事情といったものが恐らくあるのであろうというふうに思います。

 そうした中で自殺の防止を図っていくためには、一人一人の悩みを早期に把握して解決の手助けをする、そういったことも重要であると考えておりまして、そういった観点から、職員や家族からの相談窓口といったものも新設したところでございます。

 今後も一人一人の職員が前向きに仕事ができるように、メンタルヘルス対策、相談へのしっかりした対応、そういったものに取り組んでまいりたいと考えております。

26番(長谷部 淳君)再度質問をさせていただきますが、総務部長にお伺いします。

 消費税にかかわってですけれども、先ほどの答弁は限界かなということで聞きましたけれども、工務店などの調査によると、大手ハウスメーカーを除いて、県内の住宅建設費の坪単価は震災前の51万円ほどから59万円ほどになっているのだそうです。30坪であれば240万円、60坪であれば480万円、余分な負担がかかるということになってしまっています。したがって、被災者の住まいの再建にも復興にも足かせになっているということはもう明らかだと思うのです。

 先ほど県立病院の答弁でも、3つの病院だけで、8%に上がるだけで年間3,400万円、10%になると5,500万円の損税がふえると。損するだけで回収できないという負担がふえる。これはもちろん県立病院だけではなくて、病院全てです。

 国の調査によると、実質賃金指数は10月までの16カ月連続マイナスですよね。実質消費支出も増税後は10月まで7カ月連続マイナスです。全国中小企業団体中央会の月次景況調査では、ことし4月以降、景況も売上高も収益状況も、いずれも指数はマイナスだと。帝国データバンクによれば、ことし1月から11月まで円安関連倒産が301件、前年同期の2.7倍だと。労働力調査では、2012年とことし7月から9月の平均で非正規雇用は123万人ふえた。だけれども、正規雇用は22万人減っていると。こういった状況の結果、7月から9月のGDPはきのう年率換算で1.6%から1.9%に下方修正されるということになりました。

 こういった状況が好転するどころか、悪くなっても消費税を増税するというのが首相の話です。これは、余りの被災地無視、一人一人の県民の暮らしの復興を阻害するだけだと思います。県民の暮らしを守る、県政を預かる総務部長として、実態を把握するといったこともあわせて増税中止を求めるべきではないかと。もう一度御自分の暮らしぶりも振り返って御答弁をいただければと思います。

 保健福祉部長に伺います。

 地域包括支援センターについて伺いましたが、部長おっしゃったように、このセンターは来年度からの制度の改定もあって、地域支援事業が拡充されるに伴って、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、生活支援サービスの体制整備、地域ケア会議の主催・運営、本来行政が責任を持って対応すべき課題が大幅にふえるわけですよね。

 現状では、介護予防支援に追われて、そもそもこれまでも本来業務に十分対応できないということも聞きます。ですから以前から私は、県としての具体的・根本的ありようを問題提起しているわけです。

 はっきりしていることは、介護予防支援と包括的支援事業の本来業務と拡充される業務を実質的に確実に遂行するには、体制強化とその財源保障、これはもう喫緊の課題だと思います。当然それは国にその具体的措置を求めること、もちろんこれはそうですけれども、現場主義に立つ県としてより具体的支援をすべきと思いますが、もう一度答弁を求めます。

 教育長にお伺いしますが、スクールソーシャルワーカーの役割についてお伺いをいたしました。さまざまな連携の中軸になるような大変な仕事だというふうに思います。しかも、相手は心に傷を負って不安定な状態が続くであろう子供たちです。もちろん子供たちも一人一人多様だというふうに思います。

 私は、スクールソーシャルワーカーの仕事は、1人の子供に対する継続的な支援、例えば中学校を卒業して高校生になってからも、その同じ子の継続的な支援を要する子供たちもいるだろうというふうに思います。しかも、こういった仕事の場合、仕事の成果だとか検証なんかも難しいのが現状だと思います。

 ですから、何人いれば足りるとか、これもはかりがたいと思いますけれども、いずれにせよこのスクールソーシャルワーカーの人材育成・確保は今後も大きな課題だと認識をしています。低賃金や不安定な雇用ではなくて、若い人が就職したい魅力的な職種、職場をこのスクールソーシャルワーカーの仕事で展望する必要がありますけれども、その点での教育長の課題認識をお聞かせいただければと思います。

総務部長(鈴木正晃君)再質問にお答えいたします。

 さらなる消費税増税につきましては、被災者の皆さん、それから中小企業の皆さんが厳しい状況の中、復興に向けて取り組まれていることから、その歩みが滞ることのないように、国において被災地の状況なども踏まえて判断をされるものと考えてございます。

保健福祉部長(鈴木淳一君)再質問にお答えいたします。

 地域包括支援センターにつきましては、答弁でもお答えしたように、大変重要な役割を担っていくことになると思います。

 議員御指摘のように、人、それから金、もちろん重要でございますが、私としては、市町村そのものに理解をもっとしていただくこと、それから地域の住民の方にもよく理解をしていただくこと、そしてまた関連する専門職種の方々にも連携の必要性について理解をしていただくこと、こういったことが県として一番重要な役割かなと思っております。

 今後とも高齢者の人生の最終章がそれぞれ質の高い選択が可能となるようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。


教育長(杉 昭重君)再質問にお答えいたします。

  スクールソーシャルワーカーに係る継続的な支援ということに関しましては、例えば中学校から高校に進学した場合などは、情報伝達といいますか、中学校の先生の方から高校の先生の方に高校の合格が決まった後に情報伝達するようなシステムをとっているところでございますので、引き続いて支援をしてまいりたいと思います。

 それから、人材育成という観点に関しましては、高等教育機関で養成するわけですので、そちらの方と連携をとってやるようになりますが、ただ、現在スクールソーシャルワーカーの中でも大学の先生、スーパーバイザーという方にいわゆる資質向上という面でも御協力いただいておりますので、育成と資質向上とあわせてやっていきたいと思っております。

議長(平出孝朗君)これをもって、長谷部 淳君の質問を終わります。 

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